JP2020155673A - 圧粉磁心 - Google Patents

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【課題】圧粉磁心の鉄損を抑制する。【解決手段】圧粉磁心1は、平均粒子径5μm〜30μmの軟磁性金属粒子3と、Al及びSiの少なくとも1つを含む結晶性物質が存在する粒界相6と、を備えてなる。圧粉磁心1は、最も酸素含有量が少ない部分の酸素含有率をP1質量%とし、最も酸素含有量が多い部分の酸素含有率をP2質量%とすると、P2−P1が2.5質量%以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、圧粉磁心に関する。
形状自由度の高さと、高周波帯域への適用可能性から圧粉磁心の開発が盛んに行われている。
特許文献1では、結晶質磁性材料と、非晶質磁性材料とを均一に混合し、分散させた複合磁性材料粉末に、絶縁材として、シリコーン系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂等の有機高分子樹脂、水ガラスを使用し、作製された高周波用圧粉磁芯が開示されている。
特開2005−294458号公報
しかし、この圧粉磁芯の鉄損は必ずしも十分に抑制されておらず、更なる鉄損の抑制が望まれていた。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、更なる鉄損の抑制を目的とし、以下の形態として実現することが可能である。
〔1〕平均粒子径5μm〜30μmの軟磁性金属粒子と、Al及びSiの少なくとも1つを含む結晶性物質が存在する粒界相と、を備えてなる圧粉磁心であって、
最も酸素含有量が少ない部分の酸素含有率をP1質量%とし、最も酸素含有量が多い部分の酸素含有率をP2質量%とすると、P2−P1が2.5質量%以下であることを特徴とする圧粉磁心。
〔2〕前記軟磁性金属粒子と前記粒界相との界面の断面構造を10μm×10μmの正方形の第1視野で観察した場合に、前記軟磁性金属粒子の表面粗さRaが0.05μm以上0.20μm以下であり、Rzが0.20μm以上0.70μm以下であることを特徴とする〔1〕に記載の圧粉磁心。
〔3〕前記圧粉磁心の断面構造を50μm×50μmの正方形の第2視野にて、互いの視野が重ならないように上下又は左右方向に連続して10視野観察した場合に、
3つ以上の前記軟磁性金属粒子によって囲まれた粒界多重点について、
[1]互いに隣接する前記軟磁性金属粒子の表面間を最も近接した部位同士で結んだ第1結合線、及び[2]互いに隣り合う前記第1結合線の端部同士を、前記軟磁性金属粒子の外形線のうちの前記粒界多重点側の内側部分を辿って結ぶ第2結合線、によって囲まれた領域から気孔を除いた前記粒界相の領域の面積をS1とし、
前記3つ以上の前記軟磁性金属粒子の1つあたりの平均面積をS2とすると、
1/10≦S1/S2≦1/3
を充足する前記粒界多重点が1視野あたり平均して3カ所以上存在することを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の圧粉磁心。
〔4〕前記圧粉磁心の断面構造を50μm×50μmの正方形の第3視野で観察した際に、
前記粒界相が前記第3視野を占める面積割合を互いに相違する3カ所で測定して平均値を求めた平均面積割合が5〜10%であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の圧粉磁心。
上記〔1〕の発明によれば、鉄損が抑制される。
上記〔2〕の発明によれば、渦電流損失をより小さくすることができる。
上記〔3〕の発明によれば、渦電流損失を更に小さくすることができる。
上記〔4〕の発明によれば、ヒステリシス損失をより小さくすることができる。
圧粉磁心を示す模式図である。右図は、圧粉磁心の断面構造を50μm×50μmの正方形の視野で観察した際の模式図を示す。 圧粉磁心1の斜視図である。 図2をIII−III線で切断した断面(圧粉磁心1を軸線と直交する平面で半分に切断した断面に相当)を示す図であり、最も酸素含有量が少ない部分と、最も酸素含有量が多い部分を説明するための説明図である。 図3をIV−IV線で切断した断面(圧粉磁心1を軸線に沿って半分に切断した断面に相当)を示す図であり、最も酸素含有量が少ない部分と、最も酸素含有量が多い部分を説明するための説明図である。 軟磁性金属粒子3と粒界相6の界面付近を拡大して示す模式図である。 粒界多重点に関する要件を説明するために、粒界多重点付近を拡大して示す説明図である。 粒界多重点に関する要件を説明するために、粒界多重点を囲む軟磁性金属粒子3A,3B,3Cを示す説明図である。 圧粉磁心の製造方法の一例を示す工程図である。
以下、本発明を詳しく説明する。なお、本明細書において、数値範囲について「〜」を用いた記載では、特に断りがない限り、下限値及び上限値を含むものとする。例えば、「10〜20」という記載では、下限値である「10」、上限値である「20」のいずれも含むものとする。すなわち、「10〜20」は、「10以上20以下」と同じ意味である。
1.圧粉磁心1の構成
圧粉磁心1は、図1の右図(断面図)に示すように、平均粒子径5μm以上30μm以下の軟磁性金属粒子3と、Al(アルミニウム)及びSi(ケイ素)の少なくとも1つを含む結晶性物質が存在する粒界相6と、を備えてなる。
圧粉磁心1は、最も酸素含有量が少ない部分の酸素含有量をP1質量%とし、最も酸素含有量が多い部分の酸素含有量をP2質量%とすると、P2−P1が2.5質量%以下である。
図1では、トロイダル形状の圧粉磁心1を例として挙げる。なお、圧粉磁心1の形状は、特に限定されない。図1は、圧粉磁心1を、その軸方向に沿って切断した断面を示している。
(1)軟磁性金属粒子3
軟磁性金属粒子3は、軟磁性の金属粒子であれば、特に限定されず、幅広く用いることができる。軟磁性金属粒子3として、軟磁性である純鉄の粒子、鉄基合金の粒子を幅広く用いることができる。鉄基合金としては、Fe−Si−Cr合金、Fe−Si−Al合金(センダスト)、Ni−Fe合金(パーマロイ)、Ni−Fe−Mo合金(スーパーマロイ)、Fe基アモルファス合金、Fe−Si合金、Ni−Fe合金、Fe−Co合金等を好適に用いることができる。これらの中でもFe−Si−Cr合金、Ni−Fe合金(パーマロイ)、Ni−Fe−Mo合金(スーパーマロイ)、Fe基アモルファス合金が透磁率、保磁力、周波数特性の観点から好ましい。
Fe−Si−Cr合金を用いる場合には、例えば、Si:0.1質量%〜10質量%、Cr:0.1質量%〜10質量%、残部:Fe及び不可避的不純物の組成の合金を用いることができる。
軟磁性金属粒子3の平均粒子径は、5μm以上30μm以下であり、10μm以上25μm以下が好ましく、15μm以上22μm以下がより好ましい。軟磁性金属粒子3の平均粒子径は、使用する周波数帯域によって適宜変更することができる。特に100kHzを超える高周波帯域での使用を想定した場合は10μm以上25μm以下であることがより好ましい。なお、軟磁性金属粒子3の平均粒子径は、圧粉磁心1の断面をFE−SEM JSM−6330Fによって観察した粒子面積から面積円相当径を算出し、平均粒子径とする。
軟磁性金属粒子3は、表面に酸化被膜(金属酸化物層、不動態被膜)が形成されていてもよい。酸化被膜が、表面に形成されることによって、粒界相との密着性をよくすることができる。
酸化被膜を構成する金属酸化物は特に限定されない。例えば、酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化モリブデン、及び酸化タングステンからなる群より選ばれた1種以上の金属酸化物が好ましい。特に、金属酸化物に、酸化クロム及び酸化アルミニウムのうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。これらの好ましい金属酸化物を用いることで、渦電流損失が効果的に抑制される。
なお、軟磁性金属粒子3として、Fe−Si−Cr合金の粒子を用いた場合には、酸化クロムCrを有する酸化被膜を容易に形成することができる。すなわち、Fe−Si−Cr合金中のCrが酸化することにより軟磁性金属粒子3の外縁部に金属酸化物層が形成される。
また、酸化被膜の厚みは、特に限定されない。厚みは、好ましくは1nm以上20nm以下、より好ましくは5nm以上15nm以下とすることができる。
なお、酸化被膜の厚みは、XPS(X線光電子分光法)を用いて測定できる。
また、酸化被膜と粒界相6との間に反応相が存在していてもよい。酸化被膜と粒界相6との間に反応相が存在すると、軟磁性金属粒子3と粒界相6の界面抵抗が高くなり、粒界相6の絶縁抵抗も高くなる。この結果、渦電流損失を低減する効果が期待できる。反応相は、酸化被膜に含まれる元素と、粒界相6中に含まれる元素が反応して生成した生成物からなる。反応相は、酸化被膜に近い程酸化被膜由来の元素の含有量が多く、粒界相6に近い程粒界相6由来の元素の含有量が多い組成勾配を有している。なお、各図においては、酸化被膜と反応相とからなる層を、単一の層4として描いている。
反応相は、10nm以下であることが好ましく、8nm以下であることがより好ましい。
なお、反応相の存在及び組成は、XPSにより確認できる。また、反応相の厚みは、XPSを用いて測定できる。
また、軟磁性金属粒子3のアスペクト比は、特に限定されない。軟磁性金属粒子3のアスペクト比は、1.15以上1.40以下であることが好ましく、1.2以上1.35以下であることがより好ましい。
軟磁性金属粒子3のアスペクト比をこの範囲とすると、ヒステリシス損失をより小さくすることができる。
(2)粒界相6
粒界相6は、上述のように、Al及びSiの少なくとも1種を含む結晶が存在する。
Al及びSiの少なくとも1種を含む結晶の一例は、シリケート化合物であり、例えば、AlSiO、YSi、ZnSiO、CaSiO、及びMgSiOからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、Al(アルミニウム)を含む結晶として、アルミナゾルに由来する結晶性の化合物を例示できる。Al(アルミニウム)を含む結晶は、アルミナゾルを熱処理することで生成する。なお、Al(アルミニウム)を含む結晶は、α−Alとは異なる化合物であり、例えばベーマイトが挙げられる。
Al及びSiの少なくとも1種を含む結晶の粒子径は、渦電流抑制の観点から、25nm以上200nm以下が好ましい。
なお、結晶は、圧粉磁心1の断面をFE−SEM(例えば、JSM−6330F)によって、検出できる。結晶の粒径は、FE−SEMで観察した粒子面積から面積円相当径を算出し、粒子径とする。
なお、粒界相6は、高抵抗という性質を有している。
(3)酸素量差に関する要件
本発明の圧粉磁心1は、最も酸素含有量が少ない部分の酸素含有率をP1質量%とし、最も酸素含有量が多い部分の酸素含有率をP2質量%とすると、P2−P1が2.5質量%以下である。P2−P1は、2.0質量%以下であることがより好ましく、1.2質量%以下であることが更に好ましい。なお、P2−P1は0質量%以上である。
ここで、図2〜図4を参照してこの要件を説明する。
まず、圧粉磁心1の酸素含有量を測定する際に、最も酸素含有量が少ない部分と、最も酸素含有量が多い部分の決定方法を説明する。なお、これらの部分は、圧粉磁心1に対して十分に小さく、かつ、酸素含有量の測定に適した所定の質量を有する部分とする。例えば、酸素窒素分析装置を用いて酸素含有率を測定する場合には、圧粉磁心1から質量0.9g〜1.1gの部分を切り出してその酸素含有率(質量%)を測定することができる。
圧粉磁心1は、プレス成形された後に、非酸化雰囲気(還元雰囲気、不活性雰囲気等)下で熱処理(焼鈍、アニール処理)することで製造される。このプレス成形後の熱処理の際、圧粉磁心1に含まれる酸化物が一部還元される。圧粉磁心1は、プレス成形により表面付近が緻密化されており、外気が内部にまで浸透しにくくなっている。このため、熱処理時の還元作用が圧粉磁心1の表面近傍で及びやすく、表面から離れるほど及びにくくなっている。つまり、最も酸素含有量が少ない部分は、最も還元作用を受けやすい圧粉磁心1の表面の近傍部分であり、当業者であればシミュレーションや経験等により一義的に特定可能である。例えば、圧粉磁心1の場合には、圧粉磁心1の表面から100μm以内に位置する点Xmin含む部分を、最も還元作用を受けやすい部分とすることができる。他方、最も酸素含有量が多い部分は、最も還元作用を受けにくい圧粉磁心1の表面からの最も離れた部分であり、当業者であればシミュレーションや経験等により一義的に特定可能である。例えば、圧粉磁心1の場合には、圧粉磁心1の表面からの最も離れた点Xmaxを含む部分を、最も還元作用を受けにくい部分とすることができる。
「圧粉磁心1の表面からの最も離れた点Xmax」は、例えば次のようにして特定することができる。圧粉磁心1内に任意の点Xn(nは自然数)をとり、各点Xnから圧粉磁心1の表面までの最短距離を各点XnにおけるDnとする。各点XnのDnを比較した場合に、Dnの値が最大となるときの点Xnを点Xmaxと特定する(図3及び図4参照)。
また、「圧粉磁心1の表面からの最も離れた点Xmax」は、例えば次のようにして特定してもよい。図2〜図4に示すように、圧粉磁心1においてプレス成形の際にプレスされる方向をZ軸方向とし、Z軸方向と直交する任意の方向をX軸方向とする。Z軸方向の両側に位置する一対の面(例えば、図4の上面と下面)を結ぶ線分の中点であり、かつ、その中点を挟んでX軸方向の両側に位置する一対の面(例えば、図4の内側面と外側面)を結ぶ線分の中点である点を、点Xmaxとする。この点Xmaxは、トロイダル形状の圧粉磁心1等のように、コイルが巻回される部分が中実状である場合には、一般的にコイルの巻回中心軸上に位置している。
このようにして、最も酸素含有量が少ない部分と、最も酸素含有量が多い部分を決定し、それぞれの部分の酸素含有率を酸素窒素分析装置等の装置によって測定することで、P1及びP2を求めることができる。
本要件は、プレス成形後の熱処理時の雰囲気(還元雰囲気における水素分圧等)、温度、処理時間等を適宜設定することでコントロールできる。
また、酸素量差(P2−P1)を適宜調整するために、焼鈍を目的とした熱処理(アニール処理)の後に、大気等の所定の酸素分圧下で熱処理する工程を別途設けてもよい。
以上説明したように、最も酸素含有量が少ない部分の酸素含有率をP1質量%とし、最も酸素含有量が多い部分の酸素含有率をP2質量%とすると、P2−P1が2.5質量%以下であるという本願構成は、次のように規定することもできる。
圧粉磁心の表面から100μm以内の点Xminを含む部分における酸素含有率P1質量%と、
圧粉磁心1内に任意の点Xn(nは自然数)をとり、各点Xnから圧粉磁心1の表面までの最短距離を各点XnにおけるDnとし、各点XnのDnを比較した場合に、Dnの値が最大となるときの点Xnを点Xmaxと特定し、
点Xmaxを含む部分における酸素含有率P2質量%との、差分が2.5質量%以下である。
圧粉磁心1において、最も酸素含有量が少ない部分の酸素含有率P1及び最も酸素含有量が多い部分の酸素含有率P2は特に限定するものではないが、最も酸素含有量が多い部分の酸素含有率P2は2.0質量%〜3.8質量%とすることができる。最も酸素含有量が少ない部分の酸素含有率P1は、上述の熱処理条件に応じて、最も酸素含有量が多い部分の酸素含有率P2との差分が2.5質量%超とならないものとされる。
なお、最も酸素含有量が多い部分の酸素含有率P2は、主に粒界相6の組成や、軟磁性金属粒子3と粒界相6の配合比に応じて増減するが、酸素含有率P2の多少にかかわらず、P2−P1が上記要件を満たすことが鉄損を抑制するうえで好ましい。
(3.1)圧粉磁心1の鉄損抑制の推測理由
本発明者らは、圧粉磁心1の鉄損を抑制すべく鋭意検討を重ねた。そして、平均粒子径が特定範囲の軟磁性金属粒子3を用いた圧粉磁心1では、粒界相6にAl及びSiの少なくとも1つを含む結晶性物質が存在し、かつ、上述の酸素量差の要件を満たすと、圧粉磁心1の鉄損を抑制できるという新たな知見を得た。本発明は、この知見に基づいてなされたものである。
このように本実施形態において、所望の効果が得られる理由は定かではないが、次のように推測される。
圧粉磁心1の鉄損を抑制するうえで、圧粉磁心の密度を高くすることによりヒステリシス損失を低減可能であり、粒界相の絶縁抵抗を高くすることにより渦電流損失を低減可能である。本発明者らは、圧粉磁心の密度を高めようとすれば、プレス成形の過程で圧粉磁心の表面近傍が高度に緻密化し、圧粉磁心の表面近傍と内部との酸素量差が大きくなるという知見を得た。この酸素差は主に粒界相に含まれる酸化物が還元されることにより生じると考えられ、酸素量差の増大が粒界相の絶縁抵抗低減のひとつの指標となりうることが分かった。これらの知見に基づき、本発明者らは、圧粉磁心1内の酸素量差が低減された本実施形態のものを開発するに至った。
本実施形態の圧粉磁心1では、最も酸素含有量が少ない部分の酸素含有率と最も酸素含有量が多い部分の酸素含有率の差分が2.5質量%以下であるから、圧粉磁心の密度を十分に高くした場合であっても、粒界相の絶縁抵抗を確保することができる。この結果、圧粉磁心1の鉄損を抑制できると推測される。
(4)軟磁性金属粒子3の表面粗さに関する要件
圧粉磁心1は、渦電流損失を更に小さくするという観点から、次の軟磁性金属粒子3の表面粗さに関する要件を満たしていることが更に好ましい。
圧粉磁心1は、軟磁性金属粒子3と粒界相6との界面の断面構造を10μm×10μmの正方形の第1視野で観察した場合に、軟磁性金属粒子3の表面粗さRaが0.05μm以上0.20μm以下であることが好ましく、Rzが0.20μm以上0.70μm以下であることが好ましい。
なお、Raは、JIS B0601(2001年)で定義された算術平均粗さである。Rzは、JIS B0601(2001年)で定義された最大高さ粗さである。軟磁性金属粒子3のRaとRzの測定方法としては、JIS B0601(2001年)に準拠した測定方法を用いればよい。例えば、図5に示すような軟磁性金属粒子3と粒界相6との界面の断面のTEM(透過型電子顕微鏡)画像から、軟磁性金属粒子3の表面の断面曲線を得て、RaとRzを算出する方法等を挙げることができる。
なお、このRaとRzの要件は、圧粉磁心1の断面構造を観察した際に、10μm×10μmの正方形の視野を複数観察して、そのうちの少なくとも1つの視野において満たしていればよい。
本要件は、軟磁性金属粒子の原料となる軟磁性金属粉末(軟磁性金属粒子3)の表面粗さを適宜設定することでコントロールできる。圧粉磁心1のプレス成形時に軟磁性金属粒子3同士の摩擦等により凹凸形状が付与される場合には、プレス成形時に付与されうる凹凸形状を勘案して原料の表面粗さを設定しておけばよい。
(5)粒界多重点に関する要件
圧粉磁心1は、渦電流損失を更に小さくするという観点から、次の粒界多重点に関する要件を満たしていることが更に好ましい。ここで粒界多重点とは、圧粉磁心1の断面を観察した像において、3つ以上の軟磁性金属粒子3によって囲まれた部分であり、3つの軟磁性金属粒子3によって囲まれた粒界三重点や、4つの軟磁性金属粒子3によって囲まれた粒界四重点等が含まれる(通常、5つ以下の軟磁性金属粒子3によって囲まれた部分である)。
圧粉磁心1の断面構造を50μm×50μmの正方形の第2視野にて、互いの視野が重ならないように上下又は左右方向に連続して10視野観察した場合に、3つ以上の軟磁性金属粒子3によって囲まれた粒界多重点について、以下[1][2]に規定する第1結合線及び第2結合線によって囲まれた領域から気孔35を除いた粒界相6の領域の面積をS1とする。
[1]第1結合線は、互いに隣接する軟磁性金属粒子3の表面間を最も近接した部位同士で結んだ線とする。
[2]第2結合線は、互いに隣り合う第1結合線の端部同士を、軟磁性金属粒子3の外形線のうちの粒界多重点側の内側部分を辿って結ぶ線とする。
また、3つ以上の軟磁性金属粒子3の1つあたりの平均面積をS2とする。
なお、粒界相6の領域の面積S1を算出するにあたって、第1結合線と第2結合線によって囲まれた領域の一部が第2視野から欠ける場合には、その領域についてはS1を算出しない。また、軟磁性金属粒子3の平均面積S2を算出するにあたって、軟磁性金属粒子3の一部が第2視野から欠ける場合には、観察視野を拡大して軟磁性金属粒子3全体の面積を求める。面積S1及び面積S2を求めるにあたっては、図1に示すような圧粉磁心1の断面のSEM(走査型電子顕微鏡)画像上で、50μm×50μmの正方形の領域を第2視野とする。この第2視野の範囲内でEPMA(Electron Probe Micro Analyser)を用いた画像解析を行い算出する。
圧粉磁心1は、1/10≦S1/S2≦1/3を充足する粒界多重点が1視野あたり平均して5カ所以上存在することが好ましく、平均して8カ所以上存在することがより好ましい。なお、1/10≦S1/S2≦1/3を充足する粒界多重点の1視野あたりの平均箇所数(凝集部の平均個数)は、小数点以下を四捨五入して整数で求める。なお、凝集部の平均個数は、通常、15カ所以下である。
1/10≦S1/S2≦1/3の範囲において、下限値以上である場合には、気孔35が生じやすい粒界多重点に粒界相6が凝集して凝集部7が形成され、粒界相6の絶縁抵抗を確保することができる。
1/10≦S1/S2≦1/3の範囲において、上限値以下である場合には、隣接する軟磁性金属粒子3同士が十分に近接して配置されることで、圧粉磁心1における軟磁性金属粒子3の充填率を十分なものとすることができる。
凝集部7の平均個数が5個以上の圧粉磁心1では、気孔35が生じやすい粒界多重点が粒界相6によって十分に埋められることで、粒界相6の絶縁抵抗を確保して、渦電流損失を低減できる。
ここで、図6、図7を参照してこの要件を説明する。
粒界相6の面積S1を求める方法について説明する。図6に示すように、軟磁性金属粒子3A、軟磁性金属粒子3B、軟磁性金属粒子3Cによって囲まれた粒界三重点において、軟磁性金属粒子3Aと軟磁性金属粒子3Bの表面間を最も近接した部位A2,B1同士で結んだ線と、軟磁性金属粒子3Bと軟磁性金属粒子3Cの表面間を最も近接した部位B2,C1同士で結んだ線と、軟磁性金属粒子3Cと軟磁性金属粒子3Aの表面間を最も近接した部位C2,A1同士で結んだ線を第1結合線L1とする。A1とA2同士を、軟磁性金属粒子3Aの外形線のうちの粒界多重点側の内側部分を辿って結ぶ線と、B1とB2同士を、軟磁性金属粒子3Bの外形線のうちの粒界多重点側の内側部分を辿って結ぶ線と、C1とC2同士を、軟磁性金属粒子3Cの外形線のうちの粒界多重点側の内側部分を辿って結ぶ線を第2結合線L2とする。そして、第1結合線L1と第2結合線L2によって囲まれた領域から気孔35を除いた面積を算出して、粒界相6の面積S1を求める。なお、軟磁性金属粒子3の表面に酸化被膜や反応相からなる層4が形成されている場合には、この層4の面積についてもS1に含める。
軟磁性金属粒子3A,3B,3Cの1つあたりの平均面積S2を求める方法について説明する。図7に示すように、軟磁性金属粒子3Aの面積S2Aと、軟磁性金属粒子3Bの面積S2Bと、軟磁性金属粒子3Cの面積S2Cをそれぞれ算出する。そして、これらの面積を合算し、粒子数で除して平均面積S2を求める(S2=(S2A+S2B+S2C)/3)。
そして、観察した連続する10視野について、視野ごとに1/10≦S1/S2≦1/3の要件を充足する粒界多重点の数を数える。各視野の上記要件を充足する粒界多重点の数を合算し、観察した視野数である10で除することにより、1視野あたりの平均箇所数(凝集部7の平均個数)を求めることができる。
なお、1/10≦S1/S2≦1/3の要件を充足する粒界多重点の数は、粒界相6を形成する材料の流動性、粒界相6を形成する材料の配合量、圧粉磁心1製造時のプレス圧等によって制御できる。
(6)粒界相6の面積割合に関する要件
圧粉磁心1は、ヒステリシス損失を更に小さくするという観点から、次の面積割合(占有率)(%)に関する要件を満たしていることが更に好ましい。
圧粉磁心1の断面構造を50μm×50μmの正方形の第3視野で観察した際に、粒界相6が第3視野を占める面積割合を互いに相違する3カ所で測定して平均値を求めた平均面積割合が5〜10%であることが好ましく、6〜9%であることがより好ましい。なお、粒界相6の面積には、気孔35の面積は含まれないものとする。
粒界相6の面積割合(%)は、(5)粒界多重点に関する要件と同様の解析手段を用いて算出する。圧粉磁心1の断面のSEM画像上で、50μm×50μmの正方形の領域を第4視野とする。この第4視野の範囲内でEPMAを用いた画像解析を行い、粒界相6が第4視野全体に占める面積割合(%)を求める。この粒界相6の面積割合(%)を3カ所において求め、その平均値を算出する。算出された平均値が粒界相6の平均面積割合(%)である。
なお、この面積割合(%)の要件は、圧粉磁心1の断面構造を観察した際に、50μm×50μmの正方形の視野を3カ所以上観察して、そのうちから任意に選ばれる3つの視野において満たしていればよい。
本要件は、粒界相6を形成する材料の配合量を調整することでコントロールできる。
2.圧粉磁心1の製造方法
圧粉磁心1の製造方法は、特に限定されない。図8に、圧粉磁心1の製造方法の一例を示し、この製造方法について以下に説明する。
(1)軟磁性金属粉末の準備
まず、原料としての軟磁性金属粉末(軟磁性金属粒子3)を用意する(ステップS1)。
(2)熱処理
次に、軟磁性金属粉末を熱処理する(ステップS2)。この熱処理の条件は、特に限定されない。熱処理条件として、例えば、熱処理温度:700℃〜900℃、昇温速度:1℃〜10℃/min、保持時間:1分〜120分、不活性雰囲気(N雰囲気、Ar雰囲気)の条件が好適に採用される。
(3)バインダーコーティング
次に、軟磁性金属粉末にバインダーをコーティングする(ステップS3)。コーティング方法は、特に限定されず、例えば、スプレーコーティング法、ディッピング法、湿式混合法が好適に用いられる。バインダーは、アルミ化合物粒子を含んでいる。すなわち、バインダーは、アルミナ水和物のコロイド溶液であるアルミナゾルを好適に用いることができる。コーティングした軟磁性金属粉末は、例えば乾燥温度:60℃〜150℃、乾燥時間:30分〜120分の条件で乾燥される。
(4)成形(プレス成形)
圧粉磁心1の形状を作るためには、通常、プレス成形(例えば金型一軸成形)が用いられる(S4)。プレス成形の際の成形圧は1.2GPa〜2.4GPaが好ましく、高密度の成形体を得るためには高圧でプレスした方がよい。また、プレス成形時に室温〜200℃の範囲で金型を加熱してもよい。金型を加熱することで軟磁性金属粉末が塑性変形しやすくなり、高密度の成形体を得ることができる。他方、200℃を超える温度でのプレス成形は、軟磁性金属粉末の酸化が問題となりあまり好ましくない。
(5)熱処理
得られた成形体について、プレス成形の際に加えられた歪みを開放するため、熱処理(焼鈍)する(ステップS5)。熱処理条件として、例えば、熱処理温度:700℃〜900℃、昇温速度:1℃〜10℃/min、保持時間:1分〜120分、還元雰囲気又は不活性雰囲気の条件が好適に採用される。
熱処理の条件は、使用する軟磁性金属粉末の種類によって適宜変更される。
3.本実施形態の圧粉磁心1の作用効果
本実施形態の圧粉磁心1によれば、鉄損が抑制される。
圧粉磁心1は、酸化被膜と粒界相との間に反応相が存在することで、渦電流損失をより小さくすることができる。
圧粉磁心1は、気孔率に関する要件を満たすことで、ヒステリシス損失をより小さくすることができる。
圧粉磁心1は、粒界多重点に関する要件を満たすことで、渦電流損失を更に小さくすることができる。
圧粉磁心1は、粒界相6の平均面積割合に関する要件を満たすことで、ヒステリシス損失を更に小さくすることができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
なお、実験例1〜15は実施例であり、実験例16〜20は比較例である。
表において、実験例を「no.」を用いて示す。また、表において「16*」のように、「*」が付されている場合には、比較例であることを示している。
1.圧粉磁心の作製
(1)実験例1〜17、19(no.1〜17、19)
軟磁性金属粒子(原料粉末)には、表1に記載の平均粒子径を有する各種粒子を用いた。なお、表1中、「Fe−Si−Cr」の記載は、水アトマイズ法によって作製したFe−5.5質量%Si−4.0質量%Cr粒子を意味している。
まず、軟磁性金属粉末を熱処理した。熱処理条件は、熱処理温度:200〜400℃、昇温速度:1.0〜10℃/min、保持時間:10〜45分、不活性雰囲気(Ar、N)とした。
次に軟磁性金属粒子を、コーティング液を用いてコーティングした。コーティング液には、アルミナゾルを使用した。なお、表1中、「Al、Siの結晶性物質」の欄が「○」とされている場合には、コーティング液にアルミ化合物粒子を用いたことを示しており、「Al、Siの結晶性物質」の欄が「×」とされている場合には、コーティング液にアルミ化合物粒子やケイ素化合物粒子を用いていないことを示している。
そして、コーティング後の軟磁性金属粒子を、60〜150℃、乾燥時間:60〜180分の条件で乾燥した。
次いで、コーティングした軟磁性金属粉末を熱処理した。熱処理条件は、熱処理温度:200〜400℃、昇温速度:60〜180℃/min、保持時間:10〜45分、不活性雰囲気(Ar、N)とした。
そして、1.0〜2.5GPaの成形圧でプレス成形して成形体(トロイダル形状(外径:8mm、内径:4.5mm、高さ:1.5mm))とした。この成形体を熱処理温度:400〜800℃、昇温速度:1.0〜10℃/min、保持時間:10〜45分、不活性雰囲気(Ar、N)又は真空雰囲気の条件で熱処理した。以上のようにして、実験例1〜17、19に係る圧粉磁心を得た。
なお、プレス成形の成形圧を変えることで、凝集部の平均個数と、気孔率をコントロールした。
(2)実験例18、20(no.18、20)
軟磁性金属粒子(原料粉末)には、表1に記載の平均粒子径を有する粒子を用いた。そして、実験例1〜17、19と同様の条件で軟磁性金属粉末を熱処理した。
次に軟磁性金属粒子を、コーティング液を用いてコーティングした。コーティング液には、シリカゾルを用いた。そして、実験例1〜17、19と同様の条件でコーティング後の軟磁性金属粒子を乾燥し、コーティング後の軟磁性金属粒子を熱処理した。以上のようにして、実験例18、20に係る圧粉磁心を得た。
なお、プレス成形の成形圧を変えることで、凝集部の平均個数と、気孔率をコントロールした。
表1に各実験例の軟磁性金属粒子、粒界相の特性をまとめて記載する。
「Ra」、「Rz」の欄は、「(4)軟磁性金属粒子の表面粗さに関する要件」の欄で記載された方法で測定された算術平均粗さRa及び最大高さ粗さRzを示している。
「P1」、「P2」の欄は、「(3)酸素量差に関する要件」の欄で記載された方法で測定された、酸素含有率(質量%)を表している。本実施例では、最も酸素含有量が少ない部分としては、圧粉磁心の表面から100μm以内の範囲から質量0.9g〜1.1gの部分を切り出し、酸素窒素分析装置(EMGA−620W、堀場製作所製)を用いて、その酸素含有率P1を測定した。また、最も酸素含有量が多い部分としては、矩形断面を回転してなるトロイダル形状の圧粉磁心において、矩形断面の中心から100μm以内の範囲から質量0.9g〜1.1gの部分を切り出し、酸素窒素分析装置(EMGA−620W、堀場製作所製)を用いて、その酸素含有率P2を測定した。
「P2−P1」の欄は、上記「P1」と、「P2」との差分を示している。
「凝集部の平均個数」の欄は、「(5)粒界多重点に関する要件」の欄で記載された方法で測定された凝集部の平均個数を示している。
「面積割合」の欄は、「(6)粒界相6の面積割合に関する要件」の欄で記載された方法で測定された平均面積割合(%)を示している。

2.鉄損の評価方法
測定装置(B−Hアナライザ、岩崎通信機株式会社製、型番SY−8218)により、下記の鉄損に関する修正steinmetz方程式を用いて、以下の条件にて鉄損を評価した。

コア条件:外径φ8mm−内径φ4.5mm 厚み1.5mm
エナメル線φ0.3 15巻 バイファイラ巻

評価は以下のようにした。

ヒステリシス損失(kW/m
「☆」…600未満
「◎」…600以上700未満
「○」…700以上800未満
「△」…800以上900未満
「×」…900以上

渦電流損失(kW/m
「☆」…15未満
「◎」…15以上30未満
「○」…30以上50未満
「△」…50以上80未満
「×」…80以上
3.評価結果
評価結果を表1に示す。
実施例である実験例1〜15は、下記要件(a)(b)(c)を満たしている。
・要件(a):軟磁性金属粒子の平均粒子径が5μm以上30μm以下である。
・要件(b):粒界相には、Al及びSiの少なくとも1つを含む結晶性物質が存在する。
・要件(c):P2−P1が2.5質量%以下である。
これに対して、比較例である実験例16〜22は以下の要件を満たしていない。
実験例16では、要件(a)を満たしてない。
実験例17では、要件(a)を満たしてない。
実験例18では、要件(b)を満たしてない。
実験例19では、要件(c)を満たしてない。
実験例20では、要件(b)、(c)を満たしてない。
実施例である実験例1〜15は、比較例である実験例16〜20と比較して、ヒステリシス損失及び渦電流損失がバランスよく抑制されていた。
また、実施例である実験例1〜15のうち、更に下記要件(d)を満たしている実験例6〜15は、渦電流損失がより少なかった。
また、実施例である実験例6〜15のうち、更に下記要件(e)を満たしている実験例10〜15は、渦電流損失がより少なかった。
また、実施例である実験例10〜15のうち、更に下記要件(f)を満たしている実験例13〜15は、ヒステリシス損失がより少なかった。

・要件(d):軟磁性金属粒子の表面粗さRaが0.05μm以上0.20μm以下であり、Rzが0.20μm以上0.70μm以下である。
・要件(e):凝集部の平均個数が5個以上である((5)粒界多重点に関する要件に相当)。
・要件(f):粒界相の面積割合が5〜10%である((6)粒界相6の面積割合に関する要件)。
4.実施例の効果
本実施例の圧粉磁心は、ヒステリシス損失及び渦電流損失が共に少なかった。
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形又は変更が可能である。
本発明の圧粉磁心は、モーターコア、トランス、チョークコイル、ノイズ吸収体等の用途に特に好適に使用される。
1 …圧粉磁心
3,3A,3B,3C…軟磁性金属粒子
4 …酸化被膜と反応相からなる層
6 …粒界相
35 …気孔
L1 …第1結合線
L2 …第2結合線

Claims (4)

  1. 平均粒子径5μm〜30μmの軟磁性金属粒子と、Al及びSiの少なくとも1つを含む結晶性物質が存在する粒界相と、を備えてなる圧粉磁心であって、
    最も酸素含有量が少ない部分の酸素含有率をP1質量%とし、最も酸素含有量が多い部分の酸素含有率をP2質量%とすると、P2−P1が2.5質量%以下であることを特徴とする圧粉磁心。
  2. 前記軟磁性金属粒子と前記粒界相との界面の断面構造を10μm×10μmの正方形の第1視野で観察した場合に、前記軟磁性金属粒子の表面粗さRaが0.05μm以上0.20μm以下であり、Rzが0.20μm以上0.70μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の圧粉磁心。
  3. 前記圧粉磁心の断面構造を50μm×50μmの正方形の第2視野にて、互いの視野が重ならないように上下又は左右方向に連続して10視野観察した場合に、
    3つ以上の前記軟磁性金属粒子によって囲まれた粒界多重点について、
    [1]互いに隣接する前記軟磁性金属粒子の表面間を最も近接した部位同士で結んだ第1結合線、及び[2]互いに隣り合う前記第1結合線の端部同士を、前記軟磁性金属粒子の外形線のうちの前記粒界多重点側の内側部分を辿って結ぶ第2結合線、によって囲まれた領域から気孔を除いた前記粒界相の領域の面積をS1とし、
    前記3つ以上の前記軟磁性金属粒子の1つあたりの平均面積をS2とすると、
    1/10≦S1/S2≦1/3
    を充足する前記粒界多重点が1視野あたり平均して3カ所以上存在することを特徴とする請求項1又は2に記載の圧粉磁心。
  4. 前記圧粉磁心の断面構造を50μm×50μmの正方形の第3視野で観察した際に、
    前記粒界相が前記第3視野を占める面積割合を互いに相違する3カ所で測定して平均値を求めた平均面積割合が5〜10%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧粉磁心。
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