JP2020192590A - 連続鋳造機のローラーエプロンセグメント - Google Patents

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Abstract

【課題】 連続鋳造機の鋳型直下や垂直部に設置されるローラーエプロンセグメントに腐食防止対策を施し、これによって、保守の頻度及び保守費用を低減可能とするローラーエプロンセグメントを提供する。【解決手段】 本発明に係る連続鋳造機のローラーエプロンセグメントは、溶鋼を連続鋳造してスラブ鋳片を製造する連続鋳造機の鋳型の下方に1基以上設置され、相対する一対のフレーム及びローラー6を有するローラーエプロンセグメントのうち、最も鋳型側に配置されるローラーエプロンセグメント10であって、前記フレームの鋳型側の面に、腐食防止板22が設置されている。前記腐食防止板は、鋳片側から反鋳片側に向かって1.5%以上15%以下の勾配で傾斜して設置され、厚さが0.3〜6.0mmで、成分組成としてクロムを16.0〜20.0質量%、ニッケルを8.0〜15.0質量%含有するステンレス鋼であることが好ましい。【選択図】 図2

Description

本発明は、溶鋼を連続鋳造してスラブ鋳片を製造する連続鋳造機の鋳型直下、すなわち鋳型下方の最も鋳型に近い位置に設置されるローラーエプロンセグメントや、垂直曲げ型連続鋳造機または垂直型連続鋳造機の垂直部に設置されるローラーエプロンセグメントに関し、詳しくは、鋳型直下や垂直部に設置されるローラーエプロンセグメントのフレームの腐食を防止し、保守の頻度及び保守費用を低減可能とするローラーエプロンセグメントに関する。
溶鋼を連続鋳造する連続鋳造機では、鋳型の内部空間に上方から溶鋼が注がれ、鋳型内で凝固した凝固シェルを外殻とする鋳片が、サポートローラー、ガイドローラーなどの鋳片支持ローラーで支持されながら、鋳型下方に連続的に引き抜かれる。鋳型から出た鋳片の内部は、未凝固状態となっている。鋳片は、鋳型の下方に設置された鋳片支持ローラーで支持されながら、鋳造方向に隣り合う鋳片支持ローラーの間隙に設置された、水スプレーノズルまたはエアーミストスプレーノズルなどのスプレーノズルから噴射される二次冷却水によって冷却される。
連続鋳造中、鋳型内には、鋳型と凝固シェルとの潤滑、鋳型内溶鋼湯面の保温及び酸化防止などを目的として、モールドパウダーが添加される。通常、モールドパウダーは、CaO、SiO、Al、MgO、NaO、KO、LiOなどの酸化物を主要成分とし、融点及び粘度を低下させるために、NaF、LiFなどのフッ化物を含有するのが一般的である。
モールドパウダー中のフッ素は、二次冷却水や高温蒸気と反応して、フッ化水素などの強腐食性液体及び高温ガスを発生させる。この強腐食性液体及び高温ガスにより、鋳型の下部や、鋳型の近傍に配置される、複数の鋳片支持ローラーを備えるローラーエプロンセグメントが腐食され、設備寿命の低下原因となる。特に、鋳片引き抜き速度が低速の連続鋳造操業では、塩基度(質量%CaO/質量%SiO)が低く、粘度の高いモールドパウダーを使用することが多く、発生する液体や蒸気は、より強い酸性を示すことから、腐食環境が厳しくなる。
この腐食環境における鋳型の腐食を防止する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、鋳型の長辺側下端面に冷却水遮蔽体(スプレーガード)を設置することにより、鋳型下端面とサポートローラーとの間に設けられているスプレーノズルから噴射される二次冷却水を遮断し、二次冷却水が鋳型下部内面へ付着することに起因する鋳型下部の腐食を防止する技術が開示されている。
また、特許文献2には、鋳型の下端側周縁に高圧蒸気の上昇を防ぐためのスプレーガードを設置し、更に、鋳型の内周側の短辺部及び長辺部に向けて高圧ガスを噴出するための高圧ガス噴出部を設置する技術が開示されている。特許文献2は、スプレーガード及び高圧ガス噴出部によって高温蒸気が鋳片と鋳型との間隙へ侵入することを防止し、鋳型の下端側内周面に発生する腐食・摩耗を防ぐという技術である。
特開2005−103619号公報 国際公開第2017/187665号
しかしながら、特許文献1及び特許文献2は、いずれも鋳型下部の腐食防止を図る技術であり、鋳型の近傍に設置されるローラーエプロンセグメントの腐食防止対策については言及していない。鋳型近傍のローラーエプロンセグメントのフレームは、鋳型に比較して鋳片から離れた位置に設置されており、従来、腐食環境はさほど厳しくないと考えられていたが、実際には腐食が発生しており、鋳型近傍のローラーエプロンセグメントのフレームに対する腐食対策が必要であった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、溶鋼を連続鋳造してスラブ鋳片を製造する連続鋳造機の鋳型直下や、垂直曲げ型連続鋳造機または垂直型連続鋳造機の垂直部に設置されるローラーエプロンセグメントに腐食防止対策を施し、これによって、保守の頻度及び保守費用を低減可能とするローラーエプロンセグメントを提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]溶鋼を連続鋳造してスラブ鋳片を製造する連続鋳造機の鋳型の下方に1基以上設置され、相対する一対のフレームと、該一対のフレーム間に前記スラブ鋳片を支持するローラーと、を有するローラーエプロンセグメントのうち、最も鋳型側に配置されるローラーエプロンセグメントであって、
前記一対のフレームの鋳型側の面に、腐食防止板が設置されていることを特徴とする、連続鋳造機のローラーエプロンセグメント。
[2]溶鋼を連続鋳造してスラブ鋳片を製造する垂直曲げ型連続鋳造機または垂直型連続鋳造機の鋳型の下方に1基以上設置され、相対する一対のフレームと、該一対のフレーム間に前記スラブ鋳片を支持するローラーと、を有するローラーエプロンセグメントのうち、垂直部に配置されるローラーエプロンセグメントであって、
前記一対のフレームの鋳型側の面に、腐食防止板が設置されていることを特徴とする、連続鋳造機のローラーエプロンセグメント。
[3]前記腐食防止板は、水平面を基準として、鋳片から離れる方向に向かって1.5%以上15%以下の下向き勾配で傾斜して設置されていることを特徴とする、上記[1]または上記[2]に記載の連続鋳造機のローラーエプロンセグメント。
[4]前記腐食防止板は、厚さが0.3〜6.0mmで、成分組成としてクロムを16.0質量%以上20.0質量%以下、ニッケルを8.0質量%以上15.0質量%以下含有するステンレス鋼であることを特徴とする、上記[1]ないし上記[3]のいずれかに記載の連続鋳造機のローラーエプロンセグメント。
[5]前記ステンレス鋼は、成分組成として更にモリブデンを含有し、該モリブデンと成分組成としてのクロムとが、下記の(1)式を満足する成分組成のステンレス鋼であることを特徴とする、上記[4]に記載の連続鋳造機のローラーエプロンセグメント。
[質量%クロム]+3.3×[質量%モリブデン]≧25・・・(1)
[6]前記一対のフレームは、前記腐食防止板と同一成分組成であることを特徴とする、上記[4]または上記[5]に記載の連続鋳造機のローラーエプロンセグメント。
本発明によれば、鋳型直下や垂直部に設置されるローラーエプロンセグメントのフレームの鋳型側の面に、腐食防止板を設置するという簡便且つ低コストの構成により、前記ローラーエプロンセグメントのフレームの腐食を抑制することが実現され、保守の頻度及び保守費用を低減することが達成でき、設備の長寿命化が可能となる。
本発明に係る連続鋳造機のローラーエプロンセグメントが設置される垂直曲げ型のスラブ連続鋳造機の一例の概略図である。 本発明に係るローラーエプロンセグメントの概略平面図である。 本発明に係るローラーエプロンセグメントの概略図であって、図2のX−X′矢視による縦断面概略図である。
以下、添付図面を参照して本発明を説明する。
図1は、本発明に係る連続鋳造機のローラーエプロンセグメントが設置される垂直曲げ型のスラブ連続鋳造機の一例の概略図である。図1において、符号の1は垂直曲げ型のスラブ連続鋳造機、2はタンディッシュ、3はスライディングノズル、4は浸漬ノズル、5は連続鋳造用の鋳型、6は鋳片支持ローラーのうちのサポートローラー、7は鋳片支持ローラーのうちのガイドローラー(ピンチローラーを含む)、8は溶鋼、9は鋳片、10〜18は、サポートローラーまたはガイドローラーを設置するローラーエプロンセグメントである。
ここで、スライディングノズル3は、タンディッシュ2から鋳型5への溶鋼供給流量を調整する装置である。また、鋳片支持ローラーは、サポートローラー、ガイドローラー、ピンチローラーの3種で構成されており、本明細書では、サポートローラー6を設置するローラーエプロンセグメントを「サポートローラーエプロンセグメント」と呼び、ガイドローラー7を設置するローラーエプロンセグメントを「ガイドローラーエプロンセグメント」と呼ぶ。
このスラブ連続鋳造機1においては、鋳片支持ローラーは全てローラーエプロンセグメントで構成されており、鋳型5の直下に設置されるサポートローラー6の全てが、1基のサポートローラーエプロンセグメント10に設置されている。
サポートローラー6よりも鋳造方向下流側に設置されるガイドローラー7は、ガイドローラーエプロンセグメントに設置されている。ガイドローラーエプロンセグメントは、鋳造方向上流側から下流側に向かって、第1ガイドローラーエプロンセグメント11、第2ガイドローラーエプロンセグメント12、第3ガイドローラーエプロンセグメント13、第4ガイドローラーエプロンセグメント14、第5ガイドローラーエプロンセグメント15、第6ガイドローラーエプロンセグメント16、第7ガイドローラーエプロンセグメント17、第8ガイドローラーエプロンセグメント18と、順番に呼ばれている。尚、ガイドローラー7のなかには、電動機の駆動力で回転し、鋳片9を鋳造方向下流側に引き抜くためのピンチローラーが含まれるが、図1では、ピンチローラーを区別して表示していない。ピンチローラー以外のガイドローラーは駆動されておらず、鋳片9と接触することで回転する。
このスラブ連続鋳造機1においては、1基のサポートローラーエプロンセグメント10で垂直部が構成されており、第1ガイドローラーエプロンセグメント11から第6ガイドローラーエプロンセグメント16までで湾曲部が構成され、第7ガイドローラーエプロンセグメント17及び第8ガイドローラーエプロンセグメント18で水平部が構成されている。
本発明で対象とする連続鋳造機のローラーエプロンセグメントとは、鋳型5の直下、すなわち鋳型下方の最も鋳型5に近い位置に設置されるローラーエプロンセグメント、または、垂直曲げ型連続鋳造機や垂直型連続鋳造機の垂直部に設置されるローラーエプロンセグメントであり、図1に例示するスラブ連続鋳造機1では、サポートローラーエプロンセグメント10が本発明で対象とするローラーエプロンセグメントに該当する。サポートローラーを設置するサポートローラーエプロンセグメントであっても、鋳型5の直下や連続鋳造機の垂直部に設置されていなければ、本発明で対象とするローラーエプロンセグメントに該当しない。
このスラブ連続鋳造機1においては、タンディッシュ2から浸漬ノズル4を介して鋳型5に注入された溶鋼8は、鋳型5で冷却されて鋳型5との接触面に凝固シェル(図示せず)を形成し、外殻を凝固シェルとし、内部に未凝固の溶鋼8を有する鋳片9が、鋳型5の下方に設けられたサポートローラー6及びガイドローラー7に支持されつつ、鋳型5の下方に連続的に引き抜かれる。鋳造方向に隣り合う鋳片支持ローラーの間隙には、水スプレーノズルまたはエアーミストスプレーノズルが配置された二次冷却帯(図示せず)が構成されており、鋳片9は、鋳片支持ローラーを通過する間、二次冷却帯の二次冷却水で冷却され、凝固シェルの厚みを増大して内部までの凝固を完了する。
連続鋳造中、鋳型5の溶鋼湯面上にはモールドパウダー(図示せず)が添加される。モールドパウダーは鋳型5の内壁面と凝固シェルとの間隙に流れ込んで鋳型下端から流出するので、鋳型下端から流出した分、つまり、消費された分を補うために、鋳型5の溶鋼湯面上に連続的または断続的にモールドパウダーが添加される。
モールドパウダーは、前述したように、CaO、SiO、Al、MgO、NaO、KO、LiOなどの酸化物を主要成分とし、融点及び粘度を低下させるために、NaF、LiFなどのフッ化物を含有するのが一般的である。このモールドパウダー中のフッ素は、二次冷却水や高温蒸気と反応して、フッ化水素などの強腐食性液体及び高温ガスを発生させる。この強腐食性液体及び高温ガスにより、鋳型下端から流出するモールドパウダーと近接するサポートローラーエプロンセグメント10のフレームが腐食され、設備寿命の低下原因となる。
サポートローラーエプロンセグメント10よりも鋳造方向下流側に設置される、湾曲部を構成する第1ガイドローラーエプロンセグメント11などでは、ローラーエプロンセグメントのフレーム面が水平面に対して傾斜していることもあって、サポートローラーエプロンセグメント10に設置される二次冷却帯から供給される二次冷却水によって強腐食性液体が流され、且つ、希釈されるので、フレームの腐食は問題にならない。
そこで、本発明では、鋳型直下に設置されるローラーエプロンセグメントであるサポートローラーエプロンセグメント10の鉛直方向上面すなわち鋳型側の面に、腐食防止板を設置する。図2及び図3に、鋳型直下に設置されるサポートローラーエプロンセグメント10の概略図を示す。尚、図2は、サポートローラーエプロンセグメント10の概略平面図、図3は、図2のX−X′矢視による縦断面概略図である。
図2及び図3に示すように、サポートローラーエプロンセグメント10は、相対する一対のフレーム20とフレーム21とを有し、フレーム20及びフレーム21には、鋳片幅方向に2分割された2分割型のサポートローラー6が、フレーム20とフレーム21とのフレーム間に位置するように、鋳造方向の7箇所に設置されている。このフレーム20及びフレーム21の鉛直方向上面に、フレーム上面全体を覆うように、腐食防止板22が設置されている。図2及び図3における符号の23は、フレーム20とフレーム21とを連結するタイロッド、符号の24は、タイロッド23の長さを調整する、つまり、フレーム20とフレーム21との相対距離を調整する間隔調整器である。
フレーム20及びフレーム21の本体は、通常、炭素鋼であり、腐食防止板22が設置されていなければ、腐食によって減肉していく。フレーム20及びフレーム21は構造部材であるので、必要な強度を維持するための肉厚を確保する必要がある。そのために、補修のタイミングで減肉部に肉盛溶接を行い、肉厚を補うことが一般的である。腐食が大幅に進行し、肉盛溶接による補修では対応できなくなったならば、フレーム全体が交換される。
これに対して、本発明に係るローラーエプロンセグメントであるサポートローラーエプロンセグメント10では、フレーム20及びフレーム21の上面全体を覆うように腐食防止板22を設置する。具体的には、フレーム20の上面及びフレーム21の上面と同じ形状の鋼板を腐食防止板22として準備し、腐食防止板22の外周をフレーム20及びフレーム21の本体に溶接して取り付ける。腐食防止板22と、フレーム20及びフレーム21の本体との間に隙間があると、隙間腐食でフレーム20及びフレーム21の腐食が生じるおそれがあるので、腐食環境が厳しい場合は、全周溶接して隙間腐食を防止することが好ましい。
発明者らの調査によれば、フレーム20及びフレーム21の腐食状況は、フッ素を含有する酸性水溶液による全面腐食に加え、固化後のモールドパウダーや地金の付着を起点とした孔食も発生していた。
そこで、本発明者らは、鋳型直下に設置されたローラーエプロンセグメントの鋳型側の面に腐食防止板22を設置して、上記酸性水溶液による全面腐食及び固化後のモールドパウダーや地金の付着を起点とした孔食を防止するにあたり、好適な腐食防止板22の成分組成について調査した。具体的には、鋳型直下に設置されたローラーエプロンセグメントの鋳型側の面に、成分組成の異なる長さ100mm、幅50mm、厚さ3.0mmの試験片を取り付けて3か月間実操業に供することで、試験片の暴露試験を行なった。暴露試験前後の試験片の質量変化に基づいて平均腐食速度を求め、平均腐食速度が2.0mm/年となる成分組成の鋼材を抽出した。
その結果、腐食防止板22は、成分組成としてクロムを16.0質量%以上20.0質量%以下、ニッケルを8.0質量%以上15質量%以下含有するステンレス鋼とすることが好ましいとの知見を得た。クロム及びニッケルの含有量を上記範囲よりも高くすると耐食性は向上するが、コストや加工性、更には材料調達の容易さを考慮すると、上記範囲が望ましい。上記範囲の鋼材として、JIS規格では、SUS302、SUS304、SUS305などが該当する。
また、耐孔食性を向上するために、成分組成として更にモリブデンを含有し、該モリブデンと成分組成としてのクロムとが、下記の(1)式を満足する成分組成のステンレス鋼とすることがより好ましい。JIS規格では、SUS316、SUS317などが該当する。
[質量%クロム]+3.3×[質量%モリブデン]≧25・・・(1)
腐食防止板22は、厚さが0.3〜6.0mmであることが好ましい。0.3〜6.0mmの厚みの範囲であれば、一般に流通しており入手しやすく、溶接施工時の腐食防止板22の反りなどがなく、腐食防止板22の重量もそれほど重くならないので施工しやすい。尚、設置後の腐食防止板22の上面に凹凸が存在すると、水などが残って腐食の起点になる可能性があるが、2.0〜4.0mmの厚みの範囲であれば、凹凸ができにくくなるので、より好ましい。
更に、腐食防止板22を、水平面を基準として、鋳片から離れる方向に向かって、1.5%以上15%以下の下向き勾配で傾斜させて設置することが好ましい。このようにして設置することで、腐食防止板22の上面に付着した水が流下しやすくなり、耐食性向上効果をより一層発揮する。また、フレーム20及びフレーム21を腐食防止板22と同一成分組成のステンレス鋼とした場合には、フレーム20及びフレーム21の腐食をより一層軽減することができる。
腐食防止板22の設置方法は、腐食防止板22とフレーム20及びフレーム21の本体上面との間にシムなどを挟んで溶接するなどすればよい。尚、腐食防止板22の鋳片から離れる方向に向かう下向き勾配が大きいほど、水の流下性は良くなるが、この勾配が大きすぎると、腐食防止板22が鋳型5の下部と干渉するなどして、物理的に設置できなくなる。
上記のスラブ連続鋳造機1では、垂直部が1基のサポートローラーエプロンセグメント10で構成されているが、他の垂直曲げ型連続鋳造機及び垂直型連続鋳造機では、垂直部に、サポートローラーエプロンセグメントが2基以上設置される場合や、サポートローラーエプロンセグメントが1基以上且つガイドローラーエプロンセグメントが1基以上設置される場合がある。このような連続鋳造機では、連続鋳造機の垂直部に配置されるローラーエプロンセグメントである限り、鋳型直下に配置されるローラーエプロンセグメント以外についても、本発明を適用可能である。
このような連続鋳造機の垂直部のローラーエプロンセグメントは、鋳型から遠く離れていても鋳型の鉛直下方に配置されるので、当該ローラーエプロンセグメントの位置まで、フッ素を含有する酸性水溶液が流下したり、固化後のモールドパウダーや地金が落下付着したりする可能性が、依然としてあるからである。
例えば、垂直部に10基のローラーエプロンセグメントが配置される垂直曲げ型連続鋳造機であれば、鋳型直下に配置されたローラーエプロンセグメントのフレームの鋳型側の面のみに腐食防止板を設置してもよいし、鋳型に近い側から5基のローラーエプロンセグメントのフレームの鋳型側の面に腐食防止板を設置してもよいし、垂直部に配置された10基のローラーエプロンセグメントのフレームの鋳型側の面の全てに腐食防止板を設置してもよい。
以上説明したように、本発明によれば、鋳型直下や垂直部に設置されるローラーエプロンセグメントのフレームの鋳型側の面に、腐食防止板22を設置するという簡便且つ低コストの構成により、ローラーエプロンセグメントのフレームの腐食を抑制することが実現され、保守の頻度及び保守費用を低減することが達成できる。
尚、本発明は、上記説明の範囲に限るものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上記説明は垂直曲げ型または垂直型のスラブ連続鋳造機の鋳型直下または垂直部に設置されたローラーエプロンセグメントに本発明を適用した例であるが、湾曲型のスラブ連続鋳造機であっても、また、ブルーム連続鋳造機やビレット連続鋳造機であっても、鋳型直下に設置されるローラーエプロンセグメントである限り、本発明を適用可能である。また、鋳型直下に設置されたローラーエプロンセグメントの下流側にガイドローラーエプロンセグメントが設置されない連続鋳造機であっても、本発明を適用可能である。更に、鋳型直下に設置されたローラーエプロンセグメントの下流側に設置されるガイドローラーエプロンセグメントの基数は幾つであっても構わない。
図1に示す、スラブ鋳片を製造する垂直曲げ型のスラブ連続鋳造機1において、鋳型直下、すなわち鋳型下方の最も鋳型に近い位置に設置するサポートローラーエプロンセグメント10のフレーム20、21の鋳型側の面に腐食防止板22を設置しなかった場合(比較例)と、フレーム20、21の鋳型側の面に腐食防止板22を設置した場合(本発明例1及び本発明例2)とで、フレーム20、21の腐食状況を調査して比較する試験を行った。
本発明例1では、腐食防止板22として厚み3.0mmのステンレス鋼(SUS304、クロム含有量;18.0質量%、ニッケル含有量;8.0質量%)の鋼板を使用し、水平面を基準として、鋳片から離れる方向に向かう下向き勾配を10%として腐食防止板22を設置した。
本発明例2では、腐食防止板22として厚み3.0mmのステンレス鋼(SUS317L、クロム含有量;18.1質量%、ニッケル含有量;11.2質量%、モリブデン含有量;3.0質量%、[質量%クロム]+3.3×[質量%モリブデン]=28.0)の鋼板を使用し、水平面を基準として、鋳片から離れる方向に向かう下向き勾配を10%として腐食防止板22を設置した。
比較例、本発明例1及び本発明例2について、設備の定期修理時期(約3000チャージの連続鋳造操業)ごとに、サポートローラーエプロンセグメント10のフレーム20、21の腐食状況、及び、腐食防止板22の腐食状況を観察し、状況に応じて補修を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2020192590
比較例では、約3000チャージの連続鋳造操業ごとの定期修理に、毎回、フレーム20、21に腐食による貫通孔が生じており、毎回、フレーム20及びフレーム21の全体の交換を余儀なくされた。
本発明例1の場合、約3000チャージを連続鋳造した時点では、フレーム20、21には補修を要するような腐食は見られなかったので、清掃のみを行い、継続して使用した。一方、腐食防止板22には、腐食による貫通孔が認められたので、その部位に溶接補修で孔埋めを行なって次回使用に供した。
次の定期修理時期の約6000チャージを連続鋳造した時点では、フレーム20、21に若干減肉している部位が認められたので、その部位に肉盛り補修を行ない次回使用に供した。腐食防止板22は、腐食による新たな貫通孔が認められたので、新品に交換した。以降、3000チャージの連続鋳造ごとに、腐食防止板22の孔埋め補修、6000チャージの連続鋳造ごとに、フレーム20、21の肉盛り補修及び腐食防止板22の交換を行ないながら30000チャージ連続鋳造するまで使用した。この間、フレーム20、21の交換は不要であった。
本発明例2の場合、約15000チャージを連続鋳造するまで、フレーム20、21、及び腐食防止板22ともに補修を要するような腐食は見られなかったので、清掃のみを行ない、次回使用に供した。
その後、約18000チャージを連続鋳造した時点で、初めて腐食防止板22に腐食による貫通孔が認められたので、その部位に溶接補修で孔埋めを行なった。フレーム20、21には、依然として補修を要するような腐食は見られなかったので、清掃のみを行ない次の使用に供した。
その後、更に、30000チャージを連続鋳造するまで使用しているが、フレーム20、21の補修・交換が必要になりそうな様子は認められない。また、腐食防止板22も、約18000チャージの連続鋳造後の補修後は、補修・交換とも実施していない。腐食防止板22は、約18000チャージの連続鋳造後に補修を行なった実績から、36000チャージの連続鋳造後の補修を計画している。
1 スラブ連続鋳造機
2 タンディッシュ
3 スライディングノズル
4 浸漬ノズル
5 鋳型
6 サポートローラー
7 ガイドローラー
8 溶鋼
9 鋳片
10 サポートローラーエプロンセグメント
11 第1ガイドローラーエプロンセグメント
12 第2ガイドローラーエプロンセグメント
13 第3ガイドローラーエプロンセグメント
14 第4ガイドローラーエプロンセグメント
15 第5ガイドローラーエプロンセグメント
16 第6ガイドローラーエプロンセグメント
17 第7ガイドローラーエプロンセグメント
18 第8ガイドローラーエプロンセグメント
20 フレーム
21 フレーム
22 腐食防止板
23 タイロッド
24 間隔調整器

Claims (6)

  1. 溶鋼を連続鋳造してスラブ鋳片を製造する連続鋳造機の鋳型の下方に1基以上設置され、相対する一対のフレームと、該一対のフレーム間に前記スラブ鋳片を支持するローラーと、を有するローラーエプロンセグメントのうち、最も鋳型側に配置されるローラーエプロンセグメントであって、
    前記一対のフレームの鋳型側の面に、腐食防止板が設置されていることを特徴とする、連続鋳造機のローラーエプロンセグメント。
  2. 溶鋼を連続鋳造してスラブ鋳片を製造する垂直曲げ型連続鋳造機または垂直型連続鋳造機の鋳型の下方に1基以上設置され、相対する一対のフレームと、該一対のフレーム間に前記スラブ鋳片を支持するローラーと、を有するローラーエプロンセグメントのうち、垂直部に配置されるローラーエプロンセグメントであって、
    前記一対のフレームの鋳型側の面に、腐食防止板が設置されていることを特徴とする、連続鋳造機のローラーエプロンセグメント。
  3. 前記腐食防止板は、水平面を基準として、鋳片から離れる方向に向かって1.5%以上15%以下の下向き勾配で傾斜して設置されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の連続鋳造機のローラーエプロンセグメント。
  4. 前記腐食防止板は、厚さが0.3〜6.0mmで、成分組成としてクロムを16.0質量%以上20.0質量%以下、ニッケルを8.0質量%以上15.0質量%以下含有するステンレス鋼であることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の連続鋳造機のローラーエプロンセグメント。
  5. 前記ステンレス鋼は、成分組成として更にモリブデンを含有し、該モリブデンと成分組成としてのクロムとが、下記の(1)式を満足する成分組成のステンレス鋼であることを特徴とする、請求項4に記載の連続鋳造機のローラーエプロンセグメント。
    [質量%クロム]+3.3×[質量%モリブデン]≧25・・・(1)
  6. 前記一対のフレームは、前記腐食防止板と同一成分組成であることを特徴とする、請求項4または請求項5に記載の連続鋳造機のローラーエプロンセグメント。
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