JP2021024854A - 9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物およびその製造方法 - Google Patents
9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2021024854A JP2021024854A JP2020081219A JP2020081219A JP2021024854A JP 2021024854 A JP2021024854 A JP 2021024854A JP 2020081219 A JP2020081219 A JP 2020081219A JP 2020081219 A JP2020081219 A JP 2020081219A JP 2021024854 A JP2021024854 A JP 2021024854A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- aminophenyl
- bis
- fluorene compound
- fluorene
- aliphatic hydrocarbon
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
- 0 *C(CCCC1*I)=C1N Chemical compound *C(CCCC1*I)=C1N 0.000 description 1
Landscapes
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Abstract
【課題】空気中で酸化を受けにくく安定でかつ取扱い時に微粉が飛散しにくい、嵩密度0.3g/ml以上の9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物およびその製造方法を提供する。【解決手段】 本発明は、下記一般式(1)(式中、R1は、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基から選ばれる少なくとも一つを表す。R2は、水素、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基から選ばれる少なくとも一つを表す。)で表される嵩密度0.3g/ml以上の9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物およびその製造方法である。【選択図】なし
Description
本発明は、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、工業的に有用な9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物およびその製造方法に関する。
9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物は、高分子化学の分野で広く用いられる化合物であり、特に、ポリイミド、ポリアミド、エポキシ樹脂の原料として有用である。この化合物を含むポリイミド、ポリアミド、エポキシ樹脂は電子情報材料、光学材料、複合材料など、工業用途として多岐にわたる分野で使用されている。
9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物の製造法としては、特許文献1では、9−フルオレノンとアニリンを反応させる際、反応により生成した水を反応系外に除去しつつ反応を行い、極性の低い溶媒、例えばトルエン、キシレンなどで再結晶させている。
特許文献2では、芳香族ケトンとアニリンを反応させて得られた粗9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物に、低級脂肪族ケトンを添加して溶解させ、次いで不溶解物を分離した後、トルエンを添加し、再結晶させている。
特許文献3、4では、芳香族ケトンとアニリンを反応させて得られた粗9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物をトルエンに溶解させ、再結晶させている。しかし、特許文献1、2、3、4に記載された方法で得られる9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物の形状は、微粉末となっていた。微粉末状の9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物は、安定性が悪い。すなわち、空気中で酸化を受けやすく、保管中に徐々に着色が起こることがある。また、微粉末は、取扱いの際、飛散することがあり、作業者が吸引するなどにより健康被害を起こすことがある。
また、特許文献1、2、3、4では、本発明の9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物のアミノ基の両隣の水素がいずれも置換されていないもの(後述する一般式(1)に示す構造式で置換基がR1、R2が両方とも水素であるもの)が例示されているのみで、アミノ基の両隣の水素の少なくともの1つが置換された9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物について記載されていない。
非特許文献1では、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物の一般式(1)に示す構造式で置換基R1および/またはR2がメチル基やエチル基である9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物の合成法が開示されている。ここでは、反応させるアニリン類とそのアニリン類塩酸塩を9−フルオレノンに対し、同時に大過剰量用いて、リフラックス条件の高温で反応を行っていた。しかし、この方法では、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物の収率が70%(9−フルオレノン基準)以下と低いものであり、工業的に十分ではなかった。また、得られた9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物は、特許文献1、2、3、4と同様に、微粉末で取り扱い性に課題があった。
Polymer,2005,Vol.46,p.5278−5283
本発明の目的は、空気中で酸化を受けにくく安定でかつ取扱い時に微粉が飛散しにくい嵩密度0.3g/ml以上の9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物およびその製造方法を提供することにある。
本発明の9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物は、下記一般式(1)
(式中、R1は、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基から選ばれる少なくとも一つを表す。R2は、水素、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基から選ばれる少なくとも一つを表す。)
で表される、嵩密度が0.3g/ml以上である9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物である。
で表される、嵩密度が0.3g/ml以上である9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物である。
本発明の製造方法は、極性溶媒に溶解した前記一般式(1)で表される9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物を濃縮晶析させる工程を含む、嵩密度が0.3g/ml以上の9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物の製造方法である。
本発明の9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物は、嵩密度0.3g/ml以上であるため、表面積が小さく、空気中において酸化を受け難く、安定である。また、取扱いの際、飛散しにくく、環境汚染を起こす可能性が低くなる。この9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物は、ポリイミド、ポリアミド、エポキシ樹脂の原料として有用であり、これらの樹脂は電子情報材料、光学材料、複合材料などで使用することができる。
本発明の製造方法は、嵩密度が0.3g/ml以上である9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物を、効率的かつ工業的に製造することができる。
以下に本発明の詳細を記載する。
本発明の嵩密度0.3g/ml以上の9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物は、下記一般式(1)
(式中、R1は、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基から選ばれる少なくとも一つを表す。R2は、水素、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基から選ばれる少なくとも一つを表す。)
で表される。
本発明の嵩密度0.3g/ml以上の9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物は、下記一般式(1)
で表される。
式(1)中、R1は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルから選ばれる少なくとも一つである。また、R2は、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルから選ばれる少なくとも一つである。
一般式(1)で表される9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物は、結晶性であり、4−アミノフェニル基のアミノが結合する炭素に隣接する少なくとも1つの炭素に結合する水素が炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基に置換されている。9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物として、例えば9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−エチル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−イソプロピル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,5−ジメチル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,5−ジエチル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,5−ジイソプロピル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−5−エチル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−5−イソプロピル−4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−エチル−5−イソプロピル−4−アミノフェニル)フルオレンが挙げられる。
9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物は、嵩密度が0.3g/ml以上、好ましくは0.3〜1.0g/ml、より好ましくは0.4〜0.8g/mlである。嵩密度を0.3g/ml以上にすることにより、表面積を小さくし、空気中において酸化を受け難く、安定にすることができる。また、取扱いの際、飛散しにくく、環境汚染を起こすことを抑制可能になる。
本発明の製造方法は、極性溶媒に溶解した前記一般式(1)で表される9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物を濃縮晶析させる工程を含む、嵩密度が0.3g/ml以上の9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物の製造方法である。極性溶媒に溶解した9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物とは、精製すべき9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物を極性溶媒に溶解させたもの、または、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物を製造する過程における反応液であって極性溶媒を含むもの、若しくは反応液に極性溶媒を加えたもの等を例示することができる。
極性溶媒として、特に限定されないが、アルコール系溶媒、エステル系溶媒またはアミド系溶媒が例示される。極性溶媒として、好ましくはアニリン化合物、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、等を挙げることができる。ここで、アニリン化合物として、アニリン、置換基を有するアニリン誘導体が例示され、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物を調製するときに用いるアニリン類でもよい。
極性溶媒の量は、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物の質量に対し、好ましくは1質量倍〜20質量倍、より好ましくは2質量倍〜10質量倍であるとよい。極性溶媒の量をこのような範囲内にすることにより、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物の溶解を良好に溶解し、容易に嵩密度が0.3g/ml以上の9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物を得ることができる。また濃縮晶析により除去する極性溶媒の量が過大とならないようにし、生産コストを抑えることができる。
濃縮晶析は、常圧、減圧のどちらで行ってもよい。例えば極性溶媒がアニリン類のとき、常圧でアニリン類を留去しようとすると、200℃以上の高温条件が必要となり、これにより、アニリン類が酸化を受け、着色したり、アニリン類の回収率が低下することが懸念される。このため、濃縮晶析は、減圧下で、温度150℃以下で行うことが好ましい。減圧度としては、好ましくは0.13〜20kPaであるとよい。
濃縮晶析後、冷却して得られたスラリーを固液分離することで、嵩密度0.3g/ml以上の9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物が得られる。得られた結晶表面に晶析母液が付着していることがあることから、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物に十分リンス液をかけて、洗浄する、あるいは溶媒でリスラリー洗浄することで高純度の嵩密度0.3g/ml以上の9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物を得ることができる。
リンスおよびリスラリーの溶媒としては、アルコール系溶媒、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒またはアミド系溶媒を使用してもよいが、好ましくは、アルコール系溶媒または炭化水素系溶媒が用いられる。アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールが例示され、炭化水素系溶媒としては、トルエン、キシレンが例示される。リスラリーは、室温で行ってもよいし、溶媒がリフラックスする温度まで、上げてもよい。使用するリンス液量は、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物の質量に対し、0.1〜10質量倍であり、リスラリーで用いられるリスラリー液量は、1.0〜30質量倍が好ましく用いられる。
濃縮晶析に供する極性溶媒に溶解させた9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物は、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物を製造する過程における反応液でもよい。9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物の好適な製造方法を以下に説明する。
9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物は、9−フルオレノンと下記一般式(2)
(式中、R1は、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基から選ばれる少なくとも一つを表す。R2は、水素、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基から選ばれる少なくとも一つを表す。)で表されるアニリン類を縮合反応させることで、製造される。
式(2)中、R1は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルから選ばれる少なくとも一つである。また、R2は、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルから選ばれる少なくとも一つである。
一般式(2)で表されるアニリン類の具体例としては、例えばオルト−トルイジン、オルト−エチルアニリン、オルト−イソプロピルアニリン、2,6−ジメチルアニリン、2,6−ジエチルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン、2−メチル−6−エチルアニリン、2−メチル−6−イソプロピルアニリン、2−エチル−6−イソプロピルアニリンが挙げられる。
本発明の縮合反応で用いるアニリン類は、9−フルオレノンのモル数に対し、アニリン類が好ましくは2.0〜30モル倍、より好ましくは、3.0モル倍から15モル倍であるとよい。アニリン類を2.0モル倍以上にすることにより、所望の9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物を製造することができる。またアニリン類を30モル倍以下にすることにより、反応液から未反応のアニリン類を除去する労力を少なくすることができる。
9−フルオレノンとアニリン類の縮合反応は、酸触媒の存在下で行われる。酸触媒として、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、フッ化水素酸等のプロトン酸、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、三塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化スズ(IV)、塩化鉄(III)、フッ化アンチモン(V)、塩化アンチモン(V)、三塩化りん、五塩化りん、オキシ塩化りん、四塩化チタン、三塩化チタン、バナジルクロライド(VOCl2)、塩化ジルコニウム、塩化ハフニウム、テトライソプロポキシチタン、トリフルオロメタンスルフォン酸スカンジウム(III)、三塩化ニオブおよび五塩化ニオブなどのルイス酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ピバル酸、吉草酸、メタンスルフォン酸、パラトルエンスルフォン酸、トリフルオロメタンスルフォン酸等の有機酸、活性白土、シリカアルミナ、ゼオライト等の固体酸が例示される。また、酸触媒を、アニリン類の塩として使用してもよい。
酸触媒の量は、9−フルオレノンのモル数に対し、好ましくは0.1〜10モル倍であり、より好ましくは、0.5〜3モル倍である。また、酸触媒を10モル倍以下使用することにより、後工程で中和に用いるアルカリ量を低減することができる。なお、アニリン類の塩として同量の酸を使用してもよい。
縮合反応では、アニリン類を溶媒量用いてもよいし、縮合反応を阻害しない限り、極性溶媒を用いても良い。極性溶媒としては、アルコール系溶媒、エステル系溶媒またはアミド系溶媒が用いられる。アルコール系溶媒としては、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノールおよび1−ヘキサノールなどの1級アルコール類、イソプロパノール、2−ブタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−ヘプタノールおよび3−ヘプタノールなどの2級アルコール類、ターシャリーブタノール、ターシャリーペンタノール、エチレングリコールおよびプロピレングリコールが挙げられる。
エステル系溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルおよび酢酸イソブチルなどが挙げられる。
アミド系溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。
中でも好ましく用いられる溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンである。
溶媒の使用量は、9−フルオレノンの質量に対して、好ましくは1〜20質量倍であり、より好ましくは、2〜10質量倍である。
アミド系溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。
中でも好ましく用いられる溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンである。
溶媒の使用量は、9−フルオレノンの質量に対して、好ましくは1〜20質量倍であり、より好ましくは、2〜10質量倍である。
縮合反応において、水が副生するが、これを除去しながら反応させることが好ましい。この目的で反応系内に共沸溶媒を共存させて、連続的に副生水を除去する方法が好ましく用いられる。共沸溶媒としては、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられるが、トルエンが好ましく用いられる。この共沸溶媒の使用量は、9−フルオレノンの質量に対し、0.5〜10質量倍が好ましい。
縮合反応は、酸素を含まない不活性雰囲気下で行うことが好ましい。具体的には、実質的に酸素を含まない窒素ガスを反応系内に通気させることで行うことができる。酸素存在下で行うと、アニリン類が酸化され、着色し、これが、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物に残存してしまうことがある。
反応温度は、好ましくは、80〜200℃である。より好ましくは、120〜180℃である。80℃より低いと反応完結に長時間を要することになり、200℃をよりも反応温度が高いと、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物にさらに9−フルオレノンが反応した二量体が生成し、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物の収率が低下することになる。
反応時間は、反応温度に依存するが、好ましくは、3〜100時間、より好ましくは、5〜80時間である。反応終点は、9−フルオレノンが完全に消費され、中間体である9−フルオレノンにアニリン1分子が縮合したイミン体の残存量が反応液の液クロマトグラフィー分析で、アニリン類を除く全体の10面積%以下、より好ましくは、2.0面積%以下となる時点と設定できる。
反応終了後、反応液をアルカリで中和し、生成した油相と水相を分液し、得られた油相から9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物を取得することができる。
用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム水溶液または、水酸化カリウム水溶液が用いられ、中和で生じた塩を水相側へ抽出し、除去することができる。
用いるアルカリ量は、縮合反応で用いた酸触媒と同じ当量あるいはそれ以上であれば問題ない。
用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム水溶液または、水酸化カリウム水溶液が用いられ、中和で生じた塩を水相側へ抽出し、除去することができる。
用いるアルカリ量は、縮合反応で用いた酸触媒と同じ当量あるいはそれ以上であれば問題ない。
本発明において得られた油相から極性溶媒および/またはアニリン類を留去し、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物を濃縮晶析させることで、嵩密度0.3g/ml以上の9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物を得ることができる。
以下、実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例のみに制限されるものではない。なお、本明細書において得られる9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物の分析値は、次の方法により測定した。
(化学純度)
以下の条件の液体クロマトグラフィー(島津製作所製CLASS−VP)により、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物のピーク面積の分率(HPLC area%)を測定し、化学純度とした。
・カラム: YMC―Pack ODS−AM303 4.6φ×250mm
・カラム温度: 40℃
・移動相: 0.1%(v/v)リン酸水溶液を組成(A)、アセトニトリルを組成(B)とし、下記のグラジエントに示した組成(A/B)で変化させた。
・グラジエント
時間(分) 組成(A/B)
0 60/40
10 45/55
15 20/80
25 20/80
30 60/40
40 60/40
・流量: 1ml/min
・注入量: 10μl
・検出: UV 254nm
・分析時間: 40分
・分析サンプル調製:サンプル0.02gを秤量し、アセトニトリル約40mlに希釈
ただし、上記の分析条件に基づく分析結果と同じ結果が得られる限り、この分析条件に限定されるものではない。
以下の条件の液体クロマトグラフィー(島津製作所製CLASS−VP)により、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物のピーク面積の分率(HPLC area%)を測定し、化学純度とした。
・カラム: YMC―Pack ODS−AM303 4.6φ×250mm
・カラム温度: 40℃
・移動相: 0.1%(v/v)リン酸水溶液を組成(A)、アセトニトリルを組成(B)とし、下記のグラジエントに示した組成(A/B)で変化させた。
・グラジエント
時間(分) 組成(A/B)
0 60/40
10 45/55
15 20/80
25 20/80
30 60/40
40 60/40
・流量: 1ml/min
・注入量: 10μl
・検出: UV 254nm
・分析時間: 40分
・分析サンプル調製:サンプル0.02gを秤量し、アセトニトリル約40mlに希釈
ただし、上記の分析条件に基づく分析結果と同じ結果が得られる限り、この分析条件に限定されるものではない。
(嵩密度測定)
ガラス製200mlメスシリンダー(JIS R3505準拠、外径:φ41mm、全高:275mm)にサンプル 約20gを充填し、10回タッピング後、体積(ml)を読み取り、充填した質量(g)を秤量し、質量を体積で除して嵩密度(g/ml)を測定した。
ガラス製200mlメスシリンダー(JIS R3505準拠、外径:φ41mm、全高:275mm)にサンプル 約20gを充填し、10回タッピング後、体積(ml)を読み取り、充填した質量(g)を秤量し、質量を体積で除して嵩密度(g/ml)を測定した。
(実施例1)
温度計、滴下漏斗、冷却管および攪拌機を取り付けた四つ口フラスコに、9−フルオレノンを14.4g(0.08モル)、オルト−トルジジンを112.1g(1.05モル)およびトルエン57.6g(4質量倍/9−フルオレノン)を仕込んだ。窒素パージ攪拌下、溶液を15℃以下に冷却し、35%塩酸 25.0g(0.24モル)を滴下した。発熱が収まった後、液温90〜110℃に昇温し、系中の水とトルエンを共沸させた。留出が収まった後、さらにトルエン 14.4g(1質量倍/9−フルオレノン)を投入し、再度系中の水とトルエンを共沸させながら、液温を130〜140℃まで昇温し、20時間撹拌しながら熟成することにより縮合反応を行った。
温度計、滴下漏斗、冷却管および攪拌機を取り付けた四つ口フラスコに、9−フルオレノンを14.4g(0.08モル)、オルト−トルジジンを112.1g(1.05モル)およびトルエン57.6g(4質量倍/9−フルオレノン)を仕込んだ。窒素パージ攪拌下、溶液を15℃以下に冷却し、35%塩酸 25.0g(0.24モル)を滴下した。発熱が収まった後、液温90〜110℃に昇温し、系中の水とトルエンを共沸させた。留出が収まった後、さらにトルエン 14.4g(1質量倍/9−フルオレノン)を投入し、再度系中の水とトルエンを共沸させながら、液温を130〜140℃まで昇温し、20時間撹拌しながら熟成することにより縮合反応を行った。
縮合反応後、反応液を冷却し、50℃で17質量%苛性ソーダ水 56.4gを投入し、反応液を中和した。下層から水相を分離し、取得した油相を液温100〜110℃、減圧度4〜8kPaで減圧濃縮し、結晶を析出させた(濃縮晶析)。これに液温90℃で、水 10.8gを、液温75℃で2−プロパノール 21.6gを投入した。このスラリーを室温まで冷却し、固液分離を行った。得られたケークにイソプロパノール 21.6gをリンスし、粗9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレンを得た。これをトルエン 43.2gでリフラックス下、1時間、リスラリーを行い、室温に冷却後、ろ過し、得られたケークにトルエン 7.2gでリンスを行った。これを温度60℃、減圧度 0.01kPa以下で一晩真空乾燥した。その結果、9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレン 24.7g(収率 82%/9−フルオレノン)を取得した。液体クロマトグラフィー分析による化学純度は、97.8%であった。
得られた9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレンの嵩密度は、0.65g/mlであった。
得られた9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレンの嵩密度は、0.65g/mlであった。
(比較例1)
温度計、滴下漏斗、冷却管および攪拌機を取り付けた四つ口フラスコに、9−フルオレノンを14.4g(0.08モル)、オルト−トルイジンを112.1g(1.05モル)およびトルエン57.6g(4質量倍/9−フルオレノン)を仕込んだ。窒素パージ攪拌下、溶液を15℃以下に冷却し、35%塩酸 25.0g(0.24モル)を滴下した。発熱が収まった後、液温90〜110℃に昇温し、系中の水とトルエンを共沸させた。留出が収まった後、さらにトルエン 14.4g(1質量倍/9−フルオレノン)を投入し、再度系中の水とトルエンを共沸させながら、液温を130〜140℃まで昇温し、20時間撹拌しながら熟成することにより縮合反応を行った。
温度計、滴下漏斗、冷却管および攪拌機を取り付けた四つ口フラスコに、9−フルオレノンを14.4g(0.08モル)、オルト−トルイジンを112.1g(1.05モル)およびトルエン57.6g(4質量倍/9−フルオレノン)を仕込んだ。窒素パージ攪拌下、溶液を15℃以下に冷却し、35%塩酸 25.0g(0.24モル)を滴下した。発熱が収まった後、液温90〜110℃に昇温し、系中の水とトルエンを共沸させた。留出が収まった後、さらにトルエン 14.4g(1質量倍/9−フルオレノン)を投入し、再度系中の水とトルエンを共沸させながら、液温を130〜140℃まで昇温し、20時間撹拌しながら熟成することにより縮合反応を行った。
縮合反応後、反応液を冷却し、50℃で17質量%苛性ソーダ水 56.4gを投入し、反応液を中和した。下層から水相を分離し、取得した油相にイソプロパノール 21.6gと水 10.8gを投入し、9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレンを晶析させた(貧溶媒晶析)。得られたスラリーを室温まで冷却し、固液分離を行った。得られたケークにイソプロパノール 21.6gをリンスし、粗9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレンを得た。これをトルエン 43.2gでリフラックス下、1時間、リスラリーを行い、室温に冷却後、ろ過し、得られたケークにトルエン 7.2gでリンスを行った。これを温度60℃、減圧度 0.01kPa以下で一晩真空乾燥した。9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレン 28.0g(収率 93%/9−フルオレノン)を取得した。液体クロマトグラフィー分析による化学純度は、98.8%であった。
得られた9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレンの嵩密度は、0.16g/mlであった。
得られた9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレンの嵩密度は、0.16g/mlであった。
(比較例2)
東京化成社製9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレン(製品コード:B2693)を入手し、嵩密度を測定した。嵩密度は、0.16g/mlであった。
東京化成社製9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレン(製品コード:B2693)を入手し、嵩密度を測定した。嵩密度は、0.16g/mlであった。
(実施例2)
実施例1において、オルト−トルイジン 112.1gを2−エチルアニリン 115.6gに、反応時間を66時間変更した以外は、実施例1と同様に縮合反応および濃縮晶析を行った。
9,9−ビス(3−エチル−4−アミノフェニル)フルオレン 27.5g(収率 85.0%/9−フルオレノン)を取得した。液体クロマトグラフィー分析による化学純度は、97.5%であった。
得られた9,9−ビス(3−エチル−4−アミノフェニル)フルオレンの嵩密度は、0.54g/mlであった。
実施例1において、オルト−トルイジン 112.1gを2−エチルアニリン 115.6gに、反応時間を66時間変更した以外は、実施例1と同様に縮合反応および濃縮晶析を行った。
9,9−ビス(3−エチル−4−アミノフェニル)フルオレン 27.5g(収率 85.0%/9−フルオレノン)を取得した。液体クロマトグラフィー分析による化学純度は、97.5%であった。
得られた9,9−ビス(3−エチル−4−アミノフェニル)フルオレンの嵩密度は、0.54g/mlであった。
(比較例3)
比較例1において、オルト−トルイジン 112.1gを2−エチルアニリン 115.6gに、反応時間を66時間変更した以外は、比較例1と同様に縮合反応および溶媒晶析を行った。
9,9−ビス(3−エチル−4−アミノフェニル)フルオレン 25.4g(収率 78.5%/9−フルオレノン)を取得した。液体クロマトグラフィー分析による化学純度は、96.7%であった。
得られた9,9−ビス(3−エチル−4−アミノフェニル)フルオレンの嵩密度は、0.21g/mlであった。
比較例1において、オルト−トルイジン 112.1gを2−エチルアニリン 115.6gに、反応時間を66時間変更した以外は、比較例1と同様に縮合反応および溶媒晶析を行った。
9,9−ビス(3−エチル−4−アミノフェニル)フルオレン 25.4g(収率 78.5%/9−フルオレノン)を取得した。液体クロマトグラフィー分析による化学純度は、96.7%であった。
得られた9,9−ビス(3−エチル−4−アミノフェニル)フルオレンの嵩密度は、0.21g/mlであった。
(実施例3)
実施例1において、35%塩酸 25.0g(0.24モル)を、トリフルオロメタンスルフォン酸 36.0g(0.24モル)に変更した以外は、実施例1と同様に縮合反応および濃縮晶析を行った。
9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレン 24.1g(収率 80%/9−フルオレノン)を取得した。液体クロマトグラフィー分析による化学純度は、98.0%であった。
得られた9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレンの嵩密度は、0.60g/mlであった。
実施例1において、35%塩酸 25.0g(0.24モル)を、トリフルオロメタンスルフォン酸 36.0g(0.24モル)に変更した以外は、実施例1と同様に縮合反応および濃縮晶析を行った。
9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレン 24.1g(収率 80%/9−フルオレノン)を取得した。液体クロマトグラフィー分析による化学純度は、98.0%であった。
得られた9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレンの嵩密度は、0.60g/mlであった。
(比較例4)
比較例1において、35%塩酸 25.0g(0.24モル)を、トリフルオロメタンスルフォン酸 36.0g(0.24モル)に変更した以外は、比較例1と同様に縮合反応および溶媒晶析を行った。
9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレン 28.0g(収率 93%/9−フルオレノン)を取得した。液体クロマトグラフィー分析による化学純度は、98.8%であった。
得られた9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレンの嵩密度は、0.18g/mlであった。
比較例1において、35%塩酸 25.0g(0.24モル)を、トリフルオロメタンスルフォン酸 36.0g(0.24モル)に変更した以外は、比較例1と同様に縮合反応および溶媒晶析を行った。
9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレン 28.0g(収率 93%/9−フルオレノン)を取得した。液体クロマトグラフィー分析による化学純度は、98.8%であった。
得られた9,9−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレンの嵩密度は、0.18g/mlであった。
Claims (5)
- 前記極性溶媒が、アニリン化合物、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドである、請求項2に記載の9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物の製造方法。
- 前記反応液を中和処理し、得られた油相から前記9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物を濃縮晶析する、請求項2〜4のいずれかに記載の9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物の製造方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019143801 | 2019-08-05 | ||
JP2019143801 | 2019-08-05 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021024854A true JP2021024854A (ja) | 2021-02-22 |
Family
ID=74663181
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020081219A Pending JP2021024854A (ja) | 2019-08-05 | 2020-05-01 | 9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021024854A (ja) |
-
2020
- 2020-05-01 JP JP2020081219A patent/JP2021024854A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6083901B2 (ja) | ビナフタレン化合物の製造方法 | |
US20090105483A1 (en) | Process for the preparation of pramipexole base and/or its salts | |
JP2021004227A (ja) | アニリン類の回収方法 | |
JP2020189827A (ja) | 9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物の製造方法 | |
JP2009502901A (ja) | アモロルフィンの製造方法 | |
JP6263120B2 (ja) | 不飽和カルボン酸アミド化合物を含む結晶、及びその製造方法 | |
JP2021024854A (ja) | 9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン化合物およびその製造方法 | |
US6060623A (en) | Process for producing amine borane compound | |
WO2022097609A1 (ja) | 9,9-ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノフェニル)フルオレン化合物の製造方法 | |
JP6231479B2 (ja) | 不飽和カルボン酸アミド化合物を含む結晶、及びその製造方法 | |
US7141693B2 (en) | Process for producing β-oxonitrile compound or alkali metal salt thereof | |
JPS63159362A (ja) | メチレンイミン化合物の製造法 | |
JP2022144661A (ja) | 9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物の製造方法 | |
JP2022072597A (ja) | 9,9-ビス(3-メチル-5-エチル-4-アミノフェニル)フルオレン化合物およびその製造方法 | |
KR100225748B1 (ko) | 헥사플루오로비페닐-3,3',4,4'-테트라카르복실산 전구체 제조방법 | |
JPH0475222B2 (ja) | ||
US8143436B2 (en) | Process for preparing alkyl alkoxybenzoates in one step | |
JP2019094286A (ja) | 酢酸(2,2,2−トリフルオロエチル)及びその製造方法 | |
JP2023009342A (ja) | 9,9-ビス(4-アミノ-3-ハロゲノフェニル)フルオレン化合物の製造方法 | |
JP2506376B2 (ja) | 2−(4−メチルアミノブトキシ)ジフェニルメタン・塩酸塩の製造方法 | |
CN116803991A (zh) | 一种制备苯嘧磺草胺中间体的方法 | |
EP2277852B1 (en) | Synthesis of iodixanol in water | |
JPH0737431B2 (ja) | テレフタル酸ジアニリド類の製造法 | |
CN112724181A (zh) | 一种制备坎格雷洛(Cangrelor)中间体腺苷-2-硫酮的方法 | |
JP2017124978A (ja) | 色相の改善されたヒドロキシアルキルトリエチレンジアミン類の製造方法 |