以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係るインクジェット用接着剤(以下、接着剤と記載することがある)は、インクジェット装置によって塗布されて用いられる。本発明に係る接着剤は、スクリーン印刷により塗布される接着剤、及びディスペンサーによる塗布される接着剤等とは異なる。
本発明に係る接着剤は、熱硬化性を有する。本発明に係る接着剤は、光硬化性を有していてもよく、光硬化性を有していなくてもよい。
本発明に係る接着剤は、環状エーテル基を1個有する第1の熱硬化性化合物及び環状エーテル基を1個有し、かつ光反応性官能基を1個以上有する光及び熱硬化性化合物の内の少なくとも一方と、環状エーテル基を2個以上有する第2の熱硬化性化合物と、熱硬化剤とを含む。本発明に係る接着剤は、環状エーテル基を1個有する第1の熱硬化性化合物を含んでいてもよく、環状エーテル基を1個有し、かつ光反応性官能基を1個以上有する光及び熱硬化性化合物を含んでいてもよく、環状エーテル基を1個有する第1の熱硬化性化合物と、環状エーテル基を1個有し、かつ光反応性官能基を1個以上有する光及び熱硬化性化合物とを含んでいてもよい。
本発明に係る接着剤100重量%中、上記第2の熱硬化性化合物の含有量は0.1重量%以上、10重量%以下である。
本発明では、上記の構成が備えられているので、接着剤の保存安定性を高めることができる。例えば、保管中に、粘度が上昇し難くなる。さらに、本発明では、上記の構成が備えられているので、硬化後に接着性を高めることができる。本発明では、優れた保存安定性と、優れた接着性とを両立することができる。
本発明に係る接着剤は、50℃以上、100℃以下に加温した状態で塗布されることが好ましい。本発明では、50℃以上に加温しても、粘度が上昇し難い。
25℃で、365nmでの照度が100mW/cm2になるように積算光量1000mJ/cm2の光をインクジェット用接着剤に照射してBステージ化物を得る。Bステージ化物の25℃での弾性率は好ましくは5.0×102Pa以上、より好ましくは8.0×102Pa以上、好ましくは8.0×104Pa以下、より好ましくは5.0×104Pa以下である。上記弾性率が上記下限以上であると、半導体チップ等の移動が起こりにくくなる。上記弾性率が上記上限以下であると、半導体チップ等の貼り合せ後の接着力がより一層高くなり、ボイドの発生が抑えられる。
上記弾性率は、ティー・エイ・インスツルメント社製の粘弾性測定装置ARESを用いて、25℃、測定プレート:直径8mmの平行プレート、及び周波数1Hzで測定される。なお、本明細書において、上記弾性率は貯蔵弾性率(G’)を意味する。
本発明に係る接着剤は、インクジェット装置を用いて塗布されるので、塗布時に液状であり、一般に25℃で液状である。上記接着剤の25℃及び10rpmでの粘度は好ましくは3mPa・s以上、より好ましくは5mPa・s以上、更に好ましくは160mPa・s以上、好ましくは2000mPa・s以下、より好ましくは1600mPa・s以下、更に好ましくは1500mPa・s以下である。硬化した接着剤の厚み精度をより一層高め、更に硬化した接着剤にボイドをより一層生じ難くする観点からは、上記接着剤の25℃及び10rpmでの粘度は160mPa・s以上、1600mPa・s以下であることが特に好ましい。
上記粘度は、JIS K2283に準拠して、E型粘度計(東機産業社製「TVE22L」)を用いて、25℃で測定される。
硬化した接着剤をより一層高精度に形成し、硬化した接着剤にボイドをより一層生じ難くする観点からは、上記インクジェット用接着剤を循環させながら、塗布することが好ましい。
上記インクジェット装置が、上記接着剤が貯留されるインクタンクと、上記インクタンクと接続されておりかつ上記接着剤が吐出される吐出部と、一端が上記吐出部に接続されており、他端が上記インクタンクに接続されており、かつ内部を上記接着剤が流れる循環流路部とを有することが好ましい。
上記接着剤を塗布する際に、上記インクジェット装置内で、上記接着剤を上記インクタンクから上記吐出部に移動させた後に、上記吐出部から吐出されなかった上記接着剤を、上記循環流路部内を流して上記インクタンクに移動させることにより、上記接着剤を循環させながら、塗布する。上記接着剤を循環させながら塗布すれば、本発明の効果がより一層効果的に得られる。すなわち、硬化した接着剤の厚み精度をより一層高め、更に硬化した接着剤にボイドをより一層生じ難くすることができる。
また、本発明では、厚みの厚い硬化した接着剤を高精度に形成することができる。また、本発明では、多層化された硬化した接着剤であっても、微細かつ高精度に形成することができる。
上記接着剤は、電子部品本体の接着に好適に用いられる。
本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体素子搭載用の支持部材又は半導体素子の表面上に、インクジェット装置によって、上記インクジェット用接着剤を塗布する工程と、光の照射により上記接着剤の硬化を進行させて、Bステージ化接着剤を形成する工程と、上記Bステージ化接着剤の上記支持部材又は上記半導体素子側とは反対の表面上に、半導体素子を積層する工程と、上記半導体素子の積層後に、上記Bステージ化接着剤を熱硬化させる工程とを備える。
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体ウェハの表面上に、インクジェット装置によって、上記インクジェット用接着剤を塗布する工程と、光の照射により上記接着剤の硬化を進行させて、Bステージ化接着剤を形成する工程と、上記Bステージ化接着剤の上記半導体ウェハ側とは反対の表面上に、カバーガラスを積層して、積層体を得る工程と、上記積層体における上記Bステージ化接着剤を熱硬化させる工程と、熱硬化後に上記積層体を切断する工程とを備える。
本発明に係る接着剤を用いれば、硬化した接着剤の厚み精度を高め、更に硬化した接着剤にボイドを生じ難くすることができる。従って、本発明に係る接着剤は、本発明に係る半導体装置の製造方法に好適に使用可能である。
また、本発明に係る電子部品は、第1の電子部品本体と、第2の電子部品本体と、上記第1の電子部品本体と上記第2の電子部品本体とを接続している接着剤とを備える。この電子部品では、上記接着剤が、上記インクジェット用接着剤を、インクジェット装置を用いて塗布し、かつ硬化させて形成されている。
以下、図面を参照しつつ、インクジェト用接着剤を用いた本発明の具体的な実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェット用接着剤を用いて得られる電子部品を模式的に示す正面断面図である。
図1に示す電子部品1は、第1の電子部品本体2と、第1の電子部品本体2の表面上に配置された接着剤3(接着剤層)と、接着剤3の表面上に配置された第2の電子部品本体4とを備える。接着剤3は、硬化した接着剤であり、接着剤層である。接着剤3の第1の表面上に、第1の電子部品本体2が配置されている。接着剤3の第1の表面側とは反対の第2の表面上に、第2の電子部品本体4が配置されている。本実施形態では、接着剤3は硬化した接着剤である。接着剤3を形成するために、上述したインクジェット用接着剤が用いられている。この接着剤が、インクジェット装置によって塗布され、かつ硬化されて、接着剤3が形成されている。
上記電子部品本体としては、具体的には、回路基板、半導体素子(ダイシング後の半導体ウェハも含む)、半導体ウェハ、カバーガラス、コンデンサ、ダイオード、プリント基板、フレキシブルプリント基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等が挙げられる。上記電子部品本体は、半導体素子搭載用の支持部材であってもよい。
硬化した接着剤を高精度に形成することが特に求められることから、上記第1の電子部品本体が、半導体素子又は半導体素子搭載用の支持部材であり、かつ、上記第2の電子部品本体が、半導体素子であるか、又は、上記第1の電子部品本体が、半導体ウェハであり、かつ上記第2の電子部品本体が、カバーガラスであることが好ましい。上記第1の電子部品本体が、半導体素子又は半導体素子搭載用の支持部材であり、かつ、上記第2の電子部品本体が、半導体素子であることが好ましい。上記第1の電子部品本体が、半導体ウェハであり、かつ上記第2の電子部品本体が、カバーガラスであることが好ましい。
第1の電子部品本体及び第2の電子部品本体の少なくとも一方が、半導体素子であることが好ましい。上記電子部品は、半導体素子を備えていることが好ましく、半導体装置であることが好ましい。
以下、図2(a)〜(e)を参照しつつ、図1に示す電子部品の製造方法の一例について説明する。
先ず、図2(a)に示すように、第1の電子部品本体2上に、インクジェット装置11によって、インクジェット用接着剤を塗布して、接着剤12を形成する(塗布工程)。ここでは、第1の電子部品本体2の表面上に、全体に、接着剤を塗布している。塗布後、接着剤の液滴が互いに混ざり合い、図2(b)に示す状態の接着剤12になる。
図3に示すように、インクジェット装置11は内部に、インクタンク21と、吐出部22と、循環流路部23とを有する。
循環流路部23は、循環流路部23内に、バッファタンク23Aとポンプ23Bとを有する。但し、図4に示すインクジェット装置11Xのように、循環流路部23Xは、循環流路部23X内に、バッファタンクとポンプとを有していなくてもよい。上記循環流路部は、上記循環流路部内に、上記バッファタンクを有することが好ましく、上記ポンプを有することが好ましい。また、上記循環流路部は、上記循環流路部内に、バッファタンク及びポンプの他に、流速計、温度計、フィルター、液面センサー等を有していてもよい。
インクタンク21には、上記接着剤が貯留されている。吐出部22(インクジェットヘッド)から、上記接着剤が吐出される。吐出部22は吐出ノズルを含む。インクタンク21に、吐出部22が接続されている。インクタンク21と吐出部22とは流路を介して接続されている。循環流路部23の一端は吐出部22に接続されており、他端はインクタンク21に接続されている。循環流路部23の内部を、上記接着剤が流れる。
バッファタンク23A又はポンプ23Bが備えられる場合には、バッファタンク23A及びポンプ23Bはそれぞれ、吐出部22とインクタンク21との間に配置されることが好ましい。バッファタンク23Aはポンプ23Bよりも吐出部22側に配置されている。ポンプ23Bは、バッファタンク23Aよりもインクタンク21側に配置されている。バッファタンク23Aには、上記接着剤が仮貯留される。
上記吐出部としては、サーマル方式、バブル噴射方式、電磁バルブ方式又はピエゾ方式のインクジェットヘッド等が挙げられる。また、上記吐出部内の循環流路部としては、共通循環流路(マニフォールド)から吐出ノズルへ分岐しているエンドシュータータイプや吐出ノズルをインクが循環するサイドシュータータイプが挙げられる。接着剤の吐出性を高めて、微細な硬化した接着剤の形成精度をより一層高める観点からは、上記インクジェット装置がピエゾ方式のインクジェットヘッドを用いるインクジェット装置であり、上記塗布工程において、ピエゾ素子の作用によって、上記接着剤を塗布することが好ましい。
上記接着剤の循環方法に関しては、インクの自重を利用したり、ポンプ等を利用して加圧、減圧等を行い循環したりすることが可能である。これらは複数組み合わせて用いてもよい。ポンプとしてはシリンダ方式の無脈動ポンプ、プロペラポンプ、ギヤポンプ及びダイヤフラムポンプ等が挙げられる。循環効率を高めて、微細な硬化した接着剤の形成精度をより一層高める観点からは、上記循環流路部は、上記循環流路部内に上記接着剤を移送させるポンプを含むことが好ましい。
上記吐出部の吐出ノズルにおいては、適切な圧力に保ちかつ、その範囲内で圧力変動(脈動)が少ないことが好ましい。ポンプ等を使用する場合にはポンプの脈動を抑えるために、ポンプと上記吐出部との間に減衰器を設けることが好ましい。このような減衰器としては、上記接着剤が仮貯留されるバッファタンクや膜式のダンパ等が挙げられる。
硬化した接着剤をより一層高精度に形成する観点からは、上記循環流路部は、上記循環流路部内に、上記接着剤が仮貯留されるバッファタンクを含むことが好ましい。
上記接着剤を加熱しながら循環させる場合には、上記インクタンク内に加熱ヒーターを導入したり、上記循環流路部に加熱ヒーターを用いたりすることで、上記接着剤の温度を調節することが可能である。
上記接着剤を加熱しながら循環させる場合には、インクタンク21内に加熱ヒーターを導入したり、循環流路部23,23Xに加熱ヒーターを用いたりすることで、上記接着剤の温度を調節することが可能である。
上記の塗布工程において、インクジェット装置11内で、上記接着剤をインクタンク21から吐出部22に移動させた後に、吐出部22から吐出されなかった上記接着剤を、循環流路部23内を流してインクタンク21に移動させる。それによって、上記の塗布工程において、上記接着剤を循環させながら、塗布することが好ましい。
次に、図2(b),(c)に示すように、上記の塗布工程後に、第1の光照射部13から接着剤12に光を照射して、接着剤12の硬化を進行させる(第1の光照射工程)。それによって、第1の光照射部13により光が照射された接着剤12Aが形成される。接着剤12Aは、予備硬化物であり、Bステージ化接着剤である。この上記Bステージ化接着剤の25℃での弾性率を1.0×102Pa以上、8.0×104Pa以下にすることが好ましい。後述する第2の光照射部14から光が照射される場合、第1の光照射部13から照射される光の波長や照射強度と、後述する第2の光照射部14から照射される光の波長や照射強度とが同じでも異なっていてもよい。接着剤の硬化性をより一層高める観点からは、第2の光照射部14から照射される照射強度が第1の光照射部13から照射される光の照射強度より強い方が好ましい。光硬化性化合物と、光及び熱硬化性化合物とを用いる場合に、光硬化性を制御するために、上記第1の光照射工程と、後述する第2の光照射工程とを行うことが好ましい。
なお、「第1の光照射部13から接着剤12に光を照射して、接着剤12の硬化を進行させる」には、反応を進行させて増粘状態にすることも含まれる。
光照射を行う装置としては特に限定されず、紫外線を発生する発光ダイオード(UV−LED)、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、及び超高圧水銀ランプ等が挙げられる。硬化した接着剤の形成精度をより一層高める観点からは、特に第1の光照射部に、UV−LEDを用いることが好ましい。
次に、図2(c),(d)に示すように、上記の第1の光照射工程後に、第1の光照射部13とは別の第2の光照射部14から、第1の光照射部13から光が照射された接着剤12Aに光を照射して、接着剤12Aの硬化をさらに進行させる(第2の光照射工程)。それによって、第2の光照射部14により光が照射された接着剤12Bが形成される。接着剤12Bは、予備硬化物であり、Bステージ化接着剤である。この上記Bステージ化接着剤の表面の25℃での弾性率を1.0×102Pa以上、8.0×104Pa以下にすることが好ましい。なお、上記第2の光照射工程後のBステージ化接着剤と、上記第1の光照射後のBステージ化接着剤とのうち、上記第1の光照射後のBステージ化接着剤の表面の25℃での弾性率を1.0×102Pa以上、8.0×104Pa以下にすることが好ましい。上記第2の光照射工程後のBステージ化接着剤と、上記第1の光照射後のBステージ化接着剤との双方の表面の25℃での弾性率を1.0×102Pa以上、8.0×104Pa以下にすることがより好ましい。
上記の第2の光照射工程は、後述する配置工程前に行われることが好ましく、加熱工程前に行われることが好ましい。硬化した接着剤をより一層高精度に形成する観点からは、上記第2の光照射工程が行われることが好ましい。但し、上記第2の光照射工程は必ずしも行われる必要はなく、上記第1の光照射工程後に、上記第2の光照射工程を行わずに、後述する配置工程が行われてもよい。
次に、図2(d),(e)に示すように、上記の第2の光照射工程後に、光が照射された接着剤12B上に、第2の電子部品本体4を配置する(配置工程/積層工程)。第1の電子部品本体2と第2の電子部品本体4とを、光が照射された接着剤12Bを介して、圧力を付与して貼り合わせて、一次積層体1Aを得る。なお、上記第1の光照射工程後に、上記第2の光照射工程を行わない場合には、光が照射された接着剤12A上に、第2の電子部品本体4を配置する。この場合に、第1の電子部品本体2と第2の電子部品本体4とを、光が照射された接着剤12Aを介して、圧力を付与して貼り合わせて、一次積層体を得る。
次に、上記の配置工程後に、接着剤を加熱する(加熱工程)。一次積層体1Aを加熱して、第1の電子部品本体2と第2の電子部品本体4との間の接着剤12Bを硬化させて、電子部品を得る(加熱工程)。このようにして、図1に示す電子部品1を得ることができる。
なお、上記塗布工程と上記第1の光照射工程とを繰り返すことで、接着剤を多層化して、多層の接着剤を形成してもよい。図5に示すように、複数の接着剤32A,32B,32Cが積層された接着剤32を備える電子部品31を得てもよい。
上記の電子部品の製造方法において、接着剤の吐出性及び移送性を高めて、硬化した接着剤をより一層高精度に形成する観点からは、循環されている上記接着剤の温度は好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下である。
硬化した接着剤をより一層高精度に形成する観点からは、上記配置工程において、貼り合わせ時に付与する圧力は好ましくは0.01MPa以上、より好ましくは0.05MPa以上、好ましくは10MPa以下、より好ましくは8MPa以下である。
硬化した接着剤をより一層高精度に形成する観点からは、上記配置工程において、貼り合わせ時の温度は好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下である。
上記接着剤は、環状エーテル基を1個有する第1の熱硬化性化合物(加熱により硬化可能な硬化性化合物)又は環状エーテル基を1個有し、かつ光反応性官能基を1個以上有する光及び熱硬化性化合物(光の照射及び加熱の双方により硬化可能な硬化性化合物)と、環状エーテル基を2個以上有する第2の熱硬化性化合物(加熱により硬化可能な硬化性化合物)と、熱硬化剤とを含む。上記接着剤は、光硬化性化合物(光の照射により硬化可能な硬化性化合物)と、光重合開始剤とを含むことが好ましい。上記接着剤は、硬化促進剤を含むことが好ましい。
以下、上記接着剤に用いることができる各成分の詳細を説明する。
(光及び熱硬化性化合物)
硬化した接着剤の厚み精度をより一層高め、更に硬化した接着剤にボイドをより一層生じ難くし、冷熱サイクル等の信頼性を向上させる観点からは、上記接着剤は、環状エーテル基を1個有し、かつ光反応性官能基を1個以上有する光及び熱硬化性化合物を含むことが好ましい。保存安定性及び接着性をバランスよく良好にし、硬化した接着剤を高精度に形成する観点からは、上記光及び熱硬化性化合物は、環状エーテル基を1個有し、かつ(メタ)アクリロイル基を1個以上有する光及び熱硬化性化合物を含むことが好ましい。上記光及び熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光硬化性化合物、上記第1の光硬化性化合物、上記第2の光硬化性化合物、上記第1の熱硬化性化合物及び上記第2の熱硬化性化合物は、上記光及び熱硬化性化合物とは異なる成分として配合されていることが好ましい。
上記光及び熱硬化性化合物としては、特に限定されないが、(メタ)アクリロイル基とエポキシ基を有する化合物、エポキシ化合物の部分(メタ)アクリル化物、ウレタン変性(メタ)アクリルエポキシ化合物等が挙げられる。
上記(メタ)アクリロイル基とエポキシ基を有する化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記エポキシ化合物の部分(メタ)アクリル化物としては、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って触媒の存在下で反応させることにより得られる。上記エポキシ化合物の部分(メタ)アクリル化物に用いることができるエポキシ化合物としては、ノボラック型エポキシ化合物及びビスフェノール型エポキシ化合物等が挙げられる。上記ノボラック型エポキシ化合物としては、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、トリスフェノールノボラック型エポキシ化合物、及びジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ化合物等が挙げられる。上記ビスフェノール型エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、2,2’−ジアリルビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノール型エポキシ化合物、及びポリオキシプロピレンビスフェノールA型エポキシ化合物等が挙げられる。エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との配合量を適宜変更することにより、所望のアクリル化率のエポキシ化合物を得ることが可能である。エポキシ基1当量に対してカルボン酸の配合量は、好ましくは0.1当量以上、より好ましくは0.2当量以上、好ましくは0.7当量以下、より好ましくは0.5当量以下である。
上記ウレタン変性(メタ)アクリルエポキシ化合物は、例えば、以下の方法によって得られる。ポリオールと2官能以上のイソシアネートを反応させ、さらに残りのイソシアネート基に、酸基を有する(メタ)アクリルモノマー及びグリシドールを反応させる。または、ポリオールを用いず、2官能以上のイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーとグリシドールとを反応させてもよい。または、イソシアネート基を有する(メタ)アクリレートモノマーにグリシドールを反応させても、上記ウレタン変性(メタ)アクリルエポキシ化合物が得られる。具体的には、例えば、まず、トリメチロールプロパン1モルとイソホロンジイソシアネート3モルとを錫系触媒下で反応させる。得られた化合物中に残るイソシアネート基と、水酸基を有するアクリルモノマーであるヒドロキシエチルアクリレート、及び水酸基を有するエポキシであるグリシドールを反応させることにより、上記ウレタン変性(メタ)アクリルエポキシ化合物が得られる。
上記ポリオールとしては、特に限定されず、例えば、エチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールプロパン、及び(ポリ)プロピレングリコール等が挙げられる。
上記イソシアネートは、2官能以上であれば、特に限定されない。上記イソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、水添MDI、ポリメリックMDI、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添XDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、及び1,6,10−ウンデカントリイソシアネート等が挙げられる。
保存安定性及び接着性をバランスよく良好にし、硬化した接着剤の厚み精度をより一層高め、更に硬化した接着剤にボイドをより一層生じ難くする観点からは、上記光及び熱硬化性化合物は、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルを含むことが好ましい。
硬化した接着剤をより一層高精度に形成する観点からは、上記接着剤100重量%中、上記光及び熱硬化性化合物の含有量は、好ましくは0重量%以上、より好ましくは0重量%を超え、更に好ましくは0.5重量%以上、特に好ましくは1重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。
(熱硬化性化合物)
熱硬化性化合物としては、環状エーテル基を1個有する第1の熱硬化性化合物、及び環状エーテル基を2個以上有する第2の熱硬化性化合物等が挙げられる。
本発明では、環状エーテル基を1個有する第1の熱硬化性化合物と、環状エーテル基を1個有し、かつ光反応性官能基を1個以上有する光及び熱硬化性化合物との内の少なくとも一方が用いられる。本発明では、上記第2の熱硬化性化合物が必須で用いられる。
硬化した接着剤をより一層高精度に形成する観点から、熱硬化性化合物として、環状エーテル基を1個有する第1の熱硬化性化合物が好適に用いられる。環状エーテル基を有する熱硬化性化合物は、エポキシ基を有する熱硬化性化合物(エポキシ化合物)であることがより好ましい。上記第1の熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記エポキシ化合物としては特に限定されず、例えば、ノボラック型エポキシ化合物及びビスフェノール型エポキシ化合物等が挙げられる。上記ノボラック型エポキシ化合物としては、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、トリスフェノールノボラック型エポキシ化合物、及びジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ化合物等が挙げられる。上記ビスフェノール型エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、2,2’−ジアリルビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノール型エポキシ化合物、及びポリオキシプロピレンビスフェノールA型エポキシ化合物等が挙げられる。また、上記エポキシ化合物としては、その他に、環式脂肪族エポキシ化合物、及びグリシジルアミン等も挙げられる。
硬化した接着剤をより一層高精度に形成し、硬化した接着剤にボイドをより一層生じ難くする観点からは、上記熱硬化性化合物は芳香族骨格を有することが好ましい。
接着性を効果的に高める観点からは、上記第2の熱硬化性化合物は、多環脂環式骨格を有することが好ましい。
ボイドをより一層抑え、接着性、耐湿接着信頼性及び冷熱サイクル信頼性をより一層高める観点からは、上記熱硬化性化合物は25℃で固形であることが好ましい。ボイドをより一層抑え、接着性、耐湿接着信頼性及び冷熱サイクル信頼性をより一層高める観点からは、上記熱硬化性化合物の軟化点は、好ましくは25℃以上、より好ましくは30℃以上、更に好ましくは40℃以上である。軟化点の上限は特に限定されない。上記熱硬化性化合物の軟化点は好ましくは150℃以下である。
上記軟化点は、JIS K7234に従って測定することができる。
上記接着剤100重量%中、上記第1の熱硬化性化合物と上記光及び熱硬化性化合物との合計の含有量は、好ましくは25重量%以上、より好ましくは30重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。上記第1の熱硬化性化合物と上記光及び熱硬化性化合物との合計の含有量が上記下限以上であると、接着剤の保存安定性がより一層高くなり、熱硬化後の接着力がより一層高くなる。
上記接着剤100重量%中、上記第2の熱硬化性化合物の含有量は、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、好ましくは9重量%以下、より好ましくは8重量%以下である。上記第2の熱硬化性化合物の含有量が上記上限以下であると、接着剤の保存安定性がより一層高くなる。
熱硬化後の接着力をより一層高める観点からは、上記接着剤100重量%中、上記第1の熱硬化性化合物と上記光及び熱硬化性化合物と上記第2の熱硬化性化合物の合計の含有量は好ましくは35重量%以上、より好ましくは40重量%以上である。
(光硬化性化合物)
上記光硬化性化合物としては、(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物、ビニル基を有する硬化性化合物及びマレイミド基を有する硬化性化合物等が挙げられる。硬化した接着剤をより一層高精度に形成する観点からは、上記光硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基(1個以上)を有することが好ましい。上記光硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本明細書では、(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物は、メタクリロイル基及びアクリロイル基の内の少なくとも一方を有する化合物を意味する。
上記光硬化性化合物として、(メタ)アクリロイル基を1個有する光硬化性化合物(第1の光硬化性化合物(A1)と呼ぶ)を用いてもよく、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する光硬化性化合物(第2の光硬化性化合物(A2)と呼ぶ)を用いてもよい。第1の光硬化性化合物(A1)は、例えば単官能化合物である。第2の光硬化性化合物(A2)は、例えば多官能化合物である。第2の光硬化性化合物(A2)は、(メタ)アクリロイル基を2個以上有するため、光の照射により重合が進行し、硬化する。第1の光硬化性化合物(A1)及び第2の光硬化性化合物(A2)はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
ボイドをより一層抑え、接着性、耐湿接着信頼性及び冷熱サイクル信頼性をより一層高める観点からは、光硬化性化合物は、第1の光硬化性化合物(A1)と第2の光硬化性化合物(A2)とを含有することが好ましい。また、光硬化性化合物として、第1の光硬化性化合物(A1)と、第2の光硬化性化合物(A2)とを併用することで、硬化した接着剤を高精度に形成することができる。
第2の光硬化性化合物(A2)としては、多価アルコールの(メタ)アクリル酸付加物、多価アルコールのアルキレンオキサイド変性物の(メタ)アクリル酸付加物、ウレタン(メタ)アクリレート類、及びポリエステル(メタ)アクリレート類等が挙げられる。上記多価アルコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、及びペンタエリスリトール等が挙げられる。
第2の光硬化性化合物(A2)は、二官能の(メタ)アクリレートであってもよく、三官能のメタアクリレートであってもよく、四官能以上の(メタ)アクリレートであってもよい。
二官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオール(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチルブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、及びジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
三官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、イソシアヌル酸アルキレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、及びソルビトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
四官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、及びプロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
五官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが挙げられる。
六官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びフォスファゼンのアルキレンオキシド変性ヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記「(メタ)アクリレート」の用語は、アクリレート又はメタクリレートを示す。上記「(メタ)アクリル」の用語は、アクリル又はメタクリルを示す。
第2の光硬化性化合物(A2)は、多環骨格又はウレタン骨格を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を2個以上有する第2の光硬化性化合物であることが好ましい。この第2の光硬化性化合物の使用により、硬化した接着剤の耐湿熱性を高くすることができる。従って、電子部品の信頼性を高めることができる。上記第2の光硬化性化合物(A2)は、多環骨格を有していてもよく、ウレタン骨格を有していてもよい。
多環骨格を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を2個以上有する第2の光硬化性化合物の具体例としては、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、イソボルニルジメタノールジ(メタ)アクリレート及びジシクロペンテニルジメタノールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。硬化した接着剤の耐湿性及び耐湿熱性をより一層高める観点からは、第2の光硬化性化合物(A2)は、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートであることが好ましい。
多環骨格とは、複数の環状骨格を連続して有する構造を示す。具体的には、多環骨格は、2個以上の環がそれぞれ2個以上の原子を共有した形で一体となっている骨格であり、縮合環を有する骨格である。上記多環骨格は、例えば、2つの環の間にアルキレン基が存在する骨格ではない。多環骨格としては、多環脂環式骨格及び多環芳香族骨格等が挙げられる。
上記多環脂環式骨格としては、ビシクロアルカン骨格、トリシクロアルカン骨格、テトラシクロアルカン骨格及びイソボルニル骨格等が挙げられる。
絶縁信頼性や接着信頼性をより一層高める観点から、上記光硬化性化合物は、ジシクロペンタジエン骨格を有する光硬化性化合物を含むことが好ましい。
上記多環芳香族骨格としては、ナフタレン環骨格、アントラセン環骨格、フェナントレン環骨格、テトラセン環骨格、クリセン環骨格、トリフェニレン環骨格、テトラフェン環骨格、ピレン環骨格、ペンタセン環骨格、ピセン環骨格及びペリレン環骨格等が挙げられる。
ウレタン骨格を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能化合物は特に限定されないが、例えば、以下の方法によって得られる。ポリオールと2官能以上のイソシアネートとを反応させ、さらに残りのイソシアネート基に、アルコールや酸基を有する(メタ)アクリルモノマーを反応させる。2官能以上のイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーを反応させてもよい。具体的には、例えば、トリメチロールプロパン1モルとイソホロンジイソシアネート3モルとを錫系触媒下で反応させる。得られた化合物中に残るイソシアネート基と、2モルの水酸基を有するアクリルモノマーであるヒドロキシエチルアクリレートを反応させることにより、上記ウレタン変性(メタ)アクリル化合物が得られる。
上記ポリオールとしては、特に限定されず、例えば、エチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールプロパン、及び(ポリ)プロピレングリコール等が挙げられる。
上記イソシアネートは、2官能以上であれば、特に限定されない。上記イソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、水添MDI、ポリメリックMDI、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添XDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、及び1,6,10−ウンデカントリイソシアネート等が挙げられる。
第1の光硬化性化合物(A1)の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングルコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングルコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、及びステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ボイドをより一層抑え、接着性、耐湿接着信頼性及び冷熱サイクル信頼性をより一層高める観点からは、第1の光硬化性化合物(A1)は、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。
上記ビニル基を有する光硬化性化合物としてはビニルエーテル類、エチレン誘導体、スチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、無水マレイン酸、ジシクロペンタジエン、N−ビニルピロリドン及びN−ビニルホルムアミド等が挙げられる。
上記マレイミド基を有する光硬化性化合物としては、特に限定されず例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−p−カルボキシフェニルマレイミド、N−p−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−p−クロロフェニルマレイミド、N−p−トリルマレイミド、N−p−キシリルマレイミド、N−o−クロロフェニルマレイミド、N−o−トリルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−2,5−ジエチルフェニルマレイミド、N−2,5−ジメチルフェニルマレイミド、N−m−トリルマレイミド、N−α−ナフチルマレイミド、N−o−キシリルマレイミド、N−m−キシリルマレイミド、ビスマレイミドメタン、1,2−ビスマレイミドエタン、1,6−ビスマレイミドヘキサン、ビスマレイミドドデカン、N,N’−m−フェニレンジマレイミド、N,N’−p−フェニレンジマレイミド、4,4’−ビスマレイミドジフェニルエーテル、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、4,4’−ビスマレイミド−ジ(3−メチルフェニル)メタン、4,4’−ビスマレイミド−ジ(3−エチルフェニル)メタン、4,4’−ビスマレイミド−ジ(3−メチル−5−エチル−フェニル)メタン、N,N’−(2,2−ビス−(4−フェノキシフェニル)プロパン)ジマレイミド、N,N’−2,4−トリレンジマレイミド、N,N’−2,6−トリレンジマレイミド、及びN,N’−m−キシリレンジマレイミド等が挙げられる。
硬化した接着剤をより一層高精度に形成する観点からは、上記接着剤100重量%中、光硬化性化合物の含有量、並びに第1の光硬化性化合物(A1)と第2の光硬化性化合物(A2)との合計の含有量はそれぞれ、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。硬化した接着剤の厚み精度をより一層高め、更に硬化した接着剤にボイドをより一層生じ難くする観点からは、上記接着剤100重量%中、光硬化性化合物の含有量、並びに第1の光硬化性化合物(A1)と光及び熱硬化性化合物と第2の光硬化性化合物(A2)との合計の含有量は、5重量%以上、80重量%以下であることが特に好ましい。
ボイドをより一層抑え、接着性、耐湿接着信頼性及び冷熱サイクル信頼性をより一層高める観点からは、第1の光硬化性化合物(A1)と光及び熱硬化性化合物と第2の光硬化性化合物(A2)との合計100重量%中、第1の光硬化性化合物(A1)の含有量が50重量%以上、99.95重量%以下、第2の光硬化性化合物(A2)の含有量が0.05重量%以上、50重量%以下であることが好ましく、第1の光硬化性化合物(A1)の含有量が60重量%以上、99.9重量%以下、第2の光硬化性化合物(A2)の含有量が0.1重量%以上、40重量%以下であることがより好ましく、第1の光硬化性化合物(A1)の含有量が70重量%以上、99.5重量%以下、第2の光硬化性化合物(A2)の含有量が0.5重量%以上、30重量%以下であることが更に好ましい。
(熱硬化剤)
上記熱硬化剤としては、有機酸、アミン化合物、アミド化合物、ヒドラジド化合物、イミダゾール化合物、イミダゾリン化合物、フェノール化合物、ユリア化合物、ポリスルフィド化合物及び酸無水物等が挙げられる。上記熱硬化剤として、アミン−エポキシアダクトなどの変性ポリアミン化合物を用いてもよい。これら以外の熱硬化剤を用いてもよい。
上記アミン化合物とは、1個以上の1〜3級のアミノ基を有する化合物を意味する。上記アミン化合物としては、例えば、(1)脂肪族アミン、(2)脂環族アミン、(3)芳香族アミン、(4)ヒドラジド、及び(5)グアニジン誘導体等が挙げられる。また、エポキシ化合物付加ポリアミン(エポキシ化合物とポリアミンの反応物)、マイケル付加ポリアミン(α,β−不飽和ケトンとポリアミンの反応物)、マンニッヒ付加ポリアミン(ポリアミンとホルマリン及びフェノールの縮合体)、チオ尿素付加ポリアミン(チオ尿素とポリアミンの反応物)、ケトン封鎖ポリアミン(ケトン化合物とポリアミンの反応物[ケチミン])などのアダクト体を用いてもよい。
上記(1)脂肪族アミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及びジエチルアミノプロピルアミン等が挙げられる。
上記(2)脂環族アミンとしては、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンアダクト、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、及びビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン等が挙げられる。
上記(3)芳香族アミンとしては、1,3−ジアミノトルエン、1,4−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノトルエン、3,5−ジエチル−2,4−ジアミノトルエン、3,5−ジエチル−2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノアニソール、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−メチレン−ビス[2−クロロアニリン]、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−[4−アミノフェノキシ]フェニル]プロパン、ビス[4−[4−アミノフェノキシ]フェニル]スルホン、1,3−ビス[4−アミノフェノキシ]ベンゼン、メチレンビス−(2−エチル−6メチルアニリン)、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、及び3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。
上記(4)ヒドラジドとしては、カルボジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、及びイソフタル酸ジヒドラジド等が挙げられる。
上記(5)グアニジン誘導体としては、ジシアンジアミド、1−o−トリルジグアニド、α−2,5−ジメチルグアニド、α,ω−ジフェニルジグアニジド、α,α−ビスグアニルグアニジノジフェニルエーテル、p−クロロフェニルジグアニド、α,α−ヘキサメチレンビス[ω−(p−クロロフェノール)]ジグアニド、フェニルジグアニドオキサレート、アセチルグアニジン、及びジエチルシアノアセチルグアニジン等が挙げられる。
上記フェノール化合物としては、多価フェノール化合物等が挙げられる。上記多価フェノール化合物としては、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、ビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ビフェニルフェノール、ナフタレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、キシリレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック樹脂、及びフルオレン骨格含有フェノールノボラック樹脂等が挙げられる。
上記酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ドデシル無水コハク酸、無水クロレンディック酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、及びポリアゼライン酸無水物等が挙げられる。
硬化した接着剤の厚み精度をより一層高め、更に硬化した接着剤にボイドをより一層生じ難くする観点からは、上記熱硬化剤は、酸無水物又は芳香族アミンを含有することが好ましく、芳香族アミンを含有することがより好ましい。
上記接着剤100重量%中、上記熱硬化剤の含有量は好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。
(光重合開始剤)
上記接着剤は、光重合開始剤を含まないか又は含む。上記接着剤が上記光及び熱硬化性化合物を含む場合に、上記接着剤は、光重合開始剤を含むことが好ましい。上記光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤等が挙げられる。上記光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。上記光重合開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光ラジカル重合開始剤は特に限定されない。上記光ラジカル重合開始剤は、光の照射によりラジカルを発生し、ラジカル重合反応を開始するための化合物である。上記光ラジカル重合開始剤の具体例としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン化合物;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等のアルキルフェノン化合物;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン化合物;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアミノアセトフェノン化合物;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン等のアントラキノン化合物;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン化合物;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド化合物;1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−2−(o−ベンゾイルオキシム)]、エタノン、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(o−アセチルオキシム)等のオキシムエステル化合物;ビス(シクロペンタジエニル)−ジ−フェニル−チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ジ−クロロ−チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピロール−1−イル)フェニル)チタニウムなどのチタノセン化合物等が挙げられる。上記光ラジカル重合開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光重合開始剤とともに、光重合開始助剤を用いてもよい。該光重合開始助剤としては、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン及びトリエタノールアミン等が挙げられる。これら以外の光重合開始助剤を用いてもよい。上記光重合開始助剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記接着剤100重量%中、上記光重合開始剤の含有量は好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
(硬化促進剤)
上記硬化促進剤としては、第三級アミン、イミダゾール、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、有機金属塩、リン化合物及び尿素系化合物等が挙げられる。
上記接着剤100重量%中、上記硬化促進剤の含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
(溶剤)
上記接着剤は溶剤を含まないか又は含む。上記接着剤は、溶剤を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。硬化した接着剤の厚み精度をより一層高め、更に硬化した接着剤にボイドをより一層生じ難くする観点からは、上記接着剤における溶剤の含有量は少ないほどよい。
上記溶剤としては、水及び有機溶剤等が挙げられる。残留物の除去性をより一層高める観点からは、有機溶剤が好ましい。上記有機溶剤としては、エタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、炭酸プロピレン等のエステル類、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類、並びに石油エーテル、ナフサ等の石油系溶剤等が挙げられる。
上記接着剤が上記溶剤を含む場合には、上記接着剤100重量%中、上記溶剤の含有量は好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下、更に好ましくは0.5重量%以下である。
(フィラー)
上記接着剤はフィラーを含まないか又は含む。上記接着剤は、フィラーを含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。硬化した接着剤の厚み精度をより一層高め、更に硬化した接着剤にボイドをより一層生じ難くする観点からは、上記接着剤におけるフィラーの含有量は少ないほどよい。さらに、上記接着剤におけるフィラーの含有量が少ないほど、インクジェット装置による吐出不良の発生が抑えられる。
上記フィラーとしては、シリカ、タルク、クレイ、マイカ、ハイドロタルサイト、アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム及び窒化ホウ素等が挙げられる。
上記接着剤が上記フィラーを含む場合には、上記接着剤100重量%中、上記フィラーの含有量は好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下、更に好ましくは0.5重量%以下である。
(他の成分)
上記接着剤は、他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては特に限定されないが、カップリング剤等の接着助剤、顔料、染料、レベリング剤、消泡剤、及び重合禁止剤等が挙げられる。
(電子部品の具体例)
以下、電子部品の他の具体例について説明する。
図6は、電子部品の第1の変形例を模式的に示す正面断面図である。
図6に示す半導体装置71は、電子部品である。半導体装置71は、基板53Aと、接着剤72と、第1の半導体ウェハ73とを備える。基板53Aは上面に、第1の接続端子53aを有する。第1の半導体ウェハ73は上面に、接続端子73aを有する。基板53Aは、第2の接続端子53bが設けられていないことを除いては、後述する基板53と同様に形成されている。
基板53A上に、接着剤72を介して、第1の半導体ウェハ73が積層されている。接着剤72は、上記接着剤を光硬化させることにより形成されている。
第1の半導体ウェハ73は上面に、接続端子73aを有する。接続端子73aから配線74が引き出されている。配線74により、接続端子73aと第1の接続端子53aとが電気的に接続されている。
図7は、電子部品の第2の変形例を模式的に示す正面断面図である。
図7に示す半導体装置51は、電子部品である。半導体装置51は、積層構造体52を備える。積層構造体52は、基板53と、接着剤54と、基板53上に接着剤54を介して積層された第2の半導体ウェハ55とを有する。基板53上に、第2の半導体ウェハ55が配置されている。基板53上に、第2の半導体ウェハ55は間接に積層されている。平面視において、基板53は、第2の半導体ウェハ55よりも大きい。基板53は、第2の半導体ウェハ55よりも側方に張り出している領域を有する。
接着剤54は、例えば、接着剤を硬化させることにより形成されている。硬化前の接着剤は、粘着性を有していてもよい。硬化前の接着剤を形成するために、接着シートを用いてもよい。
基板53は上面に、第1の接続端子53aを有する。第2の半導体ウェハ55は上面に、接続端子55aを有する。接続端子55aから配線56が引き出されている。配線56の一端は、第2の半導体ウェハ55上に設けられた接続端子55aに接続されている。配線56の他端は、基板53上に設けられた第1の接続端子53aに接続されている。配線56により、接続端子55aと第1の接続端子53aとが電気的に接続されている。配線56の他端は、第1の接続端子53a以外の他の接続端子に接続されていてもよい。配線56は、ボンディングワイヤーであることが好ましい。
積層構造体52における第2の半導体ウェハ55上に、接着剤61を介して、第1の半導体ウェハ62が積層されている。接着剤61は、上記接着剤を光硬化させることにより形成されている。
基板53は上面に、第2の接続端子53bを有する。第1の半導体ウェハ62は上面に、接続端子62aを有する。接続端子62aから配線63が引き出されている。配線63の一端は、第1の半導体ウェハ62上に設けられた接続端子62aに接続されている。配線63の他端は、基板53上に設けられた第2の接続端子53bに接続されている。配線63により、接続端子62aと第2の接続端子53bとが電気的に接続されている。配線63の他端は、第2の接続端子53b以外の他の接続端子に接続されていてもよい。配線63は、ボンディングワイヤーであることが好ましい。
半導体装置51では、第2の半導体ウェハ55上に、光硬化性及び熱硬化性を有しかつ液状である接着剤を、インクジェット装置から吐出して、接着剤61を形成することで得ることができる。これに対して、半導体装置71は、基板53A上に、光硬化性及び熱硬化性を有しかつ液状である接着剤を、インクジェット装置から吐出して、接着剤72を形成することで得ることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1〜10及び比較例1〜2)
(接着剤A〜Lの調製)
下記の表1,2に示す成分を下記の表2に示す配合量で配合して均一に混合し、接着剤A〜Lを得た。
(評価)
(保存安定性(粘度上昇))
JIS K2283に準拠して、粘度計(東機産業社製「TVE22L」)を用いて、作製直後の硬化性組成物の70℃及び10rpmでの粘度η1を測定した。次に、硬化性組成物を70℃で48時間加熱した。加熱後の硬化性組成物の70℃及び10rpmでの粘度η2を測定した。粘度上昇を下記の判定基準で判定した。
[粘度上昇の判定基準]
○○:比(η2/η1)が1以上、1.2以下
○:比(η2/η1)が1.2を超え、1.5以下
×:比(η2/η1)が1.5以上
(熱硬化後のダイシェア強度)
シリコンウェハ上に上述した電子部品の製造方法に従って、図2(a)〜(e)に示す各工程を経て、接着剤層を形成した。上記接着剤を70℃で循環させながら、塗布する上記塗布工程と、上記第1の光照射工程(365nmを主波長とするUV−LEDランプ、100mW/cm2、0.1秒)とを繰り返し30μmの接着剤層を形成し、第2の光照射工程(超高圧水銀ランプ、100mW/cm2、10秒)で光硬化させた。その後、接着剤層上に、ダイボンド装置を用いて、半導体チップ(縦3mm×横3mm×厚み750μm)に見立てたシリコンベアチップを110℃で0.1MPaの条件で1秒間加圧し、更に160℃のオーブン内に入れ、5時間加熱することで、熱硬化させることにより、熱硬化後の接着試験片を得た。ダイシェア強度測定装置(Dage社製「Dage シリーズ4000」、試験温度:260℃)を用いて、熱硬化後の接着試験片のダイシェア強度の測定を行った。
(半導体装置における接着剤層のボイド確認)
配線の段差が5μmあるBGA基板(厚み0.3mm、市販のソルダーレジストが塗布されている、縦10mm×横10mmの半導体チップが置かれる場所が5行×16列で90か所設けられている)を用意した。上述した本発明の一実施形態に係る電子部品の製造方法に従って、図2(a)〜(e)に示す各工程を経て、接着剤層を形成した。上記接着剤を70℃で循環させながら、塗布する上記塗布工程と、上記第1の光照射工程(365nmを主波長とするUV−LEDランプ、100mW/cm2)とを8回繰り返して(合計積算光量は200mJ/cm2)、厚み30μmの接着剤層を形成し、第2の光照射工程(超高圧水銀ランプ、100mW/cm2、10秒)で光硬化させた。その後、接着剤層上に、ダイボンド装置を用いて、半導体チップ(縦10mm×横10mm×厚み80μm)に見立てたシリコンベアチップを80℃で0.05MPaの条件で積層して、積層体を得た。シリコンベアチップを積層した後、光学顕微鏡(キーエンス社製「デジタルマイクロスコープVH−Z100」)を用いて接着剤層のはみ出しが100μm未満であることを確認した。得られた積層体を170℃のオーブン内に入れ、2時間加熱することで、熱硬化させることにより、90個の半導体装置(積層構造体)を得た。
超音波探査映像装置(日立建機ファインテック社製「mi−scope hyper II」)を用いて、得られた半導体装置における接着剤層のボイドを観察し、下記の基準で評価した。
[ボイドの判定基準]
○○:ボイドがほとんど観察されない
○:ボイドがわずかに観察される(使用上問題がない)
×:ボイドが観察される(使用上問題あり)
(半導体装置の吸湿リフロー+冷熱サイクル信頼性試験)
ボイドの確認の評価で得られた半導体装置(90個)を85℃及び湿度85RH%に168時間放置して吸湿させた。その後、半田リフロー炉(プレヒート150℃×100秒、リフロー[最高温度260℃])に5サイクル通過させた。その吸湿リフロー試験を行った半導体装置を液槽式熱衝撃試験機(ESPEC社製「TSB−51」)を用いて、−55℃で5分間保持した後、150℃まで昇温し、150℃で5分間保持した後−50℃まで降温する過程を1サイクルとする冷熱サイクル信頼性試験を実施した。250サイクル及び500サイクル後に半導体装置を取り出し、超音波探査映像装置(日立建機ファインテック社製「mi−scope hyper II」)を用いて、半導体装置の接着剤層の剥離を観察し、下記の基準で評価した。
[吸湿リフロー+冷熱サイクル信頼性試験の判定基準]
○○:剥離していない
○:わずかに剥離している(使用上問題がない)
×:大きく剥離している(使用上問題あり)
用いた配合成分の詳細を下記の表1に示し、組成及び結果を下記の表2に示す。配合成分の配合単位は、重量部である。