JP2020203365A - クランクシャフトの加工方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、特許文献1の技術では、1対のチャックで夫々把持されているクランクシャフトのフロント軸部とリヤフランジ部を研削する際、研削対象に対応したチャックの把持が一旦解除されることから、十分な加工精度を保証できない虞がある。
つまり、押圧支持機構によるクランクシャフトの押圧方向を切替える場合、押圧駆動回路の構造上、押圧方向の切替え前後でクランクシャフトの加工基準位置が、例えば、軸方向に0.2〜0.5mmずれることが懸念される。
即ち、特許文献1の技術では、加工精度の確保について一切考慮されておらず、具体的な工程並びに手順等の対策が検討されていない。
この構成によれば、一端部分、クランクジャーナル及びクランクピンを押圧方向の切り替えを行うことなく研削することができる。
この構成によれば、軸方向幅の短い砥石を用いて軸方向幅の長い他端部分の研削を行うことができる。
この構成によれば、一端側砥石と他端側砥石とを用いてクランクジャーナル及びクランクピンの2箇所同時研削を行うことができる。また、クランクジャーナル及びクランクピンを研削する他端側砥石を用いて他端部分の研削を行うことができる。
この構成によれば、クランクシャフトの軸方向の所定位置に設定された同じ基準位置を検出することにより一層高精度の研削を行うことができる。
まず、研削対象ワークであるクランクシャフト1について説明する。本実施例1に係るクランクシャフト1は、例えば、4気筒エンジンのクランクシャフトである。
図1に示すように、クランクシャフト1は、フロント側である左側から順に形成されたクランクジャーナル1J〜5Jと、隣り合うジャーナル間に設けられると共にクランクシャフト1の軸心に対して偏心したクランクピン1P〜4Pを備えている。
ジャーナル1J〜5Jとピン1P〜4Pとは交互に配置されている。
クランクシャフト1の左端部には、プーリシャフトに相当するフロント軸部2(他端部分)が設けられ、右端部には、トランスミッションの出力軸に連結されるリヤフランジ部3(一端部分)及びスピゴット4が設けられている。クランクシャフト1の両端部の軸心には逆テーパ部が形成されたセンタ穴2a,3aが夫々設けられている。
この研削装置10は、加工工場内の所定の研削加工ステーションに設置されている。
図2に示すように、クランクシャフト1の研削装置10は、クランクシャフト1の軸心を回転中心として回転させる左右1対の主軸台11L,11Rと、左右1対の回転砥石12L,12Rを夫々支持する左右1対の砥石台13L,13R等をベッド14上に備えている。砥石台13Rには、ジャーナル3Jのフロント側端面に当接してクランクシャフト1の軸方向の加工基準位置を検出可能なロケータ19が内蔵されている。
更に、この研削装置10は、後述する各種モータを制御するコンピュータ数値制御装置(図示略)が設けられている。
右側の主軸台11R及び砥石台13Rは、左側の主軸台11L及び砥石台13Lと略対称構造であるため、以下、主に左側の主軸台11L及び砥石台13Lについて説明する。
図3(c)に示すように、主軸台モータ15Lの停止後、先端がテーパ状に形成された心押しセンタ18Lが逆テーパ部を有するセンタ穴2aに差し込まれる。
心押しセンタ18Lの駆動部を制御することによって、一定の押圧状態を維持しながらチャック16Lの前進位置又は後退位置を制御している。
センタ穴2aに差し込まれた心押しセンタ18Lとセンタ穴3aに差し込まれた心押しセンタ18Rが協働してクランクシャフト1を左右から挟持している。
ロッドLDが伸長操作された際、リンクLKが枢支部を中心として時計回りに回動してリンクLKの先端部が心押しセンタ18Lに接近するため、チャック16Lはフロント軸部2を把持する動作を行う。ロッドLDが短縮操作された際、リンクLKが枢支部を中心として反時計回りに回動してリンクLKの先端部が心押しセンタ18Lから離隔するため、チャック16Lはフロント軸部2を解除する動作を行う。
この砥石台13Lは、Z軸送り機構21Lのモータ23Lの作動により左右方向(クランクシャフト1の軸方向)に移動し、X軸送り機構22Lのモータ24Lの作動によりクランクシャフト1に対して接近離隔移動する(クランクシャフト1の軸直交方向に移動する)。砥石台13Lには、砥石12Lをクランクシャフト1と反対方向に回転駆動するモータ(図示略)が設けられている。尚、25Lは、砥石12Lの外周を覆うカバーである。
図6に示すように、リヤ押圧工程では、心押しセンタ18L,18Rをセンタ穴2a,3aに夫々嵌挿することにより、各々対応したテーパ面同士が面当接され、クランクシャフト1の軸心がセンタリングされる。心押しセンタ18Rがリヤ側からフロント側に向けてリヤフランジ部3を押圧するため、心押しセンタ18L,18Rを介してクランクシャフト1がセンタリング状態で挟持される。尚、心押しセンタ18Rによる押圧は、心押しセンタ18Lによる押圧が開始されて押圧方向が切り替えられるまで継続される。
このリヤ押圧工程では、更にクランクシャフト1の軸心回りの位相決めが行われている。クランクシャフト1を軸心回りに回動させて、ピン1Pのフロント側クランクアームの側部に形成された基準座を基準金(図示略)に当接させることにより、加工初期位置におけるクランクシャフト1の位相位置を設定している。
S3では、第1基準位置検出工程を行う。図8に示すように、第1基準位置検出工程では、ロケータ19がジャーナル3Jのフロント側端面に当接する。ジャーナル3Jのフロント側端面は、クランクシャフト1の加工基準面である。この加工基準面の位置に基づいて後工程の研削加工が行われる。加工基準面の位置を検出した後、ロケータ19は、砥石12L,12R等に干渉しない待機位置に退避する。
本実施例の研削は、砥石12L,12Rを回転させながら砥石台13L,13Rを前進させると共に、クランクシャフト1の回転数を変更して粗研削及び仕上研削を行うオービット式研削である。
ピン1Pの単独研削の後、ジャーナル2Jを砥石12L、ピン3Pを砥石12Rで同時研削する。
図9に示すように、リヤチャック解除工程では、チャック16Rを解除してクランクシャフト1の右方に退避させる。更に、このリヤチャック解除工程では、砥石12L,12Rを右方にシフトさせて、砥石12Lでジャーナル5Jを単独研削した後、ジャーナル4Jを砥石12L、スピゴット4を砥石12Rで同時研削する。
砥石12Rの砥石幅は、リヤフランジ部3の左右寸法よりも長いため、砥石台13Rを前進移動させることにより、リヤフランジ部3の研削が実行される。
S7では、リヤチャック把持工程(一端側把持工程)を行う。
図11に示すように、リヤチャック把持工程では、チャック16Rが、左方向に移動すると共にリヤフランジ部3を把持する。
S8では、フロントチャック解除工程を行う。図12に示すように、フロントチャック解除工程では、チャック16Lを解除してクランクシャフト1の左方に退避させる。
図13に示すように、フロント押圧工程では、心押しセンタ18Rがリヤ側からフロント側に向けた押圧を停止すると同時に、心押しセンタ18Lがフロント側からリヤ側に向けてフロント軸部23の押圧を開始する。フロントチャック解除工程S8とフロント押圧工程S9が、本発明の第2押圧工程に相当する。
S10では、第2基準位置検出工程を行う。図14に示すように、第2基準位置検出工程では、第1基準位置検出工程と同様に、ロケータ19がジャーナル3Jのフロント側端面に当接する。この加工基準面の位置に基づいて後述するフロント軸部研削工程が行われる。加工基準面の位置を検出した後、ロケータ19は、砥石12L,12R等に干渉しない待機位置に退避する。
砥石12Lの砥石幅(例えば、20mm)は、フロント軸部2の左右寸法(例えば、45mm)よりも短いため、砥石台13Lを1回前進移動させるだけではフロント軸部2を研削することができない。それ故、フロント軸部研削工程では、フロント軸部2を左右に複数、例えば3つに分割した領域毎に砥石12Lをクランクシャフト1の径方向に前進移動させて粗研削を行う粗研削工程と、この粗研削工程の後に砥石12Lをクランクシャフト1の径方向に前進方向に移動させて仕上研削を行う仕上研削工程とを行っている。
図15(b)に示すように、フロント軸部2の右端から19mmと右端から39mmとの間に相当する第2領域において、第1領域と同様に、砥石12Lを用いて所定量前進移動させて粗研削を行った後、砥石12Lを後退移動すると共に左方にシフトさせる。
第3領域の仕上研削の後、砥石12Lをフロント軸部2の右端に向けて所定速度で移動させて第1,第2領域の仕上研削を連続して行う。
このクランクシャフト1の加工方法によれば、心押しセンタ18Rによりリヤフランジ部3を心押しセンタ18Lに向けて押圧するリヤ押圧工程(S1)と、フロント軸部2及びリヤフランジ部3をチャック16L,16Rで夫々把持する両端把持工程(S2)と、クランクシャフト1の基準位置を検出する第1基準位置検出工程(S3)と、第1基準位置検出工程(S3)で検出された基準位置に基づき研削を行うピン・ジャーナル研削工程(S4)と、を有するため、クランクジャーナル及びクランクピン等を第1基準位置検出工程(S3)で検出された基準位置に基づき精度良く研削を行うことができる。チャック16Lを解除すると共に心押しセンタ18Lによりフロント軸部2を心押しセンタ18Lに向けて押圧するフロントチャック解除工程(S8)及びフロント押圧工程(S9)と、クランクシャフト1の基準位置を検出する第2基準位置検出工程(S10)と、第2基準位置検出工程(S10)で検出された基準位置に基づきフロント軸部2の研削を行うフロント軸部研削工程(S11)と、を有するため、他の研削ステーションへの搬送を必要とすることなく、他の部分と同一の研削装置10でフロント軸部2の研削を精度良く行うことができる。
これにより、リヤフランジ部3、クランクジャーナル1J〜3J及びクランクピン1P〜4Pを押圧方向の切り替えを行うことなく研削することができる。
1〕前記実施形態においては、4気筒エンジンのクランクシャフト1の例を説明したが、多気筒レシプロエンジンのクランクシャフトであれば適用可能であり、3気筒以下のエンジンのクランクシャフト或いは、5気筒以上のエンジンのクランクシャフトであっても良い。
2 フロント軸部
3 リヤフランジ部
10 研削装置
12L (フロント側)砥石
12R (リヤ側)砥石
16L (フロント側)チャック
16R (リヤ側)チャック
18L (フロント側)心押しセンタ
18R (リヤ側)心押しセンタ
19 ロケータ
1J〜5J クランクジャーナル
1P〜4P クランクピン
Claims (5)
- クランクシャフトの軸方向一端側の一端部分及び他端側の他端部分を軸方向に軸心部を押圧可能な1対の押圧支持機構により挟持すると共に、前記一端部分及び他端部分を1対の把持機構で夫々把持して軸心回りに回転させながら砥石を用いて研削するクランクシャフトの加工方法において、
前記1対の押圧支持機構のうち一端側押圧支持機構により前記一端部分を他端側押圧支持機構に向けて押圧する第1押圧工程と、
前記一端部分及び他端部分を前記1対の把持機構で夫々把持する把持工程と、
前記クランクシャフトの基準位置を検出する第1基準位置検出工程と、
前記第1基準位置検出工程で検出された基準位置に基づき研削を行う第1研削工程と、
前記1対の把持機構のうち他端側把持機構を解除すると共に前記他端側押圧支持機構により前記他端部分を一端側押圧支持機構に向けて押圧する第2押圧工程と、
前記クランクシャフトの基準位置を検出する第2基準位置検出工程と、
前記第2基準位置検出工程で検出された基準位置に基づき前記他端部分の研削を行う第2研削工程と、
を有することを特徴とするクランクシャフトの加工方法。 - 前記第1研削工程は、クランクジャーナル及びクランクピンの研削を行い、
前記第1研削工程と第2押圧工程の間において、前記1対の把持機構のうち一端側把持機構を解除する一端側把持解除工程と、前記一端部分の研削を行う第3研削工程と、前記一端部分を前記一端側把持機構で把持する一端側把持工程と、を有することを特徴とする請求項1に記載のクランクシャフトの加工方法。 - 前記第2研削工程が、前記他端部分を軸方向に複数に分割した領域毎に前記砥石を径方向に移動させて粗研削を行う粗研削工程と、前記粗研削工程の後に前記砥石を軸方向に移動させて仕上研削を行う仕上研削工程と、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のクランクシャフトの加工方法。
- 前記砥石が、前記クランクシャフトの一端側に配置された一端側砥石と、この一端側砥石よりも他端側に配置された他端側砥石とを有し、
前記第2研削工程は、前記他端側砥石を用いて前記他端部分の研削を行うことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のクランクシャフトの研削方法。 - 前記第1,第2基準位置検出工程は、前記クランクシャフトの軸方向の所定位置に設定された同じ基準位置を検出することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のクランクシャフトの加工方法。
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