JP2014051654A - 活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】得られるコーティング硬化膜が、基材との密着性、特に金属基材との密着性に優れ、さらに密着性は基材の曲げに対する追従性を有し、かつ耐溶剤性に優れる活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物の提供。
【解決手段】硬化性成分として下記(A)〜(C)成分を含む組成物であって、
硬化性成分合計量中に、(A)成分を30〜97重量%、(B)成分を3〜70重量%及び(C)成分を0〜57重量%の割合で含む活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
(A)成分:2個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、且つジエン系の骨格又は水素添加されたジエン系の骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマー
(B)成分:エチレン性不飽和基を有し、同重量部のn−ヘキサンに対し相溶せずに分液する化合物
(C)成分:エチレン性不飽和基を有する化合物であって、同重量部のn−ヘキサンと混合でき、かつ同重量部の(B)成分とも混合できる化合物
【選択図】なし

Description

本発明は、電子線又は紫外線等の活性エネルギー線の照射により、基材表面に硬化膜によるコーティング層を形成し、コーティング層が有機溶剤に浸漬しても膨潤や剥離を起こすことなく良好な密着性を発現することが可能な活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物に関するものである。
本発明の組成物は、金属基材へのコーティング剤として好適に使用され、金属への密着性だけではなく、耐溶剤性も要求されるリチウムイオン電池の電極保護材の製造に好適に使用されるものであり、これら技術分野で賞用され得るものである。
尚、本明細書においては、アクリレート及び/又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基と、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と表す。
従来、耐溶剤性に優れるコーティング剤としては、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する三官能以上の多官能(メタ)アクリレート、2個の(メタ)アクリロイル基を有する二官能の橋かけ環構造を有する(メタ)アクリレート、光重合開始剤からなる光硬化性組成物(特許文献1)、分子内に(メタ)アクリロイル基と加水分解性基を有するポリイソブチレン、光開始剤及び湿気硬化触媒からなる光及び湿気硬化性組成物(特許文献2)、エポキシ樹脂、ゴム状ポリマー微粒子、無機充填剤、熱潜在性エポキシ硬化剤及び高軟化点ポリマー微粒子からなる熱硬化性組成物(特許文献3)、特定の化学構造を有するエポキシ化合物を含有するカチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、光カチオン重合開始剤及び光ラジカル重合開始剤からなる光硬化性組成物(特許文献4)、ポリオレフィンとポリビニルアルコール、相溶化剤、可塑剤、加工助剤、及び酸化防止剤からなるフィルム、シート、成形加工用組成物(特許文献5)等が開示されている。
一方、反応性樹脂中にエラストマーを分散させる技術や反応性樹脂骨格中にエラストマー成分を導入する技術に関する報告もある。エポキシ樹脂由来の化学構造とポリシロキサン構造を有し、かつ官能基としてエポキシ基を有する共重合体(特許文献6、特許文献7、特許文献8)、分子中にポリブタジエン骨格を有する(メタ)アクリレート系樹脂を用いた低透湿度ホットメルト接着剤(特許文献9)等が開示されている。
特許第2953598号公報 特開2000−178535号公報 特開2000−347203号公報 特開2002−256062号公報 特表2002−537408号公報 特公昭61−48544号公報 特開平2−208314号公報 特開平6−16773号公報 特開平3−278333号公報
一般に、活性エネルギー線により硬化したコーティング剤等の硬化膜の耐溶剤性を高めるためには硬化膜の架橋密度を高くする必要があり、そのため硬化膜が硬くなる傾向がある。このような硬化膜形成材料(活性エネルギー線硬化型組成物)をコーティング剤として用いると、ヒートサイクルによる基材の変形に対し基材上に形成された前記硬化膜が追従できずにコーティング層が割れたり剥がれたりすることが多い。又、基材を曲げて変形させて用いる用途、例えばリチウムイオン電池の電極材料においては、基材を曲げた時にコーティング層が剥がれるというおそれがあった。
一方で、コーティング剤を架橋密度が低く柔軟なものとした場合には、例えばリチウムイオン電池の電極材料においては、電解液として用いられる有機溶剤により溶解したり、膨潤により基材から剥がれるという問題があった。
本発明の目的は、上記の問題を解決すること、即ち、得られるコーティング硬化膜が、基材との密着性、特に金属基材との密着性に優れ、さらに当該密着性は基材の曲げに対する追従性を有し、かつ耐溶剤性に優れる活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物を提供することである。
本発明者らは、前記の課題を解決するため種々の検討を行った結果、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、且つジエン系の骨格又は水素添加されたジエン系の骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマー及びn−ヘキサンに対し相溶せずに分液する不飽和化合物、さらに必要に応じてこれら(メタ)アクリレート以外のエチレン性不飽和基を有する化合物を含有する組成物が、密着性に優れ、さらに基材の曲げに対する追従性に優れ、かつ耐溶剤性にも優れることを見出し、本発明を完成した
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の組成物によれば、得られるコーティング硬化膜(以下、単に「硬化膜」ともいう)が、基材との密着性、特に金属基材との密着性に優れ、さらに当該密着性は基材の曲げに対する追従性を有し、かつ耐溶剤性に優れる。
本発明は、硬化性成分として下記(A)〜(C)成分を含む組成物であって、
硬化性成分合計量中に、(A)成分を30〜97重量%、(B)成分を3〜70重量%及び(C)成分を0〜57重量%の割合で含む活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物に関する。
(A)成分:2個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、且つジエン系の骨格又は水素添加されたジエン系の骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマー
(B)成分:1個以上のエチレン性不飽和基を有し、同重量部のn−ヘキサンに対し相溶せずに分液する化合物
(C成分:1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物であって、同重量部のn−ヘキサンと混合でき、かつ同重量部の(B)成分とも混合できる化合物
但し、(C)成分は、エステル部位に炭素数4〜20のアルキル基、アルケニル基、環状アルキル基又は環状アルケニル基を有し、1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートを除いたものである。
尚、本発明において硬化性成分とは、前記(A)〜(C)成分を意味し、エチレン性不飽和基を有する化合物で、活性エネルギー線の照射により硬化する成分を意味する。
前記(A)成分としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン及び/又はこれらが水素添加された骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく、又、数平均分子量500〜50,000の化合物が好ましい。
又、さらに、(D)光ラジカル重合開始剤を、硬化性成分合計量100重量部に対して0.1〜20重量部を含む組成物が好ましい。又、蛍光剤、色素又は/及び顔料を含む組成物も好ましい。
以下、(A)〜(C)成分及びその他の成分について説明する。
尚、以下の(A)〜(C)成分の説明で挙げた具体的化合物は、当該化合物を単独で使用しても良く、又は2種類以上組合せて使用しても良い。
1.(A)成分
(A)成分は、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、且つジエン系の骨格又は水素添加されたジエン系の骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーである。
(A)成分中の(メタ)アクリロイル基としては、側鎖又は末端を有して良く、好ましくは末端に(メタ)アクリロイル基を有する化合物であり、特に好ましくは、両末端に(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。
(A)成分の数平均分子量(以下、「Mn」という)としては、500〜100,000の化合物が好ましく、より好ましくは1,000〜50,000である。
Mnが500以上の化合物を使用することで、硬化膜と基材との剥離を防止することができ、又、100,000以下の化合物を使用することで、(B)及び(C)成分に対する相溶性が良好となり、組成物中に均一に混合することができる。
尚、本発明において、Mn(数平均分子量)とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)により測定した分子量をポリスチレン換算した値である。
(A)成分としては、ポリジエン又は水素化ポリジエン骨格と2個以上の(メタ)アクリロイル基がウレタン結合により結合したオリゴマー〔以下、「(A1)」という〕、ポリジエン又は水素化ポリジエン骨格と2個以上の(メタ)アクリロイル基がエステル結合により結合したオリゴマー〔以下、「(A2)」という〕、イソプレン重合体と酸無水物付加物と水酸基含有(メタ)アクリレートの反応物〔以下、「(A3)」という〕等が挙げられる。
(A)成分としては、(A1)及び(A2)が好ましく、硬化物の機械特性が優れる点で、(A1)が好ましく、(メタ)アクリロイル基を2個有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーがより好ましい。
さらに、(A1)における2個の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリジエンのジオール又は水素化ポリジエンのジオール(a)〔以下、「化合物(a)」という〕、ジイソシアネート化合物(b)〔以下、「化合物(b)」という〕及び水酸基含有(メタ)アクリレート(c))〔以下、「化合物(c)」という〕を反応させて得られる(メタ)アクリロイル基を2個有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
化合物(a)としては、ポリジエンジオールとしては、ポリブタジエンジオール、ポリイソプレンジオール及びポリエチレンプピレンジオール等が挙げられる。水素化ポリジエンジオールとしては、水素化ポリブタジエンジオール、水素化ポリイソプレンジオール及び水素化ポリエチレンプピレンジオール等が挙げられる。これら化合物の中でも、ポリブタジエンジオール、ポリイソプレンジオール、水素化ポリブタジエンジオール及び水素化ポリイソプレンジオールが好ましい。
化合物(a)のMnとしては、500〜10,000のものが好ましく、より好ましくは1,000〜10,000である。
本発明においては、化合物(a)に加え、必要に応じて化合物(a)以外のその他のポリオールを併用しても良い。
例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ポリブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、ポリカプロラクトン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ポリトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、アラビトール、キシリトール、ガラクチトール、グリセリン、ポリグリセリン、ポリテトラメチレングリコール等の多価アルコール;
ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドのブロック又はランダム共重合の少なくとも1種の構造を有するポリエーテルポリオール;
該多価アルコール又はポリエーテルポリオールと無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、無水イタコン酸、イタコン酸、アジピン酸、イソフタル酸等の多塩基酸との縮合物であるポリエステルポリオール;
カプロラクトン変性ポリテトラメチレンポリオール等のカプロラクトン変性ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール等が挙げられる。
化合物(b)としては、1分子中にイソシアネート基を2個有する化合物であれば種々の化合物を使用することができる。
具体的には、トリレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。
化合物(c)としては、水酸基を有する(メタ)アクリレートであれば種々の化合物を使用することができる。
具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性物及びグリシドールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
(A2)の具体例としては、2個以上の水酸基含有するポリジエン又は水素化ポリジエンと(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸ハライドのエステル化反応物、2個以上の水酸基含有するポリジエン又は水素化ポリジエンと(メタ)アクリレートのエステル交換反応物が挙げられる。
エステル化反応物の例としては、ポリブタジエンジオールと(メタ)アクリル酸のエステル化反応物、ポリイソプレンジオールと(メタ)アクリル酸のエステル化反応物、水素化ポリブタジエンジオールと(メタ)アクリル酸のエステル化反応物、水素化ポリイソプレンジオールと(メタ)アクリル酸のエステル化反応物、ポリブタジエンジオールと(メタ)アクリル酸クロライドのエステル化反応物、ポリイソプレンジオールと(メタ)アクリル酸クロライドのエステル化反応物、水素化ポリブタジエンジオールと(メタ)アクリル酸クロライドのエステル化反応物及び水素化ポリイソプレンジオールと(メタ)アクリル酸クロライドのエステル化反応物等が挙げられる。
エステル交換反応物の例としては、ポリブタジエンジオールとアルキル(メタ)アクリレートのエステル交換反応物、ポリイソプレジオールとアルキル(メタ)アクリレートのエステル交換反応物、水素化ポリブタジエンジオールとアルキル(メタ)アクリレートのエステル交換反応物及び水素化ポリイソプレジオールとアルキル(メタ)アクリレートのエステル交換反応物、等が挙げられる。
(A3)の具体例としては、イソプレン重合体と無水マレイン酸付加物とヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの反応物が挙げられる。
(A)成分は市販されており、(A1)の具体例としては、日本曹達(株)製「TEA−1000」(ポリブタジエン系ウレタンアクリレートオリゴマー、Mn:約3,000)、日本曹達(株)製「TEAI−1000」(水素添加ポリブタジエン系ウレタンアクリレートオリゴマー)、日本曹達(株)製「TE−2000」(ポリブタジエン系ウレタンメタクリレートオリゴマー)、サートマー社製「CN9014」(ポリブタジエン系ウレタンアクリレート)、サートマー社製「CN301」(ポリブタジエン系ジメタクリレート)、サートマー社製「CN303」(ポリブタジエン系ジメタクリレート)、サートマー社製「CN307」(ポリブタジエン系ジアクリレート)等が挙げられる。
(A2)の具体例としては、大阪有機化学工業(株)製「BAC−45」(ポリブタジエン系ジアクリレート、Mn:5,000)等が挙げられる。
(A3)の具体例としては、(株)クラレ製「UC−203」(イソプレン重合物の無水マレイン酸付加物と2−ヒドロキシエチルメタクリレートとのエステル化物オリゴマー、Mn:約30,000)等が挙げられる。
これら化合物の中でも、アクリロイル基を有する「TEAI−1000」、「TEA−1000」、「CN9014」、「CN307」及び「BAC−45」は光硬化性が良好な点で好ましい。
(A)成分としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン及び/又はこれらが水素添加された骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
ポリブタジエン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーのより好ましい例としては、ポリブタジエン両末端に(メタ)アクリロイル基が結合した化合物である。
当該化合物は市販されており、ポリブタジエン両末端にアクリロイル基が結合した化合物としては、大阪有機化学工業(株)製BAC−45(Mn:5,000)、ポリブタジエン骨格の両末端に、ウレタン(メタ)アクリロイル基が結合した化合物としては、日本曹達(株)製TEA−1000(Mn:約3,000)やTE−2000(Mn:約3,000)等を挙げることができる。
ポリイソプレン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーの好ましい化合物としては、前記した(A3)が挙げられる。
前記した通り、当該化合物は市販されており、ポリイソプレンの無水マレイン酸付加物と2−ヒドロキシエチルメタクリレートとのエステル化物である、クラレ(株)UC−203(Mn約30,000)等を挙げることができる。
ポリブタジエン又はポリイソプレンの水素添加された骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーの好ましい化合物としては、水添ポリブタジエン骨格の両末端に、ウレタン(メタ)アクリロイル基が結合した化合物が挙げられる。
当該化合物は市販されており、日本曹達(株)製TEAI−1000(Mn約3,000〜9,000)等を挙げることができる。
(A)成分の割合は、硬化性成分合計量中に30〜97重量%とする必要があり、好ましくは50〜90重量%である。
(A)成分の割合が30重量%に満たないと、硬化膜を有機溶剤に浸漬したのちに十分な基材への密着性が得られなくなるおそれがあり、一方、97重量%を超えると、(A)成分の凝集力が低いために初期密着力が低下するおそれがある。
2.(B)成分
(B)成分は、1個以上のエチレン性不飽和基を有し、同重量部のn−ヘキサンに対し相溶せずに分液する化合物である。
(B)成分は、(A)成分のみでは得られない凝集力を組成物に付与し、基材への密着性を向上させるものである。但し、(B)成分は、(A)成分との相溶性は低いため、70重量%以上添加すると均一な組成物とならないおそれがあり、所望の効果を得るためには3〜70重量%とする必要がある。
(B)成分として適用できる成分は、凝集力の指標として、低極性溶媒に対する溶解性が極めて低いことを確認して選べばよいが、本発明では、取り扱いが容易で好適な低極性溶媒としてn−ヘキサンを使用して確認する。本発明者の検討によれば、同重量のn−ヘキサンと混合・撹拌したのちに、分液するようなものを選べば、組成物に十分な凝集力を付与できることが明らかとなっている。(B)成分は、1分子内に1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物であれば特に制限はない。
エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、スチリル基等のビニル結合、(メタ)アクリロイル基及び(メタ)アクリルアミド基等が挙げられる。エチレン性不飽和基としては、他成分との共重合性に優れることから(メタ)アクリロイル基と(メタ)アクリルアミド基が好ましい。
(B)成分のうち、分子内にエチレン性不飽和基を1個有する化合物としては、(A)成分よりも凝集力が高い化合物が好ましく、置換基として、芳香族基、アミド基、イミド基等を有する化合物が挙げられる。
芳香族基としては、単環芳香族炭化水素基のフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、クミル基等、縮合多環芳香族炭化水素基のナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基等、また、複数の芳香族環よりなる芳香族炭化水素基のビフェニル基(フェニルフェニル基)、p−クミルフェニル基、ターフェニル基等が好ましく挙げられる。
(B)成分は、芳香族環を有する化合物、水酸基を有する化合物、または芳香族に加え水酸基を有する化合物、アミド基を有する化合物、またはアミド基に加え水酸基を有する化合物、イミド基を有する化合物がより好ましく、中でも、フェノキシエチル基及びフェニルフェノキシエチル基を有する化合物が更に好ましい。
(B)成分の好ましい具体例としては、芳香族基としてフェニル基を含有する、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシ(ポリアルキレンオキシ)(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート及び、芳香族基としてフェニルフェニル基(ビフェニル基)を含有する、o−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、m−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、p−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノキシプロピル(メタ)アクリレート、m−フェニルフェノキシプロピル(メタ)アクリレート、p−フェニルフェノキシプロピル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノキシ(ポリアルキレンオキシ)(メタ)アクリレート、m−フェニルフェノキシ(ポリアルキレンオキシ)(メタ)アクリレート、p−フェニルフェノキシ(ポリアルキレンオキシ)(メタ)アクリレート、o−フェニルフェニル(メタ)アクリレート、m−フェニルフェニル(メタ)アクリレート及びp−フェニルフェニル(メタ)アクリレート等;並びに芳香族基としてp−クミルフェニル基を含有する、p−クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、p−クミルフェノキシプロピル(メタ)アクリレート、p−クミルフェノキシ(ポリアルキレンオキシ)(メタ)アクリレート及びp−クミルフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、前記化合物において、「ポリアルキレンオキシ」とは、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド単位の繰り返しが2〜10のものを意味する。
(メタ)アクリルアミドとしては、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。
イミド基を有するものとしては、N−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド及び2−(シクロヘキサ−1−エン−1,2−ジカルボキシミド)エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これら化合物の中でも、フェノキシエチルアクリレート、フェニルフェノキシエチルアクリレートが耐溶剤性に優れるためより好ましい。
二官能(メタ)アクリレートとしては、具体的には、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。このほかに、ビスフェノール骨格や、ポリエーテル骨格、ポリアルキレン骨格を有するエポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル骨格、ポリエーテル骨格、ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート、およびポリエステル(メタ)アクリレート等も用いることができる。
三官能以上の(メタ)アクリレートとして、具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート及びトリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。このほかに、水酸基を有する多官能(メタ)アクリレートとポリイソシアネートとをウレタン化させることで得られる、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、ノボラック骨格を有する多官能エポキシ(メタ)アクリレート等、多官能ポリエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これら化合物の中でも、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、多官能エポキシ(メタ)アクリレートがより好ましい。
これらは市販されており、具体的には、東亞合成(株)製アロニックスM−305(ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート混合物)、M−309(トリメチロールプロパントリアクリレート)、M−310(トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性(3モル)トリアクリレート)、M−315(イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリトリアクリレート)、M−320(トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性(6モル)トリアクリレート)、M−350(トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート)、M−360(トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性(6モル)トリアクリレート)、M−402(ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート混合物)、M−404(ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート混合物)、M−408(ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート)、M−450(ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート混合物)、M−8060(ポリエステルアクリレート)、共栄社化学(株)製UA−306H(ペンタエリスリトールトリアクリレート・ヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー)、UA−306T(ペンタエリスリトールトリアクリレート・トリレンジイソシアネートウレタンプレポリマー)、UA−306I(ペンタエリスリトールトリアクリレート・イソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー)、UA−510H(ジペンタエリスリトールペンタアクリレート・ヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー)、エポキシエステル70PA(プロピレングリコールジグリシジルエーテルのエポキシアクリレート)、エポキシエステル80MFA(グリセリンジグリシジルエーテルのエポキシアクリレート)等が挙げられる。
(B)成分の割合は、硬化性成分合計量中に3〜70重量%とする必要があり、好ましくは5〜50重量%である。
(B)成分の割合を3重量%に満たないと、硬化膜の初期密着性が低下してしまい、一方、70重量%に超えると、組成物に分離による濁りが発生してしまい、又、良好な内部硬化性を得ることができない。
3.(C)成分
(C)成分は、1個のエチレン性不飽和基を有する化合物の化合物であって、同重量のn−ヘキサンと混合でき、かつ同重量の(B)成分とも溶解できる化合物である。
但し、(C)成分は、エステル部位に炭素数4〜20のアルキル基、アルケニル基、環状アルキル基又は環状アルケニル基(以下、これらの基をまとめて「アルキル基等」という)を有し、1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートを除いたものである。
(C)成分は、(B)成分として用いる化合物との相溶性を実験的に確認し選べばよいが、エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、アリル基等が挙げられ、これらの中でも他成分との共重合性に優れることから(メタ)アクリロイル基が好ましい。
(C)成分において1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の具体例としては、炭素数3以下のアルキル(メタ)アクリレート、炭素数が3以下のカルビトール(メタ)アクリレート及びテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の環状エーテル基を有する(メタ)アクリレート等が好しい。
炭素数3以下のアルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート及びプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
炭素数3以下のカルビトール(メタ)アクリレートとしては、エチルカルビトール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(C)成分において、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、アルキル基を骨格に有する化合物が挙げられる。
当該化合物の具体例としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート及び1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(C)成分としては、同重量のn−ヘキサンと均一に混合でき、かつ同重量の(B)成分とも均一に溶解できる化合物が好ましく、前記に挙げた化合物は当該化合物に該当する。
但し、n−ヘキサンと混合した時に、溶解し分液しないものの、溶液に若干の濁りが見られる、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレートのような化合物も(C)成分として用いることができる。
(C)成分の割合としては、硬化性成分合計量中に0〜57重量%とする必要があり、好ましくは5〜40重量%である。(C)成分は、(A)成分と(B)成分の相溶性を向上させる目的で使用される。(C)成分の割合が57重量%を超えると、1個のエチレン性不飽和基を有する化合物の場合、組成物の硬化膜の耐溶剤性が不十分となり、溶剤浸漬後に膨潤や部分的な硬化膜の溶解により硬化膜が剥がれるおそれがあり、2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物の場合、凝集力が不足して初期密着性が得られなくなるおそれがある。
4.その他の成分
本発明の組成物は、上記(A)〜(C)成分を必須成分とするものであるが、コーティング剤として通常使用される種々の成分を、目的及び用途に応じて配合することができる。
好ましい成分としては、光ラジカル重合開始剤〔以下、「(D)成分」という〕が挙げられ、これ以外にも、光酸発生剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、粘着性付与剤、チオール化合物、可塑剤、フィラー、蛍光剤、色素、顔料、分散剤及び/又は帯電防止剤等が挙げられる。
例えば太陽電池用途のように、屋外での熱や光に対して長期にわたり十分な耐久性を保持する目的では、硬化膜の耐熱性及び耐候性等の耐久性を高めるため、酸化防止剤、紫外線吸収剤又は/及び光安定剤を使用することが好ましい。硬化膜と基材との界面接着強度を改善する目的では、光酸発生剤又は/及びシランカップリング剤を使用することが好ましい。密着性向上の目的では、基材界面との応力を低減することで効果があるチオール化合物を使用することが好ましい。絶縁不良個所の検出を容易にする導電性物質等のフィラーを使用することが好ましい。組成物の塗膜又は活性エネルギー線照射後の硬化膜を容易に確認できるという工程管理を容易にする目的では、蛍光剤又は色素を使用することが好ましい。
以下、これらの成分について具体的に説明する。
尚、その他の成分の説明で挙げた具体的化合物は、当該化合物を単独で使用しても良く、又は2種類以上組合せて使用しても良い。
1)(D)成分
(D)成分は、光ラジカル重合開始剤である。
(D)成分は、活性エネルギー線の照射によってラジカルを発生し、エチレン性不飽和基を有する化合物の重合を開始する化合物である。活性エネルギー線として、電子線を用いる場合には(D)成分を必ずしも配合する必要はない。
(D)成分の具体例としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−1−(メチルビニル)フェニル]プロパノン、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチループロピオニル)ベンジル]フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)]フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オン、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−オクチルカルバゾール、フェニルグリオキシ酸メチル、エチルアントラキノン及びフェナントレンキノン等の芳香族ケトン化合物;
ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−(メチルフェニルチオ)フェニルフェニルメタン、メチル−2−ベンゾフェノン、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフォニル)プロパン−1−オン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン及び4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィネート及びビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド化合物;
チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルチオキサントン、3−[3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イル−オキシ]−2−ヒドロキシプロピル−N,N,N―トリメチルアンモニウムクロライド及びフルオロチオキサントン等のチオキサントン系化合物等が挙げられる。
これら化合物の中でも、α−ヒドロキシフェニルケトン類が、大気下において、薄膜のコーティングであっても表面硬化性が良好で好ましく、具体的には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンがより好ましい。
又、硬化膜の膜厚を厚くする必要がある場合、例えば50μm以上とする必要がある場合は、硬化膜内部の硬化性を向上させる目的で、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィネート及びビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド化合物や、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)]フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタンー1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン等を併用することが好ましい。
(D)成分の含有割合は、硬化性成分合計量100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、より好ましくは1〜10重量部である。(D)成分の割合を0.1重量部以上にすることで、組成物の光硬化性を良好にし、密着性に優れるものとすることができ、20重量部以下とすることで、硬化膜の内部硬化性が良好にすることができ、基材との密着性を良好にすることができる。
2)光酸発生剤
光酸発生剤は、本成分を含む組成物に活性エネルギー線を照射することで酸を発生する化合物である。本成分を用いることで、得られる硬化膜の基材に対する密着性が向上する。本発明の組成物の主反応は、ラジカル反応であるため、本成分がどのような関与をしているのかは不明であるが、金属基材表面に対して、何らかの改質作用をしているものと推測される。
光酸発生剤としては、光カチオン重合開始剤として知られている化合物を使用することができる。具体的な例としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、セレニウム塩、ピリジニウム塩、フェロセニウム塩、ホスホニウム塩、及びチオピリニウム塩等のオニウム塩が挙げられるが、より好ましくは、芳香族スルホニウム塩及び芳香族ヨードニウム塩である。又、アニオン成分としては、BF4 -、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -、及びB(C654 -等が挙げられるが、特に好ましくはPF6 -、及びB(C654 -である。
光酸発生剤は、市販されており、例えば下記の化合物が挙げられる。
芳香族スルホニウム塩としては、ダウ・ケミカル(株)製のサイラキュアーUVI−6992及びUVI−6974や、旭電化工業(株)製のアデカオプトマーSP−150、SP−152、SP−170、及びSP−172、サンアプロ(株)製のCPI−100P及びCPI−101A等が挙げられる。
芳香族ヨードニウム塩としては、GE東芝シリコーン社製UV−9380C、ローディア社製PHOTOINITIATOR2074、和光純薬工業(株)製WPI−116及びWPI−113、日本曹達(株)製CI−5102等が挙げられる。
光酸発生剤の配合割合として、目的に応じて適宜設定すれば良く、硬化性成分合計量100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜10重量部、特に好ましくは1〜5重量部である。光酸発生剤の配合割合を、0.1〜20重量部とすることにより、基材の腐食を防止したうえで、密着性を向上させることができる。
3)シランカップリング剤
シランカップリング剤は、硬化膜と基材との界面接着強度を改善する目的で配合する。
シランカップリング剤としては、基材との接着性向上に寄与できるものであれば特に限定されるものではない。
シランカップリング剤としては、具体的には、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル-N-(1,3−ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
シランカップリング剤の配合割合は、目的に応じて適宜設定すれば良く、硬化性成分合計量100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましく、より好ましくは1〜5重量部である。
配合割合を0.1重量部以上にすることで、組成物の接着力を向上させることができ、一方、10重量部以下とすることで、接着力の経時変化を防止することができる。
4)酸化防止剤
酸化防止剤は、硬化膜の耐熱性、耐候性等の耐久性を向上させる目的で配合する。
酸化防止剤としては、たとえばフェノール系酸化防止剤やリン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、たとえば、ジt−ブチルヒドロキシトルエン等のヒンダードフェノール類を挙げることができる。市販されているものとしては、(株)アデカ製のAO−20、AO−30、AO−40、AO−50、AO−60、AO−70、AO−80等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン等のホスフィン類や、亜リン酸トリアルキルや亜リン酸トリアリール等が挙げられる。これらの誘導体で市販品としては、たとえば(株)アデカ製、アデカスタブPEP−4C、PEP−8、PEP−24G、PEP−36、HP−10、260、522A、329K、1178、1500、135A、3010等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、チオエーテル系化合物が挙げられ、市販品としては(株)アデカ製AO−23、AO−412S、AO−503A等が挙げられる。
これらは1種を用いても2種類以上を用いてもよい。これら酸化防止剤の好ましい組合せとしては、フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤との併用、及びフェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤の併用が挙げられる。
酸化防止剤の配合割合としては、目的に応じて適宜設定すれば良く、硬化性成分合計量100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜1重量部である。
配合割合を0.1重量部以上とすることで、組成物の耐久性を向上させることができ、一方、5重量部以下とすることで、硬化性や密着性を良好にすることができる。
5)光安定剤
本発明に用いられる光安定剤としては、たとえばヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。市販品としては、BASF社製、TINUVIN 111FDL、TINUVIN123、TINUVIN 144、TINUVIN 152、TINUVIN 292、TINUVIN 5100等が挙げられる。これら酸化防止剤は1種を用いても2種類以上を用いてもよい。
光安定剤の配合割合は、目的に応じて適宜設定すれば良く、硬化性成分合計量100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜1重量部である。0.01重量部以上にすることで、組成物から得られるコーティング膜の耐久性を向上させることができ、5重量部以下とすることで良好な硬化性が得られる。
6)紫外線吸収剤
紫外線吸収剤は、硬化膜の耐光性を向上させる目的で配合する。
紫外線吸収剤としては、BASF社製TINUVIN400、TINUVIN405、TINUVIN460、TINUVIN479等のトリアジン系紫外線吸収剤や、TINUVIN900、TINUVIN928、TINUVIN1130等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を挙げることができる。
紫外線吸収剤の配合割合としては、目的に応じて適宜設定すれば良く、硬化性成分合計量100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜1重量部である。配合割合を0.01重量%以上とすることで、硬化膜の耐光性を良好なものとすることができ、一方、5重量%以下とすることで、組成物の硬化性に優れるものとすることができる。
7)粘着性付与剤
本発明の組成物には、基材に対する密着性をさらに向上させる目的で、粘着付与剤(タッキファイヤー)を添加することもできる。
これらの種類は特に限定されず、例えば、ロジン系樹脂、ロジンフェノール系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂、フェノール系樹脂、ケトン系樹脂、アミド系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。具体的には、ロジン系樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の原料ロジン類の他、これらに対応するロジン誘導体が挙げられる。ロジンフェノール系樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油等のロジンとフェノールとを共重合したロジンフェノール樹脂の他、これらに対応するロジンフェノール系樹脂をエステル化、水素添加、不均化、二量化したロジンフェノール樹脂等が挙げられる。テルペン系樹脂としては、例えば、α−ピネン、β―ピネン等のテルペンを重合したテルペン樹脂等が挙げられる。石油樹脂としては、例えば、脂肪族炭化水素系石油樹脂、例えば、芳香族炭化水素系石油樹脂、例えば、ノルボルネン樹脂等の脂環式炭化水素系石油樹脂等が挙げられる。フェノール系樹脂としては、例えば、フェノール、クレゾール等のフェノール類と、アルデヒドとを重縮合したフェノール樹脂等が挙げられる。ケトン系樹脂としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトンと、ホルムアルデヒドとを重縮合したケトン樹脂等が挙げられる。アミド系樹脂としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−又は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシルメタン)、m−又はp−キシリレンジアミン等のジアミンと、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸とを重縮合したポリアミド、例えば、ε−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカンカルボン酸等のアミノカルボン酸が重縮合したポリアミド、例えば、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム等のラクタムが重縮合したポリアミド等が挙げられる。エポキシ系樹脂としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリコールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
粘着付与剤の配合割合としては、目的に応じて適宜設定すれば良く、硬化性成分合計量100重量部に対して5〜100重量部が好ましい。粘着付与剤は、組成物中に均一に存在していてもよいし、偏在していてもよい。又、組成物のヘイズについても、活性エネルギー線硬化に支障がない範囲であれば特に制限されない。
8)チオール化合物
本発明の組成物は、硬化膜が基材に対する密着性に優れるものであるが、さらなる密着性向上の目的や基材の種類に従い、必要に応じてチオール化合物を添加することができる。チオール化合物は、硬化過程において、硬化膜と基材界面との応力を緩和し密着性をさらに向上させることができる。
チオール化合物は、分子中にチオール基が一つの単官能チオール化合物と、分子中に複数のチオール基を有する多官能チオール化合物のいずれも用いることができる。具体的なものとしては、チオグリコール酸、チオグリコール酸モノエタノールアミン、チオグリコール酸メチル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸メトキシブチル、エチレングリコールビスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオグリコレート、ヘキサンジオールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、3−メルカプトプロピオン酸、メルカプトプロピオン酸メチル、メルカプトプロピオン酸メトキシブチル、メルカプトプロピオン酸オクチル、メルカプトプロピオン酸トリデシル、エチレングリコールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)及びトリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)等を挙げることができる。
これらの中でも、組成物の保存安定性が要求される場合には、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)及びトリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)等の2級チオールを使用することが好ましい。
チオール化合物の配合割合としては、硬化性成分合計量100重量部に対して0.1〜30重量部であることが好ましく、より好ましくは1〜10重量部である。添加部数を0.1重量部以上とすることで基材に対する密着性が改善でき、30重量部以下とすることで良好な耐溶剤性が得られる。
9)可塑剤
本発明の組成物には、基材に対する密着性をさらに向上させる目的で、可塑剤を添加することもできる。
可塑剤として、本発明の組成物における必須成分と相溶するものが好ましく、ポリマー、オリゴマー、フタル酸エステル類及びヒマシ油類等を挙げることができる。
オリゴマー又はポリマーとしては、ポリイソプレン系、ポリブタジエン系又はキシレン系のオリゴマー又はポリマーを例示できる。これらオリゴマー又はポリマーは市販されており、(株)クラレ製LIRシリーズ、デグッサ社製ポリオイルシリーズ等が挙げられる。
可塑剤の配合割合は、目的に応じて適宜設定すれば良く、硬化性成分合計量100重量部に対して300重量部以下が好ましく、より好ましくは200重量部以下である。
10)フィラー
本発明の組成物は、コーティング剤で通常使用されるフィラーを使用することができる。
さらに、得られる硬化膜に絶縁性が要求される場合には、不良個所検出の目的等で部分的に抵抗値を下げる目的で、フィラーとしてアセチレンブラック等のカーボンブラックや、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ等を添加してもよい。
フィラーの配合割合は、目的に応じて適宜設定すれば良く、硬化性成分合計量100重量部に対して50重量部以下が好ましく、より好ましくは20重量部以下である。
カーボンブラックとしては、種々の化合物を使用することができる。具体的には、三菱化学(株)製#2650、#2600、#2350、#2300、#1000、#980、#970、#960、#950、#900、#850、MCF88、MA600、#750B、#650B、#52、#47、#45、#45L、#44、#40、#33、#32、#30、#25、#20、#10、#5、#95、#85、#260、MA77、MA7、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA100S、MA230、MA220、MA14、#4000B、#3030B、#3050B、#3250B、#3230B、#3400B、オリオン・エンジニアド・カーボンズ社製Color Black FW200、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW1、Color Black FW18、Special Black 6、Color Black S170、Color Black S160、Special Black5、Special Black4、Special Black4A、Printex 150T、Printex U、Printex V、Printex 140U、Printex 140V、Printex 95、Printex 90、Printex 85、Printex 80、Printex 75、Printex 55、Printex 45、Printex 40、Printex P、Printex 60、Printex L6、Printex L、Printex 300、Printex 30、Printex ES23、Printex 3、Printex 35、Printex 25、Printex 200、Printex A、Printex G、Printex XE2等を挙げることができる。
カーボンブラックを使用する場合の配合割合としては、硬化性成分合計量100重量部に対して5重量部以下が好ましく、2重量部以下が好ましい。
カーボンナノチューブとしては、種々の化合物を使用することができ、単層カーボンナノチューブ及び多層カーボンナノチューブのいずれも使用することができる。
多層カーボンナノチューブとしては、具体的には、バイエルマテリアルサイエンス社製Baytubes C70P、C150P等、NANOCS社製CNTM5、CNTM15、CNTM30、CNTM40、CNTM60等、昭和電工(株)製VGCF−H等を挙げることができる。
単層カーボンナノチューブとしては、KH Chemicals社製カーボンナノチューブである、KH SWCNT HP、シグマ−アルドリッチ社製SWeNT CG100、SG65、SG76、CG200等を挙げることができる。
カーボンナノチューブを使用する場合の好ましい配合割合としては、硬化性成分合計量100重量部に対して5重量部以下、より好ましくは0.01重量部以下が好ましい。当該配合割合とすることで、カーボンナノチューブが凝集して塊となってしまい、コーティング剤組成物のハンドリング性が損なわれてしまうことを防止することができる。
又、カーボンブラックやカーボンナノチューブを1重量部以上用いる場合は、組成物に紫外線や可視光線が透過しにくくなるため、電子線を照射して硬化させることが好ましい。
11)蛍光剤・色素・顔料
本発明の組成物は、硬化膜が透明な所謂クリアコート剤として使用することができるが、基材上において、組成物を基材に塗工した後に塗膜の有無を確認したり、活性エネルギー線照射後に硬化膜の有無を目視等で確認する目的で、蛍光剤、色素又は/及び顔料を添加してもよい。
蛍光剤の具体例としては、ベンゾオキサゾリルチオフェン誘導体及びジスチリル・ビフェニル誘導体等を挙げることができる。
蛍光光剤は市販されており、例えば、BASF社製、UVITEX OB、UVITEX NFW Liquid等が挙げられる。
色素の具体例としては、油溶性タール色素、カロテン色素及びアナトー色素等が挙げることができる。
顔料としては、有機顔料及び無機顔料等が挙げられる。
有機顔料の具体例としては、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザエロー、ベンジジンエロー及びピラゾロンレッド等の不溶性アゾ顔料;リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット及びパーマネントレッド2B等の溶性アゾ顔料;アリザリン、インダントロン及びチオインジゴマルーン等の建染染料からの誘導体;フタロシアニンブルー及びフタロシアニングリーン等のフタロシアニン系有機顔料;キナクリドンレッド及びキナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系有機顔料、ペリレンレッド及びペリレンスカーレット等のペリレン系有機顔料;イソインドリノンエロー及びイソインドリノンオレンジ等のイソインドリノン系有機顔料;ピランスロンレッド及びピランスロンオレンジ等のピランスロン系有機顔料;チオインジゴ系有機顔料;縮合アゾ系有機顔料;ベンズイミダゾロン系有機顔料;キノフタロンエロー等のキノフタロン系有機顔料、イソインドリンエロー等のイソインドリン系有機顔料;並びにその他の顔料として、フラバンスロンエロー、アシルアミドエロー、ニッケルアゾエロー、銅アゾメチンエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド及びジオキサジンバイオレット等が挙げられる。
又、前記無機顔料の具体例としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック及び合成鉄黒等を挙げることができる。尚、前記フィラーで例示したカーボンブラックは、無機顔料としても使用することができる。
蛍光剤を用いた場合には、組成物の塗膜又は硬化膜を有する基材表面にブラックライトやUV−LEDを照射することで硬化膜の有無を容易に判別でき、色素を用いた場合は、目視により簡便に硬化膜の有無を判別することができる。
蛍光剤及び色素のいずれを使用するかは、目的に応じて適宜設定すれば良い。判定しやすさの観点からは色素が好ましいが、組成物の硬化速度や内部硬化性を低下させる場合がある。一方、蛍光剤は、たとえば0.0001重量部というような極めてわずかな添加部数でも感度よく判定でき、さらに組成物の硬化速度や内部硬化性への影響がほとんどないため、より好ましい。
蛍光剤及び色素の配合割合としては、多くなりすぎると、活性エネルギー線として紫外線や可視光線を用いた場合に組成物の硬化性を悪化させる恐れがあるため、なるべく少量の添加とすることが好ましい。
蛍光剤及び色素の配合割合としては、いずれの場合も硬化性成分合計量100重量部に対して1重量部以下が好ましく、より好ましくは0.1重量部以下である。
12)分散剤
本発明の組成物にカーボンブラック等のフィラーや顔料等を配合する場合、これらの沈降や凝集を防ぐために分散剤を添加することもできる。
分散剤の使用量はフィラー及び顔料等の合計量100重量部に対して0.001〜10重量部が好ましく、0.01〜5重量部がより好ましい。
分散剤としては、低分子量の共重合体が挙げられる。分子中にカルボン酸を持つものや、アミン又はアンモニウム塩を持つもの、あるいはこれらの両方を持つもの、ポリエーテル、ポリエーテル重合物のリン酸エステル、変性ポリエステル、脂肪酸誘導体、大豆レシチン変性物などが使用でき、これらにシリコーン系添加剤が含まれていてもよい。
具体例としては、ビックケミー・ジャパン株式会社製DISPERBYK−170/171、DISPERBYK−174、DISPERBYK−180、DISPERBYK−182、DISPERBYK−183/185、DISPERBYK−184、DISPERBYK−2000、DISPERBYK−2001、DISPERBYK−2008、DISPERBYK−2009、DISPERBYK−2025、DISPERBYK−2050、DISPERBYK−2070、DISPERBYK−2096、DISPERBYK−2150、DISPERBYK−2155、DISPERBYK−2163、DISPERBYK−2164、BYK−P104/P104S、BYK−P105、BYK−9076、BYK−9077、BYK−220S、ANTI−TERRA−U/U100、ANTI−TERRA−204/205、DISPERBYK−204/205、DISPERBYK−101、DISPERBYK−102、DISPERBYK−103、DISPERBYK−106、DISPERBYK−108、DISPERBYK−109、DISPERBYK−110/111、DISPERBYK−112、DISPERBYK−116、DISPERBYK−130、DISPERBYK−140、DISPERBYK−142、DISPERBYK−145、DISPERBYK−161、DISPERBYK−162/163、DISPERBYK−164、DISPERBYK−166、DISPERBYK−167、DISPERBYK−168等、エボニックデグサ社製、TEGO Dispers 610、TEGO Dispers 610S、TEGO Dispers 630、TEGO Dispers 650、TEGO Dispers 655、TEGO Dispers 652、TEGO Dispers 662C、TEGO Dispers 670、TEGO Dispers 685、TEGO Dispers 700、TEGO Dispers 710等、共栄社化学(株)製フローレンDOPA−15B、DOPA−15BHFS、DOPA−17HF、DOPA−22、DOPA−33、G−600、G−700、G−820、G−900、NC−500、KDG−2400、AF−205、AF−405、AF−505、AF−1000、AF−1005、NAF−250等、を挙げることができるが、これらに限定されない。
フィラーや顔料等を使用する場合において、これら分散剤を用いない場合は塗工前に撹拌することで均一な組成物とすることもできる。撹拌方法は特に限定されず任意の方法を用いることができるが、例としてはディスパー、遊星式撹拌脱泡装置、超音波撹拌装置等を挙げることができる。
13)帯電防止剤
本発明の組成物は、絶縁性に優れるものであるが、必要に応じて帯電防止剤を加えることにより、さらなる抵抗値の低減が可能となる。又、帯電防止剤を配合することにより硬化膜の抵抗値を低下させることで、不良個所を検出することができる。
帯電防止剤としては、電導性帯電防止剤が好ましい。電導性帯電防止剤としては、アルカリ金属塩、4級アンモニウム塩、イミダゾリウム塩及びピリジニウム塩等のカチオン性化合物、有機ホウ素錯体、並びにイオン性液体等が挙げられる。これらの帯電防止剤は、組成物中に溶解し、沈降することがない点でも好ましい。
電導性帯電防止剤としては、カチオン性化合物が好ましく、アルカリ金属塩が好ましい。アルカリ金属塩としては、さらにリチウム金属塩が好ましい。
リチウム金属塩の具体例としては、イミドリチウム、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン等のリチウムトリフレート及びトリフルオロメタンスルホン酸リチウム等が挙げられる。
カチオン性化合物としては、各種の市販品を利用することができる。
その具体例としては、例えば、吉村油化学(株)製のエリークLS−30、エリークPS−909及びエリークSEI−52等のアルキルアミン4級アンモニウム塩型帯電防止剤;
ライオンアクゾ(株)製のアーカードC−50、アーカードT−50、第一工業製薬(株)製のカチオーゲンL、コルコート(株)製のコルコートNR−121X、コルコートNR−121X−9、コルコートNR−121X−9IPA及びサンノプコ(株)製のノプコスタット092等の4級アンモニウム塩型帯電防止剤;
サンノプコ(株)製のノプコスタットSN A−2等のイミダゾリン型帯電防止剤;並びに
三光化学工業(株)製のサンコノールMEK−50R(化学名:リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)、サンコノールPETA−20R、サンコノールA600−30R、サンコノールPEO−20R、サンコノールA600−50R及びサンコノールA400−50R等のアルカリ金属塩型帯電防止剤等が挙げられる。
帯電防止剤の含有割合としては、硬化性成分合計量100重量部に対して0.5〜15重量部が好ましく、より好ましくは1〜10重量部である。
帯電防止剤は、さらに色素を組み合わせることにより、視認性も向上させることができる。
帯電防止剤と併用する色素としては、前記と同様の化合物を挙げることができる。
帯電防止剤と色素の併用割合としては、0.0005〜2重量部が好ましい。
5.活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物
組成物の製造方法としては、前記(A)〜(C)成分を、必要に応じてさらにその他成分を、常法に従い攪拌・混合することにより製造することができる。
この場合、必要に応じて加熱することもできる。加熱温度としては、使用する成分、基材及び目的等に応じて適宜設定すれば良いが、30〜80℃が好ましい。
本発明の組成物は、金属基材上に塗工し硬化させた硬化膜が、炭酸ジアルキル及び環状カーボネート混合有機溶剤中に25℃24時間浸漬した後に金属基材から剥離しないものであることが好ましい。
前記炭酸ジアルキルと環状カーボネートの混合比としては、炭酸ジアルキル含有重量:環状カーボネート含有重量が、95:5〜55:45が好ましく、80:20〜60:40がより好ましい。
6.使用方法
本発明の組成物は、コーティング剤として種々の用途に使用することができる。特に、本発明の組成物は、基材変形に対する追従性、耐溶剤性を要求される用途に使用することができる。
本発明の組成物の使用方法としては、常法に従えば良く、基材上の一部又は全部に、本発明の組成物を塗工する工程、及び、塗工された組成物に活性エネルギー線を照射して硬化させる工程、を含む方法が例示される。
基材としては、金属及びプラスチックフィルム等が挙げられる。
本発明の組成物は、基金属基材のコーティング剤として好ましく使用することができる。
金属としては、導電性金属が好ましく、アルミニウム、銅等がより好ましい。基材形状としては、フイルム状、箔が好ましい。アルミ箔(アルミニウムを圧延した薄紙のように伸ばしたフイルム状アルミニウム、アルミホイルともいう。)、銅箔等がより好ましく、アルミニウム箔が特に好ましい。
プラスチックフィルム等における材質としては、例えばポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、セルロース系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、トリアセチルセルロース、シクロオレフィンポリマー、ポリメチルメタクリレート、アクリル/スチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及び塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。
本発明の組成物は、フイルム状基材のコーティング剤として好ましく使用することができる。
さらに、前記フイルム状基材が金属基材であるコーティング剤として好ましく使用することができ、さらに又、前記金属基材がアルミニウムであるコーティング剤として好ましく使用することができる。
基材に対する塗工は、従来知られている方法に従えばよく、ナチュラルコーター、ナイフベルトコーター、フローティングナイフ、ナイフオーバーロール、ナイフオンブランケット、スプレー、ディップ、キスロール、スクイーズロール、リバースロール、エアブレード、カーテンフローコーター、コンマコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ダイコーター及びカーテンコーター等の方法が挙げられる。
本発明の組成物の基材への塗工厚さは、使用する基材及びコーティングされた材料の用途に応じて選択すればよいが、好ましくは1〜100μmであり、より好ましくは5〜40μmである。
又、基材に塗工する前に、層間接着力を大きくするために基材表面に活性化処理を行うことができる。表面活性化処理としてはプラズマ処理、コロナ放電処理、薬液処理、粗面化処理及びエッチング処理、火炎処理等が挙げられ、これらを併用してもよい。
塗工後の組成物に活性エネルギー線を照射して硬化膜を形成、即ちコーティング層を形成する。
活性エネルギー線としては、可視光線、紫外線、X線及び電子線等が挙げられるが、安価な装置を使用することができるため、紫外線が好ましい。
紫外線により硬化させる場合の光源としては、様々のものを使用することができ、例えば加圧或いは高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、無電極放電ランプ、カーボンアーク灯及びLED等が挙げられる。
電子線により硬化させる場合には、使用できるEB照射装置としては種々の装置が使用でき、例えばコックロフトワルトシン型、バンデグラフ型及び共振変圧器型の装置等が挙げられる。
7.金属基材のコーティング剤及び硬化膜を有する金属基材の製造方法
前記した通り、本発明の組成物は、金属基材のコーティング剤として好ましく使用することができ、フィルム状金属基材のコーティング剤としてより好ましく使用することができる。
本発明の組成物を使用する硬化膜を有する金属基材の製造方法(以下、膜付き金属基材製造方法ともいう。)は、金属基材上の一部又は全部に、本発明の組成物を塗工する工程、及び、塗工された組成物に活性エネルギー線を照射して硬化させる工程を含む。
本発明の組成物及び膜付き金属基材製造方法で得られた硬化膜は、金属基材、特にフイルム状金属基材の変形に対する追従性や耐溶剤性に優れているため、PDP用電極保護材、電動自転車用基板回路保護材及びリチウムイオン電池等に用いる電極保護コーティング剤に好適に使用できる。
以下、金属基材製造方法について説明する。
1)金属基材
本発明の膜付き金属基材製造方法で使用する金属基材としては、アルミニウム、銅等が好ましい。基材形状としては、フイルム状、箔状が好ましい。アルミニウム箔、銅箔等がより好ましく、アルミニウム箔が特に好ましい。
用いられるフイルム状金属基材としては、PDP用電極保護材、電動自転車用基板回路保護材及びリチウムイオン電池の正極金属が好ましく、特にリチウムイオン電池用途においては金属基材としてアルミニウム箔が好適に用いられる。
本発明の膜付き金属基材製造方法により形成される金属基材上の硬化層は、前述の金属基材の変形に対する追従性や耐溶剤性に優れているだけではなく、絶縁コーティング剤としても優れた性能を有している。
2)塗工工程
本発明の膜付き金属基材製造方法は、金属基材上の一部又は全部に、本発明の組成物を塗工する工程(塗工工程)を含む。
金属基材に対する塗工方法としては、従来知られている方法に従えばよく、前記と同様の方法が挙げられる。
この場合の本発明の組成物の基材上への塗工厚さは、使用する基材及びコーティングされたコーティング剤の用途に応じて選択すればよいが、好ましくは1〜100μmであり、より好ましくは5〜40μmである。
又、基材上への本発明の組成物の塗工は、必要に応じて、フイルム状金属基材上の一部又は全部に、塗工することが好ましい。
3)硬化工程
本発明の膜付き金属基材製造方法は、塗工された組成物に活性エネルギー線を照射して硬化させる工程(硬化工程)を含むことが好ましい。
この場合に用いられる活性エネルギー線としては、前記と同様のものを使用することができる。
本発明の組成物及び膜付き金属基材製造方法で形成された硬化膜は有機溶剤に対する耐性が良好である。本発明の組成物及び膜付き金属基材製造方法で形成された硬化膜は、種々の有機溶剤に対して良好な耐性を有し、特にリチウムイオン電池の電極材料において電解液として用いられるような有機溶剤に良好な耐性を有する。例えば、炭酸ジエチル等の炭酸ジアルキル、エチレンカーボネート等の環状カーボネート、並びにこれらの混合有機溶媒のような有機溶剤に対する耐性が良好である。
本発明の膜付き金属基材製造方法で形成された硬化膜は、炭酸ジアルキル及び環状カーボネート混合有機溶剤中に25℃24時間浸漬した後に、金属基材から剥離しない優れた性能を有している。
本発明の組成物を用いた本発明の膜付き金属基材製造方法により、所望のフイルム状金属基材上に硬化した絶縁コーティング層を製造することができる。本発明を用いて製造された絶縁コーティング層は優れた基材密着性、耐溶剤性、及び絶縁性を有している。
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。尚、以下の各例における「部」は重量部を意味する。
1.実施例1〜同11、比較例1〜同4(活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物の製造)
下記表1及び表2に示す成分を、表1及び表2に示す割合で、60℃で1時間加熱撹拌して溶解させ、活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物を製造した。
Figure 2014051654
Figure 2014051654
表1及び表2における数字は部数を意味する。又、表1及び表2における略号は、下記の通りである。
1)(A)成分
・BAC45:ポリブタジエン骨格の両末端にアクリロイル基を有するオリゴマー〔大阪有機化学工業(株)製 BAC−45〕
・TEAI1000:水添ポリブタジエン骨格の両末端にウレタンアクリロイル基を有するオリゴマー〔日本曹達(株)製 TEAI−1000〕
・UC203:ポリイソプレンの無水マレイン酸付加物と2−ヒドロキシエチルメタクリレートとのエステル化物である、メタクリロイル基を有するオリゴマー〔クラレ(株)製 UC−203〕
2)(B)成分
・POA:フェノキシエチルアクリレート〔共栄社化学(株)製 ライトアクリレートPO−A〕
・M−106:o−フェニルフェノキシエチルアクリレート〔東亞合成(株)製 アロニックス M−106〕
・M−140:N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド〔東亞合成(株)製 アロニックス M−140〕
・M−305:ペンタエリスリトールトリアクリレート〔東亞合成(株)製 アロニックス M−305〕
・DMAA:N,N−ジメチルアクリルアミド〔(株)興人製 DMAA〕
3)(C)成分
・#190:エチルカルビトールアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製 ビスコート190〕
・THFA:テトラヒドロフルフリルアクリレート〔共栄社化学(株)製 ライトアクリレートTHF−A〕
4)(D)成分
・Irg184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製 IRGACURE184)
・Dar1173:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン (BASF社製 DAROCUR1173)
・Irg651:2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(BASF社製 IRGACURE651)
・Irg819:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド〔BASF社製 IRGACURE819〕
6)その他の成分
・OB:2,5−チオフェネジイルビス(5−tert−ブチル−1,3−ベンゾキサゾール〔BASF社製 UVITEX OB〕
・TMTP:トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート〔淀化学(株)製 トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート(TMTP)〕
・CPI:p−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェートのプロピレンカーボネート溶液〔サンアプロ(株)製のCPI−100P〕
2.硬化膜を有する金属基材の製造
フィルム状金属基材としてアルミ箔〔日本製箔(株)製、商品名:ニッパクホイル(厚さ12μm)〕を用いて、以下の試験を行った。
前記で得られた組成物をバーコーター(#16〜18)により前記アルミ箔フィルム上に25μmの厚みに塗布し、120W/cm集光型の高圧水銀ランプ〔アイグラフィックス(株)製〕を用いて、コンベアスピ−ド10m/minで硬化させ、試験体である硬化膜を有する金属基材を製造した。
紫外線強度は1,250mW/cm2、積算光量は1,800mJ/cm2であった(いずれも光源波長365nmでの値)。
尚、塗工・活性エネルギー線照射は25℃で行ったが、(B)成分としてステアリルアクリレートを含む組成物は、組成物が室温で結晶化するため、60℃にて塗工・活性エネルギー線照射を行った。
得られた試験体を長さ15cm、幅25mmに裁断し、以下の評価を行った。それらの結果を表4に示す。
1)評価方法
(1)初期密着性
試験体の硬化膜表面に、カッターで×印の切り込みを付け、その上に住友スリーエム(株)製メンディングテープを貼り付け、手で剥がして評価した。密着性を以下の3水準で評価した。
◎:硬化膜がアルミ箔表面から剥がれず、さらに切り込み部分からも硬化膜の剥離がなかった。
○:わずかに切り込み部分が欠けたものの、硬化膜がアルミ箔上にほぼ残存した。
×:硬化膜がテープ側に付着した。
(2)耐変形密着性
試験体を、直径10mmの金属製の棒に巻き付け、アルミ箔が変形した時の硬化膜の追従性を、以下の2水準で評価した。
○:基材の変形に追従し剥がれなかった。
×:基材の変形に追従できずに剥がれた。
(3)耐溶剤性:外観
試験体を、炭酸ジエチル/エチレンカーボネート=70/30(重量比)混合液に一晩(25℃で24時間)浸漬し、取り出した後にエアーガンにより空気を吹き付けて表面の溶剤を揮散させ、硬化膜外観を目視で評価し、以下の3水準で評価した。
○:硬化膜外観が浸漬前と変化がなかった。
△:風圧により硬化膜表面が波打った。
×:硬化膜が剥がれていたものや、風圧で塗膜が剥がれた。
(4)耐溶剤性:絶縁性
前記外観を評価した試験体の硬化膜表面と、アルミ箔の非塗工部分とにテスターをあて、導通を調べ、以下の2水準で評価した。
○:導通がなく良好な絶縁性を維持していた。
×:導通が認められた。
Figure 2014051654
2)評価結果
本発明の組成物である実施例1〜11の組成物は、その硬化膜が、基材との密着性、変形に対する追従性に優れ、有機溶剤浸漬後の基材密着性や絶縁性にも優れるものであった。
さらに、蛍光増白剤を含む実施例8の組成物を用いて形成した硬化膜付き基材に、365nmのUV−LEDを備えた懐中電灯NS365HBS(ナイトライド・セミコンダクター(株)製)による照射を行うと、硬化膜部分は発光するが、硬化膜がない基材部分は発光せず、硬化膜の有無を容易に判別することができた。
これに対して(B)成分を含まない比較例1及び同4の組成物、(A)成分を含まない比較例2及び同3の組成物は、その硬化膜が、密着性、変形に対する追従性、有機溶剤浸漬後の基材密着性や絶縁性を満足できないものであった。
本発明の組成物は、各種基材表面へのコーティング剤として、特に金属基材のコーティング剤としてPDP用電極保護材、電動自転車用基板回路保護材及びリチウムイオン電池の正極保護材等に好適に使用できる。

Claims (16)

  1. 硬化性成分として下記(A)〜(C)成分を含む組成物であって、
    硬化性成分合計量中に、(A)成分を30〜97重量%、(B)成分を3〜70重量%及び(C)成分を0〜57重量%の割合で含む活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
    (A)成分:2個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、且つジエン系の骨格又は水素添加されたジエン系の骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマー
    (B)成分:1個以上のエチレン性不飽和基を有し、同重量部のn−ヘキサンに対し相溶せずに分液する化合物
    (C)成分:1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物であって、同重量部のn−ヘキサンと混合でき、かつ同重量部の(B)成分とも混合できる化合物
    但し、(C)成分は、エステル部位に炭素数4〜20のアルキル基、アルケニル基、環状アルキル基又は環状アルケニル基を有し、1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートを除いたものである。
  2. 前記(A)成分が、ポリブタジエン、ポリイソプレン及び/又はこれらが水素添加された骨格を有するオリゴマーである請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
  3. 前記(A)成分が、数平均分子量500〜50,000の化合物である請求項1又は請求項2に記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
  4. さらに、(D)光ラジカル重合開始剤を、硬化性成分合計量100重量部に対して0.1〜20重量部を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
  5. さらに、蛍光剤、色素又は/及び顔料を含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
  6. 金属基材上に塗工・硬化させた硬化膜が、炭酸ジアルキル及び環状カーボネート混合有機溶媒中に25℃で24時間浸漬したのちに、前記硬化膜が金属基材から剥離しないものである請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
  7. 金属基材のコーティング剤である請求項6に記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
  8. 前記基材がフィルム状金属基材である、請求項7に記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
  9. 前記金属基材がアルミニウムである請求項7又は請求項8に記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
  10. 金属基材表面に、請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物の硬化膜が形成された硬化膜を有する金属基材。
  11. 金属基材上の一部又は全部に、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物を塗工する工程、及び、
    塗工された組成物に活性エネルギー線を照射して硬化させる工程を含む
    硬化膜を有する金属基材の製造方法。
  12. 前記金属基材がフィルム状金属基材である請求項11に記載の硬化膜を有する金属基材の製造方法。
  13. 前記金属基材がアルミニウムである請求項11又は請求項12に記載の硬化膜を有する金属基材の製造方法。
  14. 前記金属基材がフィルム状金属基材であり、かつリチウムイオン電池の正極金属である請求項12又は請求項13に記載の硬化膜を有する金属基材の製造方法。
  15. 活性エネルギー線を照射して硬化させた硬化膜が、炭酸ジアルキル及び環状カーボネート混合有機溶剤中に25℃で24時間浸漬した後に、金属基材から剥離しない、請求項11〜請求項14のいずれか1項に記載の硬化膜を有する金属基材の製造方法。
  16. 前記活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物が蛍光剤を含み、
    活性エネルギー線による硬化前又は後に、蛍光を利用して基材上における活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物の塗膜又は硬化膜の有無を確認する工程をさらに含む、
    請求項11〜請求項15のいずれか1項に記載の硬化膜を有する金属基材の製造方法。
JP2013158718A 2012-08-06 2013-07-31 活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物 Pending JP2014051654A (ja)

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