以下に、本発明に係る空気入りタイヤの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
以下の説明において、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤ1の回転軸(図示省略)と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向において回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向において回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、回転軸を中心軸とする周り方向をいう。また、タイヤ幅方向とは、回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面(タイヤ赤道線)CLに向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから離れる側をいう。タイヤ赤道面CLとは、空気入りタイヤ1の回転軸に直交すると共に、空気入りタイヤ1のタイヤ幅の中心を通る平面であり、タイヤ赤道面CLは、空気入りタイヤ1のタイヤ幅方向における中心位置であるタイヤ幅方向中心線と、タイヤ幅方向における位置が一致する。タイヤ幅は、タイヤ幅方向において最も外側に位置する部分同士のタイヤ幅方向における幅、つまり、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから最も離れている部分間の距離である。タイヤ赤道線とは、タイヤ赤道面CL上にあって空気入りタイヤ1のタイヤ周方向に沿う線をいう。
図1は、実施形態に係る空気入りタイヤ1のトレッド踏面3を示す平面図である。図1に示す空気入りタイヤ1は、タイヤ径方向の最も外側となる部分にトレッド部2が配設されており、トレッド部2の表面、即ち、当該空気入りタイヤ1を装着する車両(図示省略)の走行時に路面と接触する部分は、トレッド踏面3として形成されている。トレッド踏面3には、タイヤ周方向に延びる周方向主溝30と、タイヤ幅方向に延びるラグ溝40とが、それぞれ複数形成されている。トレッド踏面3には、これらの複数の周方向主溝30とラグ溝40とにより、複数の陸部10が区画されている。
詳しくは、周方向主溝30は、4本がタイヤ幅方向に並んで形成されており、タイヤ赤道面CLを挟んでタイヤ幅方向におけるタイヤ赤道面CLの両側に配設される2本の内側周方向主溝31と、2本の内側周方向主溝31のそれぞれのタイヤ幅方向外側に1本ずつ配設される2本の外側周方向主溝32と、が設けられている。このうち外側周方向主溝32は、複数の周方向主溝30のうちタイヤ幅方向において最も外側に配設される周方向主溝30になっている。また、ラグ溝40は、2本の内側周方向主溝31の間に配設されてタイヤ幅方向に延びるセンターラグ溝41と、タイヤ幅方向に隣り合う内側周方向主溝31と外側周方向主溝32との間に配設されてタイヤ幅方向に延びるミドルラグ溝42と、外側周方向主溝32のタイヤ幅方向外側に配設されてタイヤ幅方向に延びるショルダーラグ溝43と、が設けられている。
ここでいう周方向主溝30は、少なくとも一部がタイヤ周方向に延在する縦溝をいう。一般に周方向主溝30は、4mm以上の溝幅を有し、10mm以上の溝深さを有し、摩耗末期を示すトレッドウェアインジケータ(スリップサイン)を内部に有する。本実施形態では、周方向主溝30は、5mm以上の溝幅を有し、15mm以上の溝深さを有しており、タイヤ赤道面CLとトレッド踏面3とが交差するタイヤ赤道線(センターライン)と実質的に平行である。また、周方向主溝30のうち、内側周方向主溝31は、タイヤ周方向に延びつつタイヤ幅方向に繰り返し屈曲して形成されている。外側周方向主溝32については、タイヤ周方向に直線状に延在してもよく、波形状又はジグザグ状に形成されていてもよい。本実施形態では、外側周方向主溝32も内側周方向主溝31と同様に、タイヤ周方向に延びつつタイヤ幅方向に繰り返し屈曲して形成されている。
また、ラグ溝40は、溝幅が4mm以上10mm以下の範囲内になっており、溝深さが7mm以上15mm以下の範囲内になっている。本実施形態では、ラグ溝40は、タイヤ幅方向に延びつつ、タイヤ幅方向に対してタイヤ周方向に傾斜している。
さらに、トレッド踏面3には、周方向主溝30の溝幅やラグ溝40の溝幅より狭い溝幅でタイヤ周方向に延びる周方向細溝50が形成されている。具体的には、周方向細溝50は、2本の内側周方向主溝31の間に配設されるセンター細溝51と、外側周方向主溝32のタイヤ幅方向外側に配設されるショルダー細溝52とが設けられている。ここでいう周方向細溝50は、溝幅が1mm以上5mm以下の範囲内になっており、溝深さが7mm以上20mm以下の範囲内になっている。
これらのように形成される周方向細溝50のうち、センター細溝51は、2本の内側周方向主溝31の間の、タイヤ幅方向におけるほぼ中央付近に配設されており、タイヤ赤道面CL上、またはタイヤ赤道面CL上の近傍に位置している。このように形成されるセンター細溝51は、タイヤ周方向に直線状に延び、タイヤ周方向における両端が、センターラグ溝41に開口している。つまり、センター細溝51は、タイヤ周方向に隣り合うセンターラグ溝41同士の間でタイヤ周方向に延びて形成されており、両端がそれぞれセンターラグ溝41に開口している。
なお、センター細溝51は、厳密にタイヤ周方向に延びていなくてもよく、タイヤ周方向に対して僅かに傾斜していてもよい。センター細溝51は、タイヤ周方向に対して±2°以内で形成されるのが好ましい。
また、ショルダー細溝52は、外側周方向主溝32と、トレッド踏面3のタイヤ幅方向外側端であるデザインエンドEとの間の、タイヤ幅方向におけるほぼ中央付近に配設されている。ここでいうデザインエンドEは、トレッド部2のタイヤ幅方向最外側端をいい、トレッド部2において溝が形成されるタイヤ幅方向最外側端になっている。このように形成されるショルダー細溝52は、タイヤ周方向に延びつつ、タイヤ幅方向に繰り返し屈曲している。つまり、ショルダー細溝52は、タイヤ周方向に延びつつタイヤ幅方向に繰り返し屈曲するジグザグ状の形状で、タイヤ周方向に延びている。
また、外側周方向主溝32のタイヤ幅方向外側に配設されるショルダーラグ溝43は、ショルダー細溝52のタイヤ幅方向における両側にそれぞれ複数が配設されている。ショルダー細溝52のタイヤ幅方向両側に配設されるショルダーラグ溝43のうち、ショルダー細溝52のタイヤ幅方向内側に配設されるショルダーラグ溝43は、タイヤ幅方向内側の端部が外側周方向主溝32に開口し、タイヤ幅方向外側の端部がショルダー細溝52に開口している。また、ショルダー細溝52のタイヤ幅方向両側に配設されるショルダーラグ溝43のうち、ショルダー細溝52のタイヤ幅方向外側に配設されるショルダーラグ溝43は、タイヤ幅方向内側の端部がショルダー細溝52に開口し、タイヤ幅方向外側の端部がデザインエンドEで開口している。つまり、ショルダー細溝52のタイヤ幅方向両側に配設されるショルダーラグ溝43は、いずれも一端がショルダー細溝52に開口し、ショルダーラグ溝43におけるショルダー細溝52に開口する側の端部の反対側の端部は、ショルダー細溝52のタイヤ幅方向両側に配設されるショルダーラグ溝43同士で異なる位置に開口している。このように、ショルダーラグ溝43は、ショルダー細溝52のタイヤ幅方向における内側と外側で、異なるショルダーラグ溝43が配設されている。
トレッド踏面3には、複数の周方向主溝30とラグ溝40と周方向細溝50とにより、複数の陸部10が形成されており、陸部10は、センターブロック11と、ミドルブロック12と、ショルダー陸部13とを有している。このうち、センターブロック11は、2本の内側周方向主溝31の間に位置し、2本の内側周方向主溝31とセンターラグ溝41とにより区画される陸部10になっている。また、ミドルブロック12は、タイヤ幅方向に隣り合う内側周方向主溝31と外側周方向主溝32との間に位置し、隣り合う内側周方向主溝31と外側周方向主溝32とミドルラグ溝42とにより区画される陸部10になっている。また、ショルダー陸部13は、外側周方向主溝32のタイヤ幅方向外側に位置し、外側周方向主溝32とショルダーラグ溝43とにより区画される陸部10になっている。これらのように陸部10を区画するセンターラグ溝41とミドルラグ溝42とショルダーラグ溝43とは、本実施形態では、いずれもタイヤ幅方向に対してタイヤ周方向に傾斜している。
トレッド踏面3に形成される複数の陸部10のうち、センターブロック11は、センター細溝51によりタイヤ幅方向に分断されており、センター細溝51のタイヤ幅方向両側に配置される2つのセンター小ブロック11aをそれぞれ有している。詳しくは、各センター小ブロック11aは、タイヤ周方向における両側がセンターラグ溝41により区画され、タイヤ幅方向における外側が内側周方向主溝31により区画され、タイヤ幅方向における内側がセンター細溝51により区画されている。センターブロック11は、このようにセンターラグ溝41と内側周方向主溝31とセンター細溝51によって区画される複数のセンター小ブロック11aがタイヤ周方向に並ぶセンター小ブロック列21を、センター細溝51のタイヤ幅方向両側にそれぞれ有している。
換言すると、センター小ブロック11aは、センター細溝51のタイヤ幅方向両側にそれぞれ複数が配置され、センターブロック11は、センター細溝51のタイヤ幅方向両側で、それぞれ複数のセンター小ブロック11aがタイヤ周方向に並んで配置されることにより、センター細溝51のタイヤ幅方向両側にセンター小ブロック列21を有している。その際に、センター小ブロック11aを区画するセンターラグ溝41は、両端が内側周方向主溝31に開口しているため、センターラグ溝41は、センター細溝51のタイヤ幅方向両側のセンター小ブロック列21におけるセンター小ブロック11aのタイヤ周方向の端部を、1つのセンターラグ溝41によって区画している。換言すると、タイヤ周方向における位置が同じ位置でセンター細溝51のタイヤ幅方向両側に位置する2つのセンター小ブロック11aの、タイヤ周方向における同じ側の端部を区画するセンターラグ溝41は、一方のセンター小ブロック11a側から他方のセンター小ブロック11a側にかけて連続して形成されている。
また、ミドルブロック12は、センターブロック11とショルダー陸部13との間に複数が配設されており、タイヤ周方向における両側がミドルラグ溝42により区画され、タイヤ幅方向における内側が内側周方向主溝31により区画され、タイヤ幅方向における外側が外側周方向主溝32により区画されている。このように形成されるミドルブロック12は、複数がタイヤ周方向に並んでおり、センターブロック11とショルダー陸部13との間には、タイヤ周方向に並ぶ複数のミドルブロック12によってミドルブロック列22が形成されている。
また、ショルダー陸部13は、ショルダー細溝52によりタイヤ幅方向に分断されており、ショルダー細溝52のタイヤ幅方向における両側に、タイヤ周方向における両側がショルダーラグ溝43により区画されるショルダー小ブロック13aを、それぞれ複数有している。このうち、ショルダー細溝52のタイヤ幅方向内側に位置するショルダー小ブロック13aは、タイヤ周方向における両側がショルダーラグ溝43により区画され、タイヤ幅方向における内側が外側周方向主溝32により区画され、タイヤ幅方向における外側がショルダー細溝52により区画されている。また、ショルダー細溝52のタイヤ幅方向外側に位置するショルダー小ブロック13aは、タイヤ周方向における両側がショルダーラグ溝43により区画され、タイヤ幅方向における内側がショルダー細溝52により区画され、タイヤ幅方向における外側がデザインエンドEにより区画されている。ショルダー陸部13は、このように区画される複数のショルダー小ブロック13aがタイヤ周方向に並ぶショルダー小ブロック列23を、ショルダー細溝52のタイヤ幅方向両側にそれぞれ有している。
換言すると、ショルダー小ブロック13aは、ショルダー細溝52のタイヤ幅方向両側にそれぞれ複数が配置され、ショルダー陸部13は、ショルダー細溝52のタイヤ幅方向両側で、それぞれ複数のショルダー小ブロック13aがタイヤ周方向に並んで配置されることにより、ショルダー細溝52のタイヤ幅方向両側にショルダー小ブロック列23を有している。その際に、ショルダー小ブロック13aを区画するショルダーラグ溝43は、ショルダー細溝52のタイヤ幅方向両側で、異なるショルダーラグ溝43が配設されている。このため、ショルダーラグ溝43は、ショルダー細溝52のタイヤ幅方向両側のショルダー小ブロック列23におけるショルダー小ブロック13aのタイヤ周方向の端部を、異なるショルダーラグ溝43によって区画している。
また、トレッド踏面3に形成される各陸部10には、それぞれ複数のサイプ70が形成されている。即ち、センター小ブロック11aとミドルブロック12とショルダー小ブロック13aとには、それぞれ複数のサイプ70が形成されている。
なお、ここでいうサイプ70は、トレッド踏面3に細溝状に形成されるものであり、空気入りタイヤ1を正規リムにリム組みし、正規内圧の内圧条件で、無負荷時には細溝を構成する壁面同士が接触しないが、平板上で垂直方向に負荷させたときの平板上に形成される接地面の部分に細溝が位置する際、または細溝が形成される陸部の倒れ込み時には、当該細溝を構成する壁面同士、或いは壁面に設けられる部位の少なくとも一部が、陸部10の変形によって互いに接触するものをいう。正規リムとは、JATMAで規定する「標準リム」、TRAで規定する「Design Rim」、或いは、ETRTOで規定する「Measuring Rim」である。また、正規内圧とは、JATMAで規定する「最高空気圧」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、或いはETRTOで規定する「INFLATION PRESSURES」である。本実施形態では、サイプ70は、幅が1mm未満の範囲内になっており、深さが7mm以上12mm以下の範囲内になっている。
これらのように形成されるサイプ70は、1つのブロック当たりのサイプ70の数を比較すると、センター小ブロック11aと、ミドルブロック12と、ショルダー小ブロック13aとには、それぞれ同じ本数のサイプ70が配置されている。また、サイプ70は、タイヤ幅方向における端部が周方向主溝30または周方向細溝50に開口するオープンサイプ71と、タイヤ幅方向における端部が陸部10内で終端するクローズドサイプ72とを有している。また、これらのサイプ70は、サイプ70が形成される陸部10を区画するラグ溝40の延在方向に対して略平行にタイヤ幅方向に延びつつ、タイヤ周方向に繰り返し屈曲して形成されている。
詳しくは、センター小ブロック11aとミドルブロック12とには、それぞれオープンサイプ71が2本配置されている。また、センター小ブロック11aには、オープンサイプ71とセンターラグ溝41との間にクローズドサイプ72が1本配置され、ミドルブロック12には、オープンサイプ71とミドルラグ溝42との間にクローズドサイプ72が1本配置されている。つまり、センター小ブロック11aには、2本のオープンサイプ71がタイヤ周方向に並んでおり、それぞれのオープンサイプ71とセンターラグ溝41との間に、クローズドサイプ72が1本ずつ配置されている。同様に、ミドルブロック12には、2本のオープンサイプ71がタイヤ周方向に並んでおり、それぞれのオープンサイプ71とミドルラグ溝42との間に、クローズドサイプ72が1本ずつ配置されている。
これに対し、ショルダー小ブロック13aには、ショルダー細溝52のタイヤ幅方向両側に位置するいずれのショルダー小ブロック13aにおいても、それぞれ4本のクローズドサイプ72がタイヤ周方向に並んで配置されている。このように、ショルダー小ブロック13aには、クローズドサイプ72が4本配置され、センター小ブロック11aとミドルブロック12とには、それぞれオープンサイプ71が2本とクローズドサイプ72が2本との合計4本のサイプ70が配置されている。このため、センター小ブロック11aとミドルブロック12とショルダー小ブロック13aとには、それぞれ同じ本数のサイプ70が配置されている。
図2は、図1に示すセンターブロック11の詳細図である。なお、図2〜図11では、陸部10の形状を説明するために、便宜上サイプ70の図示を省略している。2本の内側周方向主溝31同士の間に配設されるセンターラグ溝41は、タイヤ幅方向における両端がそれぞれ異なる内側周方向主溝31に開口している。また、センターラグ溝41は、タイヤ幅方向に延びつつ、複数の箇所でタイヤ周方向に屈曲して形成されており、即ち、センターラグ溝41は、タイヤ幅方向に対するタイヤ周方向への角度が変化する部分である屈曲部45を、2箇所以上有している。
本実施形態では、屈曲部45は、1つのセンターラグ溝41に対して2箇所に形成されている。2箇所の屈曲部45は、センターラグ溝41に沿って一方の内側周方向主溝31側から他方の内側周方向主溝31側に向かった際における屈曲の方向が互いに反対方向になっており、これによりセンターラグ溝41は、クランク状の形状で形成されている。また、クランク状の形状で形成されるセンターラグ溝41は、2箇所の屈曲部45から、内側周方向主溝31に向かって延びる部分のそれぞれが、タイヤ幅方向に対して傾斜しており、傾斜の方向と傾斜の角度は、屈曲部45から内側周方向主溝31に向かって延びる2箇所の部分で、互いに同じ方向と角度になっている。2本の内側周方向主溝31同士の間に配設される複数のセンターラグ溝41は、全て同等の形状で形成されている。
タイヤ周方向における端部がセンターラグ溝41に開口するセンター細溝51は、センターラグ溝41の屈曲部45に対して開口している。センターラグ溝41は2箇所の屈曲部45を有し、センター細溝51は、センターラグ溝41の屈曲部45に対して開口しているため、センター細溝51のタイヤ幅方向両側に位置するセンター小ブロック11a同士は、タイヤ周方向に互いにオフセットして配設されている。つまり、センター小ブロック11aを区画するセンターラグ溝41は、クランク状の形状で形成されているため、センターラグ溝41における屈曲部45のタイヤ幅方向両側で、タイヤ周方向における位置が異なっている。センター細溝51は、このようにクランク状の形状で形成されるセンターラグ溝41の屈曲部45に対して開口しているため、センターラグ溝41が、屈曲部45のタイヤ幅方向両側でタイヤ周方向の位置が異なっているのに伴い、センター細溝51のタイヤ幅方向における両側に位置するセンター小ブロック11a同士も、センターラグ溝41と同様に、タイヤ周方向における位置が異なっている。これにより、センター細溝51のタイヤ幅方向両側に位置するセンター小ブロック11a同士は、タイヤ周方向にずらして配置されている。
図3は、図1のA部詳細図である。内側周方向主溝31を介して隣り合うセンターブロック11とミドルブロック12とは、タイヤ周方向における位置が異なっている。つまり、センターブロック11を区画するセンターラグ溝41が内側周方向主溝31に開口する位置と、ミドルブロック12を区画するミドルラグ溝42が内側周方向主溝31に開口する位置とは、タイヤ周方向における位置が異なっている。このため、例えば、センターラグ溝41は、タイヤ周方向に隣り合う2本のミドルラグ溝42が内側周方向主溝31に開口する位置同士の間の位置で、内側周方向主溝31に対して開口している。同様に、ミドルラグ溝42は、タイヤ周方向に隣り合う2本のセンターラグ溝41が内側周方向主溝31に開口する位置同士の間の位置で、内側周方向主溝31に対して開口している。
また、センターブロック11とミドルブロック12とは、内側周方向主溝31がタイヤ周方向に延びつつタイヤ幅方向に繰り返し屈曲していることにより、内側周方向主溝31により区画されるエッジ部60が、ステップ形状でそれぞれ形成されている。詳しくは、センターブロック11とミドルブロック12とは、内側周方向主溝31により区画されるエッジ部60が、それぞれタイヤ周方向に延びる第1周方向部61と第2周方向部62とを有している。即ち、センターブロック11及びミドルブロック12の第1周方向部61と第2周方向部62とは、いずれも実質的にタイヤ赤道面CLに平行に形成されている。
なお、第1周方向部61と第2周方向部62とは、厳密にタイヤ周方向に延びていなくてもよく、タイヤ周方向に対して僅かに傾斜していてもよい。第1周方向部61と第2周方向部62とは、タイヤ周方向に対して±2°以内で形成されるのが好ましい。
第1周方向部61と第2周方向部62とのうち、第1周方向部61は、タイヤ周方向における位置が第2周方向部62とは異なる位置でタイヤ周方向に延びると共に、第2周方向部62に対して内側周方向主溝31側にオフセットされている。つまり、第1周方向部61は、第2周方向部62よりも、内側周方向主溝31の溝幅の中心側、或いは、内側周方向主溝31における第1周方向部61や第2周方向部62が位置する側の溝壁に対向する溝壁側に位置している。または、第1周方向部61は、第2周方向部62よりも、当該第1周方向部61を有するブロックのタイヤ幅方向における中心が位置する側の反対側に位置している。これにより、第1周方向部61と第2周方向部62とを有するセンターブロック11とミドルブロック12のエッジ部60は、いずれもタイヤ周方向に延びつつ、タイヤ幅方向における位置が変化するステップ形状で形成されている。
センターブロック11は、このように、内側周方向主溝31によって区画されるエッジ部60がステップ形状で形成されることにより、内側周方向主溝31によって区画される部分に、タイヤ幅方向外側に突出する凸部14が形成されている。即ち、センターブロック11は、内側周方向主溝31によって区画されるエッジ部60の第1周方向部61が第2周方向部62に対してオフセットされることにより、タイヤ幅方向外側に突出する凸部14が形成され、第1周方向部61は凸部14のエッジ部60を構成している。同様に、ミドルブロック12は、内側周方向主溝31によって区画されるエッジ部60がステップ形状で形成されることにより、内側周方向主溝31によって区画される部分に、タイヤ幅方向内側に突出する凸部15が形成されている。即ち、ミドルブロック12は、内側周方向主溝31によって区画されるエッジ部60の第1周方向部61が第2周方向部62に対してオフセットされることにより、タイヤ幅方向内側に突出する凸部15が形成され、第1周方向部61は凸部15のエッジ部60を構成している。
また、センターブロック11における内側周方向主溝31によって区画されるエッジ部60の第1周方向部61と、ミドルブロック12におけるにおける内側周方向主溝31によって区画されるエッジ部60の第1周方向部61とは、それぞれのブロックのエッジ部60の第2周方向部62に対して、タイヤ周方向における位置が同じ側に配置されている。さらに、センターラグ溝41とミドルラグ溝42は、内側周方向主溝31に対してタイヤ周方向において異なる位置に開口している。このため、センターブロック11のエッジ部60の第1周方向部61と、ミドルブロック12のエッジ部60の第1周方向部61とも、タイヤ周方向における位置が異なっている。これにより、センターブロック11のエッジ部60の第1周方向部61は、概ねミドルブロック12のエッジ部60の第2周方向部62に対向しており、ミドルブロック12のエッジ部60の第1周方向部61は、概ねセンターブロック11のエッジ部60の第2周方向部62に対向している。即ち、センターブロック11の凸部14は、概ねミドルブロック12のエッジ部60の第2周方向部62に対向しており、ミドルブロック12の凸部15は、概ねセンターブロック11のエッジ部60の第2周方向部62に対向している。
図4は、図3のB部詳細図である。センターブロック11には、凸部14が形成され、ミドルブロック12には凸部15が形成されているが、センターブロック11の凸部14の面積である凸部面積Scと、ミドルブロック12の凸部15の面積である凸部面積Smとは、Sc>Smの関係になっている。この場合におけるセンターブロック11の凸部面積Scは、センターブロック11における、第2周方向部62をタイヤ周方向における第1周方向部61側に延長した仮想線Vcと第1周方向部61とにより区画される面積になっている。つまり、センターブロック11の凸部面積Scは、第2周方向部62を凸部14側に延長した仮想線Vcと凸部14とにより区画される面積になっている。また、ミドルブロック12の凸部面積Smは、ミドルブロック12における、第2周方向部62をタイヤ周方向における第1周方向部61側に延長した仮想線Vmと第1周方向部61とにより区画される面積になっている。つまり、ミドルブロック12の凸部面積Smは、第2周方向部62を凸部15側に延長した仮想線Vmと凸部15とにより区画される面積になっている。
なお、センターブロック11の凸部面積Scとミドルブロック12の凸部面積Smとの関係は、1.05≦(Sc/Sm)≦1.15の範囲内であるのが好ましい。
図5は、図1のA部詳細図であり、センター小ブロック11aとミドルブロック12の凸部14、15に関する寸法についての説明図である。センターブロック11とミドルブロック12とは、センターブロック11のエッジ部60が有する第1周方向部61と第2周方向部62とのタイヤ幅方向におけるオフセット量Dcと、ミドルブロック12のエッジ部60が有する第1周方向部61と第2周方向部62とのタイヤ幅方向におけるオフセット量Dmとの関係が、0.95≦(Dc/Dm)≦1.05の範囲内になっている。つまり、センターブロック11の第1周方向部61と第2周方向部62とのオフセット量Dcと、ミドルブロック12の第1周方向部61と第2周方向部62とのオフセット量Dmとは、同程度の大きさになっている。換言すると、センター小ブロック11aの凸部14の突出量と、ミドルブロック12の凸部15の突出量とは、同程度の大きさになっている。
また、センターブロック11のエッジ部60が有する第1周方向部61のタイヤ周方向における長さLc1と、ミドルブロック12のエッジ部60が有する第1周方向部61のタイヤ周方向における長さLm1との関係が、Lc1>Lm1になっている。なお、センターブロック11の第1周方向部61のタイヤ周方向における長さLc1と、ミドルブロック12の第1周方向部61のタイヤ周方向における長さLm1との関係は、1.1≦(Lc1/Lm1)≦1.4の範囲内であるのが好ましい。また、センターブロック11やミドルブロック12の第1周方向部61は、センターブロック11やミドルブロック12の第2周方向部62に対してオフセットされているため、それぞれのブロックの第1周方向部61と第2周方向部62との間には、タイヤ周方向に対して傾斜して第1周方向部61と第2周方向部62とを接続する部分を有しているが、センターブロック11の第1周方向部61の長さLc1やミドルブロック12の第1周方向部61の長さLm1は、このように第1周方向部61と第2周方向部62とを接続する部分を含まない長さになっている。
また、センターブロック11は、第1周方向部61のタイヤ周方向における長さLc1と、第2周方向部62のタイヤ周方向における長さLc2との関係が、0.6≦(Lc1/Lc2)≦0.8の範囲内になっている。また、ミドルブロック12は、第1周方向部61のタイヤ周方向における長さLm1と、第2周方向部62のタイヤ周方向における長さLm2との関係が、0.5≦(Lm1/Lm2)≦0.7の範囲内になっている。
なお、センターブロック11の第1周方向部61の長さLc1と第2周方向部62の長さLc2との関係は、0.65≦(Lc1/Lc2)≦0.75の範囲内であるのが好ましく、ミドルブロック12の第1周方向部61の長さLm1と第2周方向部62の長さLm2との関係は、0.55≦(Lm1/Lm2)≦0.65の範囲内であるのが好ましい。また、この場合におけるセンターブロック11の第2周方向部62の長さLc2やミドルブロック12の第2周方向部62の長さLm2は、センターブロック11の第1周方向部61の長さLc1やミドルブロック12の第1周方向部61の長さLm1と同様に、第1周方向部61と第2周方向部62とを接続する部分を含まない長さになっている。
また、センターブロック11は、第1周方向部61のタイヤ周方向における長さLc1と、センターブロック11が有するセンター小ブロック11aのタイヤ周方向における最大長さLcとの関係が、0.2≦(Lc1/Lc)≦0.4の範囲内になっている。また、ミドルブロック12は、第1周方向部61のタイヤ周方向における長さLm1と、ミドルブロック12のタイヤ周方向における最大長さLmとの関係が、0.15≦(Lm1/Lm)≦0.35の範囲内になっている。
なお、センターブロック11の第1周方向部61の長さLc1とセンター小ブロック11aの最大長さLcとの関係は、0.25≦(Lc1/Lc)≦0.35の範囲内であるのが好ましく、ミドルブロック12の第1周方向部61の長さLm1とミドルブロック12の最大長さLmとの関係は、0.2≦(Lm1/Lm)≦0.3の範囲内であるのが好ましい。
また、センターブロック11は、第1周方向部61と第2周方向部62とのタイヤ幅方向におけるオフセット量Dcと、センター小ブロック11aのタイヤ幅方向における最大幅Wcとの関係が、0.05≦(Dc/Wc)≦0.15の範囲内になっている。また、ミドルブロック12は、第1周方向部61と第2周方向部62とのタイヤ幅方向におけるオフセット量Dmと、ミドルブロック12のタイヤ幅方向における最大幅Wmとの関係が、0.05≦(Dm/Wm)≦0.15の範囲内になっている。
なお、センターブロック11の第1周方向部61と第2周方向部62とのオフセット量Dcと、センター小ブロック11aの最大幅Wcとの関係は、0.08≦(Dc/Wc)≦0.12の範囲内であるのが好ましく、また、ミドルブロック12の第1周方向部61と第2周方向部62とのオフセット量Dmと、ミドルブロック12の最大幅Wmとの関係は、0.08≦(Dm/Wm)≦0.12の範囲内であるのが好ましい。
図6は、図1のA部詳細図であり、センター小ブロック11aとミドルブロック12のラグ溝40に関する寸法についての説明図である。センターブロック11は、センターラグ溝41により区画されるエッジ部60における、第1周方向部61との交差部に、タイヤ幅方向に延びる幅方向延在部66を有している。つまり、センターラグ溝41は、タイヤ幅方向に対して傾斜して形成されているため、センターブロック11におけるセンターラグ溝41により区画されるエッジ部60においても、センターラグ溝41がタイヤ幅方向に対して傾斜する部分では、タイヤ幅方向に対してタイヤ周方向に傾斜している。センターラグ溝41の傾斜の方向は、センターラグ溝41の溝幅方向における両側のエッジ部60のうち、第1周方向部61に接続される側のエッジ部60と、第1周方向部61との相対角度が、鋭角になる向きで傾斜している。このように形成される、センターブロック11におけるセンターラグ溝41により区画されるエッジ部60のうち、第1周方向部61寄りの部分は、タイヤ幅方向に延びて形成される幅方向延在部66になっており、センターブロック11におけるセンターラグ溝41により区画されるエッジ部60は、幅方向延在部66が第1周方向部61に接続されている。センターブロック11におけるセンターラグ溝41により区画されるエッジ部60は、このように第1周方向部61との交差部に、タイヤ幅方向に延びる幅方向延在部66を有している。
また、ミドルブロック12は、ミドルラグ溝42により区画されるエッジ部60における第1周方向部61との交差部に、タイヤ幅方向とタイヤ周方向とに対して傾斜する傾斜部67を有している。詳しくは、ミドルラグ溝42は、タイヤ幅方向に延びつつ、タイヤ幅方向に対してタイヤ周方向に傾斜しているが、その方向は、ミドルラグ溝42の溝幅方向における両側のエッジ部60のうち、第1周方向部61に接続される側のエッジ部60と、第1周方向部61との相対角度が、鋭角になる向きで傾斜している。このように、第1周方向部61に接続される側のミドルラグ溝42のエッジ部60は、第1周方向部61寄りの部分で屈曲しており、屈曲する部分と第1周方向部61との間の部分が、タイヤ幅方向とタイヤ周方向とに対して傾斜する傾斜部67になっている。タイヤ幅方向に対するタイヤ周方向への傾斜部67の傾斜方向は、第1周方向部61に接続される側のミドルラグ溝42のエッジ部60の傾斜部67以外の部分における、タイヤ幅方向に対するタイヤ周方向への傾斜方向の反対方向になっている。このため、ミドルブロック12の第1周方向部61と傾斜部67との相対角度は、鈍角になっている。ミドルブロック12におけるミドルラグ溝42により区画されるエッジ部60は、このように第1周方向部61との交差部に、タイヤ幅方向とタイヤ周方向とに対して傾斜し、第1周方向部61との相対角度が鈍角になる傾斜部67を有している。
幅方向延在部66を有するセンターブロック11と、傾斜部67を有するミドルブロック12とは、センターブロック11の第1周方向部61と幅方向延在部66との角度θcと、ミドルブロック12の第1周方向部61と傾斜部67との角度θmとが、θc<θmの関係になっている。なお、センターブロック11の第1周方向部61と幅方向延在部66との角度θcと、ミドルブロック12の第1周方向部61と傾斜部67との角度θmとの関係は、0.5≦(θc/θm)≦0.8の範囲内であるのが好ましい。また、センターブロック11の第1周方向部61と幅方向延在部66との角度θcは、85°以上95°以下の範囲内であるのが好ましい。
また、センターブロック11を区画するセンターラグ溝41と、センターブロック11とは、センターラグ溝41の溝幅Lwcと、センターラグ溝41を介してタイヤ周方向に隣り合うセンターブロック11同士のタイヤ周方向におけるピッチPcとの関係が、0.05≦(Lwc/Pc)≦0.35の範囲内になっている。この場合におけるセンターラグ溝41の溝幅Lwcは、センターラグ溝41における幅方向延在部66以外の部分での、センターラグ溝41の対向する溝壁同士の最大幅になっている。また、センターラグ溝41を介してタイヤ周方向に隣り合うセンターブロック11同士のタイヤ周方向におけるピッチPcは、換言すると、センターラグ溝41を介してタイヤ周方向に隣り合うセンター小ブロック11a同士のタイヤ周方向におけるピッチPcになっている。また、センターラグ溝41の溝幅Lwcと、センターブロック11のタイヤ周方向におけるピッチPcとの関係が、0.15≦(Lwc/Pc)≦0.25の範囲内であるのが好ましい。
図7は、図1に示す陸部10の幅についての説明図である。センターブロック11とミドルブロック12とは、センターブロック11のタイヤ幅方向における最大幅Wcwと、ミドルブロック12のタイヤ幅方向における最大幅Wmとの関係が、0.4≦(Wm/Wcw)≦0.6の範囲内になっている。また、センターブロック11とショルダー陸部13とは、センターブロック11のタイヤ幅方向における最大幅Wcwと、ショルダー陸部13のタイヤ幅方向における最大幅Wswとの関係が、0.8≦(Wsw/Wcw)≦1.0の範囲内になっている。
また、ミドルブロック12とショルダー陸部13とは、外側周方向主溝32がタイヤ周方向に延びつつタイヤ幅方向に繰り返し屈曲していることにより、外側周方向主溝32により区画されるエッジ部60が、ステップ形状でそれぞれ形成されている。このため、ミドルブロック12には、外側周方向主溝32によって区画される部分に、タイヤ幅方向外側に突出する凸部16が形成されており、ショルダー陸部13には、外側周方向主溝32によって区画される部分に、タイヤ幅方向内側に突出する凸部17が形成されている。
本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、用途が重荷重用空気入りタイヤになっている。この空気入りタイヤ1を車両に装着する際には、リムホイールにリム組みしてインフレートした状態で車両に装着する。リムホイールにリム組みした状態の空気入りタイヤ1は、例えばトラックやバス等の大型の車両に装着して使用される。
空気入りタイヤ1を装着した車両が走行すると、トレッド踏面3のうち下方に位置するトレッド踏面3が路面に接触しながら空気入りタイヤ1は回転する。空気入りタイヤ1を装着した車両で乾燥した路面を走行する場合には、主にトレッド踏面3と路面との間の摩擦力により、駆動力や制動力を路面に伝達したり、旋回力を発生させたりすることにより走行する。また、濡れた路面を走行する際には、トレッド踏面3と路面との間の水が周方向主溝30やラグ溝40等に入り込み、これらの溝でトレッド踏面3と路面との間の水を排水しながら走行する。これにより、トレッド踏面3は路面に接地し易くなり、トレッド踏面3と路面との間の摩擦力により、車両は走行することが可能になる。
また、雪上路面を走行する際には、空気入りタイヤ1は路面上の雪をトレッド踏面3で押し固めると共に、路面上の雪が周方向主溝30やラグ溝40に入り込むことにより、これらの雪も溝内で押し固める状態になる。この状態で、空気入りタイヤ1に駆動力や制動力が作用したり、車両の旋回によってタイヤ幅方向への力が作用したりすることにより、溝内の雪に対して作用するせん断力である、いわゆる雪柱せん断力が空気入りタイヤ1と雪との間で発生する。雪上路面を走行する際には、この雪柱せん断力によって空気入りタイヤ1と路面との間で抵抗が発生することにより、駆動力や制動力を路面に伝達することができ、スノートラクション性を確保することができるため、車両は雪上路面での走行が可能になる。
また、周方向主溝30が、タイヤ周方向に延びつつタイヤ幅方向に繰り返し屈曲することにより、各陸部10における周方向主溝30によって区画される部分には、タイヤ幅方向に突出する凸部14、15、16、17が形成されている。これにより、各陸部10は、エッジ成分を増加させることができ、スノートラクション性をさらに向上させることができる。例えば、センターブロック11とミドルブロック12との内側周方向主溝31により区画されるエッジ部60が、それぞれステップ形状で形成されることにより、センターブロック11とミドルブロック12とにおける内側周方向主溝31により区画される部分には、それぞれ凸部14、15が形成される。これにより、センターブロック11とミドルブロック12とは、エッジ成分を増加させることができ、スノートラクション性を向上させることができる。
一方で、陸部10に、タイヤ幅方向に突出する凸部を形成した場合は、周方向主溝30で排水をする際に、周方向主溝30を流れる水の流れが阻害され、排水性が低下し易くなる虞がある。これに対し、本実施形態に係る空気入りタイヤ1では、センターブロック11の凸部14の凸部面積Scと、ミドルブロック12の凸部15の凸部面積Smとが、Sc>Smの関係になっている。これにより、内側周方向主溝31は、凸部面積Scが大きいセンターブロック11の凸部14によってスノートラクション性を向上させつつ、ミドルブロック12の凸部15の凸部面積Smが小さいことにより、内側周方向主溝31での排水性の低下を抑制することができる。従って、濡れた路面を走行する際における排水性を確保することができるため、濡れた路面の走行時におけるトレッド踏面3の接地性を確保することができ、濡れた路面でのグリップ性であるウェットグリップ性を確保することができる。これらの結果、スノートラクション性とウェットグリップ性とを両立することができる。
また、センターブロック11は、センター細溝51によりタイヤ幅方向に分断されるため、センター細溝51によって排水性を確保することができる。これにより、内側周方向主溝31により区画されるエッジ部60をステップ形状に形成してスノートラクション性を確保する際における排水性を、センター細溝51によって確保することができる。この結果、より確実にスノートラクション性とウェットグリップ性とを両立することができる。
また、センター細溝51は、タイヤ周方向に直線状に延び、溝幅が1mm以上5mm以下の範囲内であるため、センターブロック11の剛性の低下を抑えつつ、センター細溝51内を水が流れ易くすることができる。これにより、センター細溝51による排水性を、より確実に確保することができる。この結果、より確実にウェットグリップ性を向上させることができる。
また、センターブロック11の第1周方向部61の長さLc1と、センター小ブロック11aの最大長さLcとの関係が、0.2≦(Lc1/Lc)≦0.4の範囲内であり、また、ミドルブロック12の第1周方向部61の長さLm1と、ミドルブロック12の最大長さLmとの関係が、0.15≦(Lm1/Lm)≦0.35の範囲内であるため、より確実にスノートラクション性とウェットグリップ性とを両立することができる。つまり、(Lc1/Lc)<0.2であったり、(Lm1/Lm)<0.15であったりする場合は、センターブロック11の第1周方向部61の長さLc1やミドルブロック12の第1周方向部61の長さLm1が短過ぎる虞がある。この場合、センターブロック11の凸部14やミドルブロック12の凸部15の体積が小さくなり、凸部14、15の剛性を確保し難くなるため、センターブロック11やミドルブロック12の接地時におけるグリップ性が低下し易くなる虞がある。また、(Lc1/Lc)>0.4であったり、(Lm1/Lm)>0.35であったりする場合は、センターブロック11の第1周方向部61の長さLc1やミドルブロック12の第1周方向部61の長さLm1が長過ぎる虞がある。この場合、内側周方向主溝31の容積を確保し難くなる虞があり、内側周方向主溝31に入り込むことができる雪の量や水の量が少なくなるため、スノートラクション性やウェットグリップ性を効果的に確保し難くなる虞がある。
これに対し、0.2≦(Lc1/Lc)≦0.4の範囲内で、0.15≦(Lm1/Lm)≦0.35の範囲内である場合は、センターブロック11の凸部14やミドルブロック12の凸部15の体積が小さくなり過ぎることを抑制しつつ、内側周方向主溝31の容積を確保することができる。これにより、より確実に凸部14、15の剛性を確保しつつ、より多くの雪や水を内側周方向主溝31に入り込ませることができる。この結果、より確実にスノートラクション性とウェットグリップ性とを両立することができる。
また、センターブロック11の第1周方向部61と第2周方向部62とのオフセット量Dcと、センター小ブロック11aの最大幅Wcとの関係が、0.05≦(Dc/Wc)≦0.15の範囲内であり、ミドルブロック12の第1周方向部61と第2周方向部62とのオフセット量Dmと、ミドルブロック12の最大幅Wmとの関係が、0.05≦(Dm/Wm)≦0.15の範囲内であるため、より確実にスノートラクション性とウェットグリップ性とを両立することができる。つまり、(Dc/Wc)<0.05であったり、(Dm/Wm)<0.05であったりする場合は、センターブロック11の第1周方向部61と第2周方向部62とのオフセット量Dcや、ミドルブロック12の第1周方向部61と第2周方向部62とのオフセット量Dmが小さ過ぎるため、センターブロック11やミドルブロック12に凸部14、15を形成しても、スノートラクション性を効果的に確保し難くなる虞がある。また、(Dc/Wc)>0.15であったり、(Dm/Wm)>0.15であったりする場合は、センターブロック11の第1周方向部61と第2周方向部62とのオフセット量Dcや、ミドルブロック12の第1周方向部61と第2周方向部62とのオフセット量Dmが大き過ぎるため、内側周方向主溝31の容積を確保し難くなる虞がある。この場合、内側周方向主溝31に入り込むことができる雪の量や水の量が少なくなるため、スノートラクション性やウェットグリップ性を効果的に確保し難くなる虞がある。
これに対し、0.05≦(Dc/Wc)≦0.15の範囲内であり、0.05≦(Dm/Wm)≦0.15の範囲内である場合は、センターブロック11の第1周方向部61と第2周方向部62とのオフセット量Dcや、ミドルブロック12の第1周方向部61と第2周方向部62とのオフセット量Dmが小さくなり過ぎることを抑制しつつ、内側周方向主溝31の容積を確保することができる。これにより、凸部14、15によってスノートラクション性を効果的に確保しつつ、より多くの雪や水を内側周方向主溝31に入り込ませることができる。この結果、より確実にスノートラクション性とウェットグリップ性とを両立することができる。
また、センターラグ溝41は、2箇所以上の屈曲部45を有するため、センター小ブロック11aとセンターラグ溝41とは、複数の方向に対する雪柱せん断力を確保することができる。この結果、より確実にスノートラクション性を向上させることができる。
また、センターブロック11の第1周方向部61と第2周方向部62とのオフセット量Dcと、ミドルブロック12の第1周方向部61と第2周方向部62とのオフセット量Dmとの関係が、0.95≦(Dc/Dm)≦1.05の範囲内であるため、より確実にスノートラクション性とウェットグリップ性とを両立することができる。つまり、(Dc/Dm)<0.95であったり、(Dc/Dm)>1.05であったりする場合は、センターブロック11のオフセット量Dcとミドルブロック12のオフセット量Dmとの差が大きくなり過ぎる虞がある。この場合、第1周方向部61と第2周方向部62とのオフセット量が大きい側では、内側周方向主溝31内を流れる水の流れが阻害され、排水性が低下する虞がある。また、第1周方向部61と第2周方向部62とのオフセット量が小さい側では、第1周方向部61と第2周方向部62とをオフセットさせても、スノートラクション性を効果的に確保し難くなる虞がある。
これに対し、センターブロック11のオフセット量Dcとミドルブロック12のオフセット量Dmとの関係が、0.95≦(Dc/Dm)≦1.05の範囲内である場合は、センターブロック11のオフセット量Dcとミドルブロック12のオフセット量Dmとを同程度にすることができるため、内側周方向主溝31内での水の流れ易さを確保しつつ、スノートラクション性を効果的に確保することができる。この結果、より確実にスノートラクション性とウェットグリップ性とを両立することができる。
また、センターブロック11の第1周方向部61の長さLc1と、ミドルブロック12の第1周方向部61の長さLm1との関係が、Lc1>Lm1であるため、センターブロック11のオフセット量Dcを大きくし過ぎることなく、センターブロック11の凸部14の凸部面積Scを、ミドルブロック12の凸部15の凸部面積Smより大きくすることができる。これにより、センターブロック11の凸部14の凸部面積Scを大きくした際における内側周方向主溝31の排水性の低下を抑えつつ、センターブロック11の凸部14の凸部面積Scを大きくすることによってスノートラクション性を向上させることができる。この結果、より確実にスノートラクション性とウェットグリップ性とを両立することができる。
また、センターブロック11の第1周方向部61の長さLc1と第2周方向部62の長さLc2との関係が、0.6≦(Lc1/Lc2)≦0.8の範囲内であり、ミドルブロック12の第1周方向部61の長さLm1と第2周方向部62の長さLm2との関係が、0.5≦(Lm1/Lm2)≦0.7の範囲内であるため、より確実にスノートラクション性とウェットグリップ性とを両立することができる。つまり、(Lc1/Lc2)<0.6であったり、(Lm1/Lm2)<0.5であったりする場合は、センターブロック11の第1周方向部61の長さLc1やミドルブロック12の第1周方向部61の長さLm1が短過ぎる虞がある。この場合、センターブロック11の凸部14やミドルブロック12の凸部15の体積が小さくなり、凸部14、15の剛性を確保し難くなるため、センターブロック11やミドルブロック12の接地時におけるグリップ性が低下し易くなる虞がある。また、(Lc1/Lc2)>0.8であったり、(Lm1/Lm2)>0.7であったりする場合は、センターブロック11の第1周方向部61の長さLc1やミドルブロック12の第1周方向部61の長さLm1が長過ぎる虞がある。この場合、内側周方向主溝31の容積を確保し難くなる虞があり、内側周方向主溝31に入り込むことができる雪の量や水の量が少なくなるため、スノートラクション性やウェットグリップ性を効果的に確保し難くなる虞がある。
これに対し、0.6≦(Lc1/Lc2)≦0.8の範囲内で、0.5≦(Lm1/Lm2)≦0.7の範囲内である場合は、センターブロック11の凸部14やミドルブロック12の凸部15の体積が小さくなり過ぎることを抑制しつつ、内側周方向主溝31の容積を確保することができる。これにより、より確実に凸部14、15の剛性を確保しつつ、より多くの雪や水を内側周方向主溝31に入り込ませることができる。この結果、より確実にスノートラクション性とウェットグリップ性とを両立することができる。
また、センターブロック11の第1周方向部61と幅方向延在部66との角度θcと、ミドルブロック12の第1周方向部61と傾斜部67との角度θmとが、θc<θmの関係であるため、センターブロック11の凸部14の凸部面積Scを、ミドルブロック12の凸部15の凸部面積Smより、より確実に大きくすることができる。これにより、より確実に、センターブロック11の凸部14によってスノートラクション性を向上させつつ、内側周方向主溝31におけるミドルブロック12側の位置での排水性の低下を抑制することができる。これの結果、より確実にスノートラクション性とウェットグリップ性とを両立することができる。
また、センターラグ溝41の溝幅Lwcと、センターブロック11同士のタイヤ周方向におけるピッチPcとの関係が、0.05≦(Lwc/Pc)≦0.35の範囲内であるため、より確実にスノートラクション性とウェットグリップ性とを両立することができる。つまり、センターラグ溝41の溝幅Lwcとセンターブロック11のピッチPcとの関係が、(Lwc/Pc)<0.05である場合は、センターラグ溝41の溝幅Lwcが狭過ぎる虞があり、センターラグ溝41の容積を確保し難くなる虞がある。この場合、センターラグ溝41に入り込むことができる雪の量や水の量が少なくなるため、スノートラクション性やウェットグリップ性を効果的に確保し難くなる虞がある。また、センターラグ溝41の溝幅Lwcとセンターブロック11のピッチPcとの関係が、(Lwc/Pc)>0.35である場合は、センターラグ溝41の溝幅Lwcが広過ぎる虞がある。この場合、センターブロック11の剛性を確保し難くなるため、センターブロック11の接地時におけるグリップ性が低下し易くなる虞がある。
これに対し、センターラグ溝41の溝幅Lwcとセンターブロック11のピッチPcとの関係が、0.05≦(Lwc/Pc)≦0.35の範囲内である場合は、センターブロック11の剛性が低くなり過ぎることを抑制しつつ、センターラグ溝41の容積を確保することができ、より多くの雪や水をセンターラグ溝41に入り込ませることができる。この結果、より確実にスノートラクション性とウェットグリップ性とを両立することができる。
また、センターブロック11のタイヤ幅方向における最大幅Wcwと、ミドルブロック12のタイヤ幅方向における最大幅Wmとの関係が、0.4≦(Wm/Wcw)≦0.6の範囲内であるため、より確実にスノートラクション性とウェットグリップ性とを両立することができる。つまり、センターブロック11の最大幅Wcwとミドルブロック12の最大幅Wmとの関係が、(Wm/Wcw)<0.4である場合は、センターブロック11の最大幅Wcwに対してミドルブロック12の最大幅Wmが小さ過ぎるため、ミドルラグ溝42の全長が短くなり過ぎる虞がある。この場合、ミドルラグ溝42での雪柱せん断力や排水性を確保し難くなる虞がある。また、センターブロック11の最大幅Wcwとミドルブロック12の最大幅Wmとの関係が、(Wm/Wcw)>0.6である場合は、ミドルブロック12の最大幅Wmに対してセンターブロック11の最大幅Wcwが小さ過ぎるため、センターラグ溝41の全長が短くなり過ぎる虞がある。この場合、センターラグ溝41での雪柱せん断力や排水性を確保し難くなる虞がある。
これに対し、センターブロック11の最大幅Wcwとミドルブロック12の最大幅Wmとの関係が、0.4≦(Wm/Wcw)≦0.6の範囲内である場合は、センターブロック11の最大幅Wcwとミドルブロック12の最大幅Wmとの双方を適度な幅にすることができる。これにより、センターラグ溝41とミドルラグ溝42とのいずれも、適切な全長を確保することができ、いずれのラグ溝40においても、雪柱せん断力や排水性を適切に確保することができる。この結果、より確実にスノートラクション性とウェットグリップ性とを両立することができる。
また、センターブロック11のタイヤ幅方向における最大幅Wcwと、ショルダー陸部13のタイヤ幅方向における最大幅Wswとの関係が、0.8≦(Wsw/Wcw)≦1.0の範囲内である場合は、より確実にスノートラクション性とウェットグリップ性とを両立することができる。つまり、センターブロック11の最大幅Wcwとショルダー陸部13の最大幅Wswとの関係が、(Wsw/Wcw)<0.8である場合は、センターブロック11の最大幅Wcwに対してショルダー陸部13の最大幅Wswが小さ過ぎるため、ショルダーラグ溝43の長さが短くなり過ぎる虞がある。この場合、ショルダーラグ溝43での雪柱せん断力や排水性を確保し難くなる虞がある。また、センターブロック11の最大幅Wcwとショルダー陸部13の最大幅Wswとの関係が、(Wsw/Wcw)>1.0である場合は、ショルダー陸部13の最大幅Wswに対してセンターブロック11の最大幅Wcwが小さ過ぎるため、センターラグ溝41の全長が短くなり過ぎる虞がある。この場合、センターラグ溝41での雪柱せん断力や排水性を確保し難くなる虞がある。
これに対し、センターブロック11の最大幅Wcwとショルダー陸部13の最大幅Wswとの関係が、0.8≦(Wsw/Wcw)≦1.0の範囲内である場合は、センターブロック11の最大幅Wcwとショルダー陸部13の最大幅Wswとの双方を適度な幅にすることができる。これにより、センターラグ溝41とショルダーラグ溝43とのいずれも、適切な長さを確保することができ、いずれのラグ溝40においても、雪柱せん断力や排水性を適切に確保することができる。この結果、より確実にスノートラクション性とウェットグリップ性とを両立することができる。
また、センター小ブロック11aとショルダー小ブロック13aとミドルブロック12とには、それぞれサイプ70が形成されるため、エッジ成分を増加させることができ、エッジ効果によってより確実にスノートラクション性とウェットグリップ性を向上させることができる。さらに、センター小ブロック11aとショルダー小ブロック13aとミドルブロック12とには、同じ本数のサイプ70が配置されるため、タイヤ幅方向における全域に亘って、均等にエッジ効果を得ることができ、スノートラクション性とウェットグリップ性をさらに高めることができる。この結果、より確実にスノートラクション性とウェットグリップ性とを向上させることができる。
また、センター小ブロック11aとミドルブロック12とには、それぞれオープンサイプ71が2本配置されると共に、それぞれオープンサイプ71とラグ溝40との間にクローズドサイプ72が1本配置されるため、センター小ブロック11aとミドルブロック12の偏摩耗の発生を抑制しつつ、スノートラクション性及びウェットグリップ性をより確実に向上させることができる。つまり、センター小ブロック11aやミドルブロック12にサイプ70を配置する際に、ラグ溝40寄りの位置にクローズドサイプ72を配置することにより、剛性が低下し易いラグ溝40近傍の位置の剛性の低下を極力抑えつつ、エッジ効果を向上させることができる。これにより、センター小ブロック11aやミドルブロック12の偏摩耗の発生を抑制しつつ、スノートラクション性やウェットグリップ性をより確実に向上させることができる。この結果、耐偏摩耗性を確保しつつ、より確実にスノートラクション性とウェットグリップ性とを向上させることができる。
[変形例]
なお、上述した実施形態では、センター細溝51はタイヤ周方向に延びる直線状の形状で形成されているが、センター細溝51は、直線状以外の形状で形成されていてもよい。図8は、実施形態に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、センター細溝51が振幅する場合の説明図である。図9は、実施形態に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、センター細溝51が湾曲する場合の説明図である。図10は、実施形態に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、センター細溝51がクランク状に形成される場合の説明図である。図11は、実施形態に係る空気入りタイヤ1の変形例であり、センター細溝51が繰り返し屈曲する場合の説明図である。センター細溝51は、例えば、図8に示すように、タイヤ周方向に延びつつ、タイヤ幅方向に振幅していてもよい。つまり、センター細溝51は、タイヤ周方向に延びつつ、ジグザグ状に形成されていてもよい。または、センター細溝51は、例えば、図9に示すように、タイヤ周方向に延びつつ、湾曲を繰り返すことによってタイヤ幅方向に振幅していてもよい。つまり、センター細溝51は、タイヤ周方向に延びつつ、波状に形成されていてもよい。
または、センター細溝51は、例えば、図10に示すように、タイヤ幅方向に延びつつ、2箇所で屈曲することにより、タイヤ周方向に隣り合うセンターラグ溝41同士の間でクランク状の形状で形成されていてもよい。または、センター細溝51は、例えば、図11に示すように、タイヤ周方向に隣り合うセンターラグ溝41同士の間で屈曲を繰り返しながら、双方のセンターラグ溝41の間に亘って形成されていてもよい。センター細溝51は、センターブロック11のタイヤ周方向における両側を区画するセンターラグ溝41同士の間に亘って形成されることにより、センターブロック11をタイヤ幅方向に分断することができる形状で形成されていれば、その形状は問わない。
また、上述した実施形態では、周方向主溝30は4本が形成されているが、周方向主溝30は4本以外であってもよい。周方向主溝30の数に関わらず、内側周方向主溝31と、内側周方向主溝31のタイヤ幅方向外側に配設される外側周方向主溝32とによってセンターブロック11とミドルブロック12とが区画されていれば、周方向主溝30の数は問わない。
また、センター小ブロック11aとミドルブロック12とには、2本のオープンサイプ71と2本のクローズドサイプ72が配置され、ショルダー小ブロック13aには、4本のクローズドサイプ72が配置されているが、各陸部10に形成されるサイプ70は、これ以外の本数や構成でもよい。陸部10に配置されるサイプ70は、サイプ70を配置する陸部10の位置や大きさ等に応じて適宜設定するのが好ましい。
[実施例]
図12A〜図12Cは、空気入りタイヤの性能評価試験の結果を示す図表である。以下、上記の空気入りタイヤ1について、本発明に係る空気入りタイヤ1と、比較例の空気入りタイヤとについて行なった性能の評価試験について説明する。性能評価試験は、雪上路面でのトラクション性能であるスノートラクション性と、濡れた路面での制動性であるウェット制動性とについての試験を行った。
性能評価試験は、JATMAで規定されるタイヤの呼びが275/80R22.5サイズの空気入りタイヤ1をJATMAで規定される規定リムのリムホイールにリム組みし、空気圧をJATMAで規定される最大空気圧に調整し、2−D4(前1軸で2輪−後2軸で前軸が4輪で駆動軸、後軸が4輪で遊動軸)の試験車両(トラック)に装着してテスト走行をすることにより行った。
各試験項目の評価方法は、スノートラクション性については、ECE R117−02(ECE Regulation No.117 Revision 2)に準拠して行われ、雪上路面における規定の初速度から終端速度までの加速に要する距離を測定して加速度を算出し、算出した加速度を、後述する比較例1を100とする指数で表すことにより評価した。数値が大きいほど雪上路面での加速性能に優れ、スノートラクション性が高いことを示している。
また、ウェット制動性については、ECE R117−02に準拠して行われ、散水した路面において規定の初速度から制動を開始し、停止するまでの制動距離の逆数を、後述する比較例1を100とする指数で表すことにより評価した。数値が大きいほど濡れた路面での制動性能に優れ、ウェット制動性が高いことを示している。
性能評価試験は、本発明に係る空気入りタイヤ1の一例である実施例1〜19と、本発明に係る空気入りタイヤ1と比較する空気入りタイヤの一例である比較例1、2との21種類の空気入りタイヤについて行った。このうち、比較例1の空気入りタイヤは、周方向主溝30により区画されるエッジ部60が、ステップ形状を有していない。また、比較例2の空気入りタイヤは、周方向主溝30により区画されるエッジ部60がステップ形状を有しているものの、センターブロック11の凸部14の凸部面積Scと、ミドルブロック12の凸部15の凸部面積Smとが、Sc>Smの関係になっていない。
これに対し、本発明に係る空気入りタイヤ1の一例である実施例1〜19は、周方向主溝30により区画されるエッジ部60がステップ形状を有しており、センターブロック11の凸部14の凸部面積Scと、ミドルブロック12の凸部15の凸部面積Smとが、全てSc>Smの関係を満たしている。さらに、実施例1〜19に係る空気入りタイヤ1は、センターブロック11の分断の有無や、センターブロック11は直線状に延びるセンター細溝51によって分断されるか否か、センターラグ溝41の屈曲部45の数、センターブロック11の第1周方向部61と第2周方向部62とのタイヤ幅方向におけるオフセット量Dcとミドルブロック12の第1周方向部61と第2周方向部62とのオフセット量Dmとの比(Dc/Dm)、センターブロック11の第1周方向部61の長さLc1と第2周方向部62の長さLc2との比(Lc1/Lc2)、ミドルブロック12の第1周方向部61の長さLm1と第2周方向部62の長さLm2との比(Lm1/Lm2)、センターブロック11の第1周方向部61の長さLc1とセンター小ブロック11aの最大長さLcとの比(Lc1/Lc)、ミドルブロック12の第1周方向部61の長さLm1とミドルブロック12の最大長さLmとの比(Lm1/Lm)、センターブロック11の第1周方向部61と第2周方向部62とのオフセット量Dcとセンター小ブロック11aの最大幅Wcとの比(Dc/Wc)、ミドルブロック12の第1周方向部61と第2周方向部62とのオフセット量Dmとミドルブロック12の最大幅Wmとの比(Dm/Wm)、センターブロック11の第1周方向部61と幅方向延在部66との角度θcとミドルブロック12の第1周方向部61と傾斜部67との角度θmとの関係、センターラグ溝41の溝幅Lwcとセンターブロック11のタイヤ周方向におけるピッチPcとの比(Lwc/Pc)、センターブロック11の最大幅Wcwとミドルブロック12の最大幅Wmとの比(Wm/Wcw)、センターブロック11の最大幅Wcwとショルダー陸部13の最大幅Wswとの比(Wsw/Wcw)、センター小ブロック11aとショルダー小ブロック13aのサイプ70の数、センター小ブロック11aとミドルブロック12は、オープンサイプ71が2本配置され、クローズドサイプ72が2本配置されているか否か、がそれぞれ異なっている。
これらの空気入りタイヤ1を用いて性能評価試験を行った結果、図12A〜図12Cに示すように、実施例1〜19に係る空気入りタイヤ1は、比較例1、2に対して、スノートラクション性とウェット制動性とのいずれの性能も低下させることなく、少なくともいずれかの一方の性能を向上させることができることが分かった。つまり、実施例1〜19に係る空気入りタイヤ1は、スノートラクション性とウェットグリップ性とを両立することができる。