JP2020163621A - リコート用化粧シート及びリコート用化粧シートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、ステイン等を厚く塗工した際に肉持ち感に優れた表面を得るために、基材に印刷インキを用いて絵柄印刷を施した上に、表面に位置するリコート層に不織布を用いるリコート用化粧シートが提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2で提案されているリコート用化粧シートは、ステイン等の着色剤を不織布の空隙で確実に保持し、該塗料が化粧シートの表面から垂れ落ちるのを防ぎ、肉持ち感に優れた塗工を行うことができる。
[1]基材と、前記基材の少なくとも一方の面側に設けられ、構成成分の繊維として熱可塑性樹脂繊維を含有する不織布を含み、前記繊維間に空隙を有するリコート層とを備え、前記不織布は、流れ方向と幅方向における破断強度の差が40.0N以下である、リコート用化粧シート。
[2]前記不織布は、非配向性不織布である、[1]のリコート用化粧シート。
[3]前記リコート層は、少なくとも一部の空隙を維持しつつ、前記繊維の少なくとも一部の表面に樹脂塗膜を有する、[1]又は[2]のリコート用化粧シート。
[4]前記リコート層は、空隙及び前記繊維の表面の少なくとも一部に着色剤を有する、[1]〜[3]のいずれかのリコート用化粧シート。
[5]前記基材は、樹脂基材である、[1]〜[4]のいずれかのリコート用化粧シート。
[6]基材を用意する工程と、構成成分の繊維として熱可塑性樹脂繊維を含有し、流れ方向と幅方向における破断強度の差が40.0N以下である不織布を用意する工程と、前記基材の上に、前記不織布を配置した積層体を得る工程と、前記積層体を熱ラミネートすることで、前記基材及び前記不織布を熱圧着させ、前記基材上にリコート層を積層させる工程とを含む、リコート用化粧シートの製造方法。
[リコート用化粧シート]
本発明の実施の形態に係るリコート用化粧シート1は、図1に示すように、基材10と、基材10の少なくとも一方の面側に設けられ、構成成分の繊維として熱可塑性樹脂繊維を含有する不織布を含み、繊維間に空隙を有するリコート層20とを備える。
なお、本発明の実施の形態に係るリコート用化粧シート1は、基材10とリコート層20の間には粘着剤を用いた粘着剤層を有さない。
基材10としては、通常化粧シートとして用いられるものであれば、特に限定されず、樹脂基材、金属基材、窯業系基材、繊維質基材及び木質系基材等を用途に応じて適宜選択することができる。基材10は、熱伝導性が良好である観点から、樹脂基材及び金属基材であることが好ましく、引張強度と伸び特性のバランスの観点から、樹脂基材であることがより好ましい。
上記各基材はそれぞれ単独で使用してもよいが、例えば、樹脂基材と木質系基材の複合体、樹脂基材と金属基材の複合体等の任意の組み合わせによる積層体であってもよい。基材10が積層体である場合は、積層体のそれぞれの層間に接着剤層及びプライマー層をさらに設ける等の構成であってもよい。
基材10として用いられる繊維質基材としては、建材分野で使われることが多い紙基材の表面に塩化ビニル樹脂層を設けたビニル壁紙原反等が挙げられる。
基材10として用いられる繊維質基材としては、事務分野又は通常の印刷及び包装等に用いられているコート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙及び和紙等が挙げられる。
基材10として用いられる繊維質基材としては、紙に似た外観と性状を持つ各種繊維の織布及び不織布も挙げられる。各種繊維としては、ガラス繊維、石綿繊維、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維及び炭素繊維等の無機質繊維が挙げられる。また、各種繊維としては、ポリエステル繊維、アクリル繊維及びビニロン繊維等の合成樹脂繊維が挙げられる。
絵柄インキ層11の絵柄(模様)は、木目柄、石目柄、布目柄、皮シボ柄、幾何学模様等所望の意匠外観に応じて任意に選択できる。リコート用化粧シート1において、例えば、木目の意匠外観を表現する場合は絵柄インキ層11として木目柄を選択すればよい。
絵柄インキ層11は、基材10上の任意の箇所に形成されていればよく、基材10の全面に形成されていてもよい。
絵柄インキ層11は、例えば、印刷により形成することができる。絵柄インキ層11は、単層であってもよいが、2以上の層から形成されるものであってもよい。
バインダー成分としては、特に制限はなく、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。バインダー成分としてのこれらの樹脂は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
着色成分としては、例えば、チタン白、鉛白、カーボンブラック、鉄黒、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、ニッケルアゾ錯体、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料;アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等の公知のものから適宜選択して用いることができる。
絵柄インキ層11を塗布する手段としては、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、グラビアオフセット印刷、フレキソ印刷及びインキジェット印刷等が好ましく、大ロットの場合はグラビア印刷、小ロットの場合はインキジェット印刷がより好ましい。
リコート用化粧シート1は、図2に示すように、絵柄インキ層11の一部として、樹脂基材10側に、着色隠蔽層12をさらに備える形態であることが好ましい。
着色隠蔽層12は、基材10に色ムラがある場合等に意図した色彩を与えて表面の色を整えることができ、リコート用化粧シート1の意匠性を高めることができる。着色隠蔽層12は、基材10を隠蔽する目的で、不透明色で形成することが多いが、着色透明色で形成し、基材10が持っている模様を活かすこともできる。
着色隠蔽層12のバインダー成分及び着色成分としては、リコート用化粧シート1の用途や絵柄インキ層11との相性等から適宜選択すればよく、絵柄インキ層11のバインダー成分及び着色成分と同じものを用いることができる。
リコート層20は、構成成分の繊維として熱可塑性樹脂繊維を含有するものであり、熱可塑性樹脂繊維を主成分として構成されることが好ましい。ここで主成分とは、リコート層20を構成する成分の50質量%を超える成分をいい、60質量%を超える成分であることが好ましく、70質量%を超える成分であることがより好ましく、80質量%を超える成分であることがさらに好ましい。
流れ方向と幅方向における破断強度の差は、高い寸法安定性となる観点から、35.0N以下であることが好ましく、30.0N以下であることがより好ましく、25.0N以下であることがさらに好ましく、20.0N以下であることがよりさらに好ましく、0Nに近ければ近いほどよい。
なお、本明細書における破断強度の測定方法は、後述する実施例に記載されるとおりである。
リコート層20を構成する不織布は、熱ラミネート等の加熱状況下を経たとしても寸法安定性が高いことが好ましい。不織布の寸法安定性の測定は、熱ラミネート(160℃、50kg/cm2)を行う前後の不織布の流れ方向及び幅方向の寸法をそれぞれ5箇所測定し、その平均値から得られる変化率を算出する。
不織布の流れ方向の変化率は、10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましく、0%に近ければ近いほどよい。不織布の幅方向の変化率は、10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましく、0%に近ければ近いほどよい。不織布の流れ方向及び幅方向の変化率が上記範囲内であることで、収縮を考慮せずに所望のサイズのリコート用化粧シート1を得ることができる。
リコート層20は、少なくとも一部の空隙を維持しつつ、繊維の少なくとも一部の表面に樹脂塗膜(図示せず)を有することが好ましい。樹脂塗膜は、ステイン塗料受容層としてのリコート層20の機能を向上させる。樹脂塗膜は、リコート層20の繊維の一部に存し、繊維の濡れ性を向上させることで、ステイン塗料が垂れ落ちるのを防ぎ、着色剤を保持する着肉性に優れた塗工とすることができる。
(メタ)アクリレート系樹脂としては、ウレタン(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート及びエポキシ(メタ)アクリレート等のモノマー、オリゴマー及びプレポリマーが挙げられる。これら(メタ)アクリレート系樹脂の中でも、ヒートシール層等との密着性及び塗膜強度のバランスの観点からは、ウレタンアクリレート、アクリルアクリレート、ポリエステルアクリレート及びエポキシアクリレート等のアクリロイル基を有するアクリレート系樹脂が好適であり、その中でもウレタン(メタ)アクリレートが好適である。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も使用可能である。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル及びチオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル及びp−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
リコート用化粧シート1は、加熱収縮率が低いことで、高温環境下で用いた場合であっても、伸縮及びカールを抑制することができる。
60℃程度の高温環境下で用いた場合であっても、リコート用化粧シート1の伸縮及びカールを抑制する観点から、60℃の環境下に72時間養生した後の流れ方向と幅方向の平均から得られる加熱収縮率は、0.50%以下であることが好ましく、0.40%以下であることがより好ましく、0.30%以下であることがさらに好ましく、0%に近ければ近いほどよい。リコート用化粧シート1の60℃の環境下に72時間養生した後の加熱収縮率の下限は0%である。
なお、本明細書における加熱収縮率の測定方法は、後述する実施例に記載されるとおりである。
本発明のリコート用化粧シート1の製造方法について、本発明のリコート用化粧シートとして好ましい態様の一つである、図1に示すリコート用化粧シートを例にとって、その製造方法を説明する。
まず、基材10を用意する。そして、リコート層20を構成する不織布として、熱可塑性樹脂繊維を含有し、流れ方向と幅方向における破断強度の差が40.0N以下を満たすものを用意する。
次いで、基材10上に、不織布を配置する。
次いで、基材10及び不織布を積層した積層体を熱ラミネートすることで、基材10及び不織布を熱圧着させ、基材10上にリコート層20が積層されたリコート用化粧シート1を製造することができる。
以上の工程により、基材10及びリコート層20を順に積層したリコート用化粧シート1を製造することができる。製造されたリコート用化粧シート1は、ラミネート工程においてリコート層20を構成する不織布は、加えられる応力を分散し、かつ、繊維が少しずつ切れることで伸縮を防ぐことができ、高い寸法安定性を有する。
本発明の実施の形態に係るリコート用化粧シート1の着色方法は、一般的な塗工方法によって、リコート用化粧シート1のリコート層20にリコート用塗料を塗工し、リコート層20を着色するものである。
リコート用化粧シート1のリコート層20は、塗工面側に繊維の空隙及び表面を維持する繊維部を有するので、繊維の空隙及び表面に水性ステイン塗料及び油性ステイン塗料等の着色剤を保持する着肉性を担保することができる。よって、本発明の実施の形態に係るリコート用化粧シート1は、ステイン等の着色剤をリコート層20に塗工し着色を施すことで、任意の色に着色することが容易に行える。
実施例及び比較例で得られたリコート用化粧シートについて、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例及び比較例で作製したリコート用化粧シートに用いた不織布を150mm×50mmの寸法で切断し、引張試験の試験片とした。JIS7127:1999を参考として、引張試験機(株式会社エー・アンド・デイ社製、製品名「RTC−1250A」を用いて、引張速度30mm/min、120℃の条件で、試験片の流れ方向及び幅方向のそれぞれについて破断強度(N)を測定した。
実施例及び比較例で作製したリコート用化粧シートの寸法安定性を評価した。
A:熱ラミネートを行う前後の流れ方向及び幅方向の寸法の変化率が5%以下
B:熱ラミネートを行う前後の流れ方向及び幅方向の寸法の変化率が5%超10%以下
C:熱ラミネートを行う前後の流れ方向及び幅方向の寸法の変化率が10%超
加熱収縮率は、JIS7133:1999に準拠して測定した。具体的には、実施例及び比較例で作製したリコート用化粧シートを120mm×120mmの寸法で切断し、加熱収縮率試験の試験片とした。試験片の縦方向及び横方向に標線を記し、標線間距離を測定した。次いで、試験片を温度60℃のオーブンに入れて72時間養生した。オーブンから取出した後、試験片の流れ方向及び幅方向に標線間距離を測定し、流れ方向及び幅方向における寸法の変化の平均である収縮率(%)を測定した。
基材として厚さ100μmである着色ポリ塩化ビニルシートを用意した。そして、基材の上に、絵柄インキ層形成用組成物をグラビア印刷することにより、厚さ4μmの絵柄インキ層を形成した。
次いで、坪量25g/m2、厚さ60μmであり、繊維としてアクリル・ポリエステル系樹脂繊維を含有する非配向性不織布を用意した。そして、基材上に配置された絵柄インキ層上に、用意した不織布を配置し、熱ラミネート(160℃、50kg/cm2)により加熱圧着することでリコート層を形成した積層体を得た。
次いで、リコート層の表面側から、ウレタン樹脂を含有する樹脂塗膜形成用組成物を塗布し、リコート層に樹脂塗膜を形成し、リコート用化粧シートを得た。
得られたリコート用化粧シートについて、評価した結果を表1に示す。
基材として厚さ100μmである着色ポリ塩化ビニルシートを用意した。そして、基材の上に、絵柄インキ層形成用組成物をグラビア印刷することにより、厚さ4μmの絵柄インキ層を形成した。
次いで、坪量25g/m2、厚さ60μmであり、繊維としてアクリル・ポリエステル系樹脂繊維を含有する配向性不織布を用意した。そして、基材上に配置された絵柄インキ層上に、用意した不織布を配置し、熱ラミネート(160℃、50kg/cm2)により加熱圧着することでリコート層を形成した積層体を得た。
次いで、リコート層の表面側から、ウレタン樹脂を含有する樹脂塗膜形成用組成物を塗布し、リコート層に樹脂塗膜を形成し、リコート用化粧シートを得た。
得られたリコート用化粧シートについて、評価した結果を表1に示す。
一方、比較例1では、流れ方向と幅方向における破断強度の差が40.0Nを超える不織布を用いたことで、寸法安定性及び加熱収縮率の結果が良くなかった。
10:基材
11:絵柄インキ層
12:着色隠蔽層
20:リコート層
Claims (6)
- 基材と、
前記基材の少なくとも一方の面側に設けられ、構成成分の繊維として熱可塑性樹脂繊維を含有する不織布を含み、前記繊維間に空隙を有するリコート層とを備え、
前記不織布は、流れ方向と幅方向における破断強度の差が40.0N以下である、リコート用化粧シート。 - 前記不織布は、非配向性不織布である、請求項1に記載のリコート用化粧シート。
- 前記リコート層は、少なくとも一部の空隙を維持しつつ、前記繊維の少なくとも一部の表面に樹脂塗膜を有する、請求項1又は2に記載のリコート用化粧シート。
- 前記リコート層は、空隙及び前記繊維の表面の少なくとも一部に着色剤を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリコート用化粧シート。
- 前記基材は、樹脂基材である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリコート用化粧シート。
- 基材を用意する工程と、
構成成分の繊維として熱可塑性樹脂繊維を含有し、流れ方向と幅方向における破断強度の差が40.0N以下である不織布を用意する工程と、
前記基材の上に、前記不織布を配置した積層体を得る工程と、
前記積層体を熱ラミネートすることで、前記基材及び前記不織布を熱圧着させ、前記基材上にリコート層を積層させる工程とを含む、リコート用化粧シートの製造方法。
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