JP7013941B2 - 連続鋳造機 - Google Patents

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本発明は、溶鋼など溶融金属の連続鋳造において、鋳型内の凝固を均一かつ安定に保ってブレークアウト事故を防止するために用いて好適な連続鋳造機に関する。
溶鋼など溶融金属の連続鋳造において、鋳型内へ溶融金属を供給する方法には、耐火物製の浸漬ノズルを用いる方法が広く行われている。スラブの連続鋳造など矩型比の大きな幅広い鋳型へ溶融金属を供給する浸漬ノズルは、鋳型中央部から鋳型短辺側の両面に向かって2つの吐出孔を穿った2孔ノズルであるのが一般的である。ブルーム連続鋳造機に比べ鋳片厚みが小さく高速鋳造が可能なスラブ連続鋳造機においては、通常、2孔ノズルからの溶融金属流は斜め下向きに吐出し、鋳型短辺内壁近傍で上下に分かれて、鋳型短辺内壁に沿って上昇流と下降流とを形成する。
一方、高速鋳造条件下においては、浸漬ノズルからの溶融金属流は、鋳型短辺内壁側に形成された凝固シェルを溶解してブレークアウトを引き起こしたり、鋳型短辺内壁に沿った上昇流が湯面を乱して鋳片表面品質を悪化させたり、鋳型短辺内壁に沿った下降流が非金属介在物を鋳片深くへ持ち込んで鋳片内部品質を悪化させたりと、様々な悪影響を及ぼす。その中でも特にブレークアウトは、何トンもの溶鋼が流出する重大なトラブルであり、その防止は優先度の高い課題である。
ブレークアウトの発生機構の1つとして再溶解性ブレークアウトがある。再溶解性ブレークアウトは、浸漬ノズルからの吐出流の熱量を受けて一旦成長した凝固シェルが再溶解することで生じる。再溶解性ブレークアウトは、浸漬ノズルからの吐出流が衝突する鋳型の短辺側で主に生じる。とりわけ、鋳型の短辺と長辺とが交わる鋳片コーナー部の近傍で生じることが多い。鋳片コーナー部では、鋳型の長辺および短辺の両方の凝固シェルが収縮する影響を受けるため、鋳片が鋳型から離れやすく、凝固が遅れがちであることがその理由である。
再溶解性ブレークアウトを防止するには、鋳型内における凝固シェルの成長を健全に保つことが求められる。そのためには、鋳型の短辺側に、収縮しながら成長する凝固シェルをしっかり押し付けることが重要である。
鋳型短辺側に、収縮しながら成長する凝固シェルをしっかり押し付けることに対しては、鋳型短辺側のテーパーを適正化する技術が知られている。例えば、特許文献1及び2に開示されているように、鋳型短辺側のテーパーを適正な範囲に制御する方法である。また、特許文献3には、鋳型の短辺側及び長辺側にテーパーを設けた技術が開示されている。
特開昭54-163726号公報 特開昭58-145344号公報 特開2012-157872号公報
しかしながら、凝固シェルを鋳型に密着させる作用がある凝固シェルのバルジング(溶鋼静圧による膨らみ)に着目すると、凝固シェルのバルジングが長辺側においてより大きく生じることから、鋳型内と凝固シェルの密着度をバランスさせるには、鋳型の短辺側に対して、長辺側の鋳型テーパーを小さく設定する必要がある。加えて、鋳型短辺銅板の熱伝導率を高くして冷却能力を増すことが再溶解性ブレークアウトの防止に有効である。それらの点が考慮されていないため、特許文献1及び2に記載の技術では、再溶解性ブレークアウトを十分に防止することができない。また、特許文献3に記載の技術は、鋳型の長辺側のテーパー率を規定しているが、特許文献3に記載の技術はブルーム連続鋳造機を想定しており、ブルーム連続鋳造機に比べ鋳型の矩形比が大きいスラブ連続鋳造機には適用できない。これは、矩形比が大きいほど長辺凝固シェルのバルジングが顕著に生じるからである。
本発明は前述の問題点を鑑み、再溶解性ブレークアウトを十分に防止可能な連続鋳造機を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋳型内における凝固シェルの成長を健全に保つためには、(1)鋳型の短辺側に、収縮しながら成長する凝固シェルをしっかり押し付けること、(2)凝固シェルと鋳型の長辺側および短辺側それぞれとの密着度合いを適正に保って、凝固収縮に伴って凝固シェルが鋳型短辺側から乖離する量を最小限にとどめること、(3)鋳型短辺側で用いられる銅板に、特に熱伝導率の高い材料を用いて抜熱量を確保し、短辺側の凝固シェルの成長を促すこと、(4)鋳型の長辺側の凝固シェルを比較的緩やかに冷却して鋳型の短辺側で凝固シェルの乖離を抑制すること、の4つのポイントを同時に満たすべきであることに着目した。
その結果、鋳型矩形比に応じた鋳型短辺側のテーパーと鋳型長辺側のテーパーとの関係を規定し、さらに鋳型短辺側で用いられる銅板を特に熱伝導率の高い材料とすることによって、鋳型と凝固シェルとの密着度が適切に保たれ、さらに凝固シェルの成長を促進しつつ鋳型内の摩擦抵抗を低く維持できるようにした。加えて、鋳型短辺側の熱伝導率が十分に高いので、万一鋳型内で短辺側の凝固シェルが破断した場合にも、迅速に溶融金属が凝固する。これにより、再溶解性ブレークアウトが発生しにくい安定した連続鋳造機を提供することができる。
本発明は以下の通りである。
(1)鋳型の水平方向の断面が矩形比が3~10の矩形であり、上方のタンディッシュから浸漬ノズルを介して前記鋳型内へ溶融金属が供給され、前記浸漬ノズルから鋳型短辺側の両面に向かって溶融金属流が吐出される連続鋳造機であって、
鋳型短辺側のテーパー率Trnが鋳型幅Wに対して0.8%/m~2.0%/m、鋳型長辺側のテーパー率Trwが鋳型厚Dに対して0.4%/m~1.5%/mであり、かつ前記鋳型短辺側のテーパー率Trnと前記鋳型長辺側のテーパー率Trwとの比Trw/Trnが前記鋳型の矩形比W/Dに対して以下の(1)式の関係を満たし、
前記鋳型短辺側および前記鋳型長辺側はそれぞれ、純銅に添加された元素によって熱伝導率が調整された銅板を備えており、
前記鋳型短辺側を構成する銅板の熱伝導率が300W/(m・K)以上であり、かつ前記鋳型長辺側を構成する銅板の熱伝導率が前記鋳型短辺側を構成する銅板の熱伝導率未満、200W/(m・K)以上とすることを特徴とする連続鋳造機。
0.6/(W/D)1/2<Trw/Trn<2.0/(W/D)1/2 ・・・(1)
本発明によれば、鋳型の矩形比が大きい場合にも、再溶解性ブレークアウトを十分に防止することができる。
スラブ連続鋳造機における鋳型の断面を説明するための図である。
本発明者らは、再溶解性ブレークアウト対策の不備を解消し、安定した連続鋳造操業をもたらすために鋭意検討を重ね、本発明に至った。
まず、鋳型のテーパーに関しては、金属の凝固収縮に応じて鋳型断面積を徐々に絞ることが技術的常識であり、鋳型の長辺側および短辺側ともにテーパーを付与する。一方、鋳型にテーパーを付与すると、鋳型と凝固シェルとが密着して凝固シェルの熱収縮が増す。そのため、例えば鋳型長辺側に過大なテーパーを付与すると、鋳型長辺側の凝固シェルの収縮が大きくなり、短辺側の凝固シェルが鋳型から乖離しやすくなる。したがって、鋳型短辺側と鋳型長辺側とで凝固シェルとの密着度のバランスを保つように鋳型にテーパーを付与することが重要である。
また、鋳型のテーパー率を大きくするほど、鋳型と凝固シェルとが強く密着するので、摩擦抵抗が増えるという一面もある。また、鋳型のテーパー率が大きいと、鋳型を構成する銅板の磨耗を促進し、銅板の寿命を縮めてしまう。このように、鋳型のテーパー率は、鋳型と凝固シェルとの密着度を支配する操業パラメータであり、大き過ぎても小さ過ぎても良くない。
本発明者らは、試行錯誤を伴う調査研究の結果、鋳型長辺側に鋳型短辺側と同じテーパーを付与した場合には、鋳型長辺側と凝固シェルとの密着度が、鋳型短辺側と凝固シェルとの密着度に比べて過大になりやすいことを突き止めた。これは、鋳型幅(鋳型長辺)が鋳型厚み(鋳型短辺)よりも大きい(すなわち水平方向の長さが長辺の方が大きい)ことから、凝固シェルのバルジング(溶鋼静圧による膨らみ)が長辺においてより大きく生じることに起因する。
本発明者らは、その発見を基に、鋳型短辺側のテーパー率を0.8~2.0%/mの範囲、鋳型長辺側のテーパー率を0.4~1.5%/mの範囲に定め、さらに、鋳型の矩形比に応じて、鋳型短辺側のテーパー率と鋳型長辺側のテーパー率との比率を適正範囲に設定する考えに至った。鋳型の矩形比が大きいほど短辺側の凝固シェルに比べて長辺側の凝固シェルのバルジング変形が大きくなって鋳型への密着度が増すので、鋳型長辺側のテーパー率を相対的に小さくして凝固シェルと鋳型との密着度合いをバランス良くする。
また、鋳型長辺側での凝固シェルとの過度の密着を防止することは、両者の間の摩擦抵抗を抑制する上で有効である。すなわち、鋳型の矩形比に応じて、短辺側のテーパー率と長辺側のテーパー率との比率を適正化することによって、鋳型内の凝固シェルの収縮変形と摩擦抵抗との両面において、短辺側と長辺側とでバランスを好適に保つ効果を有する。これにより、鋳型内の潤滑性と凝固シェルの健全な成長とを両立できる。
さらに、万一凝固シェルが破断して溶融金属が漏れ出したとしても、それが鋳型内で生じて速やかに漏れ出した溶融金属を凝固させることできれば、ブレークアウトに至らずに済む。このようにブレークアウトが発生しないようにするためには、鋳型を構成する銅板の熱伝導率を大きくする必要がある。具体的には、再溶解性ブレークアウトが発生しやすい鋳型短辺側には熱伝導率が高い材質の銅板を用いるようにする。
また、上述のように、短辺側の凝固シェルは収縮する長辺側の凝固シェルに引っ張られて鋳型短辺から乖離しやすくなることから、長辺側の凝固シェルの収縮を抑制することが、短辺側での再溶解性ブレークアウトを防止する上で有効である。本発明者らは、鋳型のテーパーを適正化するだけではなく、鋳型長辺側を構成する銅板の熱伝導率を相対的に低くすることも重要であり、短辺側の凝固シェルが鋳型からの乖離することを防止する上で有効であることを見出した。具体的には、鋳型長辺側を構成する銅板の熱伝導率を、鋳型短辺側を構成する銅板の熱伝導率よりも低くすることによって、上述の鋳型テーパー適正化と組み合わせることにより、さらに再溶解性ブレークアウトの防止効果が高まるのである。
次に、本発明で規定する数値限定理由等について説明する。
本発明は、鋳型の水平方向の断面が矩形比が3~10の矩形であり、上方のタンディッシュから浸漬ノズルを介して前記鋳型内へ溶融金属が供給され、前記浸漬ノズルから鋳型短辺側の両面に向かって溶融金属流が吐出される連続鋳造機であって、鋳型短辺側のテーパー率Trnが鋳型幅Wに対して0.8%/m~2.0%/m、鋳型長辺側のテーパー率Trwが鋳型厚Dに対して0.4%/m~1.5%/mであり、かつ前記鋳型短辺側のテーパー率Trnと前記鋳型長辺側のテーパー率Trwとの比Trw/Trnが前記鋳型の矩形比W/Dに対して以下の(1)式の関係を満たし、前記鋳型短辺側を構成する銅板の熱伝導率が300W/(m・K)以上であり、かつ前記鋳型短辺側を構成する銅板の熱伝導率が前記鋳型長辺側を構成する銅板の熱伝導率よりも高いことを特徴とする連続鋳造機である。
0.6/(W/D)1/2<Trw/Trn<2.0/(W/D)1/2 ・・・(1)
図1(a)は、スラブ連続鋳造機の構造例を説明するための図であり、図1(b)は、鋳型の水平方向の断面の形状を説明するための図である。
本発明では、鋳型の水平方向の断面(鉛直線と垂直な断面)が矩形であるスラブの連続鋳造機を対象とし、鋳型の矩形比W/Dが3~10の連続鋳造機を対象とする。図1(a)に示すように、本実施形態に係る連続鋳造機1は、上方のタンディッシュから浸漬ノズル2を介して鋳型3内へ溶融金属(溶鋼)が供給される。そして、浸漬ノズル2から鋳型短辺側の両面に向かって2つの溶融金属流が吐出される。矢印4に示すように、溶融金属流は斜め下向きに吐出し、鋳型短辺内壁近傍で上下に分かれて、鋳型短辺内壁に沿って上昇流と下降流とを形成する。本発明は、このような一般的な構成のスラブ連続鋳造機に対して、主に鋳型短辺側における再溶解性ブレークアウト(溶融金属漏出事故)を防止する。
鋳型短辺側のテーパー率Trnは、鋳型幅Wに対して0.8%/m~2.0%/mとする。鋳型短辺側のテーパー率Trnが0.8%/m未満だと、凝固シェル5と鋳型4とを密着させて凝固シェル5を健全に成長させることができない。一方、鋳型短辺側のテーパー率Trnが2.0%/mを超えると、密着によるメリットよりも摩擦抵抗が増大するデメリットの方が大きくなってしまう。
鋳型長辺側のテーパー率Trwは、鋳型厚Dに対して0.4%/m~1.5%/mとする。鋳型長辺側のテーパー率Trwが0.4%/m未満だと、凝固シェル5と鋳型4とを密着させて凝固シェル5を健全に成長させることができない。一方、鋳型長辺側のテーパー率Trwが1.5%/mを超えると、密着によるメリットよりも摩擦抵抗が増大するデメリットの方が大きくなってしまう。
さらに本発明では、鋳型短辺側のテーパー率Trnと鋳型長辺側のテーパー率Trwとの比率Trw/Trnを鋳型の矩形比W/Dに応じて(1)式の範囲内に設定することとする。これは、矩形比が大きいほど長辺側の凝固シェルのバルジング変形が相対的に大きくなり、鋳型との密着度を増す傾向を考慮したものである。
(1)式における比率Trw/Trnが0.6/(W/D)1/2よりも小さい場合には、長辺側のテーパー率Trwが短辺側のテーパー率Trnに対して過小となるので、鋳型長辺側は凝固シェルとの密着が悪く、逆に鋳型短辺側は凝固シェルとの密着が過大となりやすい。すなわち、鋳型長辺側と鋳型短辺側とにおいて、凝固シェルとの密着バランスを好適に保つことが難しく、例えば鋳型短辺側のテーパー率Trnを最適化しても、鋳型長辺側での凝固シェルの成長が阻害され、表面割れ等の欠陥を生じやすい。
一方、(1)式における比率Trw/Trnが2.0/(W/D)1/2よりも大きい場合には、長辺側のテーパー率Trwが短辺側のテーパー率Trnに対して過大となるので、鋳型長辺側は凝固シェルと過度に密着し、逆に鋳型短辺側は凝固シェルとの密着が悪くなりやすい。すなわち、鋳型長辺側と鋳型短辺側とにおいて、凝固シェルとの密着バランスを好適に保つことが難しく、例えば鋳型短辺側のテーパー率Trnを最適化しても、鋳型長辺と凝固シェルとの摩擦抵抗が増大し、焼き付き性の凝固シェル破断(拘束性ブレークアウト)や鋳片表面の割れを引き起こしやすい。
本実施形態では、図1(b)に示すように、短辺側及び長辺側でそれぞれテーパー率が一定である例について説明したが、必ずしもテーパー率が一定である必要はない。鋳型のテーパー率が一定でない鋳型形状の場合には、その平均値をテーパー率として定義する。また、図1(b)に示すように、鋳型幅Wおよび鋳型厚Dは、それぞれ鋳型下端(出口)における値をもって規定するものとする。
鋳型短辺側を構成する銅板には、熱伝導率が300W/(m・K)(常温(20℃)の値。以下同様)以上である銅板を用いる。これにより、万一溶融金属が漏れ出した場合にも鋳型内で迅速に凝固させてブレークアウトを防止することができる。鋳型に用いられる銅板は、強度を高める目的で純銅に対して様々な元素が添加されていることが多い。その結果として、鋳型に用いられる銅板は純銅よりも熱伝導率が低い。本発明は、鋳型短辺側に関しては銅板の強度よりも熱伝導率が重要であり、再溶解性ブレークアウトの防止を優先することに基づいている。また、鋳型短辺側を構成する銅板の熱伝導率の上限は純銅の熱伝導率とする。
また、鋳型長辺側を構成する銅板には、鋳型短辺側を構成する銅板よりも熱伝導率の低い銅板を用いる。これにより、長辺側の凝固シェルを比較的緩やかに冷却して収縮量を抑制し、結果的に鋳型短辺側の凝固シェルを鋳型から乖離させないようにする。そして、短辺側の凝固シェルの成長を促し、再溶解性ブレークアウトを防止する。
また、鋳型長辺側を構成する銅板の熱伝導率の下限値は特に規定しないが、一般的に、熱伝導率が200W/(m・K)を下回る銅板が鋳型に用いられることはまれである。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
上方のタンディッシュから浸漬ノズルを介して鋳型内へ溶融金属を供給し、浸漬ノズルから鋳型両短辺に向かって溶融金属流を吐出した。このとき、鋳型の条件を表1に示す条件で変えて試験を行った。サンプルA~Iに対する総合評価を○△×の3段階で評価し、再溶解性あるいは焼付(拘束)性のブレークアウトが問題とならず、鋳片表面品質も良好である場合は○とし、○と評価されたサンプルと比較して、ブレークアウトもしくは鋳片表面割れの発生率が3割以上上昇すると評価されたものを△とし、○と評価されたサンプルと比較して、ブレークアウトの発生率が5割以上上昇すると評価されたものを×とした。
Figure 0007013941000001
表1のサンプルA~Cは、本発明の実施例である。サンプルA~Cにおいては、鋳型短辺側のテーパー率Trn、長辺側のテーパー率Trw、鋳型短辺側のテーパー率と鋳型長辺側のテーパー率との比率Trw/Trn、鋳型短辺側及び長辺側を構成する銅板の熱伝導率の全てが本発明の条件を満たしていたので、鋳型に対する凝固シェルの密着度を適度に保つことができた。その結果、短辺側の凝固シェルを健全に成長させ、再溶解性ブレークアウトのリスクが小さい安定した連続鋳造操業が実現できることが確認できた。
一方、表1のサンプルD及びEは、テーパー率の条件を満たさない比較例である。サンプルDは、鋳型短辺側のテーパー率Trnおよび鋳型長辺側のテーパー率Trwがともに大き過ぎたため、鋳型と凝固シェルとの間の摩擦抵抗が大きくなり、焼き付きが発生しやすい状態であった。
また、表1のサンプルEは、鋳型短辺側のテーパー率Trnおよび鋳型長辺側のテーパー率Trwが小さ過ぎたため、鋳型と凝固シェルとが十分に密着せず、凝固シェルの成長が滞り、再溶解性ブレークアウトが発生しやすいことが確認できた。
表1のサンプルF及びGは、短辺側及び長辺側のテーパー率の比率の条件を満たさない比較例である。サンプルFは、鋳型短辺側のテーパー率Trnおよび鋳型長辺側のテーパー率Trwはそれぞれ適正範囲内にあるが、鋳型短辺側のテーパー率と鋳型長辺のテーパー率との比率Trw/Trnが(1)式に規定された範囲よりも小さかったので、鋳型短辺側では鋳型長辺側に比べて過度に凝固シェルが密着した。その結果、凝固シェルの収縮や鋳型内での摩擦抵抗のバランスが悪化し、連続鋳造操業が不安定になり、鋳片の割れが発生しやすくなることが確認できた。
表1のサンプルGは、鋳型短辺側のテーパー率Trnおよび鋳型長辺側のテーパー率Trwはそれぞれ適正範囲内にあるが、鋳型短辺側のテーパー率と鋳型長辺側のテーパー率との比率Trw/Trnが(1)式に規定された範囲よりも大きかったので、鋳型長辺側では鋳型短辺側に比べて過度に凝固シェルが密着した。その結果、凝固シェルの収縮や鋳型内での摩擦抵抗のバランスが悪化し、連続鋳造操業が不安定になり、鋳片の割れが発生しやすくなることが確認できた。
表1のサンプルH及びIは、銅板の熱伝導率の条件を満たさない比較例である。サンプルHは、鋳型短辺側を構成する銅板の熱伝導率が300W/(m・K)未満であったため、鋳型内で凝固シェルが破断した場合に、漏れ出した溶融金属が迅速に凝固せず、ブレークアウト事故に至る確率が高まることが確認できた。
表1のサンプルIは、鋳型長辺側と鋳型短辺側とで熱伝導率が同じ銅板を用いていたため、鋳型のテーパー率が適正であっても長辺側の凝固シェルの冷却が進行しがちであった。その結果、鋳型長辺側の凝固シェルの収縮が大きくなり、短辺凝固シェルが鋳型から乖離しやすくなっていた。
以上のように実施例であるサンプルA~Cに対して、比較例であるサンプルD~Iは、再溶解性もしくは焼付(拘束)性のブレークアウトの発生率、あるいは鋳片表面割れの発生率が上昇することが確認できた。
1 連続鋳造機
2 浸漬ノズル
3 鋳型
5 凝固シェル

Claims (1)

  1. 鋳型の水平方向の断面が矩形比が3~10の矩形であり、上方のタンディッシュから浸漬ノズルを介して前記鋳型内へ溶融金属が供給され、前記浸漬ノズルから鋳型短辺側の両面に向かって溶融金属流が吐出される連続鋳造機であって、
    鋳型短辺側のテーパー率Trnが鋳型幅Wに対して0.8%/m~2.0%/m、鋳型長辺側のテーパー率Trwが鋳型厚Dに対して0.4%/m~1.5%/mであり、かつ前記鋳型短辺側のテーパー率Trnと前記鋳型長辺側のテーパー率Trwとの比Trw/Trnが前記鋳型の矩形比W/Dに対して以下の(1)式の関係を満たし、
    前記鋳型短辺側および前記鋳型長辺側はそれぞれ、純銅に添加された元素によって熱伝導率が調整された銅板を備えており、
    前記鋳型短辺側を構成する銅板の熱伝導率が300W/(m・K)以上であり、かつ前記鋳型長辺側を構成する銅板の熱伝導率が前記鋳型短辺側を構成する銅板の熱伝導率未満、200W/(m・K)以上とすることを特徴とする連続鋳造機。
    0.6/(W/D)1/2<Trw/Trn<2.0/(W/D)1/2 ・・・(1)
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