JP2018172727A - リチウムイオン電池スクラップの処理方法 - Google Patents
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Abstract
Description
かかる状況の下では、大量に廃棄されるリチウムイオン電池スクラップから、上記のニッケルおよびコバルト等の有価金属を、再利用するべく比較的低コストで容易に回収することが望まれる。
次いで、破砕・篩別工程の篩下に得られる粉末状の電池粉を浸出液に添加して浸出し、そこに含まれ得るリチウム、ニッケル、コバルト、マンガン、銅、アルミニウム等を溶液中に溶解させる浸出工程を行う。
それにより、リチウムイオン電池スクラップに含まれる正極集電体としてのアルミニウム箔等のアルミニウムが脆化し、その後の破砕によって微細な粉末状になるので、篩別後の篩下に得られる主として正極材からなる電池粉に、多くのアルミニウムが混入する。電池粉に混入したアルミニウムは、浸出工程で正極材とともに浸出液に溶解し、回収工程でそれの分離・除去が必要になって工数およびコストの増大を招く。
なお、他の側面は仮に互いに大きな面積で接触していても特に問わず、最も面積の大きな側面どうしの接触面積を確認することにより、互いに重なり合っているか否かを判断する。また、最も面積の大きな側面どうしの接触面積が0%である場合には、リチウムイオン電池スクラップどうしが互いに間隔をおいて離隔していることも含まれる。
この場合、各リチウムイオン電池スクラップを、5分〜60分にわたって焼却炉内で搬送することが好ましい。
この場合、前記ベルトコンベアとして、メッシュ状のステンレス製ベルトを有するものを用いることが好ましい。
またこの場合、焼却炉を固定床炉とし、前記ベルトコンベアが、リチウムイオン電池スクラップを前記固定床炉の開口部から内部に送る挿入側コンベア部と、挿入側コンベア部に続いて、リチウムイオン電池スクラップを前記固定床炉の内部で搬送する内側コンベア部と、内側コンベア部に続いて、リチウムイオン電池スクラップを前記固定床炉の内部から開口部に送る排出側コンベア部とを有することが好ましい。
この発明の一の実施形態に係るリチウムイオン電池スクラップの処理方法は、複数個のリチウムイオン電池スクラップを焙焼処理するに当り、焼却炉内で、複数個のリチウムイオン電池スクラップのそれぞれが互いに重なり合わないように、複数個のリチウムイオン電池スクラップを配置し、それらのリチウムイオン電池スクラップを加熱するものである。
この発明で対象とするリチウムイオン電池スクラップは、携帯電話その他の種々の電子機器等で使用され得るリチウムイオン電池が、電池製品の寿命や製造不良またはその他の理由によって廃棄されたものである。このようなリチウムイオン電池スクラップを対象として処理し、そこに含まれる金属を回収することで、資源の有効活用を図ることができる。
また、リチウムイオン電池スクラップは、上記の筺体内に、リチウム、ニッケル、コバルト及びマンガンのうちの一種以上の単独金属酸化物又は、二種以上の複合金属酸化物等からなる正極活物質や、正極活物質が、たとえばポリフッ化ビニリデン(PVDF)その他の有機バインダー等によって塗布されて固着されたアルミニウム箔(正極集電体)を含むものとすることができる。その他に、リチウムイオン電池スクラップには、銅、鉄等が含まれる場合がある。
そしてまた、リチウムイオン電池スクラップには一般に、筺体内に電解液が含まれる。電解液としては、たとえば、エチレンカルボナート、ジエチルカルボナート等が使用されることがある。
なお、リチウムイオン電池スクラップは筐体が円筒形のものもある。
焙焼工程は、焼却炉内でリチウムイオン電池スクラップを加熱し、内部の電解液を燃焼除去して無害化するとともに、アルミニウム箔と正極材を結着させているバインダーを分解すること等を目的として行う。この焙焼工程を経ると、後工程の破砕・篩別時にアルミニウム箔と正極材との分離が促進されて、アルミニウムを有効に除去することができ、また、篩下に回収される正極材の回収率を高くすることができる。
たとえば、焼却炉内に多数段の棚状載置部を設けて、その各段のプレート部上に複数個のリチウムイオン電池スクラップを配置することにより、効率的な焙焼処理を実現可能である。なおこの場合、リチウムイオン電池スクラップを配置するプレート部は、メッシュ状等の通気性を有する形態とすることが好適である。
ベルトコンベア1は一般に、図1に例示するように、駆動輪2および少なくとも一個の従動輪3と、それらの駆動輪2および従動輪3に巻き掛けた無端環状のベルト4とを有する。この場合、ベルトコンベア1のベルト4上に、複数個のリチウムイオン電池スクラップが互いに重なり合わないように、それらを配置する。
特にベルト4は、図示の例のように、ステンレス製でメッシュ状のものとすることが好ましい。それにより、リチウムイオン電池スクラップの発火に伴う局所的な加熱に起因するベルト4の変形による蛇行を抑制することができる。なお、メッシュ状のベルト4の目開きは、各種のリチウムイオン電池スクラップが落下しない程度の小さい寸法とする。
焼却炉は固定床炉であることが、新たな専用炉を設置するよりも経済的であることから好適であり、この場合、ベルトコンベア1は、図1に示すように、リチウムイオン電池スクラップを固定床炉の開口部Afから内部IFに送る挿入側コンベア部1aと、挿入側コンベア部1aに続いて、リチウムイオン電池スクラップを固定床炉の内部IFで搬送する内側コンベア部1bと、内側コンベア部1bに続いて、リチウムイオン電池スクラップを固定床炉の内部IFから開口部Afに送る排出側コンベア部1cとを有することが好ましい。
但し、図1に示すように、挿入側コンベア部1aと内側コンベア部1bと排出側コンベア部1cとを相互に分離させ、各コンベア部1a、1b、1cを直線状とした場合は、挿入側から排出側まで連続するU字型コンベアよりも一般的で、メンテナンスが容易であるという利点がある。
搬送時間を5分未満とすれば、電解液が内部に残留する可能性があり、また60分を超える時間とすることは、焙焼処理の効率向上の観点から問題がある。
上記の焙焼工程で加熱された後のリチウムイオン電池スクラップは、この実施形態では、筺体から正極材及び負極材を取り出すための破砕及び、そこに含まれ得るアルミニウムの粉末を除去するための所定の篩による篩別に供される。それにより、篩上には、たとえば、アルミニウムや銅が残り、篩下には、アルミニウムや銅がある程度除去された電池粉を得ることができる。
ここでは、種々の公知の装置ないし機器を用いることができるが、特に、リチウムイオン電池スクラップを切断しながら衝撃を加えて破砕することのできる衝撃式の粉砕機を用いることが好ましい。この衝撃式の粉砕機としては、サンプルミル、ハンマーミル、ピンミル、ウィングミル、トルネードミル、ハンマークラッシャ等を挙げることができる。なお、粉砕機の出口にはスクリーンを設置することができ、それにより、リチウムイオン電池スクラップは、スクリーンを通過できる程度の大きさにまで粉砕されると粉砕機よりスクリーンを通じて排出される。
なお、篩別後の篩下の電池粉に含まれるアルミニウムの含有量は、5質量%未満とすることが好ましい。
上記の破砕・篩別工程の後、電池粉を硫酸等の酸性溶液に添加して浸出させて得た浸出後液から、浸出後液中に溶解しているニッケル、コバルト、マンガン等を、溶媒抽出や中和等により回収することができる。
その結果、図2に示すように、リチウムイオン電池スクラップの温度は加熱初期から急激に上昇し、370℃で発煙が生じ、また420℃で発火して650℃に鎮火した。
その結果、図3に示すように、リチウムイオン電池スクラップの温度は緩やかに上昇し、発煙や発火は生じなかった。
上記の試験A及びBより、リチウムイオン電池スクラップを重ね合わせずに放熱を促進させることにより、リチウムイオン電池スクラップの温度の急増を防止できることが解かった。
1a 挿入側コンベア部
1b 内部コンベア部
1c 排出側コンベア部
2 駆動輪
3 従動輪
4 ベルト
IF 焼却炉の内部
AF 焼却炉の開口部
Claims (7)
- リチウムイオン電池スクラップを処理する方法であって、焼却炉内で、複数個のリチウムイオン電池スクラップを、それぞれが互いに重なり合わないように配置し、当該リチウムイオン電池スクラップを加熱して焙焼処理する、リチウムイオン電池スクラップの処理方法。
- リチウムイオン電池スクラップを、炉内搬送装置上に配置して焼却炉内で搬送しながら加熱し、複数個のリチウムイオン電池スクラップを連続して焙焼処理する、請求項1に記載のリチウムイオン電池スクラップの処理方法。
- 各リチウムイオン電池スクラップを、5分〜60分にわたって焼却炉内で搬送する、請求項2に記載のリチウムイオン電池スクラップの処理方法。
- 前記炉内搬送装置を、焼却炉内に配置したベルトコンベアとする、請求項2又は3に記載のリチウムイオン電池スクラップの処理方法。
- 前記ベルトコンベアとして、メッシュ状のステンレス製ベルトを有するものを用いる、請求項4に記載のリチウムイオン電池スクラップの処理方法。
- 焼却炉を固定床炉とし、前記ベルトコンベアが、リチウムイオン電池スクラップを前記固定床炉の開口部から内部に送る挿入側コンベア部と、挿入側コンベア部に続いて、リチウムイオン電池スクラップを前記固定床炉の内部で搬送する内側コンベア部と、内側コンベア部に続いて、リチウムイオン電池スクラップを前記固定床炉の内部から開口部に送る排出側コンベア部とを有する、請求項4又は5に記載のリチウムイオン電池スクラップの処理方法。
- リチウムイオン電池スクラップを加熱する際の焼却炉内の温度を、200℃〜660℃とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池スクラップの処理方法。
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