JP2020200627A - 自走式反力架台 - Google Patents

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Morio Kitamura
北村  精男
大野 正明
Masaaki Ono
正明 大野
勝彦 小野
Katsuhiko Ono
勝彦 小野
芳弘 森岡
Yoshihiro Morioka
芳弘 森岡
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Abstract

【課題】仮設杭等を用いることなく反力架台を好適に設置・撤去させることが可能であり、圧入作業を効率的に実施することが可能な自走式反力架台を提供する。【解決手段】杭圧入引抜機で杭を地中に圧入する際に反力を受け止める自走式反力架台であって、前記杭圧入引抜機を固定させる固定部を有する架台部と、前記架台部に対しクローラフレームを介して一体的に設けられるクローラと、を備え、前記架台部、前記クローラフレームは、前記クローラの駆動により一体的に自走可能であり、且つ、前記架台部、前記クローラフレーム、及び、前記クローラを一体的に連結した状態で前記杭圧入引抜機による杭圧入引抜施工が可能であることを特徴とする、自走式反力架台が提供される。【選択図】図2

Description

本発明は、杭圧入工法に用いられる自走式反力架台に関する。
各種の鋼管杭や形鋼などの杭(圧入杭)を地盤に打ち込んで埋設する方法として、予め地盤に埋め込まれた既設杭の上端をクランプで掴んで反力を取り、杭を把持したチャックを昇降させることにより、既設杭に隣接する位置に新しい杭を順次圧入していく施工技術が知られている。また、同様の方法により、既設杭の上端をクランプで掴んで反力を取り、他の既設杭を把持したチャックを上昇させることで当該杭を地盤から引く抜き撤去を行う施工技術も知られている。
かかる施工に用いられる杭圧入引抜機は、複数のクランプを介して既設杭に固定されるサドルと、サドルに対して前後方向に移動可能なスライドフレームを有しており、スライドフレームに旋回自在に装着されたマストには、昇降可能なチャックが取り付けられている。用いられる杭としては、例えば鋼矢板、鋼管矢板、鋼管杭、コンクリート杭などといった杭が知られている。そして、サドルに対してチャックを所定の位置に位置決めして、所定の位置にある圧入対象あるいは引き抜き対象の杭をチャックで把持し、マストに沿ってチャックが昇降することにより、杭を圧入又は引き抜きする構成となっている。
このような杭圧入引抜機での施工においては、既に圧入された既設杭の上端をサドル下面に設けられたクランプで掴んで反力を取り、杭を把持したチャックを昇降させることにより、既設杭に隣接する位置に新しい杭を順次圧入していくものであるが、最初に杭を圧入する際(初期圧入時)には、未だ反力をとるための杭がない状態であるから、従来から反力架台が用いられている。
例えば、特許文献1には、初期圧入時等に自走装置を用いて反力架台を地表に押圧して反力を得て初期鋼杭の圧入を行う技術が開示されている。また、特許文献2には、高架下等での杭打ち工事のために接地用自走手段を備えた鋼管杭圧入装置が開示されている。このような特許文献1、2に開示された技術によれば、施工時間の短縮といった効率の向上や、狭小な施工場所での安定した施工を実現させることができる。
特開平9−125388号公報 特開平11−310921号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術は、自走装置と反力架台と杭圧入引抜機とが分かれて構成された装置において、杭圧入引抜施工の初期圧入時には反力架台を地表に押圧して反力を得て1本目の初期鋼杭を圧入するといった方法を採っている。そのため、アームを用いて架台部を地表に押圧するとの構成を採っており、機構の煩雑化や反力架台の設置に時間を要するといった問題が懸念される。
また、上記特許文献2に記載の技術では、接地用自走手段と併せて軌道用自走手段も設ける構成となっており、装置構成が煩雑となる点やコスト増大といった問題がある。また、装置構成が煩雑であるため、初期鋼杭の圧入位置に反力架台の設置が困難な場合には施工が難しいといった問題や、反力架台の設置に時間がかかり、施工効率が低いといった問題がある。例えば、初期鋼杭の圧入位置に上空障害物が存在する場合には、初期鋼杭の圧入位置に杭圧入引抜機及び反力架台の設置ができないため、上空障害物の無い場所に反力架台を設置し、そこから仮設杭を圧入し、それら仮設杭を経由して所定の位置に本杭(初期鋼杭)を圧入するといった工程を採る必要がある。上記特許文献2は杭の打設を行うための装置に関する技術であり、杭圧入引抜施工の初期圧入時には反力架台を用いて反力を得て圧入を行うといった技術思想が開示されておらず、反力架台の設置が困難な場合などに対する解決手段が十分に開示されているとはいえない。
上記事情に鑑み、本発明の目的は、仮設杭等を用いることなく反力架台を好適に設置・撤去させることが可能であり、圧入作業を効率的に実施することが可能な自走式反力架台を提供することにある。
前記の目的を達成するため、本発明によれば、杭圧入引抜機で杭を地中に圧入する際に反力を受け止める自走式反力架台であって、前記杭圧入引抜機を固定させる固定部を有する架台部と、前記架台部に対しクローラフレームを介して一体的に設けられるクローラと、を備え、前記架台部、前記クローラフレームは、前記クローラの駆動により一体的に自走可能であり、且つ、前記架台部、前記クローラフレーム、及び、前記クローラを一体的に連結した状態で前記杭圧入引抜機による杭圧入引抜施工が可能であることを特徴とする、自走式反力架台が提供される。
前記固定部には、1又は複数の固定用穴が形成され、当該固定用穴の形状を前記杭圧入引抜機のクランプ形状に対応させるスペーサー部材が着脱自在に設けられても良い。
前記杭圧入引抜機が前記架台部に固定された状態において、当該杭圧入引抜機のチャックフレームには、所定の重量のウェイト部材と、当該ウェイト部材を取り付けるためのブラケット部材が着脱自在に設けられても良い。
前記架台部には、1又は複数の既設杭に当接又は固定され、当該既設杭から反力を得る1又は複数の反力手段が設けられても良い。
前記反力手段は、その先端が上下方向に可動自在に構成されても良い。
前記杭圧入引抜機が前記架台部に固定された状態において、前記クローラの動力源は、前記杭圧入引抜機の動力源を用いるように構成されても良い。
本発明によれば、仮設杭等を用いることなく反力架台を好適に設置・撤去させることが可能であり、圧入作業を効率的に実施することが可能となる。
本発明の実施の形態にかかる杭圧入引抜機の概略側面図である。 本発明の実施の形態に係る反力架台の概略図である。 杭圧入引抜機と反力架台の連結に関する概略説明図である。 ウェイト部材を取り付けた構成についての概略側面図である。 ウェイト部材を取り付けた構成についての概略平面図である。 ウェイト部材を取り付けた構成についての概略正面図である。 固定部の変形例を示す概略図である。 架台部の変形例に係る概略説明図である。 反力アームに関する概略説明図である。 反力部材に関する概略説明図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。なお、本明細書における杭圧入引抜機の前方は、装置全体において、杭圧入時において圧入対象の杭を把持する側を示し、例えば以下の図1等の側面図においては、装置右側を杭圧入引抜機の前方とする。また、圧入対象の杭としては、鋼管杭、U型鋼矢板、ハット形鋼矢板、コンクリート杭、各種形鋼等が考えられるが、本実施の形態では鋼管杭であるものとして説明する。
(杭圧入引抜機の概略構成)
図1は本発明の実施の形態に係る杭圧入引抜機1の概略側面図である。図1に示すように、杭圧入引抜機1は、本体(ベース部分)を構成するサドル10と、サドル10の下部に複数設けられるクランプ11を備えている。クランプ11は、図示しない油圧シリンダの駆動により既設杭や、後述する反力架台2の後方側に設定された固定部を把持してサドル10を固定し、圧入の反力をとる機能を有している。
また、サドル10の上部には、当該サドル10に対して前後方向にスライド自在なスライドフレーム12が設けられている。スライドフレーム12上には、旋回基台となるマスト20がスライドフレーム12の中央部を中心として、スライドフレーム12に対して回転自在に構成されている。マスト20の回転は、マスト20の例えば下面側に設けられたモータなどの回転駆動源(図示せず)によって行われる。
マスト20の前方には、チャックフレーム25とチャック26が配置されている。スライドフレーム12はマスト20の基台部となる。サドル10の上面においてスライドフレーム12が前後方向に移動することによって、マスト20とチャックフレーム25とチャック26は一体的に前後移動する。また、チャックフレーム25とチャック26は、メインシリンダ30の伸縮動作によって一体的に昇降する。チャック26はチャックフレーム25の下面において回転可能に構成されている。
チャック26には、鋼管杭Uを上下方向に挿通させる開口部(図示せず)と、当該開口部に通された鋼管杭Uを把持するためのチャック爪(図示せず)が設けられている。チャック爪は、可動爪と固定爪とによって構成され、可動爪がシリンダ(図示せず)で駆動されることで、可動爪と固定爪とは接近、離隔自在な構成となっている。このような構成のチャック26を用いて、圧入時等に鋼管杭Uが把持、解放される。本発明の実施の形態に係る杭圧入引抜機1は、チャック26により鋼管杭Uを把持しながら回転させるとともに、その状態でメインシリンダ30の作動でチャック26を昇降させることによって、鋼管杭Uの圧入を行う、いわゆる回転圧入方式の杭圧入引抜機として構成される。
(反力架台の概略構成)
図2は本発明の実施の形態に係る反力架台2の概略図であり、(a)が概略側面図、(b)が概略平面図である。図2に示すように、反力架台2は、本体を構成する架台部40と、架台部40の両側側面のクローラフレーム42と、当該クローラフレーム42を介して架台部40の固着される走行用のクローラ45を備えている。図2(b)に示すように、架台部40とクローラフレーム42との間では、平面視で架台部40の四方に位置する接続部46に対し、クローラフレーム42の接続端を挟み込み、シリンダ等の固着機構47を用いて固着が行われる。また、クローラフレーム42には、反力架台2の両側方向に突出する突出部42aが形成され、当該突出部42aをクローラ45の所定箇所に差し込み固定することで、クローラフレーム42とクローラ45が固着される。即ち、架台部40、クローラフレーム42、クローラ45は、互いに着脱自在であり、全ての部材が固着された場合に、平面視で略U字形であるような一体的に構成された反力架台2となる。ここで、反力架台2の構成に関し、架台部40、クローラフレーム42、クローラ45が「一体的」に構成されるとは、必ずしも各部材が常時一体に構成されることを示すものではなく、例えば装置の走行時等には各部材が固着機構47の機能により連結し、装置非使用時(例えば運搬時等)には各部材を取り外した状態とする場合も含む概念である。
架台部40には、クローラ45のモータ等の走行用駆動機構(図示せず)に導通する動力中継部48が設置され、その動力中継部48には、動力源に接続する接続ライン49が設けられている。架台部40の中央には、上記杭圧入引抜機1のクランプ11を把持させるための固定部50が構成されている。固定部50の構成はクランプ11の形状や構成に応じて任意に設計可能であるが、図2の形態では、固定部50に2箇所の円孔状の固定用穴52(52a、52b)が設けられた構成となっている。
架台部40は所定の重さ以上の金属によって構成されることが好ましく、クローラフレーム42やクローラ45の重量と合計し、反力架台2の全体重量が所定重量以上に構成されることが好ましい。反力架台2の全体重量は、杭圧入引抜機1と連結させた場合の装置全体重量と、圧入対象地盤及び圧入対象の杭の種類(即ち、施工条件)に基づいて定まる必要反力との関係により設計することが好ましい。
(杭圧入引抜機と反力架台との連結構成)
図1、2を参照して上述したように構成される杭圧入引抜機1と反力架台2とは、クランプ11と固定部50を用いて互いに接続させ、固定させることができる構成となっている。図3は、杭圧入引抜機1と反力架台2の連結に関する概略説明図であり、(a)が連結時の概略図、(b)が概略側面図、(c)が概略平面図である。なお、図3において杭圧入引抜機1は2点鎖線で図示し、反力架台2は実線で図示している。
図3(a)に示すように、杭圧入引抜機1と反力架台2とを連結させる際には、一般的なクレーンRによって杭圧入引抜機1を吊り上げ、所定の位置に配置された反力架台2の上部所定位置に当該杭圧入引抜機1を降ろす作業が行われる。即ち、上空障害物等が存在する上空制限下では、クレーンRを用いた作業を行うことが難しい場合がある。
続いて、図3(b)に示すように、杭圧入引抜機1が反力架台2の上面に設置された状態において、杭圧入引抜機1に設けられる複数のクランプ11のうちの一部が、架台部40の固定用穴52a、52bを把持することで、杭圧入引抜機1と反力架台2が連結される。杭圧入引抜機1と反力架台2が連結された状態においては、平面視で略U字形であるような反力架台2の空隙部に、杭圧入引抜機1のチャック26が位置するように構成され、チャック26に鋼管杭Uが把持される。この時、杭圧入引抜機1及び反力架台2の全体の重心位置が、チャック26に把持される鋼管杭Uの近傍となるように設計されることが好ましい。
杭圧入引抜施工の初期圧入時には、図3に示すように杭圧入引抜機1と反力架台2を連結させた状態で、杭圧入引抜機1、反力架台2、鋼管杭U(図1参照)の自重から反力を得て、チャック26に把持された鋼管杭Uを圧入するといった工程が採られる。また、杭圧入引抜機1と反力架台2が連結した状態においては、図3(b)のように、動力中継部48を介した接続ライン49の接続により、クローラ45の動力源として、杭圧入引抜機1の動力源である油圧源等(図示せず)が用いられ、メインシリンダ30等の杭圧入引抜機1の動力源と、クローラ45の動力源は共通して使用されても良い。
(ウェイト部材の概略構成)
図3を参照して説明した、杭圧入引抜機1を反力架台2上に連結させた状態においては、所定重量のウェイト部材60を取り付けることができる。図4〜図6は、ウェイト部材60を取り付けた構成についての概略説明図であり、図4が概略側面図、図5が概略平面図、図6が概略正面図である。
図4〜図6に示すように、ウェイト部材60は、杭圧入引抜機1のチャック26の上方において、チャックフレーム25に近接するように、その両側にブラケット部材62を介して設置される。本実施の形態では、ウェイト部材60は左右のウェイト60a、60bを有した構成である。
ウェイト部材60は着脱自在であり、例えば、杭圧入引抜施工の初期圧入時に杭圧入引抜機1、反力架台2、鋼管杭Uの自重からの反力では反力不足である場合等に必要に応じて設置される。ウェイト部材60は所定重量以上の重さの金属によって構成されることが好ましく杭圧入引抜機1、反力架台2の重量と合計し、全体重量が所定値以上となるように設計される。一例として、施工条件(地盤条件、圧入杭種等)によって必要とされる装置全体の重量が合計で100tであり、架台部40の重量が40t、杭圧入引抜機1の重量が30tである場合には、ウェイト部材60の重量は30t以上に設計される。必要な重量、杭圧入引抜施工時に得るべき反力の大きさは、施工条件により異なり、杭圧入引抜機1や反力架台2の重量が決まっている場合には、ウェイト部材60の重量を好適に調整することで装置全体の重量調節が行われる。
なお、図4〜図6では、ウェイト部材60を、ブラケット部材62を介してチャックフレーム25に近接させて設置する場合を図示したが、ウェイト部材60を設置する位置は任意に設計可能である。例えば、架台部40やクローラフレーム42にウェイト部材60を設けても良い。また、本実施の形態において、ウェイト部材60の設置は上空制限のない場所において行われても良く、ウェイト部材60の設置後に施工場所(例えば初期鋼杭の圧入位置)まで自走するといった工程を採ることが可能である。
(作用効果)
以上、図1〜図6を参照して説明した本実施の形態に係る杭圧入引抜機1及び反力架台2によれば、反力架台2にクローラ45が設けられた自走式であるため、杭圧入引抜施工の初期圧入場所がいかなる場所であっても、容易に反力架台2の設置や撤去を行うことができる。特に、初期鋼杭の圧入位置に上空障害物が存在する(上空制限下)といった従来は反力架台の設置が困難であった場所であっても、容易に反力架台2を設置することができ、圧入作業を効率的に実施することができる。
また、従前の接地式架台では、架台の両側に当該架台を地盤に押し付けるようにウェイト用の杭などを配置し、初期鋼杭の圧入反力を得るといった方法が採られ、その際には、ウェイト用の杭を配置するための設置場所等が架台近傍に必要となり、架台設置面積が過大となる傾向にあった。一方で、本実施の形態に係る反力架台2では、架台部40の両側にクローラ45を設けたスペースのみが設置面積となるため、従来に比べ設置面積全体が狭小化し、狭隘な場所などにも容易に対応することが可能である。
また、反力架台2が自走式であるため、杭圧入引抜機1の移動時、圧入時を問わず、架台部40やクローラ45等を一体化させた状態で運用することができる。従って、装置構成の可動調整や分離といった煩雑な作業を減らすことができ、走行後に直ちに施工を行うことができるといったように、作業の効率化が図られる。
また、杭圧入引抜施工時に既に既設杭が設置されているような施工条件下においては、本実施の形態に係る反力架台2を用い、杭圧入引抜機1及び反力架台2を連結させた状態で自走させ、上記既設杭から反力を得る形で杭圧入引抜機1を設置して杭圧入引抜施工を実施することができる。また、本実施の形態に係る反力架台2を用いた施工は、鋼管杭の連続施行や継手式矢板を嵌合させての連続壁施工に限定されるものではなく、単独杭の施工(杭1本のみの圧入)や杭同士の間隔を空けての飛び杭施工にも適用できる。特に、飛び杭施工時には、杭同士の間の距離を杭圧入引抜機1及び反力架台2を連結させた状態で自走させることで、効率的に飛び杭の施工を行うことができる。
また、本実施の形態では、杭圧入引抜施工の初期圧入時に、反力架台2の架台部40の自重や、必要に応じて設置されるウェイト部材60の重量により反力をとる構成となっている。そのため、反力をとるための仮設杭の圧入や引き抜き作業等が不要であり、工期の短縮化や作業の効率化が図られる。加えて、従来用いられていたウェイト用杭の積載等が不要となり、従来の接地式の反力架台に比べ設置や撤去等が容易であるため、作業性の向上が図られる。
また、本実施の形態に係る反力架台2は、自走時の動力源を杭圧入引抜機1の動力源と共用できる構成を採っている。これにより、別途動力源等を設けることなく反力架台2を自走させることができ、装置の簡略化やコスト減少を実現できる。なお、本実施の形態に係る反力架台2においては、施工時には架台部40、クローラフレーム42、クローラ45が一体的に使用されるが、これらは着脱自在に構成されている。従って、架台部40、クローラフレーム42、クローラ45といった各部材を個々で運搬する場合などの非施工時には、それぞれの部材を別個で運搬することができ、運搬効率の向上等が図られる。特に大型の杭圧入引抜機を用いる場合、運搬時の車両幅等が大きくなることが懸念されるが、クローラ45等の各種部材を別個で運搬することでそのような問題が解消される。
以上、本発明の実施の形態の一例を説明したが、本発明は図示の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上記実施の形態において、杭圧入引抜機1はクランプ11を介して架台部40に固定され、杭圧入引抜機1と反力架台2が連結されると説明したが、杭圧入引抜機1と反力架台2の連結は異なる手段で行われても良い。例えば、上記実施の形態では、杭圧入引抜機1はサドル10、クランプ11、スライドフレーム12、マスト20、チャック26等を備えた構成である旨を、図1を参照して説明したが、杭圧入引抜機1を構成するこれら各部材は分解可能である場合がある。そのような場合においては、クランプ11を外した構成の杭圧入引抜機に対してクローラを備えた反力架台を連結させても良い。この場合の連結方法としては、架台部に固定部としてのビス止め用の穴を設け、杭圧入引抜機のサドルを当該ビス止め用の穴にビスで固定する方法が例示される。また、杭圧入引抜機1における下部構造(サドル10及びクランプ11)を外した構成に対してクローラを備えた反力架台を連結させても良い。この場合の連結方法としては、架台部に固定部としてのスライドフレーム嵌合用の溝を設け、杭圧入引抜機のスライドフレームを当該溝に嵌合させて固定する方法が例示される。
また、上記実施の形態においては、反力架台2の上部に杭圧入引抜機1を連結させる構成について説明した(図3参照)が、反力架台2に他の装置を連結させることも可能である。例えば、杭圧入引抜施工において用いられる装置として、クランプにより杭を把持し、高さ方向に広範囲でもって杭を昇降させ、杭圧入引抜機1における施工を補助する装置であるクランプクレーンが知られている。このクランプクレーンを反力架台2に連結させて自走させることで、上空制限下で一般的なクレーンによる作業が難しい場合であっても、クランプクレーンを用いて作業を行うことができる。例えば、上空制限下において既設杭(完成杭)へクランプクレーンを乗り移らせる際に有用である。
また、反力架台2の構成についても種々の変形例が考えられる。以下では、図面を参照して反力架台2に関する本発明の変形例を説明する。
(変形例1)
例えば、上記実施の形態では、反力架台2において固定用穴52a、52bが固定部50の2箇所に設けられる構成を説明したが本発明はこれに限られるものではない。具体的には、固定部50に設けられる固定用穴は1箇所や3箇所でも良い。図7は、固定部50の変形例を示す概略図であり、本発明の変形例に係る反力架台2a、2bの概略平面図である。なお、図7に図示される各構成要素については、同一の機能構成を有する一部構成要素について上記実施の形態における図1〜図6と同一の符号を付して図示し、その説明は省略する。
図7(a)に示すように、例えば固定部50には1箇所のみに固定用穴50cが設けられても良く、あるいは、図7(b)に示すように、固定部50の3箇所に固定用穴50d〜50fが設けられても良い。このような構成により、反力架台2a、2bに杭圧入引抜機1を連結させる場合に、複数種類の杭圧入引抜機種を連結させることができるため、反力架台の汎用性が高まる。例えば、架台部40とクローラ45が着脱式であることに鑑み、複数種類の杭圧入引抜機種ごとに固定部50の構成が異なる架台部を用いることで、効率的な施工を行うことができる。
(変形例2)
また、上記実施の形態では、架台部40の固定用穴52(52a、52b)の径については何ら言及していないが、固定用穴52の径はスペーサー部材70により任意に変更(小径化)可能な構成としても良い。図8は、本発明の架台部40の変形例に係る概略説明図である。なお、図8においても、同一の機能構成を有する一部構成要素について上記実施の形態における図1〜図6と同一の符号を付して図示し、その説明は省略する。
図8に示すように、本変形例においては、固定用穴52の内部に円筒形状のスペーサー部材70が設置される。スペーサー部材70の設置は、固定用穴52に固定できる構成であればどのような手段で行われても良く、例えば、固定用穴52の周囲に対するビス止めによる固定や、スペーサー部材70自体へのネジ切り、あるいは回転止め用のロック機構といった方法で行われても良い。このスペーサー部材70の設置により、固定用穴52の穴径を小径化することができる。鋼管杭Uを圧入する杭圧入引抜機のクランプ対応径には、圧入対象の鋼管杭径等に応じて種々の値があることが知られている。本変形例によれば、スペーサー部材70の設置により、固定用穴52の径を任意の径に小径化させ、同じ架台部40を備えた反力架台であっても、種々のクランプ対応径に対応して用いることができる。即ち、反力架台を構成する架台部40を共通使用することで、部材の削減等を図ることができる。
なお、本変形例では、圧入対象杭が鋼管杭であるものとして、固定用穴52の径を小径化させるスペーサー部材70を例示して説明したが、圧入対象杭が他の杭種である場合にも、同様の効果を有するスペーサー部材を設置することができる。例えば、杭圧入引抜機1のクランプ形状が、鋼管杭用クランプ以外のハット型鋼矢板用クランプである場合でも、スペーサー部材を好適なものに切り替えることで容易に対応可能である。即ち、架台部40の固定部50に設けられる固定用穴52には、当該固定用穴52の構成を杭圧入引抜機のクランプ形状に対応させるための好適なスペーサー部材を設置しても良い。
(変形例3)
また、上記実施の形態で説明した反力架台2の構成に加え、反力架台2の前方や後方に既設杭が設置されている場合に、当該既設杭から反力を得る反力手段としての反力アームを更に設けても良い。図9は、反力アームに関する概略説明図であり、本変形例に係る反力架台2cにおいて反力アーム80が設けられた場合の(a)概略平面図、(b)概略側面図である。なお、図9においても、同一の機能構成を有する一部構成要素について上記実施の形態における図1〜図6と同一の符号を付して図示し、その説明は省略する。
図9に示すように、本変形例に係る反力架台2cにおいては、クローラフレーム42の前方において、装置前方に突出する所定長さの反力アーム80がピン等の接続部材を介して設けられている。図示のように、反力アーム80は既設の鋼管杭U1の側面(外周面)に当接可能に構成される。上述したように、杭圧入引抜機1(図9には図示せず)による施工では、チャック26により鋼管杭Uを把持しながら回転させるとともに、その状態でメインシリンダ30の作動でチャック26を昇降させることによって、鋼管杭Uの圧入を行ういわゆる回転圧入方式が用いられる。その際には、チャック26の回転に伴う回転トルクにより、連結された杭圧入引抜機1及び反力架台2cについて回転モーメントが発生する。本変形例では、反力アーム80を設けることで、連結された杭圧入引抜機1及び反力架台2cについて回転モーメントが発生した場合であっても、反力アーム80を介して既設の鋼管杭U1から反力を得ることで、杭圧入引抜機1及び反力架台2cが回転するのを防止することができる。
また、反力アーム80の重量により、反力架台2cとして一体的に構成された装置全体としての重量が増大し、杭圧入引抜施工時により大きな反力をとることが可能となる。更には、反力アーム80を既設の鋼管杭U1にピンなどで固定させることもできる。反力アーム80を既設鋼管杭U1に固定させることで、杭圧入引抜施工時の反力をより効率的にとることが可能となる。
なお、ここでは反力アーム80の構成として、クローラフレーム42の前方1箇所に設けられる構成を図示、説明したが、反力アーム80の構成はこれに限られるものではない。例えば、反力アーム80を2箇所以上の複数箇所に設けても良く、1又は複数箇所において反力アーム80を複数本設ける構成としても良い。これにより、より多くの反力を反力アーム80から得ることができる。また、反力アーム80をその先端が上下方向に可動自在とし、地面に段差がある場合や、地面が傾斜しているような場合でも、反力架台2cの自走時に反力アーム80の先端が地面に接触するのを防止できるように構成しても良い。
(変形例4)
また、上記実施の形態で説明した反力架台2の構成に加え、反力架台2の前方や後方に1又は複数の既設杭が設置されている場合に、当該1又は複数の既設杭から反力を得るための反力手段としての反力部材を更に設けても良い。図10は、反力部材90に関する概略説明図であり、本変形例に係る反力架台2dにおいて反力部材90が設けられた場合の(a)概略平面図、(b)概略側面図である。なお、図10においても、同一の機能構成を有する一部構成要素について上記実施の形態における図1〜図6と同一の符号を付して図示し、その説明は省略する。
図10に示すように、本変形例に係る反力架台2dにおいては、クローラフレーム42の前方において、装置前方に突出する反力部材90が設けられている。反力部材90は、反力架台2dの両側それぞれのクローラフレーム42から前方に延伸する2本の延伸部材91(91a、91b)と、これら2本の延伸部材91a、91bの間を渡すように2箇所に設けられる把持部材92(92a、92b)から構成される。本変形例では、反力架台2dの前方に1又は複数の既設杭(ここでは2本の既設杭U2、U3)が設置されている場合に、反力部材90の把持部材92によって既設杭を把持した状態で杭圧入引抜施工が行われる。これにより、上記変形例3と同様に連結された杭圧入引抜機1及び反力架台2cについて回転モーメントが発生した場合であっても、既設杭U2、U3から反力を得ることで、杭圧入引抜機1及び反力架台2cが回転するのを防止することができる。加えて、反力部材90を所定の重量を有する金属によって構成することで、反力架台2dと一体的に構成された装置全体としての重量が増大し、杭圧入引抜施工時により大きな反力をとることが可能となる。
なお、ここでは反力部材90の構成として2本の既設杭U2、U3を把持する構成を図示、説明したが、反力部材90の構成はこれに限られるものではない。例えば、反力部材90の把持する既設杭は1又は複数の何れの本数でも良い。
また、本実施形態の参考変形例としては、クランプを外した構成の杭圧入引抜機のサドルや、杭圧入引抜機における下部構造(サドル及びクランプ)を外した構成のスライドフレームの、側方部分それぞれに対し、直接クローラフレームを溶接・ビス止め等の手段で取り付けることも考えられる。
本発明は、杭圧入工法に用いられる自走式反力架台に適用できる。
1…杭圧入引抜機
2…反力架台
10…サドル
11…クランプ
12…スライドフレーム
20…マスト
25…チャックフレーム
26…チャック
30…メインシリンダ
40…架台部
42…クローラフレーム
45…クローラ
48…動力中継部
49…接続ライン
50…固定部
52…固定用穴
60…ウェイト部材
62…ブラケット部材
70…スペーサー部材
80…反力アーム
90…反力部材
U…鋼管杭

Claims (6)

  1. 杭圧入引抜機で杭を地中に圧入する際に反力を受け止める自走式反力架台であって、
    前記杭圧入引抜機を固定させる固定部を有する架台部と、
    前記架台部に対しクローラフレームを介して一体的に設けられるクローラと、を備え、
    前記架台部、前記クローラフレームは、前記クローラの駆動により一体的に自走可能であり、且つ、
    前記架台部、前記クローラフレーム、及び、前記クローラを一体的に連結した状態で前記杭圧入引抜機による杭圧入引抜施工が可能であることを特徴とする、自走式反力架台。
  2. 前記固定部には、1又は複数の固定用穴が形成され、当該固定用穴の形状を前記杭圧入引抜機のクランプ形状に対応させるスペーサー部材が着脱自在に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の自走式反力架台。
  3. 前記杭圧入引抜機が前記架台部に固定された状態において、当該杭圧入引抜機のチャックフレームには、所定の重量のウェイト部材と、当該ウェイト部材を取り付けるためのブラケット部材が着脱自在に設けられることを特徴とする、請求項1又は2に記載の自走式反力架台。
  4. 前記架台部には、1又は複数の既設杭に当接又は固定され、当該既設杭から反力を得る1又は複数の反力手段が設けられることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の自走式反力架台。
  5. 前記反力手段は、その先端が上下方向に可動自在に構成されることを特徴とする、請求項4に記載の自走式反力架台。
  6. 前記杭圧入引抜機が前記架台部に固定された状態において、前記クローラの動力源は、前記杭圧入引抜機の動力源を用いるように構成されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の自走式反力架台。
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