JP7335782B2 - 難燃剤マスターバッチ、及びそれを使用した難燃性スチレン系樹脂組成物 - Google Patents
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従来から、スチレン系樹脂に難燃性を付与する難燃剤が、様々提案されており、中でも安価で物性バランスに優れているブロム系難燃剤が多く使用されている。しかしながら、近年ハロゲン含有有機化合物を規制する動きが欧州を中心に活発化していること等から、ブロム元素を含まない難燃性樹脂、難燃性樹脂組成物の需要が高まっている。
一方、近年、経済性又は作業環境性等の点から、スチレン系樹脂を難燃化する方法として、高濃度の難燃剤及び難燃化助剤と、スチレン系樹脂とを、押出機にて予め融混合してマスターバッチ化を行った後、得られたマスターバッチとスチレン系樹脂とを用いて所望の物性又は難燃性を有するスチレン系難燃性樹脂組成物を製造するケースが増えている。その他の難燃剤マスターバッチの技術としては、特許文献2~3が挙げられる。
そこで、本発明の目的は、難燃性を向上させ、衝撃強度、色調に優れ、及び製造コストを大幅に削減可能な難燃剤マスターバッチ、及びそれを使用したスチレン系難燃性樹脂組成物の製造方法を提供することである。
[1]スチレン系樹脂(A)20~90質量%と、NOR型ヒンダードアミン系化合物(B)5~30質量%と、リン系難燃剤及びブロム系難燃剤5~50質量%からなる群から選ばれる1種以上の難燃剤(C)と、を含有することを特徴とする、難燃剤マスターバッチ。
[2]前記リン系難燃剤が、リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、及びホスホン酸エステル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記[1]に記載の難燃剤マスターバッチ。
[3]前記スチレン系樹脂(A)が、スチレン系単量体単位、不飽和カルボン酸系単量体単位、及び不飽和カルボン酸エステル系単量体単位からなる群から選ばれる繰り返し単位を1種以上含むスチレン系重合樹脂である、上記[1]又は[2]のいずれか一項に記載の難燃剤マスターバッチ
[4]上記[1]~[3]に記載の難燃剤マスターバッチ3~60質量%と、スチレン系樹脂(D)97~40質量%を溶融混合される、難燃性スチレン系樹脂組成物。
本実施形態の難燃剤マスターバッチは、スチレン系樹脂(A)(以下、(A)成分とも称する。)20~90質量%と、NOR型ヒンダードアミン系化合物(B)(以下、(B)成分とも称する。)5~30質量%と、リン系難燃剤及びブロム系難燃剤5~50質量%からなる群から選ばれる1種以上の難燃剤(C)(以下、(C)成分とも称する。)と、を含有することを特徴とする、難燃剤マスターバッチである。
本実施形態の難燃剤マスターバッチにおいて、スチレン系樹脂(A)の含有量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計量100質量%に対して、20~90質量%であり、好ましくは40~85質量%、より好ましくは50~80質量%である。当該含有量を20質量%以上とすることにより、マスターバッチ中の(B)成分及び(C)成分の分散性が良好であり、難燃性を向上させることができる。また、当該含有量を90質量%以下とすることにより、(B)成分及び(C)成分の難燃相乗効果が高まるとともにマスターバッチとして製造コストを削減することができる。
本実施形態において、ポリスチレンとはスチレン系単量体を重合した単独重合体であり、一般的に入手できるものを適宜選択して用いることができる。ポリスチレンを構成するスチレン系単量体としては、スチレンの他に、α-メチルスチレン、α-メチル-p-メチルスチレン、ο-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、イソブチルスチレン、及びt-ブチルスチレン又はブロモスチレン及びインデン等のスチレン誘導体が挙げられる。特に工業的観点からスチレンが好ましい。これらのスチレン系単量体は、1種又は2種以上使用することができる。ポリスチレンは、本発明の効果を損なわない範囲で、上記のスチレン系単量体単位以外の単量体単位を更に含有することを排除しないが、典型的にはスチレン系単量体単位からなる。
本実施形態において、ゴム変性スチレン系樹脂とは、マトリクスとしてのスチレン系樹脂中にゴム状重合体(a)の粒子が分散したものであり、ゴム状重合体(a)の存在下でスチレン系単量体を重合させることにより製造することができる。
このようなゴム変性スチレン系樹脂の例としては、HIPS(高衝撃ポリスチレン)、ABS樹脂(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリル-アクリルゴム-スチレン共重合体)、AES樹脂(アクリロニトリル-エチレンプロピレンゴム-スチレン共重合体)等が挙げられる。
なお、該ハイシスポリブタジエンの構成単位に関する異性体としてシス1,4、トランス1,4、又はビニル1,2構造を有するものの含有率は、赤外分光光度計を用いて測定し、モレロ法によりデータ処理することにより算出できる。
また、該ハイシスポリブタジエンは、公知の製造法、例えば有機アルミニウム化合物とコバルト又はニッケル化合物を含んだ触媒を用いて、1,3ブタジエンを重合して容易に得ることができる。
なお本開示で、ゴム変性スチレン系樹脂中に含まれるゴム状重合体(a)の含有量は、熱分解ガスクロマトグラフイーを用いて算出される値である。
なお本開示で、ゴム変性スチレン系樹脂中に含まれるゴム状重合体(a)の平均粒子径は、以下の方法により測定することができる。
四酸化オスミウムで染色したゴム変性スチレン系樹脂から厚さ75nmの超薄切片を作製し、電子顕微鏡を用いて倍率10000倍の写真を撮影する。写真中、黒く染色された粒子がゴム状重合体である。写真から、下記数式(N1):
により面積平均粒子径を算出し、ゴム状重合体(a)の平均粒子径とする。本測定は、写真を200dpiの解像度でスキャナーに取り込み、画像解析装置IP-1000(旭化成社製)の粒子解析ソフトを用いて測定する。
なお本開示で、ゴム変性スチレン系樹脂の還元粘度は、トルエン溶液中で30℃、濃度0.5g/dLの条件で測定される値である。
本実施形態において、スチレン系重合樹脂とは、スチレン系単量体単位を必須に含み、必要により不飽和カルボン酸系単量体単位、及び/又は不飽和カルボン酸エステル系単量体単位を任意に含む樹脂である。したがって、本発明に係るスチレン系重合樹脂は、スチレン系単量体単位、不飽和カルボン酸系単量体単位、及び不飽和カルボン酸エステル系単量体単位の合計含有量を100質量%としたとき、スチレン系単量体単位の含有量は69~98質量%であることが好ましく、より好ましくは74~96質量%であり、さらに好ましくは77~92質量%の範囲である。当該含有量を69質量%以上とすることにより、樹脂の流動性を向上させることができる。一方、当該含有量を98質量%以下とすることにより、任意成分である、後述の不飽和カルボン酸系単量体単位及び不飽和カルボン酸エステル系単量体単位を所望量存在させにくくなり、これらの単量体単位による後述の効果を得にくくなる。
スチレン系重合樹脂を得るために重合原料を重合させる際には、重合原料組成物中に、典型的には重合開始剤及び連鎖移動剤を含有させる。
スチレン系重合樹脂の重合に用いられる重合開始剤としては、有機過酸化物、例えば、2,2-ビス(t-ブチルペルオキシ)ブタン、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルペルオキシ)バレレート等のペルオキシケタール類、ジ-t-ブチルペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド等のジアルキルペルオキシド類、アセチルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド等のジアシルペルオキシド類、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート等のペルオキシジカーボネート類、t-ブチルペルオキシアセテート等のペルオキシエステル類、アセチルアセトンペルオキシド等のケトンペルオキシド類、t-ブチルヒドロペルオキシド等のヒドロペルオキシド類等を挙げることができる。分解速度と重合速度との観点から、なかでも、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサンが好ましい。
スチレン系重合樹脂の重合に用いられる連鎖移動剤としては、例えば、α-メチルスチレンリニアダイマー、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン等を挙げることができる。
NOR型ヒンダードアミン系化合物(B)の含有量は、スチレン系樹脂(A)の含有量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計量100質量%に対して、5~30質量%であり、好ましくは7~25質量%であり、より好ましくは10~20質量%である。5質量%以上であれば、難燃剤マスターバッチとして高い難燃性が得られ、製造コスト削減ができる。また、30質量%以下であれば、スチレン系樹脂との分散性が良好であり、高い難燃性を得ることができる。
また、NOR型ヒンダードアミン系化合物(B)は、光安定化剤としてよく知られるものであり、添加することにより耐光性を付与することもできる。
上記のアルコキシル基(-OR)は、アルキル基に酸素が結合したアルコキシル基に限定されず、Rは、アルキル基以外に、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基等を含む。
これらアルコキシル基の具体的な例としては、メトキシ基、プロポキシ基、シクロヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基が好ましく、特に、プロポキシ基、シクロヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基等が、分子量が大きくなることでシート及びフィルムからのブリードアウトを抑制できる点から、好ましい。
上記高分子タイプのオリゴマー状又はポリマー状化合物は、繰り返し単位数としては、2~100が好ましく、より好ましくは5~80である。
ビス(1-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カーボネート。
本実施形態の難燃剤マスターバッチは、難燃剤(C)を含有し、かつ当該難燃剤(C)は、リン系難燃剤及びブロム系難燃剤からなる群から選ばれる1種以上の難燃剤である。リン系難燃剤及び/又はブロム系難燃剤を使用すると、N-アルコキシル基(>N-OR)の構造を有するNOR型ヒンダードアミン化合物(B)との相乗効果により、更に高い難燃性を得ることができる。より詳細には、樹脂などの高分子の難燃機構としては、燃焼時に発生する高分子鎖の分裂に起因したラジカルの発生を抑制する又は発生したラジカルを安定化すること、及び燃焼時に発生する残渣が(表面)被覆することにより、燃焼の遮断効果を奏することが考えられる。本発明に係るリン系難燃剤は、一般的にポリリン酸、及び高分子鎖の分解促進による難燃被膜を生成する効果を奏するが、N-アルコキシル基(>N-OR)の構造を有するNOR型ヒンダードアミン化合物(B)と(C)成分とを併用することにより、リン系難燃剤がラジカルとなり、高分子鎖に起因したラジカルを安定化させる効果も発現するようになる。一方、本発明に係るブロム系難燃剤は、ブロムラジカルにより高分子鎖に起因するラジカルを捕捉することで難燃効果が発現する。そのため、N-アルコキシル基(>N-OR)の構造を有するNOR型ヒンダードアミン化合物(B)と(C)成分とを併用することにより、ブロムラジカルの発生が促進されるとともにNOR型ヒンダードアミン起因のTEMPOラジカルがブロムラジカルを安定化することにより、より効率的にブロムラジカルによる高分子鎖に起因したラジカルを捕捉できるようになり、相乗効果を奏すると考えられる。
リン系難燃剤及びブロム系難燃剤は、単一化合物であっても混合物であってもかまわず、リン系難燃剤とブロム系難燃剤との両方を併用して使うこともできる。
(C)成分の含有量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計量100質量%に対して、5~50質量%であることが好ましく、より好ましくは10~40質量%であり、更に好ましくは15~30質量%である。5質量%より少ないと難燃性の向上は見られず、50質量%より多いと衝撃強度や耐熱性が低下する。
リン系難燃剤は、特に制限されず、従来公知の方法によって得られるもの、又は市販品を用いることができる。好ましくは、リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、ホスホン酸化合物、又はホスフィン酸化合物であり、これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でもゴム変性スチレン系樹脂(B)との相溶性の良いリン酸エステル化合物、又はホスホン酸エステル化合物、ホスフィン酸化合物が最も好ましい。また、本発明に係るリン系難燃剤は、リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、ホスホン酸化合物、又はホスフィン酸化合物であると、N-アルコキシル基(>N-OR)の構造を有するNOR型ヒンダードアミン化合物(B)との併用により、安定的なラジカルを生成することが考えられ、難燃性における相乗効果が発揮しやすくなる。
リン系難燃剤は、リン含有量が3.0質量%以上であることが好ましく、7.0質量%以上であることがより好ましい。リン含有量が3.0質量%以上であると、NOR型ヒンダードアミン系化合物(B)と難燃性に対し相乗効果を発現し、難燃剤マスターバッチとして展化量を少なくすることができる。
なお、リン含有量は、吸光光度法にてリン系難燃剤に含有されているリン原子の含有量を測定することができる。
リン酸エステル化合物としては、芳香族リン酸エステル化合物が好ましい。例えば、トリメチルホスフェート(TMP)、トリエチルホスフェート(TEP)、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシレニルホスフェート(TXP)、クレジルジフェニルホスフェート(CDP)等のモノマー型リン酸エステル系化合物、レゾルシノールビス-ジキシレニルホスフェート、レゾルシノールビス-ジフェニルホスフェート、ビスフェノールAビス-ジフェニルホスフェート(BADP)、ビスフェノールAビス-ジクレジルホスフェート、ビフェノールビス-ジフェニルホスフェート、ビフェノールビス-ジキシレニルホスフェート等の、オキシ塩化リンと二価のフェノール系化合物とフェノール(又はアルキルフェノール)との反応生成物である芳香族縮合リン酸エステル系化合物等が挙げられる。芳香族リン酸エステル化合物を(C)成分として使用すると、N-アルコキシル基(>N-OR)の構造を有するNOR型ヒンダードアミン化合物(B)との併用により、安定的なラジカルを生成することが考えられ、難燃性における相乗効果がより発揮しやすくなる。
上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、第2ブチル基、第3ブチル基、アミル基、第3アミル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、n-オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
上記シクロアルキル基としてはシクロヘキシル基等が挙げられる。
上記アリール基としては、フェニル基、クレジル基、キシリル基、2,6-キシリル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、ブチルフェニル基、ノニルフェニル基等が挙げられる。
上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
化合物(1-2)(レゾルシノールビス-ジキシレニルホスフェート)としては、例えば、大八化学工業株式会社のPX-200等が使用でき、化合物(1-3)(レゾルシノールビス-ジフェニルホスフェート)としては、例えば、大八化学工業株式会社のCR-733S等が使用できる。
ホスファゼン化合物としては、例えば、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(メトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(エトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(n-プロポキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(イソ-プロポキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(n-ブトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(イソ-ブトキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(p-トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(m-トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(o-トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(4-エチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(4-n-プロピルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(4-イソ-プロピルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(4-t-ブチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(4-t-オクチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(2,3-ジメチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(2,4-ジメチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(2,5-ジメチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5-ヘキサ(2,6-ジメチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(メトキシ)-1,3,5-トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(エトキシ)-1,3,5-トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(n-プロポキシ)-1,3,5-トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(イソ-プロポキシ)-1,3,5-トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(n-ブトキシ)-1,3,5-トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(イソ-ブトキシ)-1,3,5-トリス(フェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(メトキシ)-1,3,5-トリス(p-トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(メトキシ)-1,3,5-トリス(m-トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(メトキシ)-1,3,5-トリス(o-トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(エトキシ)-1,3,5-トリス(p-トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(エトキシ)-1,3,5-トリス(m-トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(エトキシ)-1,3,5-トリス(o-トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(n-プロポキシ)-1,3,5-トリス(p-トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(n-プロポキシ)-1,3,5-トリス(m-トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(n-プロポキシ)-1,3,5-トリス(o-トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(イソ-プロポキシ)-1,3,5-トリス(p-トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(n-ブトキシ)-1,3,5-トリス(p-トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(イソ-ブトキシ)-1,3,5-トリス(p-トリルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(メトキシ)-1,3,5-トリス(4-t-ブチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(メトキシ)-1,3,5-トリス(4-t-オクチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(n-プロポキシ)-1,3,5-トリス(4-t-ブチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン、1,3,5-トリス(n-プロポキシ)-1,3,5-トリス(4-t-オクチルフェノキシ)シクロトリホスファゼン等が挙げられる。
ホスホン酸エステルとしては、例えば、下記化学式(2)で表されるものが挙げられる。
本明細書中において、一価の炭化水素基としては、鎖状(直鎖及び分岐鎖のいずれでもよい)及び環状(単環、縮合多環、架橋環及びスピロ環のいずれでもよい)のいずれであってもよく、例えば、側鎖を有する環状炭化水素基が挙げられる。また、当該炭化水素基は、飽和及び不飽和のいずれでもよい。
当該炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基等が挙げられる。
ホスフィン酸化合物としては、例えば、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナンスレン-10-オキサイドや10-ベンジル-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイドなどが挙げられる。9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナンスレン-10-オキサイドとしては、例えば、三光株式会社のHCA等が、10-ベンジル-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイドとしては、例えば、三光株式会社のBCA等が使用できる。
本実施形態のブロム系難燃剤は、通常この分野で使用されるブロム系難燃剤(臭素系難燃剤)を限定なく使用することができ、これらの中でも汎用されるものとして、ブロム化ビスフェノールA系化合物(例えば、ブロム化ビスフェノールA類、ブロム化ビスフェノールS類、ブロム化フェニルエーテル類、ブロム化ビスフェノールA系カーボネートオリゴマー、ブロム化ビスフェノールA系エポキシ樹脂)、ブロム化スチレン系、ブロム化フタルイミド系、ブロム化ベンゼン類、ブロム化シクロアルカン系、ブロム化イソシアヌレート類等の各難燃剤を挙げることができる。これらのブロム系難燃剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。 また、本発明において、(C)成分としてのブロム系難燃剤が、ブロム化ビスフェノールA系化合物、ブロム化スチレン系、ブロム化フタルイミド系、ブロム化ベンゼン類、ブロム化シクロアルカン系、又はブロム化イソシアヌレート類等であると、高分子鎖の分解促進によるラジカルの捕捉能がより増加しやすく、N-アルコキシル基(>N-OR)の構造を有するNOR型ヒンダードアミン化合物(B)との相乗効果をより発揮しやすくなる。
上記化学式(3)で表わされる化合物の一例であるブロム化ビスフェノールA系カーボネートオリゴマーは、下記化学式(3-1)
また、上記化合物(3-2)の市販されている難燃剤としては、グレート・レークス・ケミカル(株)の「Great Lakes BC-52」及び「Great Lakes BC-58」等を挙げることができる。
ブロム化スチレン系の具体例としては、例えば、ブロムスチレン及びブロム化ポリスチレンを挙げることができ、市販されているブロム化ポリスチレン系難燃剤としては、グレート・レークス・ケミカル(株)の「Great Lakes PDBS-10」及び「Great Lakes PDBS-80」等を挙げることができる。また、前記の難燃剤と製法は異なるが、フェロ(株)の「パイロチェック68PB」もブロム化ポリスチレン系難燃剤の例として挙げることができる。
市販されているヘキサブロムシクロドデカンとしては、ブロモケム・ファーイースト(株)の「FR-1206」、アルベマール(株)の「Saytex HBCD」、グレート・レークス・ケミカル(株)の「Great LakesCD-75P」、(株)鈴裕化学の「ファイアカットP-880M」及び第一工業製薬(株)の「ピロガード SR-103」等を挙げることができる。
市販されているブロム化イソシアヌレート類としては、日本化成(株)の「タイク-6B」及び(株)鈴裕化学の「ファイアカットP-660」等を挙げることができる。
当該難燃助剤の添加量は、通常、ポリスチレン100質量部に対して、0.5~10質量部使用されるが、物性等との関係で、好ましい使用量は1~7質量部である。
本実施形態の難燃剤マスターバッチ及び当該難燃剤マスターバッチを含有する組成物は、上記(A)~(C)成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて従来公知の添加剤、加工助剤等の任意添加成分を添加することができる。これら添加剤、加工助剤等としては、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤等が挙げられる。
これらは1種単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
上記脂肪酸系滑剤のうち不飽和脂肪酸としては、具体的には、ミリストレイン酸(テトラデセン酸)、パルミトレイン酸(ヘキサデセン酸)、オレイン酸(cis-9-オクタデセン酸)、エライジン酸(trans-9-オクタデセン酸)、リシノール酸(オクタデカジエン酸)、バクセン酸(cis-11-オクタデセン酸)、リノール酸(オクタデカジエン酸)、リノレン酸(9,11,13-オクタデカトリエン酸)、エレステアリン酸(9,11,13-オクタデカトリエン酸)、ガドレイン酸(イコサン酸)、エルカ酸(ドコサン酸)、ネルボン酸(テトラドコサン酸)等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
具体的には、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-N-(3-ドデシルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)メチルアンモニウムメソスルフェート、(3-ラウリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムメチルスルフェート、ステアロアミドプロピルジメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウム硝酸塩、ステアロアミドプロピルジメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウムリン酸塩、カチオン性ポリマー、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキル硝酸エステル塩、リン酸アルキルエステル塩、アルキルホスフェートアミン塩、ステアリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ジグリセリン脂肪酸エステル、アルキルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミン脂肪酸モノエステル、アルキルジエタノールアミド、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリエーテルブロックコポリマー、セチルベタイン、ヒドロキシエチルイミダゾリン硫酸エステル等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
「実質的に(A)成分~(C)成分及び任意添加成分のみからなる」とは、難燃剤マスターバッチの95~100質量%(好ましくは98~100質量%)が(A)成分~(C)成分であるか、又は(A)成分~(C)成分及び任意添加成分であることを意味する。
尚、本実施形態の難燃剤マスターバッチは、本発明の効果を損なわない範囲で(A)成分~(C)成分及び任意添加成分の他に不可避不純物を含んでいてもよい。
本実施形態の難燃剤マスターバッチは、各成分を任意の方法で溶融混練することによって製造することができる。例えば、ヘンシェルミキサーに代表される高速撹拌機、バンバリーミキサーに代表されるバッチ式混練機、単軸又は二軸の連続混練機、ロールミキサー等を単独で、又は組み合わせて用いる方法が挙げられる。混練の際の加熱温度は、通常、180~260℃の範囲で選択される。また、(A)スチレン系樹脂を溶融させた後に(B)NOR型ヒンダードアミン系化合物と(C)リン系難燃剤及びブロム系難燃剤を添加しても構わない。さらに(B)NOR型ヒンダードアミン系化合物と(C)リン系難燃剤及びブロム系難燃剤を高速攪拌機処理したものを(A)スチレン系樹脂に添加し溶融混合しても構わない。
次に、本発明に係る難燃剤マスターバッチを含有する組成物について述べる。
本発明に係る難燃剤マスターバッチを含有する組成物の好ましい形態は、難燃剤マスターバッチと、スチレン系樹脂(D)とを含有する難燃性スチレン系樹脂組成物である。なお、スチレン系難燃性樹脂組成物を得るのに使用するスチレン単量体単位を含有する樹脂をスチレン系樹脂(D)、またこれまで詳述した難燃剤マスターバッチを難燃剤マスターバッチ(I)と以下称する。
本発明において、難燃性スチレン系樹脂組成物を得るのに使用するスチレン系樹脂(D)は、難燃剤マスターバッチ(I)で詳述したスチレン系樹脂(A)と同様のものが使用出来るが、難燃剤マスターバッチ(I)中に存在するスチレン系樹脂(A)と同一組成、同一種類のものである必要はない。勿論同一のものであっても良い。ゴム変性スチレン系樹脂及び/又は芳香族ビニル重合体が好ましく使用される。
配合することが必要である。特に、難燃剤マスターバッチ(I)20乃至55質量部とスチレン系樹脂(D)97~40質量%で配合することが好ましい。更に、この難燃性スチレン系樹脂組成物に対して、他の添加剤を配合することができる。
スクリューを使用することもできる。
本実施形態の難燃性スチレン系樹脂組成物は、実質的に難燃剤マスターバッチ、スチレン系樹脂(D)及び任意添加成分のみからなっていてもよい。
「実質的に難燃剤マスターバッチ、スチレン系樹脂(D)及び任意添加成分のみからなる」とは、難燃性スチレン系樹脂組成物の95~100質量%(好ましくは98~100質量%)が難燃剤マスターバッチ、スチレン系樹脂(D)及び任意添加成分に占められていることを意味する。
尚、本実施形態の難燃性スチレン系樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で難燃剤マスターバッチ、スチレン系樹脂(D)及び任意添加成分の他に不可避不純物を含んでいてもよい。
<難燃性>
本実施形態の難燃性スチレン系樹脂組成物の難燃性は、UL94垂直燃焼試験(UL94-V試験)において、規格内である、即ち、V-0~V-2の難燃性クラスであることが好ましい。また、UL94水平燃焼(UL94-HB試験)において、HB規格内である75mm/分以下の燃焼速度であることが望ましく、また、自動車難燃規格(FMVSS302)などの規格を考慮すると85mm/分以下が好ましい。
なお本開示で、難燃性は、後述の[実施例]の項に記載の方法で評価することができる。
本実施形態の難燃性スチレン系樹脂組成物のシャルピー衝撃強度は、1.2kJ/m2以上であることが好ましく、より好ましくは1.5kJ/m2以上である。1.2kJ/m2未満であると、OA製品内部部品等の用途では使用中に破損する懸念がある。
なお本開示で、シャルピー衝撃強度は、ISO 179に準拠して測定される値である。
本実施形態の難燃性スチレン系樹脂組成物のイエローインデックスは、20以下であることが好ましく、より好ましくは10以下である。20より大きいと光学用途に使用できない懸念がある。
なお本開示で、シャルピー衝撃強度は、ISO K7105に準拠して測定される値である。
本実施形態の難燃性スチレン系樹脂組成物は、上記の溶融混練成形機により、あるいは、得られた難燃性スチレン系樹脂組成物のペレットを、又は、本発明の難燃マスターバッチをPSとドライブレンドした原料として、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、真空成形法、及び発泡成形法等により、成形品を製造することができる。
本実施形態の難燃性スチレン系樹脂組成物を含む成形品、好ましくは、射出成形品(射出圧縮を含む)は、複写機、ファックス、テレビ、ラジオ、テープレコーダー、ビデオデッキ、パソコン、プリンター、電話機、情報端末機、冷蔵庫、電子レンジ等のOA機器、家庭電化製品、電気・電子機器のハウジングや各種部品、発泡断熱材、絶縁フィルム等に好適に用いられる。
各実施例及び比較例で得られた樹脂組成物の物性の測定及び評価は、次の方法に基づいて行った。
後述の方法で作製した試験片(b)(大きさ:127mm×12.7mm、厚み:0.8mm)を用いて、50W試験炎によるUL94垂直燃焼試験(UL94-V試験)に準拠する方法で難燃性を評価した。
上記試験片(b)にガスバーナーの炎を当てて、その燃焼の程度を評価した。
なお、難燃等級には、UL94-V試験によって分類される難燃性のクラスを示した。全ての試験片で試験は5本行い、判定した。分類方法の概要は以下のとおりである。
V-0:5本の合計燃焼時間50秒以下、最大燃焼時間10秒以下、滴下綿着火なし
V-1:5本の合計燃焼時間250秒以下、最大燃焼時間30秒以下、滴下綿着火なし
V-2:5本の合計燃焼時間250秒以下、最大燃焼時間30秒以下、滴下綿着火あり
Not V:UL94の規格外
さらに同じ試験片を使用し、UL94水平燃焼試験によって燃焼速度(mm/分)を測定した
後述の方法で作製した試験片(a)について、ISO 179に準拠して、シャルピー衝撃強度(kJ/m2)をノッチ有りで測定した。
後述の方法で作製した試験片(a)について、JIS K7105に準拠して、日本電色株式会社製 色差濁度測定器 COH300A(商品名)にて樹脂組成物のイエローインデックスを測定した。調色目的を考慮し5以下を合格した。
実施例で用いた各材料は下記の通りである。
MFR7.0の高衝撃ポリスチレン(HIPS)であるゴム変性スチレン系樹脂を用いた。該HIPSは、ゴム状重合体としてポリブタジエンを使用しており、ゴム状重合体の含有量8.6質量%であった。
MFR2.2のポリスチレン(GPPS、PSジャパン社製、G9401)を用いた。
スチレン(ST)71.3質量部、メタクリル酸(MAA)7.3質量部、メタクリル酸メチル(MMA)6.4質量部、エチルベンゼン15.0質量部、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.025質量部から成る重合原料組成液を、1.1リットル/時の速度で、容量が4リットルの完全混合型反応器に、次いで、容量が2リットルの層流型反応器から成る重合装置に、さらに、未反応モノマー、重合溶媒等の揮発分を除去する単軸押出機を連結した脱揮装置に、連続的に順次供給し、スチレン系重合樹脂を調製した。
重合工程における重合反応条件は、完全混合反応器は重合温度122℃、層流型反応器は重合温度120~142℃とした。脱揮された未反応ガスは、-5℃の冷媒を通した凝縮器で凝縮し、未反応液として回収した。
最終重合液中のスチレン系重合樹脂分は、重合液を215℃、2.5kPaの減圧下で30分間乾燥後、式[(乾燥後の試料質量/乾燥前の試料質量)×100%]により測定したところ、65.6質量%であり、重量平均分子量は214,000(21.4万)であった。
スチレン系重合樹脂の組成比はスチレン単量体単位82.3質量%、メタクリル酸単量体単位9.8質量%、メタクリル酸メチル単量体単位7.9質量%であった。なお、各単量体単位は次のようにプロトン核磁気共鳴(1H-NMR)測定機で測定したスペクトルの積分比から、スチレン系重合樹脂の組成を定量した。
・試料調製:樹脂ペレット30mgをd6-DMSO 0.75mLに60℃で4~6時間加熱溶解した。
・測定機器:日本電子(株)製 JNM ECA-500
・測定条件:測定温度25℃、観測核1H、積算回数64回、繰り返し時間11秒。
ジメチルスルホキシド重溶媒中で測定されたスペクトルの帰属について、0.5~1.5ppmのピークは、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、及び六員環酸無水物のα-メチル基の水素、1.6~2.1ppmのピークはポリマー主鎖のメチレン基の水素、3.5ppmのピークはメタクリル酸メチルのカルボン酸エステル(-COOCH3)の水素、12.4ppmのピークはメタクリル酸のカルボン酸の水素である。また、6.5~7.5ppmのピークはスチレンの芳香族環の水素である。なお、本実施例及び比較例の樹脂では六員環酸無水物の含有量が少ないため、本測定方法では通常定量化は難しい。
・NOR型ヒンダードアミン系化合物(NOR型-A)[BASF社製、FlamestabNOR116FF、高分子タイプ]
・NOR型ヒンダードアミン系化合物(NOR型-B)[(株)ADEKA製、アデカスタブ LA-81]
・ホスホン酸エステル化合物[丸菱油化工業株式会社製、ノンネン73、融点100℃、リン含有量10質量%]
・リン酸エステル(化合物(1-3)):レゾルシノールビス-ジキシレニルホスフェート[大八化学工業株式会社製、PX-200、融点92℃、リン含有量9.0質量%、縮合タイプ]
・ブロム系難燃剤:ビス(ペンタブロムフェニル)エタン[アルベマール株式会社、Saytex8010]
(フェノール系酸化防止剤)
・3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル[BASF社製、Irganox1076]
(リン系酸化防止剤)
・トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト[BASF社製、Irgafos168]
<マスターバッチの製造>
表1に示す組成比で各成分と(A)~(C)成分100質量部に対して、Irganox1076とIrgafos168を0.2質量部ずつ添加後、予備混合した。得られた予備混合物を一括混合し、二軸押出機(東芝機械社製、TEM-26SS)を用い、180℃~230℃の範囲で溶融押出(スクリュー回転数は150rpm、吐出量は10kg/hr)を行い、混練物として難燃性スチレン系樹脂組成物のペレットが作成できたものを○、できなかったものを×とした。MB12は、(A)成分が少なくペレットを得ることができなかった。
比較例1~3は、(B)成分、及び(C)成分を実施例1~3と同様な割合になるように作成した。作成方法はマスターバッチの作成、及び実施例と同様である。比較例4~11は、表3に示すように組成の変更、及び使用したマスターバッチ以外は実施例と同様にして、試験片を作製した。各物性の測定及び評価の結果を表3に示す。
比較例4、6について、表3に示すように、マスターバッチの量が少ないと難燃性は得られないことがわかる。
比較例5、7について、表3に示すように、マスターバッチの量が多いと衝撃強度が低下し、色調が低下することがわかる。
比較例8、9について、表3に示すように、(A)成分のみ、又は(B)成分のみでは高い難燃性はえられないことがわかる。
Claims (4)
- スチレン系樹脂(A)20~90質量%と、
NOR型ヒンダードアミン系化合物(B)5質量%超30質量%以下と、
リン系難燃剤及びブロム系難燃剤からなる群から選ばれる1種以上の難燃剤(C)5~50質量%と、を含有することを特徴とする、難燃剤マスターバッチ。 - 前記リン系難燃剤が、リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、及びホスホン酸エステル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の難燃剤マスターバッチ。
- 前記スチレン系樹脂(A)が、スチレン系単量体単位、不飽和カルボン酸系単量体単位、及び不飽和カルボン酸エステル系単量体単位からなる群から選ばれる繰り返し単位を1種以上含むスチレン系重合樹脂である、請求項1又は2に記載の難燃剤マスターバッチ。
- 酸化防止剤をさらに含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の難燃剤マスターバッチ。
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