JP2020199437A - 触媒層を有する積層体の製造方法 - Google Patents

触媒層を有する積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】活性の高い触媒層を有する基材の上に、光硬化型組成物からなる接着剤又はシール材の硬化物層が密着性よく形成された積層体の製造方法の提供。【解決手段】下記の工程1〜3を含む触媒層を有する積層体の製造方法。工程1:触媒層を有する基材の触媒層側に、光硬化型組成物を塗工する工程工程2:工程1の後、1分以内に、空気雰囲気下で、発光ピーク波長を350〜420nmに有する発光ダイオード(以下、「LED」という)により、そのピーク波長で20〜1,000mJ/cm2の照射量で光照射するプレ硬化工程工程3:工程2でプレ硬化した光硬化型組成物に対して、酸素濃度5%以下の雰囲気下で、発光ピーク波長を350〜420nmに有するLED又はLED以外の紫外線照射装置により、そのピーク波長で50mJ/cm2以上の照射量で光照射する本硬化工程【選択図】なし

Description

本発明は、触媒層を有する積層体の製造方法に関し、さらに、高分子電解質を有する基材から得られた積層体は、燃料電池、電気化学式水素ポンプ及び各種センサー等として好ましく使用できるものであり、これら技術分野に属するものである。
環境問題やエネルギー問題に対する関心の高まりから、自動車又は家庭用電源として、燃料電池を広く普及させようとする動きが高まっている。
燃料電池としては、固体高分子型燃料電池が、軽量で作動温度が低い等の長所があり、広い普及の点で有力である。
固体高分子型燃料電池は、高分子電解質膜の両面に触媒層(アノード及びカソード)を有する発電部分と、アノードに供給するガスとカソードに供給するガスを分けたり流路を形成したりするための樹脂製の枠やセパレータ等から構成される積層体である(例えば、特許文献1)。
積層体の構成は詳細にみると様々であるが、多くの場合、積層体を構成する2つ以上の部材を接着する部分がある。また、部材の上にシール材を形成させ、このシール材を介して他方の部材と接触させ、2種類の流体(ガス又は冷媒)を分けている場合もある(例えば、特許文献2)。このように、固体高分子型燃料電池では、通常、接着剤及び/又はシール材が必要とされる。
固体高分子型燃料電池を実用化する場合、通常、多数のセルを積層する必要があるため、セル1枚を短時間で製造することが必要とされる。このため、短時間接着や短時間硬化が必要であり、ホットメルト型接着剤(熱可塑性樹脂)がよく使用されるが、光硬化型組成物の提案例もある(例えば、特許文献4、同5)。ホットメルト型接着剤に対する光硬化型接着剤の利点としては、液状であるため塗布が容易であることと、熱による被着体の変形を避けることができること等が挙げられる。また、シール材としては、熱硬化型シール材に比べて、硬化時間が圧倒的に短いという利点や、液の保存安定性に優れるといった利点がある。
ここで、接着剤又はシール材は、触媒層に接する形で配置される形態もある(例えば、特許文献1、同3)。
また、触媒層については、活性を高めるために様々な研究開発がなされている(例えば、特許文献6)
尚、触媒層を有する積層体の製品形態は燃料電池に限らず、例えば、電気化学式水素ポンプ(例えば、特許文献7)等もある。
特開2017−168364号公報 特開2009−158481号公報 特開2014−99409号公報 特開2009−245797号公報 国際公開第2018/190415号パンフレット 国際公開第2015/019953号パンフレット 特開2017−226911号公報
ところが、活性の高い触媒層の上に光硬化型組成物を塗工した後に、光照射して硬化させると、密着性が悪化することがあった。
本発明の課題は、活性の高い触媒層を有する基材の上に、光硬化型組成物からなる接着剤又はシール材の硬化物層が密着性よく形成された積層体の製造方法を提供することである。
本発明者は、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、触媒層を有する基材とその他基材との密着性が低下してしまう原因が、光硬化型組成物中に含まれる低分子量(メタ)アクリレート等のモノマーが分解してしまうことが原因であることを見出し、当該モノマーの分解を抑制できる手段を提供できれば、前記課題が解決できるのではないかとの着想のもと鋭意検討を行った。
その結果、触媒層を有する基材の上に、光硬化型組成物を塗工した後、速やかに発光ダイオード(以下、「LED」という)を使用して比較的少ない照射量でプレ硬化させ、その後に低酸素濃度の環境下でプレ硬化させた組成物に光照射して完全に硬化させることにより、前記した密着性の悪化の問題が発生しないことを見出し、本発明を完成した。
本発明は、下記の工程1〜3を含む触媒層を有する積層体の製造方法に関する。
工程1:触媒層を有する基材の触媒層側に、光硬化型組成物を塗工する工程
工程2:工程1の後、1分以内に、空気雰囲気下で、発光ピーク波長を350〜420nmに有するLEDにより、そのピーク波長で20〜1,000mJ/cm2の照射量で光照射するプレ硬化工程
工程3:工程2でプレ硬化した光硬化型組成物に対して、酸素濃度5%以下の雰囲気下で、発光ピーク波長を350〜420nmに有するLED又はLED以外の紫外線照射装置により、そのピーク波長で50mJ/cm2以上の照射量で光照射する本硬化工程
工程3:工程2でプレ硬化した光硬化型組成物に対して、酸素濃度5%以下の雰囲気下で、発光ピーク波長を350〜420nmに有するLED又はLED以外の紫外線照射
本発明の積層体の製造方法によれば、触媒層を有する基材の上に、光硬化型組成物からなる接着剤又はシール材の硬化物の密着性が低下することなく、積層体を製造方法することができる。
本発明は、下記の工程1〜3を含む触媒層を有する積層体の製造方法に関する。
工程1:触媒層を有する基材の触媒層側に、光硬化型組成物を塗工する工程
工程2:工程1の後、1分以内に、空気雰囲気下で、発光ピーク波長を350〜420nmに有するLEDにより、そのピーク波長で20〜1,000mJ/cm2の照射量で光照射するプレ硬化工程
工程3:工程2でプレ硬化した光硬化型組成物に対して、酸素濃度5%以下の雰囲気下で、発光ピーク波長を350〜420nmに有するLED又はLED以外の紫外線照射装置により、そのピーク波長で50mJ/cm2以上の照射量で光照射する本硬化工程
以下、触媒層を有する基材、光硬化型組成物、及び工程1〜3について説明する。
尚、本明細書においては、アクリレート及び/又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基と、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と表し、及び1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を単官能(メタ)アクリレートと表し、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を多官能(メタ)アクリレートと表す。
1.触媒層を有する基材
触媒層を有する基材について説明する。
触媒層を形成するための基材としては、高分子材料、カーボン、金属酸化物、及び硫化物等が挙げられる。
高分子材料としては、親水性高分子フィルム及び疎水性高分子フィルムが挙げられる。
親水性高分子フィルムの具体例としては、ポリビニルアルコール系フィルム及びセルロースエステル系フィルム等が挙げられる。
親水性高分子フィルムとしては、イオン交換樹脂(高分子電解質膜)を使用することもできる。イオン交換性樹脂におけるイオン交換基としては、カチオン(陽イオン)交換基としては、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基等が挙げられる。又、アニオン(陰イオン)交換基としては、アミノ基、4級アンモニウム基、ピリジル基、イミダゾール基、4級ピリジニウム基、4級イミダゾリウム基等が挙げられる。
イオン交換性樹脂の具体例としては、スチレン、ビニルピリジン、及びビニルイミダゾール等の芳香族ビニル化合物を重合させた重合体;ポリ(メタ)アクリル酸系;パーフルオロスルホン酸樹脂〔例えば、デュポン社製のNafion(登録商標)〕等が挙げられる。
疎水性高分子フィルムの具体例としては、ポリカーボネート系フィルム、ポリエチレンテレフタレート系フィルム、ポリエチレンナフタレート系フィルム、アクリル系フィルム、アクリル/スチレン系フィルム、脂肪族ポリアミド(ナイロン)系フィルム、芳香族ポリアミド系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリエーテルサルホン系フィルム、ポリスルホン系フィルム、ポリフェニルスルホン系フィルム、ポリエーテルエーテルケトン系フィルム、ポリフェニレンオキシド系フィルム、ポリウレタン系フィルム、ポリイミド系フィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体系フィルム、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリ塩化ビニリデン系フィルム、ポリエチレン系フィルム、ポリプロピレン系フィルム、ポリシクロオレフィン系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ABS系フィルム、及び塩素化ポリプロピレン系フィルム等が挙げられる。
カーボンとしては、炭素繊維、グラファイト、カーボンナノチューブ、及びフラーレン等を、熱処理するか、又はフッ素系樹脂等と複合化し、シート状にしたもの等が挙げられる
金属酸化物としては、ケイ素、アルミニウム、ゲルマニウム、ガリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、モリブテン、インジウム、錫、亜鉛、イットリウム、タングステン、ランタン、セリウム、リチウム、及びナトリウム等の酸化物、並びにこれら金属の複合酸化物などが挙げられる。
硫化物としては、リチウム、ナトリウム、リン、セレン、ゲルマニウム、鉄、亜鉛、及び銅等の硫化物、並びにこれらの複合体が挙げられる。
前記した基材に形成する触媒層としては、金属、金属酸化物、金属錯体等が挙げられる。
金属の例としては、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、及びコバルト等が挙げられる。
これら触媒は、カーボン微粒子等の担体に担持されていてもよい。
又、触媒或いは触媒を担持した担体を高分子フィルム等の基材に固定化するためには、高分子のバインダーが好ましく使用される。高分子のバインダーとしては、パーフルオ
本発明における触媒層を有する基材としては、、燃料電池、電気化学式水素ポンプ及び各種センサー等の製造で使用する高分子電解質(イオン交換樹脂)に触媒層が形成されたものに好ましく適用することができる。
この場合の高分子電解質の具体例としては、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン材料が挙げられる。高分子電解質の市販品としては、デュポン社製のNafion(登録商標)、旭硝子(株)製のフレミオンFLEMION(登録商標)、旭化成(株)製のアシプレックス(登録商標)、日本ゴア(株)製GORE−SELECTゴアセレクト(登録商標)メンブレン等が挙げられる。
当該高分子電解質としては、その表面にコーティング膜が形成されたものであっても良く、高分子電解質膜と電極が一体化した燃料電池用の膜/電極接合体(MEA)であっても良い。
2.光硬化型組成物
本発明で用いられる光硬化型組成物としては、(A)光硬化型化合物及び(B)重合開始剤を含むものであれば種々の組成物を使用することができる。
2−1.(A)成分
本発明において、(A)成分の光硬化型化合物としては、(AR)成分:光ラジカル重合性化合物を含むものが好ましい。
さらに(A)成分としては、(AR)成分と(AC)成分;光カチオン重合性化合物を併用して、いわゆるハイブリッド型の組成物を使用することもできる。
以下、(AR)成分及び(AC)成分について説明する、
2−1−1.(AR)成分
(AR)成分は、ラジカル重合性化合物である。
(AR)成分としては、エチレン性不飽和基を有する化合物等が挙げられる。
(AR)成分のエチレン性不飽和を有する化合物の具体例としては、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、ビニル基を有する化合物等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましい。
さらに、(メタ)アクリロイル基を有する化合物の例としては、(AR1)成分:1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、及び(AR2)成分:2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を挙げることができる。
2−1−1−1.(AR1)成分
(AR1)成分は、1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。
(AR1)成分の好ましい化合物としては、アルキル(メタ)アクリレート、脂環式環を有する単官能(メタ)アクリレート、及び水酸基を有する単官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、及びイソステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これら化合物の中でも、炭素数8以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが、組成物の硬化物について、柔軟性を高め、種々の材料に対する剥離強度を高めることができ好ましい。
水酸基を有する単官能(メタ)アクリレートは、組成物の硬化物が高分子電解質との接着力に優れたものとなるため好ましい。
水酸基を有する単官能(メタ)アクリレートの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及び2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート等が挙げられる。
環構造を有する単官能(メタ)アクリレートは、組成物の硬化物について、強靭性や耐熱性を高め、高分子電解質や種々の材料との接着力を高めたり、その熱水浸漬耐性を高めたりすることができるため好ましい。
環構造を有する単官能(メタ)アクリレートにおける環構造としては、脂環式環、芳香族環及び複素環等が挙げられる。
脂環式環を有する単官能(メタ)アクリレートとしては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、及び1−アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
芳香族環を有する単官能(メタ)アクリレートとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート、フェノキシフェノールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート、p−クミルフェノールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート、及びo−フェニルフェノールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
複素環を有する単官能(メタ)アクリレートとしては、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、N−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、及びN−(メタ)アクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタルイミド等が挙げられる。
前記アルキレンオキサイド付加物において、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
(AR1)成分としては、前記以外の化合物を使用することができる。
その具体例としては、n−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、及び(3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン等が挙げられる。
2−1−1−2.(AR2)成分
(AR2)成分は、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。
(AR2)成分における2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート及び1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族ジオールのジ(メタ)アクリレート;
シクロヘキサンジメチロールジ(メタ)アクリレート及びトリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート等の脂環族ジオールのジ(メタ)アクリレート;
ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート及びトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;
ネオペンチルグリコールとヒドロキシピバリン酸と(メタ)アクリル酸のエステル化反応生成物;
9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン等のフルオレン系のジ(メタ)アクリレート;
ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート等のビスフェノール系化合物のアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート;
水素添加ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート等の水素添加ビスフェノール系化合物のジ(メタ)アクリレート等;
ビスフェノールA型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の付加物、1,9−ノナンジオールジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸の付加物等の、1分子中に2個の(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート;
フタル酸とエチレングリコールと(メタ)アクリル酸のエステル化物等の、1分子中に2個の(メタ)アクリロイル基を有するポリエステル(メタ)アクリレート;並びに
イソホロンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのウレタン化反応生成物、トリレンジイソシアネートとポリエーテルジオールと2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのウレタン化反応生成物、ヘキサメチレンジイソシアネートとポリエステルジオールと2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートのウレタン化反応生成物、イソホロンジイソシアネートとポリカーボネートジオールと4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートのウレタン化反応生成物等の、1分子中に2個の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記アルキレンオキサイド付加物において、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
(AR2)成分における3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ、トリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ又はヘキサ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド3モル付加物のトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ポリグリセリンポリ(メタ)アクリレート等のポリオールポリ(メタ)アクリレート;
トリメチロールプロパンアルキレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンアルキレンオキサイド付加物のテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールアルキレンオキサイド付加物のトリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールアルキレンオキサイド付加物のペンタ又はヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンアルキレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、ポリグリセリンアルキレンオキサイド付加物のポリ(メタ)アクリレート等のポリオールアルキレンオキサイド付加物のポリ(メタ)アクリレート;
フェノールノボラック型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の付加物、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の付加物等の、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート;
イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのウレタン化反応生成物、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型3量体と4−ヒドロキシブチルアクリレートのウレタン化反応生成物等の、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレート;
フタル酸とトリメチロールプロパンと(メタ)アクリル酸のエステル化物や、デンドリマー型ポリ(メタ)アクリレート等の、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有するポリエステル(メタ)アクリレート;並びに
(メタ)アクリル酸を構成単位として含む(メタ)アクリル系ポリマーのカルボン酸にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させたポリマーや、グリシジル(メタ)アクリレートを構成単位として含む(メタ)アクリル系ポリマーのエポキシ基に(メタ)アクリル酸を付加させたポリマー等の、(メタ)アクリロイル基を有するポリマー等が挙げられる。
前記アルキレンオキサイド付加物において、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
さらに、(AR2)成分としては、(AR2-1)ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリブタジエン、及び水素添加ポリイソプレンからなる群より選択される少なくとも1つの骨格(以下、「ポリジエン系骨格」という。)、並びに、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が、種々の材料との接着力に優れる点で好ましい。
(AR2-1)成分において、ポリジエン系骨格の分子量、即ち(AR2-1)成分の原料化合物であるポリジエン系骨格を有する化合物の分子量としては、組成物への溶解性に優れ、得られる組成物の硬化物が接着力及び熱水浸漬耐性に優れる等の点で、数平均分子量(以下、「Mn」という。)で500〜5,000であることが好ましく、500〜4,000であることがより好ましく、700〜3,000であることがさらに好ましい。
ポリジエン系骨格を有する化合物としては、ポリジエン系骨格及び1つ以上の水酸基を有する化合物〔以下、「ポリジエン系アルコール)」という〕、ポリジエン系骨格及びエポキシ基を有する化合物、ポリジエン系骨格及びカルボキシル基を有する化合物及びポリジエン骨格及びカルボン酸無水物を有する化合物等が挙げられる。
尚、本発明において、Mn(数平均分子量)とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)により測定した分子量をポリスチレン換算した値を意味する。
(AR2-1)成分の分子量としては、Mnで1,000〜100,000が好ましく、より好ましくは3,000〜80,000、さらに好ましくは5,000〜60,000である。(AR2-1)成分のMnを1,000以上とすることにより、得られる組成物の硬化物が接着力及び熱水浸漬耐性に優れるものとなり、100,000以下とすることにより組成物への溶解性に優れるものとすることができる。
組成物を光硬化硬化型組成物として使用する場合、(メタ)アクリロイル基としては、アクリロイル基が、組成物の硬化性に優れるため好ましい。
(AR2-1)成分の例としては、下記(AR2-1-1)〜(AR2-1-6)成分等が挙げられる。
・(AR2-1-1)成分:ポリジエン系アルコール、ポリイソシアネート、及び水酸基を有する(メタ)アクリレートのウレタン化反応物。
・(AR2-1-2)成分:ポリジエン系アルコールに対するイソシアネート基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物の付加反応物。
・(AR2-1-3)成分:ポリジエン系アルコールの(メタ)アクリレート。
・(AR2-1-4)成分:ポリジエン系骨格及びエポキシ基を有する化合物に対する(メタ)アクリル酸の付加物。
・(AR2-1-5)成分:ポリジエン系骨格及びカルボキシル基を有する化合物に対するエポキシ基を有する(メタ)アクリレートの付加物。
・(AR2-1-6)成分:ポリジエン骨格及びカルボン酸無水物を有する化合物に対する水酸基を有する(メタ)アクリレートの付加物。
(AR2-1-3)成分の製造方法としては、ポリジエン系アルコールと(メタ)アクリル酸とを酸触媒下での脱水エステル化反応する方法、ポリジエン系アルコールと低分子量(メタ)アクリレートとをエステル交換する方法等が挙げられる。
(AR2-1)成分としては、分子中にウレタン結合を有する化合物(以下、「ポリジエン系ウレタン(メタ)アクリレート」という)を含有することが、各種基材との接着力に優れる点で好ましい。
ポリジエン系ウレタン(メタ)アクリレートとしては、前記した(AR2-1-1)成分が好ましい。
さらに、(AR2-1-1)成分の中でも、ポリジエン系ジオール、ジイソシアネート、及び水酸基及び(メタ)アクリロイル基を含む化合物をウレタン化反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートは、各種基材との接着力に優れるため、特に好ましい。
以下、好ましい(AR2-1-1)成分の原料化合物であるポリジエンジオール、ジイソシアネート及び水酸基及び(メタ)アクリロイル基を含む化合物について説明する。
ポリジエンジオールとしては、ポリブタジエンジオール、ポリイソプレンジオール及びブタジエン−スチレン共重合体のジオール等が挙げられる。水素添加ポリジエンジオールとしては、水素添加ポリブタジエンジオール、水素添加ポリイソプレンジオール及びブタジエン−スチレン共重合体のジオールの水素添加物等が挙げられる。
ポリジエンジオールのMnとしては、500〜5,000のものが好ましく、より好ましくは1,000〜4,000である。前記した通り、当該Mnを満たすポリジエンジオールは、組成物への溶解性に優れ、得られる組成物の硬化物が接着力及び熱水浸漬耐性に優れるものとなる。
ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、及び水添キシリレンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート、並びにトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、及びキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート等を挙げることができる。
水酸基及び(メタ)アクリロイル基を含む化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性物及びグリシドールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これら化合物の中でも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
好ましい(AR2-1-1)成分の製造方法としては、ポリジエン系ジオールとジイソシアネートを反応させイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを製造し、当該プレポリマーと水酸基及び(メタ)アクリロイル基を含む化合物を反応させる方法(以下、「製法1」という)、並びにポリジエン系ジオール、ジイソシアネート及び水酸基及び(メタ)アクリロイル基を含む化合物を反応させる方法(以下、「製法2」という)が挙げられる。
本発明においては、製法1で得られたポリジエン系ウレタン(メタ)アクリレートが分子量の制御が容易で、得られるポリジエン系ウレタン(メタ)アクリレートが、他の成分に対する溶解性に優れ、得られる組成物が接着力に優れる点で好ましい。
好ましい(AR2-1-1)成分の製造における、ポリジエン系ジオールとジイソシアネートのモル比としては、1:2.2〜1:1.05であることが好ましく、1:2〜1:1.1であることがより好ましく、1:1.8〜1:1.1であることがさらに好ましい。この割合で反応させた(AR2-1-1)成分は、得られる(AR2-1-1)成分が他の(メタ)アクリレートとの溶解性に優れ、得られる組成物の硬化物が接着力に優れるものとなる。
(AR2-1)成分の含有割合は、組成物の硬化物が接着性と熱水浸漬耐性に優れるものとなる点で、(AR)成分全体を基準として、20〜100重量%であることが好ましく、20〜94重量%であることがより好ましく、30〜80重量%であることがさらに好ましい。
2−1−1−3.その他
(AR)成分としては、(メタ)アクリロイル基以外の不飽和基を有する化合物を使用することができる。
例えばN−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカプロラクトン、アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
又、本発明の組成物の用途が、ガスセンサーや燃料電池等である場合、高分子電解質の表面に存在する白金触媒等の金属に、組成物の揮発性成分が吸着して性能が低下する場合がある。この問題を解決するために、(AR)成分としては、揮発性の(メタ)アクリレートを、組成物全体を基準として、5重量%以上含まないことが好ましい。
揮発性の(メタ)アクリレートとしては、水素結合性基を有さない分子量250以下の(メタ)アクリレートや、水素結合性基を有する分子量200以下の(メタ)アクリレートが挙げられる。ここで、水素結合性基の具体例として、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、イミド基、及びアミド基等が挙げられる。
2−1−2.(AC)成分
(AC)成分は、光カチオン重合性化合物である。
(AC)成分の具体例としては、エポキシ化合物、オキセタン、及びビニルエーテル等が挙げられる。
以下、これら化合物について説明する。
2−1−2−1.エポキシ化合物
エポキシ化合物は、分子内に少なくとも1個のエポキシ基を有するものであれば特に限定されず、一般に知られている各種の硬化性エポキシ化合物を用いることができる。
好ましいエポキシ化合物としては、分子内に少なくとも2個のエポキシ基と少なくとも1個の芳香環を有する化合物(以下、「芳香族系エポキシ化合物」という)や、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有し、そのうちの少なくとも1個は脂環式環を構成する隣り合う2個の炭素原子との間で形成されている化合物(以下、「脂環式エポキシ化合物」という)等が例として挙げられる。
芳香族系エポキシ化合物としては、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、及び臭素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;その他、ビフェニル型エポキシ樹脂、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、スチレン−ブタジエン共重合体のエポキシ化物、スチレン−イソプレン共重合体のエポキシ化物、末端カルボン酸ポリブタジエンとビスフェノールA型エポキシ樹脂の付加反応物等が挙げられる。
ここで、エポキシ樹脂とは、分子中に1個以上のエポキシ基を有し、反応により硬化する化合物又はポリマーをいう。この分野での慣例に従い、本明細書では、硬化性のエポキシ基を分子内に1個以上有するものであれば、モノマーであってもエポキシ樹脂と呼ぶことがある。
脂環式エポキシ化合物としては、ジシクロペンタジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、及びビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート等のエポキシ化シクロヘキシル基を少なくとも1つ有する化合物等が挙げられる。
前記以外にも、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、及びポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル等の脂肪族系エポキシ化合物;水添ビスフェノールAのジグリシジルエーテル等の芳香環が水素化されているエポキシ化合物;両末端水酸基のポリブタジエンの両末端がグリシジルエーテル化された化合物、
ポリブタジエンの内部エポキシ化物、スチレン−ブタジエン共重合体の二重結合が一部エポキシ化された化合物〔例えば、ダイセル化学工業(株)製の“エポフレンド”〕、及びエチレン−ブチレン共重合体とポリイソプレンのブロックコポリマーのイソプレン単位が一部エポキシ化された化合物等のポリマー系のエポキシ化合物等が挙げられる。
エポキシ化合物としては、ポリジエン系骨格及びエポキシ基を有する化合物〔以下、「(AC-1)成分という〕を使用することが好ましい。
1分子中に含まれるエポキシ基の数としては、2個以上であることが好ましい。
(AC-1)成分の含有割合は、組成物全体を基準として、1〜40重量%であり、より好ましくは1〜30重量%であり、さらに好ましくは1〜25重量%である。(B)成分の配合量を1〜40重量%とすることで、組成物の硬化物が、高分子電解質との接着力及び熱水浸漬耐性に優れたものとなる。
(AC-1)成分の具体例としては、下記(AC-1-1)〜(AC-1-4)成分等が挙げられる。
・(AC-1-1)成分:ポリブタジエン又はポリイソプレンの二重結合をエポキシ化した化合物。
・(AC-1-2)成分:ポリブタジエン又はポリイソプレンの二重結合をエポキシ化し、さらに残存二重結合に水素を添加した化合物。
・(AC-1-3)成分:ポリジエン系骨格を有する両末端に水酸基を有する高分子量体の水酸基を、エピクロロヒドリン等によりグリシジルエーテル化したエポキシ化合物。
・(AC-1-4)成分:ポリジエン系骨格を有する両末端にカルボキシル基を有する高分子量体のカルボキシル基に、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物を付加させた化合物。
(AC-1-4)成分のより具体的な例としては、両末端カルボキシル基変性ポリブタジエンに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を付加させた化合物が挙げられる。
(AC-1)成分としては、これら化合物の中でも、(AC-1-1)成分が、組成物の硬化物が熱水浸漬耐性に優れる点で好ましい。
(AC-1)成分としては、1種のみ単独で使用することも、2種以上を併用することもできる。
(AC-1)成分の分子量としては、Mnで500〜5,000が好ましく、より好ましくは500〜3,000である。(B)成分のMnを500以上とすることにより高分子電解質との接着力を高めることができ、Mnを5,000以下とすることにより、組成物への溶解性を良好にすることができる。
又、(AC-1)成分に含まれるエポキシ基の割合としては、オキシラン酸素濃度で1〜20%が好ましく、より好ましくは3〜15%である。(B)成分のオキシラン酸素濃度を1〜20%の範囲とすることにより、高分子電解質との接着物の熱水浸漬耐性を向上させることができる。
尚、本発明において、オキシラン酸素濃度とは、ASTM D1652(HBr滴定)に従って測定した値を意味する。
2−1−2−2.オキセタン化合物
オキセタン化合物は、分子内に少なくとも1個のオキセタニル基を有するものであれば特に限定されず、オキセタニル基を有する種々の化合物を用いることができる。
オキセタン化合物としては、分子内に1個のオキセタニル基を有する化合物(以下「単官能オキセタン」という)、及び分子内に2個以上のオキセタニル基を有する化合物(以下「多官能オキセタン」という)が好ましい例として挙げられる。
単官能オキセタンとしては、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン等のアルコキシアルキル基含有単官能オキセタン、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン等の芳香族基含有単官能オキセタン、及び3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン等の水酸基含有単官能オキセタン等が好ましい例として挙げられる。
多官能オキセタンとしては、例えば、次のような化合物が挙げられる。
3−エチル−3−〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル〕オキセタン、
1,4−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル〕ベンゼン、
1,4−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕ベンゼン、
1,3−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕ベンゼン、
1,2−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕ベンゼン、
4,4′−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕ビフェニル、
2,2′−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕ビフェニル、
3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕ビフェニル、
2,7−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕ナフタレン、
ビス〔4−{(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ}フェニル〕メタン、
ビス〔2−{(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ}フェニル〕メタン、
2,2−ビス〔4−{(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ}フェニル〕プロパン、
ノボラック型フェノール−ホルムアルデヒド樹脂の3−クロロメチル−3−エチルオキセタンによるエーテル化変性物、
3(4),8(9)−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル〕−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、
2,3−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル〕ノルボルナン、
1,1,1−トリス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル〕プロパン、
1−ブトキシ−2,2−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル〕ブタン、
1,2−ビス〔{2−(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ}エチルチオ〕エタン、
ビス〔{4−(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルチオ}フェニル〕スルフィド、
1,6−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕−2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン、
3−〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕プロピルトリエトキシシランの加水分解縮合物、
テトラキス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル〕シリケートの縮合物等。
2−1−2−3.ビニルエーテル
ビニルエーテルとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシイソプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、1−メチル−3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1−メチル−2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1−ヒドロキシメチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,3−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,2−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、p−キシレングリコールジビニルエーテル、m−キシレングリコールジビニルエーテル、o−キシレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエチレングリコールジビニルエーテル、オリゴエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、テトラプロピレングリコールジビニルエーテル、ペンタプロピレングリコールジビニルエーテル、オリゴプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル等、及びこれらの誘導体等を挙げることができる
2−2.(B)成分
(B)成分は、重合開始剤であり、ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、種々のラジカル発生剤が使用できる。
(B)成分の含有割合は、組成物全体を基準として、0.1〜15重量%であり、好ましくは0.2〜13重量%、より好ましくは0.5〜10重量%である。(B)成分が0.1重量%未満では組成物の硬化性が不足し、逆に15重量%を超えると、組成物の硬化物が耐熱性や熱水浸漬耐性等の点で悪化する。
(B)成分としては、光によりラジカルを発生する光ラジカル重合開始剤(以下、「(b1)成分」という。)、(b1)成分以外のラジカル重合開始剤(以下、「(b2)成分」という。)が挙げられる。
本発明で使用する組成物は、(b1)成分を含有する光硬化型組成物であるが、(b2)成分を併用することもできる。
以下、(b1)成分、(b2)成分について順に説明する。
2−2−1.(b1)成分
(b1)成分は光ラジカル重合開始剤であり、種々の化合物が使用可能である。
(b1)成分の具体例としては、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−1−(メチルビニル)フェニル]プロパノン、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチループロピオニル)ベンジル]フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)]フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オン及び3,6−ビス(2−メチル−2−モルフォリノプロピオニル)−9−n−オクチルカルバゾール等のアセトフェノン系化合物;
ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル及びベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;
ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、メチル−2−ベンゾフェノン、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフォニル)プロパン−1−オン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン及び4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、及びビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド化合物;並びに
チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルチオキサントン、3−[3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イル−オキシ]−2−ヒドロキシプロピル−N,N,N―トリメチルアンモニウムクロライド及びフルオロチオキサントン等のチオキサントン系化合物等が挙げられる。
前記以外の化合物としては、ベンジル、エチル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィネート、フェニルグリオキシ酸メチル、エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、及びカンファーキノン等が挙げられる。
(b1)成分としては、これら化合物の中でも、組成物の硬化性に優れる点で、アシルホスフィンオキサイド系化合物を含有する事が好ましい。
又、硬化物の膜厚を厚くする必要がある場合、例えば50μm以上とする必要がある時は、硬化物内部の硬化性を向上させる目的で、又、紫外線吸収剤や顔料を併用する場合は、組成物の硬化性を向上させる目的で、アシルホスフィンオキサイド化合物、チオキサントン系化合物及びα−アミノアルキルフェノン系化合物から選ばれる複数種の化合物を併用することが好ましい。
この場合の化合物の好ましい例としては、アシルホスフィンオキサイド化合物としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィネート及びビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等が挙げられ、チオキサントン系化合物としては、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられ、並びに、α−アミノアルキルフェノン系化合物としては、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)]フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタンー1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン等が挙げられる。
(b1)成分としては、1種のみ単独で使用することも、2種以上を併用することもできる。
(b1)成分の含有割合は、(B)成分全体を基準として、0.1〜15重量%が好ましく、0.5〜10重量%がより好ましい。光ラジカル重合開始剤の割合を0.1重量%以上にすることで、組成物の光硬化性を良好にし、密着性に優れるものとすることができ、15重量%以下とすることで、硬化物の内部硬化性が良好にすることができ、基材との密着性を良好にすることができる。
2−2−2.(b2)成分
(b2)成分は、(b1)成分以外のラジカル重合開始剤であり、過酸化物やアゾ系化合物等の熱ラジカル重合開始剤が使用できる。又、レドックス系のラジカル重合開始剤も使用できる。
有機過酸化物の具体例としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジーメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、α、α‘−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
アゾ系化合物の具体例としては、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾジ−t−オクタン、アゾジ−t−ブタン等が挙げられる。
(b2)成分は、1種のみ単独で使用することも、2種以上を併用することもできる。又、有機過酸化物は還元剤と組み合わせることによりレドックス開始剤として用いることも可能である。
(b2)成分の含有割合は、組成物の硬化性を良好にし、基材との密着性を高める目的では、(B)成分全体を基準として、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がさらに好ましい。一方、光が組成物に充分に到達する条件下においては、組成物の保存安定性を考慮すると、含まないことが好ましい。
2−2−3.その他の(B)成分
本発明の(A)成分として、(AR)成分と(AC)成分を併用する場合は、(B)成分として光カチオン重合開始剤を使用することができる。
光カチオン重合開始剤としては、活性エネルギー線の照射によりカチオン種やルイス酸を生じる化合物であれば良く、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩及び芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩、並びに鉄−アレン錯体等を挙げることができる。
2−3.その他成分
工程1で使用する組成物としては、前記(A)成分及び(B)成分以外にも、必要に応じて種々の化合物を配合することができる。
工程1で使用する組成物は、前記(A)及び(B)成分を必須成分とするものであるが、目的に応じて、種々のその他成分を配合することができる。
その他成分としては、微粒子(以下、「(C)成分」という。)を含むことが好ましい。
以下、(C)成分及び(C)成分以外のその他成分について説明する。
2−3−1.(C)成分
(C)成分は、微粒子である。
さらに、(C)成分としては、体積平均一次粒子径0.1〜100μmの微粒子が好ましい。当該粒子径を有する(C)成分を配合すると、高分子電解質と他方の基材を貼り合せて圧力をかける場合でも、接着層の厚みを一定以上に保つことができる。又、スクリーン印刷適性も向上する。
(C)成分としては、(A)〜(C)成分に溶解しないものが好ましい。
(C)成分の具体例としては、無機微粒子及びポリマー微粒子等が挙げられる。
無機微粒子としては、アルミナ、シリカ、及びジルコニア等が挙げられる。
ポリマー微粒子としては、化学的に架橋されたポリマー微粒子、及び(A)〜(C)成分に溶解しない非架橋ポリマー微粒子等が挙げられる。非架橋ポリマー微粒子としては、ポリオレフィン、フッ素化ポリオレフィン、及びセルロース系樹脂等が挙げられる。
(C)成分としては、1種のみ単独で使用することも、2種以上を併用することもできる。
(C)成分としては、これらの中でも、分散性とその安定性に優れる点で、(C)成分がポリマー微粒子を含有することが好ましく、化学的に架橋されたポリマー微粒子を含有することがより好ましい。
化学的に架橋されたポリマー微粒子の具体例としては、メチルメタクリレート等の(メタ)アクリレートモノマーの重合単位を含むアクリル系微粒子や、ポリウレタン系の微粒子等が挙げられる。
尚、アクリル系微粒子の架橋方法としては、単官能の(メタ)アクリレートモノマーと二官能の(メタ)アクリレートモノマーを含むモノマー混合物を共重合させる方法や、単官能の(メタ)アクリレートモノマーとアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリレートモノマーを含むモノマー混合物を共重合させておき、アルコキシシリル基を加水分解及び縮合させて架橋する方法等が挙げられる。
(C)成分の体積平均一次粒子径は、0.1〜100μmが好ましく、より好ましくは0.2〜70μm、さらに好ましくは0.5〜50μm、特に好ましくは0.5〜30μmである。
尚、(C)成分の体積平均一次粒子径は、レーザー回折散乱式粒度分布計(湿式法)により、測定した値を意味する。
本発明の組成物に(C)成分を配合する場合、その含有割合としては、組成物全体を基準として、1〜60重量%であることが好ましく、5〜50重量%であることがより好ましい。
2−3−2.(C)成分以外のその他成分
(C)成分以外のその他成分としては、(C)成分に含まれない粒子径範囲の粒子(例えば、平均一次粒子径0.1μm未満の数10nm〜数nmの微粒子)、(A)及び(C)成分以外のポリマー(以下、「その他ポリマー」という)、粘着付与剤、可塑剤、消泡剤、レベリング剤、重合禁止剤、安定剤、及び有機溶剤等が挙げられる。
(C)成分に含まれない粒子径範囲の微粒子としては、塗布時にチクソ性を付与する目的で使用できる、平均一次粒子径が0.1μm未満であって、数10nm〜数nmの微粒子(フュームドシリカ等)、並びに、硬化物の厚さをかなり厚くしたり、硬化収縮率を小さくする目的で使用できる、粒子径が数100μm〜数mmの粒子が挙げられる。
その他ポリマーの具体例としては、未架橋のポリマーであって組成物に溶解性を有するポリマーが挙げられる。
当該ポリマーの例としては、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン、マレイン化ポリブタジエン、マレイン化ポリイソプレン、マレイン化ポリプロピレン、塩素化ポリプロピレン、石油樹脂、水添石油樹脂、キシレン樹脂、ポリテトラメチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、及びポリカーボネート等が挙げられる。
これらは、密着付与成分として作用することもあり、後記する粘着付与剤や可塑剤として作用することもある。
粘着付与剤の具体例としては、ロジンエステルや石油樹脂等が挙げられる。
可塑剤の具体例としては、ジオクチルフタレート等が挙げられる。
消泡剤としては、炭化水素系、シリコーン系、フロロシリコーン系、フッ素系、及びミネラルスピリッツ系等が挙げられ、公知のものを使用することができる。
レベリング剤としては、炭化水素系、シリコーン系、及びフッ素系等が挙げられ、公知のものを使用することができる。
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、及びメトキシハイドロキノン等が挙げられ、公知のものを使用することができる。
安定剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、及び紫外線吸収剤等が挙げられ、公知のものを使用することができる。
有機溶剤としては、(A)及び(B)成分を溶解するものであれば、公知のものを使用することができる。しかし、溶剤乾燥工程が生産効率を低下させることや、残存溶剤の懸念を考えると、有機溶剤を配合しないことが好ましい。
2−4.組成物の製造方法
本発明で使用する組成物は、前記(A)及び(B)成分を含むものであり、その製造方法としては、常法に従えば良く、前記(A)及び(B)成分を混合し、必要に応じてさらにその他成分を混合し、常法に従い攪拌することにより製造することができる。
この場合、必要に応じて加熱することができる。
本発明で使用する組成物の粘度としては、積層体の製造工程で使用可能な塗布性、即ち平滑性に優れた塗布面を得るために、塗布方式に応じて、当業者が適宜設定することができる。
3.工程1
工程1は、触媒層を有する基材の触媒層側に、光硬化型組成物を塗工する工程に関する。
触媒層を有する基材、及び光硬化型組成物は、前記で詳述した通りである。
以下、塗工方法について説明する。
3−1.塗工方法
工程1では、触媒層を有する基材の触媒層側に、光硬化型組成物を塗工する。
塗工方法としては、使用する組成物や目的に応じて適宜設定すれば良く、例えば、ディスペンサー、スクリーン印刷、ロールコーター、インクジェット、スプレー、及び静電誘引塗布等といった種々の塗工方式を採用することができる。
この場合の塗工した組成物の膜厚としては、使用する触媒層を有する基材及び用途に応じて適宜設定すれば良く、10〜500μmであることが好ましく、20〜100μmがより好ましい。
3−2.その他の工程
本発明においては、組成物を塗工した後、塗工面に光透過性の部材を貼合することもできる。この場合、この光透過性の部材は、後の硬化工程で接着され、触媒層を有する基材と一体化される。
4.工程2
工程2は、工程1の後、1分以内に、空気雰囲気下で、発光ピーク波長を350〜420nmに有するLEDにより、そのピーク波長で20〜1,000mJ/cm2の照射量で光照射するプレ硬化工程である。
LED光源としては、発光ピーク波長を350〜420nmに有するものであれば、一種のみ使用しても、二種以上併用しても良い。
例えば、365nmのLEDと405nmのLEDを組み合わせても良い。この場合、各波長の照射量の和を、目的とする範囲内となるよう調整する。
照射量としては、塗膜の厚みや照度等により異なるが、LED光源の発光波長や配合組成に応じて適宜設定すれば良い。
工程1の塗工の後、光照射するまでの時間は、1分以内とする。
さらに、塗工後1分50秒以内が好ましく、より好ましくは30秒以内、特に好ましくは10秒以内である。
この時間を短くすることで、触媒が低分子量(メタ)アクリレートを分解する速度が非常に速い場合でも、分解量を極力小さくすることができる。
工程1において、塗布方法としてディスペンサーを採用する場合、ディスペンサーのノズル部分のすぐ後ろをLED光源が追尾する構造を有するものが好ましい。これにより、塗工からプレ硬化までの時間を1秒以内に短縮することができる。
工程2においては、LEDのピーク波長で20〜1,000mJ/cm2の照射量で光照射する。この範囲を外れると、活性の高い触媒層の上であっても良好な密着性を発現するという本発明の効果が小さくなり好ましくない。
具体的には、20mJ/cm2未満では、プレ硬化の効果が殆どなくなり、密着性が低下してしまい、逆に1,000mJ/cm2を超えると、(B)成分の大部分が分解・消失してしまい、工程3における本硬化において、(B)成分の活性種がほとんどなくなるため、硬化が進行しなくなってしまう。
5.工程3
工程3は、工程2でプレ硬化した光硬化型組成物に対して、酸素濃度5%以下の雰囲気下で、発光ピーク波長を350〜420nmに有するLED又はLED以外の紫外線照射装置により、そのピーク波長で50mJ/cm2以上の照射量で光照射する本硬化工程である。
工程3では、酸素濃度を5%以下の雰囲気下で光照射する。
酸素濃度が5%より大きいと、残存モノマーが多くなるため、耐熱試験後に残存モノマーが触媒によって分解するなどして、密着性が低下することがある。好ましい酸素濃度は3%以下であり、より好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下である。
酸素濃度の下限は、得られる積層体の性能上からは特に規定されないが、製造コストの観点から0.001%以上が好ましい。
酸素濃度を5%以下とする方法としては、酸素濃度が5%未満の不活性ガスを使用することが好ましい。不活性ガスとしては、窒素、二酸化炭素、水蒸気、及びアルゴン等が挙げられ、好ましくは窒素である。
窒素ガスを使用する場合においては、経済性の観点で、空気を膜分離して得られる純度96〜99%程度の窒素ガスを使用することができ、酸素濃度を短時間に低減させる目的においては、純度が99%以上の窒素ガスを使用することもできる。
工程2でプレ硬化した光硬化型組成物の周囲の酸素濃度を5%以下にする方法としては、部材全体を覆っておき、その中に不活性ガスを流入させる方法、酸素濃度5%未満の空間にコンベア等により移送する方法、及び酸素濃度5%未満の不活性ガスをプレ硬化した光硬化型組成物に吹きかける方法などが挙げられる。
発光ピーク波長を350〜420nmに有するLED光源としては、使用される状況に応じて適宜選択するのが良い。例えば、光透過性の部材を貼り合せて接着する場合で、その部材が紫外線を吸収する場合、例えば405nmのLEDを選択することが好ましい。その場合、405nmの光に感光する光硬化型樹脂を使用する必要がある。一方、350nm以上の波長の光を透過する部材を接着する場合や、光硬化型樹脂をシール材や粘着剤のように使用する場合(直接光源にさらされる場合)は、UV−LED硬化として広く使用されている365nm或いは385nmのUV−LEDを好適に使用することができる。
本硬化工程においては、高圧水銀ランプやメタルハライドランプなどの、LED以外の紫外線照射装置を使用することができるが、触媒層へのダメージを低減させる意味でLEDの方が好ましい。
工程3においては、光源のピーク波長で50mJ/cm2以上の照射量で光照射する。50mJ/cm2未満である場合、酸素濃度を低減させても、残存モノマーが十分に低減せず、触媒層との密着性が低下することがある。
6.積層体の用途
本発明で得られる積層体は種々の用途に使用することができる。
好ましい積層体は、触媒層を有する基材として高分子電解質を含む積層体である。当該積層体の構成としては、基材、前記した組成物から形成される硬化物、及び他方の基材から構成される積層体であって、前記基材及び他方の基材の両方又は一方が、高分子電解質である。
高分子電解質としては、化学的に安定である点から、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン材である事が好ましい。
得られた積層体の用途としては、固体高分子形燃料電池、電気化学式水素ポンプ、医療用等に用いられるアクチュエーター、医療用センサー及びガスセンサー等の各種センサー等が挙げられる。
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は、これらの例によって限定されるものではない。
尚、以下において「部」とは重量部を意味し、表中の配合割合を示す数値は、重量%を意味する。
1.製造例
1)電解質膜−触媒層積層体の作製
(1)触媒のスルホン化
純度96wt%の濃硫酸30mlと、SO3含有率25vol%の発煙硫酸30mlに、白金触媒担持カーボン(白金担持量46wt%、田中貴金属工業(株)製、TEC10E50E)3gを浸漬させ、液温40℃で8時間攪拌してスルホン化させた。これをろ過し、70℃のイオン交換水4L中に浸漬して30分間攪拌して、再度ろ過する洗浄工程を行い、未反応の硫酸及び発煙硫酸を除去した。この洗浄工程を、洗浄水が中性になるまで繰り返し行った。洗浄後、60℃の空気中で一晩乾燥させた後、乳鉢で粉砕してスルホン化触媒を得た。
(2)触媒層形成用転写シートの作製
前記したスルホン化触媒2gに、1−ブタノール10g、3−ブタノール10g、アイオノマー分散液〔Nafion(登録商標)D2020、DuPont社製、ポリマー含量20wt%〕5g及び水21gを加え、分散機で攪拌混合することで、触媒層形成用ペースト組成物を調製した。次いで、この組成物をPETフィルム上に、触媒層乾燥後の白金重量が0.4mg/cm2となるように塗工し、乾燥させ、触媒層形成用転写シートを作製した。
(3)電解質膜−触媒層積層体の作製
前記した触媒層形成用転写シートを70mm×30mmの大きさに切断したものを2枚用意し、75mm×35mmに切断した高分子電解質膜(Nafion(登録商標)NRE−212、DuPont社製、厚さ0.002インチ)の両面それぞれに触媒層が電解質膜側を向くように配置し、135℃、5.0MPa、150秒の条件で熱プレスした後、PETフィルムを剥離することで、電解質膜−触媒層積層体を作製した。これを以下「触媒層基材A」と称する。
2)光硬化型組成物の調製
(1)ウレタンアクリレートの合成
2Lの四つ口セパラブルフラスコに、両末端に水酸基を有する水添ポリブタジエンとして日本曹達(株)製のGI−1000(水酸基価68.7mgKOH/g、Mn約1,500)900g(水酸基として1.1モル)、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.65g、イソホロンジイソシアネート244g(イソシアネート基として2.2モル)を仕込み、攪拌機を取り付けて撹拌混合し溶解させた。このフラスコに、温度計、ガス導入管、滴下漏斗、冷却管を取り付け、酸素と窒素の混合ガス(酸素5%)を流通させた。この溶液に、触媒としてナーセム第二鉄0.013gを加えて溶解させた後、液温を80℃に昇温させて5時間反応させ、次いで4−ヒドロキシブチルアクリレート158g(水酸基として1.1モル)を仕込んで5時間反応させ、ウレタンアクリレートを合成した。これを以下「UA−1」と称する。
(2)光硬化型組成物の調製
前記したUA−1を50g、ノニルフェノールEO1モル付加物のアクリレート〔東亞合成(株)製アロニックスM−111〕を50g、光ラジカル重合開始剤であるスピードキュアTPO〔2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ランブソン(株)製〕を2g、消泡剤としてBYK−1790〔ビックケミー・ジャパン(株)〕を0.1g配合し、60℃で攪拌溶解させた。
次いで、平均粒径5μmのアクリル系架橋微粒子〔綜研化学(株)製MX−500〕を50g加えて遊星式攪拌装置により分散させ、光硬化型組成物を調製した。
これを以下「光硬化型組成物A」と称する。
2.実施例
1)実施例1(触媒層を有する積層体の製造方法)
(1)工程1
触媒層基材Aの上に、光硬化型組成物Aを、スクリーン印刷により、幅6mm、長さ60mm、厚さ0.05mmに塗布した。
(2)工程2
塗工後の10秒後に、365nmのLEDを使用して、250mJ/cm2紫外線照射してプレ硬化を行った。
LEDとしては、シーシーエス(株)製のコントローラー8332A及び標準ヘッド8361を使用するとともに、ヘッドの先端にラインレンズAC8343を装着したものを使用した(照射範囲が5mm×16mmの長方形になる)。このLEDヘッドを、速度調整可能な可動ステージの上方に、照射範囲の短手方向をステージが横切るようにセットし、ステージ速度が6mm/秒のときに照射量が250mJ/cm2となるよう予め調整した。このとき、照射範囲中央部分の照度は500mW/cm2であった。このように、予め調整しておいたLED及びステージのすぐ横でスクリーン印刷することにより、スクリーン印刷してからプレ硬化されるまでの時間を10秒まで短縮できるようにした。
(3)工程3
プレ硬化後の塗膜の上に、予めコロナ処理しておいた幅10mm、長さ60mmのシクロオレフィンポリマーフィルム〔日本ゼオン(株)製ZF14〕を、プレ硬化塗膜のうち幅6mm、長さ30mmが接着されるように貼り合せた。
次いでこれを、上面に石英ガラス、側面にコック付のガス導入口、コック付きのガス排出口、及び酸素センサーを備えたステンレス製の容器に入れ、5分間窒素置換して容器内の酸素濃度を0.1vol%とした後、容器を密閉し、ステージ移動装置を備えたセンテック(株)製のUV−LED照射装置(365nm)で1,000mJ/cm2紫外線照射して本硬化を行い、触媒層を有する積層体を作製した(ピーク照度200mW/cm2、ステージ速度8mm/秒、1パス当たり500mJ/cm2で2パス)。
2)実施例2
実施例1の工程2のプレ硬化で、LEDヘッドの移動速度を15mm/秒として紫外線照射量を100mJ/cm2とする他は、実施例1と同様にして積層体を製造した。
3)実施例3
実施例1の工程2のプレ硬化を連続して2回実施し、プレ硬化での紫外線照射量を500mJ/cm2とする他は、実施例1と同様にして積層体を製造した。
4)比較例1
実施例1で、塗布からプレ硬化までの時間を2分に変更する以外は、実施例1と同様にして積層体を製造した。
5)比較例2
実施例1で、工程2のプレ硬化を省略する以外は、実施例1と同様にして積層体を製造した。
6)比較例3
実施例1の工程2のプレ硬化で、LEDヘッドの移動速度を150mm/秒として紫外線照射量を10mJ/cm2に変更する以外は、実施例1と同様にして積層体を製造した。
7)比較例4
実施例1の工程2のプレ硬化を連続して8回実施し、プレ硬化での紫外線照射量を2,000mJ/cm2に変更する以外は、実施例1と同様にして積層体を製造した。
8)比較例5
実施例1で、本硬化時の酸素濃度を6%に変更する以外は、実施例1と同様にして積層体を製造した。
9)比較例6
実施例1で、本硬化条件をコンベア速度160mm/秒で1パスとして紫外線照射量を25mJ/cm2に変更する以外は、実施例1と同様にして積層体を製造した。
10)比較例7
実施例1で、本硬化を省略する以外は、実施例1と同様にして積層体を製造した。
3.触媒層上の光硬化型組成物層の密着性評価
工程3の本硬化後の積層体を空気下室温で1時間放置した後、120℃の乾燥炉に10分間投入してから取り出し、硬化膜の外観を目視観察した。その結果より、密着性を下記4水準で評価した。
結果を、実験条件と共に表1に示す。
〇 :剥がれ部分がない
△ :硬化物の端部に僅かに剥がれが認められた
× :硬化物の端部が触媒層から1mm程度剥がれた
××:硬化物の大部分が触媒層から剥がれた
Figure 2020199437
4)評価結果
実施例1〜同3の結果から明らかな通り、本発明の製造方法により得られた積層体は密着性に優れるものであった。
これに対して、工程1から工程2までの時間が1分を超える比較例1の製造方法、第2工程を実施しなかった比較例2の製造方法、及び第2工程の照射量の下限20mJ/cm2に満たなかった比較例3の製造方法は、得られた積層体の密着性が不十分なものとなってしまい、硬化物の端部に僅かに剥がれが認められた。
又、第2工程の照射量の上限1,000mJ/cm2を超えた比較例4の製造方法、第3工程における酸素濃度の上限5%を超過した比較例5の製造方法、及び第3工程におけるの照射量の下限50mJ/cm2に満たなかった比較例6の製造方法は、得られた積層体の密着性が低下してしまい、硬化物の端部の触媒層から1mm程度の剥が生じた。
さらに、第3工程を実施しなかった比較例7の製造方法は、得られた積層体の密着性が大きく低下してしまい、硬化物の大部分が触媒層から剥がれてしまった。
本発明の製造方法は、触媒層を有する積層体の製造方法に好ましく適用できるものである。
特に、高分子電解質を有する基材から得られた積層体は、燃料電池、電気化学式水素ポンプ及び各種センサー等として好ましく使用ものである。

Claims (4)

  1. 下記の工程1〜3を含む触媒層を有する積層体の製造方法。
    工程1:触媒層を有する基材の触媒層側に、光硬化型組成物を塗工する工程
    工程2:工程1の後、1分以内に、空気雰囲気下で、発光ピーク波長を350〜420nmに有する発光ダイオード(以下、「LED」という)により、そのピーク波長で20〜1,000mJ/cm2の照射量で光照射するプレ硬化工程
    工程3:工程2でプレ硬化した光硬化型組成物に対して、酸素濃度5%以下の雰囲気下で、発光ピーク波長を350〜420nmに有するLED又はLED以外の紫外線照射装置により、そのピーク波長で50mJ/cm2以上の照射量で光照射する本硬化工程
  2. 前記工程1において、塗工した光硬化性組成物の上に、光透過性の部材を貼合する工程を含む請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 前記工程2を実施した後、プレ硬化した光硬化性組成物の上に、光透過性の部材を貼合する工程を含む請求項1に記載の積層体の製造方法。
  4. 前記光硬化型組成物が(メタ)アクリレートを含むものである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
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