JP7291506B2 - 圧粉磁心 - Google Patents

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Description

本発明は、圧粉磁心に関する。
形状自由度の高さと、高周波帯域への適用可能性から圧粉磁心の開発が盛んに行われている。
特許文献1では、結晶質磁性材料と、非晶質磁性材料とを均一に混合し、分散させた複合磁性材料粉末に、絶縁材として、シリコーン系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂等の有機高分子樹脂、水ガラスを使用し、作製された高周波用圧粉磁心が開示されている。
特開2005-294458号公報
しかし、この圧粉磁心の鉄損は必ずしも十分に抑制されておらず、更なる鉄損の抑制が望まれていた。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、更なる鉄損の抑制を目的とし、以下の形態として実現することが可能である。
〔1〕平均粒子径5μm~30μmの軟磁性金属粒子と、粒界相と、を備えてなる圧粉磁心であって、
前記粒界相は、
(A)珪酸ソーダを主成分とするガラスと、
(B)Al、Y、Zn、Ca、及びMgからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、Siとの化合物であるSi化合物と、を含んで構成されており、
前記圧粉磁心の断面構造を100μm×100μmの正方形の第1視野で観察した際に、前記第1視野を画する正方形の一辺上で、前記粒界相が存在する場所を始点として、正方形の前記一辺と対向する辺まで前記粒界相が連続して形成され、互いに相違する5以上の連続層を有し、
前記連続層の、前記一辺から前記対向する辺までの経路の平均長さが115μm以上であり、
前記粒界相を直線距離20μmの長さにおいて0.2μm間隔でライン分析を5本おこない、
各ライン毎に、Alのピークの個数、Yのピークの個数、Znのピークの個数、Caのピークの個数、及びMgのピークの個数を合計した合計個数を求めると、
前記合計個数の平均は、1ライン当たり15個~30個であることを特徴とする圧粉磁心。
〔2〕前記圧粉磁心の断面構造を150μm×150μmの正方形の第2視野で観察した際に、前記粒界相がH字状に配されている場所において、H字を構成する2本の縦線と1本の横線とが交差する2つの交点同士を直線で結んで、この直線の垂直二等分線を描いたときに、前記垂直二等分線が前記粒界相を横断する場所における横断幅を前記粒界相の厚みTnと定義し、
前記粒界相の厚みを5カ所測定してTn(nは1~5までの整数)をそれぞれ求め、Tn(nは1~5までの整数)の平均である平均厚みTaを算出した場合に、
前記平均厚みTaは、10nm以上300nm以下であることを特徴とする〔1〕に記載の圧粉磁心。
〔3〕前記圧粉磁心の断面構造を100μm×100μmの正方形の第3視野で観察して、気孔が前記第3視野を占める面積割合P(%)を求めた場合に、
前記面積割合Pの最大値をP1、前記面積割合Pの最小値をP2とすると、
P1とP2の差は3%以下であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の圧粉磁心。
上記〔1〕の発明によれば、鉄損が抑制される。
上記〔2〕の発明によれば、抵抗値を保って渦電流損失を小さくすることできる。
上記〔3〕の発明によれば、ヒステリシス損失を更に小さくすることができる。
圧粉磁心を示す模式図である。右図は、圧粉磁心の断面構造を100μm×100μmの正方形の第1視野で観察した際の模式図を示す。 圧粉磁心を示す模式図である。右図は、圧粉磁心の断面構造を100μm×100μmの正方形の視野で観察した際の模式図を示す。 ライン分析の概念を示す説明図である。 粒界相6の厚みの求め方を説明するための模式図である。 粒界相6の厚みの求め方を説明するための模式図である。 気孔35に関する要件を説明するための圧粉磁心の斜視図である。図6は、軸線に沿って半分に切断した圧粉磁心の斜視図が示されている。 D1の場所について、100μm×100μmの正方形の第3視野で観察した際の模式図を示す。 D2の場所について、100μm×100μmの正方形の第3視野で観察した際の模式図を示す。 圧粉磁心の製造方法の一例を示す工程図である。
以下、本発明を詳しく説明する。なお、本明細書において、数値範囲について「~」を用いた記載では、特に断りがない限り、下限値及び上限値を含むものとする。例えば、「10~20」という記載では、下限値である「10」、上限値である「20」のいずれも含むものとする。すなわち、「10~20」は、「10以上20以下」と同じ意味である。
1.圧粉磁心1の構成
圧粉磁心1は、図1の右図(断面図)に示すように、平均粒子径5μm以上30μm以下の軟磁性金属粒子3と、粒界相6と、を備えてなる。粒界相6は、珪酸ソーダを主成分とするガラスを含有している。なお、図1におけるハッチング(平行線)は、軟磁性金属粒子3を示している。また、図1の点描は、粒界相6を示している。
以下、本発明の圧粉磁心1の実施形態を詳細に説明する。
粒界相6は、
(A)珪酸ソーダを主成分とするガラスと、
(B)Al、Y、Zn、Ca、及びMgからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、Siとの化合物であるSi化合物と、を含んで構成されている。
圧粉磁心1の断面構造を100μm×100μmの正方形の第1視野で観察した際に、第1視野を画する正方形の一辺11上で、粒界相6が存在する場所を始点として、正方形の一辺11と対向する辺13まで粒界相6が連続して形成され、互いに相違する5以上の連続層21を有する。
そして、連続層21の、一辺11から対向する辺13までの経路の平均長さが115μm以上である。
更に、粒界相6を直線距離20μmの長さにおいて0.2μm間隔でライン分析を5本おこない、各ライン毎に、Alのピークの個数、Yのピークの個数、Znのピークの個数、Caのピークの個数、及びMgのピークの個数を合計した合計個数を求めると、合計個数の平均は、1ライン当たり15個~30個である。
図1では、トロイダル形状の圧粉磁心1を例として挙げる。なお、圧粉磁心1の形状は、特に限定されない。図1は、圧粉磁心1を、その軸方向に沿って切断した断面を示している。
(1)軟磁性金属粒子3
軟磁性金属粒子3は、軟磁性の金属粒子であれば、特に限定されず、幅広く用いることができる。軟磁性金属粒子3として、軟磁性である純鉄の粒子、鉄基合金の粒子を幅広く用いることができる。鉄基合金としては、Fe-Si-Cr合金、Fe-Si-Al合金(センダスト)、Ni-Fe合金(パーマロイ)、Ni-Fe-Mo合金(スーパーマロイ)、Fe基アモルファス合金、Fe-Si合金、Ni-Fe合金、Fe-Co合金等を好適に用いることができる。これらの中でもFe-Si-Cr合金、Ni-Fe合金(パーマロイ)、Ni-Fe-Mo合金(スーパーマロイ)、Fe基アモルファス合金が透磁率、保磁力、周波数特性の観点から好ましい。
軟磁性金属粒子3の平均粒子径は、5μm以上30μm以下であり、10μm以上25μm以下が好ましく、15μm以上22μm以下がより好ましい。軟磁性金属粒子3の平均粒子径は、使用する周波数帯域によって適宜変更することができる。特に100kHzを超える高周波帯域での使用を想定した場合は10μm以上25μm以下であることがより好ましい。なお、軟磁性金属粒子3の平均粒子径は、圧粉磁心1の断面をFE-SEM JSM-6330Fによって観察した粒子面積から面積円相当径を算出し、平均粒子径とする。
軟磁性金属粒子3は、表面に金属酸化物層(不動態被膜)を備えていてもよい。金属酸化物層を、表面に備えることによって、粒界相6との密着性をよくすることができる。
金属酸化物層を構成する金属酸化物は特に限定されない。例えば、酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化モリブデン、及び酸化タングステンからなる群より選ばれた1種以上の金属酸化物が好ましい。特に、金属酸化物に、酸化クロム及び酸化アルミニウムのうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。これらの好ましい金属酸化物を用いることで、渦電流損失が効果的に抑制される。
なお、軟磁性金属粒子3として、Fe-Si-Cr合金の粒子を用いた場合には、酸化クロム(Cr)を有する金属酸化物層を容易に形成することができる。すなわち、Fe-Si-Cr合金中のCrが酸化することにより軟磁性金属粒子3の外縁部に金属酸化物層が形成される。
また、金属酸化物層の厚みは、特に限定されない。厚みは、好ましくは1nm以上20nm以下とすることができる。なお、金属酸化物層の厚みは、XPS(X線光電子分光法)を用いて測定できる。
(2)粒界相6
(2.1)粒界相6の構成
粒界相6は、(A)珪酸ソーダを主成分とするガラスと、(B)Si化合物と、を含んで構成されている。
粒界相6は、高抵抗という性質を有している。
(2.2)珪酸ソーダを主成分とするガラス(「A成分」ともいう。)
主成分とは、含有率(重量%)が50重量%以上の物質をいう。ガラスには、硼酸塩ガラス、リン酸ガラス、珪酸ガラス、結晶化ガラスを含んでいてもよい。
(2.3)Si化合物(「B成分」ともいう。)
Si化合物は、Al、Y、Zn、Ca、及びMgからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、Siと、の化合物である。Si化合物は、シリケート化合物であり、例えば、AlSiO、YSi、ZnSiO、CaSiO、及びMgSiOからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
なお、Al、Y、Zn、Ca、及びMgからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の選択は、特に限定されないが、下記の元素単独、又は元素の組み合わせが好ましい。
<好ましい元素、元素の組み合わせ>
(1)Al
(2)Y
(3)Ca、Mg
(3)Al、Zn
(4)Y、Zn
(5)Y、Mg、Ca
(6)Al、Y
(7)Al、Ca
(8)Al、Ca、Mg
(9)Al、Y、Zn、Ca
(10)Al、Y
(2.4)粒界相6におけるA成分及びB成分の含有割合
粒界相6における、A成分及びB成分の含有割合は、特に限定されない。
粒界相6全体を100質量部とした場合に、A成分及びB成分の合計の含有量は、95質量部以上が好ましく、98質量部以上がより好ましく、99質量部以上が更に好ましい。粒界相6全体を100質量部とした場合に、A成分及びB成分の合計の含有量は、100質量部であってもよい。
粒界相6には、A成分及びB成分以外の他の成分として、例えば、絶縁性微粒子(アルミナ粒子等)を含有することができる。
A成分及びB成分の全体を100質量部とした場合に、A成分の含有量は、軟磁性金属粒子3との密着性の観点から、50質量部~90質量部が好ましく、55質量部~80質量部がより好ましい。
(2.5)連続層21に関する第1要件
本発明の圧粉磁心1は、圧粉磁心1の断面構造を100μm×100μmの正方形の第1視野で観察した際に、次の連続層21に関する第1要件及び第2要件を満たしている。
第1要件を説明する。図1の右図は、圧粉磁心1の断面構造を観察した際の、100μm×100μmの正方形の第1視野を模式図に示している。
第1視野を画する正方形の一辺11上で、粒界相6が存在する場所を始点Sとする。一辺11上の始点Sから、正方形の一辺11と対向する辺13まで粒界相6が連続しているところを辿っていくと、互いに相違する5以上ルート(経路)が存在していることが第1要件である。すなわち、互いに相違する5以上の連続層21が存在していることが第1要件である。なお、途中で、分岐点にさしかかったときには、対向する辺13に辿り着くために最短となるルートを選択する。また、互いに相違するルートは5以上であれば、ルート数の上限値はないが、通常の上限値は30である。
図1は、一辺11上の5つの異なる始点S1,S2,S3,S4,S5から始まり、それぞれ異なる終点E1,E2,E3,E4,E5で終わる5つの相違する連続層21A,21B,21C,21D,21Eが存在する例を示している。
この第1要件を満たすと、圧粉磁心1内に多くの連続層21が存在することになるから、粒界相6の抵抗値が高くなり渦電流損失を低減することができる。また、この要件を満たすと、圧粉磁心1の熱引き性が良好となる。また、隣り合う軟磁性金属粒子3同士が、粒界相6によって、効果的に絶縁され耐電圧特性が高くなる。更に、粒界相6の連続層21が、軟磁性金属粒子3同士を結着させて、圧粉磁心1の機械的強度が向上する。
なお、第1要件は、圧粉磁心1の断面構造を観察した際に、100μm×100μmの正方形の視野を複数観察して、そのうちの少なくとも1つの視野において満たしていればよい。
(2.6)連続層21に関する第2要件
次に、第2要件を説明する。第2要件は、連続層21の、一辺11から対向する辺13までの経路の平均長さが115μm以上という要件である。
連続層21の経路の平均長さは120μm以上がより好ましく、130μm以上が更に好ましい。連続層21の経路の平均長さの上限値は、150μmである。
図1の例では、この第2要件は、連続層21A,21B,21C,21D,21Eの経路の平均長さが115μm以上という要件となる。
この第2要件を満たすと、連続層21の平均長さが、第1視野の一辺の長さ100μmよりも長くなる。すなわち、連続層21は、一辺11から対向する辺13までの経路の間で、蛇行していることになる。連続層21が直線状の場合と比べて、連続層21が蛇行していると、粒界相6の抵抗値が高くなり、渦電流損失を低減される。また、この要件を満たすと、圧粉磁心1の熱引き性が良好となる。
なお、連続層21の平均長さは、後述するプレス成形時のプレス圧力等によって制御される。例えば、60℃~300℃にて、プレス圧力を1.0MPa~2.5MPaとすることで軟磁性金属粒子3が入り組み、蛇行した構造になる。
なお、第2要件は、圧粉磁心1の断面構造を観察した際に、100μm×100μmの正方形の視野を複数観察して、そのうちの少なくとも1つの視野において満たしていればよい。
(2.7)粒界相6のライン分析に関する要件
本発明の圧粉磁心1は、粒界相6のライン分析に関して次の要件を満たしている。
粒界相6を直線距離20μmの長さにおいて0.1μm間隔でライン分析を5本おこなう。
そして、各ライン毎に、Al(アルミニウム)のピークの個数、Y(イットリウム)のピークの個数、Zn(亜鉛)のピークの個数、Ca(カルシウム)のピークの個数、及びMg(マグネシウム)のピークの個数を合計した合計個数を求める。この合計個数の平均は、1ライン当たり15個~30個であることが、ライン分析に関する要件である。
この第1要件は、例えば、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子株式会社製 JSM-7001F)によって測定できる。なお、ライン分析のデータは、粒界相6を0.2μm毎に分析した結果で構成されている。すなわち、ライン分析は、直線状に、0.2μm間隔で測定している。図2,3に、ライン分析の概念を模式図に示す。図2に示すように、圧粉磁心1の断面構造にて例えば100μm×100μmの正方形の範囲を指定する。そして、その範囲内における粒界相6について、直線距離20μmの5直線L1,L2,L3,L4,L5を選定して、それぞれについてライン分析する。その際、分析点は、図3に示すように、0.2μm間隔である。
なお、各元素についてのピークの判定は次のようする。すなわち、各元素についてのバックグラウンドの平均強度の2倍以上の強度がある場合を、ピークと判定する。
(2.8)圧粉磁心1の鉄損抑制の推測理由
本発明者らは、圧粉磁心1の鉄損を抑制すべく鋭意検討を重ねた。その結果、粒界相6に、A成分及びB成分を含有させ、更に、連続層21に関する第1,2要件、及び粒界相6のライン分析に関する要件を満たすと、圧粉磁心1の鉄損を抑制できるという予想外の事実を発見した。本発明は、この知見に基づいてなされたものである。
このように本実施形態において、所望の効果が得られる理由は定かではないが、次のように推測される。珪酸ソーダを主成分とするガラスは低融点であり、このガラスと軟磁性金属粒子3との密着性を確保しやすい。ところが、このガラスを用いても、鉄損を十分抑制するには、粒界相6の抵抗値は低い。そこで、粒界相6に、セラミックス粒子を添加することも考えられる。しかし、セラミックス粒子は酸化物であるので、粒界相6の抵抗が上がらない。本実施形態の圧粉磁心1では、ガラスを含んだ粒界相6に、特定のSi化合物が含まれているので、粒界相6の抵抗が向上しているものと推測される。
また、本実施形態の圧粉磁心1では、特定要件(連続層21に関する第1,2要件)を満たす連続層21が形成されている。特定要件を満たす連続層21は、圧粉磁心1の抵抗値の向上と、ヒステリシス損失の低減に主として寄与していると考えらえる。
また、本実施形態の圧粉磁心1では、ライン分析における特定元素のピーク個数が特定されている。この要件を満たすと、圧粉磁心1の鉄損を抑制できる程度に、特定のSi化合物がガラス中で適度に分散されている状態となるものと考えられる。すなわち、圧粉磁心1の鉄損を抑制するために、特定のSi化合物がガラス中に分散されている必要があるが、このSi化合物が分散され過ぎると、圧粉磁心1が疎になってしまうためヒステリシス損失が却って高くなるおそれがある。本実施形態の圧粉磁心1では、ライン分析における特定元素のピーク個数が特定されることで、Si化合物の分散状態が規定され、圧粉磁心1の鉄損が抑制されていると考えられる。
以上の推測理由を総合して考慮すると、本実施形態の圧粉磁心1が種々の特定要件を満たすことより、これらの要件が複合的に関与して、圧粉磁心1の鉄損が従来よりも抑制されていると考えらえる。
(2.9)粒界相6の厚みに関する要件
圧粉磁心1は、次の粒界相6の厚みに関する要件を満たしていることが好ましい。
ここで粒界相6の厚みに関する要件を、図4,5を参照して説明する。
本発明では、粒界相6の厚みは、次のように規定されている。
まず、粒界相6の厚みの測定について図4を参照しつつ説明する。
粒界相6の厚みの測定では、圧粉磁心1の断面構造を150μm×150μmの正方形の第1視野でSEM(走査型電子顕微鏡)の反射電子像にて観察する。なお、圧粉磁心1がトロイダル形状の場合には、図1に示されるように上面に垂直に切断した断面を観察する。
ここで、粒界相6が図4に示すように、H字状に配されている場所を選択する。H字を構成する2本の縦線と1本の横線とが交差する2つの交点O1,O2同士を直線で結んで、この直線の垂直二等分線LHを描いたときに、垂直二等分線LHが粒界相6を横断する場所における横断幅を粒界相6の厚みTnと定義する。
なお、交点O1を決定する際には、H字を構成する2本の縦線と1本の横線とが交差する場所周りに存在する3つの軟磁性金属粒子31,32,33の全てに接する仮想円C1の中心を交点O1と定義する(図5参照)。同様にして、交点O2を決定する際には、H字を構成する2本の縦線と1本の横線とが交差する場所周りに存在する3つの軟磁性金属粒子32,33,34の全てに接する仮想円C2の中心を交点O2と定義する(図5参照)。
そして、粒界相6の厚みを5カ所測定してTn(nは1~5までの整数)をそれぞれ求め、Tn(nは1~5までの整数)の平均である平均厚みTaを算出する。本発明では、平均厚みTaは、10nm~300nmが好ましく、20nm~200nmがより好ましい。
(2.10)気孔に関する要件
圧粉磁心1は、ヒステリシス損失を更に小さくするという観点から、次の気孔35に関する要件を満たしていることが好ましい。
圧粉磁心1の断面構造を100μm×100μmの正方形の第3視野で観察して、気孔35が第3視野を占める面積割合P(%)を求める。面積割合Pの最大値をP1、面積割合Pの最小値をP2とすると、P1とP2の差は3%以下であることが好ましく、2.5%以下であることがより好ましく、1.0%以下であることが更に好ましい。
ここで、図6~図8を参照してこの要件を説明する。
まず、圧粉磁心1の断面構造を観察する際に、気孔35が第3視野を占める面積割合Pが最大の場所D1と、気孔35が第3視野を占める面積割合Pが最小の場所D2の決定方法を説明する。圧粉磁心1は、一対の型でプレス成形することで製造される。一対の型によって、圧力が加えられた面は、圧粉磁心1の形状によって特定される。例えば、図6のトロイダル形状の圧粉磁心1では、圧力が加えられた面は、プレス面PS1及びプレス面PS2である。そして、最も高い圧力が加えられた場所はプレス面PS1,PS2の近傍であり、当業者であればシミュレーションや経験等により一義的に特定可能である。例えば、図6の圧粉磁心1の場合には、符号D2で示さる場所が最も高い圧力が加えられた場所である。他方、最も低い圧力が加えられた場所は、当業者であればシミュレーションや経験等により一義的に特定可能である。例えば、図6の圧粉磁心1の場合には、符号D1で示さる場所が最も低い圧力が加えられた場所である。
最も低い圧力が加えられた場所D1において、圧粉磁心1の断面構造を100μm×100μmの正方形の第3視野で観察して、気孔35が第3視野を占める面積割合P(%)を求める(図7参照)。この最も低い圧力が加えられた場所D1における面積割合P(%)が、面積割合Pの最大値たるP1(%)に該当する。すなわち、D1の場所は、最も加えられ圧力が低く、気孔35が最も多く残っている可能性がある場所となる。
他方、最も高い圧力が加えられた場所D2において、圧粉磁心1の断面構造を100μm×100μmの正方形の第3視野で観察して、気孔35が第3視野を占める面積割合P(%)を求める(図8参照)。この最も高い圧力が加えられた場所D2における面積割合P(%)が、面積割合Pの最小値たるP2(%)に該当する。すなわち、D2の場所は、最も加えられ圧力が高く、気孔35が最も少ない場所となる。
このようにして、面積割合Pの最大値をP1、面積割合Pの最小値をP2として、P1とP2の差を求めることができる。
2.圧粉磁心1の製造方法
圧粉磁心1の製造方法は、特に限定されない。図9に、圧粉磁心1の製造方法の一例を示し、この製造方法について以下に説明する。
(1)軟磁性金属粉末の準備
まず、原料としての軟磁性金属粉末(軟磁性金属粒子3)を用意する(ステップS1)。
(2)熱処理
次に、軟磁性金属粉末を熱処理する(ステップS2)。この熱処理の条件は、特に限定されない。熱処理条件として、例えば、熱処理温度:700℃~900℃、昇温速度:1℃~10℃/min、保持時間:1分~120分、不活性雰囲気(N雰囲気、Ar雰囲気)の条件が好適に採用される。
(3)バインダーコーティング
次に、軟磁性金属粉末にバインダーをコーティングする(ステップS3)。コーティング方法は、特に限定されず、例えば、スプレーコーティング法、ディッピング法、湿式混合法が好適に用いられる。バインダーは、珪酸ソーダを主成分とするガラス(例えば、水ガラス)に、Si化合物を含有させてなる。バインダーには、他の成分としてアルミナゾル、ガラス粉末等を混合してもよい。コーティングした軟磁性金属粉末は、例えば乾燥温度:60℃~150℃、乾燥時間:30分~120分の条件で乾燥される。
なお、湿式混合の際に同一元素が凝集して集まるようにするため、バインダーにポリカルボン酸系の有機物(例えば、ポリカルボン酸部分アルキルエステル、ポリカルボン酸ナトリウム等)を添加することが好ましい。また、同一元素が凝集して集まるようにするためは、熱処理の際に、550~650℃で保持して、同一元素の結晶成長を促して同一元素を集めることも可能である。
(4)成形(プレス成形)
圧粉磁心1の形状を作るためには、通常、プレス成形(例えば金型一軸成形)が用いられる(ステップS4)。プレス成形の際の成形圧は1.2GPa~2.4GPaが好ましく、高密度の成形体を得るためには高圧でプレスした方がよい。また、プレス成形時に室温~200℃の範囲で金型を加熱してもよい。金型を加熱することで軟磁性金属粉末が塑性変形しやすくなり、高密度の成形体を得ることができる。他方、200℃を超える温度でのプレス成形は、大気雰囲気下では、軟磁性金属粉末の酸化が問題となりあまり好ましくない。
(5)熱処理
得られた成形体について、プレス成形の際に加えられた歪みを開放するため、熱処理(焼鈍)する(ステップS5)。熱処理条件として、例えば、熱処理温度:700℃~900℃、昇温速度:1℃~10℃/min、保持時間:1分~120分、不活性雰囲気(N雰囲気、Ar雰囲気)の条件が好適に採用される。
熱処理の条件は、使用する軟磁性金属粉末の種類によって適宜変更される。
3.本実施形態の圧粉磁心1の作用効果
本実施形態の圧粉磁心1によれば、鉄損が抑制される。
圧粉磁心1は、粒界相6の平均厚みTaが10nm以上300nm以下である場合には、ヒステリシス損失が小さくなり、渦電流損失も小さくなる。
圧粉磁心1は、気孔35に関する要件を満たすことで、ヒステリシス損失を更に小さくすることができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
なお、実験例1~15は実施例であり、実験例16~23は比較例である。
表において、実験例を「no.」を用いて示す。また、表において「16*」のように、「*」が付されている場合には、比較例であることを示している。
1.圧粉磁心の作製
(1)実験例1~17、21~23(no.1~17、21~23)
軟磁性金属粒子(原料粉末)には、表1に記載の各種粒子を用いた。なお、表1中、「Fe-Si-Cr」の記載は、水アトマイズ法によって作製したFe-5.5質量%Si-4.0質量%Cr粒子を意味している。
まず、軟磁性金属粉末を熱処理した。熱処理条件は、熱処理温度:450℃、昇温速度:5℃/min、保持時間:15分、不活性雰囲気(Ar)とした。
次に軟磁性金属粒子を、コーティング液を用いてコーティングした。
具体的には、水ガラス20g、シリカゾル5g、水3g、ポリカルボン酸系有機物0.8gの混合スラリー(コーティング液)を作製し、軟磁性金属粒子と混合した。余ったスラリーは除去し、軟磁性金属粒子の表面が覆われた状態とした。
なお、各実験例では、それぞれ上記混合スラリーに以下の添加物を添加した。添加量については、添加物が1種の場合は1.5g、2種の場合はそれぞれ0.75g、3種の場合はそれぞれ0.5g、4種の場合はそれぞれ0.35gとした。
<添加物>
実験例1の場合:Al(OH)
実験例2の場合:Y
実験例3の場合:CaCO、MgCO
実験例4の場合:Al(OH)、ZnO
実験例5の場合:Y、ZnO
実験例6の場合:Y、MgCO、CaCO
実験例7の場合:Al(OH)、Y
実験例8の場合:Al(OH)、CaCO
実験例9の場合:Al(OH)、CaCO、MgCO
実験例10の場合:Al(OH)、Y
実験例11の場合:Al(OH)、MgCO、CaCO
実験例12の場合:Al(OH)、ZnO
実験例13の場合:Al(OH)、Y、ZnO、CaCO
実験例14の場合:Al(OH)、CaCO、MgCO
実験例15の場合:Al(OH)、Y
実験例16の場合:Al(OH)、CaCO
実験例17の場合:Al(OH)、CaCO、MgCO
実験例21の場合:Al(OH)、ZnO
実験例22の場合:Al(OH)、Y、ZnO、CaCO
実験例23の場合:Al(OH)、Y、ZnO、CaCO

なお、Al(OH)に代えて、Al、AlSi13を用いることもできる。
に代えて、YN、YSiOを用いることもできる。
CaCOに代えて、CaSiOを用いることもできる。
MgCOに代えて、MgSiOを用いることもできる。
<ポリカルボン酸系有機物の種類及び添加量>
実験例1~17、21~23の場合:ポリカルボン酸アンモニウム
なお、ポリカルボン酸系有機物として、ポリカルボン酸ナトリウム、ポリカルボン酸エーテルを用いることもできる。
そして、コーティング後の軟磁性金属粒子を、60℃、乾燥時間:60分の条件で乾燥した。
次いで、コーティングした軟磁性金属粉末を熱処理した。熱処理条件は、熱処理温度:150℃、昇温速度:5℃/min、保持時間:15分、不活性雰囲気(N)とした。
そして、1.0GPa~2.5GPaの成形圧でプレス成形して成形体(トロイダル形状(外径:8mm、内径:4.5mm、高さ:1.5mm))とした。この成形体を熱処理温度:センダストの場合は800℃、それ以外は500℃、昇温速度:5℃/min、保持時間:10分、不活性雰囲気(Ar)の条件で熱処理した。以上のようにして、実験例1~17、21~23に係る圧粉磁心を得た。
なお、プレス成形の成形条件とコーティングの量によって、粒界層の平均厚みTaと、連続層の平均長さをコントロールした。
(2)実験例18(no.18)
軟磁性金属粒子(原料粉末)には、表1に記載の粒子を使用した。
まず、軟磁性金属粉末を熱処理した。熱処理条件は、熱処理温度:250℃、昇温速度:5℃/min、保持時間:15分、不活性雰囲気(Ar)とした。
次に軟磁性金属粒子を、コーティング液を用いてコーティングした。コーティング液としては、アルミナゾル2g、Y1.5g、水5gを混合したものを用いた。そして、コーティング後の軟磁性金属粒子を、100℃、乾燥時間:60分の条件で乾燥した。
次いで、コーティングした軟磁性金属粉末を熱処理した。熱処理条件は、熱処理温度:250℃、昇温速度:5℃/min、保持時間:15分、不活性雰囲気(Ar)とした。
そして、2.0GPaの成形圧でプレス成形して成形体(トロイダル形状(外径:8mm、内径:4.5mm、高さ:1mm))とした。この成形体を熱処理温度:600℃、昇温速度:5℃/min、保持時間:15分、不活性雰囲気(Ar)の条件で熱処理した。以上のようにして、実験例18に係る圧粉磁心を得た。
(3)実験例19(no.19)
軟磁性金属粒子(原料粉末)には、表1に記載の粒子を使用した。
まず、軟磁性金属粉末を熱処理した。熱処理条件は、熱処理温度:250℃、昇温速度:5℃/min、保持時間:15分、不活性雰囲気(Ar)とした。
次に軟磁性金属粒子を、コーティング液を用いてコーティングした。コーティング液としては、水ガラス5g、水5gを混合したものを用いた。そして、コーティング後の軟磁性金属粒子を、100℃、乾燥時間:60分の条件で乾燥した。
次いで、コーティングした軟磁性金属粉末を熱処理した。熱処理条件は、熱処理温度:250℃、昇温速度:5℃/min、保持時間:15分、不活性雰囲気(Ar)とした。
そして、2.0GPaの成形圧でプレス成形して成形体(トロイダル形状(外径:8mm、内径:4.5mm、高さ:1mm))とした。この成形体を熱処理温度:600℃、昇温速度:5℃/min、保持時間:15分、不活性雰囲気(Ar)の条件で熱処理した。以上のようにして、実験例19に係る圧粉磁心を得た。
(4)実験例20(no.20)
軟磁性金属粒子(原料粉末)には、表1に記載の粒子を使用した。
まず、軟磁性金属粉末を熱処理した。熱処理条件は、熱処理温度:250℃、昇温速度:5℃/min、保持時間:15分、不活性雰囲気(Ar)とした。
次に軟磁性金属粒子を、コーティング液を用いてコーティングした。コーティング液としては、水ガラス5g、Al(OH)0.5g、MgCO0.5g、CaCO0.5g、水4gを混合したものを用いた。そして、コーティング後の軟磁性金属粒子を、100℃、乾燥時間:60分の条件で乾燥した。
次いで、コーティングした軟磁性金属粉末を熱処理した。熱処理条件は、熱処理温度:250℃、昇温速度:5℃/min、保持時間:15分、不活性雰囲気(Ar)とした。
そして、2.0GPaの成形圧でプレス成形して成形体(トロイダル形状(外径:8mm、内径:4.5mm、高さ:1mm))とした。この成形体を熱処理温度:600℃、昇温速度:5℃/min、保持時間:15分、不活性雰囲気(Ar)の条件で熱処理した。以上のようにして、実験例20に係る圧粉磁心を得た。
表1に各実験例の軟磁性金属粒子、粒界層の特性をまとめて記載する。なお、水ガラスの欄の「○」は、バインダーとしての水ガラスが含まれていることを意味し、この欄の「×」は、バインダーとしての水ガラスが含まれていないことを意味している。「Si化合物」の欄の「○」は、シリケート化合物が含まれていることを意味し、この欄の「×」は、シリケート化合物が含まれていないことを意味している。
平均厚みの欄は、「(2.9)粒界相6の厚みに関する要件」の欄で記載された方法で測定された平均厚みTaを示している。
ピーク合計個数の欄は、「(2.7)粒界相6のライン分析に関する要件」の欄で記載された方法で測定された合計個数の1ライン当たりの平均値を示している。
連続層長さの欄は、「(2.6)連続層21に関する第2要件」の欄で記載された方法で測定された経路の平均長さを示している。
気孔率差の欄は、「(2.10)気孔に関する要件」の欄で記載された方法で測定されたP1とP2の差を示している。
Figure 0007291506000001
2.鉄損の評価方法
測定装置(B-Hアナライザ、岩崎通信機株式会社製、型番SY-8218)により、下記の鉄損に関する修正steinmetz方程式を用いて、以下の条件にて鉄損を評価した。

コア条件:外径φ8mm-内径φ4.5mm 厚み1.5mm
エナメル線φ0.3 15巻 バイファイラ巻
Figure 0007291506000002
評価は以下のようにした。

ヒステリシス損失(kW/m
「☆」…600未満
「◎」…600以上700未満
「○」…700以上800未満
「△」…800以上900未満
「×」…900以上

渦電流損失(kW/m
「☆」…15未満
「◎」…15以上30未満
「○」…30以上50未満
「△」…50以上80未満
「×」…80以上
3.評価結果
評価結果を表1に示す。
実施例である実験例1~15は、下記要件(a)(b)(c-1)(c-2)(d)(e)を満たしている。
・要件(a):軟磁性金属粒子の平均粒子径が5μm以上30μm以下である。
・要件(b):粒界相は、珪酸ソーダを主成分とするガラスを含んでいる。
・要件(c-1):粒界相は、Al、Y、Zn、Ca、及びMgからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含んでいる。
・要件(c-2):粒界相は、シリケート化合物(Si結晶)を含んでいる。
・要件(d):粒界相が連続して形成され、互いに相違する5以上の連続層を有し((2.5)連続層21に関する第1要件に相当)、かつ連続層の平均長さが115μm以上である((2.6)連続層21に関する第2要件に相当)。
・要件(e):粒界相6について5本のライン分析をして、各ライン毎に、特定元素(Al、Y、Zn、Ca、Mg)のピークの個数を合計した合計個数の平均は、1ライン当たり15個~30個である((2.7)粒界相6のライン分析に関する要件に相当)。
なお、要件(c-1)及び(c-2)を満たすことは、Al、Y、Zn、Ca、及びMgからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、Siとの化合物であるSi化合物を含むことと同義である。
これに対して、比較例である実験例16~23は以下の要件を満たしていない。
実験例16では、要件(a)を満たしてない。
実験例17では、要件(a)を満たしてない。
実験例18では、要件(b)(c-2)を満たしてない。
実験例19では、要件(c-1)(c-2)(e)を満たしてない。
実験例20では、要件(c-2)を満たしてない。
実験例21では、要件(e)を満たしてない。
実験例22では、要件(d)を満たしてない。
実験例23では、要件(e)を満たしてない。
実施例である実験例1~15は、比較例である実験例16~23と比較して、ヒステリシス損失及び渦電流損失がバランスよく抑制されていた。
また、実施例である実験例1~15のうち、更に下記要件(f)を満たしている実験例6~15は、渦電流損失がより少なかった。
また、実施例である実験例6~15のうち、更に下記要件(g)を満たしている実験例11~15は、ヒステリシス損失がより少なかった。

・要件(f):粒界相の平均厚みTaは、10nm以上300nm以下である((2.9)粒界相6の厚みに関する要件に相当)
・要件(g):粒界相について、P1とP2の差は3%以下である((2.10)気孔に関する要件に相当)。
4.実施例の効果
本実施例の圧粉磁心は、ヒステリシス損失及び渦電流損失が共に少なかった。
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形又は変更が可能である。
本発明の圧粉磁心は、モーターコア、トランス、チョークコイル、ノイズ吸収体等の用途に特に好適に使用される。
1 …圧粉磁心
3 …軟磁性金属粒子
6 …粒界相
11 …一辺
13 …対向する辺
21 …連続層
35 …気孔
C1 …仮想円
C2 …仮想円
E1 …終点
LH …垂直二等分線
O1 …交点
O2 …交点
S(S1~S5)…始点
E(E1~E5)…終点
Ta …平均厚み
Tn …厚み
D1 …気孔が第3視野を占める面積割合Pが最大の場所
D2 …気孔が第3視野を占める面積割合Pが最小の場所
PS1 …プレス面
PS2 …プレス面

Claims (2)

  1. 平均粒子径5μm~30μmの軟磁性金属粒子と、粒界相と、を備えてなる圧粉磁心であって、
    前記粒界相は、
    (A)珪酸ソーダを主成分とするガラスと、
    (B)Al、Y、Zn、Ca、及びMgからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、Siとの化合物であるSi化合物と、を含んで構成されており、
    前記圧粉磁心の断面構造を100μm×100μmの正方形の第1視野で観察した際に、前記第1視野を画する正方形の一辺上で、前記粒界相が存在する場所を始点として、正方形の前記一辺と対向する辺まで前記粒界相が連続して形成され、互いに相違する5以上の連続層を有し、
    前記連続層の、前記一辺から前記対向する辺までの経路の平均長さが115μm以上であり、
    前記粒界相を直線距離20μmの長さにおいて0.2μm間隔でライン分析を5本おこない、
    各ライン毎に、Alのピークの個数、Yのピークの個数、Znのピークの個数、Caのピークの個数、及びMgのピークの個数を合計した合計個数を求めると、
    前記合計個数の平均は、1ライン当たり15個~30個であることを特徴とする圧粉磁心。
  2. 前記圧粉磁心の断面構造を150μm×150μmの正方形の第2視野で観察した際に、前記粒界相がH字状に配されている場所において、H字を構成する2本の縦線と1本の横線とが交差する2つの交点同士を直線で結んで、この直線の垂直二等分線を描いたときに、前記垂直二等分線が前記粒界相を横断する場所における横断幅を前記粒界相の厚みTnと定義し、
    前記粒界相の厚みを5カ所測定してTn(nは1~5までの整数)をそれぞれ求め、Tn(nは1~5までの整数)の平均である平均厚みTaを算出した場合に、
    前記平均厚みTaは、10nm以上300nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の圧粉磁心。
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