JP7241513B2 - 難燃性スチレン系樹脂組成物、及び成形品 - Google Patents
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また、透明性のある難燃ポリスチレンに関する技術として、特許文献3に透明ゴム変性スチレン系樹脂に特定のブロム系難燃剤を添加する技術が開示されている。ただし、多量の難燃剤を添加する必要があるため、衝撃強度の低下が大きく、ゴム変性スチレン系樹脂のみに使用可能な技術であり、1.5mm未満の難燃性も得られていない。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[2]更に、(C)リン系難燃剤及びブロム系難燃剤からなる群より選ばれる1つ以上の難燃剤を、前記(A)成分と(B)成分との合計量100重量部に対して1.0~10重量部含む、上記[1]に記載の難燃性スチレン系樹脂組成物。
[3]前記(C)成分としてリン系難燃剤を含み、当該(C)成分が、リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、及びホスホン酸エステル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つである、上記[1]または[2]に記載の難燃性スチレン系樹脂組成物。
[4]前記(B)NOR型ヒンダードアミン系化合物がオリゴマー状又はポリマー状である、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載の難燃性スチレン系樹脂組成物。
[5]上記[1]~[4]のいずれか1項に記載の難燃性スチレン系樹脂組成物を含むことを特徴とする、成形品。
本発明の難燃性スチレン系樹脂組成物は、(A)ポリスチレン97.0~99.8質量%と、(B)NOR型ヒンダードアミン系化合物0.2~3.0質量%とを含有することを特徴とする。
本実施形態において、(A)ポリスチレンの含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量%に対して、97~99.8質量%であり、好ましくは97.5~99.5質量%、より好ましくは98~99質量%である。当該含有量を97質量%以上とすることにより、耐熱性、耐衝撃性を向上させることができ、当該含有量を99.8質量%以下にすることにより、相対的に後述の(B)成分の含有量が増え、難燃性を向上させることができる。
また、本発明の効果を損なわない範囲で有れば、(A)ポリスチレンは、上記のスチレン系単量体と、スチレン系単量体と共重合可能な別の単量体と、を含む共重合体であってもよく、好ましくは、スチレン系単量体を60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%含む共重合体である。
本実施形態において、(B)NOR型ヒンダードアミン系化合物の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量%に対して、0.2~3.0質量%であり、好ましくは0.5~2.5質量%であり、より好ましくは1.0~2.0質量%である。当該含有量を0.2質量%以上とすることにより、薄い肉厚の成形品で難燃性が得ることができる。また、当該含有量を3.0質量%以下とすることにより、透明性を向上させることができる。
また、(B)NOR型ヒンダードアミン系化合物は、光安定化剤としてよく知られるものであり、添加することにより耐光性を付与することもできる。
これらアルコキシル基の具体的な例としては、メトキシ基、プロポキシ基、シクロヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基が好ましく、特に、プロポキシ基、シクロヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基等が、分子量が大きくなることでシート及びフィルムからのブリードアウトを抑制できる点から、好ましい。
上記高分子タイプのオリゴマー状又はポリマー状化合物は、繰り返し単位数としては、2~100が好ましく、より好ましくは5~80である。
2,4-ビス[(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-ピペリジン-4-イル)-6-クロロ-s-トリアジン;過酸化処理した4-ブチルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンと、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジンと、シクロヘキサンと、N,N’-エタン-1,2-ジイルビス(1,3-プロパンジアミン)との反応生成物(N,N’,N’’’-トリス{2,4-ビス[(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)n-ブチルアミノ]-s-トリアジン-6-イル}-3,3’-エチレンジイミノジプロピルアミン);ビス(1-ウンデカノキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カーボネート;1-ウンデシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-オン;ビス(1-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カーボネート。
(B)NOR型ヒンダードアミン系化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の難燃性スチレン系樹脂組成物は、さらに、(C)リン系難燃剤及びブロム系難燃剤からなる群より選ばれる1つ以上の難燃剤を含んでいてもよい。リン系難燃剤及び/又はブロム系難燃剤を使用すると、(B)NOR型ヒンダードアミン系化合物との相乗効果により、更に高い難燃性を得ることができる。
なお、難燃性スチレン系樹脂組成物中の(C)成分の含有量は、難燃性スチレン系樹脂組成物をクロロホルムに溶解させ、GS-MS分析することで測定することができる。
リン系難燃剤は、特に制限されず、従来公知の方法によって得られるもの、又は市販品を用いることができる。好ましくは、リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、又はホスホン酸エステル化合物であり、これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも(A)ポリスチレンとの相溶性の良いリン酸エステル化合物、又はホスホン酸エステル化合物が最も好ましい。
なお、リン含有量は、吸光光度法にて測定することができる。
リン酸エステル化合物としては、例えば、トリメチルホスフェート(TMP)、トリエチルホスフェート(TEP)、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシレニルホスフェート(TXP)、クレジルジフェニルホスフェート(CDP)等のモノマー型リン酸エステル系化合物、レゾルシノールビス-ジキシレニルホスフェート、レゾルシノールビス-ジフェニルホスフェート、ビスフェノールAビス-ジフェニルホスフェート(BADP)、ビスフェノールAビス-ジクレジルホスフェート、ビフェノールビス-ジフェニルホスフェート、ビフェノールビス-ジキシレニルホスフェート等の、オキシ塩化リンと二価のフェノール系化合物とフェノール(又はアルキルフェノール)との反応生成物である芳香族縮合リン酸エステル系化合物等が挙げられる。
これらの中でも好ましくは、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、レゾルシノールビス-ジキシレニルホスフェート、レゾルシノールビス-ジフェニルホスフェート、ビスフェノールAビス-ジフェニルホスフェート(BADP)、ビフェノールビス-ジフェニルホスフェート、ビフェノールビス-ジキシレニルホスフェートであり、より好ましくは、トリフェニルホスフェート(TPP)、レゾルシノールビス-ジキシレニルホスフェート、レゾルシノールビス-ジフェニルホスフェートであり、更に好ましくは、レゾルシノールビス-ジキシレニルホスフェートである。
アリール基としては、フェニル、クレジル、キシリル、2,6-キシリル、2,4,6-トリメチルフェニル、ブチルフェニル、ノニルフェニル等が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
ホスファゼン化合物としては、例えば、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(メトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(エトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(n-プロポキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(イソ-プロポキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(n-ブトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(イソ-ブトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(p-トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(m-トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(o-トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(4-エチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(4-n-プロピルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(4-イソ-プロピルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(4-t-ブチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(4-t-オクチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(2,3-ジメチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(2,4-ジメチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(2,5-ジメチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(2,6-ジメチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(メトキシ)-1,3,5-トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(エトキシ)-1,3,5-トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(n-プロポキシ)-1,3,5-トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(イソ-プロポキシ)-1,3,5-トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(n-ブトキシ)-1,3,5-トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(イソ-ブトキシ)-1,3,5-トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(メトキシ)-1,3,5-トリス(p-トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(メトキシ)-1,3,5-トリス(m-トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(メトキシ)-1,3,5-トリス(o-トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(エトキシ)-1,3,5-トリス(p-トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(エトキシ)-1,3,5-トリス(m-トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(エトキシ)-1,3,5-トリス(o-トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(n-プロポキシ)-1,3,5-トリス(p-トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(n-プロポキシ)-1,3,5-トリス(m-トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(n-プロポキシ)-1,3,5-トリス(o-トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(イソ-プロポキシ)-1,3,5-トリス(p-トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(n-ブトキシ)-1,3,5-トリス(p-トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(イソ-ブトキシ)-1,3,5-トリス(p-トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(メトキシ)-1,3,5-トリス(4-t-ブチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(メトキシ)-1,3,5-トリス(4-t-オクチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(n-プロポキシ)-1,3,5-トリス(4-t-ブチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(n-プロポキシ)-1,3,5-トリス(4-t-オクチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン等が挙げられる。
ホスホン酸エステルとしては、例えば、下記式(2)で表されるものが挙げられる。
炭化水素基としては、鎖状(直鎖及び分岐鎖のいずれでもよい)及び環状(単環、縮合多環、架橋環及びスピロ環のいずれでもよい)のいずれであってもよく、例えば、側鎖を有する環状炭化水素基が挙げられる。また、炭化水素基は、飽和及び不飽和のいずれでもよい。
本実施形態において、ブロム系難燃剤は、通常この分野で使用されるブロム系難燃剤(臭素系難燃剤)を限定なく使用することができ、これらの中でも汎用されるものとして、ブロム化ビスフェノールA類又はブロム化ビスフェノールS類、ブロム化ビスフェノールA系カーボネートオリゴマー、ブロム化ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ブロム化スチレン系、ブロム化シクロアルカン系、ブロム化イソシアヌレート類等の各難燃剤を挙げることができる。これらのブロム系難燃剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、透明性と分散性の観点より、融点300℃以下のものが好ましい。
また、上記式(5)の市販されている難燃剤としては、グレート・レークス・ケミカル(株)の「Great Lakes BC-52」及び「Great Lakes BC-58」等を挙げることができる。
前記のような汎用されるブロム系難燃剤以外に、文献にも示され、ブロム系難燃剤メーカーのカタログ等にも示されているものも勿論使用することができる。それらのブロム系難燃剤としては、ブロム化フェノール類、ブロム化フェノキシトリアジン系、ブロム化アルカン系、ブロム化マレイミド系及びブロム化フタル酸類等を挙げることができる。
ブロム化フェノール類としては、1~5個のブロム原子がフェノール基に結合した化合物であって、例えば、モノブロムフェノール、ジブロムフェノール、トリブロムフェノール、テトラブロムフェノール及びペンタブロムフェノール等を挙げることができる。
また、難燃性を更に高める目的で、三酸化アンチモン等の難燃助剤を併用することはよく行なわれることであるが、この難燃助剤の添加によって、本発明の効果に何ら影響を与えるものではない。
当該難燃助剤の添加量は、通常、(A)ポリスチレン100質量部に対して、0.5~10質量部使用されるが、物性等との関係で、好ましい使用量は1~7質量部である。
本実施形態の難燃性スチレン系樹脂組成物は、上記(A)~(C)成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて従来公知の添加剤、加工助剤等の任意添加成分を添加することができる。これら添加剤、加工助剤等としては、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系化合物、リン系化合物、チオエーテル系化合物等が挙げられる。
これらは2種以上を混合して使用してもよい。
これらは2種以上を混合して使用してもよい。
これらは2種以上を混合して使用してもよい。
紫外線吸収剤としては、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、5,5’-メチレンビス(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)等の2-ヒドロキシベンゾフェノン類;2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ第3ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾ-ル、2-(2’-ヒドロキシ-3’-第3ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾ-ル、2-(2’-ヒドロキシ-5’-第3オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2,2’-メチレンビス(4-第3オクチル-6-(ベンゾトリアゾリル)フェノール)、2-(2’-ヒドロキシ-3’-第3ブチル-5’-カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の2-(2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4-ジ第3ブチルフェニル-3,5-ジ第3ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、2,4-ジ第3アミルフェニル-3,5-ジ第3ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル-3,5-ジ第3ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2-エチル-2’-エトキシオキザニリド、2-エトキシ-4’-ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル-α-シアノ-β、β-ジフェニルアクリレート、メチル-2-シアノ-3-メチル-3-(p-メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2-(2-ヒドロキシ-4-オクトキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジ第3ブチルフェニル)-s-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-4,6-ジフェニル-s-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-プロポキシ-5-メチルフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジ第3ブチルフェニル)-s-トリアジン等のトリアリールトリアジン類が挙げられる。
これらは2種以上を混合して使用してもよい。
これらは2種以上を混合して使用してもよい。
これらは2種以上を混合して使用してもよい。
これらは2種以上を混合して使用してもよい。
これらは2種以上を混合して使用してもよい。
これらは2種以上を混合して使用してもよい。
具体的には、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-N-(3-ドデシルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)メチルアンモニウムメソスルフェート、(3-ラウリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムメチルスルフェート、ステアロアミドプロピルジメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウム硝酸塩、ステアロアミドプロピルジメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウムリン酸塩、カチオン性ポリマー、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキル硝酸エステル塩、リン酸アルキルエステル塩、アルキルホスフェートアミン塩、ステアリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ジグリセリン脂肪酸エステル、アルキルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミン脂肪酸モノエステル、アルキルジエタノールアミド、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリエーテルブロックコポリマー、セチルベタイン、ヒドロキシエチルイミダゾリン硫酸エステル等が挙げられる。
これらは2種以上を混合して使用してもよい。
「実質的に(A)成分~(B)成分及び任意添加成分のみからなる」とは、難燃性スチレン系樹脂組成物の95~100質量%(好ましくは98~100質量%)が(A)成分~(B)成分であるか、又は(A)成分~(B)成分及び任意添加成分であることを意味する。
尚、本実施形態の難燃性スチレン系樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で(A)成分~(B)成分及び任意添加成分の他に不可避不純物を含んでいてもよい。
<難燃性>
本実施形態の難燃性スチレン系樹脂組成物の難燃性は、UL94垂直燃焼試験(UL94-V試験)において、規格内である、即ち、V-0~V-2の難燃性クラスであることが好ましい。また、UL94水平燃焼(UL94-HB試験)において、HB規格内である75mm/分以下の燃焼速度であることが望ましく、また、自動車難燃規格(FMVSS302)などの規格を考慮すると85mm/分以下が好ましい。
なお本開示で、難燃性は、後述の[実施例]の項に記載の方法で評価することができる。
本実施形態の難燃性スチレン系樹脂組成物のシャルピー衝撃強度は、10kJ/m2以上であることが好ましく、より好ましくは15kJ/m2以上である。10kJ/m2以上とすることにより、成形品の耐衝撃性を確保することができ、例えば、シート、フィルム、発泡、射出成形品等の用途での衝撃等による使用中の破損を避けることができる。
なお本開示で、シャルピー衝撃強度は、ISO 179に準拠して測定される値である。
本実施形態の難燃性スチレン系樹脂組成物のビカット軟化温度は、86℃以上であることが好ましく、より好ましくは88℃以上である。86℃以上とすることによい、使用中の温度上昇下において製品が変形することを避けることができる。
なお本開示で、ビカット軟化温度は、ISO 306に準拠して、荷重49N、昇温速度50℃/時間の条件により測定される値である。
本実施形態の難燃性スチレン系樹脂組成物のヘイズは、20%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下である。20%超であると、視認性や意匠性に劣ってしまい、また、射出成型品など肉厚部で白く濁った状態となる。なお本開示で、ヘイズはJIS K7136に準拠して測定される値である。
本実施形態の難燃性スチレン系樹脂組成物は、各成分を任意の方法で溶融混練することによって製造することができる。例えば、ヘンシェルミキサーに代表される高速撹拌機、バンバリーミキサーに代表されるバッチ式混練機、単軸又は二軸の連続混練機、ロールミキサー等を単独で、又は組み合わせて用いる方法が挙げられる。混練の際の加熱温度は、通常、180~260℃の範囲で選択される。
本実施形態の難燃性スチレン系樹脂組成物は、上記の溶融混練成形機により、あるいは、得られた難燃性スチレン系樹脂組成物のペレットを原料として、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、真空成形法、及び発泡成形法等により、成形品を製造することができる。
本実施形態の難燃性スチレン系樹脂組成物を含む成形品、好ましくは射出成形品(射出圧縮を含む)は、少なくとも肉厚が1.5mm未満の部分を有することが好ましい。また、当該成形品は、複写機、ファックス、テレビ、ラジオ、テープレコーダー、ビデオデッキ、パソコン、プリンター、電話機、情報端末機、冷蔵庫、電子レンジ等のOA機器、家庭電化製品、電気・電子機器のハウジングや各種部品、発泡断熱材、絶縁フィルム等に好適に用いられる。
各実施例及び比較例で得られた樹脂組成物の物性の測定及び評価は、次の方法に基づいて行った。
後述の方法で作製した試験片(a)(大きさ:127mm×12.7mm、厚み:0.8mm)を用いて、50W試験炎によるUL94垂直燃焼試験(UL94-V試験)に準拠する方法で難燃性を評価した。
上記試験片(a)にガスバーナーの炎を当てて、その燃焼の程度を評価した。
なお、難燃等級には、UL94-V試験によって分類される難燃性のクラスを示した。全ての試験片で試験は5本行い、判定した。分類方法の概要は以下のとおりである。
V-0:5本の合計燃焼時間50秒以下、最大燃焼時間10秒以下、滴下綿着火なし
V-1:5本の合計燃焼時間250秒以下、最大燃焼時間30秒以下、滴下綿着火なし
V-2:5本の合計燃焼時間250秒以下、最大燃焼時間30秒以下、滴下綿着火あり
Not V:UL94の規格外
さらに同じ試験片を使用し、UL94水平燃焼試験によって燃焼速度(mm/分)を測定した
後述の方法で作製した試験片(b)について、ISO 179に準拠して、シャルピー衝撃強度(kJ/m2)をノッチなしで測定した。
後述の方法で作製した試験片(b)について、ISO 306に準拠して、樹脂組成物のビカット軟化温度(℃)を測定した。荷重は49N、昇温速度は50℃/時間とした。
後述の方法で作製した試験片(b)について、JIS K7136に準拠して、樹脂組成物のヘイズ(%)を測定した。
後述の射出成形方法にて試験片(b)を10ショット作製後、金型への付着物を目視にて確認した。
後述の表において、目視で付着物が確認できなかったものを「無」、油滴、油膜状の付着物が確認できたものを「有」と表記した。
<(A)成分>
・ポリスチレン(GPPS-A):
MFR2.2のポリスチレン(GPPS)を用いた。
・ポリスチレン(GPPA-B):
MFR7.0のポリスチレン(GPPS)を用いた。
なお、実施例で用いた樹脂のメルトフローレートは、ISO 1133に準拠して測定した(200℃、荷重49N)。
・スチレン系樹脂(HIPS):
MFR7.0の高衝撃ポリスチレン(HIPS)であるゴム変性スチレン系樹脂を用いた。該HIPSは、ゴム状重合体としてポリブタジエンを使用しており、ゴム状重合体の含有量8.6質量%であった。
・NOR型ヒンダードアミン系化合物A(NOR型-A)[BASF社製、FlamestabNOR116FF、高分子タイプ]
・NOR型ヒンダードアミン系化合物B(NOR型-D)[株式会社ADEKA製、LA-81]
<ヒンダードアミン系化合物>
・N-メチル型ヒンダードアミン系化合物[株式会社ADEKA製、LA-52]
・N-H型ヒンダードアミン系化合物[株式会社ADEKA製、LA-57]
・ホスホン酸エステル化合物[丸菱油化工業株式会社製 ノンネン73、融点100℃、リン含有量10質量%]
・リン酸エステルA(化合物No.2):レゾルシノールビス-ジキシレニルホスフェート[大八化学工業株式会社製、PX-200、融点92℃、リン含有量9.0質量%、縮合タイプ]
・リン酸エステルB:トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート[大八化学工業株式会社製CR-900、融点180℃、リン含有量2.9質量%、モノマータイプ]
・ブロム系難燃剤:ブロム化ビスフェノールA系カーボネートオリゴマー[帝人化成株式会社ファイヤガード7500]
(フェノール系酸化防止剤)
・3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル[BASF社製、Irganox1076]
(リン系酸化防止剤)
・トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト[BASF社製株式会社、Irgafos168]
表1に示す組成比で各成分と(A)~(B)成分100質量部に対して、フェノール系酸化防止剤(Irganox1076)とリン系酸化防止剤(Irgafos168)を0.2質量部ずつ添加後、予備混合した。得られた予備混合物を一括混合し、二軸押出機(東芝機械社製、TEM-26SS)を用い、180℃~220℃の範囲で溶融押出を行い、混練物として難燃性スチレン系樹脂組成物のペレットを得た。この際、スクリュー回転数は150rpm、吐出量は10kg/hrであった。
このようにして得られたペレットを、寸法127mm×12.7mm×0.8mm厚みのピンゲート平板金型(a)、またはISOダンベル金型(b)を備え付けた日本製鋼所社製の射出成形機を用い、シリンダー温度220℃、金型温度50℃、射出圧力(ゲージ圧40-60MPa)、射出速度(パネル設定値)50%、射出時間/冷却時間=5sec/20secで成形して試験片(a)および(b)を作製し、各物性の測定及び評価を実施した。結果を表1に示す。
比較例1~7は、表2に示すように組成を変更したこと以外は実施例と同様にして、樹脂組成物のペレットを得た。各物性の測定及び評価の結果を表2に示す。
比較例4、5について、表2に示すように、ヒンダードアミン系化合物がNOR型ではないと難燃性は得られないことがわかる。
比較例6について、表2に示すように、リン系難燃剤が所定量より多いと衝撃強度と耐熱性の低下が大きくなる。
比較例7について、表2に示すように、リン系難燃剤のみでは高い難燃性は得られない。
Claims (3)
- (A)ポリスチレンと、(B)NOR型ヒンダードアミン系化合物と、(C)リン系難燃剤及びブロム系難燃剤からなる群より選ばれる1つ以上の難燃剤とを含有し、かつ前記(C)リン系難燃剤は、ホスホン酸エステル化合物であり、
前記(A)ポリスチレンのメルトフローレートは、1g/10分以上7.0g/10分未満である難燃性スチレン系樹脂組成物であって、
前記(A)ポリスチレン及び前記(B)NOR型ヒンダードアミン系化合物の合計量100質量%に対して、前記(A)ポリスチレンの含有量は97~99.8質量%であり、前記(B)NOR型ヒンダードアミン系化合物の含有量は0.2~3質量%であり
前記(C)リン系難燃剤及びブロム系難燃剤からなる群より選ばれる1つ以上の難燃剤を、前記(A)ポリスチレン及び前記(B)NOR型ヒンダードアミン系化合物の合計量100重量部に対して1.0~10重量部含み、
ヘイズ値が20%以下であることを特徴とする難燃性スチレン系樹脂組成物。 - 前記(B)NOR型ヒンダードアミン系化合物がオリゴマー状又はポリマー状である、請求項1に記載の難燃性スチレン系樹脂組成物。
- 請求項1又は2に記載の難燃性スチレン系樹脂組成物を含むことを特徴とする、成形品。
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