JP6469547B2 - リチウムイオン電池の処理方法 - Google Patents

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Description

この発明は、アルミニウムを含む筐体により周囲を覆われたリチウムイオン電池を加熱して処理する方法に関するものであり、特には、加熱処理に際するリチウムイオン電池の周囲を包み込む筐体の破裂を防止して、リチウムイオン電池からのアルミニウムの除去に寄与することのできる技術を提案するものである。
各種の電子デバイスをはじめとして多くの産業分野で使用されているリチウムイオン電池は、マンガン、ニッケルおよびコバルトを含有するリチウム金属塩を正極活物質として用い、その正極活物質を含む正極材及び負極材の周囲を、アルミニウムを含む筐体で包み込んだものであり、近年は、その使用量の増加および使用範囲の拡大に伴い、電池の製品寿命や製造過程での不良により廃棄される量が増大している状況にある。
かかる状況の下では、大量に廃棄されるリチウムイオン電池スクラップから、上記のニッケルおよびコバルト等の有価金属を、再利用するべく比較的低コストで容易に回収することが望まれる。
有価金属の回収のために、リチウムイオン電池スクラップ等のリチウムイオン電池を処理するには、はじめに、リチウムイオン電池を焙焼することによって、内部に含まれる有害な電解液を除去して無害化するとともに、その後に破砕、篩別を順に行って、筐体や正極基材に含まれるアルミニウムをある程度除去する前工程を実施する。
次いで、前工程により得られる粉末状の正極活物質等を酸浸出し、そこに含まれ得るリチウム、ニッケル、コバルト、マンガン、アルミニウム等を溶液中に溶解させて、浸出後液を得る浸出工程を行う。
そしてその後、浸出後液に溶解している各金属元素を分離させる回収工程を行う。ここでは、浸出後液に浸出しているそれぞれの金属を分離させるため、浸出後液に対し、分離させる金属に応じた複数段階の溶媒抽出もしくは中和等を順次に施し、さらには、各段階で得られたそれぞれの溶液に対して、逆抽出、電解、炭酸化その他の処理を施す。具体的には、まずアルミニウムを回収し、続いてマンガン、そしてコバルト、その後にニッケルを回収して、最後に水相にリチウムを残すことで、各有価金属を回収することができる。
ところで、先述したように、リチウムイオン電池を酸浸出するに先立って、リチウムイオン電池を加熱して、リチウムイオン電池を焙焼すると、リチウムイオン電池の外装を構成する筐体が破裂することがあった。このように、焙焼で電池スクラップの筐体が破裂すると、筐体や正極基材に含まれるアルミニウムは酸化・脆化され、破砕時に粉砕されやすくなるために、篩別にて篩上に取り除くことが困難になって、篩下に回収される粉末状の正極活物質に多く混入することから、正極活物質を酸浸出した際に浸出後液には多くのアルミニウムが含まれることになる。
その結果として、回収工程でアルミニウムの分離・除去のための工数が必要となり、それによるコストが嵩むという問題があった。
この発明は、このような問題を解決することを課題とするものであり、その目的とするところは、リチウムイオン電池の加熱処理に際し、その筐体の破裂を有効に防止することができるリチウムイオン電池の処理方法を提供することにある。
発明者は鋭意検討の結果、リチウムイオン電池を焙焼する際に、リチウムイオン電池の温度を400℃よりも高く上昇させる昇温過程で、450℃以上の高い温度に急激に上昇させている点に着目し、上記の筐体の破裂は、加熱時のリチウムイオン電池の急激な温度上昇に起因して、内部の電解液が急速に気化して筐体内で多量の電池ガスが生じ、この電池ガスの発生流量が、筐体外への流出流量を上回ることによって、筐体が膨張することが原因であると考えた。但し、この発明は、このような理論に限定されるものではない。
そのため、熱ガスにより加熱対象物を加熱する加熱設備を用いる場合、リチウムイオン電池の昇温過程の間に、熱ガス温度を適正に調整することにより、リチウムイオン電池の昇温速度をコントロールして、リチウムイオン電池が比較的低温にある間に筐体内の略全ての電池ガスを緩慢に流出させることで、筐体を破裂させることなしに有効に焙焼できると考えた。
このような知見の下、この発明のリチウムイオン電池の処理方法は、アルミニウムを含む筐体で包み込まれたリチウムイオン電池を、電池加熱空間に配置し、前記電池加熱空間に熱ガスを送り込むことにより、前記リチウムイオン電池を加熱して処理する方法であって、前記電池加熱空間に送り込む熱ガスの温度を450℃未満とし、熱ガスにより加熱されるリチウムイオン電池の温度が200℃〜400℃の範囲内にある間に、リチウムイオン電池の筐体内から電池ガスを流出させるとともに、当該電池ガスの流出を終了させるものである。
そして、前記リチウムイオン電池の筐体内からの電池ガスの流出終了後は、前記電池加熱空間に送り込む熱ガスの温度を、450℃〜600℃に上昇させることが好ましい。
この発明のリチウムイオン電池の処理方法では、前記リチウムイオン電池の筐体内からの電池ガスの流出開始から流出終了までの間、電池加熱空間に送り込まれた後の熱ガスを、前記電池ガスとともに、電池加熱空間の外部へ排出して当該外部で450℃以上にすることが好適である。
上述したような前記リチウムイオン電池の加熱終了後は、リチウムイオン電池の前記筐体で包み込まれた性状が維持されることが好ましい。
この発明のリチウムイオン電池の処理方法では、前記熱ガスを送り込む電池加熱空間を、還元雰囲気とすることが好ましい。
この発明のリチウムイオン電池の処理方法によれば、電池加熱空間に送り込む熱ガスの温度を450℃未満とし、それにより、リチウムイオン電池の温度が200℃〜400℃の範囲内にある間に、リチウムイオン電池の筐体内から電池ガスを流出させるとともに、電池ガスの流出を終了させることで、筐体内でのガスの発生を緩慢にすることができ、それにより、急速なガスの発生がもたらす筐体の破裂を有効に防止することができる。
この発明の一の実施形態に係るリチウムイオン電池の処理方法に用いることができる加熱装置の概略図である。 試験例1の加熱工程での試料温度の経時変化を示すグラフである。 試験例2の加熱工程での試料温度の経時変化を示すグラフである。
以下に、この発明の実施形態について詳細に説明する。
この発明の一の実施形態のリチウムイオン電池の処理方法では、図1に例示するように、アルミニウムを含む筐体で包み込まれたリチウムイオン電池を、電池加熱空間に配置し、この電池加熱空間に、熱ガス生成部で生成された熱ガスを送り込むことにより、前記リチウムイオン電池を加熱して処理する方法である。特にここでは、熱ガスにより加熱されるリチウムイオン電池の温度が200℃〜400℃の範囲内にある間に、リチウムイオン電池の筐体内から電池ガスが流出し、その間に、当該電池ガスの流出が終了するように、電池加熱空間に送り込む熱ガスの温度を450℃未満とすることが肝要である。
(リチウムイオン電池)
この発明で対象とするリチウムイオン電池は、携帯電話その他の種々の電子機器等で使用されるリチウムイオン電池であればどのようなものでもかまわないが、その周囲を包み込む筐体として、アルミニウムを含む筐体を有するものとする。なかでも、電池製品の寿命や製造不良またはその他の理由によって廃棄された、いわゆるリチウムイオン電池スクラップを対象とすることが、資源の有効活用の観点から好ましい。
リチウムイオン電池の筐体としては、たとえば、アルミニウムのみからなるものや、アルミニウム及び鉄、アルミラミネート等を含むものがある。
なお、リチウムイオン電池は、上記の筐体内に、リチウムとニッケル、コバルト及びマンガンのうちの一種以上の単独金属酸化物又は、二種以上の複合金属酸化物等からなる正極活物質や、正極活物質が有機バインダー等によって塗布されて固着されたアルミニウム箔(正極基材)を含むものとすることができる。またその他に、リチウムイオン電池には、銅、鉄等が含まれる場合がある。
また、リチウムイオン電池には一般に、筐体内に電解液が含まれる。電解液としては、たとえば、エチレンカルボナート、ジエチルカルボナート等が使用されることがある。
筐体で包み込まれたリチウムイオン電池は、実質的に正方形もしくは長方形状の平面輪郭形状を有するものとすることができ、この場合、処理前の寸法として、たとえば、縦が40mm〜80mm、横が35mm〜65mm、厚みが4mm〜5mmのものを対象とすることができるが、このような寸法形状のものに限定されない。
(加熱工程)
この加熱工程は、リチウムイオン電池の温度を、400℃を超える温度に上昇させて、内部の電解液を除去して無害化するとともに、アルミニウム箔と正極活物質を結着させているバインダーを分解し、破砕・篩別時のアルミニウム箔と正極活物質の分離を促進して篩下に回収される正極活物質の回収率を高くし、更に、リチウムイオン電池に含まれる有価金属を、後述の浸出工程で浸出させやすい形態に変化させること等を目的として行う。
上述したような筐体を有するリチウムイオン電池は、たとえば焼却炉等で温度を急激に上昇させると、筐体が破裂する。その結果、筐体が酸化して脆化することによって、加熱後のリチウムイオン電池を破砕した際に筐体等を構成するアルミニウムが微細な粉末状となって多く含まれることになる。このようなアルミニウムは篩別によっても除去しきれずに、浸出工程で酸性溶液に添加するリチウムイオン電池粉末に混入することから、後にこれを回収する作業及びコストが増大する。
このようなリチウムイオン電池の加熱時の破裂は、加熱を開始したときから、リチウムイオン電池の温度が一気に上昇することによって、筐体内の電解液が急速に気化して電池ガスとなり、そして、筐体内から流出可能な電池ガスの量よりも多量に生じる筐体内の電池ガスが、筐体を膨張させて破裂させることによるものと考えられる。
これに対処するため、この発明の実施形態では、アルミニウムを含む筐体で包み込まれたリチウムイオン電池を電池加熱空間に配置し、その電池加熱空間に、まず450℃未満の熱ガスを送り込む。それにより、リチウムイオン電池の温度を上昇させ、その温度が200℃〜400℃の範囲内に達すると、筐体内から電池ガスが流出し始めるところ、この200℃〜400℃の温度範囲内にある間に、当該電池ガスの流出を終了させる。つまり、熱ガス温度を450℃未満とすることにより、筐体内からの電池ガスの流出終了前のリチウムイオン電池の温度を、200℃〜400℃の温度範囲内に維持することができる。
その結果として、電解液の気化による電池ガスの発生は、筐体からの電池ガスの流出が終了するまで緩慢に行われるので、筐体を膨張させるほどに電池ガスが急速に発生することを防止することができて、筐体の破裂及び酸化による脆化を有効に防ぐことができる。また、このような昇温過程で電池加熱空間内の温度を上げすぎると、筐体から流出した電池ガスに着火して、リチウムイオン電池の温度の急激な上昇を招き、リチウムイオン電池の温度制御が困難となる。そこで、熱ガス温度を450℃未満とすることにより、電池加熱空間内の温度を450℃未満に保つことができ、このような電池ガスの着火を招くことがない。
この一方で、電池ガスの流出終了前の熱ガスの温度が、300℃より低い場合は、電池ガスを有効に気化しないことにより電池ガスの流出が十分に行われないことがある。そのため、電池ガスの流出終了前の熱ガスの温度は、300℃以上かつ450℃未満とすることが好ましい。電池ガスの流出終了前の熱ガスの温度は、より好ましくは350℃以上かつ450℃未満とし、さらに好ましくは400℃以上かつ450℃未満とする。電池加熱空間内のリチウムイオン電池の周囲温度が、上記の範囲内であればよい。
なおここで、筐体内からの電池ガスの流出が終了したか否かについては、筐体内から流出したミスト状のものを目視で確認するか、または流出した電池ガス中の可燃性成分を分析すること等により確認することが可能である。
昇温過程の温度範囲は、電解液の気化によって生じる電池ガスの流量を所定量以下にするため、200℃〜400℃とする。それにより、加熱工程の終了まで、リチウムイオン電池の原型をとどめた状態、つまりリチウムイオン電池が筐体に包み込まれた性状が維持されて、その後の分解ないし破砕、篩別によって、筐体等に含まれるアルミニウムを十分に除去することが可能になる。
これを言い換えれば、昇温過程でリチウムイオン電池の温度が200℃未満では、電池ガスの筐体からの流出が起こらずに本発明の効果が得られず、この一方で、昇温過程で電池ガスの流出終了前に400℃を超えると、電池ガスの発生流量の増大によって筐体が破裂するおそれがある。このような観点から、昇温過程では、200℃〜400℃の温度範囲内で電池ガスの流出を終了させることが好ましく、特に、220℃〜380℃の温度範囲内で電池ガスの流出を終了させることがより好ましい。なおこの温度は、リチウムイオン電池の筐体の表面温度を測定することにより計測可能である。
またここで、昇温過程の200℃〜400℃の範囲とする時間は、リチウムイオン電池の種類、大きさその他の条件によって異なるが、リチウムイオン電池の温度が200℃〜400℃の範囲内に達したときから、好ましくは10分以上、より好ましくは20分以上経過したときまでの時間とすることができる。つまり、200℃〜400℃の範囲内でのリチウムイオン電池の平均昇温速度を、20℃/min以下とすることが好ましく、特に10℃/min以下とすることがより一層好ましい。これはすなわち、200℃〜400℃の範囲内でのリチウムイオン電池の平均昇温速度が20℃/minより大きいときは、場合によっては筐体内からの電池ガスの流出が十分に終了しないうちに、400℃を超えてしまうことがあり、筐体が破裂する懸念があるからである。
一方、この200℃〜400℃の範囲とする時間は、長ければ長いほど、より確実に電池ガスの流出を終了させることができるので、破裂防止の点では好ましい上限値は特にないが、長すぎると処理時間の増大に起因して処理能率が低下する。それにより、通常は60分以下とすることができ、さらに30分以下とすることができる。
昇温過程では、筐体からの電池ガスの流出が終了するまで、リチウムイオン電池の温度が400℃を超えなければ、電池ガスの急速な流出による破裂を防止しつつ、電池ガスを有効に流出させることができる。ここでは、電池ガスの流出が終了するまで、200℃〜400℃の範囲内で緩やかに上昇させることが一般的である。但し、可能であれば、電池ガスの流出が終了するまで、昇温過程の温度を200℃〜400℃の範囲内の一段階以上の特定の温度で保持してもよい。
ここで、リチウムイオン電池の筐体内からの電池ガスの流出開始から流出終了までの間、筐体から流出した電池ガスが電池加熱空間に存在すると、たとえば、その後に熱ガスの温度を、450℃を超えて上昇させた際等に、電池ガスに引火して、電池加熱空間内の温度、ひいてはリチウムイオン電池の温度をコントロールし得なくなるおそれがある。
これを防止するため、電池ガスの流出開始から流出終了までの間は、図1に例示するように、電池加熱空間に送り込まれた後の熱ガスを、筐体から流出した電池ガスとともに、電池加熱空間の外部、たとえば、電池加熱空間に配置したリチウムイオン電池から離れた位置にあるガス引火場所へ排出し、その外部で、電池ガスを含む熱ガスを450℃以上にして、電池ガスの引火を引き起こすことが好ましい。この引火場所は、その引火がリチウムイオン電池に影響を及ぼさない程度に電池加熱空間から離れた場所であればよい。
上述したような電池ガスの流出が終了した後は、熱ガスの温度を450℃〜600℃に上昇させて、リチウムイオン電池に含まれるコバルト等の金属を、容易に酸浸出できる形態、たとえば酸化コバルト(CoO)や単体コバルト等の形態へと変化させる。
ここでは、リチウムイオン電池の筐体内の電池ガスはほぼ全て、筐体内から流出し終わっているので、熱ガス温度を上記のような高温にしても、筐体の破裂、そこに含まれるアルミニウムの酸化による脆化は生じない。
電池ガスの流出終了後の熱ガス温度が450℃未満である場合は、たとえば、リチウムイオン電池中のコバルトが、酸化コバルトや単体コバルト等の形態に十分に変化しないことが懸念され、この一方で、当該熱ガス温度が600℃を超える場合は、融点が660℃であるアルミニウムの溶解による正極活物質の巻き込みに起因して、その後の篩別工程でアルミニウムを除去しきれない可能性がある。このような観点から、電池ガス流出終了後の熱ガス温度は、450℃〜600℃とし、さらには、450℃〜550℃とすることが一層好ましい。
電池ガスの流出終了後、熱ガス温度を450℃〜600℃に維持する時間は、たとえば、20分〜120分とすることができる。熱ガス温度を450℃〜600℃に維持する時間が短すぎると、リチウムイオン電池中の有価金属の形態変化が不十分となる場合があり、後の浸出工程で有効に浸出できないことがある。一方、この時間が長すぎても特に大きな問題はないが、処理能率が低下する。
以上に述べた加熱工程では、大気雰囲気で実施することも可能であるが、熱ガスを送り込む電池加熱空間を、より不活性な雰囲気として、リチウムイオン電池の加熱を行ってもよい。それにより、万一アルミ筐体が破裂した場合であってもアルミや銅の酸化・脆化を抑制することができる。具体的には、電池加熱空間を、たとえば、アルゴン、窒素またはCO2その他の不活性なガスを充満させた雰囲気下またはこれらのガスを混合して大気に対してより不活性な雰囲気下で、リチウムイオン電池の加熱を行うことができる。
加熱工程で用いる加熱設備は、リチウムイオン電池を配置した電池加熱空間に、熱ガスを送り込むことにより、該リチウムイオン電池を加熱することのできるものとする。その一例として、図1に示す加熱設備は、バーナー等により熱ガスを生成する熱ガス生成部と、リチウムイオン電池が配置されて、熱ガス生成部から熱ガスが送り込まれる電池加熱空間と、電池加熱空間に送り込まれた熱ガス及び電池ガスが電池加熱空間から排出された後に送られるガス引火場所を備えるものである。
このような熱ガスによる加熱設備は、リチウムイオン電池を、所期した温度に加熱しやすいことから、リチウムイオン電池の温度を容易にコントロールできるという利点がある。特にこの発明では、リチウムイオン電池の筐体の破裂を防止するためにリチウムイオン電池の温度をコントロールすることが重要であるので、かかる熱ガスによる加熱設備を用いることが有効である。
具体的には、この加熱設備としては、ロータリーキルン炉、トンネル炉、固定床炉等を挙げることができる。
(浸出工程及び回収工程)
上記の加熱工程の後、所要に応じて破砕及び篩別することにより、アルミニウムが十分に除去された粒状ないし粉状等の正極活物質を含む篩別物を得ることができる。
その後、この粒状ないし粉状の正極活物質を含む篩別物を、硫酸等の酸性溶液に添加して浸出させて得た浸出後液から、浸出後液中に溶解しているニッケル、コバルト、マンガン等を回収する。具体的には、たとえば、溶媒抽出又は中和により、はじめにマンガンを分離させて回収し、次いでコバルトを、その後にニッケルを順次に分離させて回収し、最後に水相にリチウムを残す。
ここでは、上述した加熱工程により、浸出後液に溶解した金属に、アルミニウムがほとんど含まれなくなることから、回収工程でのアルミニウムの分離除去に要する処理を簡略化ないし省略することができる。それにより、処理能率の向上および処理コストの低減を実現することができる。
次に、この発明の処理方法を試験的に実施し、その効果を確認したので以下に説明する。但し、ここでの説明は、単なる例示を目的とするものであって、それに限定されることを意図するものではない。
リチウムイオン電池の温度が200℃〜400℃の範囲内にある間に、筐体内からの電池ガスの流出を終了させることにより、その筐体の破裂を防止できるか否かを確認するため、以下の試験例1〜2を行った。
(試験例1)
大気雰囲気において、るつぼ炉でAl筐体のリチウムイオン電池を加熱した。試料温度が急激な上昇をすることのないよう、図2に試料温度の履歴をグラフで示すように、200℃〜400℃の範囲を10分間以上保持するように調整した後に、550℃まで加熱した。加熱後のリチウムイオン電池は、Al筐体の膨張は見られたが、筐体が破裂等することなく原型が維持されていた。加熱処理後のリチウムイオン電池を破砕機にて破砕後、篩別して目開き1mmの篩で篩別し、篩下に正極活物質等を回収した。篩別物(<1mm)の品位は、Coが37%、Alが4.5%、Cuが0.7%であり、コバルト回収率は98%であった。篩別物の分析値と回収率を表1に示す。
なお、ここでいう回収率は、加熱処理したリチウムイオン電池を破砕、篩別して回収した各篩別物の重量と、各篩別物を縮分した試料を酸溶解してICP発光分析装置にて分析した分析値から得た各篩別物の品位から、成分毎の金属量を算出し、この全産出物の各金属量合計に対する篩別物(<1mm)中の各金属量の重量百分率として求めたものである。
試験例1では、リチウムイオン電池の加熱時に比較的長い時間にわたって、温度を200℃〜400℃の範囲としたことにより、筐体内から電池ガスを十分に流出させることができて、リチウムイオン電池の破裂を防止することができた。その結果として、表1に示す結果より、コバルトを高い回収率で回収しつつ、篩別物中のアルミニウム量を少なくできたことが解かる。
(試験例2)
大気雰囲気において、るつぼ炉でAl筐体のリチウムイオン電池を加熱した。図3に試料温度の履歴をグラフで示すように、電気炉の加熱能力のフルパワーで加熱し、その後更に550℃まで加熱した。この時、200℃〜400℃の範囲を通過する時間は10分間未満となる急激な温度上昇となった。加熱後のリチウムイオン電池は、全体的に破損している状態で、一部は内部のアルミニウム箔が見えている状態であった。加熱処理後のリチウムイオン電池を破砕機にて破砕後、篩別して目開き1mmの篩で篩別し、篩下に正極活物質等を回収した。篩別物(<1mm)の品位は、Coが31%、Alが7.0%、Cuが1.3%で、コバルト回収率は71%であった。篩別物の分析値と回収率を表2に示す。
試験例2では、リチウムイオン電池の昇温過程で温度を急激に上昇させたことにより、リチウムイオン電池が破損して筐体のアルミニウム箔の大部分が酸化したと考えられ、それにより、表2に示す結果から、篩別物中のアルミニウム量が多くなったことが解かる。
試験例1及び2の結果より、リチウムイオン電池の温度が200℃〜400℃の範囲内にある間に、筐体内からの電池ガスの流出を終了させることにより、筐体内で生じる電池ガスの発生量が流出量を上回ることに起因する筐体の破裂を防止できることが解かった。
そして、リチウムイオン電池の周囲の電池加熱空間に送り込む熱ガスの温度が450℃未満であれば、リチウムイオン電池の温度が200℃〜400℃の範囲内にある時間を長くする、具体的には、10分以上にすることが容易であり、また、リチウムイオン電池の筐体から流出する電池ガスへの引火は生じないことから、この発明によれば、焙焼時のリチウムイオン電池の筐体の破裂を有効に防止できることが解かる。

Claims (5)

  1. アルミニウムを含む筐体で包み込まれたリチウムイオン電池を、電池加熱空間に配置し、前記電池加熱空間に熱ガスを送り込むことにより、前記リチウムイオン電池を加熱して処理する方法であって、
    前記電池加熱空間に送り込む熱ガスの温度を450℃未満とし、熱ガスにより加熱されるリチウムイオン電池の温度が200℃〜400℃の範囲内にある間に、リチウムイオン電池の筐体内から電池ガスを流出させるとともに、当該電池ガスの流出を終了させる、リチウムイオン電池の処理方法。
  2. 前記リチウムイオン電池の筐体内からの電池ガスの流出終了後、前記電池加熱空間に送り込む熱ガスの温度を、450℃〜600℃に上昇させる、請求項1に記載のリチウムイオン電池の処理方法。
  3. 前記リチウムイオン電池の筐体内からの電池ガスの流出開始から流出終了までの間、電池加熱空間に送り込まれた後の熱ガスを、前記電池ガスとともに、電池加熱空間の外部へ排出して当該外部で450℃以上にする、請求項1又は2に記載のリチウムイオン電池の処理方法。
  4. 前記リチウムイオン電池の加熱終了後、リチウムイオン電池の前記筐体で包み込まれた性状が維持される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池の処理方法。
  5. 前記熱ガスを送り込む電池加熱空間を、還元雰囲気とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池の処理方法。
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