JP2020158900A - 積層不織布およびその製造方法、ならびにワイパー - Google Patents

積層不織布およびその製造方法、ならびにワイパー Download PDF

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Abstract

【課題】極細繊維が拭き取り面に位置する構成であっても、極細繊維層におけるヨレ、および塵埃による目詰まりが生じにくいワイパーを与え得る不織布を提供する。【解決手段】繊維径が0.01μm〜10μmの極細繊維を含む極細繊維層と、基材繊維層とを含む積層不織布であり、前記極細繊維層と前記基材繊維層は、繊維の交絡により一体化されており、前記極細繊維層が部分的に破断して、不織布の一方向に沿って複数の筋を形成して存在しており、前記不織布の一方向と直交する方向における前記極細繊維層の一つの筋の平均幅が0.1mm〜0.5mmであり、隣り合う前記極細繊維層の筋の平均間隔が0.7mm〜1.2mmである、積層不織布。【選択図】なし

Description

本開示は、積層不織布およびその製造方法、ならびに当該積層不織布を含むワイパーに関する。
不織布の用途の一つとして、人の身体または物から汚れを拭き取るためのワイパーがある。ワイパーの構成は種々多様である。例えば、特許文献1には、分割型複合繊維の分割により生じさせた、変性ビニルアルコール樹脂を含む極細繊維と、他の樹脂を含んで成る複数種類の極細繊維を含む極細繊維層を有する繊維構造物を含むワイピングシートが提案されている。また、特許文献2には、繊維径が0.1μm以上9μm以下である細い繊維と、繊維径が10μm以上30μm以下である太い繊維とを用い、細い繊維の存在する割合が第1面においてより高く、太い繊維の存在する割合が第1面の反対面である第2面においてより高い湿式ワイピングシートが提案されている。
特開2006−000625号公報 国際公開第2018/105340号
極細繊維がもたらす利点を活かしつつ、極細繊維を含む繊維層が不織布表面を形成している場合に生じる問題点を解決する不織布を提供する。具体的には、極細繊維が拭き取り面に位置する構成であっても、極細繊維層に起因するヨレ、および塵埃による目詰まりが生じにくいワイパーを与え得る不織布を提供する。
本実施形態は、第一の要旨において、繊維径が0.01μm〜10μmの極細繊維を含む極細繊維層と、基材繊維層とを含む積層不織布であり、
前記極細繊維層と前記基材繊維層は、繊維の交絡により一体化されており、
前記極細繊維層が部分的に破断して、不織布の一方向に沿って複数の筋を形成して存在しており、
前記不織布の一方向と直交する方向における前記極細繊維層の一つの筋の平均幅が0.1mm〜0.5mmであり、
隣り合う前記極細繊維層の筋の平均間隔が0.7mm〜1.2mmである、
積層不織布を提供する。
本実施形態は、第二の要旨において、基材繊維ウェブに水流交絡処理を施す第1水流交絡処理工程と、
前記第1水流交絡処理工程の後で、前記基材繊維ウェブの上に、繊維径が0.01μm〜10μmの極細繊維を含む極細繊維ウェブを積層して積層繊維ウェブとする積層工程と、
前記積層繊維ウェブの前記極細繊維ウェブの面から水流交絡処理を施す第2水流交絡処理工程と、
前記第2水流交絡処理工程の後で、前記積層繊維ウェブを1.05倍〜1.50倍で横方向に拡幅して、前記極細繊維ウェブを部分的に破断させる拡幅工程と、
前記拡幅工程の後で、前記積層繊維ウェブに水流交絡処理を施す第3水流交絡処理工程
を含む、積層不織布の製造方法を提供する。
本実施形態は、第三の要旨において、第一の要旨に係る積層不織布を含むワイパーを提供する。
本実施形態の積層不織布においては、極細繊維層が部分的に破断して、不織布の一方向に沿って複数の筋を形成して存在しているので、極細繊維がもたらす利点を活かしつつ、極細繊維が不織布表面に位置する場合の問題点を解消することができる。したがって、これをワイパーとして用いたときには、ヨレが生じにくく、また、極細繊維による良好な拭き取り性が確保されつつ、より多くの塵埃を捕集することができ、目詰まりが生じにくい。
拡幅工程で使用する拡幅装置の一例を示す正面図および一部拡大図である。 実施例1で得た積層不織布(染色後)の顕微鏡写真である。 比較例1で得た積層不織布(染色後)の顕微鏡写真である。
(本実施形態に至った経緯)
本発明者らは、より拭き取り性能に優れたワイパーを得るべく、極細繊維の繊維径を小さくすることを試みた。分割型複合繊維を用いて極細繊維を得ようとする場合、分割後の繊維の繊維径を小さくするためには、分割前の繊維の繊度を小さくするか、分割数(セクション数)を大きくする必要がある。しかし、繊度を小さくした分割型複合繊維を用いてウェブをカードで製造する場合には、カード通過性が悪くなり、均一な不織布を得ることが難しくなる。カード通過性が悪化する理由としては、繊維それ自体が細いことに加えて、繊維がカード通過中に分割することが挙げられる。また、分割数を増やそうとすると、分割型複合繊維の製造それ自体が困難となる。
そこで、本発明者らは、分割型複合繊維の使用に代えて、メルトブロー不織布を極細繊維層として使用することを検討した。メルトブロー不織布は、押出機で溶融した熱可塑性樹脂をダイから高温・高速の空気流で吹き出して、繊維状とした後、これをコンベアー上で集積する方法(メルトブロー法)で製造されるものである。そのため、メルトブロー不織布は極めて細い繊維径の繊維からなるものとして製造することが可能である。
本発明者らは、このメルトブロー不織布を他の繊維基材と一体化させた積層不織布を作製し、これをワイパーとして用いることを検討した。しかしながら、メルトブロー不織布の側を拭き取り面として拭き取り作業を行うと、摩擦が大きくて軽く拭き取ることが難しく、不織布が全体的にヨレて拭き取り作業を継続することが困難となり、また、目詰まりがすぐに生じてしまうことがわかった。
そこで、本発明者らは、メルトブロー不織布を構成する極細繊維による良好な拭き取り性はそのままに、ヨレや目詰まりの発生を防止できる構成を検討した。その結果、メルトブロー不織布を基材となる繊維層と一体化した後、一体化した積層繊維ウェブの横方向の寸法を機械的に拡げる(すなわち、拡幅する)ことで、これらの問題を回避したワイパーを得ることができた。具体的には、機械的な拡幅によってメルトブロー不織布を破断させることで、メルトブロー不織布に由来する複数の筋が間隔をあけて形成された構成が得られ、筋部で良好な拭き取り性を確保するとともに、筋と筋との間で塵埃を捕集できるワイパーが得られた。また、極細繊維が集合した部分が複数の筋として存在するため、ヨレの発生も抑制された。
以下、本実施形態の積層不織布を説明する。
(極細繊維層)
本実施形態の積層不織布は、繊維径が0.01μm〜10μmの極細繊維を含む極細繊維層と、基材繊維層とを含む。まず、極細繊維層について説明する。
極細繊維層に含まれる極細繊維は、0.01μm〜10μmの繊維径を有する。極細繊維の繊維径がこの範囲内にあると、極細繊維層の表面を拭き取り面としたときに、良好な拭き取り性が示される。極細繊維の繊維径は、特に0.1μm〜8μmであってよく、より特には0.5μm〜5μmであってよく、さらにより特には1μm〜3μmであってよい。0.01μmより小さい繊維径の極細繊維を例えばメルトブロー法または他の方法で得ることは難しく、10μmを超える繊維径の繊維を用いたときには、拭き取り性を向上させることが難しい。
極細繊維は合成樹脂からなる合成繊維であることが好ましい。極細繊維が合成繊維であると、液体を含浸させた拭き取り材の拭き取り面を極細繊維層の表面としたときに、拭き取りが軽くなる場合がある。極細繊維は、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートおよびその共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等を含む)、ポリブテン−1、プロピレンを主たる成分とするプロピレン共重合体(プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン-1−エチレン共重合体を含む)、エチレン−ビニルアルコール共重合体、およびエチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂;ナイロン6、ナイロン12およびナイロン66のようなポリアミド系樹脂;アクリル系樹脂;ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスチレンおよび環状ポリオレフィンなどのエンジニアリング・プラスチック、ならびにそれらのエラストマーから任意に選択される1または複数の熱可塑性樹脂からなるものであってよい。
極細繊維を構成する合成樹脂は、特にホモポリマーのポリオレフィン系樹脂であってよく、より特にはポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンであってよい。これらの樹脂は、疎水性であり、極細繊維層の表面を拭き取り面としたときには、油系の汚れの拭き取り性を良くすることがあり、また、基材繊維層に洗浄成分を含む水溶液等を含浸させる場合に、水溶液を極細繊維層の破断部分から放出させるときに、水溶液が極細繊維層に吸収されないので、徐放性を良好にコントロールし得ることがある。
本実施形態において、極細繊維は、メルトブロー法によって形成されたものであってよい。メルトブロー法は、上記のとおり、押出機で溶融した熱可塑性樹脂をダイから高温・高速の空気流で吹き出して、繊維状とした後、これをコンベアー上で集積することによって、繊維の製造と不織布の製造を同時に行う方法である。この方法によれば、上記の繊維径を有する極細繊維を、繊維径のばらつきを少なくして得ることが可能である。
本実施形態において、極細繊維は上記の繊維径を有する限りにおいて、メルトブロー法以外の方法で得られたものであってよい。例えば、海島型複合繊維の海成分を溶解/除去する方法で得られたものであってよく、あるいはエレクトロスピニング法で得られたものであってよい。
メルトブロー法やエレクトロスピニング法で得られる極細繊維は、製造条件によっては一定の繊維径を有しておらず、極細繊維層において繊維径の異なる極細繊維が含まれることがある。その場合には、各極細繊維が上記の範囲内の繊維径を有するか、あるいは、平均繊維径が上記の範囲内にあればよいものとする。平均繊維径は、電子顕微鏡を用いて、不織布表面を例えば100〜1000倍に拡大して観察し、任意の100本の繊維側面の幅を計測し、計測した値の平均値を算出することにより求めることができる。なお、複数の繊維が融着し、その境界が不明である場合は、融着した状態の繊維群を1本の繊維とみなして計測する。
極細繊維層は、上記の繊維径を有する極細繊維を、例えば、50質量%以上、特に60質量%以上、より特には70質量%以上含んでよい。極細繊維層は、極細繊維のみを含んでよい。極細繊維層が、極細繊維以外の他の繊維、すなわち繊維径が10μmを超える繊維を含む場合、当該他の繊維の割合が多すぎると、極細繊維による良好な拭き取り性を得られないことがある。また、当該他の繊維を含む場合でも、その繊維径はなるべく小さなものとすることが好ましく、例えば、20μmを超えない繊維径のものであることが好ましい。なお、当該他の繊維を含む極細繊維層は、極細繊維層中の繊維の平均繊維径が10μmを超えるものに相当し、そのような極細繊維層において、極細繊維の割合は、繊維径が10μm以下である繊維が占める割合とする。
本実施形態の不織布において、極細繊維層は、部分的に破断されて、不織布の一方向に沿って複数の筋を形成して存在している。この構成とするために、極細繊維層は、後述する基材繊維層(または基材繊維ウェブ)と一体化させる前に、5g/m〜30g/mの目付を有してよく、特に、6g/m〜25g/mの目付、より特には、7g/m〜20g/mの目付を有してよい。目付が小さいすぎる場合には、部分的な破断により形成される筋での極細繊維の本数も少なくなり、良好な拭き取り性を得られにくくなり、目付が大きすぎる場合には、部分的な破断を生じさせることが難しくなることがある。
極細繊維層の破断により形成される複数の筋は、不織布の一方向に沿って延び、特に、不織布の縦方向(機械方向、MD方向ともいう)に沿って延びる。不織布の縦方向に延びる筋は、後述する製造方法によって、比較的容易にかつ連続的に形成される。複数の筋はそれぞれ、不織布の前記一方向と直交する方向において、0.1mm〜0.5mmの平均幅を有してよい。筋が不織布の縦方向に沿って延びている場合、筋の平均幅は、不織布の横方向における筋の寸法となる。
後述するように、筋の平均幅は、後述するように、積層不織布を極細繊維層が染色されず、基材繊維層が染色される染料で染色し、染色後の積層不織布において、染色されていない部分(すなわち、筋)の幅を複数箇所で測定し、その平均値を算出することにより求められる。平均幅を求めるにあたっては、1つの筋につき、約2.0mmの長さの範囲で3箇所の幅を求めることを、少なくとも14個の筋について行う。したがって、平均幅は、少なくとも42個の測定値から算出される。染色は、極細繊維層のみが染色され、基材繊維層が染色されない染料で実施してよく、その場合は、染色された部分の幅を測定する。
筋の平均幅は、特に0.2mm〜0.5mmであってよく、より特には0.3mm〜0.4mmであってよい。筋の平均幅が小さすぎると、極細繊維による拭き取り性能の向上が十分に得られないことがあり、筋の平均幅が大きすぎると、筋の部分で目詰まりが生じて、拭き取りを継続できないことある。
本実施形態において、隣り合う極細繊維層の筋の平均間隔が0.7mm〜1.2mmであってよい。隣り合う筋の間隔は、筋と筋との間の、筋の幅に平行な方向の距離に相当し、極細繊維が実質的に存在しない部分の幅に相当する。後述するように、隣り合う筋の平均間隔は、積層不織布を極細繊維層が染色されず、基材繊維層が染色される染料で染色し、染色後の積層不織布において、染色された部分(筋と筋との間の部分)の幅を複数箇所で測定し、その平均値を算出することにより求められる。平均間隔を求めるにあたっては、約2.0mmの長さの範囲で3箇所の染色された部分の幅を求めることを、少なくとも7つの染色された部分について行う。したがって、平均間隔は、少なくとも21個の測定値から算出される。染色は、極細繊維層のみが染色され、基材繊維層が染色されない染料で実施してよく、その場合は、染色されていない部分の幅を測定する。
隣り合う筋の平均間隔は、特に0.8mm〜1.2mmであってよく、より特には0.9mm〜1.1mmであってよい。平均間隔が小さすぎると、不織布において拭き取った塵埃を捕集する能力が低下することがあり、平均間隔が大きすぎると、いったん捕集した塵埃が脱落することがあり、また、一つの筋で塵埃を拭き取った後、次の筋で塵埃を拭き取るまでの距離が長くて、不織布全体の拭き取り性能が低下することがある。
本実施形態において、極細繊維層の破断により形成される複数の筋の平均幅が、隣り合う極細繊維層の筋の平均間隔よりも0.25mm以上小さくてよい。その場合、極細繊維がもたらす利点を活かしつつ、極細繊維が不織布表面に位置する場合の問題点を解消する点において、より効果を奏することがある。極細繊維層の破断により形成される複数の筋の平均幅は、隣り合う極細繊維層の筋の平均間隔よりも0.30mm以上小さいことがより好ましく、0.35mm以上小さいことがさらに好ましい。また、本実施形態において、極細繊維層の破断により形成される複数の筋の平均幅は、隣り合う極細繊維層の筋の平均間隔よりも1.0mm以下小さくてよく、その場合、極細繊維がもたらす利点がより良好に奏されることがある。極細繊維層の破断により形成される複数の筋の平均幅は、隣り合う極細繊維層の筋の平均間隔よりも0.9mm以下小さいことがより好ましく、0.8mm以下小さいことがさらに好ましい。
また、不織布の表面において、極細繊維層の面積率は5%〜30%であってよい。極細繊維層の面積率は、極細繊維層が不織布表面に占める割合を指す。後述するように、極細繊維層の面積率は、積層不織布を極細繊維層が染色されず、基材繊維層が染色される染料で染色し、染色後の積層不織布において、染色されていない部分が占める割合を、複数箇所で測定し、その平均値を算出することにより求められる。面積率を求めるにあたっては、約0.6mm×約1.8mmの領域で、染色されていない部分の割合を求めることを、少なくとも10個の領域について行う。したがって、極細繊維層の面積率は、少なくとも10個の測定値から算出される。染色は、極細繊維層のみが染色され、基材繊維層が染色されない染料で実施してよく、その場合は、染色された部分が占める割合を測定する。
極細繊維層の面積率は、特に8%〜25%であってよく、より特には10%〜20%であってよい。極細繊維層の面積率が小さすぎると、極細繊維による拭き取り性能の向上が十分に得られないことがあり、極細繊維層の面積率が大きすぎると、極細繊維層(筋の部分)で目詰まりが生じて、拭き取りを継続できないことある。
(基材繊維層)
次に、基材繊維層について説明する。基材繊維層は、極細繊維層を支持し、拭き取り作業時に、利用者が触れる面、または治具に取り付ける面を与える。また、積層不織布を湿式ワイパーとして使用する場合には、液体を保持する部分となる。
基材繊維層は、ワイパーの使用形態に応じて、任意の繊維で構成してよい。基材繊維層を構成する繊維の例は、以下のとおりである。
パルプ、コットン、麻、シルク、およびウール等の天然繊維;
ビスコースレーヨン、キュプラ、および溶剤紡糸セルロース繊維(例えば、レンチングリヨセル(登録商標)およびテンセル(登録商標))等の再生繊維;
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートおよびその共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等を含む)、ポリブテン−1、プロピレンを主たる成分とするプロピレン共重合体(プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン-1−エチレン共重合体を含む)、エチレン−ビニルアルコール共重合体、およびエチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂;ナイロン6、ナイロン12およびナイロン66のようなポリアミド系樹脂;アクリル系樹脂;ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスチレンおよび環状ポリオレフィンなどのエンジニアリング・プラスチック、ならびにそれらのエラストマーから任意に選択される1または複数の熱可塑性樹脂からなる、合成繊維。
基材繊維層が合成繊維を含む場合、合成繊維は、単一成分(「単一セクション」ともいう)からなる単一繊維であってよく、および/または複数の成分(「セクション」ともいう)から構成される複合繊維であってよい。複合繊維は、例えば、同心または偏心の芯鞘型複合繊維、海島型複合繊維、サイドバイサイド型複合繊維、または分割型複合繊維等であってよい。繊維の断面は円形であっても非円形であってもよく、非円形の形状としては、楕円形、Y形、X形、井形、多葉形、多角形、星形等が挙げられる。また、合成繊維は、中空断面を有するものであってよい。単一繊維および複合繊維のいずれの場合も、繊維を構成する各セクションは、一種類の樹脂からなっていてよく、あるいは二種以上の樹脂が混合されたものであってもよい。
合成繊維が単一繊維である場合には、単一繊維は、上記ポリオレフィン系樹脂、上記ポリエステル系樹脂、上記ポリアミド系樹脂、および上記アクリル系樹脂から成る群から選ばれる一種以上の樹脂からなるものであってよい。より具体的には、ポリプロピレン単一繊維、ポリエチレンテレフタレート単一繊維等を用いてよい。
合成繊維が複合繊維である場合には、複合繊維は、例えば、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、およびポリエチレンテレフタレート/プロピレン共重合体等のポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂との組み合わせ、ならびにポリプロピレン/ポリエチレン、およびポリプロピレン/プロピレン共重合体等の二種類のポリオレフィン系の熱可塑性樹脂の組み合わせ、および二種類のポリエステル系樹脂の組み合わせである。ここで、ポリエチレンは、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、または直鎖状低密度ポリエチレンであってよく、あるいはこれらから選択される2以上のポリエチレンの混合物であってよい。
なお、単一繊維または複合繊維の構成成分として例示した熱可塑性樹脂は、具体的に示された熱可塑性樹脂を50質量%以上含む限りにおいて他の成分を含んでよい。具体的に示された熱可塑性樹脂は80質量%以上含まれていてよく、90質量%以上含まれていてよく、あるいは構成成分は具体的に示された熱可塑性樹脂から実質的に成っていてよい。ここで「実質的に」という用語は、通常、熱可塑性樹脂には各種の添加剤等が含まれていることを考慮して使用している。例えば、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートの組み合わせにおいて、「ポリエチレン」はポリエチレンを50質量%以上含んでいれば、他の熱可塑性樹脂および添加剤等を含んでいてよい。このことは以下の例示においてもあてはまる。
本実施形態の積層不織布を、液体を含有させて使用する湿式ワイパーとして用いる場合には、基材繊維層は、親水性繊維を含むことが好ましい。液体を基材繊維層に保持させるためである。親水性繊維として、例えば、ビスコースレーヨン、キュプラ、および溶剤紡糸セルロース繊維(例えば、レンチングリヨセル(登録商標)およびテンセル(登録商標))等の再生繊維、ならびにパルプ、コットン、麻、シルク、およびウール等の天然繊維が挙げられる。
基材繊維層が親水性繊維を含む場合、その割合の下限は、基材繊維層全体の質量を100質量%としたときに、例えば、5質量%であってよく、特に7質量%であってよく、より特には10質量%であってよい。また、親水性繊維の混合割合の上限は、例えば、80質量%であってよく、特に40質量%であってよく、より特には20質量%であってよい。親水性繊維の割合が小さすぎると、十分な量の液体を積層不織布に保持させることができない場合があり、親水性繊維の割合が大きすぎると、保持した液体がワイパーの拭き取り面から対象物に放出されにくくなる場合がある。
基材繊維層に親水性繊維が含まれる場合、親水性繊維以外の繊維として、合成繊維が含まれてよい。合成繊維は、基材繊維層に保持された液体を、ワイパーの拭き取り面から対象物に放出させる役割をする。合成繊維として、例えば、ポリエチレンテレフタレート単一繊維、ポリプロピレン単一繊維、ポリエチレン単一繊維が含まれてよい。
基材繊維層を構成する繊維の繊度は、基材繊維層が、極細繊維層を支持するとともに、ワイパーとしての使用に耐える強度を積層不織布全体に付与し得る限りにおいて、特に限定されない。基材繊維層を構成する繊維の繊度は、例えば、1.0dtex以上4.0dtex以下であってよく、特に1.1dtex以上3.0dtex以下であってよく、より特には1.2dtex以上2.0dtex以下であってよい。基材繊維層を構成する繊維の繊度が小さすぎると、積層不織布が十分な強度を有しないことがあり、また、基材繊維層が緻密なものとなって、液体を保持する量が低下することがある。基材繊維層を構成する繊維の繊度が大きすぎると、拭き取った塵埃が脱落することがある。
基材繊維層を構成する繊維の繊維長もまた、基材繊維層が、極細繊維層を支持するとともに、ワイパーとしての使用に耐える強度を積層不織布全体に付与し得る限りにおいて、特に限定されない。基材繊維層の繊維の繊維長は、基材繊維層の製造方法等に応じて適宜選択してよい。例えば、基材繊維層が、カードウェブを作製して、またはエアレイ法で製造される場合、基材繊維層を構成する繊維は短繊維であってよい。短繊維の繊維長の下限は、例えば2mm、特に20mm、より特には28mm、さらにより特には30mmであってよい。繊維長の上限は、例えば、100mm、特に75mm、より特には65mm、さらにより特には20mmであってよい。カードウェブを作製する場合、繊維長は、20mm以上100mm以下であってよく、特に28mm以上75mm以下であってよく、より特には30mm以上65mm以下であってよい。繊維長が20mm以上100mm以下であると、極細繊維層を部分的に破断させる際に基材繊維層が破断することを抑えやすくする場合がある。エアレイ法で基材繊維層を製造する場合、繊維長は例えば2mm以上20mm以下としてよい。
基材繊維層の目付もまた、基材繊維層が、極細繊維層を支持するとともに、ワイパーとしての使用に耐える強度を積層不織布全体に付与し得る限りにおいて、特に限定されない。基材繊維層の目付は、例えば、30g/m以上70g/m以下であってよく、特に35g/m以上65g/m以下であってよく、より特には40g/m以上60g/m以下であってよい。基材繊維層の目付が小さすぎると、積層不織布が十分な強度を有しないことがあり、また、液体を保持できる量が低下することがある。基材繊維層の目付が大きすぎると、極細繊維層の繊維との交絡性が低下することがある。
本実施形態では、基材繊維層を、レーヨンとポリエチレンテレフタレート単一繊維とで構成してよい。その場合、レーヨンの割合は、例えば、5質量%以上50質量%以下としてよく、特に7質量%以上30質量%以下としてよく、より特に10質量%以上20質量%以下としてよい。また、レーヨンおよびポリエチレンテレフタレート単一繊維の繊維長は、基材繊維層をカードウェブを作製して製造する場合には、30mm以上60mm以下としてよい。さらに、レーヨンとポリエチレンテレフタレート単一繊維の組み合わせからなる基材繊維層の目付は、30g/m以上70g/m以下としてよい。
(極細繊維層と基材繊維層との一体化)
本実施形態の積層不織布において、極細繊維層と基材繊維層とは、繊維同士の交絡により一体化される。繊維同士は、後述するように、高圧流体流を用いた交絡処理法により交絡されて一体化していてよい。本実施形態において、基材繊維層を構成する繊維と、極細繊維層を構成する繊維とは、接着剤または繊維の一成分の溶融により、接着していないことが好ましい。これらの繊維が互いに接着していると、拭き取り時に繊維の動きが少なくなり、拭き取り性能に悪影響を及ぼすことがある。
(積層不織布)
極細繊維層と基材繊維層とを一体化した積層不織布の目付は、例えば、30g/m以上100g/m以下であってよく、特に40g/m以上90g/m以下であってよく、より特には50g/m以上80g/m以下であってよい。積層不織布の目付が小さすぎると、十分な不織布強度を有しない場合があり、取り扱い性が悪くなることがある。積層不織布の目付が大きすぎると、極細繊維層と基材繊維層との一体化が不十分となって、層間剥離が生じることがある。
(積層不織布の製造方法)
次に、本実施形態の積層不織布の製造方法を説明する。
本実施形態の積層不織布は、例えば、以下の製造方法によって製造することができる。
基材繊維ウェブに水流交絡処理を施す第1水流交絡処理工程と、
前記第1水流交絡処理工程の後で、前記基材繊維ウェブの上に、繊維径が0.01μm〜10μmの極細繊維を含む極細繊維ウェブを積層して積層繊維ウェブとする積層工程と、
前記積層繊維ウェブの前記極細繊維ウェブの面から水流交絡処理を施す第2水流交絡処理工程と、
前記第2水流交絡処理工程の後で、前記積層繊維ウェブを1.05倍〜1.50倍で横方向に拡幅して、前記極細繊維ウェブを部分的に破断させる拡幅工程と、
前記拡幅工程の後で、前記積層繊維ウェブに水流交絡処理を施す第3水流交絡処理工程
を含む、積層不織布の製造方法。
以下、この製造方法に従って、本実施形態の積層不織布を製造する形態を説明する。
まず、基材繊維層となる基材繊維ウェブに水流交絡処理を施す(第1水流交絡処理工程)。基材繊維ウェブは、例えば、パラレルウェブ、クロスウェブ、セミランダムウェブおよびランダムウェブ等のカードウェブ、ならびにエアレイウェブのいずれかであってよい。基材繊維ウェブは、同じ種類または異なる種類のウェブを積層したものであってよい。
基材繊維ウェブへの水流交絡処理は、基材繊維ウェブの繊維同士を交絡させて、極細ウェブを積層する前に、基材繊維ウェブをシート状とするために実施する。基材繊維ウェブに水流交絡処理を施すことなく、極細繊維ウェブを積層して、積層繊維ウェブに水流交絡処理を施すと、極細繊維ウェブと基材繊維ウェブがうまく一体化されないことがある。
特に、極細繊維ウェブとしてメルトブロー不織布を使用する場合には、基材繊維ウェブは予めシート化しておくことが好ましい。メルトブロー不織布は水流の水圧を弱める傾向にあり、基材繊維ウェブがシート状でない場合には、基材繊維中の繊維の交絡と基材繊維と極細繊維ウェブとの一体化のために水圧を高くして一体化させる必要がある。しかし、高圧の水流はメルトブロー不織布の損壊を招き、本実施形態の積層不織布を得られないことがある。そのため、この製造方法においては、基材繊維ウェブを予めシート状とし、後述する第2水流交絡処理工程において水圧を高くしなくて済むようにする。
第1水流交絡処理工程は、例えば、80メッシュ以上100メッシュ以下の平織の支持体に基材繊維ウェブを載置し、孔径0.05mm以上、0.5mm以下のオリフィスが0.3mm以上1.5mm以下の間隔で設けられたノズルから、水圧1MPa以上、15MPa以下の水流を、繊維ウェブの表裏面にそれぞれ1〜5回ずつ噴射することにより実施してよい。水圧は、好ましくは、1MPa以上10MPa以下であり、より好ましくは、1MPa以上7MPa以下である。
第1水流交絡処理工程後、後述する積層工程の前に、基材繊維ウェブを、1.05倍以上1.50倍以下で縦方向に伸張する伸張工程に付してよい。伸張工程の倍率は、後述する拡幅工程の倍率と同じにしてよく、その場合には、拡幅工程後の不織布の寸法を、第1水流交絡処理後の基材繊維ウェブの寸法と同じにすることができる。あるいは、伸張工程の倍率は、拡幅工程の倍率と異なっていてもよい。伸張工程を実施することで、後の拡幅工程において、積層繊維ウェブを横方向に広げることが容易となり、拡幅工程をスムーズに実施することができる。
伸張工程は、例えば、二つのニップロールを使用し、各ロールに基材繊維層を挟み、進行方向の側のニップロールの速度を、もう一方のニップロールの速度よりも高くする方法で実施してよい。速度の差を調整することにより、所望の倍率で伸張することができる。
第1水流交絡処理工程後または伸張工程後、基材繊維ウェブに極細繊維ウェブを積層して、積層繊維ウェブを得る(積層工程)。極細繊維ウェブは、極細繊維層となるものであり、繊維径が0.01μm〜10μmの極細繊維を含む。極細繊維ウェブとして、メルトブロー不織布を用意し、これを基材繊維ウェブに積層してよい。メルトブロー不織布を用いることにより、後述する拡幅工程において、極細繊維層の部分的な破断を都合良く実施することができる。極細繊維ウェブは、直接、基材繊維ウェブの上にメルトブロー法またはエレクトロスピニング法で繊維を集積することにより、基材繊維ウェブ上に積層してもよい。
極細繊維ウェブとして、例えば、MD方向の引張強さが1.0N/5cm以上30N/5cm以下のものを用いてよい。ここで説明する極細繊維ウェブの機械的特性は、極細繊維ウェブを基材繊維ウェブ上に積層する前に測定されるものである(以下においても同じ)。極細繊維ウェブのMD方向の引張強さがこの範囲内にあると、搬送時の張力による破断が起こりにくい点で好ましい。極細繊維ウェブのMD方向の引張強さは、特に2.0N/5cm以上20N/5cm以下であってよく、より特には3.0N/5cm以上15N/5cm以下であってよい。
極細繊維ウェブとして、例えば、CD方向の引張強さが0.5N/5cm以上12N/5cm以下のものを用いてよい。極細繊維ウェブのCD方向の引張強さがこの範囲内であると、拡幅時に極細繊維ウェブの部分的な破断を都合良く実施することができる。極細繊維ウェブのCD方向の引張強さは、特に1.0N/5cm以上10N/5cm以下であってよく、より特には1.5N/5cm以上6.0N/5cm以下であってよい。
極細繊維ウェブとして、例えば、MD方向の伸び率が1.0%以上30%以下であるものを用いてよい。極細繊維ウェブのMD方向の伸び率がこの範囲内にあると、積層不織布の切断加工時における極細繊維層の過度な伸びを抑制できる。極細繊維ウェブのMD方向の伸び率は、特に2.0%以上25%以下であってよく、より特には3.0%以上20%以下であってよい。
極細繊維ウェブとして、例えば、CD方向の伸び率が10%以上55%以下であるものを用いてよい。極細繊維ウェブのCD方向の伸び率がこの範囲内にあると、拡幅時に極細繊維ウェブが無秩序に破断することが避けられて、破断のコントロールが容易となり、また、極細繊維ウェブが拡幅時に伸びるだけで破断が生じないという不都合を抑制できる。極細繊維ウェブのCD方向の伸び率は、特に15%以上50%以下であってよく、より特には20%以上45%以下であってよい。
極細繊維ウェブとして、例えば、MD方向の10%伸長時応力が0.5N/5cm以上30N/5cm以下であるものを用いてよい。極細繊維ウェブのMD方向の10%伸長時応力がこの範囲内にあると、搬送時の張力による破断が起こりにくい。極細繊維ウェブのMD方向の10%伸長時応力は、特に1.0N/5cm以上20N/5cm以下であってよく、より特には1.5N/5cm以上15N/5cm以下であってよい。
極細繊維ウェブとして、例えば、CD方向の10%伸長時応力が0.1N/5cm以上7.0N/5cm以下であるものを用いてよい。極細繊維ウェブのCD方向の10%伸長時応力がこの範囲内にあると、拡幅時に極細繊維ウェブの部分的な破断を都合良く実施することができる。極細繊維ウェブのCD方向の10%伸長時応力は、特に0.4N/5cm以上6.0N/5cm以下であってよく、より特には0.8N/5cm以上5.0N/5cm以下であってよい。
続いて、積層繊維ウェブに、極細繊維ウェブの面から水流交絡処理を施す(第2水流交絡処理工程)。第2水流交絡処理工程は、例えば、80メッシュ以上100メッシュ以下の平織の支持体に基材繊維ウェブを載置し、孔径0.05mm以上、0.5mm以下のオリフィスが0.3mm以上1.5mm以下の間隔で設けられたノズルから、水圧1MPa以上、15MPa以下の水流を、極細繊維ウェブの表面に1〜3回噴射することにより実施してよい。水圧は、好ましくは、1MPa以上10MPa以下であり、より好ましくは、1MPa以上7MPa以下である。第2水流交絡処理では、極細繊維層にノズルから噴射された水流が形成するノズル筋が形成される。このノズル筋が規則的な間隔をとり、またノズル筋の数が適度なものであることで、後述の拡幅工程において極細繊維ウェブ(極細繊維層)を破断させやすくなると考えられる。そのため、極細繊維ウェブの表面にのみ水流を噴射し、基材繊維層の表面には水流を噴射しない。基材繊維層の表面にも水流を噴射すると、ノズル筋の間隔が規則的なものとならず、また、ノズル筋の数が多くなりすぎることがある。ノズル筋の間隔を規則的なものとするために、水流は、極細繊維ウェブの表面に1回噴射することが好ましい。
第2水流交絡処理工程の後、積層繊維ウェブを、1.05倍以上1.50倍以下で横方向に拡幅する拡幅工程に付す。拡幅工程は、極細繊維ウェブを部分的に破断させて、極細繊維ウェブ(極細繊維層)が、不織布の縦方向に沿って複数の筋を形成するために実施される。拡幅工程の倍率は、特に、1.10倍以上1.45倍以下であってよく、より特には、1.15倍以上1.35倍以下であってよい。拡幅工程の倍率が小さすぎると、極細繊維層の部分的な破断が生じないことがあり、倍率が大きすぎると、極細繊維層において筋と筋との間の距離、すなわち筋の間隔が広くなりすぎることがある。極細繊維ウェブと基材繊維ウェブとが積層した状態で拡幅工程に付すことにより、極細繊維ウェブを比較的自由に、例えば大きく破断させることが可能となる。極細繊維ウェブと基材繊維ウェブとが積層していない状態で、極細繊維ウェブのみを拡幅工程に付す場合、拡幅工程の倍率が大きすぎると、極細繊維ウェブが搬送時の張力により破断されやすくなると考えられる。
拡幅工程は、図1に示すようなロールを用いて実施してよい。図1に示すロールは、表面に溝が多数形成されたロールの組み合わせであり、一方のロール10の溝12に、他方のロール20の鋸歯部24(溝22と溝22との間の先端が鋭角となっている部分)に噛み合うようになっている。溝12、22が延びる方向は、積層繊維ウェブの縦方向と平行であり、したがって、ロール10、20には、積層繊維ウェブの横方向において、規則的な凹凸が繰り返し形成された形状となっている。これらのロール10、20の溝12、22の幅wや深さd、およびロール10、20間の距離(クリアランス)を変化させることで、拡幅倍率を調整することができる。例えば、溝12、22の幅wが一定である場合、2つのロール間の距離をより短くする、および/または溝12、22の深さdがより大きい(すなわち、断面視で溝を構成する斜辺の長さfがより大きい)ロール10、22を使用することで、拡幅倍率をより高くできる。また、ロールの溝12、22の幅wをより小さくすることで、拡幅をより均一に実施できる傾向にある。
これらの二つのロールの間に積層繊維ウェブが導入されると、各溝12において、溝12の形状に沿うように、積層繊維ウェブの横方向の寸法、すなわち幅が延びるので、積層繊維ウェブの幅が全体的に拡げられることとなる。溝12の形状に沿うように拡幅された積層繊維ウェブは、ロール10、20から出るときには、溝12の形状に対応したプリーツを有するものとなっていることがある。そのため、必要に応じて、プリーツを広げるために、拡幅後の積層繊維ウェブはエキスパンダー等を用いて平らになるようにしてよい。
拡幅処理後の積層繊維ウェブは、さらに水流交絡処理に付される(第3水流交絡処理工程)。第3水流交絡処理工程は、拡幅により、部分的に破断して複数の筋となって存在することとなった極細繊維層を、基材繊維層に固定するために実施される。第3水流交絡処理工程は、例えば、80メッシュ以上100メッシュ以下の平織の支持体に基材繊維ウェブを載置し、孔径0.05mm以上、0.5mm以下のオリフィスが0.3mm以上1.5mm以下の間隔で設けられたノズルから、水圧1MPa以上、15MPa以下の水流を、繊維ウェブの表裏面にそれぞれ1〜5回ずつ噴射することにより実施してよい。水圧は、好ましくは、1MPa以上10MPa以下であり、より好ましくは、1MPa以上7MPa以下である。
第3水流交絡処理工程の終了後、積層繊維ウェブは、必要に応じて乾燥処理に付してよい。乾燥処理は、例えば、熱風貫通式熱処理機(エアスルー式熱加工機とも呼ぶ)、熱風吹き付け式熱処理機、または赤外線式熱処理機等を用いて実施してよい。極細繊維層および基材繊維層が合成繊維を含む場合、乾燥温度は、合成繊維を構成する熱可塑性樹脂(複数の熱可塑性樹脂が繊維を構成する場合は、最も融点の低い熱可塑性樹脂)の融点よりも低い温度に設定してよい。それにより、極細繊維層の繊維と基材繊維層の繊維との間で熱接着が生じず、風合いの柔らかい積層不織布を得ることができる。
このようにして、本実施形態の積層不織布を得ることができる。
(ワイパー)
本実施形態の積層不織布は、ワイパーとして使用するのに適している。本実施形態の積層不織布は、そのままワイパーとして使用してよい。あるいは、本実施形態の積層不織布の基材繊維層に他の基材を貼り合わせたものをワイパーとして使用してよい。ワイパーは手で把持して雑巾のように使用してよく、あるいは、棒状物の先にワイパー取り付け部が設けられた治具に取り付けて使用してよい。
ワイパーは対人用のものであってよく、あるいは対物用のものであってよい。
対人用のワイパーは、人の身体に付着した汚れ、化粧品または薬剤等を拭き取るために使用するものであってよい。対人用ワイパーは、例えば、水、または洗浄成分を含む水性溶液等を不織布100質量部に対して、100質量部以上1000質量部以下の含浸量で含浸させてよい。液体を含浸させた対人用のワイピングシートは、より具体的には、例えば、お手拭き、おしり拭き、経血拭き、化粧落とし用シート、洗顔シート、制汗シート、およびネイルリムーバーとして提供される。
対物用のワイパーは、床、台所、トイレ、浴槽、家具、車両、壁面、網戸および窓ガラス等の拭き掃除に使用するものであってよい。対物用ワイパーは、例えば、水、または洗浄成分を含む水溶液等を、不織布100質量部に対して、100質量部以上1000質量部以下の含浸量で含浸させてよい。
いずれのワイパーも、拭き取り面が極細繊維層の表面となるように用いることが好ましい。極細繊維層に含まれる極細繊維によって、細かな粉状の汚れを良好に拭き取ることができる。また、極細繊維層は部分的に破断されて筋を形成しているので、筋と筋との間で拭き取った汚れを保持することができ、極細繊維層において目詰まりが生じにくいので、いずれのワイパーも、比較的多量の細かな粉状の汚れを拭き取ることができる。すなわち、本実施形態の積層不織布によれば、取り替えまでの拭き取り回数または期間のより長いワイパーを得ることができる。したがって、本実施形態の積層不織布は、細かな粉状物、特に埃で汚れやすいフローリング用のワイパーとして用いるのに、特に適している。
さらに、本実施形態の積層不織布を用いたワイパーは、拭き取り中に、極細繊維層においてヨレが生じにくい。これは、極細繊維層が部分的に破断されているために、不織布表面において極細繊維層が存在する部分と存在しない部分とを含むこととなり、拭き取り時の抵抗が小さくなり軽く拭き取ることができることによると考えられる。このこともまた、本実施形態の積層不織布を用いたワイパーを長時間にわたって使用することを可能にする。
以下、実施例により本実施形態の積層不織布およびこれを用いたワイパーを説明する。
本実施例で使用する繊維として以下のものを用意した。
レーヨン繊維:繊度1.7dtex(繊維径12μm)、繊維長40mmのビスコースレーヨン(商品名:コロナCD、ダイワボウレーヨン(株)製)。
ポリエステル繊維:繊度1.45dtex、繊維長38mmのポリエチレンテレフタレート単一繊維(商品名:T403D、東レ製)。
本実施例で使用するメルトブロー不織布として以下のものを用意した。
平均繊維径2.0μmのポリプロピレン樹脂単一繊維からなる目付15g/m、厚さ0.14mm(294Pa荷重時)のメルトブロー不織布
このメルトブロー不織布の機械的特性は以下のとおりであった。
MD引張強さ 9.7N/5cm
CD引張強さ 4.4N/5cm
MD伸び率 13.0%
CD伸び率 33.4%
MD10%伸長時応力 9.3N/5cm
CD10%伸長時応力 3.2N/5cm
(実施例1)
(カードウェブの作製工程)
レーヨン繊維とポリエステル繊維とを質量比で15:85の割合で繊維を混合して、パラレルカード機を用いて、ウェブ狙い目付約53g/mでパラレル短繊維ウェブを作製した。
(第1水流交絡処理工程)
短繊維ウェブを90メッシュの平織の支持体に載置して、4m/分の速度で搬送しつつ、一方の表面の側から3.0MPaの水圧の水流を1回噴射し、続いてもう一方の表面の側から3.0MPaの水圧の水流を1回噴射する水流交絡処理を行った。水流交絡処理で使用したノズルは、孔径0.1mmのオリフィスが0.6mm間隔で設けられたノズルであり、処理中、ノズルと短繊維ウェブとの間の間隔は20mmとした。
(伸長工程)
短繊維ウェブを2つのニップロール間で縦方向(MD方向)に1.2倍伸長させた。
(第2水流交絡処理工程)
伸長工程後の短繊維ウェブの上にメルトブロー不織布を積層し、第1の水流交絡処理工程で用いた装置と同じものを用いて、メルトブロー不織布の側から4.0MPaの水圧の水流を1回噴射して、短繊維ウェブを基材繊維ウェブとし、メルトブロー不織布を極細繊維ウェブとする積層不織布ウェブを得た。
(拡幅工程)
積層不織布ウェブを拡幅ロール(溝の深さd2.0mm、溝の幅w3.0mm、断面視において溝を構成する斜辺の長さf2.5mm)により幅方向(CD方向)に1.2倍拡幅させた。
(第3水流交絡処理工程)
第1水流交絡処理工程で用いた装置と同じものを用いて、極細繊維ウェブ(メルトブロー不織布)の側から5.0MPaの水圧の水流を1回噴射し、続いて基材繊維ウェブの側から5.0MPaの水圧の水流を1回噴射する水流交絡処理を行った。
(乾燥工程)
80℃に設定した熱風貫通式熱処理機を用いて乾燥処理を行い、実施例1の積層不織布を得た。
実施例1の積層不織布は、水流交絡処理によるノズル筋とは別に、メルトブロー不織布層が不織布のCD方向に部分的に断裂している箇所があり、極細繊維層においては、不織布の縦方向に沿って延びる、複数の筋が形成されていた。
(比較例1)
実施例1において、伸長工程及び拡幅工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の積層不織布を得た。
各実施例および各比較例の物性の測定及び評価結果を表1に示す。
表中の各物性は以下の方法により実施した。
[厚さ]
乾燥時(ドライ)の不織布の厚さは、厚み測定機(商品名 THICKNESS GAUGE モデル CR−60A (株)大栄科学精器製作所製)を用い、294Pa及び1.96kPaの荷重を加えた状態で測定した。
[引張強さ、伸び率、10%伸長時応力]
JIS L 1913:2010 6.3に準じて、定速緊張形引張試験機を用いて、試料片の幅50mm、つかみ間隔10cm、引張速度30±2cm/分の条件で引張試験に付し、切断時の荷重値(引張強さ)、伸び率、10%伸長時応力、ならびに20%伸長時応力を測定した。引張試験は、不織布の縦方向(MD方向)および横方向(CD方向)を引張方向として実施した。評価結果はいずれも3点の試料について測定した値の平均で示している。
[静摩擦係数、動摩擦係数、動摩擦係数の変動係数]
静摩擦係数μs、動摩擦係数μkおよび動摩擦係数の変動係数CVは、静・動摩擦測定機(トライボマスターTL201Ts、株式会社トリニティラボ製)を用いて測定した。試料片として5cm×10cmの不織布を用意した。なお試料片は不織布の横方向(CD方向)が長辺となるものを用意した。
測定機の接触端子には触覚接触子(株式会社トリニティラボ製)を使用した。試料片100質量部に300質量部の蒸留水を含浸させた状態で、試料片を接触端子に取り付け(接触面積5.0cm×6.5cm)、測定機(テーブル摺動型)の測定テーブルに対して試料片を荷重100gfで接触させ、速度10mm/sec、距離30mmで往復2回移動させ評価した。2往復目の数値を読み取り、往の数値と復の数値との平均値を、1つの試料片の動摩擦力(gf)とした。また、2往復目の往の動き出しの際の数値と、復の動き出しの際の数値との平均値を、1つの試料片の静摩擦力(gf)とした。3つの試験片について測定を行い、3回の測定値の平均値を、各実施例及び比較例の静摩擦力Fs(gf)、動摩擦力Fk(gf)とした。
静摩擦力Fs(gf)及び動摩擦力Fk(gf)と荷重(100gf)より静摩擦係数μs及び動摩擦係数μkを算出した。また、測定の際に得られた動摩擦係数の標準偏差σと上述した動摩擦係数の平均値μkとから、下記の式に従って動摩擦係数の変動係数CVを求めた。
動摩擦係数の変動係数CV=σ/μk
[ダスト捕集性]
白色アクリル板の表面の略中央にJIS Z 8901に準ずる試験用粉体(7種)を縦5cm×横15cmの長方形の領域(以下、「ダスト分散領域」)に、均一に0.20g分散し、実施例及び比較例の積層不織布(縦26cm、横16cm)をワイパーとして用いて上記ダストを拭き取った。
拭き取りは、不織布100質量部に対して蒸留水を300質量部含浸させて実施した。また、拭き取りは、拭き取りに寄与する面積が縦方向26cm、横方向16cmとなり、不織布を極細繊維層が拭き取り面となるように、ワイパー治具(商品名:クイックルワイパー[道具本体]のヘッド部、花王(株)製)に取付け、400gの加重をかけた状態で行った。拭き取りは、ワイパーを、白色アクリル板の表面で1往復させて実施した。
より具体的には、
・ワイパーの縦方向がダスト分散領域の縦方向と一致するように、ワイパーをダスト分散領域の中央部に置き、
・そこからダスト分散領域の左端に向かう方向に250mmだけワイパーを移動させて、ダスト(白色アクリル板)を擦り、
・それからダスト分散領域の右端に向かう方向にワイパーを500mm移動させた後、
・さらにダスト分散領域の左端に向かう方向にワイパーを250mm移動させて
ワイパーを1往復させた。
ワイパーを1往復させた後の積層不織布の拭き取り面の様子、及び白色アクリル板の様子を目視で観察し、下記の評価基準で評価した。各積層不織布について、拭き取りは、不織布の拭き取り面を新しくした状態で3回実施し、それぞれ拭き取り後の不織布の拭き取り面および白色アクリル板の表面を観察し、評価した。
◎:十分拭き取れている。
○:ある程度拭き取れている。
△:拭き取りが不十分である。
[毛髪捕集性]
フローリング上に毛髪(長さ約5cm)を横向きに3本、縦向きに2本、合計5本を、間隔を空けて配置し、実施例及び比較例の積層不織布で、上記毛髪を拭き取った。
拭き取りは、不織布100質量部に対して蒸留水を300質量部含浸させて実施した。また、拭き取りは、拭き取りに寄与する面積が縦方向26cm、横方向16cmとなるように、積層不織布を極細繊維層が拭き取り面となるようにワイパー治具(商品名:クイックルワイパー[道具本体]のヘッド部、花王(株)製)に取付け、400gの加重をかけた状態で行った。拭き取りは、上記ダスト捕集性の評価で採用した方法と同じ方法で、ワイパーを毛髪上で1往復させて実施した。拭き取り後、フローリングから拭き取られた毛髪の本数から捕集率(%)を求めた。各積層不織布について、拭き取りは、不織布の拭き取り面を新しくした状態で3回測定し、その平均値を毛髪の捕集率とした。
[徐放性]
不織布100質量部に対して蒸留水を300質量部含浸させ、拭き取りに寄与する面積が縦方向26cm、横方向16cmとなるように、積層不織布を極細繊維層が拭き取り面となるように、ワイパー治具(商品名:クイックルワイパー[道具本体]のヘッド部、花王(株)製)に取付けた。400gの加重をかけた状態で、コンベアーの進行方向が不織布の横方向(16cm)と一致するようにコンベアー上に載置し、コンベアーを5m/minで運転させた。コンベアーが濡れなくなった時点での、拭き取り面積を畳の数に換算して求めた。
[極細繊維層の状態]
極細繊維層の状態として、極細繊維層が形成する筋の不織布の横方向と平行な方向における平均幅、筋と筋との間の平均間隔、および極細繊維層の不織布表面における面積率を測定した。
まず、積層不織布を以下の条件により染色した。
(A)前処理:サンモールHS−B(精錬剤、日華化学(株)製)を0.5g/Lとなるように溶解した処理液に、積層不織布を、浴比1:15で、90℃にて30分間浸漬した後、湯洗し、さらに水洗した。
(B)染色:Kayalon Polyester Naby Blue 2GN(H)−211(分散染料、日本化薬(株)製)を8.0%owf、カラーゾールACE−191(染色助剤、第一工業製薬(株)製)を2.0g/Lの割合で含み、さらに80%酢酸を0.5cc/Lの割合で含む染液を準備し、これに前処理を実施した積層不織布を、浴比1:15で、130℃にて、60分間浸漬した。
(C)還元洗浄:ハイドロサルファイト(富士フイルム和光純薬(株)製)を2.0g/L、NaOH(38°Be)(富士フイルム和光純薬(株)製)を4.5g/L、およびエスクードNS−80(ソーピング剤、日華化学(株)製)を2.5g/Lの割合で含む還元洗浄液を用意し、これに染色した積層不織布を、浴比1:100で、80℃にて、20分間浸漬した後、湯洗し、さらに水洗した。
積層不織布を光学顕微鏡で拡大し、メルトブロー不織布層側の表面(2.0mm×3.0mmの領域)を観察して写真を撮影した。写真より、極細繊維層(メルトブロー不織布)が染色されず、基材繊維層のみが染色されたことが確認された。
この写真において、染色されていない筋の横方向(CD方向)の幅を測定した。先に説明した方法で測定を実施し、42箇所の測定値の平均値を極細繊維層が形成する筋の横方向における平均幅とした。
同様にして、隣り合う筋の間隔(距離)を測定し、先に説明した方法で測定を実施し、21箇所の測定値の平均値を、隣り合う筋の平均間隔とした。
写真において、染色されていない部分の面積の合計を求め、これが、写真に写っている不織布全体に占める割合を求めることにより、極細繊維層の面積率を測定した。10枚の写真の面積率の平均値を求め、これを、各実施例または各比較例における極細繊維層の不織布表面における面積率とした。
実施例1の不織布を用いたワイパーは、優れたダスト捕集性を示した。より具体的には、ダストを拭き取った後のワイパーの拭き取り面に、より多くのダストが捕集され、特に極細繊維層の筋と筋との間にダストが入り混んでいる様子が確認された。比較例1の不織布を用いたワイパーは、積層繊維ウェブを拡幅せずに製造したものであるため、水流交絡処理において水流が当たった部分では極細繊維層の部分的な破断が観察され、筋が複数形成されたものではあったが、筋と筋との間の平均間隔は実施例1のそれよりも相当に狭かった。そのため、ダスト捕集性が、実施例1よりも劣り、拭き取り後のワイパーの表面を観察しても、捕集されているダストの量は実施例1のそれよりも明らかに少なかった。
毛髪の捕集率は、実施例1が比較例1よりもやや優れていた。これは、上記と同様、実施例1において、極細繊維層の存在しない部分(部分的に破断した部分)が、比較例1におけるそれよりも、より大きい寸法で存在することによると考えられる。
実施例1は、極細繊維層を拡幅によりさらに破断させているため、比較例1と比べて、機械的強度は低い傾向にあった。実施例1および比較例1の静摩擦係数μsおよび動摩擦係数μkには殆ど差はなかったが、実施例1の動摩擦係数の変動係数は比較例1のそれよりも大きかった。これは、実施例1においては、筋と筋との間(凸部間)に、凹部(破断部分)が変動係数の測定において十分に反映されるほど、不織布の横方向において比較的長い距離にわたって存在することによると考えられる。
本実施形態には以下の態様のものが含まれる。
(態様1)
繊維径が0.01μm〜10μmの極細繊維を含む極細繊維層と、基材繊維層とを含む積層不織布であり、
前記極細繊維層と前記基材繊維層は、繊維の交絡により一体化されており、
前記極細繊維層が部分的に破断して、不織布の一方向に沿って複数の筋を形成して存在しており、
前記不織布の一方向と直交する方向における前記極細繊維層の一つの筋の平均幅が0.1mm〜0.5mmであり、
隣り合う前記極細繊維層の筋の平均間隔が0.7mm〜1.2mmである、
積層不織布。
(態様2)
前記極細繊維層がメルトブロー不織布である、態様1に記載の積層不織布。
(態様3)
前記極細繊維層の不織布表面における面積率が5%〜30%である、態様1または2の積層不織布。
(態様4)
前記極細繊維層に含まれる極細合成繊維と、前記基材繊維層を構成する繊維とが、接着されていない、態様1〜3のいずれかの積層不織布。
(態様5)
態様1〜4のいずれかの積層不織布を含む、ワイパー。
(態様6)
基材繊維ウェブに水流交絡処理を施す第1水流交絡処理工程と、
前記第1水流交絡処理工程の後で、前記基材繊維ウェブの上に、繊維径が0.01μm〜10μmの極細繊維を含む極細繊維ウェブを積層して積層繊維ウェブとする積層工程と、
前記積層繊維ウェブの前記極細繊維ウェブの面から水流交絡処理を施す第2水流交絡処理工程と、
前記第2水流交絡処理工程の後で、前記積層繊維ウェブを1.05倍〜1.50倍で横方向に拡幅して、前記極細繊維ウェブを部分的に破断させる拡幅工程と、
前記拡幅工程の後で、前記積層繊維ウェブに水流交絡処理を施す第3水流交絡処理工程
を含む、積層不織布の製造方法。
(態様7)
前記第1水流交絡処理工程の後、前記積層工程の前に、前記基材繊維ウェブを1.05倍〜1.50倍で縦方向に伸長する伸長工程を含む、態様6の積層不織布の製造方法。
(態様8)
前記極細繊維ウェブがメルトブロー不織布である、態様6または7の積層不織布の製造方法。
本実施形態の積層不織布は、極細繊維層と基材繊維層とが一体化されてなり、不織布表面において、極細繊維が存在する部分と存在しない部分とが縞状に交互に存在するため、細かな塵埃を長時間にわたって拭き取ることが可能なワイパーとして有用である。
10 ロール
12 溝
20 ロール
22 溝
24 鋸歯部

Claims (8)

  1. 繊維径が0.01μm〜10μmの極細繊維を含む極細繊維層と、基材繊維層とを含む積層不織布であり、
    前記極細繊維層と前記基材繊維層は、繊維の交絡により一体化されており、
    前記極細繊維層が部分的に破断して、不織布の一方向に沿って複数の筋を形成して存在しており、
    前記不織布の一方向と直交する方向における前記極細繊維層の一つの筋の平均幅が0.1mm〜0.5mmであり、
    隣り合う前記極細繊維層の筋の平均間隔が0.7mm〜1.2mmである、
    積層不織布。
  2. 前記極細繊維層がメルトブロー不織布である、請求項1に記載の積層不織布。
  3. 前記極細繊維層の不織布表面における面積率が5%〜30%である、請求項1または2に記載の積層不織布。
  4. 前記極細繊維層に含まれる極細合成繊維と、前記基材繊維層を構成する繊維とが、接着されていない、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層不織布。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層不織布を含む、ワイパー。
  6. 基材繊維ウェブに水流交絡処理を施す第1水流交絡処理工程と、
    前記第1水流交絡処理工程の後で、前記基材繊維ウェブの上に、繊維径が0.01μm〜10μmの極細繊維を含む極細繊維ウェブを積層して積層繊維ウェブとする積層工程と、
    前記積層繊維ウェブの前記極細繊維ウェブの面から水流交絡処理を施す第2水流交絡処理工程と、
    前記第2水流交絡処理工程の後で、前記積層繊維ウェブを1.05倍〜1.50倍で横方向に拡幅して、前記極細繊維ウェブを部分的に破断させる拡幅工程と、
    前記拡幅工程の後で、前記積層繊維ウェブに水流交絡処理を施す第3水流交絡処理工程
    を含む、積層不織布の製造方法。
  7. 前記第1水流交絡処理工程の後、前記積層工程の前に、前記基材繊維ウェブを1.05倍〜1.50倍で縦方向に伸長する伸長工程を含む、請求項6に記載の積層不織布の製造方法。
  8. 前記極細繊維ウェブがメルトブロー不織布である、請求項6または7に記載の積層不織布の製造方法。
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