JP2020175328A - 塗布装置および塗布方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた品質で塗布液を基板に塗布する。【解決手段】基板を浮上させる処理ステージと、処理ステージ上で浮上する基板を搬送方向に搬送する基板搬送部と、基板搬送部により搬送される基板の上面に処理液を供給するノズルと、を備え、処理ステージは、ノズルの下方に位置して基板を浮上させる供給浮上領域と、搬送方向において供給浮上領域の上流側で基板を浮上させる上流側浮上領域と、搬送方向において供給浮上領域の下流側で基板を浮上させる下流側浮上領域と、を有し、搬送方向における上流側浮上領域の長さが下流側浮上領域の長さよりも長い。【選択図】図3

Description

この発明は、液晶表示装置や有機EL表示装置等のFPD用ガラス基板、半導体ウェハ、フォトマスク用ガラス基板、カラーフィルター用基板、記録ディスク用基板、太陽電池用基板、電子ペーパー用基板等の精密電子装置用基板、半導体パッケージ用基板(以下、単に「基板」と称する)にノズルから処理液を供給して塗布する塗布技術に関するものである。
半導体装置や液晶表示装置などの電子部品等の製造工程では、基板の上面に処理液を供給する基板処理装置の一例として塗布装置が用いられる。例えば特許文献1に記載の塗布装置は、基板をステージから浮上させた状態で当該基板をステージの長手方向に搬送しながら当該基板の上面に対して処理液をノズルの吐出口から供給して基板のほぼ全体に処理液を塗布する。
特許第5437134号
特許文献1に記載の装置では、基板の浮上量を精密に制御しつつノズルから処理液を基板に供給すべく、精密浮上ステージ(本発明の「処理ステージ」に相当)が設けられている。この精密浮上ステージは、ノズルの下方で基板を浮上させる塗布ステージ(本発明の「供給浮上領域」に相当)と、基板の搬送方向において塗布ステージの上流側で基板を浮上させる異物検出ステージ(本発明の「上流側浮上領域」に相当)と、基板の搬送方向において塗布ステージの下流側で基板を浮上させる振動防止ステージ(本発明の「下流側浮上領域」に相当)とを有している。そして、異物検出ステージは、基板の上面に存在する異物を検出して当該異物とノズルとの衝突を回避する機能を果たす。一方、振動防止ステージは、基板の振動を抑えることで塗布ステージでの処理液の塗布に悪影響が及ぶのを防止する機能を果たす。
ところで、特許文献1に詳しく記載されていないが、異物検出ステージと振動防止ステージとは同一構成を有しており、基板の搬送方向における長さも同一に設定されている。また、塗布処理は前処理装置から搬出された基板を受け取り、塗布処理を行う(後で説明する図1参照)。前処理装置では、薬液や純水などの処理液による基板洗浄とエアナイフなどによる洗浄後の基板乾燥とを組み合わせた前工程が実行されることがある。また、前工程として、水分除去のための基板加熱と基板冷却とがこの順序で実行されることもある。このため、前処理装置から塗布装置に送られる基板の温度が塗布処理に適した温度よりも比較的高い、あるいは比較的低いことがある。このような場合であっても、塗布装置の内部で搬送方向に基板を搬送している間に基板の温度は塗布装置内の温度、つまり塗布処理に適した温度に近づいてくる。しかしながら、搬送方向において異物検出ステージと振動防止ステージとが同一長さを有している従来装置では、必ずしも基板の均熱化に十分な搬送距離や搬送時間が割り当てられているというわけではなく、基板の面内において温度ムラが発生することがあった。その結果、これが塗布ムラを発生させる主要因のひとつとなり、塗布品質を低下させることがあった。
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、優れた品質で塗布液を基板に塗布することができる塗布装置および塗布方法を提供することを目的とする。
この発明の一態様は、前処理装置から受け取った基板の上面に処理液を供給して塗布する塗布装置であって、基板を浮上させる処理ステージと、処理ステージ上で浮上する基板を搬送方向に搬送する基板搬送部と、基板搬送部により搬送される基板の上面に処理液を供給するノズルと、を備え、処理ステージは、ノズルの下方に位置して基板を浮上させる供給浮上領域と、搬送方向において供給浮上領域の上流側で基板を浮上させる上流側浮上領域と、搬送方向において供給浮上領域の下流側で基板を浮上させる下流側浮上領域と、を有し、搬送方向における上流側浮上領域の長さが下流側浮上領域の長さよりも長いことを特徴としている。
また、この発明の他の態様は、前処理装置から受け取った基板を処理ステージにより浮上させた状態で搬送部により搬送方向に搬送しながらノズルから処理液を基板の上面に供給して塗布する塗布方法であって、処理ステージのうち、ノズルの下方に位置して基板を浮上させる領域を供給浮上領域とし、搬送方向において供給浮上領域の上流側で基板を浮上させる領域を上流側浮上領域とし、搬送方向において供給浮上領域の下流側で基板を浮上させる領域を下流側浮上領域と定義したとき、搬送方向に搬送される基板の上流側浮上領域を通過する時間が下流側浮上領域を通過する時間よりも長いことを特徴としている。
このように構成された発明では、前処理装置から与えられた基板が上流側浮上領域の上方を通過して供給浮上領域の上方に浮上搬送され、当該供給浮上領域でノズルから供給される処理液が基板の上面に塗布される。ここで、基板を受け取った時点での基板の温度が処理液の塗布に適した温度と相違していると、上記したように温度ムラが発生し易い。しかしながら、本発明では、搬送方向における上流側浮上領域の長さが下流側浮上領域の長さよりも長く、上流側浮上領域での基板の搬送時間が長くなっている。このため、上流側浮上領域の通過中に基板の均熱化が進行し易く、基板における温度ムラが抑制され、その結果、処理液の塗布が良好に実行される。
また、上記のような長さ関係を有することから搬送方向における下流側浮上領域の長さは上流側浮上領域に比べて短く、上流側浮上領域を長くしているにもかかわらず、搬送方向における処理ステージの大型化を抑えることができる。
以上のように、本発明によれば、搬送方向における上流側浮上領域の長さが下流側浮上領域の長さよりも長く、基板の上流側浮上領域を通過する時間が下流側浮上領域を通過する時間よりも長くなるように構成されている。このため、温度ムラに起因する塗布ムラを抑え、優れた品質で塗布液を基板に塗布することができる。
本発明に係る塗布装置の一実施形態を備える基板処理システムの一例を示す図である。 図1の基板処理システムに装備される塗布装置の全体構成を模式的に示す図である。 図2に示す塗布装置に装備される浮上ステージ部の構成を示す図である。 従来の塗布装置に装備される塗布ステージの構成を示す図である。 本発明に係る塗布装置の他の実施形態に装備される浮上ステージ部の部分構成を示す図である。 本発明に係る塗布装置の別の実施形態に装備される浮上ステージ部の部分構成を示す図である。 本発明に係る塗布装置のさらに別の実施形態に装備される浮上ステージ部の部分構成を示す図である。
図1は本発明に係る塗布装置の一実施形態を備える基板処理システムの一例を示す図である。この基板処理システムは、基板Sに対して塗布処理を施す塗布装置1と、塗布装置1で実行される塗布処理の前工程を実行する前処理装置PRと、塗布処理を受けた基板Sに対して後工程を実行する後処理装置PSとを備えている。前処理装置PRは、塗布処理を行う前に基板Sを洗浄する洗浄工程と、洗浄された基板Sを乾燥させる乾燥工程とを前工程として実行する。また、塗布装置1は次に詳述するように前処理装置PRから受け取った基板Sを浮上搬送しながら基板Sの上面に処理液を供給して塗布する。さらに、後処理装置PSは基板Sを加熱して基板Sに塗布された処理液を固化させる加熱工程を後工程として実行する。なお、前工程および後工程の内容は上記したものに限定されるものではない。
図2は図1の基板処理システムに装備される塗布装置の全体構成を模式的に示す図である。この塗布装置1は、図2の左手側から右手側に向けて水平姿勢で搬送される基板Sの上面Sfに処理液の一例として塗布液を塗布するスリットコータである。なお、以下の各図において装置各部の配置関係を明確にするために、基板Sの搬送方向Xと関連付けて位置関係を示すとき、「基板Sの搬送方向Xにおける上流側」を単に「上流側」と、また「基板Sの搬送方向Xにおける下流側」を単に「下流側」と略することがある。この例では、ある基準位置から見て相対的に(−X)側が「上流側」、(+X)側が「下流側」に相当する。
まず図2を用いて塗布装置1の構成および動作の概要を説明し、その後で本発明の技術的特徴を備える浮上ステージ部3の詳細な構造および動作について説明する。塗布装置1では、基板Sの搬送方向Xに沿って、入力コンベア100、入力移載部2、浮上ステージ部3、出力移載部4、出力コンベア110がこの順に近接して配置されており、以下に詳述するように、これらにより略水平方向に延びる基板Sの搬送経路が形成されている。
処理対象である基板Sは図2の左手側から入力コンベア100に搬入される。入力コンベア100は、コロコンベア101と、これを回転駆動する回転駆動機構102とを備えており、コロコンベア101の回転により基板Sは水平姿勢で下流側、つまり(+X)方向に搬送される。入力移載部2は、コロコンベア21と、これを回転駆動する機能および昇降させる機能を有する回転・昇降駆動機構22とを備えている。コロコンベア21が回転することで、基板Sはさらに(+X)方向に搬送される。また、コロコンベア21が昇降することで基板Sの鉛直方向位置が変更される。このように構成された入力移載部2により、基板Sは入力コンベア100から浮上ステージ部3に移載される。
浮上ステージ部3は、基板の搬送方向Xに沿って3分割された平板状のステージを備える。すなわち、浮上ステージ部3は入口浮上ステージ31、塗布ステージ32および出口浮上ステージ33を備えており、これらの各ステージの上面は互いに同一平面の一部をなしている。そして、浮上ステージ部3は各ステージの上面から鉛直上方(+Z)に基板を浮上させる。なお、これらのステージのうち入口浮上ステージ31には、図には現れていないリフトピンが配設されており、浮上ステージ部3にはこのリフトピンを昇降させるリフトピン駆動機構34が設けられている。また、塗布ステージ32での浮上量についてはセンサ61、62による検出結果に基づいて制御ユニット9により算出され、高精度に調整可能となっている。
入力移載部2を介して浮上ステージ部3に搬入される基板Sは、コロコンベア21の回転により(+X)方向への推進力を付与されて、入口浮上ステージ31上に搬送される。入口浮上ステージ31、塗布ステージ32および出口浮上ステージ33は基板Sを浮上状態に支持するが、基板Sを水平方向に搬送する機能を有していない。浮上ステージ部3における基板Sの搬送は、入口浮上ステージ31、塗布ステージ32および出口浮上ステージ33の下方に配置された基板搬送部5により行われる。
基板搬送部5は、基板Sの下面周縁部に部分的に当接することで基板Sを下方から支持するチャック機構51と、チャック機構51上端の吸着部材に設けられた吸着パッド(図示省略)に負圧を与えて基板Sを吸着保持させる機能およびチャック機構51をX方向に往復走行させる機能を有する吸着・走行制御機構52とを備えている。チャック機構51が基板Sを保持した状態では、基板Sの下面Sbは浮上ステージ部3の各ステージの上面よりも高い位置に位置している。したがって、基板Sは、チャック機構51により周縁部を吸着保持されつつ、浮上ステージ部3から付与される浮力により全体として水平姿勢を維持する。なお、チャック機構51により基板Sの下面Sbを部分的に保持した段階で基板Sの上面の鉛直方向位置を検出するために板厚測定用のセンサ61がコロコンベア21の近傍に配置されている。このセンサ61の直下位置に基板Sを保持していない状態のチャック(図示省略)が位置することで、センサ61は吸着部材の上面、つまり吸着面の鉛直方向位置を検出可能となっている。
入力移載部2から浮上ステージ部3に搬入された基板Sをチャック機構51が保持し、この状態でチャック機構51が(+X)方向に移動することで、基板Sが入口浮上ステージ31の上方から塗布ステージ32の上方を経由して出口浮上ステージ33の上方へ搬送される。搬送された基板Sは、出口浮上ステージ33の(+X)側に配置された出力移載部4に受け渡される。
出力移載部4は、コロコンベア41と、これを回転駆動する機能および昇降させる機能を有する回転・昇降駆動機構42とを備えている。コロコンベア41が回転することで、基板Sに(+X)方向への推進力が付与され、基板Sは搬送方向Xに沿ってさらに搬送される。また、コロコンベア41が昇降することで基板Sの鉛直方向位置が変更される。コロコンベア41の昇降により実現される作用については後述する。出力移載部4により、基板Sは出口浮上ステージ33の上方から出力コンベア110に移載される。
出力コンベア110は、コロコンベア111と、これを回転駆動する回転駆動機構112とを備えており、コロコンベア111の回転により基板Sはさらに(+X)方向に搬送され、最終的に後処理装置PS(図1)へと払い出される。なお、入力コンベア100および出力コンベア110は塗布装置1の構成の一部として設けられてもよいが、塗布装置1とは別体のものであってもよい。例えば、塗布装置1の上流側に設けられる前処理装置PR(図1)の基板払い出し機構が入力コンベア100として用いられてもよい。また、塗布装置1の下流側に設けられる後処理装置PS(図1)の基板受け入れ機構が出力コンベア110として用いられてもよい。
このようにして搬送される基板Sの搬送経路上に、基板Sの上面Sfに塗布液を塗布するための塗布機構7が配置される。塗布機構7はスリットノズルであるノズル71を有している。ノズル71には、塗布液供給機構8から塗布液が供給され、ノズル下部に下向きに開口する吐出口から塗布液が吐出される。
ノズル71は、図示を省略する位置決め機構によりX方向およびZ方向に移動位置決め可能となっている。位置決め機構により、ノズル71が塗布ステージ32の上方の塗布位置(図2中の実線で示される位置)に位置決めされる。この塗布位置に位置決めされたノズル71から塗布液が吐出されて、塗布ステージ32との間を搬送されてくる基板Sに供給される。こうして基板Sへの塗布液の塗布が行われる。
ノズル71に対して所定のメンテナンスを行うために、図2に示すように、塗布機構7にはノズル洗浄待機ユニット72が設けられている。ノズル洗浄待機ユニット72は、主にローラ721、洗浄部722、ローラバット723などを有している。そして、これらによってノズル洗浄および液だまり形成を行い、ノズル71の吐出口を次の塗布処理に適した状態に整える。また、ノズル洗浄待機ユニット72が設けられた位置、つまりメンテナンス位置にノズル71を位置させ、最適化処理における疑似吐出が実行される。
この他、塗布装置1には、装置各部の動作を制御するための制御ユニット9が設けられている。制御ユニット9は所定の制御プログラムや各種データを記憶する記憶手段、この制御プログラムを実行することで装置各部に所定の動作を実行させるCPUなどの演算手段、ユーザや外部装置との情報交換を担うインターフェース手段などを備えている。本実施形態では、演算手段が装置各部を制御して次に説明するように塗布ステージ32での基板Sの浮上量を高精度に制御しつつノズル71からの塗布液の供給を行う。
図3は図2に示す塗布装置に装備される浮上ステージ部の構成を示す図であり、同図中の上段に示す図は浮上ステージ部3の部分平面図であり、中段および下段は浮上ステージ部3での基板Sの浮上搬送状態を模式的に示す側面図である。なお、同図および後で説明する図4ないし図7においては、理解容易の目的で、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
浮上ステージ部3を構成する3つのステージのうち、入口浮上ステージ31および出口浮上ステージ33のそれぞれの上面には、噴出口36がマトリクス状に多数設けられている。また、各噴出口36に対して特許文献1に記載の装置と同様に構成される浮上制御機構35(図2)が接続され、噴出口36から圧縮空気を基板Sの下面Sbに向けて噴出して入口浮上ステージ31および出口浮上ステージ33のステージ上面と基板Sの下面Sbとの間の空間に圧縮空気を送り込む。これにより、各噴出口36から噴出される気流から付与される浮力により基板Sが浮上する。こうして基板Sの下面Sbがステージ上面から離間した状態で水平姿勢に支持される。基板Sの下面Sbとステージ上面との距離、つまり浮上量は、例えば10マイクロメートルないし500マイクロメートルとすることができる。
塗布ステージ32では、搬送方向Xに沿って3つの領域32A〜32Cがこの順序で設けられており、入口浮上ステージ31および出口浮上ステージ33よりも小さな浮上量で基板Sを浮上させることが可能となっている。領域32Aはステージ部材321のステージ上面321aに設けられている。領域32Bはステージ部材322のステージ上面322aに設けられている。領域32Cはステージ部材323のステージ上面323aに設けられている。
領域32Aでは、上記噴出口36と、基板Sの下面Sbとステージ上面321aとの間の空気を吸引する吸引口37とが分散して設けられている。より詳しくは、入口浮上ステージ31および出口浮上ステージ33に設けられた噴出口36よりも狭いピッチで複数の開口がマトリックス状に分散して設けられている。これら複数の開口のうち半分は上記噴出口36として機能し、残りの半分は吸引口37として機能するものであり、噴出口36と吸引口37とが交互に設けられている。そして、浮上制御機構35は領域32Aの噴出口36と接続され、噴出口36から圧縮空気を基板Sの下面Sbに向けて噴出してステージ上面321aと基板Sの下面Sb(図2)との間の空間に圧縮空気を送り込む。また、浮上制御機構35は領域32Aの吸引口37と接続され、吸引口37を介して上記空間から空気を吸引する。このように上記空間に対して空気の噴出と吸引とが行われることで、上記空間では各噴出口36から噴出された圧縮空気の空気流は水平方向に広がった後、当該噴出口36に隣接する吸引口37から吸引される。このため、上記空間に広がる空気層(圧力気体層)における圧力バランスは、より安定的となり、基板Sの浮上量Fa(図3参照)を高精度に、しかも安定して制御することができる。また、領域32Aに対応して特許文献1に記載の装置と同様の構成を有する異物検出部73(図2)が設けられ、浮上量Faで浮上している基板Sに対する異物検出を行う。このように、本実施形態では、領域32Aが異物検出を担保する上流側浮上領域として機能し、以下においては「上流側浮上領域32A」と称する。
ステージ部材322では、ステージ上面322aに対し、上流側浮上領域32Aに設けられた開口(=噴出口36+吸引口37)のピッチよりも狭く、基板Sへの塗布液の塗布に適したピッチで複数の開口がマトリックス状に分散して設けられている。これら複数の開口のうち半分は上記噴出口36として機能し、残りの半分は吸引口37として機能するものであり、噴出口36と吸引口37とが交互に設けられている。そして、浮上制御機構35は上流側浮上領域32Aと同様に領域32Bの噴出口36および吸引口37に接続され、浮上量Fb(図3参照)で基板Sを浮上させる。ここで、領域32Bはノズル71の下方に位置して塗布液の供給を受ける基板Sを浮上させるための供給浮上領域であることから、噴出口36および吸引口37の配設密度が上流側浮上領域32Aよりも高められるとともに浮上制御機構35は浮上量Fbを上流側浮上領域32Aでの浮上量Faよりも小さくして基板Sへの塗布液の供給に適合させている。こうして、領域32Bでは、基板Sの浮上が超高精度で、しかも安定して制御される。このように領域32Bは超高精度な供給を担保するための供給浮上領域として機能し、以下においては「供給浮上領域32B」と称する。
ステージ部材323では、ステージ上面323aに領域32Cが設けられている。この領域32Cでは、上流側浮上領域32Aと同様に、所定のピッチで噴出口36および吸引口37が交互に設けられており、これらをマトリックス状に分散させた配置構造が形成されている。ステージ部材323では、ステージ部材322側から搬送されてくる基板Sが供給浮上領域32Bでの浮上量Fbよりも大きい浮上量Fcで浮上される。ここで、当該基板Sの上面Sfには、塗布液の供給を受けて塗布膜が形成されており、ステージ部材323の上方で基板Sが振動すると、供給浮上領域32Bの上方での塗布液の塗布に悪影響を及ぼす可能性がある。そこで、上記ピッチおよび浮上量Fcは振動を防止するのに好適な値に設定されている。なお、本実施形態では、ピッチおよび浮上量Fcは上流側浮上領域32Aと同じ値に設定されており、領域32Cが塗布済基板Sの振動防止を担保するための下流側浮上領域として機能し、以下においては「下流側浮上領域32C」と称する。
ここで、本実施形態の技術的特徴は、基板Sの搬送方向Xにおける上流側浮上領域32Aの長さLaが下流側浮上領域32Cの長さLcよりも長く、搬送方向Xに搬送される基板Sの上流側浮上領域32Aを通過する時間が下流側浮上領域32Cを通過する時間よりも長いという点である。このような技術的特徴を有することで基板Sを供給浮上領域32Bに搬送するまでに基板Sの面内における温度ムラの発生を抑制し、塗布品質を高めることができる。この点について、上流側浮上領域32Aおよび下流側浮上領域32Cが搬送方向Xにおいて同一長さに設定されている従来装置(図4)と比較しながら説明する。
図4は従来の塗布装置に装備される塗布ステージの構成を示す図である。従来装置では、本実施形態に係る塗布装置1と同様に、基板Sの搬送方向Xに沿って上流側浮上領域32A、供給浮上領域32Bおよび下流側浮上領域32Cがこの順序で配置されている。ただし、上流側浮上領域32Aと下流側浮上領域32Cとは全く同一の構成を有しており、搬送方向Xにおいて上流側浮上領域32Aの長さLa′と下流側浮上領域32Cの長さLc′とは同一である。ここで、両領域32A、32Cの機能は上記したように相互に相違している。つまり、上流側浮上領域32Aは異物検出を担保するための浮上領域であるのに対し、下流側浮上領域32Cは基板Sの振動防止を担保するための領域であり、それぞれ機能が相違している。しかしながら、従来装置では、この点について十分に考慮されていない。
特に、上流側浮上領域32Aを基板Sが浮上搬送される間に実行される基板Sの均熱化について、全く考慮されていない。すなわち、上流側浮上領域32Aでは、図3および図4に示すように、ノズル71からの塗布液が基板Sの上面Sfに供給される前に基板Sは上流側浮上領域32Aにおいてステージ部材321のステージ上面321aに近接した状態で搬送される。その搬送中にステージ部材321の熱影響により基板Sの均熱化が進行する。例えば前処理装置PRから受け取った時点での基板Sの温度が塗布装置1内の温度よりも低い場合、上流側浮上領域32Aでの基板Sの搬送中にステージ部材321から基板Sへの熱放射によって基板Sの温度が塗布装置1内の温度、つまり塗布処理の温度に近づく。したがって、異常検出を行うという観点のみならず、基板Sの均熱できる時間を長くして基板Sにおける温度ムラを抑制するという観点から、図3に示すように、搬送方向Xにおける上流側浮上領域32Aを長くするのが望ましい。
一方、下流側浮上領域32Cでは塗布済の基板Sが搬送されてくるため、温度ムラの観点を考慮することなく、振動防止のみを考慮すればよい。塗布済の基板Sを防止するためには、図3や図4に示すように、搬送方向Xにおいて基板Sの浮上量が一定に維持される水平浮上範囲HRを下流側浮上領域32Cに形成すればよく、搬送方向Xにおける水平浮上範囲HRの長短はあまり重要ではない。つまり、水平浮上範囲HRを形成するという条件を満足させつつ搬送方向Xにおける下流側浮上領域32Cの短縮が可能である。具体的には、図3に示すように、搬送方向Xにおいて下流側浮上領域32Cの長さLcを供給浮上領域32Bの長さLbと同一程度にまで短縮することが可能である。
本実施形態では、これらの考察に基づいて下流側浮上領域32Cを短縮する一方、その短縮量(=Lc′−Lc)だけ上流側浮上領域32Aを搬送方向Xに伸張させている。このため、従来装置(図4)と比較すると、図3に示す塗布装置1では搬送方向Xにおける塗布ステージ32の長さを変更させることなく、長さLaを伸張させて上流側浮上領域32Aでの基板Sの搬送時間(つまり基板Sの均熱できる時間)を従来装置に比べて延長し、基板Sにおける温度ムラを効果的に抑制することができる。その結果、温度ムラおよび振動の影響を受けることなく、基板Sの上面Sfに対して塗布液を均一に塗布することができる。
以上のように、本実施形態では、搬送方向Xにおける上流側浮上領域32Aの長さLaが下流側浮上領域32Cの長さLcよりも長くなっている。これにより、上流側浮上領域32Aでの基板Sの搬送時間が長く、仮に前処理装置PRから受け取った時点での基板Sの温度が塗布装置1内の温度と相違していたとしても、上流側浮上領域32Aの通過中に基板Sの均熱化が進行する。そのため、基板Sにおける温度ムラを効果的に抑制することができ、塗布液の塗布を良好に実行することができる。
また、上記実施形態では、水平浮上範囲HRが形成されて振動防止機構が確保されることを条件に下流側浮上領域32Cを可能な限り短く設定する一方で、その分だけ上流側浮上領域32Aを搬送方向Xに拡張している。このように上流側浮上領域32Aを長くしているにもかかわらず、搬送方向Xにおける塗布ステージ32の大型化を効果的に抑えることができる。
以上のように上記実施形態では、塗布液が発明の「処理液」の一例に相当している。また、塗布ステージ32が本発明の「処理ステージ」の一例に相当している。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば上記実施形態では、3つの領域32A〜32Cを3つのステージ部材321〜323に振り分けて設けているが、例えば図5に示すように、1つのステージ部材320に全領域32A〜32Cを設けてもよい。また、領域32A〜32Cを2つのステージ部材に振り分けて設けてもよい。
また、上記実施形態では、上流側浮上領域32A、供給浮上領域32Bおよび下流側浮上領域32Cでは、噴出口36および吸引口37を交互に設けてマトリックス状に分散させているが、分散形態はこれに限定されるものではなく、噴出口36および吸引口37を格子状に設けることができる。つまり、噴出口36および吸引口37を格子状に設けるものとしては、上記マトリックス状に設ける以外に、例えば図6に示すようにハニカム状に設けたものや例えば図7に示すようにX方向に配列する噴出口36および吸引口37の開口列39が基板Sの搬送方向(X方向)に対して傾斜するように設けたものなどが含まれる。
また、上記実施形態では、搬送方向Xにおける各領域32A〜32Cの長さLa〜Lcが次式
La>Lc=Lb
を満足するように構成されているが、搬送方向Xにおいて下流側浮上領域32Cの長さLcを供給浮上領域32Bの長さLbと一致させることは必須事項でなく、水平浮上範囲HRを形成して振動防止機構を発揮する限りにおいて任意である。また、長さLa、Lcとの関係についても、塗布ムラを防止するのに十分な均熱化を確保するために長さLaは長さLcの1.5倍を超えるように設定する一方で、塗布ステージ32の大型化を抑制するために長さLaは10倍未満(例えば8倍未満)に設定するのが望ましい。すなわち、例えば次式
1.5×Lc<La<8×Lc
を満足するように設定するのが好ましい。
この発明は、浮上搬送される基板にノズルから処理液を供給して塗布する塗布技術全般に適用可能である。
1…塗布装置
5…基板搬送部
32…塗布ステージ(処理ステージ)
32A…上流側浮上領域
32B…供給浮上領域
32C…下流側浮上領域
71…ノズル
73…異物検出部
La…(搬送方向Xにおける上流側浮上領域32Aの)長さ
Lc…(搬送方向Xにおける下流側浮上領域32Cの)長さ
S…基板
Sb…(基板の)下面
Sf…(基板の)上面
X…搬送方向

Claims (4)

  1. 前処理装置から受け取った基板の上面に処理液を供給して塗布する塗布装置であって、
    前記基板を浮上させる処理ステージと、
    前記処理ステージ上で浮上する前記基板を搬送方向に搬送する基板搬送部と、
    前記基板搬送部により搬送される前記基板の上面に処理液を供給するノズルと、を備え、
    前記処理ステージは、
    前記ノズルの下方に位置して前記基板を浮上させる供給浮上領域と、
    前記搬送方向において前記供給浮上領域の上流側で前記基板を浮上させる上流側浮上領域と、
    前記搬送方向において前記供給浮上領域の下流側で前記基板を浮上させる下流側浮上領域と、を有し、
    前記搬送方向における前記上流側浮上領域の長さが前記下流側浮上領域の長さよりも長いことを特徴とする塗布装置。
  2. 請求項1に記載の塗布装置であって、
    前記上流側浮上領域の上方に配置されて前記基板の上面に存在する異物を検出する異物検出部を備える塗布装置。
  3. 請求項1または2に記載の塗布装置であって、
    前記処理ステージは、前記搬送方向において前記基板の浮上量が一定に維持される水平浮上範囲を前記下流側浮上領域に形成することで前記基板の振動を防止する塗布装置。
  4. 前処理装置から受け取った基板を処理ステージにより浮上させた状態で搬送部により搬送方向に搬送しながらノズルから処理液を前記基板の上面に供給して塗布する塗布方法であって、
    前記処理ステージのうち、前記ノズルの下方に位置して前記基板を浮上させる領域を供給浮上領域とし、前記搬送方向において前記供給浮上領域の上流側で前記基板を浮上させる領域を上流側浮上領域とし、前記搬送方向において前記供給浮上領域の下流側で前記基板を浮上させる領域を下流側浮上領域と定義したとき、
    前記搬送方向に搬送される前記基板の前記上流側浮上領域を通過する時間が前記下流側浮上領域を通過する時間よりも長いことを特徴とする塗布方法。
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