JP2020163350A - リチウムイオン電池廃棄物の処理方法 - Google Patents

リチウムイオン電池廃棄物の処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020163350A
JP2020163350A JP2019069377A JP2019069377A JP2020163350A JP 2020163350 A JP2020163350 A JP 2020163350A JP 2019069377 A JP2019069377 A JP 2019069377A JP 2019069377 A JP2019069377 A JP 2019069377A JP 2020163350 A JP2020163350 A JP 2020163350A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ion battery
lithium ion
lithium
waste
battery waste
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019069377A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7179666B2 (ja
Inventor
辰也 ▲柳▼田
辰也 ▲柳▼田
Tatsuya Yanagida
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JX Nippon Mining and Metals Corp
Original Assignee
JX Nippon Mining and Metals Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JX Nippon Mining and Metals Corp filed Critical JX Nippon Mining and Metals Corp
Priority to JP2019069377A priority Critical patent/JP7179666B2/ja
Publication of JP2020163350A publication Critical patent/JP2020163350A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7179666B2 publication Critical patent/JP7179666B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/84Recycling of batteries or fuel cells

Abstract

【課題】リチウムイオン電池廃棄物を安全に取り扱うとともに、効率的に焙焼することができるリチウムイオン電池廃棄物の処理方法を提供する。【解決手段】保管容器2内に、複数個のリチウムイオン電池廃棄物1を収容するとともに、水または塩水3を貯留させ、該保管容器2内で、複数個の前記リチウムイオン電池廃棄物1の全体を前記水または塩水3に浸漬させて、当該リチウムイオン電池廃棄物1を保管する電池保管工程と、前記保管容器2内から前記リチウムイオン電池廃棄物1を、前記水または塩水3と分離させて取り出す電池取出し工程と、電池取出し工程の後、前記リチウムイオン電池廃棄物1に、水分が残留した状態で火炎を直接的に当てて、当該リチウムイオン電池廃棄物1を焙焼する電池焙焼工程とを含む、リチウムイオン電池廃棄物の処理方法である。【選択図】図1

Description

この明細書は、リチウムイオン電池廃棄物の処理方法に関する技術を開示するものである。
家庭用電子機器や携帯電話、車両その他の多くの産業分野で使用されているリチウムイオン電池は、マンガン、ニッケルおよびコバルトを含有するリチウム金属塩を正極活物質として用い、その正極活物質を含む正極材及び負極材の周囲を、アルミニウムを含む筐体で包み込んだものである。近年は、かかるリチウムイオン電池の使用量の増加および使用範囲の拡大に伴い、その製品寿命や製造過程での不良により廃棄される量が増大している状況にある。
このような状況の下、資源の有効活用の観点から、大量に廃棄されるリチウムイオン電池廃棄物に含まれる所定の有価金属を回収すること等を目的として、リチウムイオン電池廃棄物に対して、加熱焙焼や破砕、篩別、酸浸出を含む湿式処理その他の各種の処理を施すことが行われている。
特許文献1には、「アルミニウムを含む筐体で包み込まれたリチウムイオン電池を加熱して処理する方法であって、火炎により焼却対象物を焼却処理する焼却炉を用いて、前記リチウムイオン電池の筐体に火炎が直接的に当たることを防ぎながら、該リチウムイオン電池を加熱する、リチウムイオン電池の処理方法」が開示されている。特許文献1では、この「リチウムイオン電池の処理方法」によれば、「リチウムイオン電池の筐体に火炎が直接的に当たることを防ぎながら、リチウムイオン電池を加熱することにより、筐体の酸化を抑制することができるので、筺体の破裂および筐体、アルミ箔、銅箔の酸化・脆化を有効に防止することができる。」としている。
なお、特許文献2には、「廃電池を、導電性を有する液体に浸漬させた後、当該液体から発生する水素ガスの濃度を測定することにより、前記廃電池に残留する電荷の放電終了を判断することを特徴とする廃電池の放電終了の判断方法」が記載されている。特許文献3には、「電池を液体に浸漬させて放電処理を行うための設備であって、前記電池が浸漬される液体を収容した浸漬槽と、該浸漬槽に設けられた、前記電池を複数保持しうる電池保持部と、を備えており、該電池保持部は、網状の部材によって形成された、前記複数の電池を保持し得る電池保持部材と、該電池保持部材の底面を、前記浸漬槽の底面から浮かせた状態で支持する支持部材とを備えていることを特徴とする電池の放電設備」が記載されている。特許文献4では、「使用済み電池を導電性を有する液体に浸漬して残存電力を放電させることを特徴とする使用済み電池の処理方法」が開示されている。
特開2016−207648号公報 特開2012−43694号公報 特開2012−38521号公報 特開平8−306394号公報
ところで、上述したようにリチウムイオン電池廃棄物に所定の処理を施す際等には、当該処理に先立ち、多数個のリチウムイオン電池廃棄物を収集し、それらをまとめて保管することがある。
ここで、薄型化の進むリチウムイオン電池廃棄物は、比較的容易に変形するとともに衝撃に弱く、また残留電圧があることから、複数個をまとめて保管するときに発火・発煙の危険性がある。
これに対処するため、複数個のリチウムイオン電池廃棄物を、特許文献2〜4に記載されているように、水等の液体に浸漬させて保管した場合は、その後に当該リチウムイオン電池廃棄物を、特許文献1に記載されたようにして加熱して焙焼すると、リチウムイオン電池廃棄物中に残留した水分が、焙焼の進行を阻害し、効率的な焙焼を実現できなかった。
この明細書は、リチウムイオン電池廃棄物を安全に取り扱うとともに、効率的に焙焼することができるリチウムイオン電池廃棄物の処理方法を開示するものである。
この明細書で開示するリチウムイオン電池廃棄物の処理方法は、保管容器内に、複数個のリチウムイオン電池廃棄物を収容するとともに、水または塩水を貯留させ、該保管容器内で、複数個の前記リチウムイオン電池廃棄物の全体を前記水または塩水に浸漬させて、当該リチウムイオン電池廃棄物を保管する電池保管工程と、前記保管容器内から前記リチウムイオン電池廃棄物を、前記水または塩水と分離させて取り出す電池取出し工程と、電池取出し工程の後、前記リチウムイオン電池廃棄物に、水分が残留した状態で火炎を直接的に当てて、当該リチウムイオン電池廃棄物を焙焼する電池焙焼工程とを含むものである。
上記のリチウムイオン電池廃棄物の処理方法によれば、リチウムイオン電池廃棄物を安全に取り扱うとともに、効率的に焙焼することができる。
一の実施形態に係るリチウムイオン電池廃棄物の処理方法における電池保管工程を示す斜視図である。 一の実施形態に係るリチウムイオン電池廃棄物の処理方法における電池取出し工程を示す斜視図である。 リチウムイオン電池廃棄物を収容した液体透過容器の保管態様の一例を示す斜視図である。
以下に、この明細書で開示する実施の形態について詳細に説明する。
一の実施形態に係るリチウムイオン電池廃棄物の処理方法は、保管容器内に、複数個のリチウムイオン電池廃棄物を収容するとともに、水または塩水を貯留させ、該保管容器内で、複数個の前記リチウムイオン電池廃棄物の全体を前記水または塩水に浸漬させて、当該リチウムイオン電池廃棄物を保管する電池保管工程と、前記保管容器内から前記リチウムイオン電池廃棄物を、前記水または塩水と分離させて取り出す電池取出し工程と、電池取出し工程の後、前記リチウムイオン電池廃棄物に、水分が残留した状態で火炎を直接的に当てて、当該リチウムイオン電池廃棄物を焙焼する電池焙焼工程とを含む。
電池保管工程にて、保管容器内で、複数個の前記リチウムイオン電池廃棄物の全体を前記水または塩水に浸漬させて、当該リチウムイオン電池廃棄物を保管することにより、衝撃や変形等の何らかの要因による機能破壊時に、残留電圧に起因する熱暴走を有効に抑制することができるので、リチウムイオン電池廃棄物を安全に取り扱うことができる。
またその後の電池焙焼工程で、リチウムイオン電池廃棄物に、水分が残留した状態で火炎を直接的に当てて、当該リチウムイオン電池廃棄物を焙焼することにより、リチウムイオン電池廃棄物に残留する水分が容易に蒸発し、リチウムイオン電池廃棄物を乾燥させながら、効率的に焙焼することができる。
(リチウムイオン電池廃棄物)
対象とするリチウムイオン電池廃棄物は、携帯電話その他の種々の電子機器等で使用されるリチウムイオン電池や、ハイブリッド自動車や燃料電池自動車、電気自動車等の車両に搭載されたリチウムイオン電池等の種々のリチウムイオン電池で、電池製品の寿命や製造不良またはその他の理由によって廃棄された廃棄物である。
資源を有効活用するため、上述したようなリチウムイオン電池廃棄物から、たとえば湿式法等により所定の有価金属を回収することがあるが、それに先立って、様々なところから収集したリチウムイオン電池廃棄物を保管するとともに、その後に焙焼する際等に、この実施形態の方法を適用することができる。
リチウムイオン電池は近年、薄型化ないし小型化が進む傾向にあるも、薄型ないし小型のリチウムイオン電池の廃棄物は変形がしやすく、また衝撃に弱い。かかるリチウムイオン電池廃棄物は保管する当たり、変形・衝撃により機能破壊されると、残留電圧に起因する熱暴走により発火し、発煙が生じるおそれがある。なお熱暴走時の温度は最高約500℃まで上昇することがある。そして、このリスクは、リチウムイオン電池廃棄物を複数個まとめて取り扱うと特に顕在化する。
これに対処するため、詳細については後述する電池保管工程を行うことが好適である。
なお、電子機器等に用いられるリチウムイオン電池は一般に、その周囲を包み込むアルミニウム製等の筐体内に、リチウム、ニッケル、コバルト及びマンガンのうちの一種の単独金属酸化物又は、二種以上の複合金属酸化物等からなる正極活物質や、正極活物質が有機バインダー等によって塗布されて固着されたアルミニウム箔(正極基材)を含む。またその他に、リチウムイオン電池には、負極材等を構成する銅、鉄等が含まれる場合がある。そしてまた、リチウムイオン電池は一般に、筺体内に電解液が含まれている。この電解液としては、たとえば、エチレンカルボナート、ジエチルカルボナート等が使用されることがある。
筐体で包み込まれたリチウムイオン電池は、実質的に正方形もしくは長方形状の平面輪郭形状を有するものとすることができ、この場合、たとえば、縦が40mm〜80mm、横が35mm〜65mm、厚みが4mm〜5mmのものを対象とすることができるが、この寸法のものに限定されない。
(電池保管工程)
この実施形態では、図1に例示するように、上述したリチウムイオン電池廃棄物1の複数個を、保管容器2内に収容するとともに、保管容器2内に水または塩水からなる液体3を貯留させる。ここで、水または塩水からなる液体3は、保管容器2内に配置した全てのリチウムイオン電池廃棄物1の全体が浸漬する程度の十分な量を供給する。
これにより、保管の際又はその前もしくは後の、投入ないし運搬、取出し時等において、たとえば保管容器2へ外部から振動が作用する等して、保管容器2内のリチウムイオン電池廃棄物1が変形し、またはリチウムイオン電池廃棄物1に衝撃が加えられたとしても、リチウムイオン電池廃棄物1の周囲に存在する水または塩水からなる液体3が、リチウムイオン電池廃棄物1の残留電圧による熱暴走を効果的に抑制するので、発火や発煙のリスクを有効に低減することができる。また、液体3は、運搬時等のリチウムイオン電池廃棄物1どうしの衝突や、リチウムイオン電池廃棄物1と保管容器2の内面との衝突を緩和するべくも機能する。
なお、保管容器2内でリチウムイオン電池廃棄物1が液体3中に浸漬していれば、上記の効果を得ることができるので、保管容器2内へのリチウムイオン電池廃棄物1の投入および、液体3の供給の順序は特に問わない。いずれを先に、または同時に行ってもよい。
保管容器2は、熱に強い耐熱性を有し、また外部から衝撃に対して内部のリチウムイオン電池廃棄物1を有効に保護し得る耐衝撃性を有するものとすることが、発火や発煙をより一層有効に防止できる点で好ましい。
このような耐熱性および耐衝撃性を備えた保管容器2としては、少なくとも、内部に配置したリチウムイオン電池廃棄物1の周囲を取り囲む外壁が、たとえば、鉄製または樹脂製のものを挙げることができる。
より具体的には、保管容器2は、円筒状の胴板2aの一端側(図1及び2では下端側)の底に地板2bを設けてなるドラム缶とすることができる。ドラム缶は入手が容易で使用後の廃棄も容易であり、また比較的安価であることから好ましい。しかも、ドラム缶は通常、鋼鉄その他の鉄製であり、万が一リチウムイオン電池廃棄物1が発火したとしても、その発火に対する耐熱性を有する。このようなドラム缶は、たとえば、鋼鉄等の金属を主材料とした18L以上かつ400L以下の円筒型容器であり、具体的にはJIS Z1600に規定されたもの等とすることができる。
なお一般的なドラム缶は、図示のように、円筒状の胴板2aの軸線方向に間隔をおいて、その胴板2aの外面から環状に突出する複数本の輪帯2cが存在する。
図1では示していないものの、保管容器2の開口部、図示の例では上端側である他端側の円形の開口部2dには、たとえば運搬時等の液体3の漏出を抑制するため、その開口部2dを覆う蓋部材を設けることができる。なお、開口部2dは、保管容器2内へのリチウムイオン電池廃棄物1の投入、液体3の供給等の際に使用され得る。
但し、保管容器2にこのような蓋部材を設けた場合であっても、保管容器2の内部を外部に連通させる圧抜き箇所を設けることが好ましい。圧抜き箇所は、たとえば、蓋部材に設ける場合は蓋部材に形成した一又は複数の貫通孔もしくは、胴板2a等の側壁の液体の水位より高い位置に形成した一又は複数の貫通孔、または、蓋部材を設けない場合は開口部2d等とすることができる。なお、蓋部材無しで開放状態とすることももちろん可能であるが、ドラム缶等の保管容器2を段積みする場合は蓋部材があったほうがよい。
リチウムイオン電池廃棄物1は、その内部の成分に起因して、周囲の液体3中に気泡を発生させることがあるところ、この気泡が保管容器2の内部から外部に排出されることができなければ、内圧増加による保管容器2の変形のおそれがある。それ故に、保管容器2は、上述したような圧抜き箇所を設けることによって密閉しないことが望ましい。
保管容器2内に配置するリチウムイオン電池廃棄物1は、保管容器2の容積に対して7割〜8割程度の割合を占める個数以下とすることが好適である。保管容器2の容積に対してリチウムイオン電池廃棄物1の個数が多すぎると、電池が膨張し、保管容器2から溢れるおそれがある。
保管容器2の内部に貯留させる液体3は、水または塩水とする。塩水とした場合は、残留電気を放電する効果があるが、コネクタ部の腐食により放電しきれないこともある。水とした場合は、リチウムイオン電池廃棄物1を容易に浸漬でき、電池破損時の熱暴走を防ぐためだけであれば十分な効果がある。
保管容器2内に貯留させる液体3は、保管容器2内に所定の個数のリチウムイオン電池廃棄物1を配置した状態で、保管容器2の容積に対して80%〜90%の量とすることが好ましい。液体3が少なすぎると、液体3に浸漬していないリチウムイオン電池廃棄物1の熱暴走が発生するおそれがある。
電池保管工程で、リチウムイオン電池廃棄物1を保管する期間は、適宜決定することができる。但し、保管期間が長いと、ドラム缶等の保管容器2の腐食や変形のおそれがある。
このようにして、保管容器2の内部で、リチウムイオン電池廃棄物1の全体が液体3に浸漬した状態を維持しながら、車両等で運搬し、また所定の場所に保管することにより、発火・発煙の可能性を有効に低減することができる。
(電池取出し工程)
電池取出し工程では、上述した保管容器2内からリチウムイオン電池廃棄物1を取り出すが、この際に、リチウムイオン電池廃棄物1を、上述した水または塩水からなる液体3を分離させる。
具体的には、保管容器2内の液体3中に浸漬したリチウムイオン電池廃棄物1を、該液体3から持ち上げて取り出すことも可能である。
但し、作業性の観点等からは、図2に示すような液体透過容器4を用いて、保管容器2の内容物である液体3及びリチウムイオン電池廃棄物1を全て、液体透過容器4に移し替えることが好ましい。
この場合、周囲がたとえばメッシュ状ないし、織物もしくは編物状等からなる液体透過容器4に供給された内容物のうち、液体3は液体透過容器4を透過して漏出する一方で、リチウムイオン電池廃棄物1は液体透過容器4内に捕捉されるので、リチウムイオン電池廃棄物1を液体3から容易に分離させることができる。
液体透過容器4は、たとえば、いわゆるフレキシブルコンテナバッグとすることができる他、リチウムイオン電池廃棄物1が捕捉できるものであれば網状の袋体等としてもよい。このような液体透過容器4は、後述するように、電池焙焼工程で、火炎が当たることにより焼失するものであることが好ましい。
なお、リチウムイオン電池廃棄物1から分離された液体3には、リチウムイオン電池廃棄物1から流出した電解液が含まれることがある。電解液を含む液体3は、脱フッ素処理、中和処理、焼却処理等して廃棄する。
(電池焙焼工程)
電池焙焼工程では、上記の電池取出し工程で保管容器2から取り出したリチウムイオン電池廃棄物1を、たとえば焼却炉内で焙焼する。
ここでは、先述の水または塩水からなる液体3に由来する水分が、リチウムイオン電池廃棄物1に残留した状態で、当該リチウムイオン電池廃棄物1に火炎を直接的に当てる。これにより、リチウムイオン電池廃棄物1の周囲及び/又は内部の水分の蒸発が進み、リチウムイオン電池廃棄物1を乾燥させつつ焙焼することができるので、焙焼を効率的に行うことができる。
電池焙焼工程では、リチウムイオン電池廃棄物1を、上述した液体透過容器4から取り出した後に、リチウムイオン電池廃棄物1に火炎を直接的に当てることもできるが、作業効率を向上させるため、リチウムイオン電池廃棄物1を、液体透過容器4に収容した状態で焙焼することが好ましい。
液体透過容器4が、リチウムイオン電池廃棄物1への火炎の接触を阻害しないような網状のものであれば、リチウムイオン電池廃棄物1を当該液体透過容器4に収容した状態でも、リチウムイオン電池廃棄物1に火炎を直接当てることができる。
あるいは、リチウムイオン電池廃棄物1への火炎の接触を阻害する程度に織り込まれ又は編み込まれたフレキシブルコンテナバッグのような液体透過容器4でも、焙焼時に焼失するような素材等のものであれば、液体透過容器4の焼失後に、リチウムイオン電池廃棄物1に火炎を直接的に当てることができる。この場合、焙焼の途中から、リチウムイオン電池廃棄物1に火炎が直接的に当たることになる。
このような観点から、液体透過容器4の具体的な材質及び形状その他の構成を選択することができる。
電池焙焼工程で、リチウムイオン電池廃棄物1に火炎を直接的に当てることは、電池取出し工程で、リチウムイオン電池廃棄物1を水または塩水と分離させたときから比較的短い時間が経過するまでの間に行うことが好適である。リチウムイオン電池廃棄物1を水または塩水と分離させたときから長い時間が経過すると、発煙・発火の懸念があるからである。したがって、リチウムイオン電池廃棄物1は、できる限り焙焼直前まで水または塩水に浸漬させておくことが好ましい。
作業の都合上、焙焼直前にリチウムイオン電池廃棄物1を液体透過容器4に移せない場合、事前に作業を行った後、図3に示すように、内部にリチウムイオン電池廃棄物1が収容された状態の液体透過容器4を、水または塩水の入った貯液槽5に水没させて保管しておくことが望ましい。そして、焙焼直前に貯液槽5からリチウムイオン電池廃棄物1が収容された液体透過容器4を取り出し、水または塩水と分離した後に焙焼を始めることが望ましい。
また電池焙焼工程では、リチウムイオン電池廃棄物1に火炎を直接的に当てて、リチウムイオン電池廃棄物1の温度を上昇させることが好ましい。すなわち、この実施形態では、はじめに、100℃以下からバーナ着火することで徐々に温度が上昇する。次いで、リチウムイオン電池廃棄物1の温度をさらに上昇させ、800℃〜900℃の温度範囲内まで上昇させる。その後、リチウムイオン電池廃棄物1の温度が低下した後、300℃以下で焙焼を終了する。
なお、リチウムイオン電池廃棄物1の焙焼には、火炎により焼却対象物を焼却処理する通常の焼却炉を用いることができる。これによれば、特殊な設備を用いる場合に比して設備コストの増大を抑えることができる。
特に焼却炉のなかでも、固定床炉(定置炉)を用いることが好ましい。リチウムイオン電池廃棄物には水分が付着していることがあるので、他の焼却炉では処理が難しい場合がある。固定床炉はバッチ式であるので処理が可能である。
(後工程)
リチウムイオン電池廃棄物は、上述した電池焙焼工程を経た後、有価金属の回収工程に供することができる。
ここでは、電池焙焼工程後のリチウムイオン電池廃棄物を、たとえば、所要に応じて破砕及び篩別し、硫酸等の浸出液に添加して浸出後液を得る。その後、この浸出後液から、浸出後液中に溶解しているニッケル、コバルト、マンガン等を回収する。より詳細には、たとえば、溶媒抽出又は中和により、はじめにマンガンを分離させて回収し、次いでコバルトを、その後にニッケルを順次に分離させて回収し、最後に水相にリチウムを残す。
次に、上述したようなリチウムイオン電池廃棄物の処理方法を試験的に実施し、その効果を確認したので以下に説明する。但し、ここでの説明は単なる例示を目的としたものであり、これに限定されることを意図するものではない。
(実施例)
複数個のリチウムイオン電池廃棄物を保管容器としてのドラム缶内に収容し、そのドラム缶内に溜めた水にリチウムイオン電池廃棄物を浸漬させて保管した。
数日後、ドラム缶からリチウムイオン電池廃棄物を取り出して水切りを行った後、リチウムイオン電池廃棄物に水分が残留した状態で、固定床炉にて該リチウムイオン電池廃棄物に火炎を直接当てて焙焼した。これにより、水分を蒸発させつつ、リチウムイオン電池廃棄物を有効に焼却することができた。
(比較例1)
リチウムイオン電池廃棄物をドラム缶から取り出さずに、ドラム缶内の水を除去し、リチウムイオン電池廃棄物をドラム缶内に収容したまま焙焼した。この点を除いて、実施例と同様の条件とした。
焙焼後にドラム缶内を確認したところ、ドラム缶底部に未燃焼のリチウムイオン電池廃棄物が存在していたことから、ドラム缶内で焼却のムラが発生していると推認された。
(比較例2)
固定床炉で、リチウムイオン電池廃棄物に直接火炎を当てずに焙焼したことを除いて、実施例と同様に処理した。
ここでは、リチウムイオン電池廃棄物に残留した水分の揮発に時間がかかり、全てのリチウムイオン電池廃棄物を有効に焙焼するまでに相当の時間を要した。
1 リチウムイオン電池廃棄物
2 保管容器
2a 胴板
2b 地板
2c 輪帯
2d 開口部
3 液体(水または塩水)
4 液体透過容器
5 貯液槽

Claims (5)

  1. 保管容器内に、複数個のリチウムイオン電池廃棄物を収容するとともに、水または塩水を貯留させ、該保管容器内で、複数個の前記リチウムイオン電池廃棄物の全体を前記水または塩水に浸漬させて、当該リチウムイオン電池廃棄物を保管する電池保管工程と、
    前記保管容器内から前記リチウムイオン電池廃棄物を、前記水または塩水と分離させて取り出す電池取出し工程と、
    電池取出し工程の後、前記リチウムイオン電池廃棄物に、水分が残留した状態で火炎を直接的に当てて、当該リチウムイオン電池廃棄物を焙焼する電池焙焼工程と
    を含む、リチウムイオン電池廃棄物の処理方法。
  2. 電池取出し工程で、前記保管容器の内容物を、液体透過容器に移し替えて、前記リチウムイオン電池廃棄物を前記水または塩水と分離させる、請求項1に記載のリチウムイオン電池廃棄物の処理方法。
  3. 電池焙焼工程で、前記リチウムイオン電池廃棄物を、前記液体透過容器に収容した状態で焙焼し、該焙焼の間に、前記液体透過容器が焼失して、前記リチウムイオン電池廃棄物に火炎が直接的に当たる、請求項2に記載のリチウムイオン電池廃棄物の処理方法。
  4. 電池焙焼工程で、前記リチウムイオン電池廃棄物を、800℃〜900℃の温度範囲内に昇温させた後、300℃以下の温度範囲内に降温させる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池廃棄物の処理方法。
  5. 電池焙焼工程で固定床炉を用いる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池廃棄物の処理方法。
JP2019069377A 2019-03-29 2019-03-29 リチウムイオン電池廃棄物の処理方法 Active JP7179666B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019069377A JP7179666B2 (ja) 2019-03-29 2019-03-29 リチウムイオン電池廃棄物の処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019069377A JP7179666B2 (ja) 2019-03-29 2019-03-29 リチウムイオン電池廃棄物の処理方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020163350A true JP2020163350A (ja) 2020-10-08
JP7179666B2 JP7179666B2 (ja) 2022-11-29

Family

ID=72715434

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019069377A Active JP7179666B2 (ja) 2019-03-29 2019-03-29 リチウムイオン電池廃棄物の処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7179666B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012038521A (ja) * 2010-08-05 2012-02-23 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 電池の放電設備
JP2012172175A (ja) * 2011-02-18 2012-09-10 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 有価金属回収方法
JP2018172727A (ja) * 2017-03-31 2018-11-08 Jx金属株式会社 リチウムイオン電池スクラップの処理方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012038521A (ja) * 2010-08-05 2012-02-23 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 電池の放電設備
JP2012172175A (ja) * 2011-02-18 2012-09-10 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 有価金属回収方法
JP2018172727A (ja) * 2017-03-31 2018-11-08 Jx金属株式会社 リチウムイオン電池スクラップの処理方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP7179666B2 (ja) 2022-11-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6708468B2 (ja) リチウムイオン電池の処理方法
CN102017276A (zh) 废旧磷酸铁锂动力电池的回收利用方法
WO2012169073A1 (ja) 廃リチウムイオン二次電池からの有価金属回収方法
US9450277B2 (en) Systems for recycling volatile battery sources
JP2012128952A (ja) 電池パック処理装置および処理方法
JP6994839B2 (ja) リチウムイオン電池スクラップの処理方法
JP5594167B2 (ja) 電池パック処理装置および処理方法
JP7179666B2 (ja) リチウムイオン電池廃棄物の処理方法
JP2004355954A (ja) 廃電池の処理方法
JP7237732B2 (ja) 耐熱容器
JP6469547B2 (ja) リチウムイオン電池の処理方法
JP7133688B2 (ja) リチウムイオン電池スクラップの処理方法
CN114467214A (zh) 蓄电池、电池和类似物的处理方法和实施该方法的设备
JP2012033345A (ja) 電池パック
JP2020054961A (ja) リチウムイオン電池廃棄物の取扱い方法
JP2016204676A (ja) リチウムイオン電池の処理方法
JP6853402B2 (ja) 二次電池の処理方法
JP6659610B2 (ja) 車載用電池パック廃棄物の処理方法
JP4358954B2 (ja) 使用済み密閉型電池の開口方法
JP6948975B2 (ja) リチウムイオン電池スクラップの処理方法および、ストレーナ
KR102591155B1 (ko) 재활용을 위한 폐 리튬 이차 전지의 처리 방법
JP2020073732A (ja) リチウムイオン電池の処理方法
WO2022158441A1 (ja) 廃リチウムイオン電池の処理方法
JP2010165569A (ja) 二次電池
JP5521873B2 (ja) 有価金属回収処理液の処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210917

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220511

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220705

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220816

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221025

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20221116

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7179666

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151