JP2020187932A - リチウムイオン二次電池用負極の集電体の製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用負極の集電体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】銅膜を有するリチウムイオン二次電池用負極の集電体2を、軽量なものとしつつ、ウェットプロセスのような問題がなく製造する。【解決手段】耐熱性樹脂フィルム1の被成膜面11を改質処理する改質工程と、改質処理後の耐熱性樹脂フィルム1の被成膜面11にニッケル含有の第1合金膜を成膜する第1の成膜工程と、第1合金膜表面に銅膜を成膜する第2の成膜工程と、銅膜表面にニッケル含有の第2合金膜を成膜する第3の成膜工程とを含み、第1〜第3の各成膜工程をPVD法により行う。【選択図】図1

Description

本発明は、銅膜を有するリチウムイオン二次電池用負極の集電体の製造方法に関する。
従来、この種のリチウムイオン二次電池用負極の集電体の製造方法として、銅箔の片面又は両面に亜鉛−クロム層をめっきにより形成し、次いで、亜鉛−クロム層の表面に有機疎水層を積層した後、当該有機疎水層の表面に負極活物質層を設けるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、リチウムイオン二次電池については、単位質量当たりに取り出せる質量エネルギー密度を増大することが要望されている。この要望に応えるためには、リチウムイオン二次電池の質量を軽減する必要があり、リチウムイオン二次電池用負極の軽量化が急務である。従って、特許文献1に記載された集電体よりも軽量な集電体の実現が望まれる。
また、特許文献1記載のリチウムイオン二次電池用負極の集電体の製造方法はウェットプロセスであり、製造に手間がかかる上、クロムを用いることから廃液処理が必要とされる等の問題がある。
特開2017−186649号公報
本発明は、以上の点に鑑み、ウェットプロセスのような問題がなく、リチウムイオン二次電池用負極の軽量な集電体を製造できるリチウムイオン二次電池用負極の集電体の製造方法を提供することをその課題としている。
上記課題を解決するために、銅膜を有するリチウムイオン二次電池用負極の集電体の製造方法において、耐熱性樹脂フィルムの被成膜面を改質処理する改質工程と、改質処理後の耐熱性樹脂フィルムの被成膜面にニッケル含有の第1合金膜を成膜する第1の成膜工程と、第1合金膜表面に銅膜を成膜する第2の成膜工程と、銅膜表面にニッケル含有の第2合金膜を成膜する第3の成膜工程とを含み、第1〜第3の各成膜工程をPVD法により行うことを特徴とする。
本発明によれば、改質工程で基材としての耐熱性樹脂フィルムの被成膜面を改質処理することによって、被成膜面に残存する溶剤が除去される等して被成膜面を化学的に不安定な状態にすることができる。このため、耐熱性樹脂フィルムの被成膜面に成膜するニッケル含有の第1合金膜の密着性が向上し、第1合金膜表面に成膜される銅膜の剥離を防止できる。また、改質処理後の耐熱性樹脂フィルムの被成膜面に第1合金膜を成膜する第1の成膜工程と、第1合金膜表面に銅膜を成膜する第2の成膜工程と、銅膜表面にニッケル含有の第2合金膜を成膜する第3の成膜工程とを含み、第1〜第3の各成膜工程をPVD法により行うため、従来のウェットプロセスのような問題がない。更に、リチウムイオン二次電池用負極の集電体は、耐熱性樹脂フィルムの被成膜面に、第1合金膜、銅膜及び第2合金膜が順に成膜されたものとして製造されるため、軽量である。
本発明においては、前記第2合金膜を一部不動態にする不動態化工程を更に含むことが望ましい。これによれば、前記第2合金膜が主成分として含有するニッケルの耐食性に加えて、第2合金膜の不動態部分も耐食性に優れる。このため、リチウムイオン二次電池用負極の集電体の耐食性が向上し、リチウムイオン二次電池に封入されるアルカリ性の強い電解液への負極の浸漬に伴う前記銅膜の溶損を防止できる。尚、不動態化は、例えば、前記第2合金膜表面に存在する数原子程度に抑えることができ、不動態化部分が不導体になっても集電体の電気的特性は損なわれない。
また、本発明においては、第1〜第3の各成膜工程をスパッタリング法により、真空チャンバ内で互いに雰囲気分離された、ニッケル合金ターゲットが設置される第1の成膜ゾーン、銅ターゲットが設置される第2の成膜ゾーン及びニッケル合金ターゲットが設置される第3の成膜ゾーンに前記耐熱性樹脂フィルムを連続して通過させて改質処理後の被成膜面に前記第1合金膜、前記銅膜及び前記第2合金膜を順に成膜することが望ましい。これによれば、前記第1合金膜、前記銅膜及び前記第2合金膜を同一の真空チャンバ内で連続的に成膜するため、集電体の生産効率が向上する。また、第1の成膜ゾーン、第2の成膜ゾーン及び第3の成膜ゾーンは、真空チャンバ内で互いに雰囲気分離されているため、各膜への異物質のコンタミネーションを防止できる。
更に、本発明においては、前記第1〜第3の各成膜ゾーンにスパッタガスをそれぞれ導入して各ターゲットをスパッタリングするときの前記第1〜第3の各成膜ゾーンの全圧に対する水分圧の比が0.1%となるように、第1の成膜ゾーンに移送される前の前記耐熱性樹脂フィルムを脱水する脱水工程を更に含むことが望ましい。これによれば、前記耐熱性樹脂フィルムに含まれる水分による膜密度の低下や、OH,O2−が結合することに起因する欠陥がほとんどない膜質の良好な前記第1合金膜、前記銅膜及び前記第2合金膜が得られる。このため、電気的特性に優れた集電体の製造が可能となる。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極の集電体の製造方法に用いられる真空処理装置の基本形態を概略的に示す要部断面図。 図1に示す真空処理装置を用いて製造できるリチウムイオン二次電池用負極の集電体の一形態を示す要部断面図。 本発明のリチウムイオン二次電池用負極の集電体の製造方法の概略を示すブロック図。 図3に示すリチウムイオン二次電池用負極の集電体の製造方法により製造されるリチウムイオン二次電池用負極の集電体の一形態を示す要部断面図。
図1を参照して、VMは、本発明のリチウムイオン二次電池用負極の集電体の製造方法に用いられる真空処理装置である。真空処理装置VMは、長尺の耐熱性樹脂フィルム1の被成膜面たる表面11にスパッタリング法により連続的に成膜するものであり、一方向に沿って連設された第1の真空チャンバVc1、第2の真空チャンバVc2、第3の真空チャンバVc3及び第4の真空チャンバVc4を有している。各真空チャンバVc1,Vc2,Vc3,Vc4には、特に図示して説明しないが、排気管を介して真空ポンプが夫々接続され、各真空チャンバVc1,Vc2,Vc3,Vc4内を夫々で行う処理に適した所定圧力に真空排気できるようにしている。
真空処理装置VMにおける耐熱性樹脂フィルム1の移送方向の最上流側に位置する、即ち、図1で、最左側に示す第1の真空チャンバVc1は、長尺の耐熱性樹脂フィルム1が巻き掛けられた第1ローラR1が設けられ、図外のモータにより一定の速度で耐熱性樹脂フィルム1が繰り出されるようになっている。第1の真空チャンバVc1内にはまた、ガイドローラr1が設けられ、第1及び第2の両真空チャンバVc1,Vc2の上部壁面に形成された連通開口Po1を通して、耐熱性樹脂フィルム1が第2の真空チャンバVc2に移送されるようになっている。
第2の真空チャンバVc2内には上下に複数本のテンションローラr2が設けられている。そして、複数本のテンションローラr2により所定のテンションがかけられた状態で第2の真空チャンバVc2内を移送される耐熱性樹脂フィルム1の表裏両面に対して、改質処理が実施される。第2の真空チャンバVc2で実施される改質処理としては、被成膜面に残存する溶剤を除去する等して被成膜面を化学的に不安定な状態にする処理が挙げられる。具体的には、改質処理によって、耐熱性樹脂フィルム1の改質後の被成膜面は、耐熱性樹脂フィルム1の形成材料の分子を構成する原子の結合手が切断されたような状態になるようにしている。
上記改質処理を実施するために、第2の真空チャンバVc2内の所定位置には、高周波電源Psからの出力が接続される電極Eが設けられると共に、マスフローコントローラMfが介設されたガス導入管Gpが接続されている。そして、アルゴン等の希ガスを第2の真空チャンバVc2内に所定流量で導入し、高周波電源Psにより電極Eに対して高周波電力を投入し、希ガスをイオン化してそれを耐熱性樹脂フィルム1の被成膜面に衝撃させるイオンボンバードにより耐熱性樹脂フィルム1の被成膜面に対して改質処理が実施される。
また、第2の真空チャンバVc2内では、耐熱性樹脂フィルム1に含まれる水分を除去する脱水処理が実施される。脱水処理を実施するために、第2の真空チャンバVc2内の所定位置には、耐熱性樹脂フィルム1を幅方向で跨ぐように複数本のシースヒータHtが設けられている。そして、隣接する2つのシースヒータHt間を耐熱性樹脂フィルム1が通過するときに、加熱されて耐熱性樹脂フィルム1に含まれる水分が除去される。このとき、第2の真空チャンバVc2で行う脱水処理によって、後述する真空チャンバVc3で行う成膜時の全圧に対する水分圧の比を0.1%以下にすることができる。改質処理及び脱水処理が実施された表面改質後の耐熱性樹脂フィルム1は、第2及び第3の両真空チャンバVc2,Vc3の下部壁面に形成された連通開口Po2を通して第3の真空チャンバVc3に移送され、その被成膜面11に対してスパッタリング法により成膜が実施される。
第3の真空チャンバVc3内にはキャンローラCrが設けられ、キャンローラCrの周囲に位置させて、第1の成膜ゾーンDz1、第2の成膜ゾーンDz2及び第3の成膜ゾーンDz3が設けられている。第1〜第3の各成膜ゾーンDz1,Dz2,Dz3は、第3の真空チャンバVc3の底面に立設した隔壁Bh1〜Bh4で区画され、互いに雰囲気分離されるようにしている。なお、第1〜第3の各成膜ゾーンDz1,Dz2,Dz3を雰囲気分離する方法としては、コンダクタンス調整や差動排気を用いる等の公知のものが利用できるため、ここでは詳細な説明は省略する。また、図1中、r2は、テンションローラであり、また、r3,r4は、ガイドローラである。
第1の成膜ゾーンDz1では、改質処理後の耐熱性樹脂フィルム1の表面11に対し、ニッケル含有の第1合金膜が成膜され、第2の成膜ゾーンDz2では、第1合金膜表面に銅膜が成膜され、第3の成膜ゾーンDz3では、銅膜表面にニッケル含有の第2合金膜が成膜される。第1の成膜ゾーンDz1及び第3の成膜ゾーンDz3には、夫々ニッケル合金ターゲット3が設置され、第2の成膜ゾーンDz2には銅ターゲット4が設置される。尚、第2の成膜ゾーンDz2は、衝立Spによって更に第1のサブゾーンSz1及び第2のサブゾーンSz2に更に区画されている。
本実施形態では、ニッケル合金ターゲット3及び銅ターゲット4が、各成膜ゾーンDz1,Dz3及び各サブゾーンSz1,Sz2に、図外のモータにより回転自在な円筒状のターゲット(所謂ロータリーカソード)として設置されている。ロータリーターゲットは、例えば、溶融金属からの引き出しにより作製可能である。また、ニッケル合金ターゲット3は、円筒状の芯材の外周面に原料としてのニッケル合金を溶射する等によって製造することもできる。一方、ニッケル合金ターゲット3及び銅ターゲット4は、必ずしもロータリーターゲットとする必要はなく、一般的な平板状のターゲット(所謂プレーナーターゲット)を採用することもできる。
ここで、ニッケル合金ターゲット3を構成するニッケル合金としては、ニッケルと、クロム、チタン又はアルミニウムのいずれか一種との2元系合金が例示される。ニッケルは耐食性を有する金属である。また、クロム、チタン及びアルミニウムは、空気中の酸素又は水分と反応して酸化物又は水酸化物を生成して不動態となりやすい金属である。これらの2元系合金の中でもニッケルクロム合金は電気抵抗が低く、ニッケル合金ターゲット3として好適である。更に、ニッケル合金ターゲット3を構成するニッケル合金については、クロム、チタン又はアルミニウムのいずれか一種に加え、モリブデン又はマンガンのいずれか一種を含む3元系合金も例示される。モリブデン及びマンガンは、孔食を抑制する金属であり、銅膜にピンホールが形成されるのを抑制でき、後述する集電体2の電気的特性を安定に保つのに有利になる。尚、ニッケルに対する他の金属成分の組成比については特に制限はなく、ニッケルが主成分であるニッケル合金である限りにおいて適宜である。
また、各成膜ゾーンDz1,Dz3及び各サブゾーンSz1,Sz2には、特に図示して説明しないが、通常のスパッタリング装置と同様、アルゴンガスなどのスパッタガスを導入するガス導入手段が設けられ、ニッケル合金ターゲット3及び銅ターゲット4は、負の電位を持つ所定電力を投入するためのスパッタ電源に接続されている。ニッケル合金ターゲット3及び銅ターゲット4を夫々スパッタリングして成膜する際の各成膜ゾーンDz1,Dz2,Dz3の全圧は、例えば、0.1Pa〜0.5Paに維持され、この全圧に対する水分圧の比が、上記の如く、第2の真空チャンバVc2内での脱水処理によって0.1%以下とされ、例えば10−4Paオーダー以下になるようにしている。そして、第3の真空チャンバVc3の各成膜ゾーンDz1,Dz2,Dz3(各サブゾーンSz1,Sz2も含む)を通過する間に、第2の真空チャンバVc2内で改質処理された耐熱性樹脂フィルム1の表面11に、スパッタリングにより第1合金膜、銅膜及び第2合金膜が順に成膜されて集電体2が形成される。この後、耐熱性樹脂フィルム1は、第3及び第4の両真空チャンバVc3,Vc4の下部壁面に形成された連通開口Po3を通して第4の真空チャンバVc4に移送される。真空処理装置VMにおける耐熱性樹脂フィルム1の搬送方向の最下流側に位置する、即ち、図1で最右側に示す第4の真空チャンバVc4には、第2ローラR2とガイドローラr5とが設けられ、第2ローラR2が図外のモータにより一定の速度で耐熱性樹脂フィルム1を巻き取るようになっている。
次に、図2も参照して、図1に例示される基本的な真空処理装置VMによる本発明のリチウムイオン二次電池用負極の集電体の製造方法の一実施形態について、耐熱性樹脂フィルム1の被成膜面たる表面11に成膜して集電体2を製造する場合を例に説明する。
(I)改質処理工程
改質処理工程は、耐熱性樹脂フィルム1の被成膜面(表面11及び裏面の両面)を改質処理する工程であり、第2の真空チャンバVc2で行われる。改質処理については上記の如くである。耐熱性樹脂フィルム1の材質及び厚さは特に限定的ではなく、材質としては、PET、ポリイミド等が例示され、厚さは、1μm〜50μmの範囲内が例示される。
(II)脱水工程
脱水工程は、第3の真空チャンバVc3内の第1〜第3の各成膜ゾーンDz1,Dz2,Dz3にスパッタガスをそれぞれ導入して各ターゲット3,4をスパッタリングするときの第1〜第3の各成膜ゾーンDz1,Dz2,Dz3の全圧に対する水分圧の比が0.1%となるように、第1の成膜ゾーンDz1に移送される前の耐熱性樹脂フィルム1を脱水する工程である。この脱水工程は、例えば、改質工程と同時に、第2の真空チャンバVc2内で行うことができる。
(III)第1の成膜工程
第1の成膜工程は、改質処理後の耐熱性樹脂フィルム1の被成膜面(表面11)にニッケル含有の第1合金膜31を成膜する工程であり、第3の真空チャンバVc3の第1の成膜ゾーンDz1で行われる。第1合金膜31の膜厚は、集電体2の軽量化を踏まえた上で、第2合金膜51や負極の形成時等の熱負荷に起因する、銅膜41を構成する銅原子の拡散、また、リチウムイオン二次電池に封入される電解液に負極を浸漬したときの銅膜41の溶損防止等を考慮して適宜決めることができる。具体的には、20nm以上50nm以下の範囲が例示される。第1合金膜31の膜厚が上記範囲内にあれば、銅原子が熱負荷に起因して拡散しても、第1合金膜31の介在によって、銅原子が耐熱性樹脂フィルム1まで到達するのを防止でき、耐熱性樹脂フィルム1の変質を防止できる。また、リチウムイオン二次電池に封入される電解液に負極を浸漬したときの銅膜41の溶損防止に寄与する。
(IV)第2の成膜工程
第2の成膜工程は、第1合金膜31表面に銅膜41を成膜する工程であり、第3の真空チャンバVc3内の、第1及び第2のサブゾーンSz1,Sz2からなる第2の成膜ゾーンDz2内で行われる。銅膜41の膜厚は特に限定的ではなく、1μm〜15μmの範囲内が例示される。
(V)第3の成膜工程
第3の成膜工程は、銅膜41表面にニッケル含有の第2合金膜51を成膜する工程であり、第3の真空チャンバVc3内の第3の成膜ゾーンDz3で行われる。第2合金膜51の膜厚は、例えば、第1合金膜51の膜厚と同等とすることができる。以上の第1〜第3の各成膜工程では、上記の如く、第1〜第3の各成膜ゾーンDz1,Dz2,Dz3の全圧を0.1Pa〜0.5Paの範囲内にすることができ、第1〜第3の各成膜ゾーンDz1,Dz2,Dz3での水分圧は、10−4Paオーダー以下にすることができる。
(VI)不動態化工程
不動態化工程は、第2合金膜51を一部不動態にする工程である。この不動態化工程は、第4の真空チャンバVc4内でローラR2に巻き取った長尺の集電体2を、例えば大気開放する等によって行うことができる。
以上の工程I〜VIを経て、図2に示す集電体2が製造される。
上記の如く、本実施形態は、改質工程で基材としての耐熱性樹脂フィルム1の被成膜面(表面11)を改質処理することによって、被成膜面(表面11)に残存する溶剤が除去される等して被成膜面(表面11)を化学的に不安定な状態にすることができる。このため、耐熱性樹脂フィルム1の被成膜面(表面11)に成膜する第1合金膜31の密着性が向上し、第1合金膜31の表面に成膜する銅膜41の剥離を防止できる。また、改質処理後の耐熱性樹脂フィルム1の被成膜面(表面11)にニッケル含有の第1合金膜31を成膜する第1の成膜工程と、第1合金膜31の表面に銅膜41を成膜する第2の成膜工程と、銅膜41の表面にニッケル含有の第2合金膜51を成膜する第3の成膜工程とを含み、第1〜第3の各成膜工程をPVD法たるスパッタリング法により行うため、従来のウェットプロセスのような問題がない。更に、リチウムイオン二次電池用負極の集電体2は、耐熱性樹脂フィルム1の被成膜面に、第1合金膜31、銅膜41及び第2合金膜51が順に成膜されたものとして製造されるため、軽量である。
また、本実施形態は、第2合金膜51を一部不動態にする不動態化工程を更に含むため、第1合金膜31及び第2合金膜51が主成分として含有するニッケルの耐食性に加えて、第2合金膜51の不動態部分も耐食性に優れる。このため、リチウムイオン二次電池用負極の集電体2の耐食性が向上し、リチウムイオン二次電池に封入されるアルカリ性の強い電解液への負極の浸漬に伴う銅膜41の溶損を防止できる。尚、不動態化は、例えば、第2合金膜51の表面に存在する数原子程度に抑えることができ、このため、不動態化部分は不導体になっても集電体2の電気的特性は損なわれない。
更に、本実施形態は、上記の如く、第1〜第3の各成膜工程をスパッタリング法により、第3の真空チャンバVc3内で互いに雰囲気分離された、ニッケル合金ターゲット3が設置される第1の成膜ゾーンDz1、銅ターゲット4が設置される第2の成膜ゾーンDz2及びニッケル合金ターゲット3が設置される第3の成膜ゾーンDz3に耐熱性樹脂フィルム1を連続して通過させて改質処理後の被成膜面(表面11)に第1合金膜31、銅膜41及び第2合金膜51を順に成膜する。このため、第1合金膜31、銅膜41及び第2合金膜51を第3の真空チャンバVc3内で連続的に成膜することができ、集電体2の生産効率が向上する。また、第1の成膜ゾーンDz1、第2の成膜ゾーンDz2及び第3の成膜ゾーンDz3を、第3の真空チャンバVc3内で互いに雰囲気分離しておけば、各膜31,41,51への異物質のコンタミネーションを防止できる。
本実施形態では、第1〜第3の各成膜ゾーンDz1,Dz2,Dz3にスパッタガスをそれぞれ導入して各ターゲット3,4をスパッタリングするときの第1〜第3の各成膜ゾーンDz1,Dz2,Dz3の全圧に対する水分圧の比が0.1%となるように、第1の成膜ゾーンDz1に移送される前の耐熱性樹脂フィルム1を脱水する脱水工程を更に含む。このため、耐熱性樹脂フィルム1に含まれる水分による膜密度の低下や、OH,O2−が結合することに起因する欠陥がほとんどない膜質の良好な第1合金膜31、銅膜41及び第2合金膜51が得られる。このため、電気的特性に優れた集電体2の製造が可能となる。
次に、図3を参照して、本発明のリチウムイオン二次電池用負極の集電体の製造方法の別の実施形態を説明する。図3に示すリチウムイオン二次電池用負極の集電体の製造方法は、耐熱性樹脂フィルム1の被成膜面たる表裏両面11,12に第1合金膜31、銅膜41及び第2合金膜51を順に成膜して、図4に示す集電体2を製造する方法である。図3に示すリチウムイオン二次電池用負極の集電体の製造方法は、2種類あり、一方を実線で、他方を点線で示す。
実線で示す実施形態は、図1に示す第2の真空チャンバVc2内で耐熱性樹脂フィルム1の被成膜面11,12の両面改質S1(上記改質工程及び脱水工程)を行った後、第3の真空チャンバVc3内で耐熱性樹脂フィルム1の被成膜面たる表面11に上記の如く各膜31,41,51を成膜する片面成膜S2を行った後、一旦、第4の真空チャンバVc4内で第2のローラR2に集電体21を巻き取る、巻取りS3を行う。巻取りS3の後、大気開放及び両面改質S1を行わずに、集電体21の基材である耐熱性樹脂フィルム1の被成膜面たる裏面12に、上記と同様にして片面成膜S2を行う。そして、第2のローラR2に巻き取る、巻取りS3を行った後、図1に示す第4の真空チャンバVc4内を大気開放して、第2合金膜51を大気に晒し、その一部を不動態にする不動態化S4(上記不動態化工程)を行う。こうして、耐熱性樹脂フィルム1の被成膜面たる表裏両面11,12に各膜31,41,51が順に成膜された集電体21を得る。尚、巻取りS3の後の再度の片面成膜S2は、図1に示す第3の真空チャンバVc3及び第4の真空チャンバVc4内での耐熱性樹脂フィルム1の搬送方向を反転させたり、又はオペレータが移送したりする等によって行うことができる。
図3の点線に示す実施形態は、実線で示す実施形態とは異なり、巻取りS3に先立ち、耐熱性樹脂フィルム1の被成膜面たる裏面12に片面成膜S5を行い、被処理面たる表裏両面11,12に各膜31,41,51を順に成膜する。この後、巻取りS3を行い、次いで、図1に示す第4の真空チャンバVc4内を大気開放して、集電体21の第2合金膜51を大気に晒して不動態化S4(上記不動態化工程)を行い、第2合金膜51を一部不動態にする。この場合、図1に示す第3の真空チャンバVc3の2つを隣接配置して併設したり、第3の真空チャンバVc3の構造を、耐熱性樹脂フィルム1の被成膜面たる表面11と裏面12とに連続的に成膜できるように変更したりすればよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術思想の範囲を逸脱しないものであれば、種々の変形が可能である。図1に示す真空処理装置VMは、本発明のリチウムイオン二次電池用負極の集電体の製造方法に用いられる真空処理装置の基本形態を例示したものである。第1〜第3の各成膜ゾーンDz1,Dz2,Dz3の構成及び構造、また、各成膜ゾーンDz1,Dz2,Dz3で行う第1合金膜31、銅膜41及び第2合金膜51の成膜条件等は適宜変更可能である。改質工程と脱水工程を第2の真空チャンバVc2内で同時に行わずに、別々のチャンバ内で個別に行うことも可能である。
上記実施形態では、第1〜第3の各成膜工程をスパッタリング法により行う場合を例に説明したが、蒸着法等の他のPVD法により行う場合にも本発明を適用することができる。
1…耐熱性樹脂フィルム、11…表面(被成膜面)、12…裏面(被成膜面)、2,21…集電体、3…ニッケル合金ターゲット、31…第1合金膜、4…銅ターゲット、41…銅膜、51…第2合金膜、Vc3…第3の真空チャンバ(真空チャンバ)、Dz1…第1の成膜ゾーン、Dz2…第2の成膜ゾーン、Dz3…第3の成膜ゾーン。

Claims (4)

  1. 銅膜を有するリチウムイオン二次電池用負極の集電体の製造方法において、
    耐熱性樹脂フィルムの被成膜面を改質処理する改質工程と、
    改質処理後の耐熱性樹脂フィルムの被成膜面にニッケル含有の第1合金膜を成膜する第1の成膜工程と、
    第1合金膜表面に銅膜を成膜する第2の成膜工程と、
    銅膜表面にニッケル含有の第2合金膜を成膜する第3の成膜工程とを含み、
    第1〜第3の各成膜工程をPVD法により行うことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極の集電体の製造方法。
  2. 前記第2合金膜を一部不動態にする不動態化工程を更に含むことを特徴とする請求項1記載のリチウムイオン二次電池用負極の集電体の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2記載のリチウムイオン二次電池用負極の集電体の製造方法の製造方法であって、第1〜第3の各成膜工程をスパッタリング法により行うものにおいて、
    真空チャンバ内で互いに雰囲気分離された、ニッケル合金ターゲットが設置される第1の成膜ゾーン、銅ターゲットが設置される第2の成膜ゾーン及びニッケル合金ターゲットが設置される第3の成膜ゾーンに前記耐熱性樹脂フィルムを連続して通過させて改質処理後の被成膜面に前記第1合金膜、前記銅膜及び前記第2合金膜を順に成膜することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極の集電体の製造方法。
  4. 前記第1〜第3の各成膜ゾーンにスパッタガスをそれぞれ導入して各ターゲットをスパッタリングするときの前記第1〜第3の各成膜ゾーンの全圧に対する水分圧の比が0.1%となるように、第1の成膜ゾーンに移送される前の前記耐熱性樹脂フィルムを脱水する脱水工程を更に含むことを特徴とする請求項3記載のリチウムイオン二次電池用負極の集電体の製造方法。
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