以下、添付図面に示す開示内容について詳細に言及する。一般に図1A〜1Kを参照するに、本開示による、フォトマスクを描画するシステムおよび方法について記述する。本開示の実施形態は、下層のフォトマスクを保護すべく位置合わせされたペリクルを通してフォトマスクを描画可能な走査電子顕微鏡検査(SEM)システムを目的とする。本開示の実施形態は、フォトマスクの表面から散乱されてペリクルを通過した後方散乱電子の収集を目的とする。本開示の追加的な実施形態は、フォトマスクにより発せられてペリクルを通過した二次電子の収集を目的とする。本開示の追加的な実施形態は、加圧されたガス媒体による初期の「弱い」二次電子の増幅から生じた二次電子の収集、および/または加圧されたガス媒体内のガス−電子相互作用から生じた光子の収集を目的とする。
システム100を用いて、走査電子顕微鏡検査で公知の任意のサンプルを検査および/または確認することができる。例えば、サンプルはEUV多層(ML)フォトマスクまたはX線フォトマスク等の、但しこれらに限定されない当分野で公知の任意のフォトマスクを含んでいてよい。例えば、EUV−MLフォトマスクはMo/Si多層反射マスクを含んでいてよいが、これに限定されない。
本開示のシステムおよび方法についてフォトマスク検査/確認の観点から述べているが、これを本開示の範囲を限定するものと解釈すべきでない点に注意されたい。本明細書において、本開示の実施形態がペリクル等、但しこれに限定されない任意の種類の保護要素を通して任意の種類のサンプルを描画すべく拡張可能であることを認識されたい。例えば、本開示の実施形態は、ペリクル、膜またはフィルムにより保護されたウェーハ(例:半導体ウエーハ)の点検および/または欠陥確認を実行すべく適合されていてよい。
本開示の実施形態は、収集された後方散乱電子、二次電子および/または光子から集めた情報を用いて、上を覆うペリクルを通してフォトマスクの1個以上の部分を描画することができる。フォトマスクの表面の描画に基づいて、本開示の実施形態は、フォトマスクの表面に存在する欠陥を識別することができる。EUV−MLマスクの場合、このような欠陥には、位相欠陥、アブソーバパターン欠陥、およびヘイズ形成が含まれるがこれらに限定されはない。ML位相欠陥は主に、基板のML堆積中に基板上の欠陥が取り込まれることにより生じる。MLマスク上での高度差が数ナノメートルであっても、EUVリソグラフィで使用する13.5nmの短波長に起因して印刷可能位相欠陥が生じる場合がある。ヘイズ形成は一般に、アンモニウム塩(例:硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム)、有機およびシロキサン膜成長により生じる。ヘイズ形成は、フォトマスク上の優先部位で生じ、多くの場合材料および構造に依存する。
本開示の実施形態は、電荷をペリクルおよび/またはフォトマスクに印加することにより欠陥確認を支援する導電性ペリクルおよび/または導電性フォトマスクをシステム100の電子光学素子として利用する。ペリクルに負電荷を集めることにより、フォトマスク表面に衝突する前に一次ビーム電子を減速させる遅延場を生成することができる。また、ペリクルは、フォトマスクの表面から発せられた二次電子を加速すべく正に帯電していてよい。更に、フォトマスクにおける電荷を制御して、フォトマスクに入射する電子の衝突エネルギーを制御することができる。これらの特徴について以下に詳述する。
図1A〜1Dに、本開示の一実施形態による、後方散乱電子を収集することによりペリクルにより保護されたフォトマスクを描画すべく構成されたシステム100を示す。
一実施形態において、システム100は、1個以上の電子ビーム104を生成する電子ビーム源102を含んでいる。電子ビーム源102は、当分野で公知の任意の電子発生源も含んでいてよい。例えば、電子ビーム源102は、1個以上の電子銃を含んでいてよいが、これらに限定されない。例えば、電子ビーム源102は単一の電子ビーム104を生成する単一の電子銃を含んでいてよい。別の例において、電子ビーム源102は、複数の電子ビーム104を生成する複数の電子銃を含んでいてよい。例えば、電子ビーム源102により形成される電子ビームのエネルギーは1〜20kVであってよい。ビーム104のエネルギーが、単に説明目的で示すに過ぎない1〜20kVに限定されない点に注意されたい。以下において、一次ビーム104のエネルギーが200kVに達し得る点を認識されたい。
別の実施形態において、システム100はサンプル台111を含んでいる。サンプル台111はフォトマスク110およびペリクル108を固定する。ペリクル108がフォトマスク111の上方に配置されている点に注意されたい。一実施形態において、ペリクル108はフレーム113によりフォトマスク110の上方に固定されている。本明細書で更に述べるように、ペリクル108とフォトマスク110は互いに(およびシステムの他の部分から)電気的に絶縁可能であるため、ペリクル108とフォトマスク110は互いにバイアスを掛けることができる。本開示全体を通じて用いる用語「上方」および「下方」は便宜的に用いるに過ぎず、本開示を限定するものと解釈すべきでない点に注意されたい。
別の実施形態において、サンプル台111は動作可能な台である。例えば、サンプル台111は、フォトマスク110を一つ以上の直線方向(例:x方向、y方向および/またはz方向)に沿って選択可能に並進させるのに適した1個以上の並進台を含んでいるが、これに限定されない。別の例として、サンプル台111は、フォトマスク110を回転方向に選択可能に回転させるのに適した1個以上の回転台を含んでいるが、これに限定されない。別の実施形態として、サンプル台108は、選択可能に、サンプルを直線方向に並進させる、および/またはフォトマスク110を回転方向に回転させるのに適した回転台および並進台を含んでいるが、これに限定されない。
別の実施形態において、システム100は電子光学カラム106を含んでいる。電子光学カラム106は、電子光学素子の組を含んでいてよい。電子光学素子の組は、電子ビームの少なくとも一部104を、ペリクル108を通してフォトマスク110の選択された部分の上に誘導することができる。電子光学カラム106の電子光学素子の組は、電子ビーム104を、ペリクル108を通してフォトマスク110の選択された部分の上へ集光および/または誘導するのに適した当分野で公知の任意の電子光学素子を含んでいてよい。一実施形態において、電子光学素子の組は、1個以上の電子光学レンズを含んでいる。例えば、電子光学レンズは、電子ビーム源102から電子を収集する1個以上のコンデンサレンズ114を含んでいるが、これに限定されない。別の例として、電子光学レンズは、電子ビーム104をフォトマスク110の選択された領域に集光させる1個以上の対物レンズ115を含んでいるが、これに限定されない。
簡潔のため、単一の電子光学カラム106を図1Aに示す。本明細書において本開示が当該構成に限定されるものと解釈すべきでない点に注意されたい。例えば、システム100は複数の電子光学カラム106を含んでいてよい。
別の実施形態において、電子光学カラム106の電子光学素子の組は、1個以上の電子ビーム走査素子116を含んでいる。例えば、1個以上の電子ビーム走査素子116は、フォトマスク110の表面に相対的なビーム104の位置を制御するのに適した1個以上の電磁走査コイルまたは静電偏向器を含んでいるが、これに限定されない。この点に関して、1個以上の走査素子116を用いて、フォトマスク110全体にわたり電子ビーム104で選択されたパターンに走査することができる。
別の実施形態において、システム100は後方散乱電子検出器アセンブリ112を含んでいる。後方散乱電子検出器アセンブリ112は、後方散乱電子を検出可能な当分野で公知の任意の検出器技術を含んでいてよい。例えば、後方散乱電子検出器アセンブリ112は、電子光学カラム106の下方、且つペリクル108の上方に配置されていてよい。一実施形態において、図1Bに示すように、検出器アセンブリ112は単一の環状後方散乱電子検出器を含んでいてよい。別の実施形態において、図1Cに示すように、検出器アセンブリ112は多素子環状後方散乱電子検出器を含んでいてよい。例えば、図1Cに示すように、検出器アセンブリ112は、素子113a〜113dを含む後方散乱電子quad配列を含んでいるが、これに限定されない。後方散乱電子検出器の配列(例:図1Cのquad検出器)を用いることによりフォトマスク110の表面形状および/または構成を決定することができる。
後方散乱電子検出器アセンブリ112が当分野で公知の任意の種類の後方散乱電子検出器を含んでいてよい点に注意されたい。一実施形態において、後方散乱電子は、エバーハート−ソーンリー検出器(または他の種類シンチレータ式検出器)を用いて収集および描画することができる。別の実施形態において、後方散乱電子は、マイクロチャネルプレート(MCP)を用いて収集および描画することができる。別の実施形態において、後方散乱電子は、ダイオードまたはダイオードアレイ等のPINまたはPN接合検出器を用いて収集および描画することができる。別の実施形態において、後方散乱電子は、1個以上のアバランシェフォトダイオード(APD)を用いて収集および描画することができる。
本明細書において、システム100が当分野で公知の任意の走査モードで動作可能である点に注意されたい。例えば、システム100は、フォトマスク110の表面全体を電子ビーム104で走査する際にスワシングモードで動作可能である。この点に関して、システム100は、サンプルが移動する間、フォトマスク110全体を電子ビーム104で走査することができ、走査方向はサンプルの移動方向にほぼ垂直である。別の例として、システム100は、フォトマスク110の表面全体を電子ビーム104で走査する際にステップアンドスキャンモードで動作可能である。この点に関して、システム100は、フォトマスク110全体を電子ビーム104で走査することができ、フォトマスク110はビーム104の走査中はほぼ静止している。
システム100は、ペリクル膜108を貫通してフォトマスク110の表面まで達する、電子ビーム源102からの高ビームエネルギー電子ビーム104を用いてフォトマスクから表面欠陥データを抽出することができる。これらの電子は、フォトマスク材料の核およびフォトマスク110の表面からの後方散乱と弾性衝突する。後方散乱電子(BSE)信号は、所与の分布(例:余弦分布)でフォトマスク110の表面の大部分から生じる。BSE描画が、ビームエネルギーおよび目標材料に関して困難な分解能限界を示し得る点に注意されたい。しかし、フォトマスク表面内の深い場所から生じた高エネルギー後方散乱電子信号は、システム100内の他の場所に配置された検出器アセンブリ112までペリクル108を横断するのに充分に高エネルギーであろう。
別の実施形態において、システム100の各種の要素が真空チャンバ(図示せず)内に配置されている。フォトマスク110の損害や汚染を回避すべく、システム100の全ての真空システム要素、電気/機械的フィードスルー、コネクタ、およびケーブル/導線アセンブリは承認された材料で作られている。真空システムで問題があると思われる材料としてHg、Tl、Se、Te、Cd、Au、Ag、In、Zn、Sn、Pb、S、シリコン油およびグリース、並びにシリコンを主体とする接着剤およびエポキシが含まれるが、これらに限定されない。また、ネオプレン、アダプレン、ウレタン、ポリウレタン、ポリエステル、シリコン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリカーボネート、ポリオレフィンおよび二硫化モリブデン(MoS2)等、但しこれらに限定されない、一般に使用されるポリマー(プラスチック)およびエラストマ材料は回避または少なくとも適切に調合しなければならない。問題を含むあらゆる材料は、ガスの発生、粒子の放出、または電子ビームとの不適切な相互作用を行わないように遮蔽しなければならない。
図1E〜1Fに、本開示の追加的な実施形態による、二次電子を収集することによりペリクルにより保護されたフォトマスクを描画すべく構成されたシステム100を示す。図1A〜1Dに関して先に述べた各種の例および実施形態が、別途注記しない限り図1E〜1Fの実施形態にも拡張されるものと解釈すべきである点に注意されたい。一実施形態において、システム100は二次電子検出器アセンブリ122を含んでいる。二次電子検出器アセンブリ122は、二次電子を検出可能な当分野で公知の任意の検出器技術を含んでいてよい。例えば、図1Eに示すように、二次電子検出器アセンブリ122はエバーハート−ソーンリー検出器を含んでいるが、これに限定されない。例えば、検出器アセンブリ122は、電子コレクタ126(例:二次電子コレクタ)を含んでいてよく、フォトマスク110の表面から発せられた二次電子125を収集すべくバイアスが掛けられていてよい。更に、検出器アセンブリ122は、フォトマスク表面からの電子125を検出する検出素子127(例:発光素子およびPMT検出器)を含んでいる。別の例として、図1Fに示すように、二次電子検出器アセンブリ122はカラム内検出器を含んでいるが、これに限定されない。例えば、検出器アセンブリ122は、電子光学カラム106内に配置された二次電子検出器を含んでいてよい。別の例として、二次電子検出器はマルチチャネル電子増倍管を含んでいるが、これに限定されない。別の例として、二次電子検出器は、1個以上のPINダイオードまたは1個以上のアバランシェフォトダイオード(APD)を含んでいるが、これに限定されない。
別の実施形態において、遅延電圧がペリクル108とフォトマスク110との間で生じる。一実施形態において、遅延電圧は、ペリクル108に対して負のバイアスをフォトマスク110に掛けることにより生じる。例えば、フォトマスク110を負電位に保った状態でペリクル108を接地することができる。例えば、図1E、1Fに示すように、システム100はバイアス制御回路118を含んでいる。バイアス制御回路118は、フォトマスク110に(例:電圧源を介して)負電位を生じさせながら、ペリクル108を接地点に接続することができる。一実施形態において、バイアス制御回路118は、サンプル台111と一体化されて、フォトマスク110に(例:電圧源を介して)負電位を印加しながら、ペリクル108を接地させるべくサンプル台111とペリクル108および/またはフォトマスク110との間で1個以上の電気的接続を確立する。
一実施形態において、遅延電圧は、フォトマスク110の表面と衝突した際にビーム104内の電子を減速させる役割を果たす。フォトマスク表面に入射する電子の減速により、表面のより細かい部分に対するシステム100の感度が増す。次いで、二次電子125は、フォトマスク110から発せられた際に、ペリクル108を貫通して通過するのに充分な電圧で加速されてペリクル108へ戻る。次に、二次電子がペリクル108から生じたならば、検出器アセンブリ112により収集される。
図1Gに、本開示の一実施形態による、後方散乱電子の収集および/またはペリクル108またはフォトマスク110による電子の吸収の結果生じた電流信号を用いてフォトマスク110を描画すべく構成されたシステム100を示す。
一実施形態において、ペリクル108により吸収される後方散乱電子123により導電性ペリクル108内で誘起された電流を測定する。例えば、システム100は、ペリクル108からの電流を増幅すべくペリクル108に結合された1個以上の電流増幅器131を含んでいてよい。この点に関して、フォトマスク110全体を(ペリクル108を通して)一次ビーム104で走査するにつれて、コントローラ132は、増幅器131により増幅されたペリクル108からの出力電流を計測することができる。次いで、コントローラ132は、ペリクル108による後方散乱電子123の吸収により誘起された測定電流によりフォトマスク110の表面の1個以上の部分を描画することができる。
別の実施形態において、フォトマスク110により吸収される電子により導電性フォトマスク110内で誘起された電流を測定する。例えば、システム100は、フォトマスク110からの電流を増幅すべくフォトマスク110に結合された1個以上の電流増幅器133を含んでいてよい。この点に関して、フォトマスク110全体を一次ビーム104で走査するにつれて、コントローラ132は増幅器133により増幅されたフォトマスク110からの出力電流を計測することができる。次いで、コントローラ132は、フォトマスク110による電子(すなわちフォトマスクにより散乱されなかった電子)の吸収により誘起された測定電流によりフォトマスク110の表面の1個以上の部分を描画することができる。
一実施形態において、システム100はコントローラ132を含んでいる。コントローラ132は、後方散乱電子検出器112および/または電流増幅器131および/または電流増幅器133の出力部に通信可能に結合されていてよい。
別の実施形態において、コントローラ132は、電流増幅器131および/または133からの測定電流と、1個以上の後方散乱電子検出器112からの測定された後方散乱電子信号との組み合わせに基づいて、フォトマスク110の1個以上の部分の画像を形成することができる。この点に関して、コントローラ132は当分野で公知の任意の仕方で信号を組み合わせることができる。例えば、コントローラ132は、電流および/または電子信号を較正した後、当該信号を加算または減算してコンポジット信号を形成することができる。この点に関して、散乱された後方散乱信号および吸収された電子信号を組み合わせることも、または削減することもできる。
図1Hに、本開示の一実施形態による、二次電子の収集および/またはペリクル108による電子の吸収、あるいはフォトマスク110から遠ざかる電子により生じた電流信号によりフォトマスク110を描画すべく構成されたシステム100を示す。
一実施形態において、ペリクル108により吸収された二次電子125により導電性ペリクル108内で誘起された電流を測定する。例えば、ペリクル108に結合された1個以上の電流増幅器131がペリクル108からの電流を増幅することができる。フォトマスク110全体を一次ビーム104で走査するにつれて、コントローラ132は増幅器131により増幅されたペリクル108からの出力電流を計測することができる。次いで、コントローラ132は、ペリクル108による二次電子125の吸収により誘起された測定電流によりフォトマスク110の表面の1個以上の部分を描画することができる。
別の実施形態において、フォトマスク110から遠ざかる二次電子に起因して導電性フォトマスク110内で誘起された電流を測定する。例えば、フォトマスク110に結合された1個以上の電流増幅器133がフォトマスク110からの電流を増幅することができる。フォトマスク110全体を一次ビーム104で走査するにつれて、コントローラ132は、増幅器133を介した増幅されたフォトマスク110からの出力電流を計測することができる。次いで、コントローラ132は、フォトマスク110から二次電子125が放出された結果誘起された測定電流によりフォトマスク110の表面の1個以上の部分を描画することができる。
一実施形態において、システム100はコントローラ132を含んでいる。コントローラ132は、二次電子検出器122および/または電流増幅器131および/または電流増幅器133の出力部に通信可能に結合されていてよい。
別の実施形態において、コントローラ132は、電流増幅器131および/または133からの測定電流と、1個以上の二次電子検出器122からの測定された二次電子信号との組み合わせに基づいて、フォトマスク110の1個以上の部分の画像を形成することができる。この点に関して、コントローラ132は当分野で公知の任意の仕方で信号を組み合わせることができる。例えば、コントローラ132は、電流および/または電子信号を較正した後、当該信号を加算または減算してコンポジット信号を形成することができる。
一実施形態において、コントローラ132は、1個以上プロセッサに本開示に記述する1個以上のステップを実行させるのに適したプログラム命令を実行すべく構成された1個以上のプロセッサ(図示せず)を含んでいる。一実施形態において、コントローラ102の1個以上プロセッサは、コントローラ132の1個以上プロセッサに本開示に記述する各種ステップを実行させるべく構成されたプログラム命令を含む担持媒体(例:非一時的記憶媒体(すなわちメモリ媒体))と通信状態にあってよい。本開示の全体を通じて記述各種処理ステップが単一のコンピュータシステム、または代替的に複数のコンピュータシステムにより実行可能である点を認識されたい。コントローラ132は、パーソナルコンピュータシステム、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、画像コンピュータ、並列プロセッサ、または当分野で公知の他の任意の装置を含んでいてよいが、これらに限定されない。一般に、用語「コンピュータシステム」は広義には、メモリ媒体からの命令を実行する1個以上のプロセッサを有する任意の装置を含むものと定義できる。更に、システム100の異なるサブシステムが、上述のステップの少なくとも一部を実行するのに適したコンピュータシステムまたは論理素子を含んでいてよい。従って、上の記述は本開示を限定するものと解釈すべきではなく、単に説明用に過ぎない。
図1I〜1Jに、本開示の追加的な実施形態による、初期二次電子のガス増幅の結果生じた増幅電子信号を収集することによりペリクルにより保護されたフォトマスクを描画すべく構成されたシステム100を示す。最初にフォトマスク110により発せられた二次電子の電圧が低く(例:3〜5eV)、従ってペリクル108により吸収されるにはエネルギーが不充分である点に注意されたい。
一実施形態において、加圧ガス媒体136は、ペリクル108とフォトマスク110との間の空間に維持されている。加圧ガス媒体136は、電子カスケードプロセスによりフォトマスク110の表面から発せられた微弱な初期二次電子を増幅する役割を果たす。この点に関して、一次電子ビーム104(例:エネルギーが5〜200kVの)がフォトマスク110の表面に衝突した後、フォトマスク110は初期二次電子を発する。次いで、これらの初期二次電子は、加圧ガス媒体と相互作用(すなわち、電子がガス粒子と衝突)して、追加的な電子(および光子)を発する。このプロセスがカスケードプロセスとして反復された結果、初期二次電子信号よりも顕著に強い二次電子信号が得られる。10,000倍の増幅率を実現することができる。加圧ガス媒体136は、イオン化および電子のカスケード化を維持するのに適した任意のガスを含んでいてよい。また、加圧ガス媒体136に存在する有機材料の量を最小限に抑えることが望ましい。加圧ガス媒体136は、H2O、O2、H2、O3、またはN2を含んでいてよいが、これらに限定されない。更に、加圧ガス媒体136は0.1〜10Torrの圧力に保たれていてよい。電子−ガス相互作用により生じたイオン化媒体が、フォトマスク110を洗浄および/またはフォトマスク110の清潔さを維持する洗浄剤としての役割を果たり得る点に更に注意されたい。
別の実施形態において、加速電圧がペリクル108とフォトマスク110との間で生じる。一実施形態において、加速電圧は、フォトマスク110に対して正のバイアスをペリクルに掛けることにより生じる。例えば、ペリクル108を正電位に保った状態でフォトマスク110を接地することができる。例えば、図1I、1Jに示すように、バイアス制御回路118は、ペリクル108に(例:電圧源を介して)正電位を印加しながらフォトマスク110を接地点に接続することができる。バイアス制御回路118はサンプル台111と一体化されていて、フォトマスク110を接地すべく、ペリクル108に正電位を印加しながら、サンプル台111と、ペリクル108および/またはフォトマスク110との間に1個以上の電気接続を確立することができる。加速電圧は、ガス増幅されたカスケード電子129をペリクル108に向けて加速して、ガス増幅されたカスケード電子129をペリクル108により多く吸収させる役割を果たす。
ペリクル108に、ガス増幅されたカスケード電子信号をペリクル108で充分に生成するのに適した任意の電圧でバイアスが掛けられていてよい点に注意されたい。例えば、ペリクル108は、+0.1V〜1000Vの電圧でバイアスが掛けられていてよい。
別の実施形態において、ガス増幅されたカスケード電子129により導電性ペリクル108内で誘起された電流が測定される。例えば、システム100は、ペリクル108からの電流を増幅すべくペリクル108に結合された1個以上の電流増幅器131を含んでいてよい。この点に関して、フォトマスク110全体を(ペリクル108を通して)一次ビーム104で走査するにつれて、コントローラ132は、増幅器131により増幅されたペリクル108からの出力電流を計測することができる。次いで、コントローラ132は、ペリクル108によるガス増幅されたカスケード電子の吸収により誘起された測定電流によりフォトマスク110の表面の1個以上の部分を描画することができる。
別の実施形態において、フォトマスク110から遠ざかるガス増幅されたカスケード電子129に起因して導電性フォトマスク内で誘起された電流を測定する。例えば、システム100は、フォトマスク110からの電流を増幅すべくフォトマスク110に結合された1個以上の電流増幅器133を含んでいてよい。この点に関して、フォトマスク110全体を一次ビーム104で走査するにつれて、コントローラ132は、増幅器133により増幅されたフォトマスク110からの出力電流を計測することができる。次いで、コントローラ132は、測定電流によりフォトマスク110の表面の1個以上の部分を描画することができ、これはガス増幅されたカスケード電子がフォトマスク110から遠ざかる時点である。
別の実施形態において、図1Jに示すように、システム100は1個以上の光検出器134を含んでいる。1個以上の光検出器134は、電子−ガス相互作用の結果としてガス媒体136から発せられた光子の収集に適している。例えば、1個以上の光検出器134は、光電子増倍管またはアバランシェ光センサを含んでいるが、これらに限定されない。別の実施形態において、コントローラ132は、1個以上の光検出器134に通信可能に結合されていて、1個以上の光検出器134からの測定光子信号を表す1個以上の信号を受信すべく構成されている。次いで、コントローラ132は、1個以上の光検出器134から受信された光子信号を用いてフォトマスク110の表面の1個以上の部分を描画することができる。
別の実施形態において、コントローラ132は、電流増幅器131および/または133からの測定電流と、1個以上の光検出器134からの測定光子信号との組み合わせに基づいて、フォトマスク110の1個以上の部分の画像を形成することができる。この点に関して、コントローラ132は、当分野で公知の任意の方法で信号を組み合わせることができる。例えば、コントローラ132は、電流および/または光信号を較正した後、当該信号を加算または減算してコンポジット信号を形成することができる。
SEM検出を強化するガス媒体の使用は、1991年2月12日出願のDanilatosによる米国特許第4,992,662号に概要が記述されており、その全文を本明細書に引用している。SEM検出を強化するガス媒体の使用は、1994年11月8日出願のKnowles他による米国特許第5,362,964号にも記述されており、その全文を本明細書に引用している。
図1A〜1Jに示すシステム100の実施形態は、本明細書に記述するように更に構成されていてよい。また、システム100は、本明細書に記述する任意の方法実施形態(群)の他の任意のステップ(群)を実行すべく構成されていてよい。
図2は、保護ペリクルを通してサンプルを描画する方法で実行されるステップを示すフロー図である。処理フロー200のステップがシステム100の1個以上の実施形態により実行可能である点を認識されたい。しかし当業者には、各種のシステム構成が処理フロー200を実行可能であることが考えられるため、システム100が処理200を限定するものであると解釈すべきでない点を認識されたい。
第1のステップ202において電子ビームを生成する。例えば、図1Aに示すように、電子ビーム104は電子ビーム源102を用いて生成することができる。
第2のステップ204において、ペリクルを通してサンプルの表面へ電子ビームを誘導する。例えば、図1A〜1Jに示すように、電子光学カラム106の電子光学素子は、ペリクル108を通してビーム104をフォトマスク110等の、但しこれらに限定されないサンプルの表面に誘導する。
第3のステップ206において、後方散乱電子、二次電子および/またはペリクル108を通して後方へ逆向きに送られた光子を検出する。例えば、図1Aに示すように、後方散乱電子123をフォトマスク110の表面から散乱してペリクル108を横断させることができる。後方散乱電子123がペリクル108を通過した後、1個以上の後方散乱電子検出器112が後方散乱電子を収集することができる。コントローラ132は、収集された後方散乱電子信号を用いてフォトマスク110の表面の1個以上の部分を描画することができる。
別の例として、図1Eに示すように、二次電子125をフォトマスク110の表面から発してペリクル108を横断させることができる。二次電子125がペリクル108を通過した後、1個以上の二次電子検出器122は二次電子125を収集することができる。コントローラ132は、収集された二次電子信号を用いてフォトマスク110の表面の1個以上の部分を描画することができる。
別の例として、図1I、1Jに示すように、初期「微弱」二次電子をフォトマスク110の表面から発して、加圧ガス媒体136により増幅/増倍することができる。ガス増幅により生成された電子は次いで、ペリクル108に衝突するか、またはフォトマスク110自身により吸収される。ガス増幅により生成された電子がペリクル108により吸収された、および/またはフォトマスク110により発された後、電流が(例:、電流増幅器131、133、およびコントローラ132を介して)測定される。コントローラ132は、ペリクル108により吸収された電子および/またはフォトマスク110から遠ざかる電子に付随する測定電流を用いて、フォトマスク110の表面の1個以上の部分を描画することができる。
別の例として、図1Jに示すように、電子−ガス相互作用の結果として光子137をガス媒体136から発することができる。電子−ガス相互作用により生成された光子137が光学的に透明なペリクル108を通過した後、1個以上の光検出器134(例:1個以上の光電子増倍管)が光子137を収集することができる。コントローラ132は、収集された光子信号を用いてフォトマスク110の表面の1個以上の部分を描画することができる。
方法200およびシステム100が、本明細書に記述する各種の検出モードの任意の組み合わせを用いてサンプルを描画することができる点に更に注意されたい。例えば、ガス増幅の場合、コントローラ132は、電流増幅器131および/または133からの測定電流信号と、1個以上の光検出器134からの測定光子信号との組み合わせに基づいて、フォトマスク110の1個以上の部分の画像を形成することができる。この点に関して、コントローラ132は当分野で公知の任意の仕方で信号を組み合わせることができる。例えば、電流および/または光信号を較正した後、コントローラ132は信号を加算または減算してコンポジット信号を形成することができる。増幅器131および/または増幅器133からの測定電流信号はまた、後方散乱電子検出器112からの後方散乱電子測定値(図1G参照)および/または二次電子検出器122からの二次電子測定値(図1H参照)と組み合わせてもよい点に更に注意されたい。
本明細書に記述する全ての方法は、当該方法実施形態の1個以上のステップの結果を記憶媒体に保存するステップを含んでいてよい。これらの結果は、本明細書に記述する任意の結果を含んでいてもよく、当分野で公知の任意の仕方で保存することができる。記憶媒体は、本明細書に記述する任意の記憶媒体、または当分野で公知の他の任意の適切な記憶媒体を含んでいてよい。これらの結果が保存された後、本明細書に記述する任意の方法またはシステム実施形態により記憶媒体内の当該結果にアクセスして使用し、ユーザーに対して表示すべくフォーマット化し、他のソフトウェアモジュール、方法、またはシステム等により使用することができる。更に、これらの結果は「永久的に」、「半永久的に」、一時的に、または一定の期間保存することができる。例えば、記憶媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)であってよく、これらの結果は必ずしも無期限に記憶媒体に残される訳ではない。
当業者には、システムの態様のハードウェア実装とソフトウェア実装との間に殆ど差異が無い所まで先端技術が発展していることが認識されよう。ハードウェアまたはソフトウェアの使用は一般に(但し状況に応じてハードウェアおよびソフトウェアの選択が重要になり得る点で例外もあるが)、費用対効果のトレードオフを表す設計上の選択である。当業者には、本明細書に記述するプロセスおよび/またはシステムおよび/または他の技術に影響を及ぼし得る各種の方式(例:ハードウェア、ソフトウェアおよび/またはファームウェア)があること、並びに方法および/またはシステムおよび/または他の技術を展開される状況により好適な方式が異なることが認識されよう。例えば、実装者が、速度と正確さが最重要であると判断すれば、当該実装者は主にハードウェアおよび/またはファームウェア方式を選択し、柔軟性が最重要である場合、実装者は主にソフトウェア実装を選択することができ、あるいは代替的に、実装者はハードウェア、ソフトウェアおよび/またはファームウェアの何らかの組み合わせを選択してもよい。従って、本明細書に記述する方法および/または装置および/または他の技術に影響を及ぼし得るいくつかの可能な方式があるが、利用するいずれの方式も、当該方式を適用する状況および実装者の特定の関心事(例:速度、柔軟性、または予測可能性)に依存する選択であって、そのいずれも変動し得るため、いずれの方式も他の方式よりも本質的に優れている訳ではない。当業者には、実装方式が光学的態様であるため、光学的ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアを典型的に用いることが認識されよう。
当業者には、本明細書に開示する仕方で装置および/またはプロセスを記述した後、そのように記述した装置および/またはプロセスを工学的手法を用いてデータ処理システムと一体化することが当分野で一般的であることが認識されよう。すなわち、本明細書に記述する装置および/またはプロセスの少なくとも一部を、合理的な回数の実験を通じてデータ処理システムに一体化することができる。当業者には、典型的なデータ処理システムが一般に、システム装置筐体、ビデオ表示装置、揮発性および不揮発性メモリ等のメモリ、マイクロプロセッサおよびデジタル信号プロセッサ等のプロセッサ、オペレーティングシステム、ドライバ、グラフィッカルユーザーインターフェース、およびアプリケーション・プログラム等のコンピューターエンティティ、タッチパッドまたは画面等の1個以上の対話装置、および/またはフィードバックループおよび制御モーターを含む制御システム(例:位置および/または速度検知用のフィードバック、要素および/または量を移動および/または調整する制御モーター)、のうち1個以上を含むことを認識されよう。典型的なデータ処理システムは、データコンピューティング/通信および/またはネットワークコンピューティング/通信システムに典型的に見られる任意の適当な市販の製品を利用して実装することができる。
本開示およびこれに付随する利点の多くが上述の説明により理解されるものと思われ、開示する主題から逸脱することなく、且つその全ての実体的な利点を犠牲にすることなく、構成要素の形式、構造、配置に対して各種の変更を行い得る点が明らかであろう。上述の形式は単に説明用に過ぎず、以下の請求項がこれらの変更をも包含することを意図している。