JP3580656B2 - コイル巻線方法とその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転電機の固定子巻線に使用する平角銅線コイルの巻線方法とその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
回転電機である電動機の固定子スロットに収納する固定子巻線(以下、巻線と呼ぶ)は、導体の表面に絶縁物を被覆し形成の平角銅線コイルで、例えば図20に示すような小判形コイル(以下、コイルと呼ぶ)30である。これは絶縁被覆付きの平角銅線(以下、銅線と呼ぶ)1を巻回して形成し、コイル30の胴部には巻回崩れを防止する粘着テープ9が巻かれている。次に従来のコイル30を製作する装置は銅線供給装置16と巻枠27で形成され、それを説明する。
【0003】
図21に示すように、銅線1を巻回したドラム2が複数個縦方向に並べられ、ドラム2から解き外された銅線1に巻回時テンションを加えるサーボモータ2aで駆動するワイヤデリーラ部3と、銅線1をガイドアーム15に供給する段差ローラ21とで銅線供給装置16が形成される。尚、ガイドアーム15先端部には銅線1を供給案内する案内孔(図示しない)を有する銅線案内部5aが取付けてある。
【0004】
一方、サーボモータMで駆動する巻型27は、巻溝部27Aと巻溝側部27Bと中間巻溝側部27Eと支持板27Gの組合わせで形成される。これらの構成部品は夫々樹脂製でその形状は、図22に示すように支持板27Gを除いて夫々略半円形状である。即ち、巻溝部27Aは半円側に貫通孔27c を有する略半円形状の巻板27a が構成部品となり、巻溝側部27Bは胴部に貫通孔27c を有する略半円形状の側板27b が構成部品となり、中間巻溝側部27Eは一方が前記側板27b と同形状の中間側板27f と胴部に貫通孔27c を有し先端部に凹み形状の係止部27d を有するくちばし形状の係止部付中間側板27e が構成部品となっている。そして、例えばコイル30が3個必要な時は構成部品を、支持板27G→巻溝側部27B→巻溝部27A→中間巻溝側部27E→巻溝部27A→中間巻溝側部27E→巻溝部27A→巻溝側部27Bの順に支持板27Gに重ね合わせ、貫通孔27c に締付ボルトを挿入して締付け図22(a) に示すような中間に空洞部28を有する巻型27を製作する。この時、巻溝部27Aの幅は銅線1幅と略同幅である。尚、各構成部品を長さ方向に移動することにより長さ方向寸法は拡縮可能となっている。
【0005】
このような、銅線供給装置16と巻型27とを使用して従来のコイル30の製作方法を説明する。まずドラム2から解き外された銅線1は、ワイヤデリーラ部3でテンションが掛けられてガイドアーム15先端の銅線案内部15a の案内孔を通過して、図20に示すようにガイドアーム15と巻溝部27Aとが平行状態位置にセットし、人手で銅線1を巻溝部27Aに位置決め巻回を開始する。すると、ガイドアーム15は巻型27の回転に追従し支点4を中心とした上下方向のスイング可動する。そして、所定数巻回すると1個のコイル30が形成され、外側の巻溝部27Aから中央の巻溝部27Aに銅線1を移行する(銅線1の渡り動作と呼ぶ)。この移行は、ガイドアーム15の延長線上に中央の巻溝部27Aを位置させて行うもので、銅線供給装置16を軸方向に移動させ銅線1を中間巻溝側部27Eの係止部27d に引掛けて行うが、銅線1は粘着テープ9を基点として移動して係止部27d を経てガイドアーム15先端の銅線案内部15a に達し、そこからガイドアーム15先端の銅線案内部15a の案内孔に行く状態となっている。そして、移行は巻型27で多数の完成コイル30を製作する数だけ発生する。規定の完成コイル30が出来きると巻型27の空洞部28に位置する完成コイル30の胴部で巻回崩れを防止する粘着テープ9を巻回する(図21参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような製作方法では、銅線1の渡り動作時に銅線供給装置16を軸方向に移動させガイドアーム15先端の銅線案内部15a で銅線1を保持しながら、ガイドアーム15を移行先の巻溝部27Aの延長線上に位置させ、ガイドアーム15先端で銅線1を強制的に曲げて移動させているので、移動の為の剛性をガイドアーム15に要して重量が大となる。これは、ガイドアーム15の上下のスイング動作時に重力の影響によって、銅線案内部15a を通過する銅線1に不必要な力が加わり傷が発生し欠陥の有るコイル30となっていた。
【0007】
又、巻型27を構成する巻溝部27Aと中間巻溝側部27Eが夫々銅線1幅や渡り寸法に合った寸法形状になっているから、銅線1サイズや渡り寸法の変更があった時には、その都度巻型27を取替えなけねばならず、段取りの作業性が悪く且つ銅線1の幅寸法に合せて多種類の巻型27を要し不経済である。
【0008】
更には、中間巻溝側部27Eにはコイル30から分離させる為の取手のようなものがないことから、渡り動作時には本来なら銅線1が図22(b) の「右」側に示すような[1a,1b,1c,1d ]と整列巻されて、同図「左」側のように銅線1dが破線1d’ の位置にあるべきものが実線1d’’位置にある。これを巻型27の縦断面状態にすると同図(c) のように既に巻回の銅線1cの外周に巻回されず、崩れて巻型27の外周に[1d’’]状態で巻回される。
【0009】
そして、巻型27からコイル30を取外す前にコイル30の仮止めと巻終り部及び渡り部の切断を人手によって行う為に非常に作業性が悪かった。
本発明はこれらの課題を解決するもので、亀甲形コイルの傷の発生を防止し且つ渡り時のコイル崩れ発生を防ぐ連続コイル巻線方法と、コイルの粘着テープによる仮止めやコイルの巻終り部と渡り部の切断といった付随作業の自動化と、平角銅線のサイズや渡り寸法の変更に伴う段取り作業性を向上させることを目的とする連続コイル巻線装置を提供する。
【0010】
【課題を解決しようとする手段】
本発明におけるコイル巻線方法及びその装置は、請求項1では平角銅線を巻回したドラムと、このドラムから解き外された平角銅線(以下、銅線と呼ぶ)に巻回時テンションを加えるワイヤデリーラ部と、銅線をガイドアームに供給する段差ローラと、根元を基点として上下方向にスイング可動するガイドアームと、これらドラム,ワイヤデリーラ部,段差ローラ,ガイドアームとで形成される銅線供給装置と、所定幅の銅線を巻回収納できる巻線巻回部と先端部に係止部を有する巻回壁部とを交互に重合させて成る巻型とを備えたコイル巻線装置において、ガイドアームは、銅線を供給案内する銅線案内部を備え、根元を基点として上下方向と共に水平方向にもスイング可動するコイル巻線装置である。
【0011】
このように構成すると、実際の巻線工程において従来のコイル巻線装置では渡り動作時に水平方向への銅線の案内はガイドアーム先端で強制的に曲げて行わざるを得なかったので、ガイドアームに剛性が必要であり重量大であった。しかし、請求項1によりガイドアーム根元を基点として行うことができガイドアームは銅線の動きに合わせてスイング動作するだけとなり、ガイドアームが小剛性でよく軽量化となった。この為、ガイドアームの上下スイング動作時に重力の影響によって、銅線案内部を通過する銅線に不要な力が加わることがなくなり、傷の発生を防ぎコイルの欠陥をなくすことができる。
【0012】
次に請求項2では、ドラムから解き外された銅線にワイヤデリーラ部で巻回時にテンションを加え、該銅線を段差ローラを介してガイドアームに供給し、該ガイドアームにより供給案内される銅線を、複数個隣接する巻線巻回部と先端部に係止部を有する巻回壁部とで成る巻型へ送って小判型コイルを形成し、隣接する一方の巻線巻回部から他方の巻線巻回部へ前記ガイドアームを該ガイドアームの根元を基点として上下方向と共に水平方向にスイング可動させながら銅線を渡らせる巻回を連続して行うコイル巻線方法である。このコイル巻線方法により請求項1と同様の効果がある。
【0013】
また請求項3ではコイル巻線装置が、
三日月形状の移動巻溝側部と、
蒲鉾形状で半円側側面に棚状に複数個の前記移動巻溝側部が植設され内部を長辺方向に貫通するネジ孔が穿設された巻溝胴部と、
先端部に係止部を有するくちばし形状の係止部付先端部と馬蹄状で先端が平面状の有する馬蹄状胴部とで成る第1固定巻溝側部と、馬蹄状の第2固定巻溝側部とで成る巻回壁部と、
スライドベース上にL字形のベースを型空間を設けて対面配設し、一方のベース側面に馬蹄状胴部の長脚を当接させながら前記第1固定巻溝側部をベース背面に固定し、他方のベース側面に長脚を当接させながら前記第2固定巻溝側部をベース背面に固定し、第1及び第2固定巻溝側部の内周とベース背面間に形成された内周空間に前記巻溝胴部をベース背面側に平面側を当接させると共に前記ネジ孔に螺合するネジシャフトによってスライドベース上に固定し、前記ネジシャフトの回転による巻溝胴部の移動により平角銅線の所定幅寸法に調整し移動巻溝側部と固定巻溝側部間に前記巻線巻回部を形成する巻型と、
前記型空間で対峙する第1及び第2固定巻溝側部の長脚側面の型空間角に対角線上に着脱若しくはスライド可能に植設けたガイドピン
とで形成される。
【0014】
このような構成によれば、銅線の幅寸法の変更があった場合に巻型の巻溝部の幅方向の寸法を、ネジシャフトを回転させ巻溝動部を移動させることにより任意寸法に調整が可能となる。この結果、従来の銅線の幅寸法変更があった場合はその都度巻型の取替えを要したが、その必要がなくなって段取り時間の作業性が向上すると共に銅線の幅寸法に合わせた多種類の巻型の所持が不要となり保管場所と製作費の点で経済性が向上した。
【0015】
更に請求項4では、前記ガイドアームが上下方向と共に水平方向にもスイング可動するコイル巻線装置である。これによれば、請求項1,2,3を合算した作用効果が得られる。
【0016】
或いは請求項5では、ドラムから解き外された銅線にワイヤデリーラ部で巻回時にテンションを加え、該銅線を段差ローラを介してガイドアームに供給し、該ガイドアームにより供給案内される銅線を、複数個隣接する巻線巻回部と巻回壁部とで成り中間部に型空間の有する巻型へ送り、隣接する一方の巻線巻回部から他方の巻線巻回部へ前記ガイドアームを該ガイドアームの根元を基点として水平方向にスイング可動させながら銅線を渡らせる巻回を、巻回壁部を構成する第1及び第2固定巻溝側部に植設のガイドピンから係止部を介し銅線を連続供給して行うコイル巻線方法である。
【0017】
この方法によれば、巻線の渡り動作を巻型の固定巻溝側部に植設のガイドピンにワイヤを係止しながら行うことにより、既に巻き終えたコイルの最外側銅線が渡り方向に引っ張られるのを防止し、次に巻回されるコイルの最内側銅線が巻溝に対して角度を持って巻回されるのを防止する。これにより、巻線の渡り動作時に発生していたコイルの崩れ現象を防止し、崩れる時に銅線同士が擦合って発生していたコイルの傷を防ぎ、そしてコイルの崩れを修正する手作業を省くことができ作業性が良くなった。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下本発明の第1実施例について図1乃至図15を参照し、従来構成と同じものは同じ符号を使用して説明する。図1は、従来と同様に銅線供給装置と巻型の配置構成図である。図において、平角銅線(以下、銅線と呼ぶ)1を巻回したドラム2が複数個縦方向に並べられ、ドラム2から解き外された銅線1に巻回時テンションを加えるサーボモータ2aで駆動するワイヤデリーラ部3と、銅線1をガイドアーム5に供給する段差ローラ21とで銅線供給装置6が形成される。このガイドアーム5は、該ガイドアーム5が根元部を基点として水平且つ上下方向にスイング可動状態となっており、また先端部には銅線1を供給案内する案内孔(図示しない)を有する銅線案内部15a が取付けてある。前記ガイドアーム5の根元部構造は、支持台12上に断面形状がL字型の水平方向スイングプレート13を左右方向支点ピン19により取付け、この水平方向スイングプレート13の側面に断面形状がL字型で下部にガイドアーム挿入孔14a を有する上下方向スイングプレート14を上下方向支点ピン17により取付ける。又、上下方向支点ピン17先端には筒状のガイドローラ18が挿入されている。尚、ガイドアーム5は上下方向支点ピン17を基点として上下方向にスイングし、左右方向支点ピン19を基点として左右方向にフロート可動する。
【0019】
次に、サーボモータMで駆動する巻型7の構成を説明する。巻型7は巻溝胴部7Aと移動巻溝側部(以下、移動部という)7Bと固定巻溝側部(以下、固定部という)7Cの組合わせで夫々樹脂製で形成され、まずこれらの形状ついて説明する。巻溝胴部7Aは、図3(a)に示すように蒲鉾形状の半円側側面に蒲鉾状の短辺と平行となるネジ溝7Aaを長辺方向に複数個有し(図では2個)、内部をネジシャフト7Hと螺合するネジ孔7Acが長辺方向に貫通している。この巻溝胴部7Aのネジ溝7Aaに、三日月形状の移動部7Bを孔7Abを介してネジ締めにより固定し棚状に配設する。固定部7Cは図4(a)に示すように、先端部に凹み形状の係止部7caを有するくちばし形状の係止部付先端部7cbと馬蹄状で長脚部7ccと平面状の先端7cdを有する馬蹄状胴部7ceとで成る第1固定巻溝側部7CAと、馬蹄状で長脚部7cgを有する第2固定巻溝側部7cfとで巻回壁部を形成する。
【0020】
続いて、これら巻溝胴部7Aと移動部7Bと固定部7Cのスライドベース7Gへの組立てについて説明する。図5に示すように、スライド溝を有する矩形状のスライドベース7GにL字形のベース11を型空間を設け対面させて配設する。そして図5のまず右側(Aゾーン表示のない側)から説明すると、一方のベース11にロックを置きその上に図4(a)で示すように、ベース11側面に第2固定巻溝側部7cfの長脚部7cg内側を嵌合させて最下位に置き(図で7Cg)、側面でネジ締めにより固定しベース11背面に巻回壁部である第2固定巻溝側部7cfを配設する。すると、ベース11と第2固定巻溝側部7cfの内側円弧と間には内周空間11a に形成されるので、該内側円弧と巻溝胴部7Aの外側円弧とを対面させながら内周空間11a に巻溝胴部7Aを挿入する。そして巻溝胴部7Aの最下位のネジ溝7Aaに孔7Abを介してネジ締めにより移動部7Bを固定する。以下この組立てを最上部まで繰返して行い片方の巻型7が形成される。
【0021】
一方、図5の左側(Aゾーン表示側)は、右側の最下位段階で第2固定巻溝側部7cf配設位置の左側(Aゾーン表示側)へベース11と馬蹄状胴部7ceを右側と同様に配設し、その先端7cdに係止部付先端部7cbを固定する。そして、ベース11と馬蹄状胴部7ceとの内周空間11b に巻溝胴部7Aを挿入し、ネジ溝7Aaに孔7Abを介してネジ締めにより移動部7Bを固定する。以下この組立てを最上部まで繰返して行い一方の巻型7が形成される。すると、夫々の空間x,x1 である巻線巻回部は、巻溝胴部7Aの巻溝胴ネジ山部(以下、巻線巻回部という)7Ad に、従来の巻溝部27Aに相当する銅線1の巻回場所が形成される。
【0022】
次に、この巻型7使用により巻回される銅線1の幅調整について述べる。まずL字型のベース11の下末端面にスライドベース7G上を自由にスライド可能なブロック7Kを当接させる。ブロック7Kの上表面にはネジ部が形成されており、このネジ部と螺合する巻枠開放レバー7Lの拘束により両ベース11間にはコイル長さを考慮した型空間7Mを有する状態で、両ベース11はスライドベース7G上に固定される。次に両巻溝胴部7Aをネジシャフト7Hとネジ貫通口7Acによってスライドベース7Gに取付け、巻溝幅調整つまみ7Iによりネジシャフト7Hを回転させると螺合するネジ孔7Acによって、巻溝胴部7Aがネジシャフト7H上を上下方向に移動する。すると、巻溝胴部7Aのネジ溝7Aaに固定の移動部7Bが上下方向に移動し、固定部7Cとの間に空間xが形成される。この空間xを巻回される銅線1の幅に調整する。この調整を図5を参照して説明する。図5にA,B,Cゾーンの記載があるが、Aゾーンは銅線1の幅が最大値の状態を示し、Bゾーンは最大値より小さい状態を示し、Cゾーンは銅線1の幅がない状態を示している。
【0023】
Aゾーンにおいて、移動部7Baと移動部7Bbは上方向に移動して、移動部7Baと固定部7Ca間,移動部7Bbと固定部7Cb間に夫々空間xを形成している。この空間xは巻溝胴部7A表面に形成された銅線1の幅となり、銅線1は巻溝胴部7A表面に直接巻回される。次に銅線1がAゾーンよりも狭幅の時は、ネジシャフト7Hを反転させて巻溝胴部7Aを降下させることにより移動部7Be下降させて固定部7Cd間との空間x1 を空間xより狭くして狭幅の銅線1に備える。更に移動部7Bfを下降させて行くと固定部7Cf間との空間はなくなりCゾーンとなる。上記A,Bゾーンの状態において、ネジシャフト7Hをダブルナット7Jによって固定し夫々の移動部7Bと固定部7C間に形成の空間(距離)を銅線1の幅と規定する。尚、上記説明は移動部7Baと固定部7Ca間を基準にして述べたが、移動部7Bbと固定部7Ca間を基準にすればこの間に空間xが形成され、上述とは反対側に夫々空間が巻回作業することは何ら問題なく可能である。これは後述するガイドピン10との関係位置から変ってくる。
【0024】
続いて、巻型7の固定部7Cにガイドピン10を植設する構成について図6を参照して述べる。図6は説明簡単化の為に従来と同様の表示である(コイル30が3個必要な事例)。図において、スライドベース7Gに取付けられた移動部7Bと固定部7Cがあって、係止部7caを有する係止部付先端部7cbが図の左側(符号(a),(b) 側)になった時(巻回作業に銅線1が係止部付先端部7cb側面より上部にある)、第1固定巻溝側部7CAの馬蹄状胴部7ceの上側で型空間7M側となる側面(狭幅)角の右側(銅線1に対し右側=銅線1の渡り方向)に、側面方向に出没するガイドピン10を着脱若しくはスライド可能に植設する。又、第2固定巻溝側部7cfが図の右側になった時は、第2固定巻溝側部7cfの下側で型空間7M側となる側面(狭幅)角の右側で、前記第1固定巻溝側部7CAの馬蹄状胴部7ceに取付けのガイドピン10とは対角線上の位置に、側面方向に出没するガイドピン10を着脱若しくはスライド可能に植設する。この巻型7でのガイドピン10の取付け位置関係は図6(a) に示してある。尚、ガイドピン10の出没機構は、図7に示すようにフレームにセツトされた複数本のガイドピン10がレバー10a 操作により巻型7の固定部7C側面を出没する。
【0025】
以上の銅線供給装置6と巻型7を操作して小判形コイル(以下、コイルと呼ぶ)30の製作方法を説明する。まず巻型7は図5のAゾーン状態に移動部7Bと固定部7Cを全数セットする。次にドラム2から解き外された銅線1は、ワイヤデリーラ2でテンションが掛けられてガイドアーム5先端の銅線案内部5a の案内孔を通過し、ガイドアーム5と巻線巻回部7Ad (従来の巻溝部27A)とが平行にセット状態の巻溝胴ネジ山部7Ad に人手で銅線1を位置決めして巻回を開始する。すると、サーボモータMの駆動により巻型7の係止部付先端部7cbは上側→右側→下側→左側へと移動して一回転するので、この動作に伴ってガイドアーム5が支点4を基点として上下方向にスイング可動して巻線巻回部7Ad に銅線1が巻回されていく。そして、所定数巻回すると1個のコイル30が形成され(図8参照)、外側の巻線巻回部7Ad から中央の巻線巻回部7Ad に銅線1を移行する(銅線1の渡り動作と呼ぶ→図9参照)。
【0026】
この移行は、銅線供給装置6を軸方向に移動させ固定部7Cの係止部付先端部7cbの係止部7caに銅線1を引掛けて行うが、銅線1は固定部7Cに植設のガイトピン10を基点として移動して係止部7caを経てガイドアーム5先端の銅線案内部5a に達し、そこから銅線案内部5a の案内孔に行く状態となっている。この巻回操作は、図9の位置から巻型7の係止部付先端部7cbが上側に行く図10に変ってガイドアーム5が上下方向にスイングし、次に係止部付先端部7cbが右側に行く図11に変って銅線1はガイドピン10に沿って曲り係止部付先端部7cbの係止部7caを経てガイドアーム5先端の銅線案内部5a に達し、図11に示す銅線供給装置6の軸方向移動によりガイドアーム5の延長線上に中央の巻線巻回部7Ad が位置する。
【0027】
この渡り動作時に、ガイドアーム5をフロート動作させたことにより、ガイドアーム5先端での銅線1を強制的に水平方向に曲げることがなくなり、従来のガイドアーム15より低剛性であっても渡り動作が可能となった。この結果、従来のガイドアームより軽量化することができガイドアームの巻型に追従した上下方向のスイング動作時に重力の影響によるコイル巻回時にガイドアーム5の先端を通過する銅線1に加わる力を軽減し、それによるコイル30の傷発生を防止できる。
【0028】
又、ガイトピン10に銅線1を沿わすことによって、銅線1は巻型7の巻回場所となる巻線巻回部7Ad に平行に出入りしながら且つガイドピン10によって押えながら渡り動作を行うこととなり、銅線1が巻線巻回部7Ad に入る前に巻線巻回部7Ad と平行になるようにガイドピン10によりガイドされ、銅線1の巻回が円滑に行うことができる。又、巻線巻回部7Ad の入口ではコイル30の最内側に巻回された銅線1a が巻線巻回部7Ad に対し角度をもって巻かれるのと渡りの水平方向に引っ張られるのを防止でき、巻線巻回部7Ad の入口のコイル30で最内側に巻回された銅線1a の外側に巻かれた銅線1d を所定位置に配置させることができコイル30の崩れを防止できる(図13参照)。そして、移行は巻型7で多数のコイル30を製作する数だけ発生する。
【0029】
次に規定のコイル30が出来きると巻型7は停止する。この状態で巻型7の空洞部7Mに位置するコイル30の胴部に、巻回崩れを防止する粘着テープ9を巻回する装置と銅線1の自動切断装置について説明する。
【0030】
まずコイル30の仮止め機構は、図14に示すように一定長さの粘着テープ9を引出して切断するテープ自動切断装置12と、粘着テープ9を挟んで把持する粘着テープ把持装置13と、その粘着テープ9をコイル30に押当てる粘着テープ押付装置14と、コイル30に押付けられた粘着テープ9をローラ17でコイル30の側面に押付けながら貼付けていく粘着テープ貼付装置15と、粘着テープ把持装置13,粘着テープ押付装置14,粘着テープ貼付装置15をテープ自動切断装置12とコイル30の間を移動させるための図示しないロボットから構成される。
【0031】
次に粘着テープ9の貼付について説明する。まずテープ自動切断装置12から粘着テープ9が引出され、その粘着テープ9を図14の「Aの位置」で粘着テープ把持装置13が把持して粘着テープ9はテープ自動切断装置12で切断される。そして、図示しないロボットによって粘着テープ把持装置13,粘着テープ押付装置14,粘着テープ貼付装置15を「Aの位置」から「Bの位置」へ移動する。その後、粘着テープ把持装置13と粘着テープ押付装置14が下降を始める。
【0032】
粘着テープ9がコイル30に接した時点で粘着テープ把持装置13は停止するが、粘着テープ押付装置14は更に下降してコイル30に粘着テープ9を押し当てる。すると、粘着テープ把持装置13は粘着テープ9を離して粘着テープ押付装置14と同時に上昇する。その後、図示しないロボットによって粘着テープ把持装置13,粘着テープ押付装置14,粘着テープ貼付装置15は「Bの位置」から図15の「Cの位置」へ移動して粘着テープ貼付装置15が下降し、スプリング16によって引合うローラ17で粘着テープ9とコイル30を挟み込むことによりコイル30に粘着テープ9を貼付ける。粘着テープ9の貼付けが完了すると粘着テープ貼付装置15は上昇し、図示しないロボットによって粘着テープ把持装置13,粘着テープ押付装置14,粘着テープ貼付装置15は、「Cの位置」から「Aの位置」へ移動してコイル30仮止工程の1サイクルが完了する。
【0033】
以上の動作を繰返し行うことにより全てのコイル30を仮止めすることができる。続いてエアニッパを図示しない駆動源によってコイル30の巻終り及び渡り部へ移動し自動的に切断する。その後作業者が、まずガイドピン10をスライドして巻型内に引込めてから、巻型7を長手方向に縮小してコイル30を取出す。これで連続コイル巻線工程が終了する。
【0034】
このように構成すると、実際の巻線工程において従来のコイル巻線装置では渡り動作時に水平方向への銅線の案内はガイドアーム先端で強制的に曲げて行わざるを得なかったので、ガイドアームに剛性が必要であり重量大であった。しかし、ガイドアーム根元を基点として行うことができガイドアームは銅線の動きに合わせてスイング動作するだけとなり、ガイドアームが小剛性でよく軽量化となった。この為、ガイドアームの上下スイング動作時に重力の影響によって、銅線案内部を通過する銅線に不要な力が加わることがなくなり、傷の発生を防ぎコイルの欠陥をなくすことができる。
【0035】
又、銅線の幅寸法の変更があった場合に巻型の巻溝部の幅方向の寸法を、ネジシャフトを回転させ巻溝動部を移動させることにより任意寸法に調整が可能となる。この結果、従来の銅線の幅寸法変更があった場合はその都度巻型の取替えを要したが、その必要がなくなって段取り時間の作業性が向上すると共に銅線の幅寸法に合わせた多種類の巻型の所持が不要となり保管場所と製作費の点で経済性が向上した。
【0036】
そして、巻線の渡り動作を巻型の固定巻溝側部に植設のガイドピンにワイヤを係止しながら行うことにより、既に巻き終えたコイルの最外側銅線が渡り方向に引っ張られるのを防止し、次に巻回されるコイルの最内側銅線が巻溝に対して角度を持って巻回されるのを防止する。これにより、巻線の渡り動作時に発生していたコイルの崩れ現象を防止し、崩れる時に銅線同士が擦合って発生していたコイルの傷を防ぎ、そしてコイルの崩れを修正する手作業を省くことができ作業性が良くなった。
【0037】
次にガイトピン10の他の実施例について図16を参照して説明する。
図16(a) は、巻型7の固定部7j で、型空間7Mに接するように断面形状が小判形のガイトピン10e を設ける。断面積の増加によりピン10e の強度増加と固定部7j の両側面にピン10e があることから巻回銅線1に対し方向性が不要である。また幅が広いので剛性が高く丈夫で長持ちする。更に、固定部7j のどちらの辺にも接しているので渡りの方向が反対になってもガイドピン10e の効果がある。
図16(b) は、巻型7の固定部7l で、型空間7Mから離れてピン10f を固定部7l 片側側面に設ける。巻回銅線1の幅や強度によって係止部7caとピン10f 間の距離調整を要する時に使用する。そして、銅線1の渡り動作時に銅線1の水平方向への変形量が小さくなるので、よりコイルの品質が向上する。
【0038】
図16(c) は、巻型7の固定部7m で、型空間7Mから複数個のピン10g を設ける。図16(b) と同様の目的に使用する。渡り動作時に銅線1が水平方向に曲げられる力を、ガイドピン10g の本数分で分散して受けるのでガイドピン10g 1本当たりの負担が小さくなり、ガイドピン10g の寿命が延びる。
【0039】
図16(d) は、巻型7の固定部7n で、型空間7M面内にピン10h を設ける。
ガイドピン10h をより内側に植設することにより、渡り動作時に銅線1が巻型により確実に平行に入ってくるので、銅線1がより安定して巻回されコイル崩れ防止の効果が向上する。
【0040】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、ガイドアーム根元を基点として行うことができガイドアームは銅線の動きに合わせてスイング動作するだけとなり、ガイドアームが小剛性でよく軽量化となった。この為、ガイドアームの上下スイング動作時に重力の影響によって、銅線案内部を通過する銅線に不要な力が加わることがなくなり、傷の発生を防ぎコイルの欠陥をなくすことができる。
【0041】
又、銅線の幅寸法の変更があった場合に巻型の巻溝部の幅方向の寸法を、ネジシャフトを回転させ巻溝動部を移動させることにより任意寸法に調整が可能となる。この結果、銅線の幅寸法変更があった場合はその都度巻型の取替えが不要となり段取り時間の作業性が向上すると共に銅線の幅寸法に合わせた多種類の巻型の所持が不要となり保管場所と製作費の点で経済性が向上した。
【0042】
そして、巻線の渡り動作を巻型の固定巻溝側部に植設のガイドピンにワイヤを係止しながら行うことにより、既に巻き終えたコイルの最外側銅線が渡り方向に引っ張られるのを防止し、次に巻回されるコイルの最内側銅線が巻溝に対して角度を持って巻回されるのを防止する。これにより、巻線の渡り動作時に発生していたコイルの崩れ現象を防止し、崩れる時に銅線同士が擦合って発生していたコイルの傷を防ぎ、そしてコイルの崩れを修正する手作業を省くことができ作業性が良くなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す亀甲形コイルの製作装置の概念図、
【図2】本発明の一実施例を示すゲイトアームの旋回機構図、
【図3】本発明の一実施例を示す巻溝胴部と移動巻溝側部の斜視図、
【図4】本発明の一実施例を示す固定巻溝側部の斜視図、
【図5】本発明の一実施例を示す巻型の断面図、
【図6】本発明の一実施例を示すピン付巻型の断面図、
【図7】本発明の一実施例を示すガイドピン取付状況説明図、
【図8】本発明の一実施例を示す平角銅線の巻型への巻回図、
【図9】巻型の位置変更による平角銅線の巻型への巻回図、
【図10】巻型の位置変更による平角銅線の巻型への巻回図、
【図11】巻型の位置変更による平角銅線の巻型への巻回図、
【図12】巻型の位置変更による平角銅線の巻型への巻回図、
【図13】本発明の一実施例を示す平角銅線の巻型への正常巻回説明図、
【図14】本発明の一実施例を示す平角銅線の自動切断装置図、
【図15】本発明の一実施例を示す平角銅線の自動切断装置図、
【図16】本発明の他の実施例を示すガイドピンの巻型への取付け図、
【図17】亀甲形コイルの斜視図、
【図18】従来の図1相当図、
【図19】従来の巻型の構成部品図、
【図20】従来の図8相当図、
【図21】従来の図9相当図、
【図22】従来の図13相当図。
【符号の説明】
1,1a,1b,1c,1d …平角銅線、 2…ドラム、
3…ワイヤデリーラ部、 5,15…ガイドアーム、
6,16…銅線供給装置、 7,27…巻型、 7A…巻溝胴部、
7Ac…ネジ孔、 7Ad…巻線巻回部、 7B…移動巻溝側部、
7C…固定巻溝側部、 7CA…第1固定巻溝側部、
7ca…係止部、 7cb…係止部付先端部、
7cc,7cg…長脚部、 7ce…馬蹄状胴部、
7cf…第2固定巻溝側部、 7H…ネジシャフト、
7G…スライドベース、 7M…型空間、
10,10e,10f,10g,10h …ガイドピン、
11…ベース、 21…段差ローラ。

Claims (5)

  1. 平角銅線を巻回したドラムと、このドラムから解き外された平角銅線に巻回時テンションを加えるワイヤデリーラ部と、平角銅線をガイドアームに供給する段差ローラと、根元を基点として上下方向にスイング可動するガイドアームと、これらドラム,ワイヤデリーラ部,段差ローラ,ガイドアームとで形成される銅線供給装置と、所定幅の平角銅線を巻回収納できる巻線巻回部と先端部に係止部を有する巻回壁部とを交互に重合させて成る巻型とを備えたコイル巻線装置において、前記ガイドアームは、前記平角銅線を供給案内する銅線案内部を備え、根元を基点として上下方向と共に水平方向にもスイング可動することを特徴とするコイル巻線装置。
  2. ドラムから解き外された平角銅線にワイヤデリーラ部で巻回時にテンションを加え、該平角銅線を段差ローラを介してガイドアームに供給し、該ガイドアームにより供給案内される平角銅線を複数個隣接する巻線巻回部と先端部に係止部を有する巻回壁部とで成る巻型へ送って小判型コイルを形成し、隣接する一方の巻線巻回部から他方の巻線巻回部へ前記ガイドアームを該ガイドアームの根元を基点として上下方向と共に水平方向にスイング可動させながら平角銅線を渡らせる巻回を連続して行うことを特徴とするコイル巻線方法。
  3. 平角銅線を巻回したドラムと、このドラムから解き外された平角銅線に巻回時テンションを加えるワイヤデリーラ部と、平角銅線をガイドアームに供給する段差ローラと、根元を基点として上下方向にスイング可動するガイドアームと、これらドラム,ワイヤデリーラ部,段差ローラ,ガイドアームとで形成される銅線供給装置と、所定幅の平角銅線を収納できる巻線巻回部と先端部に係止部を有する巻回壁部とを交互に重合させて成る巻型とを備えたコイル巻線装置において、
    三日月形状の移動巻溝側部と、
    蒲鉾形状で半円側側面に棚状に複数個の前記移動巻溝側部が植設され内部を長辺方向に貫通するネジ孔が穿設された巻溝胴部と、
    先端部に係止部を有するくちばし形状の係止部付先端部と馬蹄状で先端が平面状の有する馬蹄状胴部とで成る第1固定巻溝側部と、馬蹄状の第2固定巻溝側部とで成る巻回壁部と、
    スライドベース上にL字形のベースを型空間を設けて対面配設し、一方のベース側面に馬蹄状胴部の長脚を当接させながら前記第1固定巻溝側部をベース背面に固定し、他方のベース側面に長脚を当接させながら前記第2固定巻溝側部をベース背面に固定し、第1及び第2固定巻溝側部の内周とベース背面間に形成された内周空間に前記巻溝胴部をベース背面側に平面側を当接させると共に前記ネジ孔に螺合するネジシャフトによってスライドベース上に固定し、前記ネジシャフトの回転による巻溝胴部の移動により平角銅線の所定幅寸法に調整し移動巻溝側部と固定巻溝側部間に前記巻線巻回部を形成する巻型と、
    前記型空間で対峙する第1及び第2固定巻溝側部の長脚側面の型空間角に対角線上に着脱若しくはスライド可能に植設けたガイドピン
    とで形成されることを特徴とするコイル巻線装置。
  4. 前記ガイドアームが上下方向と共に水平方向にもスイング可動する請求項3記載のコイル巻線装置。
  5. ドラムから解き外された平角銅線にワイヤデリーラ部で巻回時にテンションを加え、該平角銅線を段差ローラを介してガイドアームに供給し、該ガイドアームにより供給案内される平角銅線を、複数個隣接する巻線巻回部と巻回壁部とで成り中間部に型空間の有する巻型へ送り、隣接する一方の巻線巻回部から他方の巻線巻回部へ前記ガイドアームを該ガイドアームの根元を基点として水平方向にスイング可動させながら平角銅線を渡らせる巻回を、巻回壁部を構成する第1及び第2固定巻溝側部に植設のガイドピンから係止部を介し平角銅線を連続供給して行うことを特徴とするコイル巻線方法。
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