JP2020152816A - 難燃性スチレン系樹脂組成物、成形品、及び押出シート - Google Patents

難燃性スチレン系樹脂組成物、成形品、及び押出シート Download PDF

Info

Publication number
JP2020152816A
JP2020152816A JP2019052722A JP2019052722A JP2020152816A JP 2020152816 A JP2020152816 A JP 2020152816A JP 2019052722 A JP2019052722 A JP 2019052722A JP 2019052722 A JP2019052722 A JP 2019052722A JP 2020152816 A JP2020152816 A JP 2020152816A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
flame
monomer unit
resin composition
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019052722A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7219645B2 (ja
Inventor
野寺 明夫
Akio Nodera
明夫 野寺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
PS Japan Corp
Original Assignee
PS Japan Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by PS Japan Corp filed Critical PS Japan Corp
Priority to JP2019052722A priority Critical patent/JP7219645B2/ja
Publication of JP2020152816A publication Critical patent/JP2020152816A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7219645B2 publication Critical patent/JP7219645B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、薄肉成形でも高い難燃性を示し、耐熱性、耐衝撃性、及び成形性に優れた難燃性スチレン系樹脂組成物を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の難燃性スチレン系樹脂組成物は、(A)スチレン系単量体単位、不飽和カルボン酸系単量体単位、及び不飽和カルボン酸エステル系単量体単位を含有する共重合樹脂86.5〜99.3質量%、(B)無水マレイン酸変性エチレン−α−オレフィン共重合0.5〜10質量%、並びに(C)NOR型ヒンダードアミン系化合物0.2〜3.5質量%、を含有することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、難燃性スチレン系樹脂組成物、成形品、及び押出シートに関する。
スチレン系樹脂は、成形性、寸法安定性に加え、耐衝撃性に優れていることから、広範囲な用途に使用されている。中でも難燃性を付与したポリスチレン系樹脂組成物は、家電機器、OA機器を始め多岐にわたり使用されており、現在、リデュースや軽量化から製品の薄肉化が求められている。
従来から、スチレン系樹脂に難燃性を付与するために、種々の難燃剤が提案されており、中でも安価で物性バランスに優れているブロム系難燃剤が多く使用されている。しかしながら、近年ハロゲン含有有機化合物を規制する動きが欧州を中心に活発化していること等から、ブロム元素を含まない難燃樹脂、難燃樹脂組成物の需要が高まっている。
特表2002−507238号公報
こうしたブロム系難燃剤の代替難燃剤として、例えば、特許文献1には、特定のNOR型ヒンダードアミン系化合物を添加する技術が開示されている。NOR型ヒンダードアミン系化合物を添加したポリスチレンについて、難燃性を示し、事務機器のためのハウジングに適用が見いだされる(実施例16)との記載はあるものの、0.125インチ(約3.2mm)の厚さで難燃性が得られるものであり、高い難燃性が必要な肉厚の薄い事務機器や家電のハウジング、シートやフィルムへの適用は困難である。また、実施例15では、一般的に難燃性に有効なスチレン系樹脂のABSに特定のNOR型ヒンダードアミン化合物を添加しているが、この特定のNOR型ヒンダードアミン化合物のみだけでは、顕著な難燃性向上は見られず、既存のブロム系難燃剤が必要であることがわかる。また、特許文献1では、単に一般的なゴム変性ポリスチレン系樹脂に対して実施したにすぎず、スチレン系単量体単位、不飽和カルボン酸系単量体単位、及び不飽和カルボン酸エステル系単量体単位を含有する共重合樹脂や無水マレイン酸変性エチレン−α−オレフィン共重合をNOR型ヒンダードアミン化合物と用いたときの難燃性に対する有効性については全く開示されていない。
したがって、前記した従来技術では、肉厚0.125インチ未満の製品においても十分な難燃性を示す樹脂組成物を得ることができず、また、難燃性を高めるために他の難燃剤を併用したとしても多くの量を添加する必要があり、耐熱性や耐衝撃性が低下してしまい、製品化が困難である。
そこで、本発明の目的は、薄肉成形でも高い難燃性を示し、耐熱性、耐衝撃性、及び成形性に優れた難燃性スチレン系樹脂組成物、当該難燃性スチレン系樹脂組成物を含む成形品、並びに、当該難燃性スチレン系樹脂組成物を用いて形成された押出シートを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、スチレン系単量体単位、不飽和カルボン酸系単量体単位、及び不飽和カルボン酸エステル系単量体単位を含有する共重合樹脂と、無水マレイン酸変性エチレン−α−オレフィン共重合と、NOR型ヒンダードアミン系化合物とを特定の割合で含有することにより、驚くべきことに非常に高い難燃性を示し、耐熱性、耐衝撃性が高く、成形性も良好である難燃性スチレン系樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1](A)スチレン系単量体単位、不飽和カルボン酸系単量体単位、及び不飽和カルボン酸エステル系単量体単位を含有する共重合樹脂86.5〜99.3質量%、(B)無水マレイン酸変性エチレン−α−オレフィン共重合0.5〜10.0質量%、並びに(C)NOR型ヒンダードアミン系化合物0.2〜3.5質量%、を含有することを特徴とする、難燃性スチレン系樹脂組成物。
[2]前記(A)共重合樹脂が、スチレン系単量体単位、不飽和カルボン酸系単量体単位、及び不飽和カルボン酸エステル系単量体単位の合計含有量を100質量%としたとき、前記スチレン系単量体単位を67.0〜96.0質量%含有し、且つ、前記不飽和カルボン酸系単量体単位を4.0〜18.0質量%含有し、且つ、前記不飽和カルボン酸エステル系単量体単位を0.0〜15.0質量%含有する、[1]に記載の難燃性スチレン系樹脂組成物。
[3]前記(B)無水マレイン酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体の無水マレイン酸のグラフト化率が0.5〜2.0質量%である、[1]または[2]に記載の難燃性スチレン系樹脂組成物。
[4]更に、(D)リン系難燃剤及びブロム系難燃剤からなる群から選ばれる1つ以上の難燃剤を、前記(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計量100質量部に対して1.0〜10.0質量部含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の難燃性スチレン系樹脂組成物。
[5][1]〜[4]のいずれかに記載の難燃性スチレン系樹脂組成物を含む成形品。
[6][1]〜[4]のいずれかに記載の難燃性スチレン系樹脂組成物を用いて形成された非発泡押出シート。
[7][1]〜[4]のいずれかに記載の難燃性スチレン系樹脂組成物を用いて形成された発泡押出シート。
本発明によれば、薄肉成形でも高い難燃性を示し、耐熱性、耐衝撃性、及び成形性に優れた難燃性スチレン系樹脂組成物、当該難燃性スチレン系樹脂組成物を含む成形品、並びに、当該難燃性スチレン系樹脂組成物を用いて形成された押出シートを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[難燃性スチレン系樹脂組成物]
本実施形態の難燃性スチレン系樹脂組成物は、(A)スチレン系単量体単位、不飽和カルボン酸系単量体単位、及び不飽和カルボン酸エステル系単量体単位を含有する共重合樹脂86.5〜99.3質量%、(B)無水マレイン酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体0.5〜10質量%、並びに(C)NOR型ヒンダードアミン系化合物0.2〜3.5質量%を含有する。本実施形態の難燃性スチレン系樹脂組成物によれば、薄肉成形でも高い難燃性を示し、耐熱性、耐衝撃性、及び成形性に優れる。
なお、以下、難燃スチレン系樹脂組成物を樹脂組成物、(A)スチレン系単量体単位、不飽和カルボン酸系単量体単位、及び不飽和カルボン酸エステル系単量体単位を含有する共重合樹脂を(A)共重合樹脂または(A)成分、(B)無水マレイン酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体を(B)共重合体または(B)成分、(C)NOR型ヒンダードアミン系化合物を(C)成分とも称す。
<(A)共重合樹脂>
本実施形態において、スチレン系単量体単位、不飽和カルボン酸系単量体単位、及び不飽和カルボン酸エステル系単量体単位を含有する(A)共重合樹脂の含有量は、(A)共重合樹脂、(B)共重合体、及び(C)NOR型ヒンダードアミン系化合物の合計質量100質量%としたとき、86.5〜99.3質量%であり、好ましくは90.0〜98.0質量%、より好ましくは93.0〜97.0質量%である。当該含有量を86.5質量%以上とすることにより、耐熱性を向上させることができる。一方、当該含有量を99.3質量%以下とすることにより、(B)共重合体、及び(C)NOR型ヒンダードアミン系化合物の合計含有量を確保することができ、衝撃強度等を向上させることができる。
上記(A)共重合樹脂においては、スチレン系単量体単位、不飽和カルボン酸系単量体単位、及び不飽和カルボン酸エステル系単量体単位の合計含有量を100質量%としたとき、スチレン系単量体単位の含有量は67.0〜96.0質量%であることが好ましく、より好ましくは74.0〜92.0質量%であり、さらに好ましくは77.0〜87.0質量%の範囲である。当該含有量を67.0質量%以上とすることにより、樹脂の流動性を向上させることができ、一方、当該含有量を96.0質量%以下とすることにより、後述の不飽和カルボン酸系単量体単位及び不飽和カルボン酸エステル系単量体単位を所望量存在させ、これらの単量体単位による後述の効果が発現する。
本実施形態の樹脂組成物において、不飽和カルボン酸系単量体単位は耐熱性を向上させる役割を果たす。(A)共重合樹脂のスチレン系単量体単位、不飽和カルボン酸系単量体単位、及び不飽和カルボン酸エステル系単量体単位の合計含有量を100質量%としたとき、不飽和カルボン酸系単量体単位の含有量は4.0〜18.0質量%であることが好ましく、より好ましくは6.0〜16.0質量%であり、さらに好ましくは8.0〜13.0質量%である。当該含有量を4.0質量%以上とすることにより、耐熱性をより向上させることができ、一方、当該含有量を18.0質量%以下とすることにより、高い難燃性が発現できるとともに、また樹脂の流動性と機械的物性を向上させることができる。
一般に、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合樹脂を含むスチレン−メタクリル酸系樹脂は、工業的規模ではほとんどの場合、ラジカル重合で生産されているが、脱揮工程のゲル化反応を抑制するために、種々のアルコールを重合系中に添加して重合を行なう場合がある。
本実施形態において、不飽和カルボン酸エステル系単量体は、不飽和カルボン酸系単量体との分子間相互作用によって不飽和カルボン酸系単量体の脱水反応を抑制するために、及び、樹脂の機械的強度を向上させるために用いることができる。更には、不飽和カルボン酸エステル系単量体は、耐候性、表面硬度等の樹脂特性の向上にも寄与する。
スチレン系単量体単位、不飽和カルボン酸系単量体単位、及び不飽和カルボン酸エステル系単量体単位の合計含有量を100質量%としたとき、不飽和カルボン酸エステル系単量体単位の含有量は0.0〜15.0質量%であることが好ましく、より好ましくは1.0〜12.0質量%、さらに好ましくは2.0〜10.0質量%である。当該含有量を15.0質量%以下とすることにより、樹脂の流動性を向上させ、且つ吸水性を抑制することができる。また、不飽和カルボン酸エステル系単量体単位の含有量を0.0質量%とすることにより、耐熱性の向上やコスト削減をすることができるが、上記の観点から不飽和カルボン酸エステル系単量体単位の含有量を0.0質量%超とすることもできる。
なお、不飽和カルボン酸系単量体と不飽和カルボン酸エステル系単量体単位とが隣り合わせで結合した場合、高温、高真空の脱揮装置を用いると、条件によっては脱アルコール反応が起こり、六員環酸無水物が形成される場合がある。本実施形態の(A)共重合樹脂は、この六員環酸無水物を含んでいてもよいが、流動性を低下させることから、より少ない方が好ましい。
本実施形態において、(A)共重合樹脂中の、スチレン単量体単位、メタクリル酸単量体単位及びメタクリル酸メチル単量体単位の含有量は、それぞれ、プロトン核磁気共鳴(H−NMR)測定機で測定したスペクトルの積分比から求めることができる。また後述する(A)共重合樹脂における各々の単量体単位の含有量も、同様にプロトン核磁気共鳴測定にて求めることができる。
本実施形態において、(A)共重合樹脂は、スチレン系単量体単位、不飽和カルボン酸系単量体単位、及び不飽和カルボン酸エステル系単量体単位以外の単量体単位を、本発明の効果を損なわない範囲で更に含有することを排除しないが、典型的には、スチレン系単量体単位、不飽和カルボン酸系単量体単位、及び不飽和カルボン酸エステル系単量体単位からなる。
ここで、スチレン系単量体としては、特に限定されないが例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、イソブチルスチレン、t−ブチルスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン、インデン等のスチレン誘導体が挙げられる。スチレン系単量体としては、工業的観点からスチレンが好ましい。これらのスチレン系単量体は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、不飽和カルボン酸系単量体としては、特に限定されないが例えば、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。不飽和カルボン酸系単量体としては、耐熱性の向上効果が大きく、常温にて液状でハンドリング性に優れることからメタクリル酸が好ましい。これらの不飽和カルボン酸系単量体は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
さらに、不飽和カルボン酸エステル系単量体としては、特に限定されないが例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、耐熱性低下に対する影響が小さいことから(メタ)アクリル酸メチルが好ましい。これらの不飽和カルボン酸エステル系単量体は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本実施形態において、(A)共重合樹脂の重量平均分子量(Mw)は100,000〜350,000であることが好ましく、より好ましくは120,000〜300,000、さらに好ましくは140,000〜240,000である。重量平均分子量(Mw)が100,000〜350,000である場合、機械的強度と流動性とのバランスにより優れる樹脂が得られ、またゲル物の混入も少ない。なお、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用い、標準ポリスレン換算で得られる値である。
本実施形態において、(A)共重合樹脂のメルトフローレートは、0.3〜3.0g/10minであることが好ましく、より好ましくは0.4〜2.5g/10minであり、さらに好ましくは0.4〜2.0g/10minである。上記メルトフローレートが0.3g/10min以上である場合、流動性の観点で好ましく、3.0g/10min以下である場合、樹脂の機械的強度の観点で好ましい。なお、メルトフローレートは、ISO 1133に準拠して、200℃、荷重49Nにて測定される値である。
本実施形態において、(A)共重合樹脂の重合方法は、特に制限はないが例えば、ラジカル重合法として、塊状重合法又は溶液重合法を好適に採用できる。重合方法は、主に、重合原料(単量体成分)を重合させる重合工程と、重合生成物から未反応モノマー、重合溶媒等の揮発分を除去する脱揮工程とを備える。
以下、本実施形態に用いることができる(A)共重合樹脂の重合方法について説明する。
(A)共重合樹脂を得るために重合原料を重合させる際には、重合原料組成物中に、典型的には重合開始剤及び連鎖移動剤を含有させる。重合開始剤としては、有機過酸化物、例えば、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート等のペルオキシケタール類、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド等のジアルキルペルオキシド類、アセチルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド等のジアシルペルオキシド類、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート等のペルオキシジカーボネート類、t−ブチルペルオキシアセテート等のペルオキシエステル類、アセチルアセトンペルオキシド等のケトンペルオキシド類、t−ブチルヒドロペルオキシド等のヒドロペルオキシド類等を挙げることができる。分解速度と重合速度との観点から、なかでも、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンが好ましい。
連鎖移動剤としては、例えば、α−メチルスチレンリニアダイマー、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン等を挙げることができる。
重合方法としては、必要に応じて、重合溶媒を用いた溶液重合を採用できる。用いられる重合溶媒としては、芳香族炭化水素類、例えば、エチルベンゼン、ジアルキルケトン類、例えば、メチルエチルケトン等が挙げられ、それぞれ、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。重合生成物の溶解性を低下させない範囲で、他の重合溶媒、例えば脂肪族炭化水素類等を、芳香族炭化水素類に更に混合することができる。これらの重合溶媒は、全単量体100質量部に対して、25質量部を超えない範囲で使用するのが好ましい。全単量体100質量部に対して重合溶媒が25質量部を超えると、重合速度が著しく低下し、且つ得られる樹脂の機械的強度の低下が大きくなる傾向がある。重合前に、全単量体100質量部に対して5〜20質量部の割合で添加しておくことが、品質が均一化し易く、重合温度制御の点でも好ましい。
本実施形態において、(A)共重合樹脂を得るための重合工程で用いる装置は、特に制限はなく、スチレン系樹脂の重合方法に従って適宜選択すればよい。例えば、塊状重合による場合には、完全混合型反応器を1基、又は複数基連結した重合装置を用いることができる。また脱揮工程についても特に制限はなく、塊状重合で行う場合、最終的に未反応モノマーが、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下になるまで重合を進め、かかる未反応モノマー等の揮発分を除去するために、既知の方法にて脱揮処理する。例えば、フラッシュドラム、二軸脱揮器、薄膜蒸発器、押出機等の通常の脱揮装置を用いることができるが、滞留部の少ない脱揮装置が好ましい。なお、脱揮処理の温度は、通常、190〜280℃程度であり、メタクリル酸とメタクリル酸メチルとの隣接による六員環酸無水物の形成を抑制する観点から、190〜260℃がより好ましい。また脱揮処理の圧力は、通常0.13〜4.0kPa程度であり、好ましくは0.13〜3.0kPaであり、より好ましくは0.13〜2.0kPaである。脱揮方法としては、例えば加熱下で減圧して揮発分を除去する方法、及び揮発分除去の目的に設計された押出機等を通して除去する方法が望ましい。
<(B)無水マレイン酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体>
本実施形態において、難燃性スチレン系樹脂組成物は、(B)無水マレイン酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体を含有する。(B)無水マレイン酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレン−α−オレフィン共重合体を無水マレイン酸によりグラフト変性して得られるものである。
(B)共重合体は、(B)共重合体中の無水マレイン酸部分が(A)共重合樹脂と相溶しやすく、(A)共重合樹脂中で微分散化することにより、剛性の低下が少なく衝撃強度を向上させることができるとともに、発泡、非発泡押出シートに対しても(B)共重合体の配向が抑制できるためインパクト強度を向上させることができる。また、(B)共重合体中の無水マレイン酸部分が(A)共重合樹脂のメタクリル酸部分と相互作用するので、(A)共重合樹脂のゲル化を抑制し、発泡、非発泡押出のシートインパクト強度を向上させることができる。さらに、(B)共重合体が(A)共重合樹脂に相溶しにくいエチレン−α−オレフィン部分を有することで、耐熱性を有する(A)共重合樹脂の耐熱性に影響を与えにくく、組成物全体の耐熱性を確保することができるとともに、NOR型ヒンダードアミン系化合物の難燃性付与に有効である。
本実施形態において、(B)無水マレイン酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体の含有量は、難燃性スチレン系樹脂組成物100質量%に対して、0.5〜10.0質量%であり、好ましく1.0〜8.0質量%、より好ましくは、2.0〜6.0質量%である。
当該含有量を0.5質量%以上とすることにより、衝撃強度や発泡、非発泡押出のシートインパクトを向上させることができる。一方、当該含有量を10.0質量%以下とすることにより、剛性を向上させることができる。また、当該含有量が多すぎると、樹脂組成物中の(B)共重合体が表層に多く存在しやすくなり、表層での耐熱性が低下しやすくなる虞があったり、発泡、非発泡押出に対して、(B)共重合体が配向しやすくなりシートインパクト強度が低下する虞があったりする。しかし、当該含有量を10.0質量%以下とすることにより、耐熱性、衝撃強度や発泡、非発泡押出のシートインパクト強度を低下させることがない。
(B)無水マレイン酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体は、(A)共重合樹脂中で微分散することにより、耐熱性を大きく低下させることなく耐衝撃性を向上させることができる。また、(A)共重合樹脂のゲル防止にも有効であり、外観、成形性向上に有効である。耐熱性、耐衝撃性、外観、および成形性の観点から、特に(B)無水マレイン酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体の無水マレイン酸グラフト化率が、(B)無水マレイン酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体の含有量を100質量%としたとき、0.5〜2.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.5質量%である。無水マレイン酸がグラフトされていないと(A)共重合樹脂中に微分散できず衝撃強度が向上せず、多すぎると微分散しにくくなり衝撃強度が向上せず、さらに難燃性が低下してしまう。
(B)無水マレイン酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体のエチレン−α−オレフィン共重合体としては、特に限定されないが例えば、エチレン、及び、炭素数が3〜20、更に好ましくは炭素数が6〜12であるα−オレフィンからなるエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムが挙げられる。炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセン及びこれらの組み合わせが挙げられる。中でもヘキセン、4−メチルペンテン、オクテンが好ましく、特に好ましくはオクテン−1である。これらは、公知のメタロセン系触媒またはチーグラー系触媒により製造することがより好ましく、特にメタロセン系触媒により製造することが最も好ましい。また、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン(DMDT)、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペンル−2−ノルボルネン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエンなどの非共役ジエンのポリエンを共重合してもよい。
本実施形態において、(B)無水マレイン酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができ、例えば、エチレン−α−オレフィン共重合体を溶融させグラフトモノマーとしての無水マレイン酸を添加してグラフト共重合させる溶融変性法、あるいは溶媒に溶解させグラフトモノマーを添加してグラフト共重合させる溶液変性法等を用いることができる。
<(C)NOR型ヒンダードアミン系化合物>
(C)NOR型ヒンダードアミン系化合物の含有量は、(A)成分および(B)成分の合計量100質量%に対して、0.2〜3.5質量%であり、好ましくは0.2〜3.0質量%であり、より好ましくは0.5〜2.5質量%であり、さらに好ましくは1.0〜2.0質量%である。0.2質量%以上であれば、薄い肉厚の成形品で難燃性が得られる。また、3.5質量%を超えて添加しても、難燃性の向上は見られず、耐衝撃性や耐熱性、発泡特性が大きく低下する。
また、(C)NOR型ヒンダードアミン系化合物は、光安定化剤としてよく知られるものであり、添加することにより耐光性を付与することもできる。
(C)NOR(アルコキシイミノ基)型ヒンダードアミン系化合物のアルコキシイミノ基とは、ピペリジン環のイミノ基(>N−H)の部分が、NHのままであるN−H型、Hがメチル基で置き換わったN−メチル型に対して、N−アルコキシル基(>N−OR)の構造を有するものであり、N−アルコキシル基はアルキルパーオキシラジカル(RO・)を捕捉して容易にラジカルとなり難燃効果を発揮する。一方、N−メチル型ヒンダードアミン系化合物又はN−H型ヒンダードアミン系化合物の場合は、NOR型ヒンダードアミン系化合物の場合よりも難燃性が低下するおそれがある。
上記のアルコキシル基(−OR)は、アルキル基に酸素が結合したアルコキシル基に限定されず、Rは、アルキル基以外に、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基等を含む。
これらアルコキシル基の具体的な例としては、メトキシ基、プロポキシ基、シクロヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基が好ましく、特に、プロポキシ基、シクロヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基等が、分子量が大きくなることでシート及びフィルムからのブリードアウトを抑制できる点から、好ましい。
本実施形態で用いる(C)NOR型ヒンダードアミン系化合物としては、N−アルコキシル基(>N−OR)の構造を有するものであれば特に限定されない。具体例として、例えば、特表2002−507238号公報、国際公開第2005/082852号、国際公開第2008/003605号等に記載されているNOR型ヒンダードアミン系化合物等が挙げられる。
また、(C)NOR型ヒンダードアミン系化合物は、特に高分子タイプのものが好ましい。高分子タイプとは、一般に、オリゴマー状又はポリマー状化合物である。高分子タイプであると、成形加工のモールドデポジットが低減でき、難燃性と耐熱性の点に優れる。
上記高分子タイプのオリゴマー状又はポリマー状化合物は、繰り返し単位数としては、2〜100が好ましく、より好ましくは5〜80である。
NOR型ヒンダードアミン系化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる:1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−オクタデシルアミノピペリジン;ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート;2,4−ビス[(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ブチルアミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−s−トリアジン;ビス(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アジペート;4,4’−ヘキサメチレンビス(アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)と、2−クロロ−4,6−ビス(ジブチルアミノ)−s−トリアジンで末端キャップされた2,4−ジクロロ−6−[(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ブチルアミノ]−s−トリアジンとの縮合生成物であるオリゴマー性化合物;4,4’−ヘキサメチレンビス(アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)と、2−クロロ−4,6−ビス(ジブチルアミノ)−s−トリアジンで末端キャップされた2,4−ジクロロ−6−[(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ブチルアミノ]−s−トリアジンとの縮合性生成物であるオリゴマー性化合物;2,4−ビス[(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−ピペリジン−4−イル)−6−クロロ−s−トリアジン;過酸化処理した4−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンと、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジンと、シクロヘキサンと、N,N’−エタン−1,2−ジイルビス(1,3−プロパンジアミン)との反応生成物(N,N’,N’’’−トリス{2,4−ビス[(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)n−ブチルアミノ]−s−トリアジン−6−イル}−3,3’−エチレンジイミノジプロピルアミン);ビス(1−ウンデカノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カーボネート;1−ウンデシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン;ビス(1−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カーボネート。
市販品としては、BASF社製FlamestabNOR116FF、TINUVIN NOR371、TINUVIN XT850FF、TINUVIN XT855FF、TINUVIN PA123、株式会社ADEKA製LA−81等を例示することができる。
(C)NOR型ヒンダードアミン系化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<(D)リン系難燃剤、ブロム系難燃剤>
本実施形態の難燃性スチレン系樹脂組成物は、(D)リン系難燃剤及びブロム系難燃剤からなる群より選ばれる1つ以上の難燃剤を含んでいてもよい。リン系難燃剤及び/又はブロム系難燃剤を使用すると、(C)NOR型ヒンダードアミン系化合物との相乗効果により、更に高い難燃性を得ることができる。
リン系難燃剤とブロム系難燃剤は、単一化合物であっても混合物であってもかまわず、リン系難燃剤とブロム系難燃剤の両方を使うこともできる。
なお、以下、(D)リン系難燃剤及びブロム系難燃剤からなる群より選ばれる1つ以上の難燃剤を(D)成分とも称す。
(D)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計量100質量部に対して1.0〜10.0質量部であることが好ましく、より好ましくは1.5〜8.0質量部であり、更に好ましくは2.0〜5.0質量部である。1.0質量部より少ないと難燃性の向上の相乗効果が見られにくく、10.0質量部より多いと衝撃強度や耐熱性が低下する傾向がある。
−リン系難燃剤−
リン系難燃剤は、特に制限されず、従来公知の方法によって得られるもの、又は市販品を用いることができる。好ましくは、リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、又はホスホン酸エステル化合物であり、これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも(A)共重合樹脂との相溶性の良いリン酸エステル化合物、又はホスホン酸エステル化合物が最も好ましい。
リン系難燃剤は、特にリン含有量が3.0質量%以上のものであると、(C)NOR型ヒンダードアミン系化合物との難燃性の相乗効果が発現し、少ない添加量で高い難燃性を得ることができる。リン含有量が3.0質量%以上とは、リン系難燃剤中にリン元素が3.0質量%以上含まれるリン化合物のことをいう。
リン系難燃剤は、リン含有量が3.0質量%以上であると好ましく、7.0質量%以上であるとより好ましい。リン含有量が3.0質量%以上であると、(C)NOR型ヒンダードアミン系化合物と難燃性に対し相乗効果を発現するため、高い難燃性、すなわち、UL94垂直燃焼試験(UL94−V試験)において0.8mm厚みでV−2を得ることができる。
なお、リン含有量は、吸光光度法にて測定することができる。
また、リン系難燃剤としては、スチレン系樹脂中での分散が良好となる150℃〜300℃で液体、即ち、融点が300℃以下である難燃剤が好ましい。溶融混錬時に固体であるリン系難燃剤(例えば、融点を有さないリン系難燃剤)を用いると、溶融混練時にリン系難燃剤が液体状ではないため、(A)成分及び(B)成分に均一に分散せず、物性低下を起こしたり、難燃性が低下したりするおそれがある。
−−リン酸エステル化合物−−
リン酸エステル化合物としては、例えば、トリメチルホスフェート(TMP)、トリエチルホスフェート(TEP)、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシレニルホスフェート(TXP)、クレジルジフェニルホスフェート(CDP)等のモノマー型リン酸エステル系化合物、レゾルシノールビス−ジキシレニルホスフェート、レゾルシノールビス−ジフェニルホスフェート、ビスフェノールAビス−ジフェニルホスフェート(BADP)、ビスフェノールAビス−ジクレジルホスフェート、ビフェノールビス−ジフェニルホスフェート、ビフェノールビス−ジキシレニルホスフェート等の、オキシ塩化リンと二価のフェノール系化合物とフェノール(又はアルキルフェノール)との反応生成物である芳香族縮合リン酸エステル系化合物等が挙げられる。
これらの中でも好ましくは、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、レゾルシノールビス−ジキシレニルホスフェート、レゾルシノールビス−ジフェニルホスフェート、ビスフェノールAビス−ジフェニルホスフェート(BADP)、ビフェノールビス−ジフェニルホスフェート、ビフェノールビス−ジキシレニルホスフェートであり、より好ましくは、トリフェニルホスフェート(TPP)、レゾルシノールビス−ジキシレニルホスフェート、レゾルシノールビス−ジフェニルホスフェートであり、更に好ましくは、レゾルシノールビス−ジキシレニルホスフェートである。
また、リン酸エステル化合物は、耐熱性、成形加工時のモールドデポジットの低減等の観点で、縮合タイプである縮合リン酸エステル系化合物であることが好ましく、特に下記式(1)で表される芳香族縮合リン酸エステル系化合物が好ましい。
Figure 2020152816
式(1)中、R〜Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、又はハロゲン原子であり、R〜Rは同一でも異なっていてもよい。nは1〜30の整数であり、好ましくは0〜10の整数である。
アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第2ブチル、第3ブチル、アミル、第3アミル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、ノニル、デシル等が挙げられる。
シクロアルキル基としてはシクロヘキシル等が挙げられる。
アリール基としては、フェニル、クレジル、キシリル、2,6−キシリル、2,4,6−トリメチルフェニル、ブチルフェニル、ノニルフェニル等が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
更に、上記リン酸エステル化合物の中でも、(D)成分のリン系難燃剤としては、難燃性と透明性の両立という観点から、下記の化合物No.1、2、又は3のリン酸エステル化合物が好ましく、化合物No.2又は3がより好ましく、化合物No.2が更に好ましい。
化合物No.2(レゾルシノールビス−ジキシレニルホスフェート)としては、例えば、大八化学工業株式会社のPX−200等が、化合物No.3(レゾルシノールビス−ジフェニルホスフェート)としては、例えば、大八化学工業株式会社のCR−733S等が使用できる。
Figure 2020152816
−ホスファゼン化合物−
ホスファゼン化合物としては、例えば、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(メトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(エトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(n−プロポキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(イソ−プロポキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(n−ブトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(イソ−ブトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(m−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(o−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−エチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−n−プロピルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−イソ−プロピルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−t−ブチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(4−t−オクチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(2,3−ジメチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(2,4−ジメチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(2,5−ジメチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(2,6−ジメチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(イソ−プロポキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−ブトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(イソ−ブトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(m−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(o−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(m−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(o−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(m−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(o−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(イソ−プロポキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−ブトキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(イソ−ブトキシ)−1,3,5−トリス(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(4−t−ブチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(4−t−オクチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(4−t−ブチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(n−プロポキシ)−1,3,5−トリス(4−t−オクチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン等が挙げられる。
この中でも好ましくは、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(メトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(エトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(p−トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(メトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼンであり、より好ましくは、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(エトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5−トリス(エトキシ)−1,3,5−トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼンであり、更に好ましくは、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(フェノキシ)シクロトリホスファゼンである。
−ホスホン酸エステル−
ホスホン酸エステルとしては、例えば、下記式(2)で表されるものが挙げられる。
Figure 2020152816
式(2)中、R〜Rは、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭化水素基であり、R〜Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
炭化水素基としては、鎖状(直鎖及び分岐鎖のいずれでもよい)及び環状(単環、縮合多環、架橋環及びスピロ環のいずれでもよい)のいずれであってもよく、例えば、側鎖を有する環状炭化水素基が挙げられる。また、炭化水素基は、飽和及び不飽和のいずれでもよい。
炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基等が挙げられる。
上記式(2)で表されるホスホン酸エステルの具体例としては、下記式(2)−1〜(2)−8で表される化合物が挙げられる。
Figure 2020152816
−ブロム系難燃剤−
本実施形態において、ブロム系難燃剤は、通常この分野で使用されるブロム系難燃剤(臭素系難燃剤)を限定なく使用することができ、これらの中でも汎用されるものとして、ブロム化ビスフェノールA類、ブロム化ビスフェノールS類、ブロム化フェニルエーテル類、ブロム化ビスフェノールA系カーボネートオリゴマー、ブロム化ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ブロム化スチレン系、ブロム化フタルイミド系、ブロム化ベンゼン類、ブロム化シクロアルカン系、ブロム化イソシアヌレート類等の各難燃剤を挙げることができる。これらのブロム系難燃剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ブロム化ビスフェノールA類又はブロム化ビスフェノールS類は、1〜8個のブロム原子がビスフェノールA残基又はビスフェノールS残基のベンゼン環に結合した化合物を挙げることができ、その例としては、テトラブロムビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールAビス(2−ヒドロキシエチルエーテル)、テトラブロムビスフェノールAビス(アリルエーテル)、テトラブロムビスフェノールAビス(2−ブロムエチルエーテル)、テトラブロムビスフェノールAビス(3−ブロムプロピルエーテル)、テトラブロムビスフェノールAビス(2,3−ジブロムプロピルエーテル)、テトラブロムビスフェノールS、テトラブロムビスフェノールSビス(2−ヒドロキシエチルエーテル)及びテトラブロムビスフェノールSビス(2,3−ジブロムプロピルエーテル)等を挙げることができる。
市販されているブロム化ビスフェノールA類又はブロム化ビスフェノールS類としては、ブロモケム・ファーイースト(株)の「FR−1524」、グレート・レークス・ケミカル(株)の「Great Lakes BA−50」、「Great Lakes BA−50P」、「Great Lakes BA−59」、「Great Lakes BA−59P」及び「Great Lakes PE−68」、アルベマール(株)の「Saytex RB−100」、帝人化成(株)の「ファイヤガード2000」、「ファイヤガード3000」、「ファイヤガード3100」及び「ファイヤガード3600」、丸菱油化工業(株)の「ノンネンPR−2」、東ソー(株)の「フレームカット121R」、(株)鈴裕化学の「ファイアカットP−680」等を挙げることができる。
ブロム化フェニルエーテル類は、1個以上のブロム原子がフェニルエーテル基に結合した化合物であって、例えば、ビス(トリブロムフェノキシ)エタン、ヘキサブロムジフェニルエーテル、オクタブロムジフェニルエーテル、デカブロムジフェニルエーテル及びポリジブロムフェニレンオキサイド等を挙げることができる。
市販されているブロム化フェニルエーテル類難燃剤としては、ブロモケム・ファーイースト(株)の「FR−1210」及び「FR−1208」、グレート・レークス・ケミカル(株)の「Great Lakes FF−680」、「Great Lakes DE−83」、「Great Lakes DE−83R」及び「Great Lakes DE−79」、アルベマール(株)の「Saytex 102E」及び「Saytex 111」を挙げることができる。
ブロム化ビスフェノールA系カーボネートオリゴマーは、下記式(3)
Figure 2020152816
で示される基の重合物であって、オリゴマーとは、重合度(n)が1〜10のものをいう。
上記式(3)で示される基の重合物としては、例えば、下記式(4)又は(5)で示される難燃剤を挙げることができる。
Figure 2020152816
Figure 2020152816
上記式(4)の市販されている難燃剤としては、帝人化成(株)の「ファイヤガード7000」及び「ファイヤガード7500」を挙げることができる。
また、上記式(5)の市販されている難燃剤としては、グレート・レークス・ケミカル(株)の「Great Lakes BC−52」及び「Great Lakes BC−58」等を挙げることができる。
ブロム化ビスフェノールA系エポキシ樹脂としては、下記式(6)で示される化合物を挙げることができる。
Figure 2020152816
上記式(6)の市販されている難燃剤としては、重合度(n)に応じて種々の製品があり、ブロモケム・ファーイースト(株)の「F−2300」、「F−2300H」、「F−2400」及び「F−2400H」、大日本インキ化学工業(株)の「プラサームEP−16」、「プラサームEP−30」、「プラサームEP−100」及び「プラサームEP−500」、阪本薬品工業(株)の「SR−T1000」、「SR−T2000」、「SR−T5000」及び「SR−T20000」等を挙げることができる。
また、ブロム化ビスフェノールA系エポキシ樹脂の例として、上記式(6)の両末端のエポキシ基がブロック化剤で封鎖された化合物及び片側の末端エポキシ基がブロック化剤で封鎖された化合物を挙げることができる。そのブロック化剤としては、エポキシ基を開環付加する化合物であれば限定されないが、フェノール類、アルコール類、カルボン酸類、アミン類及びイソシアネート類等にブロム原子を含有するものを挙げることができ、その中でも難燃効果を向上させる点でブロム化フェノール類が好ましく、ジブロムフェノール、トリブロムフェノール、ペンタブロムフェノール、エチルジブロムフェノール、プロピルジブロムフェノール、ブチルジブロムフェノール及びジブロムクレゾール等を挙げることができる。
当該重合物の両末端のエポキシ基がブロック化剤で封鎖された難燃剤の例としては、下記式(7)又は(8)で示される難燃剤を挙げることができる。
Figure 2020152816
上記式(7)又は(8)の市販されている難燃剤としては、大日本インキ化学工業(株)の「プラサームEC−14」、「プラサームEC−20」及び「プラサームEC−30」、東都化成(株)の「TB−60」及び「TB−62」、阪本薬品工業(株)の「SR−T3040」及び「SR−T7040」等を挙げることができる。
また、当該重合物の片側の末端エポキシ基のみがブロック化剤で封鎖された難燃剤の例としては、下記式(9)又は(10)で示される難燃剤を挙げることができる。
Figure 2020152816
Figure 2020152816
上記式(9)又は(10)の市販されている難燃剤としては、大日本インキ化学工業(株)の「プラサームEPC−15F」、油化シェルエポキシ(株)の「E5354」等を挙げることができる。
ブロム化スチレン系難燃剤としては、スチレン骨格のベンゼン環に1〜5個のブロム原子が結合した下記式(11)のブロム化スチレンモノマー及び下記式(12)のその重合体(ポリマー)が挙げられ、好ましくは重合体である。
Figure 2020152816
Figure 2020152816
ブロム化スチレン系の具体例としては、例えば、ブロムスチレン及びブロム化ポリスチレンを挙げることができ、市販されているブロム化ポリスチレン系難燃剤としては、グレート・レークス・ケミカル(株)の「Great Lakes PDBS−10」及び「Great Lakes PDBS−80」等を挙げることができる。また、前記の難燃剤と製法は異なるが、フェロ(株)の「パイロチェック68PB」もブロム化ポリスチレン系難燃剤の例として挙げることができる。
ブロム化フタルイミド系難燃剤としては、フタルイミド基のベンゼン環に1〜4個のブロム原子が結合した化合物であって、例えば、モノブロムフタルイミド、ジブロムフタルイミド、トリブロムフタルイミド、テトラブロムフタルイミド、エチレンビス(モノブロムフタルイミド)、エチレンビス(ジブロムフタルイミド)、エチレンビス(トリブロムフタルイミド)及び下記式(13)のエチレンビス(テトラブロムフタルイミド)を挙げることができる。市販されている難燃剤としては、アルベマール(株)の「Saytex BT−93」及び「Saytex BT−93W」を挙げることができる。
Figure 2020152816
ブロム化ベンゼン類としては、1個以上のブロム原子がベンゼン環に結合した基からなる化合物であって、テトラブロムベンゼン、ペンタブロムベンゼン、ヘキサブロムベンゼン、ブロムフェニルアリルエーテル、ペンタブロムトルエン、ビス(ペンタブロムフェニル)エタン及びポリ(ペンタブロムベンジルアクリレート)等を挙げることができ、市販されている難燃剤としては、アルベマール(株)の「Saytex 8010」を挙げることができる。
ブロム化シクロアルカン系としては、1〜6個のブロム原子が炭素数6〜12のシクロアルカン(環状脂肪族炭化水素)に結合したブロム化炭化水素類が挙げられる。該シクロアルカンの例としては、シクロヘキサン及びシクロドデカンを挙げることができ、ブロム化シクロアルカンの例としては、ペンタブロムシクロヘキサン、ヘキサブロムシクロヘキサン、テトラブロムシクロドデカン、ペンタブロムシクロドデカン及びヘキサブロムシクロドデカン等を挙げることができる。
市販されているヘキサブロムシクロドデカンとしては、ブロモケム・ファーイースト(株)の「FR−1206」、アルベマール(株)の「Saytex HBCD」、グレート・レークス・ケミカル(株)の「Great LakesCD−75P」、(株)鈴裕化学の「ファイアカットP−880M」及び第一工業製薬(株)の「ピロガード SR−103」等を挙げることができる。
ブロム化イソシアヌレート類としては、炭素数2〜6のアルキル基(鎖状脂肪族炭化水素基)にブロム原子が結合したブロム化アルキル基とイソシアヌル酸残基が結合した化合物並びに1〜5個のブロム原子がフェノキシ基に結合したブロム化フェノキシ基とイソシアヌル酸残基が結合した化合物を挙げることができる。その具体例としては、トリス(モノブロムプロピル)イソシアヌレート、トリス(2,3−ジブロムプロピル)イソシアヌレート、トリス(トリブロムプロピル)イソシアヌレート、トリス(テトラブロムプロピル)イソシアヌレート、トリス(ペンタブロムプロピル)イソシアヌレート、トリス(ヘプタブロムプロピル)イソシアヌレート、トリス(オクタブロムブチル)イソシアヌレート、トリス(モノブロムフェノキシ)イソシアヌレート、トリス(ジブロムフェノキシ)イソシアヌレート、トリス(トリブロムフェノキシ)イソシアヌレート、トリス(ペンタブロムフェノキシ)イソシアヌレート、トリス(エチルモノブロムフェノキシ)イソシアヌレート及びトリス(プロピルジブロムフェノキシ)イソシアヌレート等を挙げることができる。
市販されているブロム化イソシアヌレート類としては、日本化成(株)の「タイク−6B」及び(株)鈴裕化学の「ファイアカットP−660」等を挙げることができる。
前記のような汎用されるブロム系難燃剤以外に、文献にも示され、ブロム系難燃剤メーカーのカタログ等にも示されているものも勿論使用することができる。それらのブロム系難燃剤としては、ブロム化フェノール類、ブロム化フェノキシトリアジン系、ブロム化アルカン系、ブロム化マレイミド系及びブロム化フタル酸類等を挙げることができる。
ブロム化フェノール類としては、1〜5個のブロム原子がフェノール基に結合した化合物であって、例えば、モノブロムフェノール、ジブロムフェノール、トリブロムフェノール、テトラブロムフェノール及びペンタブロムフェノール等を挙げることができる。
ブロム化フェノキシトリアジン系としては、1〜5個のブロム原子がフェノキシ基に結合し、そのブロム化フェノキシ基の1〜3個がトリアジン環に結合した化合物であって、例えば、モノ(トリブロムフェノキシ)トリアジン、ビス(モノブロムフェノキシ)トリアジン、ビス(トリブロムフェノキシ)トリアジン、トリス(ジブロムフェノキシ)トリアジン及びトリス(トリブロムフェノキシ)トリアジン等を挙げることができ、市販されている難燃剤としては、第一工業製薬(株)の「ピロガード SR−245」を挙げることができる。
ブロム化アルカン系としては、炭素数2〜6のアルカン(鎖状脂肪族炭化水素)にブロム原子が結合した化合物である。該アルカンの例としては、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン及びヘキサンを挙げることができ、ブロム化アルカンの例としては、ジブロムエタン、テトラブロムエタン、モノブロムプロパン、トリブロムプロパン、ヘキサブロムプロパン、オクタブロムプロパン、テトラブロムブタン、ヘキサブロムブタン、オクタブロムブタン、トリブロムペンタン、ペンタブロムペンタン、オクタブロムペンタン、ジブロムヘキサン、トリブロムヘキサン、テトラブロムヘキサン、ヘキサブロムヘキサン及びオクタブロムヘキサン等を挙げることができる。
ブロム化マレイミド系としては、1〜5個のブロム原子がフェニルマレイミド基に結合した化合物であって、例えば、モノブロムフェニルマレイミド、ジブロムフェニルマレイミド、トリブロムフェニルマレイミド及びペンタブロムフェニルマレイミド等を挙げることができる。
ブロム化フタル酸類としては、1〜4個のブロム原子が無水フタル酸に結合した化合物を挙げることができ、その例としては、モノブロム無水フタル酸、ジブロム無水フタル酸、トリブロム無水フタル酸及びテトラブロム無水フタル酸等を挙げることができる。
また、難燃性を更に高める目的で、三酸化アンチモン等の難燃助剤を併用することはよく行なわれることであるが、この難燃助剤の添加によって、本発明の効果に何ら影響を与えるものではない。
当該難燃助剤の添加量は、通常、(A)スチレン系単量体単位、不飽和カルボン酸系単量体単位、及び不飽和カルボン酸エステル系単量体単位を含有する共重合樹脂100質量部に対して、0.5〜10質量部使用されるが、物性等との関係で、好ましい使用量は1〜7質量部である。
<任意添加成分>
本実施形態の難燃性スチレン系樹脂組成物は、上記(A)〜(D)成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて従来公知の添加剤、加工助剤等の任意添加成分を添加することができる。これら添加剤、加工助剤等としては、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系化合物、リン系化合物、チオエーテル系化合物等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第3ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ジステアリル(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’−チオビス(6−第3ブチル−m−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第3ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−第3ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第3ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6―ジ第3ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−第2ブチル−6−第3ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第3ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第3ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、2−第3ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第3ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、ステアリル〔3−(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、テトラキス〔3−(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル〕メタン、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第3ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、ビス〔2−第3ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第3ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第3ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第3ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。
これらは2種以上を混合して使用してもよい。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリス(2,4−ジ第3ブチルフェニル)ホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス〔2−第3ブチル−4−(3−第3ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第3ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第3ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ第3ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−第3ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第3ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第3ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2’−メチレンビス(4,6−第3ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−第3ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第3ブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス第3ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−エチル−2−ブチルプロピレングリコールと2,4,6−トリ第3ブチルフェノールのホスファイト等が挙げられる。
これらは2種以上を混合して使用してもよい。
チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、チオジプロピオン酸ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類、及びペンタエリスリトールテトラ(β−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。
これらは2種以上を混合して使用してもよい。
耐候剤としては、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤等を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第3ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第3ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第3オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−第3オクチル−6−(ベンゾトリアゾリル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第3ブチル−5’−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第3ブチルフェニル−3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第3アミルフェニル−3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β、β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第3ブチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第3ブチルフェニル)−s−トリアジン等のトリアリールトリアジン類が挙げられる。
これらは2種以上を混合して使用してもよい。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノ−ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第3オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8−12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物が挙げられる。
これらは2種以上を混合して使用してもよい。
滑剤としては、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸、脂肪酸金属塩系等を用いることができる。
脂肪族アミド系滑剤としては、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスラウリル酸アミド等が挙げられる。
これらは2種以上を混合して使用してもよい。
脂肪族エステル系滑剤としては、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、エルカ酸メチル、ベヘニン酸メチル、ラウリル酸ブチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ヤシ脂肪酸オクチルエステル、ステアリン酸オクチル、牛脂脂肪酸オクチルエステル、ラウリル酸ラウリル、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニル、ミリスチン酸セチル、炭素数28〜30の直鎖状で分岐がない飽和モノカルボン酸(以下モンタン酸と略記する)とエチレングリコールのエステル、モンタン酸とグリセリンのエステル、モンタン酸とブチレングリコールのエステル、モンタン酸とトリメチロールエタンのエステル、モンタン酸とトリメチロールプロパンのエステル、モンタン酸とペンタエリスリトールのエステル、グリセリンモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンセスクイオレート、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート等が挙げられる。
これらは2種以上を混合して使用してもよい。
脂肪酸系滑剤のうち飽和脂肪酸としては、具体的には、ラウリン酸(ドデカン酸)、イソデカン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸(テトラデカン酸)、ペンタデシル酸、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)、マルガリン酸(ヘプタデカン酸)、ステアリン酸(オクタデカン酸)、イソステアリン酸、ツベルクロステアリン酸(ノナデカン酸)、2−ヒドロキシステアリン酸、アラキジン酸(イコサン酸)、ベヘン酸(ドコサン酸)、リグノセリン酸(テトラドコサン酸)、セロチン酸(ヘキサドコサン酸)、モンタン酸(オクタドコサン酸)、メリシン酸等が挙げられ、特に、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、12−ヒドロキシステアリン酸及びモンタン酸等が挙げられる。
脂肪酸系滑剤のうち不飽和脂肪酸としては、具体的には、ミリストレイン酸(テトラデセン酸)、パルミトレイン酸(ヘキサデセン酸)、オレイン酸(cis−9−オクタデセン酸)、エライジン酸(trans−9−オクタデセン酸)、リシノール酸(オクタデカジエン酸)、バクセン酸(cis−11−オクタデセン酸)、リノール酸(オクタデカジエン酸)、リノレン酸(9,11,13−オクタデカトリエン酸)、エレステアリン酸(9,11,13−オクタデカトリエン酸)、ガドレイン酸(イコサン酸)、エルカ酸(ドコサン酸)、ネルボン酸(テトラドコサン酸)等が挙げられる。
これらは2種以上を混合して使用してもよい。
脂肪酸金属塩系滑剤としては、上記脂肪酸系滑剤の脂肪酸のリチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、及びアルミニウム塩等が挙げられる。
これらは2種以上を混合して使用してもよい。
帯電防止剤としては、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性系、グリセリン脂肪酸モノエステル等の脂肪酸部分エステル類等を用いることができる。
具体的には、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−(3−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)メチルアンモニウムメソスルフェート、(3−ラウリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムメチルスルフェート、ステアロアミドプロピルジメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウム硝酸塩、ステアロアミドプロピルジメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムリン酸塩、カチオン性ポリマー、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキル硝酸エステル塩、リン酸アルキルエステル塩、アルキルホスフェートアミン塩、ステアリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ジグリセリン脂肪酸エステル、アルキルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミン脂肪酸モノエステル、アルキルジエタノールアミド、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリエーテルブロックコポリマー、セチルベタイン、ヒドロキシエチルイミダゾリン硫酸エステル等が挙げられる。
これらは2種以上を混合して使用してもよい。
充填剤としては、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭素繊維、マイカ、ワラストナイト、ウィスカ等を用いることができる。
その他、ブロッキング防止剤、着色剤、ブルーミング防止剤、表面処理剤、抗菌剤、目ヤニ防止剤(特開2009−120717号公報に記載のシリコーンオイル、高級脂肪族カルボン酸のモノアミド化合物、及び高級脂肪族カルボン酸と1価〜3価のアルコール化合物とを反応させてなるモノエステル化合物等の目ヤニ防止剤)等を添加してもよい。
添加剤及び加工助剤等の任意添加成分の合計含有量は、難燃性スチレン系樹脂組成物中、0.05〜5質量%としてよい。
本実施形態の難燃性スチレン系樹脂組成物は、実質的に(A)成分〜(C)成分、任意の(D)成分、及び任意添加成分のみからなっていてもよい。また、(A)成分〜(C)成分、任意の(D)成分のみ、又は(A)成分〜(C)成分、任意の(D)成分、及び任意添加成分のみからなっていてもよい。
「実質的に(A)成分〜(C)成分、任意の(D)成分、及び任意添加成分のみからなる」とは、難燃性スチレン系樹脂組成物の95〜100質量%(好ましくは98〜100質量%)が(A)成分〜(C)成分、任意の(D)成分であるか、又は(A)成分〜(C)成分、任意の(D)成分、及び任意添加成分であることを意味する。
尚、本実施形態の難燃性スチレン系樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で(A)成分〜(C)成分、任意の(D)成分、及び任意添加成分の他に不可避不純物を含んでいてもよい。
[難燃性スチレン系樹脂組成物の製造方法]
本実施形態の難燃性スチレン系樹脂組成物は、各成分を任意の方法で溶融混練することによって製造することができる。例えば、ヘンシェルミキサーに代表される高速撹拌機、バンバリーミキサーに代表されるバッチ式混練機、単軸又は二軸の連続混練機、ロールミキサー等を単独で、又は組み合わせて用いる方法が挙げられる。混練の際の加熱温度は、通常、180〜260℃の範囲で選択される。
[難燃性スチレン系樹脂組成物の物性]
<難燃性>
本実施形態の難燃性スチレン系樹脂組成物の難燃性は、UL94垂直燃焼試験(UL94−V試験)において、規格内である、即ち、V−0〜V−2の難燃性クラスであることが好ましい。また、UL94水平燃焼(UL94−HB試験)において、HB規格内である75mm/分以下の燃焼速度であることが望ましく、また、自動車難燃規格(FMVSS302)などの規格を考慮すると85mm/分以下が好ましい。
なお本開示で、難燃性は、後述の[実施例]の項に記載の方法で評価することができる。
<シャルピー衝撃強さ(ノッチ有り)>
本実施形態の難燃性スチレン系樹脂組成物のシャルピー衝撃強度は、1kJ/m以上であることが好ましく、より好ましくは1.5kJ/m以上である。1kJ/m未満であると、押出シート製造時シートが破損するなどして製造上の懸念がある。
なお本開示で、シャルピー衝撃強度は、ISO 179に準拠してノッチ有りで測定される値である。
<ビカット軟化温度>
本実施形態の難燃性スチレン系樹脂組成物のビカット軟化温度は、105℃以上であることが好ましく、より好ましくは110℃以上である。105℃未満であると、使用中、温度が上昇し、製品が変形してしまう恐れがある。
なお本開示で、ビカット軟化温度は、ISO 306に準拠して、荷重49N、昇温速度50℃/時間の条件により測定される値である。
[非発泡および発泡押出シート]
本実施形態の非発泡押出シート及び発泡押出シートは、上述した本発明に係る実施形態の耐熱スチレン系樹脂組成物を用いて形成される。非発泡及び発泡押出シートの製造方法としては、通常知られている方法を用いることができる。
非発泡押出シートの製造方法としては、Tダイを取り付けた短軸又は二軸押出成形機で、一軸延伸機又は二軸延伸機でシートを引き取る装置を用いる方法等を挙げることができ、発泡押出シートの製造方法としては、Tダイ又はサーキュラーダイを備え付けた押出発泡成形機を用いる方法等を挙げることができる。
発泡押出シートにおいて、押出発泡時の発泡剤及び発泡核剤としては、通常用いられる物質を使用できる。発泡剤としてはブタン、ペンタン、フロン、二酸化炭素、水等を使用することができ、ブタンが好適である。また発泡核剤としてはタルク等を使用できる。
発泡押出シートにおいては、厚さは0.5mm〜5.0mmであることが好ましく、見かけ密度は50g/L〜300g/Lであることが好ましく、また、坪量は80g/m〜300g/mであることが好ましい。また、発泡押出シートは、特に限定されないが例えば、スチレン系樹脂(ポリスチレン樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、ポリブタジエン等のゴム成分から成るハイインパクトポリスチレン(耐衝撃性ポリスチレン)等)と多層化して用いてもよく、それに加えて、又はそれに替えて該スチレン系樹脂以外の樹脂と多層化して用いてもよい。スチレン系樹脂以外の樹脂としては、特に限定されないが例えば、ポリプロピレン(PP)樹脂、PP/ポリスチレン(PS)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ナイロン樹脂等が挙げられる。
一方、非発泡押出シートにおいては、例えば、厚さは0.1〜1.5mm程度であることが剛性及び熱成形サイクルの観点から好ましい。また、非発泡押出シートは通常の低倍率のロール延伸のみで形成してもよいが、特にロールで1.3倍〜7倍程度延伸した後、テンターで1.3〜7倍程度延伸したシートが強度の面で好ましい。また、非発泡押出シートは、特に限定されないが例えば、スチレン系樹脂(ポリスチレン樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体又はポリブタジエン等のゴム成分から成るハイインパクトポリスチレン等)と多層化して用いてもよく、それに加えて、又はそれに替えて該スチレン系樹脂以外の樹脂と多層化して用いてもよい。スチレン系樹脂以外の樹脂としては、特に限定されないが例えば、PP樹脂、PP/PS系樹脂、PET樹脂、ナイロン樹脂等が挙げられる。
[成形品]
本実施形態の成形品は、難燃性スチレン系樹脂組成物を得るために用いる上記の溶融混練成形機により製造することができる。あるいは、成形品は、得られた難燃性スチレン系樹脂組成物のペレットを原料として、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、真空成形法、及び発泡成形法等により、製造することができる。
本実施形態の難燃性スチレン系樹脂組成物を含む成形品、好ましくは射出成形品(射出圧縮を含む)は、複写機、ファックス、テレビ、ラジオ、テープレコーダー、ビデオデッキ、パソコン、プリンター、電話機、情報端末機、冷蔵庫、電子レンジ等のOA機器、家庭電化製品、電気・電子機器のハウジングや各種部品、発泡断熱材、絶縁フィルム等に好適に用いられる。
また、本実施形態の成形品は、厚さが0.8mm以下となる部分を有していてもよい。厚さが0.8mm以下を有する成形品であっても高い難燃性を示し、本実施形態の成形品をより好適に適用することができる。なお、当該厚さは、0.2〜0.8mmであることが好ましい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明の実施形態を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
<測定及び評価方法>
各実施例及び比較例で得られた樹脂組成物の物性の測定及び評価は、次の方法に基づいて行った。
(1)(A)共重合樹脂中のスチレン単量体単位、メタクリル酸単量体単位、及びメタクリル酸メチル単量体単位の含有量
プロトン核磁気共鳴(H−NMR)測定機で測定したスペクトルの積分比から、樹脂組成を定量した。
・試料調製:樹脂ペレット30mgをd−DMSO 0.75mLに60℃で4〜6時間加熱溶解した。
・測定機器:日本電子(株)製 JNM ECA−500
・測定条件:測定温度 25℃、観測核 H、積算回数 64回、繰り返し時間 11秒。
(スペクトルの帰属)
ジメチルスルホキシド重溶媒中で測定されたスペクトルの帰属について、0.5〜1.5ppmのピークは、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、及び六員環酸無水物のα−メチル基の水素、1.6〜2.1ppmのピークはポリマー主鎖のメチレン基の水素、3.5ppmのピークはメタクリル酸メチルのカルボン酸エステル(−COOCH)の水素、12.4ppmのピークはメタクリル酸のカルボン酸の水素である。また、6.5〜7.5ppmのピークはスチレンの芳香族環の水素である。なお、本実施例及び比較例の樹脂では六員環酸無水物の含有量が少ないため、本測定方法では通常定量化は難しい。
(2)(A)共重合樹脂の重量平均分子量
(A)共重合樹脂の重量平均分子量を、下記の条件や手順で測定した。
・試料調製:テトラヒドロフランに樹脂を約0.05質量%で溶解させた。
・測定条件
機器:TOSOH HLC−8220GPC(ゲルパーミエイション・クロマトグラフィー)
カラム :super HZM−H
温度 :40℃
キャリア :THF 0.35mL/min
検出器 :RI、UV:254nm
検量線 :TOSOH製の標準PSを使用して作成。
(3)ビカット軟化温度
ISO 306に準拠して、(A)共重合樹脂、樹脂組成物のビカット軟化温度(℃)を測定した。荷重は49N、昇温速度は50℃/時間とした。
(4)(A)共重合樹脂のメルトフローレート(MFR)
(A)共重合樹脂のメルトマスフローレート(g/10分)は、ISO 1133に準拠して測定した(200℃、荷重49N)。
(5)難燃性
後述の方法で作製した試験片(b)(大きさ:127mm×12.7mm、厚み:1.5mm又は0.8mm)を用いて、50W試験炎によるUL94垂直燃焼試験(UL94−V試験)に準拠する方法で難燃性を評価した。
上記試験片(b)にガスバーナーの炎を当てて、その燃焼の程度を評価した。
なお、難燃等級には、UL94−V試験によって分類される難燃性のクラスを示した。全ての試験片で試験は5本行い、判定した。分類方法の概要は以下のとおりである。
V−0:5本の合計燃焼時間50秒以下、最大燃焼時間10秒以下、滴下綿着火なし
V−1:5本の合計燃焼時間250秒以下、最大燃焼時間30秒以下、滴下綿着火なし
V−2:5本の合計燃焼時間250秒以下、最大燃焼時間30秒以下、滴下綿着火あり
Not V:UL94の規格外
さらに同じ試験片を使用し、UL94水平燃焼試験によって燃焼速度(mm/分)を測定した。
(6)シャルピー衝撃強さ
後述の方法で作製した試験片(b)について、ISO 179に準拠して、シャルピー衝撃強度(kJ/m)をノッチ有りで測定した。
[非発泡押出特性及び非発泡押出物特性]
(7)非発泡押出シートのインパクト強度(kgf・cm)の測定
樹脂組成物を用いて所定の条件で作製した0.1mm厚の延伸したシートにつき、東洋精機社製のフィルムインパクトテスター(A121807502)でASTM D3420に準拠して、インパクト強度を測定した。
[発泡押出物特性]
(8)発泡押出シートのインパクト強度(kgf・cm)の測定
樹脂組成物を用いて所定の条件で作製した発泡シートにつき、東洋精機社製のフィルムインパクトテスター(A121807502)でASTM D3420に準拠して、インパクト強度を測定した。
実施例で用いた各材料は下記の通りである。
[(A)共重合樹脂]
(樹脂(a−1))
スチレン71.3質量部、メタクリル酸7.3質量部、メタクリル酸メチル6.4質量部、エチルベンゼン15.0質量部、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.025質量部から成る重合原料組成液を、1.1リットル/時の速度で、容量が4リットルの完全混合型反応器に、次いで、2リットルの層流型反応器から成る重合装置に、次いで、未反応モノマー、重合溶媒等の揮発分を除去する単軸押出機を連結した脱揮装置に、連続的に順次供給し、樹脂を調製した。重合工程における重合反応条件は、完全混合反応器は重合温度122℃、層流型反応器は重合温度120〜142℃とした。脱揮された未反応ガスは−5℃の冷媒を通した凝縮器で凝縮し、未反応液として回収した。最終重合液中のポリマー分は、重合液を215℃、2.5kPaの減圧下で30分間乾燥後、式[(乾燥後の試料質量/乾燥前の試料質量)×100%]により測定したところ、65.6質量%であり、重量平均分子量は214,000(21.4万)であった。得られた樹脂の組成比、特性等を表1に示す。
(樹脂(a−2)、(a−3))
表1に示す樹脂の性状になるように組成や重合温度条件等を調整し、樹脂(a−1)と同様の方法で(A)共重合樹脂を得た。
Figure 2020152816
[(B)無水マレイン酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体]
(樹脂(b−1))
ビッグケミー社製、Scona TSPOE 1002 GBLL(無水マレイン酸エチレン・オクテンコポリマー、無水マレイン酸含有率1.5質量%)を用いた。
(樹脂(b−2))
ビッグケミー社製、Scona TSPOE 1002 CMB1−2(無水マレイン酸エチレン・オクテンコポリマー、無水マレイン酸含有率0.55質量%)を用いた。
[(C)成分]
・NOR型ヒンダードアミン系化合物A(c−1)[BASF社製、FlamestabNOR116FF、高分子タイプ]
・NOR型ヒンダードアミン系化合物B(c−2)[BASF社製、TINUVIN PA123]
[(D)成分]
・ホスホン酸エステル化合物[丸菱油化工業株式会社製、ノンネン73、融点100℃、リン含有量10質量%]
・リン酸エステル:レゾルシノールビス−ジキシレニルホスフェート[大八化学工業株式会社製、PX−200、融点92℃、リン含有量9.0質量%、縮合タイプ]
・ブロム系難燃剤:ビス(ペンタブロムフェニル)エタン[アルベマール株式会社、Saytex8010]
[添加剤]
(フェノール系酸化防止剤)
・3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル[BASF社製、Irganox1076]
(リン系酸化防止剤)
・トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト[BASF社製、Irgafos168]
[実施例1〜13]
表2に示す組成比で各成分と(A)〜(C)成分100質量部に対して、Irganox1076とIrgafos168を0.2質量部ずつ添加後、予備混合した。得られた予備混合物を一括混合し、二軸押出機(東芝機械社製、TEM−26SS)を用い、180℃〜230℃の範囲で溶融押出を行い、混練物として難燃性スチレン系樹脂組成物のペレットを得た。この際、スクリュー回転数は150rpm、吐出量は10kg/hrであった。
このようにして得られたペレットを、寸法127mm×12.7mm×厚み1.5mm又は0.8mmのピンゲート平板金型を備え付けた日本製鋼所社製の射出成形機を用い、シリンダー温度220℃、金型温度50℃、射出圧力(ゲージ圧40〜60MPa)、射出速度(パネル設定値)50%、射出時間/冷却時間=5sec/20secで成形して試験片(b)を作製し、各物性の測定及び評価を実施した。結果を表2に示す。
さらに得られた樹脂ペレットを用いて、非発泡押出物(非発泡押出シート)と発泡押出物(発泡押出シート、及び成形品としてトレー容器)とを作製し、上記の方法にて物性等を評価した。
非発泡押出シートについては、創研社製の25mmφ単軸シート押出機を用いて、樹脂溶融ゾーンの温度を220〜230℃とし、厚み約0.7mmのシートを作製した。更にこのシートを東洋精機社製の二軸延伸装置EX6−S1で140℃、10分加熱後、シートの押出方向に5倍、シートの押出の直角方向に1.5倍延伸して約0.1mmのシートを作製した。
発泡押出シートは、圧縮成形で作製した厚み約0.18mmのシートにオートクレーブ中で液化炭酸ガスを10mPaで30分間含浸させ、その後117℃に加熱、加熱時間を適宜調整し、約10倍の発泡体シートを作製した。
得られた非発泡押出物及び発泡押出物について、上記の方法にて性状及び物性の評価を行い、その結果をそれぞれ以下の表2に示す。
[比較例1〜4]
比較例1〜4は、表2に示すように組成を変更したこと以外は実施例と同様にして、樹脂組成物のペレットを得た。各物性の測定及び評価の結果を表2に示す。
Figure 2020152816
表2に示すように、実施例1〜13は、高い難燃性(0.8mm厚V−2、または燃焼速度85mm/分以下)を有し、高い耐熱性があり、シートおよび発泡体に関しても耐衝撃性に優れることがわかる。また、共重合比率を最適化することにより高い難燃性が得られる。さらに(D)成分としてのリン系難燃剤等を添加することにより、相乗効果により高い難燃性が得られる。
比較例1について、表2に示すように、(C)NOR型ヒンダードアミン系化合物を添加しないと難燃性は得られず、所定量より多いと難燃性が低下し、耐熱性や耐衝撃性の低下が大きいことがわかる。
比較例2について、表2に示すように、(C)NOR型ヒンダードアミン系化合物の含有量が所定量より多いと耐熱性、耐衝撃性、非発泡および発泡押出シートのシートインパクトの低下が大きいことがわかる。
比較例3、4について、表2に示すように、(B)共重合体を添加しないと耐衝撃性が低くなり、所定量より多いと難燃性、耐熱性が低下し、発泡性が低下するため発泡シートインパクトの低下が大きいことがわかる。
本発明の樹脂組成物を含む成形品は、デスクトップパソコンやノート型パソコン等のコンピューター部品、携帯電話部品、電気・電子機器、携帯情報端末、家電製品部品、自動車部品、産業資材、及び建築材等の肉厚の薄い製品、シート、フィルム、発泡ボード等に好適に使用することができる。

Claims (7)

  1. (A)スチレン系単量体単位、不飽和カルボン酸系単量体単位、及び不飽和カルボン酸エステル系単量体単位を含有する共重合樹脂86.5〜99.3質量%、(B)無水マレイン酸変性エチレン−α−オレフィン共重合0.5〜10.0質量%、並びに(C)NOR型ヒンダードアミン系化合物0.2〜3.5質量%、を含有することを特徴とする、難燃性スチレン系樹脂組成物。
  2. 前記(A)共重合樹脂が、スチレン系単量体単位、不飽和カルボン酸系単量体単位、及び不飽和カルボン酸エステル系単量体単位の合計含有量を100質量%としたとき、前記スチレン系単量体単位を67.0〜96.0質量%含有し、且つ、前記不飽和カルボン酸系単量体単位を4.0〜18.0質量%含有し、且つ、前記不飽和カルボン酸エステル系単量体単位を0.0〜15.0質量%含有する、請求項1に記載の難燃性スチレン系樹脂組成物。
  3. 前記(B)無水マレイン酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体の無水マレイン酸のグラフト化率が0.5〜2.0質量%である、請求項1または2に記載の難燃性スチレン系樹脂組成物。
  4. 更に、(D)リン系難燃剤及びブロム系難燃剤からなる群から選ばれる1つ以上の難燃剤を、前記(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計量100質量部に対して1.0〜10.0質量部含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の難燃性スチレン系樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の難燃性スチレン系樹脂組成物を含む成形品。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の難燃性スチレン系樹脂組成物を用いて形成された非発泡押出シート。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の難燃性スチレン系樹脂組成物を用いて形成された発泡押出シート。
JP2019052722A 2019-03-20 2019-03-20 難燃性スチレン系樹脂組成物、成形品、及び押出シート Active JP7219645B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019052722A JP7219645B2 (ja) 2019-03-20 2019-03-20 難燃性スチレン系樹脂組成物、成形品、及び押出シート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019052722A JP7219645B2 (ja) 2019-03-20 2019-03-20 難燃性スチレン系樹脂組成物、成形品、及び押出シート

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020152816A true JP2020152816A (ja) 2020-09-24
JP7219645B2 JP7219645B2 (ja) 2023-02-08

Family

ID=72557842

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019052722A Active JP7219645B2 (ja) 2019-03-20 2019-03-20 難燃性スチレン系樹脂組成物、成形品、及び押出シート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7219645B2 (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002507238A (ja) * 1997-06-30 2002-03-05 チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド 難燃剤組成物
JP2008143976A (ja) * 2006-12-07 2008-06-26 Denki Kagaku Kogyo Kk フィルム基材及び粘着テープ
JP2014101403A (ja) * 2012-11-16 2014-06-05 Ps Japan Corp 耐熱スチレン系樹脂組成物、押出シート及び成形品
JP2014169391A (ja) * 2013-03-04 2014-09-18 Ps Japan Corp 耐熱スチレン系樹脂組成物、押出シート及び成形品
JP2014201605A (ja) * 2013-04-01 2014-10-27 Psジャパン株式会社 耐熱スチレン系樹脂組成物、押出シート及び成形品
JP2014533323A (ja) * 2011-11-15 2014-12-11 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se 難燃剤としてのp−ピペラジン化合物
JP2015510023A (ja) * 2012-03-16 2015-04-02 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se 難燃剤としてのnor−hals化合物

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002507238A (ja) * 1997-06-30 2002-03-05 チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド 難燃剤組成物
JP2008143976A (ja) * 2006-12-07 2008-06-26 Denki Kagaku Kogyo Kk フィルム基材及び粘着テープ
JP2014533323A (ja) * 2011-11-15 2014-12-11 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se 難燃剤としてのp−ピペラジン化合物
JP2015510023A (ja) * 2012-03-16 2015-04-02 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se 難燃剤としてのnor−hals化合物
JP2014101403A (ja) * 2012-11-16 2014-06-05 Ps Japan Corp 耐熱スチレン系樹脂組成物、押出シート及び成形品
JP2014169391A (ja) * 2013-03-04 2014-09-18 Ps Japan Corp 耐熱スチレン系樹脂組成物、押出シート及び成形品
JP2014201605A (ja) * 2013-04-01 2014-10-27 Psジャパン株式会社 耐熱スチレン系樹脂組成物、押出シート及び成形品

Also Published As

Publication number Publication date
JP7219645B2 (ja) 2023-02-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6586339B2 (ja) 樹脂組成物
JP6689715B2 (ja) ポリプロピレン系積層体、並びにそれを含む成形体及びその製造方法
CN108602995B (zh) 阻燃性聚烯烃系树脂组合物
JP7097221B2 (ja) 難燃性スチレン系樹脂組成物及び成形品
JP5503071B1 (ja) 難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物、成形品及び難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物の製造方法
JP7062501B2 (ja) 難燃性スチレン系樹脂組成物及び成形品
JP2020152816A (ja) 難燃性スチレン系樹脂組成物、成形品、及び押出シート
JP7264650B2 (ja) 難燃性発泡体
JP7460485B2 (ja) スチレン系樹脂組成物及び成形品
JP7264649B2 (ja) 難燃性押出シート
JP7335782B2 (ja) 難燃剤マスターバッチ、及びそれを使用した難燃性スチレン系樹脂組成物
JP7241513B2 (ja) 難燃性スチレン系樹脂組成物、及び成形品
JP6283294B2 (ja) ポリオレフィン系難燃性樹脂組成物
JP7409958B2 (ja) 難燃性スチレン系樹脂組成物及び成形品
JP7477388B2 (ja) スチレン系樹脂組成物及び成形品
JP6392614B2 (ja) 樹脂組成物
US20230099634A1 (en) Styrene-based resin composition, flame retardant styrene-based resin composition, molded body, and patch antenna
JP7429517B2 (ja) スチレン系樹脂発泡体
JP7195867B2 (ja) 耐熱スチレン系樹脂組成物、非発泡押出シート、発泡押出シート及び成形品
JP7338984B2 (ja) スチレン系樹脂組成物および成形品
JP2022069320A (ja) 難燃性スチレン系樹脂組成物、及び成形品
KR102548685B1 (ko) 투명성이 우수한 난연성 폴리프로필렌 수지 조성물
JP2023073143A (ja) 再生難燃性スチレン系樹脂組成物及び成形品
JP2024062286A (ja) スチレン系樹脂組成物及び成形品
JP2023020703A (ja) 難燃性スチレン系樹脂組成物及び成形品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211220

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221031

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221108

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230104

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230124

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230127

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7219645

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150