JP2015107522A - 連続鋳造用鋳型及び鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

連続鋳造用鋳型及び鋼の連続鋳造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】凝固初期の凝固シェルの不均一冷却、並びに、包晶反応を伴う中炭素鋼でのδ鉄からγ鉄への変態に起因する凝固シェル厚みの不均一による鋳片の表面割れを防止することができ、かつ、鋳型の表面割れによる鋳型寿命低下を防ぐことができる連続鋳造用鋳型を提供する。
【解決手段】メニスカスよりも上方の任意の位置から、メニスカスよりも20mm以上下方の位置までの内壁面の範囲に、凹溝2が複数設けられている。凹溝2に、銅の熱伝導率に対して熱伝導率が30%以下である金属が充填されて、低熱伝導金属充填部3が形成されている。金属の充填厚みH(mm)が、下記の(1)式を満たし、低熱伝導金属充填部3が形成されている範囲に相当する内壁面の面積A(mm)に対する、低熱伝導金属充填部3と銅との境界長さC(mm)の総和の割合η(mm/mm)が、下記の(2)式を満たす。
0.5≦H≦5.0(1)
0.05≦η≦0.4(2)
【選択図】 図2

Description

本発明は、鋳型内での凝固シェルの不均一冷却に起因する鋳片表面割れを防止することを可能とするとともに、鋳型表面の割れによる鋳型寿命低下を抑えることができる連続鋳造用鋳型、及び、この鋳型を使用した鋼の連続鋳造方法に関する。
鋼の連続鋳造においては、鋳型内に注入された溶鋼は水冷式鋳型によって冷却され、鋳型との接触面で溶鋼が凝固して凝固層(「凝固シェル」という)が生成される。凝固シェルが、鋳型下流側に設置した水スプレーや気水スプレーによって冷却されながら、内部の未凝固層とともに鋳型下方に連続的に引き抜かれ、水スプレーや気水スプレーによる冷却によって中心部まで凝固して鋳片が製造されている。
鋳型内における冷却が不均一になると、凝固シェルの厚みが鋳造方向及び鋳片幅方向で不均一となる。凝固シェルには、凝固シェルの収縮や変形に起因する応力が作用し、凝固初期においては、この応力が凝固シェルの薄肉部に集中し、この応力によって凝固シェルの表面に割れが発生する。この割れは、その後の熱応力や連続鋳造機のロールによる曲げ応力及び矯正応力などの外力により拡大し、大きな表面割れとなる。凝固シェル厚みの不均一度が大きい場合には、鋳型内での縦割れとなり、この縦割れから溶鋼が流出するブレークアウトが発生する場合もある。鋳片に存在する割れは、次工程の圧延工程で表面欠陥となることから、鋳片の段階において、鋳片の表面を手入れして表面割れを除去することが必要となる。
鋳型内の不均一凝固は、特に、炭素含有量が0.08〜0.17質量%の範囲内の、包晶反応を伴う鋼において発生しやすい。これは、包晶反応によるδ鉄(フェライト)からγ鉄(オーステナイト)への変態時の体積収縮による変態応力に起因する歪みによって凝固シェルが変形し、この変形により鋳型内壁面から離れた部位の凝固シェル(この鋳型内壁面から離れた部位を「デプレッション」という)の凝固厚みが薄くなり、この部分に上記応力が集中することによって表面割れが発生すると考えられる。特に、鋳片の引き抜き速度を増加させると、凝固シェルから鋳型冷却水への平均熱流束が増加し、熱流束の分布が不規則で且つ不均一になることから、鋳片表面割れの発生が増加する傾向になる。具体的には、鋳片厚みが200mm以上のスラブ連続鋳造機においては、鋳片の引き抜き速度が1.5m/分以上になると表面割れが発生しやすくなる。
従来、上記の包晶反応を伴う鋼種(「中炭素鋼」という)の表面割れを防止するために、結晶化しやすい組成のモールドパウダーを使用し、モールドパウダー層の熱抵抗を増大させて凝固シェルを緩冷却することが試みられている(例えば、特許文献1を参照)。しかし、モールドパウダーによる緩冷却効果のみでは、十分な不均一凝固の改善は得られず、変態量の大きい鋼種では割れの発生を防止することはできない。
そこで、連続鋳造用鋳型自体を緩冷却化する手法が多数提案されている。例えば、特許文献2や特許文献3には、表面割れを防止するために、鋳型内壁面に凹加工(溝や丸孔)を施し、エアギャップを形成させることによって緩冷却を図る方法が提案されている。しかし、この方法では、溝の幅が大きい場合にはモールドパウダーが流入し、緩冷却の効果が得られにくいという問題がある。
また、鋳型内壁面に設けた凹部(縦溝、格子溝、丸孔)にモールドパウダーを流入させ、規則的な熱伝達分布を与えて不均一凝固量を減らす方法が提案されているが(例えば、特許文献4及び特許文献5を参照)、この方法では、モールドパウダーの流入が不十分で凹み部に溶鋼が侵入したり、モールドパウダーが充填されていても鋳造中に充填していたモールドパウダーが剥がれ、その部位に溶鋼が侵入したりすることにより、拘束性のブレークアウトが発生するという問題があるし、鋳型の寿命も低下しやすいという問題がある。
更には、鋳型内壁面のショットブラスト面や凹加工面の溝幅や丸孔を小さくする方法が提案されているが(例えば、特許文献6及び特許文献7を参照)、この方法では、モールドパウダーは界面張力作用により、ショットブラスト面や凹加工面の溝幅や丸孔に流入せずエアギャップが保たれるものの、鋳型の磨耗によってエアギャップ量が減少することから、その効果は次第に消滅するという問題があり、鋳型の上架期間中にわたって安定した縦割れ防止効果が得られないという問題がある。
一方で、規則的な熱伝達分布を与え不均一凝固量を減らす目的で、鋳型内壁面に溝加工(縦溝、格子溝)を施し、この溝に低熱伝導材料を充填する方法が提案されているが(例えば、特許文献8及び特許文献9を参照)、この方法では、縦溝、格子溝と銅(鋳型)との境界面、並びに、格子部の直交部において、低熱伝導材料と銅との熱歪差による応力が作用し、鋳型銅板表面に割れが発生するという問題がある。
また、特許文献10には、銅製の連続鋳造鋳型において、鋳型内溶鋼のメニスカス近傍の鋳型表面に2〜10mmφの穴(凹溝)を複数形成し、Niなどの比較的熱伝導度が低い金属、または、セラミックスを前記穴に埋め込む技術が記載されている。特許文献10では、埋め込み材と鋳型の表面との境界が、溶鋼が凝固する樹枝状晶間の凝固遅れ部分が生成すると推察される。境界の長さの合計が小さ過ぎると、凝固遅れ部分が少な過ぎて、δ/γ変態の核生成が起こる部位が少な過ぎ、δ/γ変態時に発生する応力を分散することができなくなってしまうおそれがある。一方で、境界の長さの合計が大き過ぎると、凝固遅れ部分が多過ぎて、隣接する境界の間隔が短くなり、凝固遅れ部が生成しにくくなり、δ/γ変態の核生成が起こる部位が少なくなってしまい、δ/γ変態時に発生する応力を分散することができなくなってしまうというおそれがある。特許文献10の技術では、結果的に、十分な不均一凝固の改善は得られず、変態量の大きい鋼種では割れの発生を防止できない可能性がある。
特開2005−297001号公報 特開平6−297103号公報 特開平9−206891号公報 特開平9−276994号公報 特開平10−193041号公報 特開平8−257694号公報 特開平10−296399号公報 特開平1−289542号公報 特開平2−6037号公報 特開平1−170550号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、連続鋳造用鋳型の内壁面に、銅よりも熱伝導率が低い複数個の部位をそれぞれ独立して形成し、これによって、鋳型表面の割れによる鋳型寿命低下を抑えるとともに、鋳片の拘束性ブレークアウトを発生させずに、凝固初期の凝固シェルの不均一冷却、並びに、包晶反応を伴う中炭素鋼でのδ鉄からγ鉄への変態に起因する凝固シェル厚みの不均一による表面割れを防止することができる連続鋳造用鋳型を提供することであり、また、この連続鋳造用鋳型を使用した鋼の連続鋳造方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下の通りである。
[1]銅製の連続鋳造用鋳型であって、メニスカスよりも上方の任意の位置から、前記メニスカスよりも20mm以上下方の位置までの内壁面の範囲に、幅方向及び鋳造方向で複数設けられた凹溝であって、それぞれ独立した凹溝に、銅の熱伝導率に対して熱伝導率が30%以下である金属が充填されて形成された低熱伝導金属充填部を有し、前記金属の充填厚みH(mm)が、下記の(1)式を満たし、前記低熱伝導金属充填部が形成されている範囲に相当する内壁面の面積A(mm)に対する、前記低熱伝導金属充填部と銅との境界長さC(mm)の総和の割合η(mm/mm)が、下記の(2)式を満たすことを特徴とする連続鋳造用鋳型。
0.5 ≦H≦5.0 (1)
0.05≦η≦0.4 (2)
[2]前記金属は、鍍金手段または溶射手段によって前記凹溝に充填されることを特徴とする上記[1]に記載の連続鋳造用鋳型。
[3]上記[1]または上記[2]に記載の連続鋳造用鋳型内に溶鋼を注入して、鋳片を形成するとともに、前記連続鋳造用鋳型から前記鋳片を引き抜く鋼の連続鋳造方法であって、0.6以上となる鋳片引き抜き速度Vc(m/分)と、前記メニスカスから、前記低熱伝導金属充填部が形成されている範囲の下端までの距離R(mm)とが、下記の(3)式の条件を満たすことを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
R≧2×Vc×1000/60 (3)
本発明によれば、低熱伝導金属充填部を、メニスカス位置を含んでメニスカス近傍の連続鋳造用鋳型の内壁面に、幅方向及び鋳造方向において、それぞれ独立して複数設けるので、メニスカス近傍の鋳型幅方向及び鋳造方向における連続鋳造用鋳型の熱抵抗が規則的且つ周期的に増減する。よって、メニスカス近傍つまり凝固初期の凝固シェルから連続鋳造用鋳型への熱流束が規則的且つ周期的に増減し、δ鉄からγ鉄への変態による応力や熱応力によって生じる凝固シェルの変形に起因する不均一な熱流束分布が均一化されるとともに、発生する応力が分散されて、個々の低熱伝導金属充填部の歪量が小さくなる。その結果、凝固シェル表面における割れの発生の防止を可能としつつ、凹溝と銅(鋳型)との境界面において、低熱伝導材料と銅との熱歪差による応力を抑えることが可能となり、鋳型表面の割れによる鋳型寿命低下を抑えることができる。
連続鋳造用鋳型の一部を構成する鋳型長辺銅板を内壁面側から視た概略側面図である。 図1に示す低熱伝導金属充填部が形成された鋳型長辺銅板の部位を示す説明図である。 鋳型長辺銅板の三つの断面における熱抵抗の変化を、各断面に準じて概念的に示す図である。 図1とは別の形態の低熱伝導金属充填部が形成された鋳型長辺銅板の部位を示す説明図である。 銅鋳型内壁面に鍍金層を設けた例を示す説明図である。 低熱伝導金属の充填厚みH(mm)と縦割れ長さ(mm/m)との関係を示すグラフである。 面積Aに対する境界長さCの総和の割合η(mm/mm)と縦割れ長さ(mm/m)との関係を示すグラフである。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態の一例を具体的に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る連続鋳造用鋳型の一部を構成する鋳型長辺銅板であって、内壁面側に低熱伝導金属充填部が形成された鋳型長辺銅板を内壁面側から視た概略側面図、図2は、図1に示す鋳型長辺銅板の低熱伝導金属充填部が形成された部位を示す説明図で、図2(A)は内壁面側から視た側面図、図2(B)は、図2(A)における鋳型長辺銅板のBB線断面図である。スラブ鋳片を鋳造するための連続鋳造用鋳型は、一対の鋳型長辺銅板と一対の鋳型短辺銅板とを組み合わせて構成される。図1に示す鋳型長辺銅板1は、連続鋳造用鋳型を構成する鋳型長辺銅板の例である。本発明においては、連続鋳造用鋳型は、100%銅からなる純銅であってもよいし、銅を90質量%以上含有し、残部として、例えば、アルミニウム、クロム、ジルコニウムなどを含有する銅合金でもよい。
図1及び図2に示すように、鋳型長辺銅板1において、鋼を連続鋳造する際に定まるメニスカス(溶鋼湯面)よりも距離Q(距離Qは任意の値)離れた上方の位置から、メニスカスよりも距離R離れた下方の位置までの、鋳型長辺銅板1の内壁面の範囲(2つの点線の間の範囲に相当する面積A)には、凹溝2が、幅方向及び鋳造方向でそれぞれ独立して複数設けられている。
凹溝2には、銅の熱伝導率に対して、熱伝導率が80%以下である金属(以下、「低熱伝導金属」と記す)が充填されて、低熱伝導金属充填部3が形成されている。低熱伝導金属は、鍍金手段や溶射手段などによって、凹溝2に充填され、低熱伝導金属充填部3は、鋳型長辺銅板1の内壁面で、幅方向及び鋳造方向でそれぞれ独立している。鍍金手段や溶射手段などによって、低熱伝導金属と凹溝2との間に空隙が生じることなく、後述するような鋳型内壁面での規則的且つ周期的な熱抵抗の変動が実現される。なお、鋳型長辺銅板1の内壁面において、低熱伝導金属充填部3は円形となっているが、本発明において、低熱伝導金属充填部3の形状は特に限定されるものではない。なお、図2における符号5は冷却水流路、符号6はバックプレートである。
鋳型短辺銅板にも、鋳型長辺銅板と同様にその内壁面に低熱伝導金属充填部が形成されるものとして、ここでは、鋳型短辺銅板についての説明は省略する。但し、スラブ鋳片においては、その形状に起因して長辺面側の凝固シェルに応力集中が起こりやすく、長辺面側で表面割れが発生しやすいことから、スラブ鋳片用の連続鋳造用鋳型の鋳型短辺銅板には、必ずしも低熱伝導金属充填部を設置する必要はない。
図3は、鋳型長辺銅板の三つの断面における熱抵抗の変化を、各断面に準じて概念的に示す図である。連続鋳造用鋳型の幅方向及び鋳造方向に、内壁面におけるメニスカス近傍に、低熱伝導金属充填部3を複数設けることにより、内壁面の熱抵抗が、鋳型幅方向及び鋳造方向において規則的且つ周期的に増減する。図3に示すように、低熱伝導金属充填部3が形成されている内壁面の位置では、熱抵抗が相対的に高くなっている。内壁面の熱抵抗が規則的且つ周期的に増減するので、メニスカス近傍つまり凝固初期の凝固シェルから連続鋳造用鋳型への熱流束が規則的且つ周期的に増減する。よって、δ鉄からγ鉄への変態(以下「δ/γ変態」と記す)による応力や熱応力によって生じる凝固シェルの変形に起因する不均一な熱流束分布が均一化されるとともに、発生する応力が分散されて個々の低熱伝導金属充填部3の歪量が小さくなり、凝固シェル表面における表面割れの発生が防止される。
鋳造中のメニスカスの上下方向の変動及び初期凝固への影響を勘案すれば、内壁面において低熱伝導金属充填部3が形成されている範囲(面積A)の下端は、メニスカスよりも20mm以上下方とすることが必須である。つまりは、図1に示す距離Rは、20mm以上とする必要がある。距離Rが、メニスカス位置よりも20mm未満となると、低熱伝導金属充填部3による熱流束の周期的な変動の効果が不十分であることから、表面割れの発生しやすい高速鋳造時や中炭素鋼の鋳造時において、鋳片表面割れの防止効果が不十分になる。
内壁面における面積Aの上端は、メニスカスよりも上方である限り任意の位置でよい。すなわち、距離Qはゼロを超えた任意の値である。但し、鋳造中にメニスカスは上下方向に変動するので、面積Aの上端が、メニスカスよりも常に上方にあるように、メニスカスよりも20mm程度上方位置まで低熱伝導金属充填部3を設置することが好ましい。なお、メニスカスの位置は、鋳型長辺銅板1の上端から60〜150mm下方とすることが一般的であり、これに応じて、面積Aの上端を決めればよい。
面積Aの縦長さは、図1に示されるように連続して複数形成された低熱伝導金属充填部3の最上端に位置する低熱伝導金属充填部3の上端水平線と、連続して複数形成された低熱伝導金属充填部3の最下端に位置する低熱伝導金属充填部3の下端水平線と、の間隔をいう。面積Aの横長さは、連続して複数形成された低熱伝導金属充填部3の最左右端に位置する低熱伝導金属充填部3の左端鉛直線と右端鉛直線との間隔をいう。面積Aは、その縦長さ及び横長さで決まる。
低熱伝導金属の熱伝導率は、銅の熱伝導率(約380W/(m・K))に対して30%以下である必要がある。銅の熱伝導率に対して30%よりも大きいと、低熱伝導金属充填部3による熱流束の周期的な変動の効果が不十分であるために、鋳片表面割れの発生しやすい高速鋳造時や中炭素鋼の鋳造時において、鋳片表面割れの防止効果が不十分になる。特に、低熱伝導金属としては、鍍金や溶射のしやすいNi(熱伝導率:約80W/(m・K)
)及びNi合金が好適である。
低熱伝導金属充填部3の充填厚みHが、小さすぎると、低熱伝導金属充填部3における熱流束の低下が不十分となる可能性があり、大きすぎると、熱流束の低下は十分なものとなっているにもかかわらず、凹溝2への低熱伝導金属の充填が難しくなるので、低熱伝導金属充填部3の充填厚みHを0.5mm以上5.0mm以下の範囲とする。すなわち、充填厚みH(mm)は下記の式(1)を満足する。
0.5≦H≦5.0 (1)
充填厚みHが0.5mm未満になると、低熱伝導金属充填部3における熱流束の低下が不十分であり、上記効果を得ることができない。充填厚みHが5.0mmより大きいと、低熱伝導金属充填部3によって熱流束が大きく低下することがない上に、凹溝2へ充填するべき低熱伝導金属の量が多くなり、かつ、鍍金手段や溶射手段による凹溝2への低熱伝導金属の充填が難しくなってしまい、低熱伝導金属充填部3と鋳型の内壁面の銅部分との間で隙間が生じやすくなる。ひいては、低熱伝導金属充填部3の亀裂や剥離が生じやすくなり、鋳型の寿命低下に繋がる。
内壁面に複数設けられている低熱伝導金属充填部3の周辺Cが、低熱伝導金属と内壁面の銅部分との境界となっており、この境界で、凝固の樹枝状晶間の凝固遅れ部が生成する。この凝固遅れ部が主に、δ/γ変態の核生成を誘発する。つまり、この境界がδ/γ変態の核生成が起こる部位となる。周辺Cの総和が小さ過ぎると、境界が少な過ぎて、δ/γ変態の核生成が起こる部位が少な過ぎ、δ/γ変態時に発生する応力を分散することができなくなってしまう。一方で、周辺Cの総和の値が大き過ぎると、境界が多過ぎて、隣接する境界の間隔が短くなり、凝固遅れ部が生成しにくくなり、δ/γ変態の核生成が起こる部位が少なくなってしまい、δ/γ変態時に発生する応力を分散することができなくなってしまう。
そこで、本発明者らは、周辺Cの総和(境界長さCの総和)には、低熱伝導金属充填部3が形成されている範囲に相当する鋳型の内壁面の面積Aに対して、適正な範囲があると考え、溶鋼中への水冷銅製鋳型への浸漬実験や連続鋳造実験により、その適正な範囲を突き止め、面積A(mm)に対する、境界長さC(mm)の総和の割合η(mm/mm)を0.05以上0.4以下の範囲とすることを導いた。すなわち、割合ηは、下記の式(2)を満足する。
0.05≦η≦0.4 (2)
割合ηがこの範囲内であれば、面積Aにおける、熱流束の小さい低熱伝導金属充填部3の占める割合が適正となり、δ/γ変態の核生成が起こりやすくなり、δ/γ変態時に発生する応力を凝固面において多数分散することができる。
低熱伝導金属充填部3の境界長さC(mm)は、低熱伝導金属充填部3の形状が円形である場合には、その直径で算出される円周で決まり、境界長さC(mm)の総和は、低熱伝導金属充填部3の個数で決まる。割合ηが上記の式(2)を満足すれば、伝導金属充填部3の直径d及び個数は、特に限定されるものではないが、直径dは、2〜20(mm)の範囲内であることが好ましい。直径dが2mm未満の場合、低熱伝導金属充填部3における熱流束の低下が不十分となりやすく、低熱伝導金属を鍍金手段や溶射手段によって凹溝2に充填することが難しくなる。一方で、直径dが20mmを超えると、低熱伝導金属充填部3における熱流束の低下によって大きな凝固遅れが生じ、その位置での凝固シェルへの熱応力が大きくなり、凝固シェルに表面割れが発生することから、低熱伝導金属充填部3の直径dは20mm以下にすることが好ましい。
連続鋳造用鋳型の幅方向における隣接する低熱伝導金属充填部3の中心の間隔(ピッチ)P1(mm)及び鋳造方向における低熱伝導金属充填部3の中心の間隔P2(mm)は、割合ηが上記の式(2)を満足すれば、特に限定されるものではない。間隔P1を6〜20mmの範囲内とし、間隔P2を6〜20mmの範囲内とすることが好ましい。間隔P1,P2がこの範囲内であれば、低熱伝導部の間隔が適度となり、低熱伝導部と銅部との熱流束差をある程度の大きさに保つことができ、凝固面において応力を多数分散させる効果を適切に得られる。間隔P1,P2が小さすぎると、低熱伝導部と銅部との熱流束差が小さ過ぎ、大きすぎると、伝熱伝導部の面積率が小さくなってしまい、応力を多数分散させる効果が奏しにくい。
伝導金属充填部3の直径dや、伝導金属充填部3の個数、及び、間隔P1,P2を適宜変更することによって、低熱伝導金属充填部3と銅との境界長さC(mm)の総和を変更して、上記の式(2)を満足するように、割合ηを調整することができる。
また、δ/γ変態による応力や熱応力によって生じる凝固シェルの変形に起因する不均一な熱流束分布が溶鋼に生じている間は、低熱伝導金属充填部3によって、鋳型の内壁面で、熱流束の周期的な変動が生じていることが好ましいので、溶鋼が凝固を開始し始めてから少なくとも2秒間、溶鋼が存在している内壁面の範囲に、低熱伝導金属充填部3が形成されている必要がある。よって、この連続鋳造用鋳型を用いて鋼を連続鋳造する場合において、連続鋳造用鋳型内に溶鋼を注入して、鋳片を形成するとともに、連続鋳造用鋳型から鋳片を引き抜く際の鋳片引き抜き速度Vc(m/分)と、メニスカスから、低熱伝導金属充填部3が形成されている範囲の下端までの距離R(mm)とが、下記の(3)式の条件を満たすことが好ましい。
R≧2×Vc×1000/60 (3)
低熱伝導金属充填部3の配列は、図1及び図2に示すような千鳥配列が望ましいが、この配列に限定されるものではなく、どのような配列であっても構わない。但し、割合ηが、上記の式(2)を満足するように、低熱伝導金属充填部3が配列されている必要がある。
低熱伝導金属充填部3は、連続鋳造用鋳型の長辺鋳型銅板と短辺鋳型銅板の双方に設置することを基本とするが、スラブ鋳片のように鋳片短辺長さに対して鋳片長辺長さの比が大きい場合には、低熱伝導金属充填部3を長片側のみに設置しても、本発明の効果を得ることができる。
低熱伝導金属充填部3の形状は、円形に限られず、略四角形であってもよい。図4は、形状が略四角形である低熱伝導金属充填部が形成された鋳型長辺銅板の部位を示す説明図である。低熱伝導金属充填部3の四角形における、直線状の辺と辺とを結ぶ部分(頂点部分)は、円弧などの滑らかな曲線であることが好ましい。いわゆる頂点部分の形状が直角だと、その部分での低熱伝導金属と銅との熱歪差による応力が、その部分に集中しやすくなるので、鋳型に亀裂が入りやすくなってしまう。
略四角形の低熱伝導金属充填部3の境界長さC(mm)は、伝導金属充填部3の頂点部分の辺を曲線にする場合には、曲率から求まる曲線長さや、伝導金属充填部3の幅u及び縦長さwによって算出される。形状が略四角形である低熱伝導金属充填部が形成された鋳型長辺銅板の実施形態においても、幅u及び縦長さw、伝導金属充填部3の個数及び間隔P1,P2を適宜変更することによって、低熱伝導金属充填部3と銅との境界長さC(mm)の総和を変更して、上記の式(2)を満足するように、割合ηを調整することができる。
低熱伝導金属充填部3を形成させた銅鋳型内壁面に、鍍金層4を設けることが好ましい。図5は、銅鋳型内壁面に銅鋳型表面の保護のための鍍金層4を設けた例を示す説明図である。鍍金層4によって、凝固シェルによる磨耗や熱履歴による鋳型表面の割れを防止することができる。鍍金層4は一般的に用いられるNi系合金(Ni−Co合金など)を形成する。鍍金層4の厚みhが2.0(mm)を超えると、低熱伝導金属充填部3による熱流束の周期的な変動の効果が不十分になることから、鍍金層4の厚みhは2.0(mm)以下にすることが好ましい。
次に示す実験で、中炭素鋼(C:0.08〜0.17質量%、Si:0.10〜0.30質量%、Mn:0.50〜1.20質量%、P:0.010〜0.030質量%、S:0.005〜0.015質量%、Al:0.020〜0.040質量%)を、低熱伝導金属充填部3が形成された連続鋳造用鋳型を用いて、スラブ鋳片に連続鋳造する鋼の連続鋳造を複数回行った。実験では、式(1)及び(2)のいずれをも満たし、低熱伝導金属の熱伝導率が、銅合金に対して30%以下である連続鋳造用鋳型を用い、通常の鋳造速度程度となる1.0(m/分)で連続鋳造を行う場合では、鋳片での縦割れの発生を抑え得ることを確認し、低熱伝導金属は、熱伝導率が銅合金に対して30%以下であることや、式(1)または(2)のいずれかを満たさない場合には、鋳片に縦割れが生じてしまうことを確認した。
実験の鋼の連続鋳造では、長辺長さ1.8m、短辺長さ0.26mの内面空間サイズを有し、低熱伝導金属充填部3が形成された水冷銅鋳型を用いている。水冷銅鋳型の上端から下端までの長さ(=鋳型長)は900mmであり、鋳型上端より80mm下方の位置から鋳型上端より300mm下方の位置までの範囲(範囲長さ:(Q+R)=220mm)の鋳型内壁面に、図1に示すような円形状の凹溝2の加工を施した後に、この円形凹溝2の内部に鍍金手段を用いてNi合金を鍍金により充填させて低熱伝導金属充填部3を形成してある。また、実験の鋼の連続鋳造では、メニスカスを鋳型上端より200mm下方の位置としている。但し、実験では、低熱伝導金属充填部3に関する、低熱伝導金属の熱伝導率λ、充填厚みHや、割合ηを適宜変更してある。
<実験1>
実験1では、鋳型の銅として熱伝導率が380W/(m・K)である銅合金を使用し且つ低熱伝導金属としてNi合金(80W/(m・K))を使用し、割合ηを0.19とした低熱伝導金属充填部3が形成されている連続鋳造用鋳型を用いて鋼の連続鋳造を複数回行った。連続鋳造の各々では、低熱伝導金属充填部3の充填厚みHを適宜変更している。実験1の連続鋳造では、低熱伝導金属の熱伝導率が、銅合金に対して80%以下であり且つ式(2)を満たしているが、式(1)を満たす場合とそうでない場合とがあり、式(1)を満たす場合には、鋳片に縦割れ(表面割れ)が発生しない一方で、満たさない場合には、鋳片に縦割れ(表面割れ)が発生し、該縦割れの長さを測定している。縦割れの長さは、カラーチェックによる目視で確認し、鋳片の長辺長さに対する表面割れの長辺方向における長さで評価してある。実験1での充填厚みH(mm)と縦割れ長さ(mm/m)の関係を示すグラフを図6に示す。図6から、充填厚みHが0.5mm以上だと、凝固シェル表面における表面割れの発生が抑えられていることがわかる。なお、充填厚みHが5.0mmを超えても、表面割れが防げている。但し、低熱伝導金属充填部3の亀裂や剥離が生じやすくなり、鋳型の寿命低下に繋がる可能性がある。
<実験2>
実験2では、鋳型の銅として熱伝導率が380W/(m・K)である銅合金を使用し且つ低熱伝導金属としてNi合金(80W/(m・K))を使用し、充填厚みHを2.0mmとした低熱伝導金属充填部3が形成されている連続鋳造用鋳型を用いて鋼の連続鋳造を複数回行った。連続鋳造の各々では、低熱伝導金属充填部3に関する割合η(mm/mm)を適宜変更している。実験2の連続鋳造では、低熱伝導金属の熱伝導率が、銅合金に対して80%以下であり且つ式(1)を満たしているが、式(2)を満たす場合とそうでない場合とがある。実験2でも、実験1と同様に、表面割れを評価している。実験2での割合η(mm/mm)と縦割れ長さ(mm/m)の関係を示すグラフを図7に示す。図7から、割合ηが0.05以上0.4以下であると、凝固シェル表面での表面割れの発生が抑えられていることがわかる。
以上説明したように、本発明によれば、低熱伝導金属充填部3を、メニスカス位置を含んでメニスカス近傍の連続鋳造用鋳型の幅方向及び鋳造方向で、それぞれ独立して設置するので、メニスカス近傍の鋳型幅方向及び鋳造方向における連続鋳造用鋳型の熱抵抗が規則的且つ周期的に増減し、これによって、メニスカス近傍つまり凝固初期の凝固シェルから連続鋳造用鋳型への熱流束が規則的且つ周期的に増減し、δ/γ変態による応力や熱応力によって生じる凝固シェルの変形に起因する不均一な熱流束分布が均一化されるとともに、発生する応力が分散されて個々の低熱伝導金属充填部の歪量が小さくなり、その結果、凝固シェル表面における割れの発生が防止される。また、鋳型表面の割れによる鋳型寿命低下を抑えることができる。
上記説明はスラブ鋳片用の連続鋳造用鋳型に関して行ったが、本発明はスラブ鋳片用の連続鋳造用鋳型に限定されるものではなく、ブルーム鋳片用やビレット鋳片用の連続鋳造用鋳型にも本発明を適用することができる。
前述の実験と同じ中炭素鋼を、実験と同じ内面空間サイズを有する水冷銅鋳型を用いてスラブ鋳片に連続鋳造する際に、水冷銅鋳型の内壁面に形成される凹溝の形状や、内壁面において、低熱伝導金属充填部が形成されている範囲や、鋳片引き抜き速度Vcなどを変更した複数の条件で、鋳造後の鋳片の表面割れを調査する試験を行った。上記実験と同様に、鋳型には、熱伝導率が380W/(m・K)である銅合金を使用し、低熱伝導金属にはNi合金(80W/(m・K))を使用した。
水冷銅鋳型の上端から下端までの長さ(=鋳型長)は900mmであり、鋳型上端より80mm下方の位置から鋳型上端より300mm下方の位置までの範囲(範囲長さ(Q+R)=220mm)に、鋳型内壁面に、図1に示すような円形状の凹溝の加工を施した後に、この円形凹溝の内部に鍍金手段を用いてNi(熱伝導率:80W/(m・K))を充填させて低熱伝導金属充填部を有する水冷銅鋳型を準備し、鋼の連続鋳造を行った(試験No.1〜7及び15〜19)。
円形凹溝の孔深さが大きい場合には、数回に亘って鍍金、表面研削を繰り返して行い、所望の形状の低熱伝導金属充填部3を鋳型内壁面に形成させた。その後、鋳型内壁面の全面にNi−Co合金を鍍金して、鋳型上端での厚み500μm、鋳型下端での厚み1000μmの鍍金層4を施工した(低熱伝導金属充填部でのNi−Co鍍金層厚みは約600μm)。
上記と同じ内面空間サイズの鋳型中で、試験No.1〜7と同じ範囲長さ(Q+R)=220)の鋳型内壁面に、図4に示すような略四角形状の凹溝の加工を施した後に、この格子状凹溝に上記の方法と同様に低熱伝導金属充填部を形成させた水冷銅鋳型も準備し、鋼の連続鋳造を行った(試験No.8〜14及び20〜24)。
連続鋳造操業においては、モールドパウダーとして、塩基度(質量%CaO/質量%SiO2)が1.1、凝固温度が1210℃、1300℃での粘性率が1.5Pのモールド
パウダーを使用した。また、タンディッシュ内の溶鋼過熱度は25〜35℃とした。鋳型内のメニスカス位置(湯面位置)は、定常鋳込み状態で鋳型上端から100mmとし、メニスカスが低熱伝導金属充填部の設置範囲内に存在するように制御した。
試験No.1〜24の鋳型では、それぞれで以下の(イ)〜(ニ)を変更している。
(イ)低熱伝導金属充填部3が形成されている面積A(mm)に対する、低熱伝導金属充填部3と銅との境界長さC(mm)の総和の割合η(mm/mm
(ロ)メニスカスから、低熱伝導金属充填部3が形成されている範囲の下端までの距離R(mm)
(ハ)鋳片引き抜き速度Vc(m/分)
(ニ)金属の充填厚みH(mm)
試験No.1〜24において、連続鋳造が終了した後、鋳片長辺の表面を酸洗してスケールを除去し、鋳片の表面割れを評価し、更に、鋳型の表面割れの発生を評価した。試験No.1〜24における条件、中炭素鋼鋳片の表面割れ及び鋳片の表面割れの発生状況を表1に示す。
Figure 2015107522
表1中の「鋳片表面割れ」の項目については、鋳片表面割れ及び凹みの発生状況を、浸透法を用いて目視で評価した。この項目の評価内容は次の通りである。
○:表面割れ及び凹みのいずれも発生しなかった。
×:表面割れまたは凹みの存在を確認した。
表1中の「鋳型表面割れ」の項目については、鋳型の内壁面の割れの発生状況を目視で評価した。この項目の評価内容は次の通りである。
○:表面割れが発生しなかった。
×:表面割れの存在を確認した。
表1の備考欄には、本発明の範囲内の水冷銅鋳型を使用した試験を本発明例と表示し、低熱伝導金属充填部を有するものの本発明の範囲を満足しない水冷銅鋳型を使用した試験を比較例と表示している。試験に使用した水冷銅鋳型に形成されている低熱伝導金属充填部3の形状は、図1に示す円形であるか、図4に示す略四角形である。図1に示す形態である場合には、本発明例または比較例の後の括弧に「図1」と示し、図4に示す形態である場合には、本発明例または比較例の後の括弧に「図4」と示してある。
表1に示すように、試験No.1〜14では、低熱伝導金属充填部3の充填厚みH(mm)、及び、内壁面における、低熱伝導金属充填部3が形成されている面積A(mm)に対する、低熱伝導金属充填部の境界長さC(mm)の総和の割合ηが、前述の式(1)及び式(2)を満たすとともに、鋳片引き抜き速度Vc(m/分)と、メニスカスから、低熱伝導金属充填部3が形成されている範囲の下端までの距離R(mm)とは、前述の式(3)を満たす。試験No.1〜14のいずれも、鋳型に亀裂は発生せず、また、鋳片に表面割れは発生しなかった。試験No.1〜14では、鋳型に亀裂を発生させることなく、中炭素鋼のように表面割れの発生しやすい鋼についても、鋳片の表面割れを従来に比較して大幅に低減できることが確認できた。
試験No.15〜24では、割合ηが式(1)を満たさない、あるいは、充填厚みHが、式(2)を満たさず、または、鋳片引き抜き速度Vc(m/分)と距離R(mm)とが前述の式(3)を満たさず、鋳型に亀裂が発生するか、または、鋳片に表面割れが発生している。
以上の通り、本発明によって、凝固シェル表面における割れの発生が防止される上に、鋳型の表面割れも防げていることがわかる。
1 鋳型長辺銅板
2 凹溝
3 低熱伝導金属充填部
4 鍍金層
5 冷却水流路
6 バックプレート

Claims (3)

  1. 銅製の連続鋳造用鋳型であって、
    メニスカスよりも上方の任意の位置から、前記メニスカスよりも20mm以上下方の位置までの内壁面の範囲に、幅方向及び鋳造方向で複数設けられた凹溝であって、それぞれ独立した凹溝に、銅の熱伝導率に対して熱伝導率が30%以下である金属が充填されて形成された低熱伝導金属充填部を有し、
    前記金属の充填厚みH(mm)が、下記の(1)式を満たし、
    前記低熱伝導金属充填部が形成されている範囲に相当する内壁面の面積A(mm)に対する、前記低熱伝導金属充填部と銅との境界長さC(mm)の総和の割合η(mm/mm)が、下記の(2)式を満たすことを特徴とする連続鋳造用鋳型。
    0.5 ≦H≦5.0 (1)
    0.05≦η≦0.4 (2)
  2. 前記金属は、鍍金手段または溶射手段によって前記凹溝に充填されることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造用鋳型。
  3. 請求項1または請求項2に記載の連続鋳造用鋳型内に溶鋼を注入して、鋳片を形成するとともに、
    前記連続鋳造用鋳型から前記鋳片を引き抜く鋼の連続鋳造方法であって、
    0.6以上となる鋳片引き抜き速度Vc(m/分)と、前記メニスカスから、前記低熱伝導金属充填部が形成されている範囲の下端までの距離R(mm)とが、下記の(3)式の条件を満たすことを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
    R≧2×Vc×1000/60 (3)
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