JP2005129718A - 巻線装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 コアの巻芯部の径や線材の径や線材の巻幅がばらついても、最適巻線条件で線材をコアに巻付けることができる巻線装置を提供する。
【解決手段】 巻芯部径測定器21は発光部と受光部を備えている。コア60は発光部と受光部の間に配置され、スピンドル5によって中心軸のまわりに回転駆動した状態で巻芯部径が測定される。線材供給部15と線材供給ノズル10の間には、線材径測定器22が置かれている。線材径測定器22としては、通常、エアーマイクロメータなどのような非接触測定器が使用される。制御部24では、巻芯部径測定器21や線材径測定器22から送られてきたデータに基づいて、線材供給ノズル10の位置やコア60の回転角を制御して、線材70をコア60の巻芯部に巻付ける。
【選択図】 図1

Description

本発明は、巻線装置、特に、線材をコアに巻付けてインダクタなどを製作する際に用いられる巻線装置に関する。
一般に、コアに線材を巻付けてインダクタを製造する際に用いられる巻線装置としては、コアを中心軸のまわりに回転駆動させて、前記コアまたは該コアに線材を供給する線材供給ノズルを、コアの中心軸方向に往復運動しつつ線材供給ノズルから供給される線材をコアに巻付ける形式の巻線装置が用いられている。
通常の巻線装置は、ある一定数量(ロット)のコアに対して最初に巻線条件(巻始め位置、巻ピッチ、巻数など)が設定されると、ロットのコア全てに対してその巻線条件で巻付け作業を行うものであった。
なお、インダクタの電気特性のばらつきを抑える巻線装置として、特許文献1や特許文献2に記載のものがあった。特許文献1の巻線装置は、巻付け中に発生した巻むらを検出するものである。特許文献2の巻線装置は、コアの巻芯部幅を測定し、この測定値に基づいて線材が乱巻きにならないように巻付けるものである。
特開平8−124777号公報 特開昭61−107714号公報
ところで、インダクタの電気特性(インダクタンス特性)は、コアの巻芯部の径、線材の径および線材の巻幅によって変わる。しかし、コアの巻芯部の径や線材の径にはばらつきがあり、また、巻付け中の制御しきれない線材の挙動により線材の巻幅がばらつくことがある。これが、完成したインダクタの電気特性のばらつきの一要因となっている。
そこで、本発明の目的は、コアの巻芯部の径や線材の径や線材の巻幅がばらついても、最適巻線条件で線材をコアに巻付けることができる巻線装置を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明に係る巻線装置は、コアの巻芯部の径を測定する巻芯部径測定器や、線材の径を測定する線材径測定器や、コアの巻芯部に巻付け途中の線材の巻幅を測定する画像処理装置を備えている。
そして、巻芯部径測定器で得られた巻芯部の径のデータや、線材径測定器で得られた線材の径のデータに基づいて、巻芯部に巻付ける線材の最適巻線条件を算出し、該最適巻線条件から、コアの中心軸方向におけるコアと線材供給ノズルとの相対的位置およびコアと線材供給ノズルとの相対的回転角を制御する。
以上の構成により、コアの巻芯部径や線材の径のばらつきに影響を受けることなく、高精度のインダクタンス特性を有するインダクタを製造することができる。
また、画像処理装置で得られた巻付け途中の線材の巻幅のデータから、予め設定された線材の標準巻幅になるように、コアの中心軸方向におけるコアと線材供給ノズルとの相対的位置を制御する。
以上の構成により、線材の巻幅のばらつきが解消される。
また、本発明に係る巻線装置は、予め設定された前記線材の標準巻幅において、前記線材の最終ピッチの間隔をあけるように算出することを特徴とする。
本発明によれば、コアに線材を巻付ける前に、コアの巻芯部径や線材の径を測定し、その巻芯部径や線材径に最適な巻線条件で線材をコアに巻付けるので、コアの巻芯部径や線材の径のばらつきの影響を受けることなく、高精度のインダクタを製造することができる。
また、コアに線材を巻付けている途中に、線材の巻幅を測定し、その巻幅の測定データから、コアの中心軸方向におけるコアと線材供給ノズルとの相対的位置を制御して予め設定された線材の標準巻幅になるようにするので、線材の巻幅のばらつきが少ない高精度のインダクタを製造することができる。
以下に、本発明に係る巻線装置の一実施例について添付図面を参照して説明する。
図1は巻線装置1の概略構成図である。巻線装置1は、ターンテーブル2の周辺部に、コア投入エリアA、巻線エリアB、端末処理エリアCおよび完成品取り出しエリアDが配置されている。
ターンテーブル2は平面視が矩形であり、四つの側面にはそれぞれコア把持機構3が設けられている。コア把持機構3はコア60を把むためのチャック4を備えている。巻線エリアBにおいては、さらにコア60を中心軸のまわりに回転駆動させるためのスピンドル5を備えている。スピンドル5にはエンコーダが内蔵されており、このエンコーダはモータの回転角度に比例したパルスを発生する。スピンドル5のモータとエンコーダは協働してコアの回転角度を常時計測する。ターンテーブル2は反時計方向回りに回転して、コア把持機構3にて把持されたコア60をエリアA、エリアB、エリアC、エリアDと順次搬送する。
コア投入エリアAは、コア60をパーツフィーダ(図示せず)によって整列した後、順次、ターンテーブル2の把持機構3にセットするエリアである。
巻線エリアBは、コア60の巻芯部に線材70を巻付けるエリアである。巻線エリアBには、線材供給部15と、線材70の径を測定する線材径測定器22と、CCDカメラ25とが配置されている。また、本実施例では、この巻線エリアBに、コア60の巻芯部の径を測定する巻芯部径測定器21が配置されている。
図2は巻芯部径測定器21の概略構成を示す。図2において、コア60の中心軸の方向は紙面に垂直な方向であり、斜線部はコア60の巻芯部の横断面を表示している。巻芯部径測定器21は発光部21aと受光部21bを備えている。コア60は発光部21aと受光部21bの間に配置され、スピンドル5によって中心軸のまわりに回転駆動した状態で巻芯部径が測定される。
このとき、巻芯部径測定器21は、コア60の巻芯部の長手方向(中心軸方向)に平行移動し、予め設定しておいた箇所の巻芯部横断面の縦寸法D1と横寸法D2を測定する。発光部21aから平行光やレーザビームが照射されると、巻芯部によって受光部21bに陰ができる。この陰の長さが巻芯部径として検出される。測定された巻芯部径のデータは制御部24に送られる。
図3に示すように、線材供給部15は、定テンション機構(図示せず)にて線材70に一定のテンションを加えた状態で、線材70を線材供給ノズル10に送り込む。線材供給ノズル10は、平行移動用モータ11によってコア60の中心軸に対して平行に移動可能である。線材供給部15と線材供給ノズル10の間には、線材径測定器22が置かれている。線材径測定器22としては、通常、エアーマイクロメータなどのような非接触測定器が使用される。測定端子によって線材70を傷つけないためである。測定された線材径のデータは制御部24に送られる。
制御部24では、巻芯部径測定器21や線材径測定器22から送られてきたデータに基づいて、線材供給ノズル10の位置やコア60の回転角を制御して、線材70をコア60の巻芯部に巻付ける。
制御部24には以下の関係式(1),(2),(3)がメモリされている。ここに、ΔLはインダクタのインダクタンスの変化率であり、ΔWはコア60の巻芯部に巻付けられた線材70の巻幅lの変化率であり、ΔSはコア60の巻芯部の横断面の面積S(=πR2)の変化率であり、Δdは線材70の径dの変化率である。
ΔL=―ΔW/2…(1)
ΔL=5ΔS/6…(2)
ΔL=―Δd/8.5…(3)
これらの関係式(1),(2),(3)は、図4に示すようなコア60Aの巻芯部に線材70Aが密着巻されている単層円筒形コイルの自己インダクタンスLの理論式
L=(Kn・4π2・R2・N2/l)×10-1(nH)
ただし、l:線材70Aの巻幅
R:コア60Aの巻芯部の半径
N:線材70Aの巻数
Kn:長岡係数
を利用して求めた。
すなわち、前記自己インダクタンスLの理論式において、線材70Aの巻幅l、コア60Aの巻芯部の横断面の面積S(=πR2)、線材70Aの径dを変化させたときの自己インダクタンスLの変化をシュミレーションしたものを図にした。そして、その図から、インダクタンスの変化率ΔLと線材70の巻幅lの変化率ΔWの関係、インダクタンスの変化率ΔLとコア60の巻芯部の横断面の面積Sの変化率ΔSの関係、並びに、インダクタンスの変化率ΔLと線材70の径dの変化率Δdの関係を推測して関係式(1),(2),(3)を求めた。
図2に示すように、本実施例のコア60の巻芯部の横断面が矩形であるにもかかわらず、単層円筒形コイルの自己インダクタンスLの理論式を用いたのは、以下の理由による。すなわち、この矩形の巻芯部に線材70を巻付けると、線材70が巻芯部のエッジ部で直角に折れ曲がらず、円弧状に曲がり、矩形の巻芯部のサイズが小さければ、線材70は矩形の巻芯部に略円形状に巻付けられることになるからである。
なお、コア60Aの巻芯部に線材70Aが疎巻(ピッチ巻)されている場合の単層円筒形コイルの自己インダクタンスLの理論式は、
L=(K・Kn・4π2・R2・N2/l)×10-1(nH)
ただし、K:係数
となる。
巻芯部径測定器21や線材径測定器22から巻芯部径や線材径の測定データが送られてくると、制御部24は予めメモリに登録しておいた巻芯部径や線材径(設計値)と比較し、コア60の巻芯部の横断面の面積Sの変化率ΔSや線材70の径dの変化率Δdを求める。そして、これらの変化率ΔS,Δdを関係式(2)および(3)に代入することによって、インダクタンスの変化率ΔLを算出する。例えば、コア60の巻芯部の横断面の面積Sが設計値より5%減少した場合、関係式(2)からインダクタンスは約4.2%減少する。
次に、所望のインダクタンス値が得られるように、制御部24は、算出したインダクタンスの変化率ΔLに基づいて、線材70の最適巻数Nを算出する。この最適巻数Nから制御部24は、スピンドル5のモータおよび平行移動用モータ11に駆動信号を送り、線材供給ノズル10の位置やコア60の回転角を制御する。こうして、線材70をコア60の巻芯部に最適巻数Nで巻付ける。
なお、インダクタンスの変化率ΔLから求まる最適巻数Nが、例えば5.2回というように整数値にならなかった場合には、回転角の制御により整数分のみ巻回するとともに、端数については後述する画像処理装置23で巻幅lを算出する際に、最終ピッチの間隔をあける(疎巻にする)ように算出し、線材供給ノズル10の位置を制御する。
以上のように、巻線装置1は、コア60に線材70を巻付ける前に、コア60の巻芯部径や線材70の径を測定し、その巻芯部径や線材径に最適な巻線条件で線材70をコア60に巻付けるので、コア60の巻芯部径や線材70の径のばらつきに影響を受けることなく、高精度のインダクタを製造することができる。
さらに、本実施例では、線材70をコア60の巻芯部に巻付けている途中(図3の点線を参照)に、CCDカメラ25でコア60の巻芯部に巻付けられている線材70を撮像している。画像処理装置23はCCDカメラ25から撮像データが送られてくると、巻付け途中の線材70の巻幅lを算出する。そして、予めメモリに登録しておいた巻幅(設計値)と比較し、線材70の巻幅lのずれ量を算出する。
制御部24は、画像処理装置23から巻幅lのずれ量のデータが送られてくると、予めメモリに登録しておいた位置に最終ターンがくるように(図3の一点鎖線参照)、平行移動用モータ11に駆動信号を送り、線材供給ノズル10の位置を制御する。
以上のように、巻線装置1は、コア60に線材70を巻付けている途中に、線材70の巻幅lを測定し、その巻幅lの測定データから、コア60の中心軸方向におけるコア60と線材供給ノズルとの相対的位置を制御して予め設定された線材70の標準巻幅になるようにするので、線材70の巻幅lのばらつきが少ない高精度のインダクタを製造することができる。
端末処理エリアCは、コア60の巻芯部に巻付けた線材70の始端部および終端部を、コア60の両端の鍔部に形成した外部電極に熱圧着やはんだ付けで電気的に接続するエリアである。こうして巻芯部に線材70が巻付けられたインダクタが完成する。
完成品取り出しエリアDは、完成したインダクタを把持機構3から取り外すエリアである。
なお、本発明に係る巻線装置は、前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
例えば、巻線供給ノズルを固定し、コアを中心軸のまわりに回転駆動させるとともに、コアを中心軸方向に往復運動させて線材をコアに巻付けるものであってもよい。また、コアを固定し、巻線供給ノズルをコアのまわりに回転駆動させるものであってもよい。つまり、コアと巻線供給ノズルが相対的に移動可能であればよい。
また、巻芯部径測定器は巻線エリアAに設けてもよい。つまり、線材をコアに巻付ける前に巻芯部径を測定できれば、巻芯部径測定器の設置場所は問わない。さらに、巻芯部径測定器は、図2に示すような測定器21でなく、画像処理装置23を使って巻芯部径を測定してもよい。
本発明に係る巻線装置の一実施例を示す概略構成図。 巻芯部径測定器の概略構成図。 巻線エリアの拡大構成図。 計算式を説明するためのインダクタの断面図。
符号の説明
1…巻線装置
10…線材供給ノズル
21…巻芯部径測定器
22…線材径測定器
23…画像処理装置
24…制御部
25…CCDカメラ
60…コア
70…線材
l…巻幅
d…線材の径
2R…コアの巻芯部の径

Claims (5)

  1. 線材をコアに巻付ける巻線装置において、
    コアに巻付ける線材を供給するための線材供給ノズルと、
    前記コアの巻芯部の径を測定する巻芯部径測定器と、
    前記巻芯部径測定器で得られた前記コアの巻芯部の径のデータに基づいて、前記巻芯部に巻付ける線材の最適巻線条件を算出し、該最適巻線条件から、前記コアの中心軸方向における前記コアと前記線材供給ノズルとの相対的位置および前記コアと前記線材供給ノズルとの相対的回転角を制御する制御部と、
    を備えたことを特徴とする巻線装置。
  2. 線材をコアに巻付ける巻線装置において、
    コアに巻付ける線材を供給するための線材供給ノズルと、
    前記線材の径を測定する線材径測定器と、
    前記線材径測定器で得られた前記線材の径のデータに基づいて、前記巻芯部に巻付ける線材の最適巻線条件を算出し、該最適巻線条件から、前記コアの中心軸方向における前記コアと前記線材供給ノズルとの相対的位置および前記コアと前記線材供給ノズルとの相対的回転角を制御する制御部と、
    を備えたことを特徴とする巻線装置。
  3. 線材をコアに巻付ける巻線装置において、
    コアに巻付ける線材を供給するための線材供給ノズルと、
    前記コアの巻芯部に巻付け途中の線材の巻幅を測定する画像処理装置と、
    前記画像処理装置で得られた巻付け途中の前記線材の巻幅のデータから、予め設定された線材の標準巻幅になるように、前記コアの中心軸方向における前記コアと前記線材供給ノズルとの相対的位置を制御する制御部と、
    を備えたことを特徴とする巻線装置。
  4. 線材をコアに巻付ける巻線装置において、
    コアに巻付ける線材を供給するための線材供給ノズルと、
    前記コアの巻芯部の径を測定する巻芯部径測定器と、
    前記線材の径を測定する線材径測定器と、
    前記コアの巻芯部に巻付け途中の線材の巻幅を測定する画像処理装置と、
    前記巻芯部径測定器で得られた巻芯部の径のデータ、および、前記線材径測定器で得られた線材の径のデータに基づいて、前記巻芯部に巻付ける線材の最適巻線条件を算出し、該最適巻線条件から、前記コアの中心軸方向における前記コアと前記線材供給ノズルとの相対的位置および前記コアと前記線材供給ノズルとの相対的回転角を制御するとともに、前記画像処理装置で得られた巻付け途中の線材の巻幅のデータから、予め設定された線材の標準巻幅になるように、前記コアの中心軸方向における前記コアと前記線材供給ノズルとの相対的位置を制御する制御部と、
    を備えたことを特徴とする巻線装置。
  5. 予め設定された前記線材の標準巻幅において、前記線材の最終ピッチの間隔をあけるように算出することを特徴とする請求項4に記載の巻線装置。
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