JP2020191317A - 超電導コイルの製造方法及び超電導コイル - Google Patents

超電導コイルの製造方法及び超電導コイル Download PDF

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Abstract

【課題】径方向における厚さの変動を抑制することができる超電導コイルの製造方法を提供する。【解決手段】超電導コイルの製造方法は、軸部材と、軸部材に取り付けられ、かつ超電導線材が巻き付けられる第1外周面を含む巻枠とを有する巻線機を準備する工程と、軸部材を回転中心軸周りに回転させることにより、第1外周面に超電導線材が重ねて巻き付けられた巻線部を形成する工程とを備える。巻線部を形成する工程では、回転中心軸に対する巻枠の偏心量と形成中の巻線部の外径との差に応じて、回転中心軸に直交し、かつ回転中心軸を通る径方向において互いに隣り合う超電導線材の間に共巻材が挿入される。【選択図】図6

Description

本開示は、超電導コイルの製造方法及び超電導コイルに関する。
特許文献1(特開2017−143173号公報)には、超電導コイルの製造方法が記載されている。特許文献1に記載された超電導コイルの製造方法は、巻枠に超電導線材が重ねて巻き付けられた巻線部を形成する工程を有する。巻線部を形成する工程では、形成中の巻線部の外径が計測されるとともに、当該外径に応じて径方向において隣り合う超電導線材の間に離形テープが挿入される。特許文献1に記載された超電導コイルの製造方法によると、超電導コイルの外径を設計値に近づけることができる。
特開2017−143173号公報
特許文献1に記載された超電導コイルの製造方法においては、巻枠が偏心して巻線機の軸部材に取り付けられた場合、当該偏心に起因して、径方向における超電導コイルの厚さが変動してしまう。
本開示は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本開示は、径方向における厚さの変動を抑制することができる超電導コイルの製造方法及び超電導コイルを提供するものである。
本開示の超電導コイルの製造方法は、軸部材と、軸部材に取り付けられ、かつ超電導線材が巻き付けられる第1外周面を含む巻枠とを有する巻線機を準備する工程と、軸部材を回転中心軸周りに回転させることにより、第1外周面に超電導線材が重ねて巻き付けられた巻線部を形成する工程とを備える。巻線部を形成する工程では、回転中心軸に対する巻枠の偏心量と形成中の巻線部の外径との差に応じて、回転中心軸に直交し、かつ回転中心軸を通る径方向において互いに隣り合う超電導線材の間に共巻材が挿入される。
本開示の超電導コイルの製造方法によると、径方向における超電導コイルの厚さの変動を抑制することができる。
図1は、超電導コイル10の斜視図である。 図2は、超電導線材2の長手方向に直交する断面図である。 図3は、超電導コイル10の製造方法を示す工程図である。 図4は、超電導コイル10の製造方法において用いられる巻線機30の部分正面図である。 図5は、超電導コイル10の製造方法において用いられる巻枠32の断面図である。 図6は、巻線部形成工程S2において共巻材3を挿入する際の模式図である。 図7は、超電導コイル10の製造方法の第1変型例において用いられる巻線機30の部分正面図である。 図8は、超電導コイル10の製造方法の第2変型例において用いられる巻線機30の部分正面図である。
[本開示の実施形態の説明]
まず、本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)一実施形態に係る超電導コイルの製造方法は、軸部材と、軸部材に取り付けられ、かつ超電導線材が巻き付けられる第1外周面を含む巻枠とを有する巻線機を準備する工程と、軸部材を回転中心軸周りに回転させることにより、第1外周面に超電導線材が重ねて巻き付けられた巻線部を形成する工程とを備える。巻線部を形成する工程では、回転中心軸に対する巻枠の偏心量と形成中の巻線部の外径との差に応じて、回転中心軸に直交し、かつ回転中心軸を通る径方向において互いに隣り合う超電導線材の間に共巻材が挿入される。
上記(1)の超電導コイルの製造方法によると、回転中心軸に対する巻枠の偏心量を考慮した上で共巻材の挿入の有無が決定されるため、径方向における超電導コイルの厚さの変動を抑制することができる。
(2)上記(1)の超電導コイルの製造方法において、外径は、第1測定器により計測されてもよい。偏心量は、第2測定器により計測されてもよい。
(3)上記(2)の超電導コイルの製造方法において、巻枠は、回転中心軸に沿う軸方向に直交する上面を含んでいてもよい。巻線部は、第2外周面を有していてもよい。上面には、上面から軸方向に沿って突出する円環形状の突出部が形成されていてもよい。第1測定器は、径方向において第2外周面に対向するように配置されていてもよい。第2測定器は、径方向において突出部と対向するように配置されていてもよい。
上記(3)の超電導コイルの製造方法によると、巻線部の形成が開始された後においても巻枠の偏心量を計測することができる。
(4)上記(2)又は(3)の超電導コイルの製造方法において、第1計測器及び第2計測器は、レーザ変位計であってもよい。
(5)上記(2)の超電導コイルの製造方法において、巻枠は、回転中心軸に沿う軸方向に直交する上面を含んでいてもよい。巻線部は、第2外周面を有していてもよい。上面には、円環状に識別パターンが形成されていてもよい。第1測定器は、径方向において第2外周面に対向するように配置されていてもよい。第2測定器は、軸方向において上面に対向するように配置され、かつ識別パターンを撮像する撮像装置と、撮像装置により撮像された識別パターンに対する画像処理により偏心量を測定する処理装置とを有していてもよい。
上記(5)の超電導コイルの製造方法によると、巻線部の形成が開始された後においても巻枠の偏心量を計測することができる。また、上記(5)の超電導コイルの製造方法によると、第1測定器の配置場所と第2測定器の配置場所との間の干渉を避けることができる。
(6)上記(5)の超電導コイルの製造方法において、第1測定器は、レーザ変位計であってもよい。
(7)上記(1)から(6)の超電導コイルの製造方法において、巻枠は、第1外周面において、650mm以上の外径を有していてもよい。
(8)一実施形態に係る超電導コイルは、コイル軸周りに超電導線材が重ねて巻き回された巻線部を備える。巻線部は、コイル軸に直交し、かつコイル軸を通る径方向において厚さを有する。厚さの最大値と厚さの最小値との差は、0.1mm以下である。
(9)上記(8)の超電導コイルにおいて、厚さは、30mm以上であってもよい。
(10)上記(8)又は(9)の超電導コイルにおいて、巻線部は、650mm以上の内径を有していてもよい。
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示の実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面においては、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さない。
実施形態に係る超電導コイル(以下においては、超電導コイル10」とする)及びその製造方法を説明する。
<超電導コイル10の構成>
以下に、超電導コイル10の構成を説明する。
図1は、超電導コイル10の斜視図である。図1に示されるように、超電導コイル10は、ダブルパンケーキコイルである。なお、超電導コイル10は、シングルパンケーキコイルであってもよい。超電導コイル10は、コイル軸A1を有している。
超電導コイル10は、複数の巻線部1を有している。各々の巻線部1は、コイル軸A1に沿う方向(軸方向)において、重ねられている。巻線部1は、コイル軸A1周りに超電導線材2を重ねて巻き回すことにより形成されている。図1中においては示していないが、巻線部1には、共巻材3が含まれている。共巻材3は、コイル軸A1に直交し、かつコイル軸A1を通る方向(径方向)において隣り合う超電導線材2の間に挿入されている。
巻線部1は、厚さTを有している。厚さTは、径方向における巻線部1の厚さである。厚さTの最大値と厚さTの最小値との差は、例えば、0.1mm以下である。すなわち、厚さTのばらつきは、0.1mm以下の範囲内にある。厚さTは、例えば、30mm以上である。巻線部1は、内周面1aと、外周面1bとを有している。巻線部1は、内径d1を有している。内径d1は、好ましくは、650mm以上である。なお、巻線部1の外径は、例えば、1200mm以下である。
図2は、超電導線材2の長手方向に直交する断面図である。図2に示されるように、超電導線材2は、シース層21と、超電導フィラメント22とを有している。超電導線材2は、さらに、補強部材23と、補強部材24とを有していてもよい。
シース層21は、例えば銀(Ag)により形成されている。シース層21は、第1面21aと、第2面21bとを有している。第2面21bは、第1面21aの反対面である。超電導フィラメント22は、シース層21の内部において、超電導線材2の長手方向に沿って延在している。超電導フィラメント22は、例えば(Bi,Pb)SrCaCuにより形成されている。
補強部材23は、第1面21a上に配置されており、補強部材24は、第2面21b上に配置されている。補強部材23及び補強部材24は、ステンレス鋼、銅(Cu)合金、ニッケル(Ni)合金等により形成されている。
<超電導コイル10の製造方法>
以下に、超電導コイル10の製造方法を説明する。
図3は、超電導コイル10の製造方法を示す工程図である。図3に示されるように、超電導コイル10の製造方法は、準備工程S1と、巻線部形成工程S2とを有している。
準備工程S1においては、巻線機30が準備される。図4は、超電導コイル10の製造方法において用いられる巻線機30の部分正面図である。図4中において、形成中の巻線部1(超電導線材2)は、点線により示されている。図4に示されるように、巻線機30は、軸部材31と、巻枠32と、第1測定器33と、第2測定器34とを有している。
軸部材31は、モータ(図示せず)等により、回転中心軸A2周りに回転可能になっている。巻枠32は、軸部材31に取り付けられている。軸部材31が回転することにより、巻枠32も回転する。巻枠32の上面視における(後述する上面32aに直交する方向から見た場合の)中心Cは、回転中心軸A2から偏心していてもよい。すなわち、上面視において、中心Cと回転中心軸A2とは、互いに一致していなくてもよい。中心Cと回転中心軸A2との間の距離を、偏心量という。
図5は、超電導コイル10の製造方法において用いられる巻枠32の断面図である。図5中において、形成中の巻線部1(超電導線材2)は、点線により示されている。図5に示されるように、巻枠32は、上面32aと、底面32bとを有している。上面32a及び底面32bは、回転中心軸A2に直交している。このことを別の観点からいえば、底面32bから上面32aに向かう方向は、回転中心軸A2に沿う方向(軸方向)に一致している。
図4及び図5に示されるように、上面32aには、突出部32aaが形成されている。突出部32aaは、上面32aから軸方向に沿って、底面32bとは反対側に突出している。突出部32aaは、上面視において、円環形状を有している。上面視において、突出部32aaの円環形状の中心は、中心Cに一致している。
巻枠32は、さらに、外周面32cを有している。外周面32cは、超電導線材2が巻き付けられる面である。巻枠32は、外周面32cにおいて、外径d2を有している。外径d2は、例えば650mm以上である。
第1測定器33は、例えばレーザ変位計である。レーザ変位計は、測定対象物にレーザ光を照射する光源と、測定対象物において反射したレーザ光を受光する受光素子とを有している。レーザ変位計は、測定対象物において反射したレーザ光の受光位置に基づいて測定対象物の位置変化を検知する。第1測定器33は、回転中心軸A2に直交し、かつ回転中心軸A2を通る方向(径方向)において、外周面1bに対向する位置に配置されている。第2測定器34は、例えばレーザ変位計である。第2測定器34は、径方向において、突出部32aaに対向する位置に配置されている。
巻線部形成工程S2においては、巻線部1が形成される。巻線部1は、外周面32cに超電導線材2が重ねて巻き付けられることにより、形成される。
巻線部形成工程S2においては、形成中の巻線部1の外径が測定される。形成中の巻線部1の外径は、第1測定器33により測定される。より具体的には、形成中の巻線部1の外径は、第1測定器33により測定された形成中の巻線部1の外周面1bの位置に基づいて算出される。第1測定器33は、形成中の巻線部1の外径を、超電導線材2が巻枠32に1周巻き付けられる間に複数回測定するとともに、その測定結果を平均化することにより形成中の巻線部1の外径を算出してもよい。形成中の巻線部1の外径は、超電導線材2の周回毎に測定される。
巻線部形成工程S2においては、回転中心軸A2に対する巻枠32の偏心量が測定される。回転中心軸A2に対する巻枠32の偏心量は、第2測定器34により測定される。より具体的には、回転中心軸A2に対する巻枠32の偏心量は、第2測定器34により測定された突出部32aaの位置に基づいて算出される。第2測定器34は、回転中心軸A2に対する巻枠32の偏心量を、超電導線材2が巻枠32に1周巻き付けられる間に複数回測定するとともに、その測定結果を平均化することにより、回転中心軸A2に対する巻枠32の偏心量を算出してもよい。回転中心軸A2に対する巻枠32の偏心量は、超電導線材2の周回毎に測定されてもよく、1度だけ測定されてもよい。
図6は、巻線部形成工程S2において共巻材3を挿入する際の模式図である。図6に示されるように、巻線部形成工程S2においては、径方向において隣り合う超電導線材2の間に、共巻材3が挿入される。共巻材3は、ポリイミド等の絶縁性の樹脂材料により形成された絶縁テープである。共巻材3は、超電導線材2よりも薄い。共巻材3の厚さは、例えば0.1mm以下である。共巻材3の厚さは、0.05mm以下であってもよく、0.025mm以下であってもよい。
共巻材3を挿入するか否かは、形成中の巻線部1の外径と回転中心軸A2に対する巻枠32の偏心量との差に基づいて決定される。共巻材3を挿入するか否かは、例えば、形成中の巻線部1の外径と回転中心軸A2に対する巻枠32の偏心量との差が所定の閾値を超えているかにより決定される。この閾値は、例えば、超電導線材2のターン数毎に定められている。形成中の巻線部1の外径と回転中心軸A2に対する巻枠32の偏心量との差に応じて、異なる厚さを有する共巻材3が挿入されてもよい。
巻線機30は、形成中の巻線部1の外径と回転中心軸A2に対する巻枠32の偏心量との差が上記の閾値を超えたときに自動で共巻材3を挿入するように構成されていてもよい。巻線機30は、形成中の巻線部1の外径と回転中心軸A2に対する巻枠32の偏心量との差が上記の閾値を超えたときに、一旦軸部材31の回転(超電導線材2の巻き付け)を止め、手動で共巻材3を差し込んだ後に再度軸部材31の回転(超電導線材2の巻き付け)を開始してもよい。
以上のような手順を繰り返され、超電導線材2の周回数が所定のターン数に達すると、巻線部形成工程S2が終了する。
<超電導コイル10の製造方法の効果>
以下に、超電導コイル10の製造方法の効果を説明する。
共巻材3の挿入の有無を形成中の巻線部1の外径のみに基づいて決定することにより、巻線部1の外径の変動を抑制することは可能である。しかしながら、巻枠32が回転中心軸A2に対して偏心するように軸部材31に取り付けられている場合、巻線部1の外径の変動が抑制されても、回転中心軸A2に対する巻枠32の偏心に起因して、厚さTの変動が生じる。
巻枠32を軸部材31に取り付ける際の作業性を考慮して、軸部材31に取り付けられる巻枠32の部分には遊びが設けられているが、外径d2が大きくなるにしたがって(すなわち、巻枠32の重量が増加するにしたがって)当該遊びを大きくする必要があるため、厚さTの変動は、外径d2が大きい場合に特に顕著となる。
この点、超電導コイル10の製造方法においては、形成中の巻線部1の外径のみならず、回転中心軸A2に対する巻枠32の偏心量も考慮して、共巻材3の挿入の有無が決定されているため、回転中心軸A2に対する巻枠32の偏心に起因した厚さTの変動が抑制されるように、共巻材3が挿入される。このように、超電導コイル10の製造方法によると、厚さTの変動が抑制された超電導コイル10を製造することができる。
超電導コイル10の製造方法においては、上面32aに突出部32aaが形成されており、第2測定器34で突出部32aaの位置を測定することにより回転中心軸A2に対する巻枠32の偏心量が算出されている。突出部32aaは、上面32aから軸方向に沿って突出しているため、超電導線材2の巻き付けを開始した後においても超電導線材2に隠れることはない。したがって、超電導コイル10の製造方法によると、超電導線材2の巻き付け開始後においても、第2測定器34による偏心量の測定を継続することができる。
<超電導コイル10の製造方法の第1変形例>
以下に、超電導コイル10の製造方法の第1変型例を説明する。ここでは、超電導コイル10の製造方法と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
超電導コイル10の製造方法の第1変型例は、準備工程S1と、巻線部形成工程S2とを有している。この点に関して、超電導コイル10の製造方法の第1変型例は、超電導コイル10の製造方法と共通している。しかしながら、超電導コイル10の製造方法の第1変型例は、巻線機30の構成及び回転中心軸A2に対する巻枠32の偏心量の測定方法に関して、超電導コイル10の製造方法と異なっている。
図7は、超電導コイル10の製造方法の第1変型例において用いられる巻線機30の部分正面図である。図7中において、形成中の巻線部1(超電導線材2)は、点線により示されている。図7に示されるように、巻線機30は、第2測定器34を有していない。なお、巻線機30は、軸部材31と、巻枠32と、第1測定器33とを有している。上面32aには、突出部32aaが形成されていない。
超電導コイル10の製造方法の第1変型例では、回転中心軸A2に対する巻枠32の偏心量が、第1測定器33により測定される。より具体的には、回転中心軸A2に対する巻枠32の偏心量は、超電導線材2の巻き付けが開始される前に巻枠32を回転させ、外周面32cの位置を第1測定器33で測定することにより算出される。
なお、超電導コイル10の製造方法の第1変形例においては、超電導線材2の周回毎に回転中心軸A2に対する巻枠32の偏心量を測定せず、上記の方法により得られた偏心量が、共巻材3の挿入の有無の判断に供され続けることになる。
超電導コイル10の製造方法の第1変型例によると、第1測定器33を形成中の巻線部1の外径の測定及び回転中心軸A2に対する巻枠32の偏心量の測定の双方に用いることができる。その結果、超電導コイル10の製造方法の第2変形例によると、第2測定器34の設置を省略することができる。
<超電導コイル10の製造方法の第2変形例>
以下に、超電導コイル10の製造方法の第2変型例を説明する。ここでは、超電導コイル10の製造方法と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
超電導コイル10の製造方法の第2変型例は、準備工程S1と、巻線部形成工程S2とを有している。この点に関して、超電導コイル10の製造方法の第2変型例は、超電導コイル10の製造方法と共通している。しかしながら、超電導コイル10の製造方法の第2変型例は、巻線機30の構成及び回転中心軸A2に対する巻枠32の偏心量の測定方法に関して、超電導コイル10の製造方法と異なっている。
図8は、超電導コイル10の製造方法の第2変型例において用いられる巻線機30の部分正面図である。図8中において、形成中の巻線部1(超電導線材2)は、点線により示されている。図8に示されるように、上面32aには、突出部32aaが形成されていない一方で、識別パターン32abが形成されている。識別パターン32abは、例えば、同心円状に描かれた細線である。識別パターン32abは、刻印、印刷等により描かれている。但し、識別パターン32abは、これに限られるものではない。
第2測定器34は、撮像装置34aと、処理装置34bとを有している。撮像装置34aは、軸方向において上面32aと対向するように配置されることにより、識別パターン32abが撮像可能になっている。処理装置34bは、撮像装置34aに接続されており、撮像装置34aから出力された画像信号に対する信号処理を行う。この信号処理により、回転中心軸A2に対する巻枠32の偏心量が測定される。撮像装置34aは、例えばイメージセンサであり、処理装置34bは、例えばDSP(Digital Signal Processor)である。なお、第1測定器33は、例えばレーザ変位計である。
超電導コイル10の製造方法の第2変型例においては、上面32aに巻枠32の偏心量の測定に用いられる識別パターン32abが形成されているため、超電導線材2の巻き付けを開始した後においても、識別パターン32abが超電導線材2に隠れることはない。したがって、超電導コイル10の製造方法の第2変型例によると、超電導線材2の巻き付け開始後においても、第2測定器34による偏心量の測定を継続することができる。
また、超電導コイル10の第2変型例においては、第2測定器34(撮像装置34a)が上面32aと対向する位置に配置されているため、第2測定器34の配置場所と第1測定器33の配置場所とが互いに干渉しがたい。
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1 巻線部
1a 内周面
1b 外周面
2 超電導線材
3 共巻材
10 超電導コイル
21 シース層
21a 第1面
21b 第2面
22 超電導フィラメント
23,24 補強部材
30 巻線機
31 軸部材
32 巻枠
32a 上面
32aa 突出部
32ab 識別パターン
32b 底面
32c 外周面
33 第1測定器
34 第2測定器
34a 撮像装置
34b 処理装置
A1 コイル軸
A2 回転中心軸
C 中心
S1 準備工程
S2 巻線部形成工程
T 厚さ
d1 内径
d2 外径

Claims (10)

  1. 軸部材と、前記軸部材に取り付けられ、かつ超電導線材が巻き付けられる第1外周面を含む巻枠とを有する巻線機を準備する工程と、
    前記軸部材を回転中心軸周りに回転させることにより、前記第1外周面に前記超電導線材が重ねて巻き付けられた巻線部を形成する工程とを備え、
    前記巻線部を形成する工程では、前記回転中心軸に対する前記巻枠の偏心量と形成中の前記巻線部の外径との差に応じて、前記回転中心軸に直交し、かつ前記回転中心軸を通る径方向において互いに隣り合う前記超電導線材の間に共巻材が挿入される、超電導コイルの製造方法。
  2. 前記外径は、第1測定器により測定され、
    前記偏心量は、第2測定器により測定される、請求項1に記載の超電導コイルの製造方法。
  3. 前記巻枠は、前記回転中心軸に沿う軸方向に直交する上面を含み、
    前記巻線部は、第2外周面を有し、
    前記上面には、前記上面から前記軸方向に沿って突出する円環形状の突出部が形成されており、
    前記第1測定器は、前記径方向において前記第2外周面に対向するように配置されており、
    前記第2測定器は、前記径方向において前記突出部と対向するように配置されている、請求項2に記載の超電導コイルの製造方法。
  4. 前記第1測定器及び前記第2測定器は、レーザ変位計である、請求項3に記載の超電導コイルの製造方法。
  5. 前記巻枠は、前記回転中心軸に沿う軸方向に直交する上面を含み、
    前記巻線部は、第2外周面を有し、
    前記上面には、円環状に識別パターンが形成されており、
    前記第1測定器は、前記径方向において前記第2外周面に対向するように配置されており、
    前記第2測定器は、前記軸方向において前記上面に対向するように配置され、かつ前記識別パターンを撮像する撮像装置と、前記撮像装置により撮像された前記識別パターンに対する画像処理により前記偏心量を測定する処理装置とを有する、請求項2に記載の超電導コイルの製造方法。
  6. 前記第1測定器は、レーザ変位計である、請求項5に記載の超電導コイルの製造方法。
  7. 前記巻枠は、前記第1外周面において、650mm以上の外径を有する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の超電導コイルの製造方法。
  8. コイル軸周りに超電導線材が重ねて巻き回された巻線部を備え、
    前記巻線部は、前記コイル軸に直交し、かつ前記コイル軸を通る径方向において厚さを有し、
    前記厚さの最大値と前記厚さの最小値との差は、0.1mm以下である、超電導コイル。
  9. 前記厚さは、30mm以上である、請求項8に記載の超電導コイル。
  10. 前記巻線部は、650mm以上の内径を有する、請求項8又は請求項9に記載の超電導コイル。
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