以下、本発明の一側面に係る原稿搬送装置について図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
図1は、イメージスキャナとして構成された原稿搬送装置100を示す斜視図である。
原稿搬送装置100は、上側筐体101、下側筐体102、原稿台103、排出台105、複数の操作ボタン106及び表示装置107等を備える。
上側筐体101は、原稿搬送装置100の上面を覆う位置に配置され、原稿つまり時、原稿搬送装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより下側筐体102に係合している。
原稿台103は、原稿を載置可能に下側筐体102に係合している。原稿台103には、原稿の搬送方向と直行する方向に移動可能なサイドガイド104a及び104bが設けられている。以下では、サイドガイド104a及び104bを総じてサイドガイド104と称する場合がある。
排出台105は、排出された原稿を保持できるように下側筐体102に係合している。
操作ボタン106は、下側筐体102の側部に配置され、押下されると各ボタンに応じた操作検出信号を生成して出力する。
表示装置107は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等から構成されるディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
図2は、原稿搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
原稿搬送装置100内部の搬送経路は、シュートローラ110、ピックローラ111a、b、第1接触センサ112、第2接触センサ113、給紙ローラ114a、b、リタードローラ115a、b、第1発光器116a、第1受光器116b、超音波送信器117a、超音波受信器117b、第1駆動ローラ118a、b、第1従動ローラ119a、b、第2発光器120a、第2受光器120b、第1撮像装置121a、第2撮像装置121b、第1照明装置122a、第2照明装置122b、第2駆動ローラ123a、123b及び第2従動ローラ124a、124b等を有している。
以下では、ピックローラ111a及び111bを総じてピックローラ111と称する場合がある。また、給紙ローラ114a及び114bを総じて給紙ローラ114と称する場合がある。また、リタードローラ115a及び115bを総じてリタードローラ115と称する場合がある。また、第1駆動ローラ118a及び118bを総じて第1駆動ローラ118と称する場合がある。また、第1従動ローラ119a及び119bを総じて第1従動ローラ119と称する場合がある。また、第2駆動ローラ123a及び123bを総じて第2駆動ローラ123と称する場合がある。また、第2従動ローラ124a及び124bを総じて第2従動ローラ124と称する場合がある。
上側筐体101の下面は原稿の搬送路の上側ガイド101aを形成し、下側筐体102の上面は原稿の搬送路の下側ガイド102aを形成する。図2において矢印A1は原稿の搬送方向を示す。以下では、上流とは原稿の搬送方向A1の上流のことをいい、下流とは原稿の搬送方向A1の下流のことをいう。
シュートローラ110は、第2搬送ローラの一例であり、原稿台103に、原稿搬送方向A1においてピックローラ111の上流側に設けられる。シュートローラ110は、原稿台103に載置された原稿の内、最も下側に位置する原稿と接触して、その原稿を原稿搬送方向A1に向けて送り出す。
ピックローラ111は、第1搬送ローラの一例であり、下側筐体102に、原稿搬送方向A1においてシュートローラ110の下流側に設けられる。ピックローラ111は、原稿台103に載置され且つ先端が上側筐体101の突き当て部101bに突き当てられた複数の原稿の内、最も下側に位置する原稿と接触して、その原稿を原稿搬送方向A1に向けて送り出す。シュートローラ110及びピックローラ111の働きにより、原稿搬送装置100は、いわゆる下取り出し方式で原稿を搬送させる。
第1接触センサ112は、上側筐体101の突き当て部101bの上流側に配置され、原稿台103に原稿が載置されているか否かを検出する。第1接触センサ112は、原稿台103に原稿が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する第1原稿検出信号を生成して出力する。
第2接触センサ113は、上側筐体101の突き当て部101bの下流側、且つ給紙ローラ114及びリタードローラ115の上流側に配置され、その位置に原稿が存在するか否かを検出する。第2接触センサ113は、第2接触センサ113の位置に原稿が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第2原稿検出信号を生成して出力する。
給紙ローラ114は、原稿の分離動作を行う分離ローラの一例であり、下側筐体102に、原稿搬送方向A1においてピックローラ111の下流側に設けられ、原稿台103に載置された原稿を原稿搬送方向A1に向けて送り出す。リタードローラ115は、上側筐体101に、給紙ローラ114と対向する位置に設けられ、原稿台103に載置された原稿の内、給紙ローラ114に接触していない原稿の搬送を防止する。
第1発光器116a及び第1受光器116bは、給紙ローラ114及びリタードローラ115の下流側、且つ第1駆動ローラ118及び第1従動ローラ119の上流側に、原稿の搬送路を挟んで対向するように設けられる。第1発光器116aは、第1受光器116bに向けて光を放射する。第1受光器116bは、第1発光器116aから放射された光を検出し、検出した光に応じた電気信号である第3原稿検出信号を生成して出力する。即ち、第3原稿検出信号は、第1発光器116aと第1受光器116bの間に原稿が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する信号である。以下では、第1発光器116a及び第1受光器116bを総じて第1光センサ116と称する場合がある。第1光センサ116は、分離ローラの下流に設けられたセンサの一例である。
超音波送信器117a及び超音波受信器117bは、原稿の搬送路の近傍に、搬送路を挟んで対向するように配置される。超音波送信器117aは超音波を送信する。一方、超音波受信器117bは、超音波送信器117aにより送信され、原稿を通過した超音波を検出し、検出した超音波に応じた電気信号である超音波信号を生成して出力する。以下では、超音波送信器117a及び超音波受信器117bを総じて超音波センサ117と称する場合がある。
第1駆動ローラ118は、上側筐体101に、原稿搬送方向A1においてリタードローラ115の下流側、且つ第1撮像装置121aの上流側に設けられる。第1従動ローラ119は、下側筐体102に、第1駆動ローラ118と対向する位置に設けられる。
第2発光器120a及び第2受光器120bは、第1駆動ローラ118及び第1従動ローラ119の下流側、且つ第1撮像装置121a及び第2撮像装置121bの撮像位置の上流側に、原稿の搬送路を挟んで対向するように配置される。第2発光器120aは、第2受光器120bに向けて光を放射する。第2受光器120bは、第2発光器120aから放射された光を検出し、検出した光に応じた電気信号である第4原稿検出信号を生成して出力する。即ち、第4原稿検出信号は、第2発光器120aと第2受光器120bの間に原稿が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する信号である。以下では、第2発光器120a及び第2受光器120bを総じて第2光センサ120と称する場合がある。
第1撮像装置121aは、主走査方向に配列されたCCD(Charge Coupled Device)からなる撮像素子を備える縮小光学系タイプの撮像センサを有する。この撮像センサは、原稿の裏面を撮像してアナログの画像信号を生成して出力する。同様に、第2撮像装置121bは、主走査方向に配列されたCCDからなる撮像素子を備える縮小光学系タイプの撮像センサを有する。この撮像センサは、原稿の表面を撮像してアナログの画像信号を生成して出力する。なお、第1撮像装置121a及び第2撮像装置121bを一方だけ配置し、原稿の片面だけを読み取るようにしてもよい。また、CCDの代わりにCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)からなる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)を利用することもできる。以下では、第1撮像装置121a及び第2撮像装置121bを総じて撮像装置121と称する場合がある。
第1照明装置122aは、原稿の裏面を照らす光源と、原稿の表面に対して用いられる裏当てとを有し、第1撮像装置121aと原稿搬送路の間であり且つ第2撮像装置121bと対向する位置に設けられる。同様に、第2照明装置122bは、原稿の表面を照らす光源と、原稿の裏面に対して用いられる裏当てとを有し、第2撮像装置121bと原稿搬送路の間であり且つ第1撮像装置121aと対向する位置に設けられる。以下では、第1照明装置122a及び第2照明装置122bを総じて照明装置122と称する場合がある。
第2駆動ローラ123は、上側筐体101に、原稿搬送方向A1において第1撮像装置121a及びリタードローラ115の下流側に設けられる。第2従動ローラ124は、下側筐体102に、第2駆動ローラ123と対向する位置に設けられる。
原稿台103に載置された原稿は、シュートローラ110、ピックローラ111、給紙ローラ114がそれぞれ図2の矢印A2、A3、A4の方向に回転することによって、上側ガイド101aと下側ガイド102aの間を原稿搬送方向A1に向かって搬送される。一方、リタードローラ115が矢印A5の方向に回転することによって、原稿台103に複数の原稿が載置されている場合、原稿台103に載置されている原稿のうち給紙ローラ114と接触している原稿のみが分離される。
原稿は、上側ガイド101aと下側ガイド102aによりガイドされながら、第1駆動ローラ118と第1従動ローラ119の間に送り込まれる。原稿は、第1駆動ローラ118が矢印A6の方向に回転することによって第1照明装置122a及び第2照明装置122bの間(即ち第1撮像装置121a及び第2撮像装置121bの間)に送り込まれる。撮像装置121により読み取られた原稿は、第2駆動ローラ123が矢印A7の方向に回転することによって排出台105上に排出される。
図3、4は、原稿搬送装置100の駆動機構について説明するための図である。
図3、4に示すように、原稿搬送装置100の駆動機構は、上述したシュートローラ110、ピックローラ111及び給紙ローラ114に加えて、駆動力伝達部130及び第1モータ141等を有している。
第1モータ141は、駆動力発生部の一例であり、シュートローラ110、ピックローラ111及び給紙ローラ114を回転させる駆動力を発生する。
駆動力伝達部130は、第1モータ141が発生させた駆動力をシュートローラ110、ピックローラ111及び給紙ローラ114に伝達する伝達機構である。駆動力伝達部130は、第1〜第4プーリ131a〜d、第1〜第2ベルト132a〜b、第1〜第8ギア133a〜h、第1遊星ギア134及び第2遊星ギア135等を有している。
第1モータ141の回転軸には第1プーリ131aが設けられ、第1プーリ131aと第2プーリ131bの間には第1ベルト132aが張架されている。第2プーリ131bには、第1ギア133aが、第2プーリ131bと一体に回転するように第2プーリ131bと同軸の状態で設けられている。第1ギア133aには、第1遊星ギア134及び第2遊星ギア135が係合される。
第1遊星ギア134の第1回転軸134aは、駆動力伝達部130が配置される不図示のケースに設けられた第1溝部134bに沿って移動可能に配置される。また、第1遊星ギア134の第1回転軸134aは、ベルト等の第1支持部材134cにより第1ギア133aの回転軸と連結するように支持される。これにより、第1遊星ギア134は、第1ギア133aの回転に従って、第1溝部134bに沿って移動(公転)する。第1遊星ギア134は、第1溝部134bの右端位置では第3ギア133cとは係合されずに第2ギア133bと係合されて、第1溝部134bの左端位置では第2ギア133bとは係合されずに第3ギア133cと係合される。
第2ギア133bには第3ギア133cが係合され、第3ギア133cには第4ギア133dが係合され、第4ギア133dには第5ギア133e及び第6ギア133fが係合される。第5ギア133eは、ピックローラ111と一体に回転するようにピックローラ111と同軸の状態で設けられている。第6ギア133fは、給紙ローラ114と一体に回転するように給紙ローラ114と同軸の状態で設けられている。
第1〜第5ギア133a〜e及び第1遊星ギア134は、第1モータ141とピックローラ111の間を連結可能な複数のギアの一例である。第1〜第4、第6ギア133a〜d、f及び第1遊星ギア134は、第1モータ141と給紙ローラ114の間を連結可能な複数のギアの一例である。第1遊星ギア134により、第1モータ141とピックローラ111の間、及び、第1モータ141と給紙ローラ114の間を連結するギアの数は変更可能である。
第2遊星ギア135の第2回転軸135aは、駆動力伝達部130が配置される不図示のケースに設けられた第2溝部135bに沿って移動可能に配置される。また、第2遊星ギア135の第2回転軸135aは、ベルト等の第2支持部材135cにより第1ギア133aの回転軸と連結するように支持される。これにより、第2遊星ギア135は、第1ギア133aの回転に従って、第2溝部135bに沿って移動(公転)する。第2遊星ギア135は、第2溝部135bの右端位置では第7ギア133gと係合されて、第2溝部135bの左端位置では第7ギア133gと係合されない。
第7ギア133gには第8ギア133hが係合される。第8ギア133hには、第3プーリ131cが、第8ギア133hと一体に回転するように第8ギア133hと同軸の状態で設けられている。第3プーリ131cと第4プーリ131dの間には第2ベルト132bが張架されている。第4プーリ131dは、シュートローラ110と一体に回転するようにシュートローラ110と同軸の状態で設けられている。
第1、第7〜第8ギア133a、g〜h及び第2遊星ギア135は、第1モータ141とシュートローラ110の間を連結可能な複数のギアの一例である。第2遊星ギア135により、第1モータ141とシュートローラ110の間のギアの連結は接続及び切断可能である。
以下、原稿搬送装置100の駆動機構の動作について説明する。
第1モータ141は、第1の方向の回転によって第1駆動力を発生可能であり、且つ第1の方向とは逆の第2の方向の回転によって第2駆動力を発生可能である。図3は、第1モータ141が第1駆動力を発生させている場合の原稿搬送装置100の駆動機構の状態を示し、図4は、第1モータ141が第2駆動力を発生させている場合の原稿搬送装置100の駆動機構の状態を示している。第1の方向の回転は、第1モータ141の回転軸(第1プーリ131a)を図3の矢印A11の方向に回転させる回転であり、第2の方向の回転は、第1モータ141の回転軸を図4の矢印A21の方向(矢印A11の逆方向)に回転させる回転である。
図3に示すように、第1モータ141が第1駆動力を発生させた場合、第1プーリ131aの回転に伴い、第2プーリ131b及び第1ギア133aが矢印A12の方向に回転する。第1ギア133aに係合された第1遊星ギア134は、第1ギア133aの回転に従って、第1溝部134bに沿って第1溝部134bの左端位置まで矢印A13の方向に移動(公転)し、第2ギア133bとは係合されずに第3ギア133cと係合される。さらに、第1遊星ギア134は、第1ギア133aの回転に従って、第1溝部134bの左端位置において矢印A14の方向に回転(自転)する。
第1遊星ギア134の回転に従って、第3ギア133c、第4ギア133d、第5ギア133e、第6ギア133fは、それぞれ矢印A15、A16、A3、A4の方向に回転する。これにより、ピックローラ111及び給紙ローラ114は、それぞれ原稿を下流側に搬送させる方向に回転する。
また、第1ギア133aに係合された第2遊星ギア135は、第1ギア133aの回転に従って、第2溝部135bに沿って第2溝部135bの左上端位置まで矢印A17の方向に移動(公転)し、第7ギア133gと係合されなくなる。このように、駆動力伝達部130は、第1モータ141が第1駆動力を発生させた場合、第2遊星ギア135によって、第1モータ141とシュートローラ110の間のギアの連結を切断させる。これにより、シュートローラ110への第1駆動力の伝達は遮断される。
このように、駆動力伝達部130は、第1モータ141が第1駆動力を発生しているときは、ピックローラ111及び給紙ローラ114を原稿を下流側に搬送させる方向に回転させ且つ第1モータ141とシュートローラ110の間のギアの連結を切断する。これにより、駆動力伝達部130は、シュートローラ110を使用せずにピックローラ111を使用して原稿を下流側に搬送し、且つ、原稿の分離動作を行う。
一方、図4に示すように、第1モータ141が第2駆動力を発生させた場合、第1プーリ131aの回転に伴い、第2プーリ131b及び第1ギア133aが矢印A22の方向に回転する。第1ギア133aに係合された第1遊星ギア134は、第1ギア133aの回転に従って、第1溝部134bに沿って第1溝部134bの右端位置まで矢印A23の方向に移動(公転)し、第3ギア133cとは係合されずに第2ギア133bと係合される。さらに、第1遊星ギア134は、第1ギア133aの回転に従って、第1溝部134bの右端位置において矢印A24の方向に回転(自転)する。
第1遊星ギア134の回転に従って、第2ギア133b、第3ギア133c、第4ギア133d、第5ギア133e、第6ギア133fは、それぞれ矢印A25、A26、A27、A3、A4の方向に回転する。このように、駆動力伝達部130は、第1駆動力から第2駆動力への切換えに応じて、第1遊星ギア134の連結を変更することによって、第1モータ141とピックローラ111及び給紙ローラ114との間を連結するギアの数を変更する。第2駆動力が発生している場合に、第1駆動力が発生している場合よりも連結するギアの数が一つ増加することにより、ピックローラ111及び給紙ローラ114は、第1駆動力が発生している場合と同じ方向に回転する。これにより、ピックローラ111及び給紙ローラ114は、それぞれ原稿を下流側に搬送させる方向に回転する。
なお、第1モータ141とピックローラ111及び給紙ローラ114との間を連結するギアの数は、第2駆動力が発生しているときのギアの数と、第1駆動力が発生しているときのギアの数との差(の絶対値)が奇数であれば、どのように変更されてもよい。
また、第1ギア133aに係合された第2遊星ギア135は、第1ギア133aの回転に従って、第2溝部135bに沿って第2溝部135bの右下端位置まで矢印A28の方向に移動(公転)し、第7ギア133gと係合される。さらに、第2遊星ギア135は、第1ギア133aの回転に従って、第2溝部135bの右下端位置において矢印A29の方向に回転(自転)する。
第2遊星ギア135の回転に従って、第7ギア133g、第8ギア133h(第3プーリ131c)、第4プーリ131dは、それぞれ矢印A30、A31、A2の方向に回転する。このように、駆動力伝達部130は、第1駆動力から第2駆動力への切換えに応じて、第2遊星ギア135の連結を変更することによって、第1モータ141とシュートローラ110の間のギアを連結させる。これにより、シュートローラ110は、原稿を下流側に搬送させる方向に回転する。
このように、駆動力伝達部130は、第1駆動力から第2駆動力への切換えに応じて、第1モータ141とピックローラ111及び給紙ローラ114との間を連結するギアの数を変更する。駆動力伝達部130は、ピックローラ111及び給紙ローラ114を原稿を下流側に搬送させる方向、即ち第1モータ141が第1駆動力を発生している場合と同じ方向に回転させるようにギアの数を変更する。また、駆動力伝達部130は、第1モータ141とシュートローラ110の間のギアを接続する。これらにより、駆動力伝達部130は、シュートローラ110及びピックローラ111を使用して原稿を下流側に搬送し、且つ、原稿の分離動作を行う。
図5は、原稿搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
原稿搬送装置100は、前述した構成に加えて、第1A/D変換器140a、第2A/D変換器140b、第2モータ142、インタフェース装置143、記憶装置150、CPU(Central Processing Unit)160及び処理回路170等をさらに有する。
第1A/D変換器140aは、第1撮像装置121aから出力されたアナログの画像信号をアナログデジタル変換してデジタルの画像データを生成し、CPU160に出力する。同様に、第2A/D変換器140bは、第2撮像装置121bから出力されたアナログの画像信号をアナログデジタル変換してデジタルの画像データを生成し、CPU160に出力する。これらのデジタルの画像データが読取画像として用いられる。以下では、第1A/D変換器140a及び第2A/D変換器140bを総じてA/D変換器140と称する場合がある。
第2モータ142は、第1モータ141とは異なるモータであり、1つ又は複数のモータを含み、CPU160からの制御信号によって、リタードローラ115、第1駆動ローラ118及び第2駆動ローラ123を回転させて原稿の搬送動作及び分離動作を行う。
インタフェース装置143は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して読取画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置143の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース回路とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。
記憶装置150は、記憶部の一例である。記憶装置150は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置150には、原稿搬送装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置150にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD−ROM(compact disk read only memory)、DVD−ROM(digital versatile disk read only memory)等である。さらに、記憶装置150には、読取画像が格納される。
CPU160は、予め記憶装置150に記憶されているプログラムに基づいて動作する。CPU160は、汎用プロセッサであってもよい。なお、CPU160に代えて、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)等が用いられてよい。また、CPU160に代えて、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
CPU160は、操作ボタン106、第1接触センサ112、第2接触センサ113、第1光センサ116、超音波センサ117、第2光センサ120、撮像装置121、A/D変換器140、第1モータ141、第2モータ142、インタフェース装置143、記憶装置150及び処理回路170等と接続され、これらの各部を制御する。CPU160は、第1モータ141及び第2モータ142の駆動制御、撮像装置121の原稿読取制御等を行い、読取画像を取得する。
図6は、記憶装置150及びCPU160の概略構成を示す図である。
図6に示すように、記憶装置150には、制御プログラム151、判定プログラム152及び画像生成プログラム153等の各プログラムが記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。CPU160は、記憶装置150に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作することにより、制御部161、判定部162及び画像生成部163として機能する。
図7、8は、原稿搬送装置100による原稿読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
以下、図7、8に示したフローチャートを参照しつつ、原稿搬送装置100の原稿読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置150に記憶されているプログラムに基づき主にCPU160により原稿搬送装置100の各要素と協働して実行される。
最初に、制御部161は、利用者により、原稿の読み取りを指示するための操作ボタン106が押下されて、原稿の読み取りを指示する操作検出信号を操作ボタン106から受信するまで待機する(ステップS101)。
次に、制御部161は、第1接触センサ112から受信する第1原稿検出信号に基づいて原稿台103に原稿が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。
原稿台103に原稿が載置されていない場合、制御部161は、ステップS101へ処理を戻し、操作ボタン106から新たに操作検出信号を受信するまで待機する。
一方、原稿台103に原稿が載置されている場合、制御部161は、第1モータ141に第1駆動力を発生させてピックローラ111及び給紙ローラ114を回転させて、原稿を搬送させる。さらに、制御部161は、第2モータ142を駆動してリタードローラ115、第1駆動ローラ118及び第2駆動ローラ123を回転させる(ステップS103)。
これにより、原稿搬送装置100の駆動機構は、図3に示した状態となり、ピックローラ111及び給紙ローラ114は、それぞれ矢印A3及びA4の方向に回転し、シュートローラ110への第1駆動力の伝達は遮断される。
次に、判定部162は、第2接触センサ113から受信する第2原稿検出信号に基づいて、原稿(の先端)が第2接触センサ113の位置に存在するか否か、即ちその位置を通過したか否かを判定する(ステップS104)。第2接触センサ113の位置、即ち上側筐体101の突き当て部101bの下流側、且つ給紙ローラ114及びリタードローラ115の上流側の位置は、ピックローラ111の下流側にある所定位置の一例である。
判定部162は、原稿が第2接触センサ113の位置を通過したと判定した場合、ステップS111へ処理を移行する。一方、判定部162は、原稿が第2接触センサ113の位置を通過していないと判定した場合、原稿搬送開始から所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS105)。所定時間は、例えば、原稿搬送方向A1における上側筐体101の突き当て部101bから第2接触センサ113までの距離をピックローラ111による原稿搬送速度で除算した値に設定される。このように、判定部162は、原稿搬送開始から所定時間内に原稿がピックローラ111の下流側にある所定位置を通過したか否かを判定する。
判定部162は、原稿搬送開始から所定時間が経過していないと判定した場合、ステップS104へ処理を戻し、再度、原稿が第2接触センサ113の位置を通過したか否かを判定する。一方、原稿搬送開始から所定時間が経過した場合、制御部161は、第1モータ141に第2駆動力を発生させて、ピックローラ111及び給紙ローラ114に加えて、シュートローラ110を回転させる(ステップS106)。このように、制御部161は、判定部162が原稿搬送開始から所定時間内に原稿が所定位置を通過しなかったと判定した場合、第1モータ141が発生する駆動力を第1駆動力から第2駆動力に切換える。第2駆動力が伝達されたシュートローラ110による原稿搬送速度は、第2駆動力が伝達されたピックローラ111による原稿搬送速度以上に、好ましくは第2駆動力が伝達されたピックローラ111による原稿搬送速度より速く(大きく)なるように設定される。
原稿搬送装置100の駆動機構は、第1駆動力から第2駆動力への切り替えに応じて、図4に示した状態となり、シュートローラ110、ピックローラ111及び給紙ローラ114は、それぞれ矢印A2、A3及びA4の方向に回転する。
次に、判定部162は、ステップS104の処理と同様にして、原稿が第2接触センサ113の位置を通過したか否かを判定し、原稿が第2接触センサ113の位置を通過するまで待機する(ステップS107)。
原稿が第2接触センサ113の位置を通過した場合、判定部162は、第1光センサ116から受信する第3原稿検出信号に基づいて、原稿(の先端)が第1光センサ116の位置に存在するか否か、即ちその位置を通過したか否かを判定する(ステップS108)。
判定部162は、原稿が第1光センサ116の位置を通過したと判定した場合、ステップS111へ処理を移行する。一方、判定部162は、原稿が第1光センサ116の位置を通過していないと判定した場合、原稿が給紙ローラ114の位置を通過してから第2所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS109)。判定部162は、原稿が第2接触センサ113の位置を通過した時刻を、原稿が給紙ローラ114の位置を通過した時刻とみなして、原稿が第2接触センサ113の位置を通過してから第2所定時間が経過したか否かを判定する。第2所定時間は、例えば、原稿搬送方向A1における第2接触センサ113から第1光センサ116までの距離をピックローラ111による原稿搬送速度で除算した値に設定される。このように、判定部162は、原稿が給紙ローラ114の位置を通過してから第2所定時間内に原稿が第1光センサ116の位置を通過したか否かを判定する。
判定部162は、原稿が給紙ローラ114の位置を通過してから第2所定時間が経過していないと判定した場合、ステップS108へ処理を戻し、再度、原稿が第1光センサ116の位置を通過したか否かを判定する。一方、原稿が給紙ローラ114の位置を通過してから第2所定時間が経過した場合、制御部161は、再度、第1モータ141に第1駆動力を発生させて、第1モータ141による駆動力のシュートローラ110への伝達を遮断させる(ステップS110)。このように、制御部161は、原稿が給紙ローラ114の位置を通過してから第2所定時間内に原稿が第1光センサ116の位置を通過しなかった場合、第1モータ141が発生する駆動力を第2駆動力から第1駆動力に切換える。
次に、判定部162は、第2光センサ120から受信する第4原稿検出信号に基づいて、原稿(の先端)が第2光センサ120の位置に存在するか否か、即ち第2光センサ120の位置を通過したか否かを判定する(ステップS111)。
判定部162は、原稿が第2光センサ120の位置を通過したと判定するまで待機する。画像生成部163は、原稿が第2光センサ120の位置を通過したと判定された場合、搬送された原稿を撮像装置121に読み取らせ、A/D変換器140を介して読取画像を取得する(ステップS112)。
次に、画像生成部163は、読取画像をインタフェース装置143を介して不図示の情報処理装置へ送信する(ステップS113)。なお、情報処理装置と接続されていない場合、画像生成部163は、読取画像を記憶装置150に記憶しておく。
次に、制御部161は、第1接触センサ112から受信する第1原稿検出信号に基づいて原稿台103に原稿が残っているか否かを判定する(ステップS114)。
原稿台103に原稿が残っている場合、制御部161は、ステップS103へ処理を戻し、ステップS103〜S114の処理を繰り返す。なお、制御部161は、現在、第1モータ141に第1駆動力を発生させている場合、ステップS104へ処理を戻して、ステップS103の処理を省略してもよい。
一方、原稿台103に原稿が残っていない場合、制御部161は、第1モータ141に一定期間だけ第1駆動力を発生させて(ステップS115)、第1遊星ギア134及び第2遊星ギア135を図3の位置にセットし、一連の処理を終了する。原稿搬送装置100は、第1遊星ギア134及び第2遊星ギア135を図3の位置に再セットしておくことにより、次に原稿読取処理が実行される際にシュートローラ110が回転することを防止できる。なお、ステップS115の処理は省略されてもよい。
以下、第1モータ141に第1駆動力又は第2駆動力を切換えて発生させる理由について説明する。
下取り出し方式の原稿搬送装置100では、小さいサイズの原稿を搬送できるように、突き当て部101bに近い位置にピックローラ111を配置し、原稿台103に載置された原稿をピックローラ111により繰り出している。しかしながら、大きいサイズの原稿が搬送される場合、ピックローラ111は大きいサイズの原稿の先端付近に接触するため、ピックローラ111のみを回転させた状態では十分な繰り出し力が得られない。また、ピックローラ111のみを回転させた状態では、最も下側に位置する搬送対象の原稿がピックローラ111によって引っ張られる。これにより、搬送対象の原稿の上に位置する原稿が搬送対象の原稿に張り付き、搬送対象の原稿とともに搬送される可能性が高くなる。
一方、シュートローラ110は、大きいサイズの原稿が原稿台103に載置された場合に、載置された大きいサイズの原稿の中央部分に接触するように配置される。したがって、ピックローラ111に加えてシュートローラ110を回転させることにより、大きいサイズの原稿を中央部分から搬送することができ、繰り出し力を増大させることが可能となる。さらに、ピックローラ111に加えてシュートローラ110を回転させることにより、搬送対象の原稿が引っ張られて、搬送対象の原稿の上に位置する原稿が搬送対象の原稿とともに搬送されることも抑制される。しかしながら、シュートローラ110を回転させた場合、原稿のジャムが発生する可能性が高くなる。
図9は、原稿のジャムについて説明するための図である。
図9に示すように、原稿台103に複数の原稿Dが載置されている場合、最も下側に位置する搬送対象の原稿D1の後端がシュートローラ110の位置を通過すると、搬送対象の原稿の上に位置する原稿D2がシュートローラ110に接触する。特に、この原稿D2が薄紙である場合、シュートローラ110が回転することにより、この原稿D2が押し出されて変形して(シュートローラ110とピックローラ111の間の位置でたわんで)しまい、原稿のジャムが発生する可能性がある。
上記の通り、ピックローラ111のみを回転させた状態では、原稿の繰り出し性能及び分離性能は低いが、ジャムの発生可能性は低くなる。一方、ピックローラ111に加えてシュートローラ110を回転させた状態では、原稿の繰り出し性能及び分離性能は高くなるが、ジャムの発生可能性が高くなる。
原稿搬送装置100は、原稿搬送開始時は、ピックローラ111のみを回転させてジャムの発生可能性を低くしておく(図7のステップS103)。そして、原稿搬送装置100は、所定時間が経過しても原稿が繰り出されない場合は、ピックローラ111に加えてシュートローラ110を回転させて原稿の繰り出し性能及び分離性能を高める(図7のステップS106)。さらに、原稿搬送装置100は、シュートローラ110を回転させたときに、第2所定時間が経過しても原稿が分離部を通過しない場合は、シュートローラ110の回転を停止させてジャムの発生可能性を低減させる(図7のステップS110)。
また、原稿搬送装置100は、ユーザによる指示を必要とせずに、原稿の搬送状態に応じて自動的に第1モータ141の制御を切換えるため、ユーザの利便性を向上させることができる。
また、上記したように、第2駆動力が伝達されたシュートローラ110による原稿搬送速度は、第2駆動力が伝達されたピックローラ111による原稿搬送速度以上になるように設定される。これにより、原稿台103に複数の薄紙が載置されている場合に、各薄紙の間に空気の層を設けることが可能となり、各薄紙の間の摩擦力を低減して、原稿の分離性能をさらに向上させることが可能となる。なお、シュートローラ110による原稿搬送速度の最大値は、シュートローラ110とピックローラ111の位置関係に基づいて決定される。
図10は、シュートローラ110による原稿搬送速度の最大値について説明するための図である。
シュートローラ110による原稿搬送速度V1がピックローラ111による原稿搬送速度V2より大きいと、原稿Dはたわんでいき、ジャムが発生する可能性がある。そこで各原稿搬送速度の速度差(V1−V2)は、シュートローラ110及びピックローラ111の水平方向の頂点位置P1及びP2を通過する直線L1上に位置する原稿が、シュートローラ110に押されて原稿台103の上面に接触しないように設定される。
原稿搬送装置100がサポートする最大長の原稿が原稿台103に載置された状態で、その原稿の後端位置から、シュートローラ110の位置までの距離をMとする。その場合、その原稿の搬送が開始されてから、その原稿の後端がシュートローラ110の位置を通過するまでの時間は(M/V1)となる。したがって、その間に各原稿搬送速度の速度差(V1−V2)によって原稿がたわみ得る長さは{(M/V1)×(V1−V2)}となる。この長さが、位置P1、P2及びP3を通過する二字曲線L2における位置P1とP2の間の長さD2と、位置P1及びP2を通過する直線L1における位置P1とP2の間の長さD1の差以下になるように、各原稿搬送速度の速度差(V1−V2)は設定される。位置P3は、原稿台103の載置面上の位置P1とP2の中点である。したがって、原稿搬送速度V1の最大値は、以下の式(1)を満たすように式(2)により定められる。
{(M/V1)×(V1−V2)}≦(D2−D1) (1)
V1≦V2×[M/{M−(D2−D1)}] (2)
以上詳述したように、原稿搬送装置100は、原稿の搬送状態に応じて、ピックローラ111のみを回転させるか、ピックローラ111に加えてシュートローラ110を回転させるかを切換える。これにより、原稿搬送装置100は、ジャムの発生可能性を低減させつつ、原稿が繰り出されない場合は原稿の繰り出し性能及び分離性能を高めることが可能となる。したがって、原稿台に載置された原稿を搬送するための複数の搬送ローラを一つの駆動力発生部で駆動させる原稿搬送装置100において、各搬送ローラの回転を適切に制御することが可能となった。
また、原稿搬送装置100は、ピックローラ111及びシュートローラ110を一つの第1モータ141で駆動させることができるため、装置軽量化、低コスト化及び低消費電力化を図ることが可能となった。さらに、原稿搬送装置100は、ピックローラ111及びシュートローラ110を駆動する第1モータ141でさらに給紙ローラ114も駆動させることができるため、さらなる装置軽量化、低コスト化及び低消費電力化を図ることが可能となった。
図11は、原稿搬送装置100によるモード切換処理の動作の例を示すフローチャートである。
以下、図11に示したフローチャートを参照しつつ、原稿搬送装置100のモード切換処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置150に記憶されているプログラムに基づき主にCPU160により原稿搬送装置100の各要素と協働して実行される。モード切換処理は、原稿搬送装置100の起動時等に実行される。モード切換処理が実行される場合、記憶装置150には、ユーザにより操作ボタン106を用いて、又は、インタフェース装置143を介して不図示の情報処理装置から設定されたユーザ設定が予め記憶される。
最初に、制御部161は、記憶装置150からユーザ設定を読み出す(ステップS201)。
次に、制御部161は、読み出したユーザ設定に応じて、原稿読取処理において第1モータ141にどのように駆動力を発生させるかを規定する駆動モードを切換え(ステップS202)、一連のステップを終了する。駆動モードには、第1モータ141に第1駆動力又は第2駆動力を切換えて発生させる第1モードと、第1モータ141に常に第1駆動力を発生させる第2モードと、第1モータ141に常に第2駆動力を発生させる第3モードとが含まれる。
なお、駆動モードが第1モードである場合、制御部161は、図7、8に示したフローチャートに従って原稿読取処理を実行する。一方、駆動モードが第2モードである場合、制御部161は、図7、8に示したフローチャートの内、ステップS104〜S110、S115の処理を省略して、原稿読取処理を実行する。また、駆動モードが第3モードである場合も、制御部161は、図7、8に示したフローチャートの内、ステップS104〜S110、S115の処理を省略して、原稿読取処理を実行する。駆動モードが第3モードである場合、制御部161は、さらに、ステップS103において、第1モータ141に第2駆動力を発生させるように、原稿読取処理を実行する。
ユーザは、原稿台103に載置する原稿の量が少ない場合、又は搬送する原稿の長さが短い場合等、ピックローラ111のみで十分に原稿を繰り出せる場合、駆動モードを第2モードに設定することにより、ジャムの発生可能性を低減させることができる。また、ユーザは、薄紙等のジャムが発生しやすい原稿を搬送させる場合も、駆動モードを第2モードに設定することにより、ジャムの発生可能性を低減させることができる。
一方、ユーザは、原稿台103に載置する原稿の量が多い場合、又は搬送する原稿の長さが長い場合等、ピックローラ111のみでは十分に原稿を繰り出せない場合、駆動モードを第3モードに設定することにより、原稿読取処理の処理時間を低減できる。また、ユーザは、厚紙等のジャムが発生しにくい原稿を搬送させる場合も、駆動モードを第3モードに設定することにより、原稿読取処理の処理時間を低減できる。
以上詳述したように、原稿搬送装置100は、モード切換処理を実行することにより、搬送させる原稿に応じて、各搬送ローラの回転を適切に制御することが可能となった。
図12、13は、原稿搬送装置100の他の駆動機構の例について説明するための図である。
図12、13に示すように、原稿搬送装置100の他の駆動機構は、駆動力伝達部130の代わりに、駆動力伝達部230を有する。駆動力伝達部230は、駆動力伝達部130が有する各部を有し、第2遊星ギア135の代わりに、固定ギア235を有する。固定ギア235は、第1ギア133a及び第7ギア133gと係合される。また、固定ギア235の回転軸には、固定ギア235が矢印A32の方向にのみ回転し、矢印A32の逆方向には回転しないようにワンウェイクラッチ235aが取り付けられている。なお、ワンウェイクラッチ235aが取り付けられる位置は、固定ギア235の回転軸に限定されず、固定ギア235の回転軸と第8ギア133hの回転軸との間の任意の位置でよい。
図12に示すように、第1モータ141が第1駆動力を発生させた場合、第1ギア133aに係合された固定ギア235は、ワンウェイクラッチ235aにより回転しない。このように、駆動力伝達部230は、第1モータ141が第1駆動力を発生させた場合、ワンウェイクラッチ235aにより、第1モータ141とシュートローラ110の間のギアの連結を切断させる。これにより、シュートローラ110への第1駆動力の伝達は遮断される。
一方、図13に示すように、第1モータ141が第2駆動力を発生させた場合、第1ギア133aに係合された固定ギア235は、第1ギア133aの回転に従って、矢印A32の方向に回転する。また、第7ギア133g、第8ギア133h(第3プーリ131c)、第4プーリ131dは、それぞれ矢印A30、A31、A2の方向に回転する。このように、駆動力伝達部230は、第1駆動力から第2駆動力への切換えに応じて、ワンウェイクラッチ235aにより、第1モータ141とシュートローラ110の間のギアを連結させる。これにより、シュートローラ110は、原稿を下流側に搬送させる方向に回転する。
以上詳述したように、原稿搬送装置100は、第2遊星ギア135の代わりにワンウェイクラッチ235aを用いた場合でも、各搬送ローラの回転を適切に制御することが可能となった。
但し、ワンウェイクラッチ235aを用いる場合、第1遊星ギア134による駆動力の切換え時間と、ワンウェイクラッチ235aによる駆動力の切換え時間とが異なるため、シュートローラ110とピックローラ111の回転開始及び停止タイミングがずれる。一方、第2遊星ギア135を用いる場合、第1遊星ギア134による駆動力の切換え時間と、第2遊星ギア135による駆動力の切換え時間とが略一致するため、シュートローラ110とピックローラ111の回転開始及び停止タイミングを合わせることができる。
図14は、他の実施形態に係る処理回路270の概略構成を示す図である。
処理回路270は、制御回路271、判定回路272及び画像生成回路273等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
制御回路271は、制御部の一例である。制御回路271は、第1モータ141に駆動力を発生させるための駆動信号を出力し、判定回路272による判定結果に従って第1モータ141に第1駆動力又は第2駆動力を発生させる。
判定回路272は、判定部の一例である。判定回路272は、第2接触センサ113から第2原稿検出信号を受信し、受信した第2原稿検出信号に基づいて、原稿が第2接触センサ113の位置を通過したか否かを判定し、判定結果を制御回路271に出力する。また、判定回路272は、第1光センサ116から第3原稿検出信号を受信し、受信した第3原稿検出信号に基づいて、原稿が第1光センサ116の位置を通過したか否かを判定し、判定結果を制御回路271に出力する。
画像生成回路273は、画像生成部の一例である。画像生成回路273は、撮像装置121から読取画像を受信し、受信した読取画像をインタフェース装置143に出力する。
以上詳述したように、原稿搬送装置100は、処理回路270を用いた場合でも、各搬送ローラの回転を適切に制御することが可能となった。