JP3679763B2 - 電子線照射装置、及び走査型電子顕微鏡装置、x線分析装置 - Google Patents

電子線照射装置、及び走査型電子顕微鏡装置、x線分析装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子線照射装置あるいは走査型電子顕微鏡装置に関し、特に小型でかつ低真空下で動作可能な装置に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】
走査電子顕微鏡(SEM)は細く絞った電子線を試料上に照射し、試料から発生する2次電子や反射電子を検出して像を形成する装置であり、高分解能で表面を観察する手段として幅広い分野で用いられている。さらに近年においては、試料を低真空中に保持した状態で表面を観察できる装置(低真空SEMあるいは環境制御型SEM)が開発され、食品や生物等の水分を含む試料や絶縁試料の観察に応用されている。
【0003】
走査電子顕微鏡の一般的な構成を説明する。図5において101は電子銃、102は加速電極、103はコンデンサーレンズ、104は偏向レンズ、105は対物レンズ、106は試料、107は2次電子検出器、108は画像表示装置を示している。電子銃101から放出された電子は加速電極102により所望の電圧に加速され、コンデンサーレンズ103と対物レンズ104によって収束されて、試料106上に微小なプローブを形成する。このプローブを偏向レンズ104により走査し、プローブ領域近傍から発生する2次電子や反射電子を検出器107で検出して、この信号強度を前記プローブの走査と同期させて画像表示装置108に表示する。なお図5には示していないが、実際には装置内部を真空に排気するための複数の真空ポンプや、またレンズ系を冷却するための冷却循環装置等が装備される。市販されている走査電子顕微鏡の設置面積は機種により異なるが通常は3mX3m程度であり、装置の総重量は数100kgから1トンを超える。
【0004】
走査電子顕微鏡装置が大型化する最大の理由は、高分解能を達成するために磁界型レンズを用い、しかも20−30kVの高加速電圧を印加できるように構成されているためである。すなわち電子を高速に加速し、収束および走査するためのレンズ構成部品が大きなり、必然的に電子光学鏡筒が大型化する。また電子光学鏡筒と試料室を含む大容量の容器内を真空に維持するために大型の排気系も必要になる。
【0005】
このように走査電子顕微鏡は光学顕微鏡や走査型プローブ顕微鏡等の観察手段に比べると圧倒的に大型である。低真空型のSEMにはさらに固有の問題点がある。低真空SEMの場合、1次電子が試料に到達するまでの過程と試料表面から放出された2次電子や反射電子が検出器に到達する過程で、多くの電子が雰囲気中のガス分子と衝突してしまい、その結果として空間分解能の低下や像質の低下が引き起こされる。したがって現状では低真空化には限界があり、試料周りをある程度排気する必要がある。
【0006】
走査電子顕微鏡を小型化し、操作性や機能性を向上させる試みはいくつか提案されている。例として特開平5−299049では、電子銃と加速電極と偏向電極と検出器とを含む多数の電子線照射部を備えた小型の表面センサーを開示している。また電子線照射位置は試料台の下部に配置したアクチュエータによってXYZ方向を変化させて広い面積を同時に走査できるようにしている。
【0007】
しかしながら上記の表面センサーは装置の小型化については達成されているものの、電子線照射装置あるいは走査電子顕微鏡としての性能は、充分に保持されているとはいい難い。特に走査電子顕微鏡において充分な空間分解能を得るには、1次電子線を充分細く絞って試料上に照射する必要がある。一般に電子線源から放出された電子線は発散傾向をもつため、この電子線を収束するためには何らかの電子レンズが必要となる。ところが、上記の表面センサーには偏向レンズは装着されているが、電子線を収束するための電子レンズが装着されていないので、試料上で充分収束されたプローブを形成できないと考えられる。
【0008】
また試料台を動かす目的は観察位置を変えることにあり、電子線の走査には偏向電極を備えていることが本発明の装置とは異なる点である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の課題は上記の問題点を解決し、高い空間分解能をできるだけ損なわずに走査電子顕微鏡の小型化を達成することである。さらに本発明第2の課題は、試料が低真空雰囲気下や大気圧雰囲気下でも動作可能な走査電子顕微鏡を提供することである。上述したように低真空仕様のSEMは、現状では真空の圧力が高すぎると空間分解能の低下や検出効率の低下を生じる問題があり、まだ充分満足できるものとは言えない。本発明は、小型でかつ低真空あるいは大気中で動作可能な走査電子顕微鏡を実現することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決するために、まず電子源を小型にするために偏向レンズを持たない構成とし、試料台との相対位置をピエゾ素子によってXY方向に機械的に移動することで、面観察を可能にした小型の電子顕微鏡装置である。
【0011】
そのために電子線源と、この電子線源から放出された電子を加速する加速電極と、加速された電子線を収束する電子レンズとを備え、且つ前記電子線の照射方向を電磁的に変える偏向手段を持たない一体化された電子線照射部と、前記電子線照射部の内部を排気する手段と、前記排気手段と前記電子線照射部との間に接続され、前記排気手段を固定して前記電子線照射部の位置を機械的に移動させる手段を備えたことを特徴とする電子線照射装置を提供することにある。
【0014】
また前記機械的移動手段がXYZ方向に移動できる機能を有することを特徴とし、さらには前記機械的移動手段にピエゾ素子を用いることを特徴とする電子線照射装置を提供することにある。
【0015】
また特にピエゾ素子をXY方向に駆動して電子線照射部と試料上の電子線の照射位置をXY方向に移動する手段と電子線照射位置から発生する情報を検出する検出器を備え、面観察を行う機能を有することを特徴とする電子顕微鏡装置を提供することにある。
【0016】
また前記ピエゾ素子によって試料台の高さを変化することにより、観察試料に対する電子線の収束位置を調整できることを特徴とした電子顕微鏡装置を提供することにある。
【0017】
さらには電子線を収束する電子レンズが静電レンズであり、この静電レンズを構成する電極に印加する電圧を変えることによってレンズの焦点距離を変化できる機能を有することを特徴とする電子線照射装置を提供することにある。
【0018】
また本発明は上記小型の電子線照射装置を利用したX線分析装置である。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明は上記問題点を解決し電子線照射装置の小型化を実現するため、微小な電子線源と加速された電子線を収束する微小な静電レンズとを有する電子光学鏡筒を用い、かつ上記電子光学鏡筒と試料の相対位置を機械的に変化させ、XY方向に走査することによって電子線を試料表面上でラスタースキャンすることを特徴とする。
【0020】
上記の微小な電子光学鏡筒に収納される電子放出源は熱電子放出のように高温加熱する必要がなく、かつ低真空でも安定に動作する方式が望ましい。さらに高い空間分解能を得るには電子放出源の放出面積ができるだけ小さいことが望ましい。このような性質を備える電子放出源として、たとえばカーボンナノチューブあるいはカーボンナノファイバーからの電界放出を用いることできる。また上記の微小な電子光学鏡筒は静電レンズの電極間に生じる放電を避けるために比較的低い加速電圧が設定される。通常は加速電圧が低くなると空間分解能が低下するという問題がある。しかし、本発明においては電子軌道を偏向するによって電子線を走査する必要がないので電子線の中心を常に光軸上に置けること、また低加速電圧のもとで充分短い焦点距離を設定できること、等の特徴から空間分解能の低下を最小限に抑えている。
【0021】
電子光学鏡筒と試料の相対位置を走査する方法としては、走査トンネル顕微鏡の場合と同様にピエゾ素子の駆動を利用できる。すなわち上述した観察試料をピエゾ素子からなるスキャナー上に形成し、このピエゾ素子を駆動することによって1次電子線の照射位置を水平方向にスキャンする。上記手段によれば、観察範囲にかかわらず電子光学鏡筒と試料間(あるいは電子源と試料間)の距離を充分小さくできるので、比較的単純かつ微小なレンズ構成によって電子線を試料上に充分収束できる。なお、本発明の重要な特徴は収束レンズ系を含む電子光学鏡筒全体を機械的に走査することであり、この点において偏向レンズをその構成要素として含み、それによってXY方向に電子ビームを走査する前記特開平5−299049とは明確に異なるものである。また本発明は上記電子光学鏡筒の作製法について何ら制限を設けるものではないが、薄膜成長技術、半導体プロセス技術、またマイクロメカニクスやFIB等による微細加工技術を複合することにより、微小な電子光学鏡筒を作製することが可能である。
【0022】
本発明の別の特徴は試料を低真空あるいは大気圧下のもとで観察できるように、上記電子光学鏡筒の内部を試料周りとは独立に排気する手段を備えることである。低真空下での走査電子顕微鏡観察を阻害する大きな要因は、1次電子が試料に到達するまでの経路でガス分子に散乱され、その結果1次電子線の信号強度の低下や強度分布の広がりが生じてしまうことである。一定の真空圧力下で1次電子線がガス分子と衝突する確率を小さくするには1次電子線が低真空下を通過する距離をできるだけ短くすることが効果的である。本発明の走査電子顕微鏡は低真空雰囲気となる電子光学鏡筒から試料までの距離を非常に短くできるので電子とガス分子の衝突確率を低く抑えることができる。市販の走査電子顕微鏡では、鏡筒から試料までの距離は、通常数mm−数cmのオーダーであるのに対して、本発明では鏡筒から試料までの距離を1μm以下にすることも容易である。同一の雰囲気と加速電圧のもとで比較すれば、本発明の走査電子顕微鏡における入射電子の散乱確率は一般の装置に比べて3桁以上小さくなる。これより大気圧下であっても信号強度が高く充分収束された電子線を照射することが可能になる。
【0023】
なお、本発明は2次電子や反射電子等の信号検出の手段を特に制限するものではないが、試料が導電性であれば最も単純な方法として、2次電子や反射電子等の発生の結果生じる吸収電流を信号として検出することができる。
【0024】
以下本願の形態を実施例に基づいて詳細に説明する。
【0025】
参考例
図1に本参考例の全体像を示す。1は電子光学鏡筒、2は電子光学鏡筒1の内部を排気するソープションポンプ、3は試料、4は試料からの吸収電流を増幅するプリアンプ、5はピエゾ素子スキャナー、6は回転およびXYZ移動機構を有するステージ、7は装置全体のフレームである。また8は電子光学鏡筒の各レンズ電極の電圧を制御するためのレンズ制御ユニット、9はピエゾ素子を制御するピエゾスキャナーユニット、10は試料電流を検出する検出ユニット、11は各ユニット9、10、11を制御し画像信号を形成するメインコントロールユニット、12は走査電子顕微鏡像を表示するディスプレーである。
【0026】
参考例の走査電子顕微鏡を動作中は、ソープションポンプ2により電子光学鏡筒1の内部を排気するが、試料周りの領域13は大気状態であってかまわない。また目的に応じて、フレームに設けられた開孔部14から適当な真空ポンプを用いて領域13を排気するか、あるいは適当なガスで置換する。電子線照射によって試料から放出された反射電子あるいは2次電子を検出するための手段として、本参考例では試料−グランド間に流れる吸収電流をプリアンプ4により増幅して検出する。この検出方法によれば試料からの全放出電流を定量的に検出できる。またリーク電流の影響を受けにくいのでSN比の高い良好な像が得られる。
【0027】
図2は本参考例の電子光学鏡筒2の部分を拡大した断面を表す。15は絶縁体基板を表し、その一部には電子光学鏡筒の内部を排気するための開孔部16が設けられている。絶縁体基板15上には電極17が形成され、さらにその上にカーボンナノチューブからなる電子源チップ18が形成されている。19は引出し電極、20は加速電極、21は電子を収束するための収束レンズであるアインツェルレンズを表し、22、23、24の3つの電極によって構成されている。ただし収束レンズはアインツェルレンズに限るものではなくどのような静電レンズであってもかまわない。上記の電極17、19、20、21、22、23、24および外周電極25は絶縁体15、26、27により電気的に絶縁され、引出し配線(不図示)を通じて電極端子28に接続されており、外部から各電極に対して独立に電圧を印加できる。29はソープションポンプ2との接続部分を表し、Oリング30により真空をシールし、開孔部16から電子光学鏡筒内部を排気する。
【0028】
本装置を動作するにはまずソープションポンプ2に液体窒素を投入し、排気バルブ(不図示)を開けることにより、開孔部16から電子光学鏡筒1の内部を排気する。低真空領域13のガス分子は電子線の出射口(電極24の部分)を通じて電子光学鏡筒1の中に入り込むが、一方で開孔部16から排気されているので、排気開始から一定時間経過後は電子光学鏡筒1の内部には真空の定常状態が形成される。充分に電子光学鏡筒内部が排気された後、引出し電極19に電圧を印加して電子源18より電子を放出させ、加速電極20、収束レンズ21を動作することにより、試料3上に細く絞った電子線を照射する。このとき、電子光学鏡筒の外周電極25あるいは電極24と試料3との電位差は自由に設定できる。電極24と電極25を同電位に設定し、この電位と試料3を同電位に設定した場合は、通常のSEMと同様であり電子はこの空間内を直線的に運動する。一方、試料3に対して上記電位をプラスに設定すると、電子光学鏡筒1−試料3間にほぼ一様な電場が形成される。この状況は低速電子顕微鏡(LEEM)や光電子放射顕微鏡(PEEM)の場合と類似しており、電子光学鏡筒1−試料3の空間も一種の電子レンズとして作用し、電子は放物線軌道を描いて減速しながら試料上に収束する。試料上に照射される電子の運動エネルギーを数eV以下に設定することも容易であり、したがって2次電子はほとんど発生せず、検出される信号は実質的に反射電子のみである。
【0029】
本発明の走査電子顕微鏡は試料上で電子線を充分収束させるために電子光学鏡筒−試料間の距離は通常のSEMに比べてかなり短く、標準的な使用条件としては数10nmから数10μm程度である。したがって、試料表面の大きな凹凸があると、電子線の照射位置によってフォーカス条件を変える必要が生じる。このような場合は、フォーカス条件を変えた複数の走査像を取得し、画像処理によりフォーカスの合った領域をつなぎ合わせることにより、全体にフォーカスの合った像を取得するとともに試料表面の形状を計測する。なお、フォーカスは収束レンズ21の設定値、あるいはピゼゾ素子5を駆動して試料をZ方向に移動させるか、あるいはその両方を組み合わせることによって行う。
【0030】
なお本参考例は走査電子顕微鏡としての用途のほかに、電子線露光装置等の電子線照射装置としても用いることができる。
【0031】
(実施例2)
図3に本実施例の全体像を示す。31は電子光学鏡筒、32はピエゾ素子スキャナー、33は試料から放出された2次電子あるいは反射電子を吸収電流として取り込み増幅するプリアンプ、34は電子光学鏡筒31の内部を排気するソープションポンプ、35は試料、36は回転およびXYZ移動機構を有する試料ステージ、37は装置全体のフレームである。また38は電子光学鏡筒31の中の各レンズと、プリアンプ33と、ピエゾ素子スキャナー32を制御するコントロールユニット、39は走査電子顕微鏡像を表示するディスプレーである。
【0032】
図4は本実施例の電子光学鏡筒31、ピエゾ素子スキャナー32、プリアンプ33を含む部分を拡大した断面を表す。40は絶縁体基板を表し、その一部には電子光学鏡筒の内部を排気するための開孔部41が設けられている。絶縁体基板40上には電極膜42が形成され、さらにその上にカーボンナノチューブからなる電子源チップ43が形成されている。44は引出し電極、45は加速電極、46は電子を収束レンズであるアインツェルレンズを表し、47、48、49の3つの電極によって構成されている。ただし収束レンズはアインツェルレンズに限るものではなくどのような静電レンズであってもかまわない。上記の電極42、43、44、45、46、47、48、49および外周電極50は絶縁体40、51、52により電気的に絶縁され、引出し配線(不図示)を通じて電極端子53に接続され、外部から各々独立に電圧を印加できる。54はZ方向駆動用のピエゾ素子、55はXY方向駆動用のピエゾ素子、56はソープションポンプ34との接続部分を表し、一部にプリアンプ57、電極端子53が配置されている。上記54、55、56は各々が中空構造をなして連結している。57はOリングを表し、ソープションポンプ34の排気口部分がOリング57に圧着して真空をシールし、開孔部41から電子光学鏡筒内部を排気する。
【0033】
本実施例が参考例と異なる点は、まず第1に電子光学鏡筒と試料の相対位置を走査する手段として、試料を固定したまま電子光学鏡筒をピエゾ素子スキャナーによりラスタースキャンすることである。この際、ソープションポンプを含むフレーム全体を固定するために、ピエゾ素子スキャナー54、55を中空構造とし、その固定端をソープションポンプ側の排気口に接続し、この中空部を通して排気を行うようにしている。なお、図4では円筒型のピエゾ素子スキャナーを例示しているが、スキャン精度を高めるにはテトラポット型のピエゾ素子スキャナーを採用する方がより好ましい。この場合はZ方向のピエゾ素子を中空構造にすることにより、電子光学鏡筒内部を排気することができる。本実施例では観察中に試料を移動する必要がないので、試料の重量には特に制約がない。
【0034】
本実施例が参考例と異なる第2の点は、2次電子または反射電子の検出部を試料側ではなく電子光学鏡筒側に配置したことである。試料から放出された2次電子または反射電子は、試料に対してプラス電圧を印加された外周電極50により捕獲されプリアンプ57で増幅されて吸収電流として検出される。したがって試料が導電性でなければならないという制約はなく、絶縁試料であっても観察できる。なお本実施例ではソープションポンプ34に投入された液体窒素の一部を利用して、プリアンプ57を低温に冷却しているのでSN比の高い信号が得られる。
【0035】
(実施例3)
また本発明の小型電子顕微鏡では、電子線照射部と試料の距離が短いことから、電子線照射部の試料と対向する部分に二次電子検出部61を設ける構成とすることも効果がある。この様子を図6に示す。
【0036】
また同様に図6に示すように、電子線照射部の試料と対向する部分に赤外線照射手段62を設け、観察位置を赤外線によって加熱して、環境からの汚染物を除去することも可能である。
【0037】
なお本実施例は走査電子顕微鏡としての用途のほかに、電子線露光装置等の電子線照射装置としても用いることができる。
【0038】
(実施例4)
また本発明の小型電子線照射装置とX線検出器を組み合わせて、小型の分析装置を提供することも可能である。この様子を図7に示す。電子線照射部41から発生した電子線が試料81に当たり、特性X線を発生する。これをX線検出窓74を通じてX線検出器72に導いて検出する。
【0039】
図7ではX線検出器は試料と対向する部位に配置されているが、本発明はこれに限定されない。
【0040】
【発明の効果】
本発明を用いることにより小型で操作性が高い電子線照射装置を提供することが可能になる。また本発明を走査電子顕微鏡として用いることにより、低真空化あるいは大気圧雰囲下での自然な状態で試料を観察できるようになる。また小型のX線分析装置として利用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子顕微鏡装置の全体図を示す。電子光学鏡筒1から試料3に対して電子線が照射され、ピエゾ素子スキャナー5で試料3はXY方向に走査される。
【図2】図1に示す電子光学鏡筒1の拡大図
【図3】本発明の電子顕微鏡装置の他の実施例を示す。電子光学鏡筒1にはピエゾ素子スキャナーがセットされXY方向に走査される。
【図4】図3に示す電子光学鏡筒31の拡大図
【図5】従来の走査型電子顕微鏡装置の説明図
【図6】本発明の電子光学鏡筒の先に、検出器と赤外線加熱手段をセットした応用装置の図
【図7】本発明の他の実施例でX線検出部72を備えた電子顕微鏡装置の図
【符号の説明】
1 電子光学鏡筒
2 ソープションポンプ
3 試料
4 プリアンプ
5 ピエゾ素子スキャナー
6 試料ステージ
7 フレーム
8 レンズ制御ユニット
9 ピエゾ素子スキャナーユニット
10 電流検出ユニット
11 メインコントロールユニット
12 ディスプレー
13 試料環境領域
14 開孔部
15 絶縁体基板
16 開孔部
17 カソード電極
18 カーボンナノチューブ
19 引出し電極
20 加速電極
21 アインツェルレンズ
22 アインツェルレンズの電極
23 アインツェルレンズの電極
24 アインツェルレンズの電極
25 外周電極
26 絶縁体
27 絶縁体
28 電極端子
29 接続部
30 Oリング部
31 電子光学鏡筒
32 ピエゾ素子スキャナー
33 プリアンプ部
34 ソープションポンプ
35 試料
36 試料ステージ
37 フレーム
38 制御ユニット
39 ディスプレー
40 絶縁基板
41 開孔部
42 カソード電極
43 カーボンナノチューブ
44 引出し電極
45 加速電極
46 アインツェルレンズ
47 アインツェルレンズ用電極
48 アインツェルレンズ用電極
49 アインツェルレンズ用電極
50 外周電極
51 絶縁体
52 絶縁体
53 電極端子
54 Z駆動用ピエゾ素子部
55 XY駆動用ピエゾ素子部
56 接続部
57 Oリング部
101 電子銃
102 加速電極
103 コンデンサーレンズ
104 偏向レンズ
105 対物レンズ
106 試料
107 2次電子検出器
108 ディスプレー
61 検出器
62 赤外線加熱手段
70 フレーム
71 電子線照射部
72 X線検出部
73 断熱材
74 X線入射窓
75 レンズ制御ユニット
76 分析ユニット
77 ピエゾスキャナユニット
78 検出器ユニット
79 コントロールユニット
80 表示器
81 分析試料
82 試料台

Claims (9)

  1. 電子線源と、この電子線源から放出された電子を加速する加速電極と、加速された電子線を収束する電子レンズとからなり、且つ前記電子線の照射方向を電磁的に変える偏向手段を持たない一体化された電子線照射部と、前記電子線照射部の内部を排気する手段と、前記排気手段と前記電子線照射部との間に接続され、前記排気手段を固定して前記電子線照射部の位置を機械的に移動させる手段とを備えたことを特徴とする電子線照射装置。
  2. 前記機械的移動手段がXYZ方向に移動できる機能を有することを特徴とする請求項1に記載の電子線照射装置。
  3. 前記機械的移動手段にピエゾ素子を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の電子線照射装置。
  4. 請求項に記載のピエゾ素子をXY方向に駆動して前記電子線照射部と試料上の電子線の照射位置をXY方向に移動する電子線走査手段と電子線照射位置から発生する情報を検出する検出器を備え、面観察を行う機能を有することを特徴とする電子顕微鏡装置。
  5. 前記ピエゾ素子によって試料台の高さを変化することにより、観察試料に対する電子線の収束位置を調整できることを特徴とする請求項に記載の電子顕微鏡装置。
  6. 前記電子線を収束する電子レンズが静電レンズであり、この静電レンズを構成する電極に印加する電圧を変えることによってレンズの焦点距離を変化できる機能を有することを特徴とする請求項1に記載の電子線照射装置。
  7. 前記電子線照射位置と対向する部位に、電子線照射位置から発生する情報の検出器を設けたことを特徴とする請求項6に記載の電子顕微鏡装置。
  8. 前記電子線照射位置と対向する部位に、電子線照射位置を加熱するための加熱手段を設けたことを特徴とする請求項6に記載の電子顕微鏡装置。
  9. 請求項1に記載の電子線照射装置とX線検出器を備えたことを特徴とするX線分析装置。
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