以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施形態について説明する。図1は、本発明の各実施形態に係る吊り装置1(作業機械用吊り装置)およびブーム105(被吊り上げ体)の模式的な正面図である。図2は、本発明の第1実施形態に係る吊り装置1の斜視図である。図3A、図3Bおよび図3Cは、本実施形態に係る吊り装置1を用いて被吊り上げ体が吊り上げられる様子を示す側面図である。ここでは、被吊り上げ体として、クレーン100(作業機械、図4)のブーム105が吊り上げられる態様で説明する。なお、以後、各図には、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」および「後」の方向が示されているが、当該方向は、以後の各実施形態に係る吊り装置1の構造を説明するために便宜上示すものであり、本発明に係る作業機械用吊り装置の構造や使用態様などを限定するものではない。また、各図における「上」、「下」、「左」、「右」、「前」および「後」の方向は、クレーン100の運転席から見た各方向に相当するように示している。
図1を参照して、吊り装置1は、不図示の補助クレーン(吊り上げ機)などに接続され、ブーム105を地面から吊り上げる吊り上げ作業を行うために使用される。吊り装置1は、ベース部10と、4つの把持部20(4つの保持部)と、把持部移動部30(保持部移動機構)と、姿勢変更部40と、を有する。すなわち、図1において、2本の吊りワイヤ1Bおよび2つの把持部20の紙面奥側にも、更に2本の吊りワイヤ1Bおよび2つの把持部20が配置されている。吊り装置1は、ワイヤ吊り部1Aおよび4本の吊りワイヤ1Bを介して、補助クレーンの補助クレーンフック110(図2)に接続される。
ワイヤ吊り部1Aは、前記補助クレーンの補助クレーンフック110(図2)に接続され、前記補助クレーンによって吊り上げられる。
ベース部10は、ワイヤ吊り部1Aの下方において水平方向に沿って延びており、本実施形態では、直方体形状を有している。一例として、吊り装置1によってブーム105の各部材を吊り上げる際には、ベース部10の一辺が前後方向に沿って延びるとともに、ベース部10のうち前記一辺と直交する他辺が左右方向に沿って延びるように、ベース部10が配置される。ベース部10は、ワイヤ吊り部1Aおよび吊りワイヤ1Bを介して、補助クレーンによって吊り上げられる。
4本の吊りワイヤ1Bは、ワイヤ吊り部1Aが前記補助クレーン(補助クレーンフック110)によって吊り上げられた状態で前記ベース部10が水平な姿勢を維持するようにワイヤ吊り部1Aとベース部10とを互いに接続する。各吊りワイヤ1Bの上端部はワイヤ吊り部1Aに接続され、各吊りワイヤ1Bの下端は、ベース部10の上面部の4つの角部の被吊り部(図14のワイヤ取付部10T参照)にそれぞれ固定される。なお、吊りワイヤ1Bの本数は4本に限定されるものではない。
本実施形態では、4つの把持部20は、ベース部10の下面部の4つの角部からそれぞれ垂下されるように、ベース部10に接続されている。なお、後記のとおり、4本の把持部20は、ベース部10に対して相対移動可能とされる。把持部20について換言すれば、4つの把持部20は、前記ベース部10の平面視において左右方向(水平な第1方向)および前後方向(前記第1方向と直交する水平な第2方向)にそれぞれ延びる所定の仮想矩形形状の4つの角部に相当する基準位置から下方に垂下されることが可能なように前記ベース部10にそれぞれ接続されている。この場合、4つの把持部20は、左右方向に互いに間隔をおいて配置される第1右保持部および第1左保持部(前側の2つの把持部20)と、前記第1右保持部および前記第1左保持部に対して前後方向に間隔をおいた位置で左右方向において互いに間隔をおいて配置される第2右保持部および第2左保持部(後側の2つの把持部20)とからなる。4つの把持部20は、それぞれ、ブーム吊り部201と、ブーム支持ワイヤ202と、を含む。ブーム吊り部201は、ブーム支持ワイヤ202の先端部が環状に成形された部分である。ブーム吊り部201がブーム105のメインフレーム105F(図36A、図36B参照)に接続されることで、4つの把持部20がブーム105を保持することが可能となる。なお、4本のブーム支持ワイヤ202は、ウインチ300を介してベース部10に接続される上端部と、ブーム吊り部201に接続される下端部とを有し、ベース部10とブーム吊り部201とを上下方向に沿ってそれぞれ接続する。
把持部移動部30は、4つの把持部20のうちの少なくとも2つの把持部20をベース部10に対して相対移動させることが可能とされている。特に、本実施形態では、把持部移動部30は、4つの把持部20をベース部10に対して互いに独立して上下方向に相対移動させる。
姿勢変更部40は、4つの把持部20のブーム支持ワイヤ202(昇降機構)が作業姿勢と格納姿勢との間で姿勢変更可能なように前記4つのブーム支持ワイヤ202を支持する。姿勢変更部40は、前記作業姿勢では前記4つのブーム吊り部201がブーム105を保持することが可能なようにブーム支持ワイヤ202がベース部10から下方に垂下し、前記格納姿勢では前記作業姿勢よりもブーム支持ワイヤ202の上下方向の寸法が小さくなるように、前記4つのブーム支持ワイヤ202をそれぞれ支持する。
図2を参照して、本実施形態では、吊り装置1が、4つのウインチ300を備えており、当該ウインチ300が、把持部移動部30および姿勢変更部40の機能を兼ね備えている。各ウインチ300は、ベース部10の下面部の4つの角部に固定されている。この結果、図2に示すように、4本の吊りワイヤ1Bの下端部が、4つのウインチ300に対して、ベース部10を挟んで上下方向において重なるように配置されている。
ウインチ300は、把持部20としてのブーム支持ワイヤ202を巻き取り、繰り出し可能とされている。ウインチ300は、ハンドル301を含む、作業者がハンドル301を回すことで、ウインチ300がブーム支持ワイヤ202を巻き取り、繰り出すことができる。この結果、4つのウインチ300は、4本のブーム支持ワイヤ202(4つの把持部20)をベース部10に対して上下方向に沿って相対移動させることが可能である。特に、本実施形態では、各ウインチ300にハンドル301が備えられているため、前記4つのブーム支持ワイヤ202は、ベース部10に対して上下方向に沿って独立して相対移動することができる。
図33は、従来の吊り装置1Zを用いてクレーン100のブーム105が組み立てられる様子を示す側面図である。
図33を参照して、クレーン100は、下部走行体101と、下部走行体101上に旋回可能に支持された上部旋回体102と、ブーム105と、を備える。ブーム105は、上部旋回体102に起伏可能に支持される。ブーム105は、下部ブーム105Aと、中間ブーム105Bと、中間ブーム105Cと、不図示の上部ブームと、を有する(いずれもブーム部材)。
図33に示すように、下部ブーム105Aは、その基端部から先端部に向かって上下方向の幅が拡大した形状を有している。一方、中間ブーム105B、105Cは、その基端部から先端部に向かって左右方向および上下方向の形状はほぼ同じであることが多いが、中には、左右方向における幅が基端部から先端部にかけて変化するものもある。このように、各ブーム部材は、互いの形状が異なるため、吊り装置1Zの吊りワイヤを接続する部分も異なっており、作業者が各ブーム部材に応じた適切な位置に吊りワイヤを接続する必要がある。この場合、ブーム部材に応じて、4本の吊りワイヤの互いの間隔が変化するため、作業者によるブーム105の吊り上げ作業に手間や時間がかかっていた。
ブーム105を構成する各部材は、地上で互いに連結されることで、ブーム105が組み立てられる。図33では、上部旋回体102に装着された下部ブーム105Aに中間ブーム105Bが連結され、更に、中間ブーム105Bに中間ブーム105Cが連結される様子を示している。
この場合、補助クレーンフック110に接続された吊り装置1Zが、中間ブーム105Cに接続され、中間ブーム105Cが地面から吊り上げられる。吊り装置1Zは、補助クレーンフック110から垂下された4本の吊りワイヤから構成されており、各吊りワイヤの下端部が、中間ブーム105Cの上面部に位置するメインフレームにそれぞれ接続される。中間ブーム105Cを中間ブーム105Bに連結するにあたって、まず、中間ブーム105Cの上側に配置されたコネクタ105C1と、中間ブーム105Bの上側に配置されたコネクタ105B1とを連結するために、図33に示すように中間ブーム105Cが傾斜した姿勢とされる必要がある。
図34A、図34Bおよび図34Cは、従来の吊り装置1Zを用いてブーム105が吊り上げられる様子を示す側面図である。従来の吊り上げ作業では、まず、地上に載置された前後複数の台座H上に中間ブーム105Cが支持された状態で、作業者が吊り装置1Zの吊りワイヤを中間ブーム105Cに接続する(図34A)。この際、前後の吊りワイヤの中点が、中間ブーム105Cの重心よりも前方にずれて配置されるように、各吊りワイヤが中間ブーム105Cに接続される。この状態で、補助クレーンフック110が上昇すると、図34B、図34Cに示すように、中間ブーム105Cが傾斜した姿勢で地面から吊り上げられる。この際、図34Bに示すように、台座Hと中間ブーム105Cとが摺擦し、中間ブーム105Cの下面部Kに損傷が発生する場合があった。
また、図35Aは、従来の吊り装置1Zがブーム105の中間ブーム105Cに接続される様子を示す側面図である。図35Bは、従来の吊り装置1Zを用いてブーム105が吊り上げられる様子を示す側面図である。図36Aは、従来の吊り装置1Zがブーム105に接続されている様子を示す拡大斜視図である。図36Bは、従来の吊り装置1Zがブーム105に接続されている様子を示す拡大側面図である。図36Cは、従来の吊り装置1Zがブーム105ら脱離する様子を示す拡大側面図である。
吊り装置1Zの吊りワイヤ1Bの下端部は図36Aに示すようにループ状に形成されており、中間ブーム105Cのメインフレーム105Fに備えられたワイヤ固定突起105Gに係止される。上記のように、中間ブーム105Cに対する前後の吊りワイヤ1Bの接続位置を変化させることで、地切りと同時に中間ブーム105Cを傾斜させる場合、まず、前側の吊りワイヤ1Bに張力が付与され(図36B)中間ブーム105Cの前側部分が吊り上げられた後、後側の吊りワイヤ1Bに張力が付与され中間ブーム105Cの後側部分が吊り上げられる。このため、中間ブーム105Cの前側部分が吊り上げられる間に、後側の吊りワイヤ1Bが緩んでしまい図36Cに示すように中間ブーム105C(ワイヤ固定突起105G)から脱離しやすいという問題があった。
上記のような問題を解決するために、本実施形態では、吊り装置1が前述の把持部移動部30(図2)を備えている。地上に載置された前後の台座Hに、中間ブーム105Cが支持された状態で(図3A)、補助クレーンフック110に装着された吊り装置1が中間ブーム105Cに装着される。この際、前後二対の把持部20は、ベース部10から同じ長さだけ垂下されている。また、前後の把持部20のブーム吊り部201(図2)は、中間ブーム105Cのうち、中間ブーム105Cの重心位置から前後に同じ間隔だけずれた位置に接続される。そして、図3Bの矢印で示すように、補助クレーンフック110によって中間ブーム105Cが水平な姿勢で空中に吊り上げられると、作業者がウインチ300のハンドル301を回すことで、前側の一対の把持部20のブーム支持ワイヤ202が巻き取られる。この結果、図3Cの矢印で示すように、中間ブーム105Cの前側部分が上昇し、中間ブーム105Cが傾斜した姿勢となる。したがって、図4に示すように、中間ブーム105Cのコネクタ105C1と中間ブーム105Bのコネクタ105B1とを位置合わせし、左右方向に沿って延びる不図示の連結ピンによって互いに連結することが可能となる。なお、中間ブーム105Cは地上に載置された前後の台座Hから吊り上げられることなく、作業現場に中間ブーム105Cを輸送するトレーラ上から直接吊り上げられるものでもよい。
このように、本実施形態では、4つの把持部移動部30が、4つの把持部20をベース部10に対して相対移動させることが可能とされる。このため、被吊り上げ体としてのブーム105(105A、105B、105C)の形状、吊り上げ姿勢に応じて、4つの把持部20を適切に配置し、吊り上げ作業の作業性を向上することができる。また、4つの把持部20でブーム105を安定して吊り上げることができるとともに、各把持部20の位置を調整することでより安定した吊り上げ作業が実現される。
特に、本実施形態では、4つの把持部移動部30はそれぞれ把持部20をベース部10に対して上下方向に沿って相対移動させることが可能である。このため、中間ブーム105Cを空中に吊り上げた状態で、慣性の大きい補助クレーン(相判機)を駆動することなく、各把持部20を上下に移動させることで、中間ブーム105Cを適切な角度に設定する(傾斜させる)ことができる。また、空中において、中間ブーム105Cを傾斜した姿勢と水平な姿勢との間で姿勢変更することができる。なお、下部ブーム105Aの形状や中間ブーム105Cの傾斜姿勢に応じて、少なくとも2つの把持部20をベース部10に対して上下に相対移動させてもよい。
また、本実施形態では、中間ブーム105Cを地切りする際に中間ブーム105Cを傾ける必要がないため、中間ブーム105Cを水平に吊り上げる際と、中間ブーム105Cを傾斜して吊り上げる際とで、把持部20を中間ブーム105Cに接続する部分を共通化することができる。
また、本実施形態では、4つの把持部移動部30が、前記4つの把持部20のうち前記第1方向において互いに対向する二対の把持部20のうちの一方の把持部20対および他方の把持部20対をそれぞれベース部10に対して上下方向に沿って相対移動させることが可能である。このため、吊り装置1をワイヤ吊り部1Aを通る鉛直線回りに回転させることなく、被吊り上げ体を所望の姿勢に設定することができる。より詳しくは、図3Bにおいて、中間ブーム105Cを前側から後側に向かって下方に傾斜させることができる一方、中間ブーム105Cを後側から前側に向かって下方に傾斜させることができる。
この際、吊り装置1によって中間ブーム105Cが空中に吊り上げられた状態で、後側の把持部20のブーム支持ワイヤ202が繰り出されることで、中間ブーム105Cの後側部分が下方に移動し中間ブーム105Cを傾斜させてもよいし(図5A)、前述のように、前側の把持部20のブーム支持ワイヤ202が巻き取られることで、中間ブーム105Cの前側部分が上方に移動し中間ブーム105Cを傾斜させてもよい(図5B)。なお、後者の方が、図3Bのように中間ブーム105Cを水平に吊り上げる際の高さを小さくすることができるため、不図示の補助クレーンにかかる負荷を低減することができる。
なお、上記の本実施形態に係る吊り装置1について換言すれば、4つの把持部20は、ベース部10の平面視において左右方向(水平な第1方向、ブームの幅方向)および前後方向(前記第1方向と直交する水平な第2方向、ブームの長手方向)にそれぞれ延びる所定の仮想矩形形状の4つの角部に相当する基準位置から下方に垂下されることが可能なようにベース部10にそれぞれ接続されている。また、把持部移動部30は、前記基準位置における前記4つの把持部20のうち左右方向において互いに対向する把持部20でそれぞれ構成される前後二対の把持部20対のうちの一方の把持部20対を前記ベース部10に対して上下方向に相対移動させることができる一方、前記二対の把持部20対のうちの他方の把持部20対を前記ベース部10に対して上下方向に相対移動させることができる。更に、中間ブーム105Cを傾斜させるために、把持部移動部30は、前記基準位置における前記4つの把持部20のうち左右方向において互いに対向する把持部20でそれぞれ構成される二対の把持部20対のうちの一方の把持部20対の前記ベース部10に対する上下方向の相対位置を固定した状態で、前記二対の把持部20対のうちの他方の把持部20対を前記ベース部10に対して上下方向に相対移動させることができる。更に、把持部移動部30は、前記他方の把持部20対の前記ベース部10に対する上下方向の相対位置を固定した状態で、前記一方の把持部20対を前記ベース部10に対して上下方向に相対移動させることも可能である。
また、本実施形態では、補助クレーンの補助クレーンフック110を上下させることなく、ウインチ300(把持部移動部30)によって各ブーム支持ワイヤ202(把持部20)を互いに独立して上下させることができるため、吊り装置1を中間ブーム105Cに接続する際に、必要な分だけブーム支持ワイヤ202を繰り出すことができる。したがって、ブーム支持ワイヤ202が過剰に繰り出されブーム吊り部201がワイヤ固定突起105G(図36A)から脱離すること(図36C)や、ブーム支持ワイヤ202に緩みが生じワイヤ固定突起105Gへの装着に手間がかかるという問題を回避することができる。
更に、図2、図4を参照して、本実施形態では、前側二対の把持部20と後側の二対の把持部20との間でブーム支持ワイヤ202の繰り出し量を互いに異なるように設定することができる。すなわち、ベース部10に対して、前側二対のブーム吊り部201および後側二対のブーム吊り部201の高さを異なるように設定することができる。このため、下部ブーム105Aのように、長手方向(前後方向)において形状が異なる部材でも、ブーム支持ワイヤ202の緩みを抑止しながら、前後二対のブーム吊り部201を下部ブーム105Aに容易に装着することができる。したがって、被吊り上げ体(下部ブーム105A、中間ブーム105B、中間ブーム105C)の形状に合わせて、把持部20を適切な位置に配置し、吊り装置1によるブーム105の吊り上げ作業を効率的に実施し、その作業性を向上することができる。
次に、上記の第1実施形態に基づく、本発明の変形実施形態について説明する。なお、以後の変形実施形態では、基となる実施形態との相違点を中心に説明する。
図6は、本発明の第1変形実施形態に係る吊り装置1の斜視図である。本変形実施形態では、吊り装置1の把持部移動部30が、前後二対の連結部材302を備える。各連結部材302は、左右のウインチ300を互いに接続している。この結果、作業者が左右一方のウインチ300のハンドル301を回すと、左右のウインチ300が回転し、左右の把持部20の巻き取り、繰り出しを互いに連動して(一体的に)行うことができる。この結果、左右の把持部20の繰り出し量(巻き上げ量)を揃えることができるため、前述のような中間ブーム105Cの傾斜姿勢を更に容易に実現することができる。
なお、本実施形態について換言すれば、4つの把持部移動部30は、前記基準位置における前記4つの把持部20のうち左右方向において互いに対向する把持部20でそれぞれ構成される二対の把持部20対のうちの一方の把持部20対を前記ベース部10に対して上下方向に相対移動させることができる一方、前記二対の把持部20対のうちの他方の把持部20対を前記ベース部10に対して上下方向に相対移動させることができる。この場合、中間ブーム105Cを傾斜させるために、把持部移動部30は、前記基準位置における前記4つの把持部20のうち左右方向において互いに対向する把持部20でそれぞれ構成される二対の把持部20対のうちの一方の把持部20対の前記ベース部10に対する上下方向の相対位置を固定した状態で、前記二対の把持部20対のうちの他方の把持部20対を前記ベース部10に対して上下方向に相対移動させる。更に、把持部移動部30は、前記他方の把持部20対の前記ベース部10に対する上下方向の相対位置を固定した状態で、前記一方の把持部20対を前記ベース部10に対して上下方向に相対移動させることも可能である。
図7は、本発明の第2変形実施形態に係る吊り装置1の斜視図である。本変形実施形態では、外部から入力されるエネルギーによって、各把持部20を上下移動させることができる。具体的に、吊り装置1の把持部移動部30は、切換弁303と、吊り装置側供給路304と、本体側供給路305と、供給路コネクタ306と、4つのシリンダ用供給路307と、を有する。また、把持部20は、ブーム吊り部201と、フック21と、シリンダ22と、を有する。更に、吊り装置1の姿勢変更部40は、シリンダブラケット401と、ベースブラケット402と、を有する。
ブーム吊り部201は、先の実施形態と同様に、中間ブーム105Cに接続される。フック21は、シリンダ22に接続され、ブーム吊り部201を係止する。シリンダ22は、シリンダ本体22Aと、シリンダロッド22Bと、を有する。シリンダ22は、作動油の供給を受けて伸縮する油圧シリンダからなる。シリンダ22は、ブーム吊り部201(フック21)を昇降させる。
切換弁303は、ベース部10の上面部に固定されており、外部から供給された作動油のシリンダ22に対する供給と遮断とを切換える。吊り装置側供給路304は、切換弁303に接続されており、本体側供給路305は、油圧クレーン、油圧ショベルなどの油圧作業機械に接続されている。供給路コネクタ306は、吊り装置側供給路304と本体側供給路305とを接続する。吊り装置側供給路304および本体側供給路305には、作動油の供給路、排出路および切換弁303を制御するための信号線などが含まれている。なお、前記信号線は不図示の操作ユニットに接続され、作業者による操作に応じた指令信号が入力される。前記信号線の代わりに無線通信によって指令信号が入力されてもよい。シリンダ用供給路307は、切換弁303と4つのシリンダ22とを接続する油路である。なお、切換弁303は、4つのシリンダ22に対する作動油の供給および作動油の排出を独立して制御することができる。
このような構成によれば、外部から供給される作動油および指令信号に基づいて、人力を用いることなく4つの把持部20のシリンダ22を独立して伸縮させることができる。この結果、4つのブーム吊り部201によって保持された中間ブーム105C(被吊り上げ体)を、空中において水平姿勢、傾斜姿勢など所望の姿勢に設定することができる。また、先の実施形態と同様に、下部ブーム105Aなどのような形状を備えた被吊り上げ体に対して、4つのブーム吊り部201の上下方向における位置を適切に調整し、下部ブーム105Aの吊り上げ作業を効率的に行うことができる。なお、本変形実施形態においても、前側一対の把持部20および後側一対の把持部20をそれぞれ一体的に上下させてもよい。
シリンダブラケット401は、シリンダ22のシリンダ本体22Aの上端部に固定されたブラケットであり、ベースブラケット402は、ベース部10の下面部に固定されたブラケットである。シリンダブラケット401は、ベースブラケット402に対して、水平な回転軸回りに回動可能に支持されている。このため、少なくとも吊り装置1の輸送時や保管時には、把持部20がシリンダブラケット401とともにベースブラケット402に対して回動することで、把持部20がベース部10の直下に水平方向に沿って延びるように配置される(格納姿勢)。この結果、図7に示される状態よりも4つの把持部20の高さ方向の寸法を小さくすることが可能となり、吊り装置1の収容性、保管性を向上することができる。
図8は、本発明の第3変形実施形態に係る吊り装置1の斜視図である。本変形実施形態では、先の第1実施形態と比較して、把持部移動部30が油圧ウインチからなる点で相違する。すなわち、把持部移動部30は、切換弁308と、吊り装置側供給路309と、本体側供給路310と、供給路コネクタ311と、4つのウインチ用供給路312と、を備える。第2変形実施形態と同様に、外部から供給される作動油および指令信号に基づいて、4つの把持部移動部30のウインチを独立して制御し、人力を用いることなく把持部20を上下移動させることができる。
図9は、本発明の第4変形実施形態に係る吊り装置1の斜視図である。本実施形態では、先の第2変形実施形態と比較して、吊り装置1がシリンダ22の駆動源を有している点で相違する。すなわち、吊り装置1の把持部移動部30は、切換弁313と、駆動源314と、ベース部供給路315と、4つのシリンダ用供給路316と、を備える。駆動源314は、不図示の油タンクを含む。切換弁313は、駆動源314から供給された作動油の4つのシリンダ22に対する供給と遮断とを切換える。ベース部供給路315は、切換弁313と駆動源314とを連通する油路である。シリンダ用供給路316は、切換弁313と各シリンダ22とを連通する油路である。このような構成によれば、外部からのエネルギー(作動油、電力、駆動力)の供給を受けることなく、また、人力を用いることなく、各把持部20を上下に移動させることができる。なお、シリンダ22は電動シリンダからなり、駆動源314は、電源からなるものでもよい。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図10は、本実施形態に係る吊り装置1(作業機械用吊り装置)およびブーム105(中間ブーム105C、被吊り上げ体)の斜視図である。図11Aは、本実施形態に係る吊り装置1の把持部移動部30(把持部移動機構)の正面図である。図11Bは、本実施形態に係る吊り装置1の把持部移動部30の側面図である。
本実施形態では、把持部移動部30が、4つの把持部20をベース部10に対して前後方向(水平方向、第2方向)に沿って相対移動させる。
具体的に、吊り装置1の把持部移動部30は、左右一対のレール317と、4つの移動ユニット318と、を備える。左右一対のレール317は、ベース部10の下面部に左右方向に間隔をおいてそれぞれ固定されている。左右一対のレール317は、前後方向に沿って延びている。各レール317は、断面視でI字形状を有している(図11A)。4つの移動ユニット318は、それぞれ把持部20を支持している。把持部20は、図7と同様に、フック21と、シリンダ22と、を有する。なお、シリンダ22の構造は、先の第2変形実施形態と同様である。
4つの移動ユニット318は、ユニット本体319と、4つの車輪320と、モーター321と、をそれぞれ備えている。ユニット本体319(図11A、図11B)は、断面視でU字状の部材であり、ユニット本体319の下面部にシリンダ22(シリンダ本体22A:図7参照)が固定されている。車輪320は、ユニット本体319の側壁の内面部に回転可能に支持されている。モーター321は、所定の指令信号を受けて4つの車輪320のうちの一の車輪320を回転駆動させる。なお、モーター321は、他の車輪320に接続されていてもよい。モーター321への駆動指令信号は、前述の操作ユニットから有線または無線通信によって入力される。図11A、図11Bに示すように、4つの車輪320がレール317に係合することで、移動ユニット318がレール317に沿って移動可能とされる。この結果、4つの把持部20が前後方向に沿って互いに独立してベース部10に対して相対移動することができる。
このような構成によれば、図10に示されるブーム105(ブーム部材)の前後方向における長さに応じて、ブーム105に対する把持部20の接続部分を変更することができる。ブーム105の前後方向における長さが大きい場合には、4つの把持部20の前後の間隔を大きく設定することで、ブーム105を安定して吊り上げることができる。なお、モーター321内の回転ギアに不図示の係合突起が係合することで、車輪320の回転がロックされ、把持部20が所定の位置に保持される。
なお、中間ブーム105Cの重心が所定の位置に保持されベース部10が水平な姿勢を維持するためには、前側の把持部20対と後側の把持部20対とを前後方向(第2方向)において互いに逆向きに移動させることが望ましく、前後方向において前後の把持部20対の中間にワイヤ吊り部1Aが位置するように各把持部20の位置が設定されることが望ましい。
なお、上記では、把持部移動部30が、4つの把持部20のうち左右方向において互いに対向する把持部20でそれぞれ構成される二対の把持部20対のうちの一方の把持部20対および他方の把持部20対をそれぞれベース部10に対して前後方向に沿って相対移動させる態様にて説明したが、把持部移動部30は、4つの把持部20のうち少なくとも左右方向において互いに対向する一対の把持部20をベース部10に対して前後方向に沿って相対移動させる態様でもよい。
また、図10に示される吊り装置1がワイヤ吊り部1Aを中心に水平に90度回転された姿勢で、吊り装置1がブーム105を吊り上げてもよい。この場合、前記第1方向は前後方向に相当し、前記第2方向は左右方向に相当する。そして、ブーム105の左右方向の幅に応じて、各把持部20を左右方向に沿って適切な位置に配置することができる。
なお、図10において、4つの移動ユニット318のうち前側の2つの移動ユニット318同士、後側の2つの移動ユニット318同士が図6の連結部材302と同様の部材によって互いに連結されてもよい。この場合、把持部移動部30は、前記基準位置における前記4つの把持部20のうち左右方向において互いに対向する把持部20でそれぞれ構成される二対の把持部20対のうちの一方の把持部20対を前記ベース部10に対して前後方向に相対移動させることができる一方、前記二対の把持部20対のうちの他方の把持部20対を前記ベース部10に対して前後方向に相対移動させることができる。この場合も、把持部移動部30は、前記一方の把持部20対および前記他方の把持部20対を前後方向において互いに逆向きに同時に移動させることが望ましい。
また、把持部移動部30は、前記基準位置における前記4つの把持部20のうち左右方向において互いに対向する把持部20でそれぞれ構成される二対の把持部20対のうちの一方の把持部20対の前記ベース部10に対する前後方向の相対位置を固定した状態で、前記二対の把持部20対のうちの他方の把持部20対を前記ベース部10に対して前後方向に相対移動させてもよい。更に、把持部移動部30は前記他方の把持部20対の前記ベース部10に対する前後方向の相対位置を固定した状態で、前記一方の把持部20対を前記ベース部10に対して前後方向に相対移動させてもよい。
図12は、本発明の第5変形実施形態に係る吊り装置1(作業機械用吊り装置)およびブーム105(被吊り上げ体)の正面図である。本変形実施形態では、先の第2実施形態と比較して、前側の一対の把持部20が前後方向に沿って一体的に移動し、後側の一対の把持部20が前後方向に沿って一体的に移動する。また、前側の一対の把持部20の左右方向における位置および互いの間隔が可変とされるとともに、後側の一対の把持部20の左右方向における位置および互いの間隔が可変とされている。
具体的に、把持部移動部30は、左右一対のレール317と、前後二対の移動ユニット318と、前後二対のサブレール322とを有する。
左右一対のレール317は、ベース部10の下面部に左右方向に間隔をおいて配置されており、それぞれ前後方向に延びている。また、先の第2実施形態と同様に、レール317は断面視でI字形状を有する。前後二対の移動ユニット318は、それぞれ、先の第2実施形態と同様の構造を有しており、レール317に沿って前後方向に移動可能である。前後二対のサブレール322は、前側の2つの移動ユニット318同士および後側の2つの移動ユニット318同士をそれぞれ連結している。サブレール322は、左右一対の側壁322Sと、レール部323と、を含み、レール部323は、上記のレール317を左右方向に沿って延びるように配設した断面I字構造を有している把持部20のシリンダ22の上端部には、上記の移動ユニット318と同様の構造が備えられており、把持部20は、レール部323に沿って左右方向に移動可能とされている。なお、他の変形実施形態において、図12において、レール部323が左右一対の側壁322S間で左右方向に沿って延びるガイドピンであってもよい。この場合、把持部20のシリンダ22の上端部には、ガイドピンが挿通される孔部が形成されており、把持部20がガイドピンに沿って左右方向に移動するものでもよい。なお、この場合、把持部20の左右方向における位置は、作業者によって設定されてもよいし、把持部20の上端部に不図示の駆動モーターが備えられ、当該駆動モーターの駆動力によって把持部20が前記ガイドピンに沿って移動してもよい。
このような構成によれば、4つの把持部20の前後方向の位置を移動ユニット318によって調整するとともに、把持部20の左右方向の位置をガイドピン323に沿って調整することができる。このため、ブーム105の前後および左右方向の寸法に応じて、4つの把持部20の位置を適切に設定し、吊り装置1によるブーム105の吊り上げ作業の作業性を向上することができる。
なお、前述のようにベース部10の水平な姿勢を維持するためには、前側の把持部20対(一方の保持部対)を構成する2つの把持部20を左右方向(第2方向)において互いに逆向きに移動させることが望ましく、同様に、後側の把持部20対(他方の保持部対)を構成する2つの把持部20を左右方向において互いに逆向きに移動させることが望ましい。より望ましくは、左右2つの把持部20の中心位置がワイヤ吊り部1Aの直下に位置するように、把持部20が移動されることが望ましい。このような場合、ベース部10の姿勢を安定して維持しながら、把持部20の位置を調整することができる。
図13は、本発明の第6変形実施形態に係る吊り装置1およびブーム105の側面図である。本変形実施形態では、ベース部10の下面部に固定された把持部ブラケット324と、把持部ブラケット324に備えられたガイドレール325と、前後一対の可動ブラケット326と、可動ブラケット326に固定されたレール317と、把持部20を支持する移動ユニット318と、を有する。
上記の第5変形実施形態とは逆に、前側の一対の把持部20、後側の一対の把持部20がそれぞれブラケット326に一体的に保持された状態で、ガイドレール325に沿って前後方向に移動可能とされている。また、レール317および移動ユニット318によって、各把持部20は左右方向に移動可能とされている。
このような構成によれば、4つの把持部20の前後方向の位置を可動ブラケット326によって調整するとともに、把持部20の左右方向の位置をレール317および移動ユニット318によって調整することができる。このため、ブーム105の前後および左右方向の寸法に応じて、4つの把持部20の位置を適切に設定し、吊り装置1によるブーム105の吊り上げ作業の作業性を向上することができる。
図14は、本発明の第3実施形態に係る吊り装置1の作業姿勢の斜視図である。図15は、本実施形態に係る吊り装置1の格納姿勢の斜視図である。図16は、本実施形態に係る吊り装置1の作業姿勢の背面図である。図17は、本実施形態に係る吊り装置1の格納姿勢の背面図である。
本実施形態においても、吊り装置1は、ワイヤ吊り部1Aと、4本の吊りワイヤ1Bと、ベース部10と、4つの把持部20と、4つの姿勢変更部40と、を備える。把持部20は、フック21(保持部)と、シリンダ22(昇降機構)と、を有する。なお、図14乃至図17では、シリンダ22の図示を簡略化しているが、シリンダ22の構造は先の第2変形実施形態と同様である。
本実施形態では、4つのシリンダ22の上端部にそれぞれ配置された把持部支点部205と、ベース部10の下面部の4つの角部に配置されたベースブラケット402とが、姿勢変更部40を構成する。把持部支点部205は、ベースブラケット402にベース部10が延びる方向と平行な(水平な)回転軸J(保持部回転軸)回りに回動可能とされている。この結果、姿勢変更部40は、4つの把持部20の上端部にそれぞれ配置された水平な回転軸J回りに回動可能なように4つの把持部20のシリンダ22をそれぞれ支持する。4つの把持部20(シリンダ22)は、回転軸J回りにそれぞれ回動することで前記作業姿勢(図14、図16)と前記格納姿勢(図15、図17)との間で姿勢変更する。この結果、前記作業姿勢ではフック21が中間ブーム105Cを保持することが可能なようにシリンダ22が前記ベース部10から下方に垂下し、前記格納姿勢では前記作業姿勢よりもシリンダ22の上下方向の寸法が小さくなるように、4つの把持部20(シリンダ22)が姿勢変更する。なお、回転軸Jは、前後方向に延びるように配置されている。このため、図15、図17に示すように、左右の把持部20は互いに近づくように回動し、ベース部10の直下に左右方向に延びるように格納される。シリンダ22は、フック21を上下移動させるために伸縮するため、上下方向において所定の寸法が必要とされる。このため、当該シリンダ22を回動させることで、シリンダ22の伸縮方向が水平方向と平行となるようにシリンダ22が格納され、その上下方向における寸法を縮小することができる。
なお、ベースブラケット402と把持部支点部205との間には、把持部20を作業姿勢および格納姿勢にそれぞれロックするロック機構が備えられている。一例として、把持部支点部205から水平な方向に突出した突起が、ベースブラケット402に形成された凹部に嵌合することで、把持部20の位置がロックされる。前記突起に連設されたロック解除ボタンを作業者が押圧すると、突起が凹部から脱離し、把持部20の回動が可能となる。
本実施形態によれば、把持部20の姿勢変更によって、吊り装置1を輸送する際に吊り装置1が占有する空間の高さ(輸送高さ)を小さくし、所定の高さ制限内に収めることができる。また、吊り装置1を保管する際にも、吊り装置1の占有空間を小さくすることができる。
特に、把持部支点部205がベースブラケット402に対して回転軸J回りに回動可能とされている。このように把持部20の上端部に姿勢変更部40を備えることで、姿勢変更部40をコンパクトに設定することができる。また、4つの把持部20が独立して姿勢変更できるため、各把持部20を確実に姿勢変更することができる。
また、本実施形態では、図14に示すように、吊りワイヤ1Bの下端部が接続されるワイヤ取付部10Tと把持部20(フック21)とが上下方向に沿って重なるようにそれぞれ配置されている。このため、ブーム105を吊り上げる際でもベース部10の姿勢が安定しやすく、吊り上げ作業を安定して行うことができる。
図18Aは、上記の第3実施形態に係る吊り装置1の格納姿勢を示す底面図である。図18B、図18Cおよび図18Dは、上記の第3実施形態に係る吊り装置1の変形例の格納姿勢を示す底面図である。
回転軸Jは、図18Aに示すように、前後方向に延びるように配置されているものに限定されるものではない。図18Bに示すように、回転軸Jは、左右方向に延びるように配置されてもよい。この場合、前後の把持部20が互いに近づくように回動し、ベース部10の直下に格納される。また、図18Cに示すように、回転軸Jは、前後および左右方向と交差するように配置されてもよい。この場合、ベース部10の矩形形状(仮想矩形形状)の中心を挟んで互いに対向する2つの把持部20の回転軸Jは平行関係にある。そして、4つの把持部20がベース部10の中心に向くように、4つの把持部20がベース部10の直下に格納される。また、図18Dに示すように、回転軸Jは、前後方向または左右方向に延びる軸であって、ベース部10の矩形形状(仮想矩形形状)の中心を挟んで互いに対向する2つの把持部20の回転軸Jは平行関係にあってもよい。この場合、4つの把持部20は、ベース部10の四辺に沿うように配置され、ベース部10の直下に格納される。なお、4つの把持部20の格納姿勢は、上記に限定されるものではない。
図19は、本発明の第7変形実施形態に係る吊り装置1の作業姿勢の斜視図である。図20は、本変形実施形態に係る吊り装置1の格納姿勢の斜視図である。本変形実施形態では、ベース部10が、ワイヤ吊り部1Aの直下に位置し水平に延びる中央ベース部10G(ベース中央部)と、左右一対の可動ベース部10H(ベース端部)と、有する。左右一対の可動ベース部10Hは、それぞれ、中央ベース部10Gに対して前後方向(第3方向、ベース部10が延びる方向と平行な方向)に延びるベース軸部10J(ベース回転軸)回りに回動可能なように中央ベース部10Gの左右方向(第4方向)の両端部にそれぞれ接続されている。そして、左右一対の可動ベース部10Hは、4つの把持部20のうちの前後方向において互いに対向する2つの把持部20をそれぞれ支持する。より詳しくは、図19に示すように、ベース部10は、可動ベース部10Hの下面部から下方に突出する把持部ブラケット10Kを有する。可動ベース部10Hと把持部ブラケット10Kとは互いに直交するように配置されている。そして、把持部ブラケット10Kの前後方向の両端部に一対の把持部20が支持されている。なお、可動ベース部10Hと把持部ブラケット10Kとは、別の部材からなり互いに接合される態様でもよいし、一体成形によって構成されるものでもよい。また、把持部20の構造は、他の実施形態と同様である。
本実施形態では、中央ベース部10Gと左右一対の可動ベース部10Hとが左右方向(第4方向)に沿って互いに連なって配置された状態から、可動ベース部10Hがベース軸部10J回りに下方に回動することで、4つの把持部20が前記作業姿勢(図19)から前記格納姿勢(図20)に姿勢変更し、4つの把持部20が中央ベース部10Gの下方においてそれぞれ水平方向(左右方向)に延びるように配置される。このため、輸送時や保管時に、吊り装置1が占有するスペースを縮小することができる。
図21は、先の第3実施形態に係る吊り装置1およびブーム105の背面図である。先の第3実施形態では、ベース部10の左右方向の寸法をブーム105の左右方向の寸法に揃えることで、ブーム105上に格納姿勢とされた吊り装置1を載置した状態で、吊り装置1およびブーム105を保管、輸送することができる。この場合、ブーム105上に板木や専用の台を挟んで吊り装置1を載置することが望ましい。また、ブーム105の両端部の直上に把持部20を配置し、ブーム105を安定して吊り上げることができる。
また、図22は、先の第7変形実施形態に係る吊り装置1およびブーム105の背面図である。本実施形態では、4つの把持部20が格納姿勢から作業姿勢に姿勢変更されることで、把持部20の間隔を拡げ、ブーム105を左右方向(幅方向)の両側から把持することができる。なお、図22において、吊り装置1を水平に90度回転させると、ブーム105の長手方向において、把持部20の間隔を拡げ、ブーム105を把持することができる。
図23は、本発明の第8変形実施形態に係る吊り装置1の作業姿勢の斜視図である。図24は、本変形実施形態に係る吊り装置1の格納姿勢の斜視図である。図25は、本変形実施形態に係る吊り装置1の作業姿勢の背面図である。図26は、本変形実施形態に係る吊り装置1の格納姿勢の背面図である。
本変形実施形態では、先の第7変形実施形態と比較して、ベース部10における4本の吊りワイヤ1Bの接続部分において相違する。すなわち、ベース部10は、4つのワイヤ取付部10Tを備える。4つのワイヤ取付部10Tは、ベース部10の可動ベース部10Hの上面部の前後方向の両端部(ベース部10の上面部の4つの角部)に配置されている。ワイヤ取付部10Tは、左右方向に延びる薄板形状を有しており、左右方向に間隔をおいて2つの孔部(第1孔部10T1、第2孔部10T2)が形成されている。なお、当該2つの孔部は、前後方向においてワイヤ取付部10Tを貫通するように開口されている。また、第2孔部10T2は、第1孔部10T1よりも左右方向の外側、換言すれば把持部20に近い位置に配置されている。
図23、図25に示すように、4つの把持部20が作業姿勢とされた状態では、吊りワイヤ1Bの下端部は、第2孔部10T2に係止される。この場合、把持部20の上方に吊りワイヤ1Bの下端部が位置するため、吊り装置1による中間ブーム105C(ブーム105)の吊り上げが安定して実現される。
一方、図24、図26に示すように、可動ベース部10Hのベース軸部10J回りの回動によって4つの把持部20が格納姿勢とされた状態では、吊りワイヤ1Bの下端部は、第1孔部10T1に係止される。この結果、図26に示すように、吊りワイヤ1Bがベース軸部10Jと干渉することなく、補助クレーンフック110によって吊り装置1を吊り上げ、移動することが可能となる。なお、格納姿勢では、第1孔部10T1は第2孔部T2の上方に配置されている。
図27は、本変形実施形態に係る複数(3つ)の吊り装置1(少なくとも2つの作業機械用吊り装置群)が積層された様子を示す斜視図である。図27に示すように、複数の吊り装置1の4つの把持部20のシリンダ22がそれぞれ前記格納姿勢とされた状態で、3つの吊り装置1のうちの一の吊り装置1のベース部10上に他の吊り装置1の4つの把持部20が載置されることで、複数の吊り装置1が互いに積層可能とされる。このため、4つの把持部20(シリンダ22、昇降機構)および可動ベース部10Hが前記格納姿勢においてベース部10に載置される側面(被載置部)を有する。したがって、複数の吊り装置1を輸送、保管する際に吊り装置1が占有する空間を小さくすることができる。特に、ワイヤ取付部10Tが可動ベース部10Hに備えられているため、ベース部10の中央ベース部10Gの上面部をフラット化し、複数の吊り装置1を容易に積層することができる。なお、先の第3実施形態、第7変形実施形態および後記の変形実施形態でも、同様に複数の吊り装置1を積層することができる。この際、中央ベース部10Gにワイヤ取付部10Tが配置される場合には、ワイヤ取付部10Tが、中央ベース部10Gから上方に突出しないように、中央ベース部10Gの上面部の一部が凹没されることで形成されることが望ましい。
図28は、本発明の第9変形実施形態に係る吊り装置1の作業姿勢の斜視図である。図29は、本変形実施形態に係る吊り装置1の第1格納姿勢の斜視図である。図30は、本変形実施形態に係る吊り装置1の第2格納姿勢の斜視図である。
本変形実施形態では、4つの把持部20が2段階で格納姿勢をとる。すなわち、先の第7変形実施形態と同様に、ベース部10が、中央ベース部10Gと、左右一対の可動ベース部10Hと、有する。可動ベース部10Hは、ベース軸部10Jを支点として回動可能とされる。更に、可動ベース部10Hの下面部に固定された把持部ブラケット10Kに対して、把持部20が左右方向(ベース部10が延びる方向と平行な方向)に延びる回転軸J回りに回動可能とされている。
したがって、図28の作業姿勢から、4つの把持部20が回転軸J回りに回動されると、図29に示す第1格納姿勢とされる。この際、可動ベース部10Hの直下で前後二対の把持部20が水平方向(前後方向)に沿って延びている。更に、図29において左右一対の可動ベース部10Hが中央ベース部10Gに対してベース軸部10J回りに回動されると、図30に示す第2格納姿勢とされる。この場合、図27に示される場合と比較して、中央ベース部10Gの下方であって左右の把持部20対の間に大きな空間を確保することができる。したがって、複数の吊り装置1が積層された状態で、当該空間に前後方向に沿って他の部材を収容し、輸送、保管することができる。
図31は、本発明の第10変形実施形態に係る吊り装置1の作業姿勢の斜視図である。図32は、本変形実施形態に係る吊り装置1の前側の格納ユニット353の側面図である。本変形実施形態においても、吊り装置1は、ワイヤ吊り部1Aと、4本の吊りワイヤ1Bと、ベース部10と、4つの把持部20と、把持部移動部30と、姿勢変更部40と、を備える。
把持部移動部30は、前後一対のレール317と、4つの移動ユニット318と、左右一対のサブレール351と、4つのサブ移動ユニット352と、を有する。
前後一対のレール317は、前後方向に間隔をおいてベース部10の下面部に固定されており、それぞれ左右方向に延びている。
4つの移動ユニット318のうち前側の2つの移動ユニット318は、前側のレール317上を左右方向に移動可能とされ、後側の2つの移動ユニット318は、後側のレール317上を左右方向に移動可能とされている。左右一対のサブレール351のうちの左側のサブレール351は、左側の前後2つの移動ユニット318に固定されており、右側のサブレール351は、右側の前後2つの移動ユニット318に固定されている。また、4つのサブ移動ユニット352のうち、左側の2つのサブ移動ユニット352は、左側のサブレール351上を前後方向に移動可能とされており、右側の2つのサブ移動ユニット352は、右側のサブレール351上を前後方向に移動可能とされている。
4つのサブ移動ユニット352は、それぞれ把持部20を支持している。サブ移動ユニット352の構造は、移動ユニット318と同様であり、内部に備えられた車輪によってサブレール351に沿って移動することができる。
このような構成によれば、左側の前後2つの把持部20は、左側のサブレール351によって互いに連結されており、前後一対のレール317上を左右方向に沿って移動することができる。同様に、右側の前後2つの把持部20は、右側のサブレール351によって互いに連結されており、前後一対のレール317上を左右方向に沿って移動することができる。また、各把持部20はサブ移動ユニット352によって支持されているため、移動ユニット318と同様のサブ移動ユニット352の構造に基づいて、サブレール351上を前後方向に移動することができる。
このような構成によれば、4つの把持部20を前後方向および左右方向に移動させることができるため、中間ブーム105Cなどの被吊り上げ体の前後および左右方向の寸法に応じて、把持部20を適切な位置に設定することができる。
更に、姿勢変更部40は、上記4つのサブ移動ユニット352と、4つの格納ユニット353と、を有する。図31、図32を参照して、各把持部20の下端部には格納ユニット353が固定されている。把持部20は、シリンダ22を有し、シリンダ22は、シリンダ本体22Aと、シリンダロッド22Bとを含む。シリンダ22の伸縮動作によって、把持部20が上下に移動することができる。なお、図31、図32では、格納ユニット353の下端部に固定されたブーム吊り部201(図1)の図示が省略されている。また、把持部20の上端部は、左右方向に沿って延びる回転軸J回りに回動可能なようにサブ移動ユニット352に支持されている。
図31における後側の格納ユニット353は、図32の把持部20および格納ユニット353を前後方向において反転させたものと同じである。格納ユニット353は、ユニット本体353Aと、車輪353Bと、格納用ブラケット353Cと、を有する。ユニット本体353Aは、シリンダロッド22Bの下端部に固定されており、その下面部には、上記のブーム吊り部201(フックでもよい)が固定されている。車輪353Bは、地面に接触することで、把持部20が作業姿勢から格納姿勢に姿勢変更することをガイドする。なお、図32に示すように、車輪353Bの中心は、前後方向において回転軸Jよりも、hだけ後側にオフセットされている。
格納用ブラケット353Cは、ユニット本体353Aの後側の側面の上端部に配置されている。格納用ブラケット353Cには、孔部353Dが開口されている。また、シリンダ本体22Aの前側の下端部には、シリンダブラケット22Cが配置されている。シリンダブラケット22Cとユニット本体353Aとを連結ロッド22Pが連結することで、格納ユニット353が上下方向に沿って延びる軸心回りに回転することが防止される(回り止め)。
図31に示されるように吊り装置1が空中で作業姿勢とされた状態で、補助クレーンフック110が下降され、吊り装置1が地面に着地すると、車輪353Bが地面上を転がりながら、把持部20および格納ユニット353が回転軸J回りに回動する(図31、図32の矢印参照)。やがて、格納用ブラケット353Cがサブレール351を左右両側から挟むように配置されると、孔部353Dとサブレール351の所定の位置に開口された不図示の孔部に連結ピンが挿入される。この結果、把持部20が格納姿勢で保持される。
このような構成によれば、補助クレーン(補助クレーンフック110)が吊り装置1を着地させると、吊り装置1の自重とあいまって、把持部20を作業姿勢から格納姿勢に姿勢変更することができる。また、格納用ブラケット353C、サブレール351および上記連結ピンによって、把持部20を格納姿勢に安定して維持することができる。
<ブーム105の吊り上げ方法>
上記のような吊り装置1によれば、以下のようにブーム105(被吊り上げ体)を吊り上げることができる。すなわち、当該被吊り上げ体の吊り上げ方法は、
ブーム105を準備する工程と、
ブーム105の形状に応じて、把持部移動部30によって4つの把持部20のうち少なくとも2つの保持部20をベース部10に対して相対移動させる工程と、
4つの保持部20をブーム105に接続する工程と、
吊り装置1によってブーム105を吊り上げる工程と、
を備える。なお、ブーム105を準備する工程では、ブーム105を地上に載置してもよく、トレーラなどの輸送車両の荷台に準備してもよい。ブーム105を吊り上げる工程も、地上または輸送車両の荷台からブーム105を吊り上げてもよい。
このような方法によれば、ブーム105の形状、吊り上げ姿勢に応じて、4つの把持部20の位置を調整し、各把持部20をブーム105に容易に接続することができる。この結果、ブーム105の吊り上げ作業の作業性を向上することができる。
<ブーム105の組立方法>
上記の各実施形態では、4つの把持部20のうちの少なくとも2つの把持部20を上下に移動させることができる。このため、ブーム105の組立段階において前述のように中間ブーム105Cなどを空中で傾斜させ、各ブーム部材(下部ブーム105A、中間ブーム105B、中間ブーム105C)を互いに連結することができるとともに、当該作業の作業性を向上することができる。
以下では、中間ブーム105Cを中間ブーム105Bに接続する工程を中心に説明する。なお、この場合、ブーム105のうち下部ブーム105Aおよび中間ブーム105Bが上部旋回体102に装着された状態で、中間ブーム105Cが中間ブーム105Bに連結される。他の実施形態において、中間ブーム105Bが地上の台座Hに載置された状態で、中間ブーム105Cが中間ブーム105Bに連結される態様でも良い。また、上部旋回体102から離れた位置で、輸送車両の荷台などに載置された状態で各ブーム部材が互いに連結されてもよい。
上記のブーム105(起伏体)の組立方法は、
前記起伏体を構成する部材であって、第1コネクタ105B1と第2コネクタ105B2とを含む中間ブーム105B(第1構成部材)と、第1コネクタB1に連結される第3コネクタ105C1と前記第2コネクタ105B2に連結される第4コネクタ105C2とを含む中間ブーム105C2(第2構成部材)とを、それぞれを準備する工程と、
第2コネクタ105B2が前記第1コネクタ105B1の下方に配置されるように、中間ブーム105Bをクレーン100の上部旋回体102(機体)に装着するまたは中間ブーム105Bを上部旋回体102から離れた位置に載置する工程と、
第4コネクタ105C2が前記第3コネクタ105C1の下方に配置されるように前記被吊り上げ体としての中間ブーム105Cを水平方向に沿って延びる姿勢に維持しながら、吊り装置1によって中間ブーム105Cを水平な姿勢で吊り上げる吊り上げ工程(図3B)と、
前記吊り上げられた中間ブーム105Cのうち中間ブーム105B側に配置され前記第3コネクタ105C1および前記第4コネクタ105C2を含む中間ブーム105Cの後端部(一端部)が中間ブーム105Bとは反対側に配置される中間ブーム105Cの前端部(他端部)よりも下方に位置するように、吊り装置1の把持部移動部30によって後側の把持部20対(一方の保持部対:図5A)または前側の把持部20対(他方の保持部対:図5B)をベース部10に対して上下方向に相対移動させることによって中間ブーム105Cを水平方向に対して傾斜させる傾斜工程と、
前記吊り上げられた中間ブーム105Cを中間ブーム105Bに近づけ、中間ブーム105Cの前記第3コネクタ105C1を中間ブーム105Bの前記第1コネクタ105B1に位置合わせし、左右に延びる第1連結ピンによって前記第1コネクタ105B1と前記第3コネクタ105C1とを連結する第1連結工程と、
前記第1連結ピン回りに中間ブーム105Cを下方に回動させることで、中間ブーム105Cの前記第4コネクタ105C2を中間ブーム105Bの前記第2コネクタ105B2に位置合わせし、左右に延びる第2連結ピンによって前記第2コネクタ105B2と前記第4コネクタ105C2とを連結する第2連結工程と、
を備える。
このような方法によれば、中間ブーム105Bと中間ブーム105Cとを連結してブーム105を組み立てる際に、中間ブーム105Cを吊り上げる吊り作業の作業性を向上することができる。特に、中間ブーム105Cを空中に吊り上げた状態から中間ブーム105Cを傾けることができる。このため、地上において複数のブーム吊り部201(フック21)を中間ブーム105Cに接続する位置を調整することで地切り時から中間ブーム105Cを傾ける組立方法と比較して、中間ブーム105Cに損傷が生じにくく、中間ブーム105Cを所望の角度に傾けることができる。
なお、上記の第2連結工程において中間ブーム105Cを第1連結ピン回りに下方に回動させる際に、これに先立って吊り装置1の把持部移動部30によって後側の把持部20対(一方の保持部対:図4、図5A、コネクタ接続側の把持部20対)を下降させて(伸長させて)中間ブーム105Cを傾けた場合には、当該後側の把持部20対を把持部移動部30によって縮めながら吊り装置1自体を下げていくことで、中間ブーム105Cを下方に回動させることができる。一方、吊り装置1の把持部移動部30によって前側の把持部20対(他方の保持部対:図4、図5A、反コネクタ接続側の把持部20対)を上昇させて(縮めて)中間ブーム105Cを傾けた場合には、当該前側の把持部20対を把持部移動部30によって下降させる(伸長させる)ことで、中間ブーム105Cを下方に回動させることができる。なお、上記2つの回動方法が組み合わされてもよい。
以上、本発明の各実施形態に係る吊り装置1について説明した。なお、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。本発明に係る建設機械として、以下のような変形実施形態が可能である。
(1)上記の実施形態では、作業機械として、クレーン10を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明に係る作業機械は、油圧ショベル、掘削機などその他の態様からなるものでもよい。
(2)また、上記の実施形態の一部では、吊り装置1の把持部移動部30が、把持部20を水平方向(第1方向および第2方向の少なくとも一方)および上下方向に沿って移動させる態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。把持部移動部30は、把持部20を水平方向のみに沿って移動させてもよく、また、上下方向のみに沿って移動させるものでもよい。
(3)また、上記の実施形態では、吊り装置1が4つの把持部20を備える態様にて説明したが、吊り装置1が3つの把持部を有するものでも良い。一例として、吊り装置1の前側に2つの把持部20が配置され、吊り装置1の後側に1つの把持部20が配置される。各把持部20は水平方向に沿って移動可能とされてもよいし、上下方向に沿って移動可能とされてもよい。後側の1つの把持部20が上下に移動されることで、被吊り上げ体が空中で傾斜されてもよい。すなわち、吊り装置1は少なくとも3つの把持部20を備え、把持部移動部30は、前記少なくとも3つの把持部20のうち少なくとも1つの把持部20を前記ベース部10に対して相対移動させることが可能であればよい。この場合、ブーム105などの被吊り上げ体の吊り上げ方法では、把持部移動部30によって前記少なくとも3つの把持部20のうち少なくとも1つの把持部20をベース部10に対して相対移動させる工程と、前記少なくとも3つの把持部20をブーム105に接続する工程と、を含む。
(4)また、図14乃至図17に示される第3実施形態では、フック21(保持部)およびシリンダ22を含む把持部20が、ベースブラケット402が延びる方向と平行な回転軸J(保持部回転軸)回りに回動可能とされることで、作業姿勢と格納姿勢との間で姿勢変更する態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。フック21(保持部)のみが、ベースブラケット402が延びる方向と平行な回転軸回りに回動可能とされることで、作業姿勢と格納姿勢との間で姿勢変更するものでもよい。この場合、前記回転軸が姿勢変更部として機能する。当該姿勢変更部は、前記作業姿勢ではフック21がベース部10から下方に垂下され中間ブーム105Cなどを保持することを許容し、前記格納姿勢では前記作業姿勢よりもフック21の下端部とベース部10との上下方向における距離が小さくなるように(フック21の上下方向における寸法が小さくなるように)フック21を姿勢変更することが可能である。また、把持部20が上下方向に延びる回転軸回りに回転可能とされる態様でもよい。
(5)また、各実施形態に係るフック21の向きは、適宜変更してもよい。すなわち、図16に示されるように、フック21の開口部分が互いに内側を向くように配置されてもよいし、互いに外側を向くように配置されてもよく、更に、左右方向の同じ側を向くように配置されてもよい。互いに外側を向くように配置されている場合、中間ブーム部105Cよりも幅が広い(外側の)位置からフック21を引っ掛ける必要がある一方、互いに内側を向くように配置されている場合には、そのように引っ掛ける必要はない。更に、左右方向の同じ側を向くように配置されている場合には、中間ブーム105Cに対して左右いずれか一方にずれた位置でフック21を下降させ、左右の他方側にフック21を水平移動させることでフック21を中間ブーム15Cに引っ掛けることができる。なお、フック21単独で回転してもよく、シリンダ22と一体で回転する態様でもよい。