JP7171025B2 - レゾルバステータ - Google Patents

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Description

本発明は、回転角度を検出する際に用いられるレゾルバステータに関する。
自動車の駆動用モータの回転を制御するための角度センサとして、VR(可変リアクタンス)形のレゾルバが用いられている。この種のレゾルバは、固定子であるレゾルバステータと、回転子であるレゾルバロータとを備え、両者のギャップ変化を利用して回転角度を検出する。
レゾルバステータは、複数の突出磁極を有する輪状のステータコアと、複数のボビン部を有する輪状の絶縁カバー部材と、複数のボビン部に巻かれて複数のコイルを形成するマグネットワイヤと、を備えた構成になっている。このような構成のレゾルバステータでは、絶縁カバー部材の円周方向において隣り合う2つのボビン部の間でコイル同士を電気的に接続する必要がある。このため、レゾルバステータは、コイル同士を電気的に接続する渡り線を備えている。
従来においては、絶縁カバー部材の円周方向で隣り合う2つのボビン部の中間部に渡りピンを設け、この渡りピンの外側にマグネットワイヤを通すことにより、渡り線を形成している(たとえば、特許文献1を参照)。
特開2017-34870号公報
しかしながら、従来においては、マグネットワイヤをガイドするための渡りピンが柱状に形成されるとともに、絶縁カバー部材の円周方向で隣り合う2つの渡りピンが、ボビン部の幅よりも広い間隔をあけて配置されている。このため、渡りピンからボビン部へと引き込まれるマグネットワイヤは、ボビン部の幅方向の外側から内側に向かって斜めに引き込まれ、ボビン部から渡りピンへと引き出されるマグネットワイヤは、ボビン部の幅方向の内側から外側に向かって斜めに引き出されている。
一方で、コイルを形成するマグネットワイヤは、複数のボビン部にすべて同じ方向で巻かれるわけではなく、ボビン部によって巻き方向が異なる。具体的に記述すると、ステータ中心から各々のボビン部を見た場合、あるボビン部には時計回り方向(以下、「正方向」ともいう。)にマグネットワイヤが巻かれ、別のボビン部には反時計回り方向(以下、「負方向」ともいう。)にマグネットワイヤが巻かれる。そうした場合、上述のように渡りピンを用いてマグネットワイヤをガイドすると、マグネットワイヤが正方向に巻かれるボビン部のコイル巻数と、マグネットワイヤが負方向に巻かれるボビン部のコイル巻数とに差が生じる。その結果、設計上想定されているコイル巻数と実際のコイル巻数との間に乖離が生じ、このことがレゾルバの角度検出精度を高めるうえで一つのネックになっていた。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的は、ステータコアが有する複数の突出磁極を被覆する複数のボビン部にマグネットワイヤを巻いて複数のコイルを形成する場合に、マグネットワイヤが正方向に巻かれるボビン部のコイル巻数とマグネットワイヤが負方向に巻かれるボビン部のコイル巻数との差を小さくすることができるレゾルバステータとこれを備えるレゾルバを提供することにある。
本発明に係るレゾルバステータは、ステータ中心に向けて突出する複数の突出磁極を有する輪状のステータコアと、前記複数の突出磁極を被覆する複数のボビン部を有する輪状の絶縁カバー部材と、前記複数のボビン部に巻かれて複数のコイルを形成するとともに、前記絶縁カバー部材の円周方向において隣り合う2つの前記ボビン部の間で前記コイル同士を電気的に接続する渡り線を形成するマグネットワイヤと、を備え、前記絶縁カバー部材は、前記渡り線を形成するマグネットワイヤをガイドすると共に、壁部を有する1つの渡り線ガイドを複数有し、前記渡り線ガイドは、前記ボビン部の基端部の近傍に、前記マグネットワイヤを通すためのスリットを形成し、前記スリットの幅は、前記ボビン部の幅と同じか、それよりも狭く設定され、前記マグネットワイヤが正方向(時計方向)に巻かれる前記ボビン部のコイル巻数と前記マグネットワイヤが負方向(反時計方向)に巻かれる前記ボビン部のコイル巻数との差を、隣り合う2つの渡りピン使用時よりも小さくした構造であり、また、前記渡り線ガイドの内側には、前記マグネットワイヤの巻線に用いられる巻線機のニードルとの干渉を避けるためU字形にへこませて形成された凹部を有する構造である
本発明によれば、絶縁カバー部材が有するボビン部の基端部の近傍に、渡り線ガイドによってスリットを形成するとともに、スリットの幅をボビン部の幅と同じか、それよりも狭く設定した構成を採用している。これにより、マグネットワイヤが正方向に巻かれるボビン部のコイル巻数と、マグネットワイヤが負方向に巻かれるボビン部のコイル巻数との差を小さくすることができる。その結果、レゾルバの角度検出精度を高めることができる。
本発明が適用されるレゾルバステータの構成例を示す斜視図である。 本発明の比較例に係るレゾルバステータの一部を拡大した斜視図である。 本発明の実施形態に係るレゾルバステータの一部を拡大した斜視図である。 本発明の実施形態に係るレゾルバステータの一部を拡大した平面図である。 本発明の実施形態に係るレゾルバステータの一部を拡大した平面図である。 本発明の比較例に係るレゾルバステータにおけるマグネットワイヤの巻線構造を説明する模式図である。 本発明の実施形態に係るレゾルバステータにおけるマグネットワイヤの巻線構造を説明する図である。
図1は、本発明が適用されるレゾルバステータの構成例を示す斜視図である。
図1に示すように、レゾルバステータ10は、輪状のステータコア11と、輪状の絶縁カバー部材12と、絶縁カバー部材12を用いて巻かれたマグネットワイヤ13と、を備えている。
(ステータコア)
ステータコア11は、複数の磁性鋼板をレゾルバステータ10の厚み方向Aに積層して構成されている。ステータコア11は、複数の突出磁極21を有している。複数の突出磁極21は、それぞれステータ中心に向けて突出している。また、複数の突出磁極21は、ステータコア11の円周方向Cに一定の角度間隔で配置されている。なお、ステータ中心とは、それぞれ輪状をなすステータコア11および絶縁カバー部材12の輪の中心を意味する。
(絶縁カバー部材)
絶縁カバー部材12は、ステータコア11と同軸状に配置されている。絶縁カバー部材12は、たとえば、合成樹脂などの絶縁材料によって形成されている。絶縁カバー部材12は、たとえば、インサート成形によってステータコア11と一体に形成されるものである。ただし、これに限らず、ステータコア11と別体で絶縁カバー部材12をキャップ型に形成し、このキャップ型の絶縁カバー部材12を2つ用意してステータコア11の上側と下側から被せて固定してもよい。
絶縁カバー部材12は、複数のボビン部22と、円環部24とを有している。複数のボビン部22は、円環部24の内周部から、それぞれステータ中心に向けて突出している。複数のボビン部22は、上述した複数の突出磁極21と1対1の対応関係で設けられている。各々のボビン部22は、マグネットワイヤ13と突出磁極21とを電気的に絶縁するために、それぞれに対応する突出磁極21を被覆している。ただし、突出磁極21の突端部21aは、ボビン部22によって被覆されることなく外部に露出している。各々のボビン部22の先端部には耳部23が形成されている。耳部23は板状に形成されている。突出磁極21の突端部21aは、耳部23の表面に露出している。
円環部24は、複数のボビン部22と一体に形成されている。円環部24は、複数のボビン部22よりも外周側でステータコア11の上面および下面を被覆している。
なお、ステータコア11と絶縁カバー部材12は互いに同軸状に配置されているため、絶縁カバー部材12の円周方向はステータコア11の円周方向Cと同一方向となる。したがって、以降の説明では、ステータコア11の円周方向と絶縁カバー部材12の円周方向の両方に同一の参照符号Cを付すこととする。
(マグネットワイヤ)
マグネットワイヤ13は、上述した複数のボビン部22に巻かれて複数のコイル26を形成する。絶縁カバー部材12が有する複数のボビン部22のうち、一部のボビン部22にはマグネットワイヤ13が正方向に巻かれ、その他のボビン部22にはマグネットワイヤ13が負方向に巻かれる。また、マグネットワイヤ13は、絶縁カバー部材12の円周方向Cにおいて隣り合う2つのボビン部22の間でコイル26同士を電気的に接続する渡り線(図示せず)を形成する。
(比較例)
図2は、本発明の比較例に係るレゾルバステータの一部を拡大した斜視図である。
図2に示すように、絶縁カバー部材12には渡りピン28が形成されている。渡りピン28は、絶縁カバー部材12の円周方向Cで隣り合う2つのボビン部22の中間部に配置されている。また、渡りピン28は、レゾルバステータ10の厚み方向Aに起立するように柱状に形成されている。これに対して、渡り線27を形成するマグネットワイヤ13は、渡りピン28の外側に引っ掛けて配線されている。また、コイル26を形成するマグネットワイヤ13は、ボビン部22に巻かれている。
(実施形態)
図3は、本発明の実施形態に係るレゾルバステータの一部を拡大した斜視図であり、図4および図5は、同平面図である。なお、図3および図4ではマグネットワイヤ13の表示を省略している。
図示のように、絶縁カバー部材12は、渡り線ガイド30を有している。渡り線ガイド30は、図5に示すように、絶縁カバー部材12の円環部24において、渡り線27を形成するマグネットワイヤ13をガイドする機能を果たす。渡り線ガイド30は、絶縁カバー部材12と一体に形成されている。渡り線ガイド30は、絶縁カバー部材12の円周方向Cに長く延在する壁部30-1,30-2,30-3を有している。また、渡り線ガイド30は、ボビン部22よりもレゾルバステータ10の厚み方向A(図1参照)に突出するように形成されている。
渡り線ガイド30は、図4に示すように、絶縁カバー部材12の円周方向Cで隣り合う2つのボビン部22のうち、一方のボビン部22の基端部22aから他方のボビン部22の基端部22aまで連続する長い壁状に形成されている。これに対して、渡り線27を形成するマグネットワイヤ13は、渡り線ガイド30の外側の面に沿って配線される。このため、渡り線ガイド30の外側の面は、マグネットワイヤ13の配線位置を規定するガイド面となる。
渡り線ガイド30は、図示しない巻線機のニードルとの干渉を避けるための凹部31を有している。巻線機は、マグネットワイヤ13の巻線に用いられるものである。凹部31は、絶縁カバー部材12の円周方向Cで隣り合う2つのボビン部22の中間部に形成されている。また、凹部31は、渡り線ガイド30の内側の面を部分的にU字形にへこませて形成されている。
渡り線ガイド30は、円環部24と各ボビン部22との間で、マグネットワイヤ13を通すためのスリット32を形成している。スリット32は、絶縁カバー部材12の半径方向において、ボビン部22の基端部22aの近傍、より具体的にはボビン部22の基端部22aに隣接する位置に形成されている。また、スリット32は、絶縁カバー部材12の円周方向Cで隣り合う2つの渡り線ガイド30の間に形成されている。絶縁カバー部材12の円環部24からスリット32を通してボビン部22に引き込まれたマグネットワイヤ13は、図5に示すように、ボビン部22に所定のターン数だけ巻かれることにより、コイル26を形成している。
絶縁カバー部材12の円周方向Cにおいて、各々の渡り線ガイド30の一方のガイド端は引き込みガイド端30aとなっており、他方のガイド端は引き出しガイド端30bとなっている。引き込みガイド端30aは、円環部24からボビン部22へと引き込まれるマグネットワイヤ13をガイドするガイド端となり、引き出しガイド端30bは、ボビン部22から円環部24へと引き出されるマグネットワイヤ13をガイドするガイド端となる。なお、各々の渡り線ガイド30における引き込みガイド端30aと引き出しガイド端30bの位置関係は、図示しない巻線機の巻線手順により、図3および図4に示す場合と逆になる場合もあり得る。
図4に示すように、スリット32の幅W1は、ボビン部22の幅W2よりも狭く設定されている。スリット32の幅W1は、絶縁カバー部材12の円周方向Cにおいて、引き込みガイド端30aと引き出しガイド端30bとの対向寸法で規定される。また、ボビン部22の幅W2は、絶縁カバー部材12の円周方向Cにおいて、ボビン部22の基端部22aの幅寸法で規定される。
絶縁カバー部材12の円周方向で隣り合う2つの渡り線ガイド30は、一方の渡り線ガイド30の引き込みガイド端30aと他方の渡り線ガイド30の引き出しガイド端30bとが、スリット32を介して互いに対向するように配置されている。また、図4に示すように、一方の渡り線ガイド30の引き込みガイド端30aは、ボビン部22の幅方向の一端部22bよりもボビン部22の幅方向の中心寄りに配置され、他方の渡り線ガイド30の引き出しガイド端30bは、ボビン部22の幅方向の他端部22cよりもボビン部22の幅方向の中心寄りに配置されている。
(巻線構造)
続いて、上述した比較例の場合と実施形態の場合で、マグネットワイヤの巻線構造がどのように異なるかについて説明する。
図6は、本発明の比較例に係るレゾルバステータにおけるマグネットワイヤの巻線構造を説明する模式図である。
図6においては、2つのボビン部22L,22Rが絶縁カバー部材12の円周方向Cで隣り合わせに配置されている。一方のボビン部22Lの両側には1つずつ渡りピン28a,28bが配置され、他方のボビン部22Rの両側にも1つずつ渡りピン28b,28cが配置されている。渡りピン28bは、2つのボビン部22L,22Rの中間部に配置されている。
ここでは、本発明の内容を理解しやすくするために、一方のボビン部22Lには正方向(ステータ中心から見て時計回り方向)にマグネットワイヤ13が巻かれ、他方のボビン部22Rには負方向(ステータ中心から見て反時計回り方向)にマグネットワイヤ13が巻かれるものとする。また、ボビン部22Lには正方向に1ターンだけマグネットワイヤ13が巻かれ、ボビン部22Rには負方向に1ターンだけマグネットワイヤ13が巻かれるものとする。
そうした場合、ボビン部22Lとボビン部22Rには、たとえば、次のような順序および経路でマグネットワイヤ13が巻かれる。
まず、ボビン部22Lに対しては、渡りピン28aからボビン部22Lへとマグネットワイヤ13が引き込まれる。次に、マグネットワイヤ13は、ボビン部22Lに正方向に巻かれた後、ボビン部22Lから渡りピン28bへと引き出される。
一方、ボビン部22Rに対しては、渡りピン28bからボビン部22Rへとマグネットワイヤ13が引き込まれる。次に、マグネットワイヤ13は、ボビン部22Rに負方向に巻かれた後、ボビン部22Rから渡りピン28cへと引き出される。
その結果、本発明の比較例に係るレゾルバステータでは、マグネットワイヤ13が正方向に巻かれるボビン部22Lのコイル巻数と、マグネットワイヤ13が負方向に巻かれるボビン部22Rのコイル巻数とに差が生じる。具体的には、ボビン部22Lに対してはマグネットワイヤ13が実質的に360°超の巻き角度で巻かれるのに対し、ボビン部22Rに対してはマグネットワイヤ13が実質的に180°程度の巻き角度でしか巻かれない。このため、ボビン部22Lとボビン部22Rでマグネットワイヤ13の巻線ターン数を同一に設定しても、上述した巻き角度の違いによりコイル巻数に差が生じてしまう。
また、本発明の比較例に係るレゾルバステータでは、ボビン部22Lの両側では、マグネットワイヤ13がボビン部22Lの形状に沿って巻かれるが、ボビン部22Rの両側では、マグネットワイヤ13がボビン部22Rの形状に沿わずに斜めに巻かれてしまう。このため、ボビン部22Lに対しては、渡り線27につながるマグネットワイヤ13を密着させて巻くことができるが、ボビン部22Rに対しては、渡り線27につながるマグネットワイヤ13を密着させて巻くことができない。その結果、ボビン部22Rに対してマグネットワイヤ13を整列巻きで巻くことが困難となる。
図7は、本発明の実施形態に係るレゾルバステータにおけるマグネットワイヤの巻線構造を説明する図である。
図7においては、2つのボビン部22L,22Rが絶縁カバー部材12の円周方向Cで隣り合わせに配置されている。また、絶縁カバー部材12の円周方向Cには、2つのボビン部22L,22Rに対して2つのスリット32L,32Rが形成されている。スリット32Lは、絶縁カバー部材12の円周方向Cで隣り合う2つの渡り線ガイド30,0によって形成され、スリット32Rは、絶縁カバー部材12の円周方向Cで隣り合う2つの渡り線ガイド30,0によって形成されている。
ここでは、本発明の内容を理解しやすくするために、一方のボビン部22Lには正方向(ステータ中心から見て時計回り方向)にマグネットワイヤ13が巻かれ、他方のボビン部22Rには負方向(ステータ中心から見て反時計回り方向)にマグネットワイヤ13が巻かれるものとする。また、ボビン部22Lには正方向に1ターンだけマグネットワイヤ13が巻かれ、ボビン部22Rには負方向に1ターンだけマグネットワイヤ13が巻かれるものとする。
そうした場合、ボビン部22Lとボビン部22Rには、たとえば、次のような順序および経路でマグネットワイヤ13が巻かれる。
まず、ボビン部22Lに対しては、渡り線ガイド30の外側の面に沿って円環部24(図5参照)に配線されたマグネットワイヤ13が、スリット32Lを通してボビン部22Lへと引き込まれる。その際、マグネットワイヤ13は、渡り線ガイド30の引き込みガイド端30aにより、円環部24からボビン部22Lへの引き込み位置が規定される。次に、マグネットワイヤ13は、ボビン部22Lに正方向に巻かれた後、ボビン部22Lからスリット32Lを通して円環部24に引き出される。こうして円環部24に引き出されたマグネットワイヤ13は、渡り線ガイド30の外側の面に沿って配線される。その際、マグネットワイヤ13は、渡り線ガイド30の引き出しガイド端30bにより、ボビン部22Lから円環部24への引き出し位置が規定される。
一方、ボビン部22Rに対しては、渡り線ガイド30の外側の面に沿って円環部24に配線されたマグネットワイヤ13が、スリット32Rを通してボビン部22Rへと引き込まれる。その際、マグネットワイヤ13は、渡り線ガイド30の引き込みガイド端30aにより、円環部24からボビン部22Rへの引き込み位置が規定される。次に、マグネットワイヤ13は、ボビン部22Rに負方向に巻かれた後、ボビン部22Rからスリット32Rを通して円環部24に引き出される。こうして円環部24に引き出されたマグネットワイヤ13は、渡り線ガイド30の外側の面に沿って配線される。その際、マグネットワイヤ13は、渡り線ガイド30の引き出しガイド端30bにより、ボビン部22Rから円環部24への引き出し位置が規定される。
その結果、本発明の実施形態に係るレゾルバステータでは、マグネットワイヤ13が正方向に巻かれるボビン部22Lのコイル巻数と、マグネットワイヤ13が負方向に巻かれるボビン部22Rのコイル巻数との差が、上記比較例よりも小さくなる。その理由は次のとおりである。
まず、ボビン部22Lに正方向に巻かれてコイル26を形成するマグネットワイヤ13は、渡り線ガイド30の引き込みガイド端30aと渡り線ガイド30の引き出しガイド端30bとが対向するスリット32Lを通して、円環部24からボビン部22Lへと引き込まれ、かつ、ボビン部22Lから円環部24へと引き出されている。また、コイル26を形成するマグネットワイヤ13は、ボビン部22Lに対して360°超の巻き角度で巻かれている。ただし、比較例の場合と比べると、ボビン部22Lに対するマグネットワイヤ13の巻き角度は、渡り線ガイド30が壁状に長く延びた分だけ小さくなる。
一方、ボビン部22Rに負方向に巻かれてコイル26を形成するマグネットワイヤ13は、渡り線ガイド30の引き込みガイド端30aと渡り線ガイド30の引き出しガイド端30bとが対向するスリット32Rを通して、円環部24からボビン部22Rへと引き込まれ、かつ、ボビン部22Rから円環部24へと引き出されている。また、コイル26を形成するマグネットワイヤ13は、ボビン部22Rに対して270°程度の巻き角度で巻かれている。このため、マグネットワイヤ13の巻き角度が180°程度となる比較例と比べると、ボビン部22Rに対するマグネットワイヤ13の巻き角度は90°程度大きくなる。
これにより、比較例に比べて、ボビン部22Lに対するマグネットワイヤ13の巻き角度は360°に近づき、ボビン部22Lに対するマグネットワイヤ13の巻き角度も360°に近づく。その結果、マグネットワイヤ13が正方向に巻かれるボビン部22Lのコイル巻数と、マグネットワイヤ13が負方向に巻かれるボビン部22Rのコイル巻数との差は、比較例よりも小さくなる。
また、渡り線27を形成するマグネットワイヤ13をスリット32L,32Rに通すことにより、ボビン部22の両側では、マグネットワイヤ13がボビン部22Lの形状に沿って巻かれ、ボビン部22Rの両側でも、マグネットワイヤ13がボビン部22Rの形状に沿って巻かれる。これにより、ボビン部22L,22Rのどちらに対しても、渡り線につながるマグネットワイヤ13を密着させて巻くことができる。
<実施形態の効果>
本発明の実施形態に係るレゾルバステータ10においては、絶縁カバー部材12が有するボビン部22の基端部22aの近傍に、渡り線ガイド30によってスリット32を形成するとともに、スリット32の幅W1をボビン部22の幅W2よりも狭く設定した構成を採用している。これにより、マグネットワイヤ13が正方向に巻かれるボビン部22Lのコイル巻数と、マグネットワイヤ13が負方向に巻かれるボビン部22Rのコイル巻数との差を小さくすることができる。その結果、レゾルバの角度検出精度を高めることができる。また、ボビン部22L,22Rのどちらに対しても、渡り線につながるマグネットワイヤ13を密着させて巻くことができる。その結果、ボビン部22L,22Rのどちらでもマグネットワイヤ13の巻線構造を整列巻きに近づけることができる。よって、レゾルバの角度検出精度の更なる向上を図ることができる。
また、本発明の実施形態においては、渡り線ガイド30の内側には、巻線機のニードルとの干渉を避けるための凹部31を有する構成を採用している。これにより、巻線機のニードルと渡り線ガイド30との干渉を避けながら、ボビン部22の基端部22aまでマグネットワイヤ13を巻線することができる。
<変形例等>
本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
たとえば、上記実施形態においては、スリット32の幅W1をボビン部22の幅W2よりも狭く設定したが、本発明はこれに限らず、スリット32の幅W1をボビン部22の幅W2と同一に設定してもよい。ただし、マグネットワイヤ13の巻き方向の違いによるコイル巻数差をできるだけ小さくするためには、スリット32の幅W1をボビン部22の幅W2よりも狭く設定したほうが好ましい。
また、上記実施形態においては、渡り線ガイド30を壁状に形成したが、本発明はこれに限らず、たとえば、1つの渡り線ガイド30に代えて、複数の渡りピンを狭い間隔で密に配置した構成を採用してもよい。ただし、その場合は、マグネットワイヤ13が渡りピンと渡りピンの間で非接触に支持されるため、たとえば共振などに起因してマグネットワイヤ13が振動するおそれがある。これに対して、渡り線ガイド30を壁状に長く延在させて形成した場合は、マグネットワイヤ13が渡り線ガイド30の外側の面に一様に接触して支持されるため、共振などに起因するマグネットワイヤ13の振動を抑制することができる。
また、本発明は、上記第実施形態に係るレゾルバステータ10を図示しないレゾルバコアと組み合わせることにより、レゾルバとして実現してもよい。その場合は、角度検出精度に優れたレゾルバを提供することができる。
10 レゾルバステータ
11 ステータコア
12 絶縁カバー部材
13 マグネットワイヤ
21 突出磁極
22 ボビン部
26 コイル
27 渡り線
30 1つの渡り線ガイド
31 凹部
32 スリット
30-1,30-2,30-3 壁部

Claims (1)

  1. ステータ中心に向けて突出する複数の突出磁極(21)を有する輪状のステータコア(11)と、
    前記複数の突出磁極(21)を被覆する複数のボビン部(22)を有する輪状の絶縁カバー部材(12)と、
    前記複数のボビン部(22)に巻かれて複数のコイル(26)を形成するとともに、前記絶縁カバー部材(12)の円周方向において隣り合う2つの前記ボビン部(22)の間で前記コイル同士を電気的に接続する渡り線(27)を形成するマグネットワイヤ(13)と、
    を備え、
    前記絶縁カバー部材(12)は、前記渡り線(27)を形成するマグネットワイヤ(13)をガイドすると共に、1枚構成の壁部(30-1,30-2,30-3)を有する1つの渡り線ガイド(30)を複数有し、
    前記渡り線ガイド(30)は、前記ボビン部(22)の基端部の近傍に、前記マグネットワイヤ(13)を通すためのスリット(32)を形成し、
    前記スリット(32)の幅は、前記ボビン部(22)の幅と同じか、それよりも狭く設定され、前記マグネットワイヤ(13)が正方向(時計方向)に巻かれる前記ボビン部(22)のコイル巻数と前記マグネットワイヤ(13)が負方向(反時計方向)に巻かれる前記ボビン部(22)のコイル巻数との差を、隣り合う2つの渡りピン(28,28a,28b,28c)使用時よりも小さくし、
    前記渡り線ガイド(30)の内側には、前記マグネットワイヤ(13)の巻線に用いられる巻線機のニードルとの干渉を避けるためU字形にへこませて形成された凹部(31)を有することを特徴とするレゾルバステータ。
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