JP6616443B2 - リチウムイオン電池加熱処理装置及びリチウムイオン電池の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン電池加熱処理装置及びリチウムイオン電池の処理方法、詳しくは、リチウムイオン電池から有価物を回収する際に使用される加熱処理装置及びリチウムイオン電池の処理方法(有価金属の回収方法)に関する。
リチウムイオン電池はエネルギー密度が高く、比較的高い電圧を得ることができるという特徴を有している。このため、リチウムイオン電池は、ノートパソコン、ビデオカメラ、デジタルカメラ、タブレット型端末、携帯電話等の電子機器や車載用バッテリとして多用されている。
リチウムイオン電池は、筐体(ケース)及び正極、負極、電解液、セパレータ等を封入した金属ケース等によって構成されている。ケースにはアルミニウムや樹脂が使用されることが多い。金属ケースには鉄やアルミニウムが使用されることが多い。正極はアルミニウム箔でできた正極集電体とその表面にバインダを介して接着されたLiCoO、LiNiOおよびLiMnといったリチウム複合酸化物を材料とする正極活物質とで構成される。負極は典型的には銅製の負極集電体とその表面に接着されたグラファイトなどの炭素材料からなる負極活物質から構成される。電解液はたとえばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの非水溶液にリチウム塩を溶解させたものが一般的である。セパレータにはポリエチレン、ポリプロピレンなどが使用されるのが一般的である。
近年、リチウムイオン電池の使用量の増加および使用範囲の拡大に伴い、電池の製品寿命や製造過程での不良により廃棄される量が増大している。かかる状況の下では、大量に廃棄されるリチウムイオン電池からニッケルやコバルト等の有価金属を再利用すべく比較的低コストで容易に回収することが望まれる。
従来の回収プロセスでは、リチウムイオン電池を600℃〜700℃程度の比較的高温で焙焼した後に破砕・篩別を行い、それにより得られた電池粉末に対し、湿式高勾配磁力選別等の磁力選別を行っていたことから、実際には磁着するコバルトに巻き込まれる形で、他の成分も磁着物に混入していた。これは、リチウムイオン電池の焙焼を、たとえば660℃を超える高温で行っていたことにより、焙焼時にリチウムイオン電池の筐体が破裂し、アルミニウム等が脆化して微細化したことに加えて、融点を超える高温で融解されたアルミニウムが正極材を巻き込んだこと等によるものと考えられる。また、磁着物には、最も分離したいアルミニウムが多く混入し、コバルト等の有価金属の回収率を有意に向上させえない。
このような技術的問題点を解決するための方法としては、特許文献1に記載の技術が提案されている。
特許文献1に記載の技術は、アルミニウムを含む筐体で包み込まれたリチウムイオン電池を処理する方法が開示されており、リチウムイオン電池の温度を400℃〜550℃に加熱した後に、当該リチウムイオンを破砕及び篩別し、その後、550℃〜700℃に粉末加熱するものである。
特開2017−37807号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術によれば、リチウムイオン電池をいったん400℃〜550℃に加熱した後に、機械加工を施し、さらに550℃〜700℃の粉末加熱を行うため、設備規模が大きくなるうえ、効率がとても悪い。
そこで、発明者は、リチウムイオン電池の構造と加熱処理装置の構造とに着目し、加熱炉内を低温領域である加熱空間領域と、高温領域である熱処理空間領域とに区分し、加熱空間領域に存在するリチウムイオン電池に高温の熱源(熱媒体)を与えなければ、上述の課題を解決することができることを知見し、本発明を完成させた。
本発明は、リチウムイオン電池の熱処理において、リチウムイオン電池の筐体が破裂し、アルミニウム等が脆化して微細化することを防止し、処理後のリチウムイオン電池を破砕、篩分けを行うだけで、コバルトなどの希少金属と銅やアルミニウム等の汎用金属とが、高純度で高い収率で回収することができるリチウムイオン電池加熱処理装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、炉壁によって構成された加熱炉の内部空間が、アルミニウムを含む筐体で包み込まれたリチウムイオン電池を加熱することにより、前記リチウムイオン電池の筐体内から電池ガスを流出させる加熱空間領域と、前記電池ガスの流出後の前記リチウムイオン電池を熱処理する熱処理空間領域と、に区分され、前記リチウムイオン電池が投入口から前記加熱空間領域に投入され、前記熱処理空間領域を経て排出口に排出されるリチウムイオン電池加熱処理装置であって、前記熱処理空間領域には450℃〜750℃の過熱蒸気が該熱処理空間領域にのみ噴射される複数の噴射ノズルが設けられ、前記加熱空間領域には、前記噴射ノズルから噴射された前記過熱蒸気を、前記加熱空間領域に存在する前記リチウムイオン電池に接触しないように吸引するブロワが設けられ、前記ブロワの吸引出力は、前記加熱空間領域内を通過する過熱蒸気の流れが層流となるように調整されるリチウムイオン電池加熱処理装置である。
請求項2に記載の発明は、前記噴射ノズルは、前記炉壁の内壁面に対して垂直に設けられ、前記排出口に近いほど、前記噴射ノズルの長さが長くなるように配置された請求項1に記載のリチウムイオン電池加熱処理装置である。
請求項3に記載の発明は、前記炉壁の内壁面には、前記加熱空間領域と前記熱処理空間領域とを区分する突出部が設けられた請求項1または請求項2に記載のリチウムイオン電池加熱処理装置である。
請求項4に記載の発明は、リチウムイオン電池から有価金属を回収するリチウムイオン電池の処理方法であって、アルミニウムを含む筐体で包み込まれたリチウムイオン電池を加熱することにより、前記リチウムイオン電池の筐体内から電池ガスを流出させる電池ガス流出工程と、前記電池ガスの流出後の前記リチウムイオン電池を熱処理する熱処理工程と、熱処理工程後の前記リチウムイオン電池を破砕し、その後篩分けを行う篩分選別工程と、を有し、前記電池ガス流出工程及び前記熱処理工程は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池過熱処理装置を用いて連続的に行うリチウムイオン電池の処理方法である。
請求項5に記載の発明は、前記電池ガス流出工程における前記リチウムイオン電池の温度が250℃以下である請求項4に記載のリチウムイオン電池の処理方法である。
本発明によれば、加熱炉の内部が加熱空間領域と、熱処理空間領域と、に区分されている。熱処理空間領域には複数の噴射ノズルによって450℃〜750℃の過熱蒸気が熱処理空間領域にのみ噴射される。噴射された過熱蒸気は、加熱空間領域に存在するリチウムイオン電池に接触しないようにしてブロワにて吸引される。このとき、ブロワの吸引出力は、加熱空間領域内を通過する過熱蒸気の流れが層流となるように調整されている。
このように構成することで、リチウムイオン電池の温度を250℃程度に抑えることができる。
リチウムイオン電池の加熱による破裂の原因は、主に、リチウムイオン電池が非常に高い温度に置かれることにより、リチウムイオン電池に封入されている電解液(揮発性有機溶剤)が気化して電池ガスが発生し、その電池ガスの体積が急激に増える(膨張する)からである。この電解液の沸点は、電解液が高沸点溶剤であったとしても260℃程度であり、通常は200℃以下である。リチウムイオン電池の温度が250℃程度に抑えることにより、電解液の温度が高温となることを防ぐことができ、電解液は気化して電池ガスが発生するものの、電池ガスの体積が急激に増えることはない。このため、リチウムイオン電池の熱処理において、リチウムイオン電池の筐体が破裂し、アルミニウム等が脆化して微細化することを防止することができる。
電池ガスは、リチウムイオン電池を加熱することにより、リチウムイオン電池の金属ケース内に発生し、外部へ放出されるガスをいい、本発明ではリチウムイオン電池に封入されている電解液(揮発性有機溶剤)が気化したものが主である。
本発明におけるリチウムイオン電池は、アルミニウムを含む筐体で包み込まれたもので、携帯電話その他の種々の電子機器等で使用され得るリチウムイオン電池であれば特に種類は問わない。特に、電池製品の寿命や製造不良またはその他の理由によって廃棄された、いわゆるリチウムイオン電池スクラップを対象とすることが、資源の有効活用の点から好ましい。
リチウムイオン電池の筐体としては、アルミニウムのみからなるものや、アルミニウム及び鉄、アルミラミネート等を含むものが挙げられる。
リチウムイオン電池は、上記の筐体内にリチウム、ニッケル、コバルト及びマンガンのうちの一種以金属とリチウムの複合金属酸化物等からなる正極活物質や、正極活物質が、たとえばポリフッ化ビニリデン(PVDF)その他の有機バインダ等によって塗布されて固着されたアルミニウム箔(正極集電体)を含むものとすることができる。そのほかに、リチウムイオン電池には、銅、鉄等が含まれる場合がある。
さらに、リチウムイオン電池には、一般に筐体内に電解液が含まれるが、電解液としては、たとえば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が使用されることがある。
加熱空間領域は、炉壁によって構成された加熱炉の内部のうち、投入口とブロワが設けられている領域(区画)をいう。加熱空間領域では、リチウムイオン電池を、リチウムイオン電池が260℃程度の温度となるように加熱して、リチウムイオン電池の筐体内から電池ガスが流出する加熱流出処理が行われる。
加熱空間領域に存在するリチウムイオン電池には、過熱蒸気(熱源、熱媒体)が直接接触しない。リチウムイオン電池の加熱は、熱処理空間領域での熱処理の余熱で行われるため、リチウムイオン電池の加熱温度は約250℃前後となる。
熱処理空間領域は、炉壁によって構成された加熱炉の内部のうち、排出口と複数の噴射ノズルが設けられている領域(区画)をいう。熱処理空間領域では、電池ガスの流出後のリチウムイオン電池を、450℃〜750℃の過熱蒸気にて熱処理する。熱処理は、リチウムイオン電池の内部の電解液を除去して気化させるとともに、アルミニウムと正極材を結着させているバインダや筐体の樹脂等を分解することをいい、破砕・篩別時のアルミニウムと正極材の分離を促進してアルミニウムを有効に分離・除去するとともに、篩下に回収される正極材の回収率を高めることを目的として行われる。
噴射ノズルの断面形状、直径、長さは、それぞれ任意であり、同じ断面形状、同じ直径、同じ長さであってもよく、また、異なる断面形状、異なる直径、異なる長さであってもよい。ただし、蒸気の流れの制御を容易にし、リチウムイオン電池の加熱処理の効率化を図る点から、噴射ノズルは、炉壁の内壁面に対して垂直に設けられるとともに、排出口に近いほど、噴射ノズルの長さが長くなるように配置するほうが好ましい。
ブロワは、加熱空間領域に設けられている。ブロワ形式等は任意であるが、過熱蒸気が加熱空間領域に存在するリチウムイオン電池に接触しないように吸引するように設けられている。ブロワの吸引出力は、加熱空間領域内を通過する過熱蒸気の流れが層流となるように調整される。過熱蒸気の流れが層流とは、過熱蒸気の流れによって、加熱空間領域内の温度が均一化することがなく、熱処理空間領域に存在する過熱蒸気がブロワによって、略直線状に流れることをいう。
なお、炉壁の内壁面には、加熱空間領域に存在する加熱流出処理中のリチウムイオン電池が不用意に熱処理空間領域に移動しないように、加熱空間領域と熱処理空間領域との境界に突出部を設けてもよい。この突出部は、加熱流出処理中のリチウムイオン電池が不用意に熱処理空間領域に移動できず、加熱流出処理後のリチウムイオン電池が熱処理空間領域に移動できるだけの高さを有している。
本発明によれば、リチウムイオン電池の温度を250℃程度に抑えることにより、電解液の温度が急激に高温となることを防ぐことができる。これにより、リチウムイオン電池の熱処理において、リチウムイオン電池の筐体が破裂し、アルミニウム等が脆化して微細化することを防止することができる。その結果、処理後のリチウムイオン電池を破砕、篩分けを行うだけで、コバルトなどの希少金属と銅やアルミニウム等の汎用金属とを、高純度で高い収率で回収することができる。
特に、請求項2に記載の発明によれば、炉壁の内壁面に対して垂直に設けられるとともに、排出口に近いほど、噴射ノズルの長さが長くなるように配置することにより、過熱蒸気の流れの制御を容易にし、リチウムイオン電池の加熱処理の効率化を図ることができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、炉壁の内壁面に突出部を設けることにより、加熱空間領域に存在する加熱流出処理中のリチウムイオン電池が不用意に熱処理空間領域へ移動することを阻害することができる。このため、リチウムイオン電池の熱処理において、リチウムイオン電池の筐体が破裂し、アルミニウム等が脆化して微細化することをより防止することができる。
本発明の実施例に係るリチウムイオン電池加熱処理装置を示す断面図である。
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。
図1に示すように、この発明の一実施例に係るリチウムイオン電池加熱処理装置10は、回転する筒状の炉壁を備えた加熱装置本体11と、この加熱装置本体11の内部に配置され、炉壁の回転に応じて回転することがない、炉壁の長さの3/4の長さの過熱蒸気配管12と、過熱蒸気配管から等間隔に突出した複数の噴射ノズル13と、加熱装置本体11に固定された吸引ダクト14を備えている。また、このリチウムイオン電池加熱装置10は、加熱装置本体11にリチウムイオン電池を投入する原料供給フィーダ15を備えた原料供給部16と、熱分解後のリチウムイオン電池を排出する排出部17とを備えている。
上記加熱装置本体11は、キャスタブルコンクリートで円筒状に構成され、両端にキャスタブルコンクリート製の側壁が設けられた炉壁を備えている。つまり、側面断面視して円形の密閉内部空間を加熱装置本体11に有している。そして、炉壁の外壁面には、鉄製の表面被覆材が設けられている。
この加熱装置本体11の2つの側壁のうちの一方側に原料供給部16、他方側に排出部17が固定されている。
原料供給部16には、リチウムイオン電池を、加熱装置本体11の内部に供給するための供給口が形成され、機械的または電磁的に供給口を開閉するための供給蓋が取り付けられている。この供給蓋は供給口を物理的(機械的)または電磁的に開閉するものである。原料供給部16には、供給口を介して上記加熱装置本体11の内部にリチウムイオン電池を供給する原料を供給する原料供給フィーダ15が備えられている。原料供給フィーダ15には振動器を有し、原料供給フィーダ15が振動することで、リチウムイオン電池が振動しながら加熱装置本体11の内部へ移動する。
排出部17には、熱処理されたリチウムイオン電池を加熱装置本体11の外部に排出するための排出口が設けられ、機械的にまたは電磁的にこの排出口を開閉するための排出蓋が取り付けられている。
過熱蒸気配管12は、加熱装置本体11の外部に設けられた蒸気発生装置において発生した450℃〜750℃の過熱蒸気を加熱装置本体11の内部に供給する固定された(回転しない)配管である。過熱蒸気配管12は、加熱装置本体11の排出部17に近い側壁から原料供給部16に近い側壁に向かって突出するように設けられている。過熱蒸気配管12の突出長は、加熱装置本体11の長手方向の長さ(つまり、2つの側壁の離間距離)の3/4の長さとする。この過熱蒸気配管12の末端は栓がされている。そして、過熱蒸気配管12の管壁には、等間隔に固定された噴射ノズルが複数設けられている。
噴射ノズル13は、過熱蒸気配管に対して垂直に、また、加熱装置本体11の炉壁の内壁面に対しても垂直となるように設けられている。複数の噴射ノズル13は、それぞれ同じ断面形状、同じ直径であるが、すべてが異なる長さで構成されている。そして、複数の噴射ノズルは、排出口に近いほど、噴射ノズルの長さが長くなるように配置されている。
以上のように構成することで、加熱装置本体11の内部は、噴射ノズル13から蒸気が噴射される熱処理空間領域と、それ以外の領域である加熱空間領域とに区分される。
そして、吸引ダクト14は、加熱装置本体11の加熱空間領域に設けられている。
この吸引ダクト14は、熱分解領域において、熱処理されたリチウムイオン電池が放出する熱処理ガスや蒸気等を熱分解ガスとして吸引するものである。吸引ダクト14の吸引出力については、過熱蒸気が加熱空間領域に存在するリチウムイオン電池に接触しないように吸引できるように調整される。つまり、加熱空間領域内を通過する過熱蒸気は、略直線状に吸引ダクト14によって吸引される。
このリチウムイオン電池加熱処理装置10を用いて廃リチウムイオン電池から有価金属の回収を行った。
具体的には、廃リチウムイオン二次電池をリチウムイオン電池加熱処理装置10に投入し、加熱空間領域に5〜20分、熱処理空間領域に15〜60分、廃リチウムイオン電池が滞留するように熱処理を行った。過熱蒸気温度は750℃、流量は100L/h、吸引ダクト14の出力は1200m/hとした。なお、加熱空間領域の温度を測定したところ250〜400℃であり、廃リチウムイオン電池の筐体が破裂する際に発する破裂音は確認されなかった。
また、熱処理空間領域の温度を測定したところ、400〜550℃であった。
熱処理後、リチウムイオン電池加熱処理装置10から熱分解残渣と熱分解ガスとに分離されるため、熱分解残渣について衝撃破砕機(ハンマークラッシャー、ヤリヤ機械製作所製ヤリヤ式ハンマークラッシャーN0.3)にて破砕処理を行い、その後、篩目1.20〜0.15mmにて篩分けを行った。その後、篩分けにおいて篩下に存在していた細粒物について分析し、回収率を求めたところ、コバルトは91.3%、銅は7.0%、アルミニウムは6.3%であった。そして、篩分けにおいて篩上に存在していた粗粒物について分析し、回収率を求めたところ、コバルトは8.7%、銅は93.0%、アルミニウムは93.7%であった。
このように、本発明の実施例に係るリチウムイオン電池加熱処理装置10は、リチウムイオン電池の熱処理において、リチウムイオン電池の筐体が破裂し、アルミニウム等が脆化して微細化することを防止することができた。そして、処理後のリチウムイオン電池を破砕、篩分けを行うだけで、コバルトなどの希少金属と銅やアルミニウム等の汎用金属とを、高純度で高い収率で回収することができた。

Claims (5)

  1. 炉壁によって構成された加熱炉の内部空間が、
    アルミニウムを含む筐体で包み込まれたリチウムイオン電池を加熱することにより、前記リチウムイオン電池の筐体内から電池ガスを流出させる加熱空間領域と、
    前記電池ガスの流出後の前記リチウムイオン電池を熱処理する熱処理空間領域と、に区分され、
    前記リチウムイオン電池が投入口から前記加熱空間領域に投入され、前記熱処理空間領域を経て排出口に排出されるリチウムイオン電池加熱処理装置であって、
    前記熱処理空間領域には450℃〜750℃の過熱蒸気が該熱処理空間領域にのみ噴射される複数の噴射ノズルが設けられ、
    前記加熱空間領域には、前記噴射ノズルから噴射された前記過熱蒸気を、前記加熱空間領域に存在する前記リチウムイオン電池に接触しないように吸引するブロワが設けられ、
    前記ブロワの吸引出力は、前記加熱空間領域内を通過する過熱蒸気の流れが層流となるように調整されるリチウムイオン電池加熱処理装置。
  2. 前記噴射ノズルは、前記炉壁の内壁面に対して垂直に設けられ、前記排出口に近いほど、前記噴射ノズルの長さが長くなるように配置された請求項1に記載のリチウムイオン電池加熱処理装置。
  3. 前記炉壁の内壁面には、前記加熱空間領域と前記熱処理空間領域とを区分する突出部が設けられた請求項1または請求項2に記載のリチウムイオン電池加熱処理装置。
  4. リチウムイオン電池から有価金属を回収するリチウムイオン電池の処理方法であって、
    アルミニウムを含む筐体で包み込まれたリチウムイオン電池を加熱することにより、前記リチウムイオン電池の筐体内から電池ガスを流出させる電池ガス流出工程と、
    前記電池ガスの流出後の前記リチウムイオン電池を熱処理する熱処理工程と、
    熱処理工程後の前記リチウムイオン電池を破砕し、その後篩分けを行う篩分選別工程と、を有し、
    前記電池ガス流出工程及び前記熱処理工程は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池加熱処理装置を用いて連続的に行うリチウムイオン電池の処理方法。
  5. 前記電池ガス流出工程における前記リチウムイオン電池の温度が250℃以下である請求項4に記載のリチウムイオン電池の処理方法。
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