以下、本発明の一側面に係る媒体搬送装置について図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
図1は、イメージスキャナとして構成された媒体搬送装置100を示す斜視図である。媒体搬送装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙、厚紙、カード、冊子又はパスポート等である。媒体搬送装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。なお、搬送される媒体は、原稿でなく印刷対象物等でもよく、媒体搬送装置100はプリンタ等でもよい。
媒体搬送装置100は、下側筐体101、上側筐体102、載置台103、排出台104、操作装置105及び表示装置106等を備える。
上側筐体102は、筐体の上部の一例であり、媒体搬送装置100の上面を覆う位置に配置され、媒体つまり時、媒体搬送装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより下側筐体101に係合している。
載置台103は、樹脂部材により形成され、搬送される媒体を載置可能に下側筐体101に係合している。載置台103は、媒体の載置面103aが媒体搬送装置100の設置面に対して傾くように設けられている。排出台104は、排出された媒体を保持可能に下側筐体101に係合している。
操作装置105は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置106は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
図2は、媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
媒体搬送装置100内部の搬送経路は、媒体検出センサ111、複数の給送ローラ112a、112b、複数のブレーキローラ113a、113b、超音波発信器114a、超音波受信器114b、第1センターセンサ115、第1サイドセンサ116、第2サイドセンサ117、複数の第1搬送ローラ118a、118b、複数の第2搬送ローラ119a、119b、第2センターセンサ120、第1撮像装置121a、第2撮像装置121b、複数の第3搬送ローラ122a、122b及び複数の第4搬送ローラ123a、123b等を有している。
以下では、給送ローラ112a及び112bを総じて給送ローラ112と称する場合がある。また、ブレーキローラ113a及び113bを総じてブレーキローラ113と称する場合がある。また、第1搬送ローラ118a及び118bを総じて第1搬送ローラ118と称する場合がある。また、第2搬送ローラ119a及び119bを総じて第2搬送ローラ119と称する場合がある。また、第1撮像装置121a及び第2撮像装置121bを総じて撮像装置121と称する場合がある。また、第3搬送ローラ122a及び122bを総じて第3搬送ローラ122と称する場合がある。また、第4搬送ローラ123a及び123bを総じて第4搬送ローラ123と称する場合がある。
下側筐体101の上面は、媒体の搬送路の下側ガイド107aを形成し、上側筐体102の下面は、媒体の搬送路の上側ガイド107bを形成する。図2において矢印A1は媒体搬送方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向A1の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向A1の下流のことをいう。
媒体検出センサ111は、給送ローラ112及びブレーキローラ113の上流側に配置される。媒体検出センサ111は、接触検出センサを有し、載置台103に媒体が載置されているか否かを検出する。媒体検出センサ111は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する媒体検出信号を生成して出力する。
給送ローラ112は、下側筐体101に設けられ、載置台103に載置された媒体を下側から順に給送する。ブレーキローラ113は、上側筐体102に設けられ、給送ローラ112に対向して配置される。
超音波発信器114a及び超音波受信器114bは、給送ローラ112及びブレーキローラ113の下流側に配置される。超音波発信器114a及び超音波受信器114bは、媒体の搬送路の近傍に、搬送路を挟んで対向して配置される。超音波発信器114aは、超音波を出力する。一方、超音波受信器114bは、超音波発信器114aにより発信され、媒体を通過した超音波を受信し、受信した超音波に応じた電気信号である超音波信号を生成して出力する。以下では、超音波発信器114a及び超音波受信器114bを総じて超音波センサ114と称する場合がある。
第1撮像装置121aは、撮像部の一例であり、主走査方向に直線状に配列されたCCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサを有する。また、第1撮像装置121aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置121aは、後述するCPUからの制御に従って、搬送された媒体の裏面を撮像した入力画像を生成して出力する。
同様に、第2撮像装置121bは、撮像部の一例であり、主走査方向に直線状に配列されたCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサを有する。また、第2撮像装置121bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置121bは、後述するCPUからの制御に従って、搬送された媒体の表面を撮像した入力画像を生成して出力する。
なお、媒体搬送装置100は、第1撮像装置121a及び第2撮像装置121bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CCDの代わりにCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)を利用することもできる。
載置台103に載置された媒体は、給送ローラ112が図2の矢印A2の方向、即ち媒体給送方向に回転することによって、下側ガイド107aと上側ガイド107bの間を媒体搬送方向A1に向かって搬送される。ブレーキローラ113は、媒体搬送時、矢印A3の方向、即ち媒体給送方向の反対方向に回転する。給送ローラ112及びブレーキローラ113の働きにより、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち給送ローラ112と接触している媒体のみが分離される。これにより、分離された媒体以外の媒体の搬送が制限されるように動作する(重送の防止)。
媒体は、下側ガイド107aと上側ガイド107bによりガイドされながら、第1搬送ローラ118と第2搬送ローラ119の間に送り込まれる。媒体は、第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ119がそれぞれ矢印A4及び矢印A5の方向に回転することによって、第1撮像装置121aと第2撮像装置121bの間に送り込まれる。第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ119は、給送ローラ112により給送された媒体を撮像装置121に搬送する搬送ローラの一例である。撮像装置121により読み取られた媒体は、第3搬送ローラ122及び第4搬送ローラ123がそれぞれ矢印A6及び矢印A7の方向に回転することによって排出台104上に排出される。
図3及び図4は、ブレーキローラ113の駆動機構について説明するための模式図である。図3及び図4は、それぞれ、上側ガイド107bを取り外した状態で搬送路側からブレーキローラ113の駆動機構を見た斜視図及び平面図である。
図3及び図4に示すように、ブレーキローラ113の駆動機構は、第1モータ131、第1〜第2伝達ギア132a〜b及びブレーキローラユニット133等を有する。第1モータ131は、ブレーキローラ113を回転させる駆動力を発生する。各伝達ギアは、第1モータ131からの駆動力をブレーキローラ113に伝達する。第1モータ131の回転軸には第1伝達ギア132aが取り付けられ、第1伝達ギア132aは第2伝達ギア132bと係合される。
図5は、ブレーキローラユニット133を上側筐体102から取り外した状態で上方(搬送路と反対側)から見た斜視図である。図6は、ブレーキローラユニット133を、ブレーキローラユニット133を支持する支持部材134を取り外した状態で上方から見た斜視図である。
図3〜図6に示すように、ブレーキローラユニット133は、第3〜第10伝達ギア132c〜j、支持部材134、第1〜第7シャフト135a〜g、第1トルクリミッタ136及び第2トルクリミッタ137a〜b等を有している。
支持部材134は、樹脂又は金属等による部材であり、第1〜第4側面134a〜dを有して、ブレーキローラ113、第3〜第10伝達ギア132c〜j、第1トルクリミッタ136及び第2トルクリミッタ137a〜bを支持する。図3及び図4に示すように、第1側面134a及び第2側面134bは、それぞれ第1シャフト135a及び第2シャフト135bを介して上側筐体102の内部筐体102aの第1側面102b及び第2側面102cに取り付けられている。第1シャフト135a及び第2シャフト135bは、回転軸Tに沿って設けられており、支持部材134は、回転軸Tを中心として回転(揺動)可能に内部筐体102aに支持される。
図3、図4及び図6に示すように、第1シャフト135aには、第3伝達ギア132c及び第4伝達ギア132dが取り付けられている。第3伝達ギア132cは第2伝達ギア132bと係合され、第4伝達ギア132dは第5伝達ギア132eの外径の小さい方のギア部分と係合される。第5伝達ギア132eは第3シャフト135cに取り付けられ、第3シャフト135cは第3側面134cに取り付けられている。第5伝達ギア132eの外径の大きい方のギア部分は第6伝達ギア132fと係合される。第6伝達ギア132fは第4シャフト135dに取り付けられ、第4シャフト135dは第4側面134dに取り付けられている。第4シャフト135dは、第1トルクリミッタ136を介して第5シャフト135eと係合される。第5シャフト135eは、第4シャフト135dと同一軸上に設けられ且つ第4側面134dに係合されている。第1トルクリミッタ136のトルクのリミット値は第1リミット値である。
第5シャフト135eには、複数のブレーキローラ113a及び113bが第5シャフト135eの回転に従って回転するように取り付けられている。複数のブレーキローラ113a及び113bは、媒体搬送方向と直交する方向A8に間隔を空けて並べて配置される。
ブレーキローラ113の回転軸である第5シャフト135eと、各ブレーキローラ113a、113bとの間には、複数の第2トルクリミッタ137a、137bのそれぞれが別個に設けられている。即ち、各第2トルクリミッタ137a、137bは、各ブレーキローラ113a、113bに対応して設けられている。各第2トルクリミッタ137a、137bのトルクのリミット値は、第1リミット値より小さく、第2トルクリミッタ137a、137bのトルクのリミット値の合計は、第1リミット値より大きい第2リミット値に等しい。例えば、第1リミット値は500gf.cmに設定され、第2リミット値は700gf.cmに設定され、各第2トルクリミッタ137a、137bのトルクのリミット値はそれぞれ350gf.cmに設定される。なお、各ブレーキローラ113a、113bに対して別個の第2トルクリミッタ137a、137bが設けられるのではなく、各ブレーキローラ113a、113bに対して共通の第2トルクリミッタが設けられてもよい。
このように、第1トルクリミッタ136と、第2トルクリミッタ137a及び137bとは、ブレーキローラ113の回転軸である第5シャフト135e上に設けられる。各トルクリミッタとブレーキローラ113の間にはギアが存在しないため、部品毎の製造誤差等によりブレーキローラ113に付与される分離力が変動することが抑制される。そのため、媒体搬送装置100は、媒体を、部品毎の製造誤差によらず高精度に分離できる。
また、第1シャフト135aには、第7伝達ギア132gが取り付けられている。第7伝達ギア132gは第8伝達ギア132hと係合される。第8伝達ギア132hは第6シャフト135fに取り付けられ、第6シャフト135fは第1側面134aに取り付けられている。第8伝達ギア132hは第9伝達ギア132iの外径の小さい方のギア部分と係合される。第9伝達ギア132iは第7シャフト135gに取り付けられ、第7シャフト135gは第1側面134aに取り付けられている。第9伝達ギア132iの外径の大きい方のギア部分は第10伝達ギア132jと係合される。第10伝達ギア132jは第5シャフト135eに取り付けられている。
図7は、給送ローラ112の駆動機構と、給送ローラ112及びブレーキローラ113の動作について説明するための模式図である。図7は、図3に示すブレーキローラユニット133の駆動機構に、給送ローラ112の駆動機構を加えた斜視図である。
図7に示すように、複数の給送ローラ112a及び112bは、それぞれ複数のブレーキローラ113a及び113bと対向する位置に、媒体搬送方向と直交する方向A8に間隔を空けて並べて配置される。各給送ローラ112a及び112bには、外周面138a、138b及びワンウェイクラッチ138c、138d等が設けられている。各ワンウェイクラッチ138c、138dは、各給送ローラ112a、112bの外周面138a、138bが各給送ローラ112a、112bの回転軸に対して媒体給送方向A2の反対方向へ回転することを阻止する。給送ローラ112の駆動機構は、第11〜第12伝達ギア132k〜l及び第8〜第9シャフト135h〜i及び等を有している。
なお、第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ119は、給送ローラ112の給送速度より速い搬送速度で媒体を搬送する。したがって、媒体が第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ119の位置に到達すると、媒体は給送ローラ112とブレーキローラ113に挟持されつつ第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ119により引っ張られる。このとき、給送ローラ112の外周面138a、138bは、ワンウェイクラッチ138c、138dの働きにより、挟持している媒体に従って回転し、媒体の搬送を阻害しない。
第11伝達ギア132kは、所定の駆動機構を介して第1モータ131と接続される。なお、第11伝達ギア132kは、第1モータ131とは別個のモータと接続され、別個のモータにより駆動されてもよい。第11伝達ギア132kは、第8シャフト135hの一端に取り付けられ、第8シャフト135hの他端には給送ローラ112aが第8シャフト135hの回転に従って回転するように取り付けられている。
第12伝達ギア132lは、所定の駆動機構を介して、第1モータ131とは別個の第2モータ(不図示)と接続される。即ち、給送ローラ112a、112bは、別個のモータにより、それぞれ独立に回転するように設けられている。なお、給送ローラ112a、112bは、共通のモータにより一体に回転するように設けられてもよい。第12伝達ギア132lは第9シャフト135iの一端に取り付けられ、第9シャフト135iの他端には給送ローラ112bが第9シャフト135iの回転に従って回転するように取り付けられている。
第1モータ131は、駆動力として、第1の方向の回転によって第1駆動力を発生し、且つ、第1の方向とは反対の第2の方向の回転によって第2駆動力を発生する。第1の方向の回転は、第1伝達ギア132aを矢印B1の方向に回転させる回転であり、第2の方向の回転は、第1伝達ギア132aを矢印B1の反対方向である矢印C1の方向に回転させる回転である。第12伝達ギア132lと接続される第2モータも同様に、駆動力として、第1の方向の回転によって第1駆動力を発生し、且つ、第1の方向とは反対の第2の方向の回転によって第2駆動力を発生する。
第1モータ131が第1駆動力を発生させた場合、第1伝達ギア132aが矢印B1の方向に回転し、それに伴い第2〜第6伝達ギア132b〜fがそれぞれ矢印B2〜B6の方向に回転する。これにより、ブレーキローラ113a及び113bは、媒体給送方向の反対方向A3に回転する。なお、第7伝達ギア132gには、第1シャフト135aが矢印B3の方向に回転したときに、第1シャフト135aの回転に従って第7伝達ギア132gが回転しないようにワンウェイクラッチが設けられている。そのため、第1駆動力は、第7〜第9伝達ギア132g〜iを介して伝達されない。また、第1モータ131が第1駆動力を発生させた場合、第11伝達ギア132kが矢印B11の方向に回転することにより、給送ローラ112aは媒体給送方向A2に回転する。同様に、第2モータが第1駆動力を発生させた場合、第12伝達ギア132lが矢印B12の方向に回転することにより、給送ローラ112bは媒体給送方向A2に回転する。
逆に、第1モータ131が第2駆動力を発生させた場合、第1伝達ギア132aが矢印C1の方向に回転し、それに伴い第2〜第3、第7〜第10伝達ギア132b〜c、g〜jがそれぞれ矢印C2〜C3、C7〜C10の方向に回転する。これにより、ブレーキローラ113a及び113bは、媒体給送方向の反対方向A3に回転する。なお、第4伝達ギア132dには、第1シャフト135aが矢印C3の方向に回転したときに、第1シャフト135aの回転に従って第4伝達ギア132dが回転しないようにワンウェイクラッチが設けられている。そのため、第2駆動力は、第4〜第6伝達ギア132d〜fを介して伝達されない。また、第1モータ131が第2駆動力を発生させた場合、第11伝達ギア132k及び第8シャフト135hが矢印C11の方向に回転するが、ワンウェイクラッチ138cの働きにより、給送ローラ112aの外周面138aは、第2駆動力に従って回転しない。同様に、第2モータが第2駆動力を発生させた場合、第12伝達ギア132l及び第9シャフト135iが矢印C12の方向に回転するが、ワンウェイクラッチ138dの働きにより、給送ローラ112bの外周面138bは、第2駆動力に従って回転しない。
また、第1モータ131が第1駆動力を発生させた場合、第4伝達ギア132dが矢印B4の方向に回転することにより、第5伝達ギア132eには矢印B4の方向に向かう力が加えられる。これにより、第5伝達ギア132eが取り付けられた第3側面134cには、第4伝達ギア132dが取り付けられた第1シャフト135aが係合する位置を中心として矢印B4の方向に回転する力が加えられる。その結果、支持部材134には、回転軸Tを中心として矢印D1の方向に回転する力が加えられ、ブレーキローラ113には給送ローラ112から離間する方向(矢印D1の方向)に力が加えられる。
一方、第1モータ131が第2駆動力を発生させた場合、第7伝達ギア132gが矢印C7の方向に回転することにより、第8伝達ギア132hには矢印C7の方向に向かう力が加えられる。これにより、第8伝達ギア132hが取り付けられた第1側面134aには、第7伝達ギア132gが取り付けられた第1シャフト135aが係合する位置を中心として矢印C7の方向に回転する力が加えられる。その結果、支持部材134には、回転軸Tを中心として矢印D2の方向に回転する力が加えられ、ブレーキローラ113には給送ローラ112に向かう方向(矢印D2の方向)に力が加えられる。
このように、ブレーキローラユニット133は、押圧手段の一例であり、ブレーキローラ113を給送ローラ112側に押圧させる。第4〜第6伝達ギア132c〜eは、第1伝達機構の一例であり、第1モータ131からの第1駆動力をブレーキローラ113に伝達して、ブレーキローラ113を媒体給送方向の反対方向A3に回転させる。第4伝達ギア132dは、第1ギアの一例であり、矢印B4の方向に回転する。矢印B4の方向は、第1の方向の一例である。第5伝達ギア132eは、第2ギアの一例であり、第4伝達ギア132dの回転に応じてブレーキローラ113に矢印B4の方向に力を加える。
一方、第7〜第10伝達ギア132g〜jは、第2伝達機構の一例であり、第1モータ131からの第2駆動力をブレーキローラ113に伝達して、ブレーキローラ113を媒体給送方向の反対方向A3に回転させる。第7伝達ギア132gは、第3ギアの一例であり、矢印C7の方向に回転する。矢印C7の方向は、矢印B4の方向とは反対の方向であり、第2の方向の一例である。第8伝達ギア132hは、第4ギアの一例であり、第7伝達ギア132gの回転に応じてブレーキローラ113に矢印C7の方向に力を加える。
第1伝達機構は、第6伝達ギア132fの回転軸である第4シャフト135dに設けられた第1トルクリミッタ136を介して第1駆動力をブレーキローラ113に伝達する。一方、第2伝達機構は、第1トルクリミッタ136を介さずに、且つ、第2トルクリミッタ137a、137bを介して第2駆動力をブレーキローラ113に伝達する。
なお、第1伝達機構及び第2伝達機構の何れが使用される場合も、各駆動力は、第2トルクリミッタ137a、137bを介してブレーキローラ113に伝達される。但し、第1トルクリミッタ136のトルクのリミット値(第1リミット値)は、各第2トルクリミッタ137a、137bのトルクのリミット値の合計(第2リミット値)より小さい。そのため、第1トルクリミッタ136及び第2トルクリミッタ137a、137bの両方を経由する第1伝達機構の全体のトルクのリミット値は、第1リミット値となる。一方、第1トルクリミッタ136を経由せずに第2トルクリミッタ137a、137bのみを経由する第2伝達機構の全体のトルクのリミット値は、第2リミット値となる。即ち、ブレーキローラ113は、第1駆動力と第2駆動力の何れで駆動される場合も、媒体給送方向の反対方向A3に回転するが、第2駆動力で駆動される場合のトルクのリミット値は、第1駆動力で駆動される場合のトルクのリミット値より大きくなる。
第1リミット値は、媒体が一つの場合は第1トルクリミッタ136を介した回転力が絶たれ、媒体が複数の場合は第1トルクリミッタ136を介した回転力が伝達されるような値に設定される。これにより、媒体が一つだけ搬送される場合、ブレーキローラ113は、第1駆動力に従って回転することなく、給送ローラ112に従って従動する。一方、媒体が複数搬送される場合、ブレーキローラ113は、媒体給送方向の反対方向A3に回転し、給送ローラ112と接触している媒体とそれ以外の媒体とを分離して、重送の発生を防止する。このとき、ブレーキローラ113の外周面は、媒体給送方向の反対方向A3に回転せずに停止した状態で、媒体給送方向の反対方向A3の力を媒体に印加してもよい。
一方、第2リミット値は、媒体が複数の場合でも、第2トルクリミッタ137a、137bを介した回転力が伝達されるような値に設定される。したがって、第1モータ131が第2駆動力を発生させた場合、ブレーキローラ113は、第2駆動力に従って媒体給送方向の反対方向A3に回転し、ブレーキローラ113と給送ローラ112の間に存在する媒体を載置台103に戻し、復旧させる。
図8は、第1モータ131が第1駆動力を発生させたときの給送ローラ112及びブレーキローラ113の動きについて説明するための模式図である。
図8に示すように、ブレーキローラ113の支持部材134の上面には、一端が内部筐体102aに支持されたばね134eの他端が取り付けられ、支持部材134は、ばね134eにより給送ローラ112側に向かう方向D3に付勢されている。
上記したように、第1モータ131が第1駆動力を発生させた場合、給送ローラ112は媒体給送方向A2に回転し、且つ、ブレーキローラ113は、媒体給送方向の反対方向A3に回転又は停止するように設けられている。また、ブレーキローラユニット133により、ブレーキローラ113には、給送ローラ112から離間する方向D1に力が加えられる。そのため、ブレーキローラ113は、ばね134eによる付勢力から、ブレーキローラユニット133による回転力を減じた力で給送ローラ112を押圧する。これにより、ブレーキローラ113は、適度な力で給送ローラ112を押圧し、載置台103に載置された媒体群Mから、給送する媒体MAのみを良好に分離することができる。
図9は、第1モータ131が第2駆動力を発生させたときの給送ローラ112及びブレーキローラ113の動きについて説明するための模式図である。
上記したように、第1モータ131が第2駆動力を発生させた場合、ブレーキローラ113は、媒体給送方向の反対方向A3に回転するように設けられている。このとき、ブレーキローラ113にかかるトルクのリミット値は、給送されている媒体が複数の場合でも回転力が伝達されるように設定されている。一方、第1モータ131及び第2モータが第2駆動力を発生させた場合、各給送ローラ112a、112bの回転軸である第8シャフト135h、第9シャフト135iは、媒体給送方向A2の反対方向に回転する。但し、各給送ローラ112a、112bの外周面138a、138bは、ワンウェイクラッチ138c、138dの働きにより、第2駆動力に従っては矢印A2の反対方向に回転しない。したがって、各給送ローラ112a、112bの外周面138a、138bは、各ブレーキローラ113a、113bに従動して、媒体給送方向A2の反対方向に回転する。
各給送ローラ112a、112bの回転軸である第8シャフト135h、第9シャフト135iは、ブレーキローラ113に従動して回転する各給送ローラ112a、112bの外周面138a、138bの回転速度より速い回転速度で回転するように設けられる。これにより、各給送ローラ112a、112bの外周面138a、138bは、ワンウェイクラッチ138c、138dによって阻害されることなく、ブレーキローラ113の外周面の回転に従って回転する。このように、給送ローラ112は、ブレーキローラ113に従動して媒体給送方向A2の反対方向に回転するように設けられている。また、ブレーキローラ113は、給送ローラ112によって負荷を受けることなく、媒体給送方向の反対方向A3に回転する。
したがって、媒体搬送装置100は、ブレーキローラ113と給送ローラ112の間に複数の媒体MBが重送して給送された場合でも、第1モータ131に第2駆動力を発生させることにより、複数の媒体MBを全て載置台103に戻すことができる。また、媒体搬送装置100は、ヒステリシスブレーキ等のトルク制御装置を追加することなく媒体を復旧させることができ、装置のコスト、サイズ及び消費電力が増大することを抑制できる。
また、ブレーキローラ113には、ブレーキローラユニット133によって給送ローラ112に向かう方向D2に力が加えられる。そのため、ブレーキローラ113は、ばね134eによる付勢力に、ブレーキローラユニット133による回転力を加えた力で給送ローラ112を押圧する。即ち、給送される媒体を載置台103に戻すときにブレーキローラ113が給送ローラ112を押圧する押圧力は、媒体を給送するときにブレーキローラ113が給送ローラ112を押圧する押圧力より大きい。したがって、媒体搬送装置100は、給送される媒体を載置台103に戻すときに、ブレーキローラ113及び給送ローラ112による媒体の挟持力を大きくし、媒体を載置台103に戻す力を大きくすることができる。その結果、媒体搬送装置100は、媒体のスリップを抑制することができ、給送される媒体を良好に載置台103に戻すことができる。
特に、媒体搬送装置100では、媒体の載置面103aが媒体搬送装置100の設置面に対して所定角度θだけ傾くように載置台103が設けられ、媒体搬送装置100は、載置台103に載置された媒体の自重を利用して、媒体を下側から順に給送する。このような、いわゆる下取り方式の媒体搬送装置100で重送が発生した場合、載置台103には、重送された媒体MAの上に他の媒体MBが積載されている可能性がある。そのため、重送された媒体MAを載置台103に戻す場合、重送された媒体MAと載置台103に残っている媒体MBの間に摩擦負荷が発生する。媒体搬送装置100は、媒体を載置台103に戻すときのブレーキローラ113の押圧力を大きくすることにより、重送された媒体MBの上に他の媒体MCが積載されている場合でも媒体MBを良好に戻すことができる。また、媒体搬送装置100は、重送された媒体MBを載置台103に戻す際にブレーキローラ113にかかるトルクのリミット値を媒体給送時より増大させることにより、媒体MBをさらに良好に戻すことができる。
仮に、媒体搬送装置が、給送ローラを停止させて、給送ローラに接触している媒体をその位置に残しつつ他の重送された媒体のみを載置台に戻す場合、給送ローラに接触している媒体と他の重送された媒体との間にも摩擦負荷が発生する。一方、本実施形態の媒体搬送装置100は、給送ローラ112をブレーキローラ113に従動させて、重送された全ての媒体MBを載置台103に戻す。そのため、給送ローラ112に接触している媒体と他の重送された媒体との間には摩擦負荷が発生せず、代わりに、給送される媒体MBと載置台103の載置面103aとの間に摩擦負荷が発生する。但し、載置台103は樹脂部材で形成されており、用紙等の媒体と載置面103aとの間に発生する摩擦負荷は、二つの媒体の間に発生する摩擦負荷より十分に小さい(約2/7)。したがって、媒体搬送装置100は、給送ローラに接触している媒体をその位置に残しつつ他の重送された媒体のみを載置台に戻す場合と比較して、より小さい力で媒体を載置台103に戻すことができる。
また、サイズがそれぞれ異なる複数の媒体が載置台103に載置される場合、小さいサイズの媒体が大きいサイズの媒体に埋もれてしまい、先端が揃えられないまま、各媒体が搬送される可能性がある。特に、上側に載置された媒体が、下側に載置された媒体より先行している場合、上側に載置された媒体が下側に載置された媒体より先に給送ローラ112とブレーキローラ113の間を通過してしまい、重送が発生する可能性がある。媒体搬送装置100は、上側に配置されたブレーキローラ113を駆動して、重送した媒体を戻すため、上側に載置された媒体を下側に載置された媒体より強く載置台103側に戻す。これにより、媒体搬送装置100は、載置台103に戻った媒体の先端のずれを低減させ、再給送時に重送が発生する可能性を低減させることができる。
また、媒体搬送装置100では、重送された媒体MBを載置台103に戻す際にも、ブレーキローラ113にかかるトルクにリミット値が設定される。そのため、例えば載置台103に残っている媒体の重量が大きすぎて、重送された媒体を載置台103に良好に戻すことができない場合、媒体搬送装置100は、媒体を強引に復旧させない。これにより、媒体搬送装置100は、媒体の損傷の発生を防止することができる。
なお、各給送ローラ112a、112bは、ワンウェイクラッチ138c、138dを有さず、外周面138a、138bが第8シャフト135h、第9シャフト135iの回転に従って回転するように設けられてもよい。また、給送ローラ112は、第1モータ131が第2駆動力を発生させた場合に、回転せずに停止するように設けられてもよい。
図10は、第1センターセンサ115、第1サイドセンサ116、第2サイドセンサ117及び第2センターセンサ120について説明するための模式図である。図10は、上側筐体102を取り外した状態で下側筐体101を上方から見た模式図である。
図10に示すように、第1センターセンサ115は、媒体搬送方向A1において超音波センサ114より下流側且つ第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ119より上流側に、媒体搬送方向と直交する方向A8において略中央部に配置される。特に、第1センターセンサ115は、媒体搬送方向と直交する方向A8において複数の給送ローラ112a及び112bの外側の端部より内側R1に配置される。なお、第1センターセンサ115は、給送ローラ112a及び112bの中心位置より内側R2、又は、給送ローラ112a及び112bの内側の端部より内側R3に配置されることがより好ましい。第1センターセンサ115は、媒体搬送路に対して一方の側(下側筐体101)に設けられた第1センター発光器115a及び第1センター受光器115bを含む。また、第1センターセンサ115は、媒体搬送路を挟んで第1センター発光器115a及び第1センター受光器115bと対向する位置(上側筐体102)に設けられたミラー等の第1センター反射部材(不図示)を含む。第1センター発光器115aは、媒体搬送路に向けて光を照射する。一方、第1センター受光器115bは、第1センター発光器115aにより照射され、第1センター反射部材により反射された光を受光し、受光した光の強度に応じた電気信号である第1センター信号を生成して出力する。
第1サイドセンサ116及び第2サイドセンサ117は、媒体搬送方向A1において第1センターセンサ115と同一位置又は第1センターセンサ115より下流側に配置される。また、第1サイドセンサ116及び第2サイドセンサ117は、媒体搬送方向と直交する方向A8において、第1センターセンサ115の外側に、第1センターセンサ115に対して間隔を空けて並べて配置される。即ち、第1サイドセンサ116及び第2サイドセンサ117は、媒体搬送方向と直交する方向A8において第1センターセンサ115の両側に配置される。第1、第2サイドセンサ116、117は、それぞれ媒体搬送路に対して一方の側(下側筐体101)に設けられた第1、第2サイド発光器116a、117a及び第1、第2サイド受光器116b、117bを含む。また、第1、第2サイドセンサ116、117は、それぞれ媒体搬送路を挟んで各サイド発光器及び各サイド受光器と対向する位置(上側筐体102)に設けられたミラー等の第1、第2サイド反射部材(不図示)を含む。第1、第2サイド発光器116a、117aは、媒体搬送路に向けて光を照射する。一方、第1、第2サイド受光器116b、117bは、第1、第2サイド発光器116a、117aにより照射され、第1、第2サイド反射部材により反射された光を受光し、受光した光の強度に応じた電気信号である第1、第2サイド信号を生成して出力する。
第2センターセンサ120は、媒体搬送方向A1において第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ119の下流側且つ撮像装置121の上流側に、媒体搬送方向と直交する方向A8において略中央部に配置される。第2センターセンサ120は、媒体搬送路に対して一方の側(下側筐体101)に設けられた第2センター発光器120a及び第2センター受光器120bを含む。また、第2センターセンサ120は、媒体搬送路を挟んで第2センター発光器120a及び第2センター受光器120bと対向する位置(上側筐体102)に設けられたミラー等の第2センター反射部材(不図示)を含む。第2センター発光器120aは、媒体搬送路に向けて光を照射する。一方、第2センター受光器120bは、第2センター発光器120aにより照射され、第2センター反射部材により反射された光を受光し、受光した光の強度に応じた電気信号である第2センター信号を生成して出力する。
第1センターセンサ115、第1サイドセンサ116、第2サイドセンサ117及び第2センターセンサ120の各位置に媒体が存在する場合、各センサの発光器により照射された光はその媒体により遮光される。そのため、各センサの位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで各センサにより生成される信号の信号値は変化する。これにより、第1センターセンサ115、第1サイドセンサ116、第2サイドセンサ117及び第2センターセンサ120は、その位置に媒体が存在するか否かを検出して、給送された媒体を検出する。なお、各センサの発光器及び受光器は、搬送路を挟んで相互に対向する位置に設けられ、反射部材は省略されてもよい。
第1センターセンサ115、第1サイドセンサ116及び第2サイドセンサ117は、媒体の斜行であるスキューを検出するために使用される。第1サイドセンサ116及び第2サイドセンサ117の配置位置が中央側に近い程、小さいサイズの媒体のスキューを検出できる。但し、第1サイドセンサ116及び第2サイドセンサ117の配置位置が中央側に近い程、傾いた媒体の先端が第1サイドセンサ116又は第2サイドセンサ117を通過するタイミングが遅くなり、スキューの検出タイミングが遅くなる。また、第1サイドセンサ116及び第2サイドセンサ117の配置位置が中央側に近い程、第1サイドセンサ116又は第2サイドセンサ117と第1センターセンサ115の間の距離が短くなり、スキューの検出精度が低くなる。一方、第1サイドセンサ116及び第2サイドセンサ117の配置位置が外側に近い程、スキューの検出タイミングが速くなるとともに、スキューの検出精度が高くなるが、小さいサイズの媒体のスキューが検出されなくなる。
一般に、A4サイズ以上の用紙をサポートする媒体搬送装置では、A5サイズの用紙が縦向きに搬送された場合、又は、A6サイズの用紙が横向きに搬送された場合に媒体のスキューが発生し易い。そのため、媒体搬送方向と直交する方向A8において媒体搬送路の中心位置から第1サイドセンサ116及び第2サイドセンサ117までの距離Dは、A5サイズの短手方向の長さ及びA6サイズの長手方向の長さ(148mm)の1/2以下であることが好ましい。例えば、媒体搬送方向と直交する方向A8において媒体搬送路の中心位置から第1サイドセンサ116及び第2サイドセンサ117までの距離Dは、マージンを考慮して、25mm以上且つ75mm以下であるが好ましい。
このように、第1センターセンサ115、第1サイドセンサ116及び第2サイドセンサ117は、媒体搬送方向A1において、給送ローラ112より下流側且つ第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ119より上流側に配置される。これにより、媒体搬送装置100は、媒体が第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ119の位置に到達する前に媒体のスキューを検出し、給送ローラ112を用いて媒体のスキューを補正することができる。
図11は、媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
媒体搬送装置100は、前述した構成に加えて、駆動装置151、インタフェース装置152、記憶装置160及びCPU(Central Processing Unit)170、処理回路180等をさらに有する。
駆動装置151は、駆動力発生部の一例であり、第1駆動力及び第2駆動力を発生する。駆動装置151は、第1モータ131及び第2モータを含む複数のモータを有し、CPU170からの制御信号によって、給送ローラ112、ブレーキローラ113及び第1〜第4搬送ローラ118、119、122、123を回転させて媒体を搬送させる。
インタフェース装置152は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して入力画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置152の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース装置とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。
記憶装置160は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置160には、媒体搬送装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置160にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD−ROM(compact disc read only memory)、DVD−ROM(digital versatile disc read only memory)等である。
CPU170は、予め記憶装置160に記憶されているプログラムに基づいて動作する。なお、CPU170に代えて、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)等が用いられてもよい。また、CPU170に代えて、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
CPU170は、操作装置105、表示装置106、媒体検出センサ111、超音波センサ114、第1センターセンサ115、第1サイドセンサ116、第2サイドセンサ117、第2センターセンサ120、撮像装置121、駆動装置151、インタフェース装置152、記憶装置160及び処理回路180等と接続され、これらの各部を制御する。CPU170は、駆動装置151の駆動制御、撮像装置121の撮像制御等を行い、入力画像を取得し、インタフェース装置152を介して情報処理装置に送信する。また、CPU170は、第1センターセンサ115、第1サイドセンサ116又は第2サイドセンサ117により生成される信号に基づいて、給送される媒体のスキューを検出し、媒体のスキューを補正する。また、CPU170は、超音波センサ114により生成される信号に基づいて、給送される媒体の重送を検出し、重送が検出された場合、媒体を復旧させる。
処理回路180は、撮像装置121により撮像された画像に所定の画像処理を実行し、画像処理が実行された画像を記憶装置160に格納する。なお、処理回路180の代わりに、DSP、LSI,ASIC又はFPGA等が用いられてもよい。
図12は、記憶装置160及びCPU170の概略構成を示す図である。
図12に示すように、記憶装置160には、制御プログラム161、画像取得プログラム162、重送検出プログラム163及びスキュー検出プログラム164等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。CPU170は、記憶装置160に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、CPU170は、制御部171、画像取得部172、重送検出部173及びスキュー検出部174として機能する。
図13は、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
以下、図13に示したフローチャートを参照しつつ、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置160に記憶されているプログラムに基づき主にCPU170により媒体搬送装置100の各要素と協働して実行される。図13に示す動作のフローは、定期的に実行される。
最初に、制御部171は、利用者により操作装置105を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を操作装置105から受信するまで待機する(ステップS101)。
次に、制御部171は、媒体検出センサ111から媒体検出信号を取得し、取得した第1媒体検出信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。
載置台103に媒体が載置されていない場合、制御部171は、ステップS101へ処理を戻し、操作装置105から新たに操作信号を受信するまで待機する。
一方、載置台103に媒体が載置されている場合、制御部171は、駆動装置151を駆動して、給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1〜第4搬送ローラ118、119、122及び123を回転させて、媒体を給送及び搬送させる(ステップS103)。制御部171は、第1モータ131及び第2モータに第1駆動力を発生させて、給送ローラ112が媒体給送方向A2に回転し、ブレーキローラ113が媒体給送方向の反対方向A3に回転するように制御する。即ち、制御部171は、媒体を給送する場合、第1伝達機構により第1駆動力をブレーキローラ113に伝達させる。
次に、制御部171は、重送フラグがONであるか否かを判定する(ステップS104)。重送フラグは、媒体毎の読取開始時にOFFに設定され、後述する重送検出処理で重送検出部173により重送が発生したと判定されるとONに設定される。
重送フラグがOFFであった場合、画像取得部172は、搬送された媒体を撮像装置121に撮像させて、入力画像を取得する(ステップS105)。
画像取得部172は、第2センターセンサ120から第2センター信号を取得し、取得した第2センター信号に基づいて、第2センターセンサ120の位置に媒体が存在するか否かを判定する。画像取得部172は、第2センター信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から媒体が存在することを示す値に変化したときに、媒体の先端が第2センターセンサ120の位置を通過したと判定し、撮像装置121に撮像を開始させる。一方、画像取得部172は、第2センター信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から媒体が存在しないことを示す値に変化したときに、媒体の後端が第2センターセンサ120の位置を通過したと判定する。画像取得部172は、媒体の後端が第2センターセンサ120の位置を通過したと判定してから所定期間経過後に、撮像装置121に撮像を終了させる。
次に、画像取得部172は、入力画像を、インタフェース装置152を介して情報処理装置へ送信する(ステップS106)。なお、情報処理装置と接続されていない場合、画像取得部172は、入力画像を記憶装置160に記憶しておく。
次に、制御部171は、媒体検出センサ111から取得する媒体検出信号に基づいて載置台103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS107)。載置台103に媒体が残っている場合、制御部171は、ステップS104へ処理を戻し、ステップS104〜S107の処理を繰り返す。
一方、載置台103に媒体が残っていない場合、制御部171は、駆動装置151を停止し(ステップS108)、一連のステップを終了する。
一方、ステップS104で重送フラグがONであった場合、制御部171は、異常処理として、駆動装置151を停止して、媒体の給送を停止させるとともに、重送フラグをOFFに設定する(ステップS109)。なお、制御部171は、不図示のスピーカ、LED等により、異常が発生したことを利用者に通知してもよい。
次に、制御部171は、駆動装置151を駆動して、給送ローラ112及びブレーキローラ113を回転させて、給送される媒体を載置台103に向けて搬送させる(ステップS110)。制御部171は、第1モータ131及び第2モータに第2駆動力を発生させて、給送ローラ112が媒体給送方向A2の反対方向に回転し、ブレーキローラ113が媒体給送方向の反対方向A3に回転するように制御する。これにより、制御部171は、給送される媒体を載置台103に戻すように給送ローラ112及びブレーキローラ113を制御する。
即ち、制御部171は、媒体の重送が検出された場合、第2伝達機構により第2駆動力をブレーキローラ113に伝達させるとともに、給送ローラ112がブレーキローラ113に従動して媒体給送方向A2の反対方向に回転するように制御する。上記したように、制御部171は、ブレーキローラ113に従動して回転する給送ローラ112の外周面138a、138bの回転速度より速い回転速度で各給送ローラ112の回転軸(第8シャフト135h及び第9シャフト135i)が回転するように制御する。
また、制御部171は、第1モータ131からの駆動力をブレーキローラ113に伝達する伝達機構として、第1伝達機構と第2伝達機構とを切り替えることにより、ブレーキローラ113が給送ローラ112を押圧する押圧力を変更する。上記したように、第2伝達機構を使用して、給送される媒体を載置台103に戻すときのブレーキローラ113の押圧力は、第1伝達機構を使用して、媒体を給送するときのブレーキローラ113の押圧力より大きい。即ち、制御部171は、給送される媒体を載置台103に戻すときのブレーキローラ113の押圧力が、媒体を給送するときのブレーキローラ113の押圧力より大きくなるように、ブレーキローラユニット133を制御する。
次に、制御部171は、一定時間(例えば3秒間)、給送ローラ112及びブレーキローラ113を回転させてから駆動装置151を停止することにより、媒体を載置台103に戻し(ステップS108)、一連のステップを終了する。なお、制御部171は、重送検出処理で、重送検出部173により重送が発生していない(解消した)と判定されるまで給送ローラ112及びブレーキローラ113を回転させてから駆動装置151を停止してもよい。また、制御部171は、媒体を載置台103に戻した後、処理をステップS103へ戻し、自動的に媒体を再給送してもよい。これにより、利用者は、媒体を再給送する必要がなくなり、制御部171は、利用者の利便性を向上させることが可能となる。
図14は、重送検出処理の動作の例を示すフローチャートである。
以下、図14に示したフローチャートを参照しつつ、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を説明する。以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置160に記憶されているプログラムに基づき主にCPU170により媒体搬送装置100の各要素と協働して実行される。図14に示すフローチャートは、媒体搬送中に定期的に実行される。なお、図14に示すフローチャートは、媒体の先端が第1センターセンサ115を通過してから第2センターセンサ120を通過するまでの間のみ、実行されてもよい。
最初に、重送検出部173は、超音波センサ114から超音波信号を取得する(ステップS201)。
次に、重送検出部173は、取得した超音波信号の信号値が重送判定閾値未満であるか否かを判定する(ステップS202)。
図15は、超音波信号の特性について説明するための模式図である。
図15のグラフ1500において、実線1501は媒体として一枚の用紙が搬送されている場合の超音波信号の特性を示し、点線1502は用紙の重送が発生している場合の超音波信号の特性を示す。グラフ1500の横軸は時間を示し、縦軸は超音波信号の信号値を示す。重送が発生していることにより、区間1503において点線1502の超音波信号の信号値が低下している。重送判定閾値は、一枚の用紙が搬送されているときの超音波信号の信号値S1と、用紙の重送が発生しているときの超音波信号の信号値S2との間の値に設定される。重送検出部173は、超音波信号の信号値が重送判定閾値未満であるか否かを判定することによって媒体の重送が発生したか否かを判定することができる。
重送検出部173は、超音波信号の信号値が重送判定閾値以上である場合、重送が発生していないと判定し(ステップS203)、一連のステップを終了する。
一方、重送検出部173は、超音波信号の信号値が重送判定閾値未満である場合、重送が発生していると判定する(ステップS204)。次に、重送検出部173は、重送フラグをONに設定し(ステップS205)、一連のステップを終了する。このように、重送検出部173は、超音波センサ114により生成された超音波信号に基づいて、給送される媒体の重送を検出する。
図16は、スキュー検出処理の動作の例を示すフローチャートである。
以下、図16に示したフローチャートを参照しつつ、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を説明する。以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置160に記憶されているプログラムに基づき主にCPU170により媒体搬送装置100の各要素と協働して実行される。図16に示すフローチャートは、定期的に実行される。
最初に、スキュー検出部174は、第1センターセンサ115、第1サイドセンサ116及び第2サイドセンサ117から、それぞれ第1センター信号、第1サイド信号及び第2サイド信号を取得する(ステップS301)。
次に、スキュー検出部174は、第1センター信号、第1サイド信号及び第2サイド信号に基づいて、媒体の先端が第1センターセンサ115、第1サイドセンサ116及び第2サイドセンサ117をそれぞれ通過した通過時刻を検出する(ステップS302)。
スキュー検出部174は、現在までに取得した各第1センター信号において、信号値が、媒体が存在しない状態を示す値から媒体が存在する状態を示す値に変化した時刻を第1センターセンサ115の通過時刻として検出する。同様に、スキュー検出部174は、現在までに取得した各第1サイド信号において、信号値が、媒体が存在しない状態を示す値から媒体が存在する状態を示す値に変化した時刻を第1サイドセンサ116の通過時刻として検出する。同様に、スキュー検出部174は、現在までに取得した各第2サイド信号において、信号値が、媒体が存在しない状態を示す値から媒体が存在する状態を示す値に変化した時刻を第2サイドセンサ117の通過時刻として検出する。
次に、スキュー検出部174は、スキューフラグがOFFであるか否かを判定する(ステップS303)。スキューフラグは、媒体毎の読取開始時にOFFに設定され、スキュー検出処理でスキューが発生したと判定されるとONに設定される。
スキューフラグがOFFであった場合、スキュー検出部174は、媒体が第1サイドセンサ116及び第2サイドセンサ117の位置より第1センターセンサ115の位置を先に通過したか否かを判定する(ステップS304)。スキュー検出部174は、第1センターセンサ115の通過時刻が、各サイドセンサの通過時刻の内の早い方の時刻より前であるか否かにより、媒体が第1センターセンサ115の位置を先に通過したか否かを判定する。
媒体が第1センターセンサ115の位置を先に通過した場合、スキュー検出部174は、媒体のスキューが発生しているか否かを判定しないことを決定し(ステップS305)、一連のステップを終了する。即ち、スキュー検出部174は、第1サイドセンサ116及び第2サイドセンサ117の内の何れかが媒体を検出する前に第1センターセンサ115が媒体を検出した場合、媒体のスキューが発生しているか否かを判定しない。この場合、制御部171は、媒体のスキューを補正せず、複数の給送ローラ112の周速度を相互に異ならせない。
図17A及び図17Bは、第1センターセンサ115に先に検出される媒体について説明するための模式図である。図17A及び図17Bは、図10と同様に、上側筐体102を取り外した状態で下側筐体101を上方から見た模式図である。
図17Aは、媒体M1が第2サイドセンサ117側に向かって傾いて給送されている例を示し、図17Bは、媒体M2が第1サイドセンサ116側に向かって傾いて給送されている例を示す。図17Aに示す媒体M1も、図17Bに示す媒体M2も、第1サイドセンサ116及び第2サイドセンサ117より先に第1センターセンサ115によって検出される。即ち、第1センターセンサ115が媒体を最初に検出した場合、スキュー検出部174は、媒体が傾いている方向を特定することができない。スキュー検出部174は、第1センターセンサ115が媒体を最初に検出した場合、媒体のスキューが発生しているか否かを判定しないことにより、制御部171が媒体のスキューを誤って補正することを防止できる。
一方、媒体が第1サイドセンサ116又は第2サイドセンサ117の位置を先に通過した場合、スキュー検出部174は、ステップS302で検出した各通過時刻に基づいて、媒体のスキューが発生しているか否かを判定する(ステップS306)。スキュー検出部174は、第1サイドセンサ116の通過時刻又は第2サイドセンサ117の通過時刻の内の早い方の時刻から所定時間が経過するまでに媒体の先端が第1センターセンサ115を通過しなかった場合、スキューが発生していると判定する。即ち、スキュー検出部174は、第1サイドセンサ116及び第2サイドセンサ117の内の何れかが媒体を検出してから所定時間内に第1センターセンサ115が媒体を検出しない場合、スキューが発生していると判定する。所定時間は、事前の実験により、媒体が傾いて搬送路の側壁に衝突する場合の第1又は第2サイドセンサ116又は117の通過時刻と第1センターセンサ115の通過時刻の差と、媒体が搬送路の側壁に衝突しない場合の各通過時刻の差との間の値に設定される。所定時間は例えば1秒間に設定される。なお、所定時間は0に設定されてもよい。その場合、スキュー検出部174は、媒体がわずかでも傾いて搬送された場合、スキューが発生していると判定し、制御部171は、媒体のスキューを補正する。
このように、スキュー検出部174は、第1センターセンサ115から取得した第1センター信号、第1サイドセンサ116から取得した第1サイド信号及び第2サイドセンサ117から取得した第2サイド信号に基づいて、給送される媒体のスキューを検出する。
スキュー検出部174は、媒体のスキューが発生していないと判定した場合、媒体が正常に搬送されているか否かを判定する(ステップS307)。スキュー検出部174は、第1サイドセンサ116の通過時刻又は第2サイドセンサ117の通過時刻の内の早い方の時刻から所定時間が経過するまでに媒体の先端が第1センターセンサ115を通過した場合、媒体が正常に搬送されていると判定する。この場合、スキュー検出部174は、スキュー検出処理を終了し、一連のステップを終了する。一方、スキュー検出部174は、第1サイドセンサ116の通過時刻又は第2サイドセンサ117の通過時刻の内の早い方の時刻から所定時間が経過しておらず且つ媒体の先端が第1センターセンサ115を通過していない場合、処理をステップS301へ戻す。即ち、この場合、スキュー検出部174は、まだ、スキューが発生している又は媒体が正常に搬送されていると判定しない。
一方、スキュー検出部174は、媒体のスキューが発生していると判定した場合、即ち媒体のスキューを検出した場合、スキューフラグをONに設定する(ステップS308)。
次に、制御部171は、媒体のスキューの補正を開始し(ステップS309)、処理をステップS301へ移行する。制御部171は、複数の給送ローラ112a、112bの周速度を相互に異ならせることにより、媒体のスキューを補正する。制御部171は、媒体搬送方向と直交する方向A8において、媒体の進行が遅れている側に配置された給送ローラ112の周速度が、先行している側に配置された給送ローラ112の周速度より速く(高く)なるように、各給送ローラ112の周速度を変更する。制御部171は、媒体の進行が遅れている側に配置された給送ローラ112の周速度を速く(高く)し、且つ/又は、先行している側に配置された給送ローラ112の周速度を遅く(低く)する。制御部171は、例えば媒体の進行が遅れている側に配置された給送ローラ112の周速度が、先行している側に配置された給送ローラ112の周速度の3倍以上且つ10倍以下になるように各周速度を設定する。
図18は、媒体の傾きと各センサの通過時刻との関係について説明するための模式図である。図18は、図10と同様に、上側筐体102を取り外した状態で下側筐体101を上方から見た模式図である。
図18に示すように、媒体Mが第2サイドセンサ117側に向かって傾いて給送されている場合、媒体Mの先端は、第1サイドセンサ116を通過した後で、第1センターセンサ115を通過する。その場合、媒体Mの傾きが大きい程、第1サイドセンサ116を通過してから第1センターセンサ115を通過するまでの時間は増大する。
したがって、制御部171は、第1サイドセンサ116の通過時刻から所定時間内に媒体の先端が第1センターセンサ115を通過しなかった場合、媒体は、第2サイドセンサ117側に向かって傾いて給送されていると判定する。その場合、制御部171は、第2サイドセンサ117側に配置された給送ローラ112bの周速度が、第1サイドセンサ116側に配置された給送ローラ112aの周速度より速く(高く)なるように、各給送ローラ112の周速度を変更する。これにより、媒体は、第1サイドセンサ116の方向A9に向かって回転し、媒体のスキューが補正される。
逆に、制御部171は、第2サイドセンサ117の通過時刻から所定時間内に媒体の先端が第1センターセンサ115を通過しなかった場合、媒体は、第1サイドセンサ116側に向かって傾いて給送されていると判定する。その場合、制御部171は、第1サイドセンサ116側に配置された給送ローラ112aの周速度が、第2サイドセンサ117側に配置された給送ローラ112bの周速度より速く(高く)なるように、各給送ローラ112の周速度を変更する。これにより、媒体は、第2サイドセンサ117の方向に向かって回転し、媒体のスキューが補正される。
上記したように、各給送ローラ112a、112bは、別個の第1モータ131及び第2モータにより、それぞれ独立に回転して媒体を給送するように設けられている。一方、各ブレーキローラ113a、113bには、それぞれ第2トルクリミッタ137a、137bが別個に設けられているため、各ブレーキローラ113a、113bは、各給送ローラ112a、112bに従って独立に従動回転する。仮に、各ブレーキローラ113a、113bが独立に従動回転しない場合、各給送ローラ112の周速度が異なっていても、各ブレーキローラ113a、113bにより媒体にかかる媒体給送方向の反対方向A3の搬送負荷(媒体の分離力)は同程度になる。そのため、周速度が低い方の給送ローラ112側のサイドセンサの方向(図18の例では方向A9)に向かって媒体を回転させる力が低減し、媒体のスキューは補正されにくくなる。
一方、各ブレーキローラ113が独立に従動回転する場合、各ブレーキローラ113により媒体にかかる媒体給送方向の反対方向A3の搬送負荷は、各ブレーキローラ113に対向する給送ローラ112の周速度によって異なる。即ち、周速度が低い方の給送ローラ112と対向するブレーキローラ113により媒体にかかる媒体給送方向の反対方向A3の搬送負荷は、他方のブレーキローラ113により媒体にかかる媒体給送方向の反対方向A3の搬送負荷より小さくなる。したがって、周速度が低い方の給送ローラ112側のサイドセンサの方向(図18の例では方向A9)に向かって媒体を回転させる力が増大し、媒体のスキューは補正され易くなる。
なお、制御部171は、第1サイドセンサ116の通過時刻又は第2サイドセンサ117の通過時刻から第1センターセンサ115の通過時刻までの時間が大きい程、各給送ローラ112の周速度の差が大きくなるように、各周速度を設定してもよい。これにより、制御部171は、より短時間に媒体のスキューを補正することができる。また、制御部171は、先行している側に配置された給送ローラ112の周速度を0に設定してもよい。これにより、媒体搬送方向と直交する方向A8において、先行している側の媒体部分をその位置に留めたまま、遅れている側の媒体部分を進行させることができるため、媒体のスキューをより確実に補正することができる。または、制御部171は、複数の給送ローラ112a及び給送ローラ112bの両方の周速度を0より大きく且つ相互に異なる値に設定してもよい。これにより、制御部171は、媒体のスキューを補正しつつ媒体を搬送できるため、より短時間に媒体を搬送することができる。
一方、ステップS303でスキューフラグがONであった場合、制御部171は、ステップS302で検出した各通過時刻に基づいて、媒体のスキューの補正に成功したか否かを判定する(ステップS310)。制御部171は、ステップS309でスキューの補正を開始してから第2所定時間内に、媒体の先端が、第1センターセンサ115を通過した場合、媒体のスキューの補正に成功したと判定する。なお、制御部171は、ステップS307でスキューの補正を開始してから第2所定時間内に、媒体の先端が、媒体の進行が遅れている側に配置されたサイドセンサを通過した場合も、媒体のスキューの補正に成功したと判定してもよい。第2所定時間は、例えば1秒間に設定される。
媒体のスキューの補正に成功したと判定した場合、制御部171は、さらに特定時間が経過するまで待機する(ステップS311)。
先行している側に配置された給送ローラ112の周速度が0より大きい値に設定されている場合、媒体のスキューの補正中に、先行している側の媒体部分も進行する。先行している側の媒体部分は、スキューの補正を開始してから遅れている側の媒体部分が第1センターセンサ115等を通過するまでの時間Tの間に、先行している側に配置された給送ローラ112の周速度VAに時間Tを乗算した距離(VA×T)だけ進行している。遅れている側の媒体部分と、先行している側の媒体部分との差は、遅れている側に配置された給送ローラ112の周速度VBから先行している側に配置された給送ローラ112の周速度VAを減算した速度(VB−VA)で縮まっていく。
そのため、制御部171は、第1センターセンサ115等が媒体を検出した後も、以下の式(1)により算出される特定時間が経過するまでは、各給送ローラ112を、設定した周速度で回転させて、媒体のスキューの補正を続行させる。
(特定時間)=(VA×T)/(VB−VA) (1)
これにより、制御部171は、遅れている側の媒体部分を先行している側の媒体部分に追いつかせることができる。なお、ステップS311の処理は省略されてもよい。
次に、制御部171は、各給送ローラ112の周速度を元の周速度に戻して、媒体のスキューの補正を終了し(ステップS312)、一連のステップを終了する。このように、制御部171は、スキューが発生していると判定された場合、少なくとも第1センターセンサ115が媒体を検出するまで給送ローラ112a、112bの周速度を相互に異ならせる。特に、制御部171は、スキューが発生していると判定された場合、第1センターセンサ115が媒体を検出してから特定時間が経過するまで給送ローラ112a、112bの周速度を相互に異ならせる。
一方、ステップS310で媒体のスキューの補正に成功したと判定しなかった場合、制御部171は、媒体のスキューの補正を開始してから第2所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS313)。まだ媒体のスキューの補正を開始してから第2所定時間が経過していない場合、制御部171は、処理をステップS301へ移行する。
一方、媒体のスキューの補正を開始してから第2所定時間が経過した場合、制御部171は、媒体のスキューの補正に失敗したと判定する(ステップS314)。
次に、制御部171は、撮像装置121による媒体搬送方向A1の撮像範囲を変更し(ステップS315)、一連のステップを終了する。
上記したように、媒体のスキューが発生していない場合、撮像装置121は、媒体の先端が第2センターセンサ120の位置を通過したときに撮像を開始し、媒体の後端が第2センターセンサ120の位置を通過してから所定期間経過後に撮像を終了する。しかしながら、媒体のスキューが発生している場合、媒体の先端が第2センターセンサ120の位置を通過したときには、先行している媒体部分が撮像装置121の位置に到達している可能性がある。また、媒体の後端が第2センターセンサ120の位置を通過してから所定期間経過したときに、遅れている媒体部分が撮像装置121の位置に残っている可能性がある。
そのため、制御部171は、撮像装置121による媒体搬送方向A1の撮像範囲を、媒体のスキューが発生していない場合の撮像範囲より大きくする。例えば、制御部171は、媒体の先端が第2センターセンサ120の位置を通過する前に、例えば媒体のスキューの補正に失敗したと判定した直後に撮像装置121に撮像を開始させる。また、制御部171は、媒体の後端が第2センターセンサ120の位置を通過してから、所定期間より長い第2所定期間経過後に、撮像装置121に撮像を終了させる。これにより、制御部171は、スキューが発生している媒体全体が入力画像に含まれるように、撮像装置121に媒体を撮像させることができる。
なお、媒体搬送装置100は、第1センターセンサ115、第1サイドセンサ116及び第2サイドセンサ117としてエンコーダを使用して、媒体のスキューを検出してもよい。その場合、媒体搬送装置100は、媒体搬送方向A1において給送ローラ112と第1搬送ローラ118の間に配置され且つ媒体搬送方向と直交する方向A8に間隔を空けて並べて配置された複数のエンコーダを有する。各エンコーダは、多数のスリット(光の透過穴)が形成され且つ搬送される媒体に従って回転するように設けられた円板と、その円板を挟んで対向するように設けられた発光器及び受光器とを有する。各受光器は、一定期間毎に、各発光器と各受光器の間にスリットが存在する状態と、スリットが存在せずに円板により遮られている状態との変化回数に基づいて媒体の移動距離を検出する。スキュー検出部174は、各エンコーダにより検出された移動距離が閾値を超えた場合に、その位置を媒体が通過したと判定する。
以上詳述したように、媒体搬送装置100は、両サイドに配置された二つのサイドセンサの何れかが媒体を検出してから所定時間内に、中央部に配置された第1センターセンサ115が媒体を検出しない場合に、スキューが発生したと判定する。そして、媒体搬送装置100は、少なくとも第1センターセンサ115が媒体を検出するまでスキューを補正する。媒体搬送装置100は、三つのセンサを用いてスキューを検出することにより、給送される媒体の角が二つのサイドセンサの間に搬送された場合に、スキューを誤って補正し、媒体の傾きがより大きくなってしまうことを防止できる。したがって、媒体搬送装置100は、媒体のスキューをより高精度に検出して、より良好に補正することが可能となり、その結果、媒体をより適切に搬送させることが可能となった。
これにより、媒体搬送装置100は、媒体全体が撮像されないこと、又は、媒体のジャムが発生することを抑制することが可能となった。さらに、媒体搬送装置100は、媒体読取前に媒体のスキューを検出して自動的に補正することにより、媒体のスキューが発生したときに利用者に媒体を再搬送させる必要がなくなり、利用者の利便性を向上させることが可能となった。
また、媒体搬送装置100は、三つのセンサを用いてスキューを検出することにより、媒体が傾いている方向を正しく検出して、媒体の傾きを正しく補正することが可能となった。また、媒体搬送装置100は、三つのセンサを用いてスキューを検出することにより、両方のサイドセンサの位置を通過しないような、小さい媒体、載置台103の中央に載置されていない媒体又は角が折れている媒体に対しても、スキューを検出して補正できる。したがって、媒体搬送装置100は、様々な種類の媒体に対して、高精度にスキューを検出して良好に補正することが可能となった。
また、媒体搬送装置100は、給送される媒体を載置台103に戻すときのブレーキローラ113の押圧力が、媒体を給送するときのブレーキローラ113の押圧力より大きくなるように、ブレーキローラ113を給送ローラ112側に押圧させる。これにより、媒体搬送装置100は、給送される媒体を載置台103に戻す力を大きくすることが可能となり、媒体の重送が発生した場合に、媒体をより適切に復旧させることが可能となった。
これにより、利用者は、媒体の重送が発生した場合に筐体内から媒体を取り出して載置台103に再セットする必要がなくなり、媒体搬送装置100は、利用者の利便性を向上させることが可能となった。また、利用者による媒体の再セットの必要がなくなるため、媒体搬送装置100は、トータルとして読取処理速度を向上させることが可能となった。また、媒体搬送装置100は、ブレーキローラ113の押圧力を変更するための特別な部品を使用することなく、ブレーキローラ113の押圧力を変更することが可能となり、装置サイズ及び装置コストの増大を抑制できる。
図19及び図20は、他の実施形態に係る媒体搬送装置のブレーキローラ113の駆動機構について説明するための模式図である。図19及び図20は、それぞれ、上側ガイド107bを取り外した状態で搬送路側からブレーキローラ113の駆動機構を見た斜視図である。
図19及び図20に示すように、本実施形態に係るブレーキローラ113の駆動機構は、ブレーキローラユニット133に代えて、ブレーキローラユニット233を有している。ブレーキローラユニット233は、第3〜第10伝達ギア232c〜j、第13〜第17伝達ギア232m〜q、支持部材234、第1〜第7シャフト235a〜g、第10〜第11シャフト235j〜k、第1トルクリミッタ236、第2トルクリミッタ237a〜b及び電磁クラッチ239等を有している。なお、第2シャフト235bは図示されていないが、第2シャフト135bと同様に、内部筐体102aと支持部材234の間に回転軸Tに沿って設けられ、支持部材234を、回転軸Tを中心として回転(揺動)可能に支持している。
支持部材234は、支持部材134と同様の構成を有する。但し、支持部材234には第2〜第4側面234b〜dが形成されるが、第1側面134aは形成されない。代わりに、ブレーキローラユニット233は、支持部材234に固定されていない第1側面234aを有する。第1側面234aは、第1シャフト235aを介して内部筐体102aの第1側面102bに取り付けられている。第1シャフト235aは、回転軸Tに沿って設けられており、第1側面234aは、回転軸Tを中心として回転(揺動)可能に内部筐体102aに支持される。また、支持部材234には、第1側面234a及び第7〜第9伝達ギア232g〜iと対向する位置に凹部234fが形成される。
第1シャフト235aには、第3伝達ギア232c及び第4伝達ギア232dが取り付けられている。但し、第4伝達ギア232dは、第1シャフト235aの回転に従って回転しないように、ベアリング等を介して第1シャフト235aに取り付けられている。第1シャフト235aには、さらに第13伝達ギア232mが取り付けられており、第13伝達ギア232mは第14伝達ギア232nと係合され、第14伝達ギア232nは第15伝達ギア232oと係合される。第15伝達ギア232oは第10シャフト235jに取り付けられる。第10シャフト235jは、電磁クラッチ239を介して、第10シャフト235jと同一軸上に設けられた第11シャフト235kと係合される。第11シャフト235kには第16伝達ギア232pが取り付けられ、第16伝達ギア232pは第17伝達ギア232qと係合され、第17伝達ギア232qは第4伝達ギア232dと係合される。
第5〜第6伝達ギア232e〜f、第3〜第5シャフト235c〜e、第1〜第2トルクリミッタ236、237a〜bの構成及び配置関係は、第5〜第6伝達ギア132e〜f、第3〜第5シャフト135c〜e、第1〜第2トルクリミッタ136、137a〜bの構成及び配置関係と同様である。
また、第1シャフト235aには第7伝達ギア232gが取り付けられている。但し、第7伝達ギア232gは、第1シャフト235aの回転に従って回転するように、ワンウェイクラッチを介さずに第1シャフト235aに取り付けられている。第1側面234aに対する第7〜第9伝達ギア232g〜i及び第6〜第7シャフト235f〜gの配置関係は、第1側面134aに対する第7〜第9伝達ギア132g〜i及び第6〜第7シャフト135f〜gの配置関係と同様である。第9伝達ギア232iは第10伝達ギア232jと係合され、第10伝達ギア232jは第5シャフト235eに取り付けられている。
図21A及び図21Bは、第1側面234aの動きについて説明するための模式図である。図21A及び図21Bは、第1側面234aを側方から見た模式図である。図21Aは、第7伝達ギア232gが矢印B7の方向に回転した場合の第1側面234aの状態を示し、図21Bは、第7伝達ギア232gが矢印C7の方向に回転した場合の第1側面234aの状態を示す。
図21Aに示すように、第7伝達ギア232gが矢印B7の方向に回転した場合、第7伝達ギア232gに係合する第8伝達ギア232hは、第7伝達ギア232gの回転に従って、矢印B7の方向に移動(公転)する。第8伝達ギア232hの回転軸である第6シャフト235fが取り付けられた第1側面234aは、第8伝達ギア232hの移動に伴って、第1シャフト235aの回転軸Tを中心として、矢印B7の方向に回転する。第1側面234aは、内部筐体102aに設けられたストッパ202dに当接する位置で停止する。これにより、第9伝達ギア232iは、第10伝達ギア232jから離間する。そのため、第8伝達ギア232h及び第9伝達ギア232iは、第7伝達ギア232gの回転に従ってそれぞれ回転(自転)するが、その回転による駆動力は第10伝達ギア232jには伝達されない。
一方、図21Bに示すように、第7伝達ギア232gが矢印C7の方向に回転した場合、第7伝達ギア232gに係合する第8伝達ギア232hは、第7伝達ギア232gの回転に従って、矢印C7の方向に移動(公転)する。第8伝達ギア232hの回転軸である第6シャフト235fが取り付けられた第1側面234aは、第8伝達ギア232hの移動に伴って、第1シャフト235aの回転軸Tを中心として、矢印C7の方向に回転する。第1側面234aは、第9伝達ギア232iの外径の大きい方のギア部分が第10伝達ギア232jと係合する位置で停止する。これにより、第9伝達ギア232iは、第10伝達ギア232jに係合する。したがって、第8伝達ギア232h、第9伝達ギア232i及び第10伝達ギア232jは、第7伝達ギア232gの回転に従って、それぞれ矢印C8〜C10の方向に回転(自転)する。このように、第7伝達ギア232gは太陽ギアとして機能し、第8伝達ギア232h及び第9伝達ギア232iは遊星ギアとして機能する。
図19は、第1モータ131が第1駆動力を発生させた場合のブレーキローラユニット233の状態を示している。第1モータ131が第1駆動力を発生させるとき、電磁クラッチ239は連結状態に設定される。この場合、第3伝達ギア232c及び第1シャフト235aが矢印B3の方向に回転し、それに伴い第13〜第17伝達ギア232m〜qがそれぞれ矢印B13〜B17の方向に回転し、第4〜第6伝達ギア232d〜fがそれぞれ矢印B4〜B6の方向に回転する。これにより、ブレーキローラ113は、媒体給送方向の反対方向A3に回転する。なお、第1シャフト235aが矢印B3の方向に回転することにより、第7伝達ギア232gは矢印B7の方向に回転し、第9伝達ギア232iは第10伝達ギア232jから離間する。そのため、第1駆動力は、第7〜第9伝達ギア232g〜iを介して伝達されない。
図20は、第1モータ131が第2駆動力を発生させた場合のブレーキローラユニット233の状態を示している。第1モータ131が第2駆動力を発生させるとき、電磁クラッチ239は切断状態に設定される。この場合、第3伝達ギア232c及び第1シャフト235aが矢印C3の方向に回転し、第7伝達ギア232gが矢印C7の方向に回転することにより、第9伝達ギア232iが第10伝達ギア232jに係合する。そのため、第8〜第10伝達ギア232h〜jがそれぞれ矢印C8〜C10の方向に回転する。これにより、ブレーキローラ113は、媒体給送方向の反対方向A3に回転する。なお、第10伝達ギア232jが矢印C10の方向に回転することにより、第6〜第4伝達ギア232f〜d及び第17〜第16伝達ギア232q〜pが回転する。一方、第1シャフト235aが矢印C3の方向に回転することにより、第13〜第15伝達ギア232m〜oが回転する。しかしながら、電磁クラッチ239が切断状態に設定されているため、それらの回転による駆動力は伝達されない。
第1モータ131が第1駆動力を発生させた場合、ブレーキローラユニット133と同様にして、ブレーキローラユニット233によって、ブレーキローラ113に給送ローラ112から離間する方向D1に力が加えられる。一方、第1モータ131が第2駆動力を発生させた場合、第7伝達ギア232gが矢印C7の方向に回転する。これにより、第1側面234aに回転軸Tを中心として矢印C7の方向に回転する力が加えられ、第9伝達ギア232iには第10伝達ギア232jに向かう方向に力が加えられる。その結果、第9伝達ギア232iから第10伝達ギア232jに押圧力が加えられ、ブレーキローラ113には給送ローラ112に向かう方向D2に力が加えられる。
この実施形態では、ブレーキローラユニット233が押圧手段の一例である。また、第4〜第6伝達ギア232d〜fが第1伝達機構の一例であり、第4伝達ギア232dが第1ギアの一例であり、第5伝達ギア232eが第2ギアの一例である。一方、第7〜第10伝達ギア232g〜jが第2伝達機構の一例であり、第7伝達ギア232gが第3ギアの一例であり、第8伝達ギア232h及び第9伝達ギア232iが第4ギアの一例である。また、第8伝達ギア232h及び第9伝達ギア232iは遊星ギアの一例である。第2伝達機構は、第1駆動力から第2駆動力への切り替えに応じて第8伝達ギア232h及び第9伝達ギア232iの連結が変更されることによって、第1トルクリミッタ236を介さずに第2駆動力をブレーキローラ113へ伝達する。なお、遊星ギアは、第2駆動力を伝達する第2伝達機構側に設けられるのでなく、第1駆動力を伝達する第1伝達機構側に設けられてもよい。
以上詳述したように、媒体搬送装置は、ブレーキローラ113の駆動機構に遊星ギアを用いる場合も、媒体の重送が発生した場合に、媒体をより適切に復旧させることが可能となった。
図22A及び図22Bは、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置のブレーキローラ113の構成について説明するための模式図である。
図22A及び図22Bに示すように、本実施形態に係る媒体搬送装置は、支持部材334、弾性部材341及びカム342を有する。支持部材334は、ブレーキローラ113を支持する。弾性部材341は、ばね又はゴム等であり、支持部材334を介してブレーキローラ113を給送ローラ112側に押圧する。カム342は、駆動装置からの駆動力に従って矢印E1の方向に回転可能に設けられ、弾性部材341をブレーキローラ113側に押圧する。そして、制御部は、カム342を回転させることにより、ブレーキローラ113の押圧力を変更する。この実施形態では、弾性部材341及びカム342が押圧手段の一例である。
図22Aは、第1モータ131が第1駆動力を発生させた場合のブレーキローラユニット233の状態を示している。第1モータ131が第1駆動力を発生させるとき、カム342は、弾性部材341による押圧力が小さくなるように配置される。その結果、ブレーキローラ113の押圧力は小さくなる。
図22Bは、第1モータ131が第2駆動力を発生させた場合のブレーキローラユニット233の状態を示している。第1モータ131が第2駆動力を発生させるとき、カム342は、弾性部材341が支持部材334を矢印E2の方向に押圧するように配置される。その結果、支持部材334が矢印E2の方向に押圧され、ブレーキローラ113の押圧力は大きくなる。
なお、媒体搬送装置は、押圧手段として、弾性部材341及びカム342の代わりに、ソレノイド等の他の手段を使用して、ブレーキローラ113を給送ローラ112側に押圧させてもよい。その場合、制御部は、ソレノイドを移動させることにより、ブレーキローラ113の押圧力を変更する。
以上詳述したように、媒体搬送装置は、カム又はソレノイド等を用いる場合も、媒体の重送が発生した場合に、媒体をより適切に復旧させることが可能となった。
図23は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置における処理回路480の概略構成を示す図である。処理回路480は、媒体搬送装置100の処理回路180の代わりに使用され、CPU170の代わりに、媒体読取処理、重送検出処理及びスキュー検出処理を実行する。処理回路480は、制御回路481、画像取得回路482、重送検出回路483及びスキュー検出回路484等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
制御回路481は、制御部の一例であり、制御部171と同様の機能を有する。制御回路481は、操作装置105から操作信号を、媒体検出センサ111から媒体検出信号を、重送検出回路483から媒体の重送の検出結果を、スキュー検出回路484から媒体のスキューの検出結果を受信する。制御回路481は、受信した各信号に応じて駆動装置151を駆動するとともに、媒体のスキューが検出された場合、給送ローラ112a、112bの周速度を相互に異ならせるように駆動装置151を制御して、媒体のスキューを補正する。また、制御回路481は、媒体の重送が検出された場合、ブレーキローラ113の押圧力が大きくなるように、駆動装置151を介してブレーキローラユニット133を制御する。
画像取得回路482は、画像取得部の一例であり、画像取得部172と同様の機能を有する。画像取得回路482は、撮像装置121から入力画像を受信し、記憶装置160に記憶するとともにインタフェース装置152を介して情報処理装置へ送信する。
重送検出回路483は、重送検出部の一例であり、重送検出部173と同様の機能を有する。重送検出回路483は、超音波センサ114から超音波信号を受信し、超音波信号に基づいて媒体の重送を検出し、検出結果を制御回路481に出力する。
スキュー検出回路484は、スキュー検出部の一例であり、スキュー検出部174と同様の機能を有する。スキュー検出回路484は、第1センターセンサ115から第1センター信号を、第1サイドセンサ116から第1サイド信号を、第2サイドセンサ117から第2サイド信号を受信する。スキュー検出回路484は、受信した各信号に基づいて媒体のスキューを検出し、検出結果を制御回路481に出力する。
以上詳述したように、媒体搬送装置は、処理回路480を用いる場合においても、媒体をより適切に搬送させるとともに、媒体の重送が発生した場合に、媒体をより適切に復旧させることが可能となった。