JP2022086609A - 媒体搬送装置 - Google Patents

Abstract

【課題】媒体をより適切に分離して給送することが可能な媒体搬送装置を提供する。【解決手段】媒体搬送装置は、モータが発生した駆動力に応じて回転する第１ギア、分離ローラの回転軸に設けられた第２ギア、及び、第１ギアと第２ギアの間に設けられた第３ギアを含み、第１ギアの軸を回転軸として揺動可能に支持されたユニットを有し、トルクリミッタによって、分離ローラが給送ローラの回転方向と逆方向に回転しようとするトルクを制限することによって発生する力により、分離ローラは給送ローラ側に押圧され、第１ギアは、モータの回転によって、分離ローラを給送ローラから離間させる力を発生する方向に回転し、第３ギアは、二段ギアであり、第２ギア側のギアの歯数は、第１ギア側のギアの歯数より多い。【選択図】図６

Description

本発明は、媒体搬送装置に関し、特に、媒体を分離して給送する媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムに関する。

近年、媒体を分離して給送する媒体搬送装置では、媒体として用紙だけでなく、パスポートのような厚みを有する媒体を搬送することが要求されている。

フィードローラとリバースローラのニップ部に進入するシート状媒体の枚数に応じた摩擦力の変化によりリバースローラのシート状媒体に対する搬送方向の回転と戻し方向の回転を得る給送装置が開示されている（特許文献１を参照）。この給送装置は、フィードローラとリバースローラのニップ部のニップ圧力が変化する構成を有し、ニップ圧力が最も低い状態での給送駆動時間が、シート状媒体の定点のニップ部を通過する時間より大きく設定されている。

リタードローラを回転支持軸に回転自在に支持し、回転支持軸の一端部には係止爪と、係止爪を揺動させるレバーとが設けられたシート搬送装置が開示されている（特許文献２を参照）。このシート搬送装置において、装置本体に支持されたリタードローラホルダには、係止爪が係止される被係止部が設けられており、レバーを操作することによりリタードローラは装置本体に対して着脱可能である。

特開２００２－２４９２５０号公報 特開２０１２－１６６９２６号公報

媒体搬送装置では、媒体をより適切に分離して給送することが望まれている。

本発明の目的は、媒体をより適切に分離して給送することが可能な媒体搬送装置を提供することにある。

本発明の一側面に係る媒体搬送装置は、媒体を給送する給送ローラと、給送ローラに対向して配置され、且つ、媒体を分離する分離ローラと、分離ローラの回転軸上に設けられたトルクリミッタと、分離ローラを媒体給送方向の逆方向に回転させるための駆動力を発生するモータと、モータが発生した駆動力に応じて回転する第１ギア、分離ローラの回転軸に設けられた第２ギア、及び、第１ギアと第２ギアの間に設けられた第３ギアを含み、第１ギアの軸を回転軸として揺動可能に支持されたユニットと、を有し、トルクリミッタによって、分離ローラが給送ローラの回転方向と逆方向に回転しようとするトルクを制限することによって発生する力により、分離ローラは給送ローラ側に押圧され、第１ギアは、モータの回転によって、分離ローラを給送ローラから離間させる力を発生する方向に回転し、第３ギアは、二段ギアであり、第２ギア側のギアの歯数は、第１ギア側のギアの歯数より多い。

本発明によれば、媒体搬送装置は、媒体をより適切に分離して給送することが可能となる。

実施形態に係る媒体搬送装置１００を示す斜視図である。 媒体搬送装置１００内部の搬送経路を説明するための図である。 各ローラの駆動機構について説明するための模式図である。 各ローラの駆動機構について説明するための模式図である。 支持部材１０９について説明するための模式図である。 ブレーキローラ１１３等の動作について説明するための模式図である。 ブレーキローラ１１３等の状態について説明するための模式図である。 上側ガイド１０７ｂ等の状態について説明するための模式図である。 媒体搬送装置１００の概略構成を示すブロック図である。 記憶装置１６０及びＣＰＵ１７０の概略構成を示す図である。 媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。 他のギア群について説明するための模式図である。 さらに他の処理回路２７０の概略構成を示す図である。

以下、本発明の一側面に係る媒体搬送装置について図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。

図１は、イメージスキャナとして構成された媒体搬送装置１００を示す斜視図である。媒体搬送装置１００は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙、薄紙、厚紙、カード、冊子又はパスポート等である。媒体搬送装置１００は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機（ＭＦＰ、Multifunction Peripheral）等でもよい。なお、搬送される媒体は、原稿でなく印刷対象物等でもよく、媒体搬送装置１００はプリンタ等でもよい。

媒体搬送装置１００は、下側筐体１０１、上側筐体１０２、載置台１０３、排出台１０４、操作装置１０５及び表示装置１０６等を備える。図１において矢印Ａ１は媒体搬送方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向Ａ１の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向Ａ１の下流のことをいう。また、矢印Ａ２は媒体搬送方向Ａ１と直交する幅方向を示す。また、矢印Ａ３は媒体搬送面と直交する高さ方向Ａ３を示す。

上側筐体１０２は、媒体搬送装置１００の上面を覆う位置に配置され、媒体つまり時、媒体搬送装置１００内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより下側筐体１０１に係合している。載置台１０３は、搬送される媒体を載置可能に下側筐体１０１に係合している。排出台１０４は、排出された媒体を保持可能に下側筐体１０１に係合している。

操作装置１０５は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置１０６は、液晶、有機ＥＬ（Electro-Luminescence）等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。

図２は、媒体搬送装置１００内部の搬送経路を説明するための図である。

媒体搬送装置１００内部の搬送経路は、第１ガイド１０８、支持部材１０９、第２ガイド１１０、媒体センサ１１１、給送ローラ１１２、ブレーキローラ１１３、第１搬送ローラ１１４、第２搬送ローラ１１５、第１撮像装置１１６ａ、第２撮像装置１１６ｂ、第１排出ローラ１１７及び第２排出ローラ１１８等を有している。なお、各ローラの数は一つに限定されず、各ローラの数はそれぞれ複数でもよい。

下側筐体１０１の上面は、媒体の搬送路の下側ガイド１０７ａを形成し、上側筐体１０２の下面は、媒体の搬送路の上側ガイド１０７ｂを形成する。下側ガイド１０７ａ及び上側ガイド１０７ｂは、媒体を搬送する搬送ガイドの一例である。上側ガイド１０７ｂは、第１ガイド１０８及び第２ガイド１１０等を含む。また、上側ガイド１０７ｂを挟んで給送ローラ１１２の反対側に、即ち上側ガイド１０７ｂより高さ方向Ａ３の上方に、支持部材１０９が配置される。

第１ガイド１０８は、媒体搬送方向Ａ１において給送ローラ１１２及びブレーキローラ１１３と重なる位置に設けられる。第１ガイド１０８は、下流側の端部が、搬送される媒体の厚さに応じて上方に（図２の矢印Ａ４の方向に）揺動可能に、上側筐体１０２に支持されている。第１ガイド１０８は、給送ローラ１１２とブレーキローラ１１３のニップ位置へ進入する媒体の先端に当接して媒体の先端の浮き上がりを規制するとともに、厚み及び剛性を有する媒体の上面を規制する。

支持部材１０９は、ブレーキローラ１１３を支持する部材であり、支持部材１０９の下面は、上側ガイド１０７ｂの一部を形成する。支持部材１０９は、上流側の端部が上方に（図２の矢印Ａ５の方向に）揺動可能に、上側筐体１０２に支持されている。

第２ガイド１１０は、媒体搬送方向Ａ１において給送ローラ１１２及びブレーキローラ１１３と第１搬送ローラ１１４及び第２搬送ローラ１１５との間に設けられる。第２ガイド１１０は、下流側の端部が、搬送される媒体の厚さに応じて上方に（図２の矢印Ａ６の方向に）揺動可能に、上側筐体１０２に支持されている。第２ガイド１１０は、第１搬送ローラ１１４と第２搬送ローラ１１５のニップ位置へ進入する媒体の先端に当接して媒体の先端の浮き上がりを規制するとともに、厚み及び剛性を有する媒体の上面を規制する。

媒体センサ１１１は、給送ローラ１１２及びブレーキローラ１１３の上流側に配置される。媒体センサ１１１は、接触検出センサを有し、載置台１０３に媒体が載置されているか否かを検出する。媒体センサ１１１は、載置台１０３に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する媒体信号を生成して出力する。

給送ローラ１１２は、下側筐体１０１に設けられ、載置台１０３に載置された媒体を下側から順に給送する。ブレーキローラ１１３は、分離ローラの一例であり、上側筐体１０２に設けられ、給送ローラ１１２に対向して配置され、媒体を分離する。

第１撮像装置１１６ａは、主走査方向に直線状に配列されたＣＭＯＳ（Complementary Metal Oxide Semiconductor）による撮像素子を有する等倍光学系タイプのＣＩＳ（Contact Image Sensor）によるラインセンサを有する。また、第１撮像装置１１６ａは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ／デジタル（Ａ／Ｄ）変換するＡ／Ｄ変換器とを有する。第１撮像装置１１６ａは、後述する処理回路からの制御に従って、搬送された媒体の表面を撮像した入力画像を生成して出力する。

同様に、第２撮像装置１１６ｂは、主走査方向に直線状に配列されたＣＭＯＳによる撮像素子を有する等倍光学系タイプのＣＩＳによるラインセンサを有する。また、第２撮像装置１１６ｂは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ／デジタル（Ａ／Ｄ）変換するＡ／Ｄ変換器とを有する。第２撮像装置１１６ｂは、後述する処理回路からの制御に従って、搬送された媒体の裏面を撮像した入力画像を生成して出力する。

なお、媒体搬送装置１００は、第１撮像装置１１６ａ及び第２撮像装置１１６ｂを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、ＣＭＯＳによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのＣＩＳによるラインセンサの代わりに、ＣＣＤ（Charge Coupled Device）による撮像素子を備える等倍光学系タイプのＣＩＳによるラインセンサが利用されてもよい。また、ＣＭＯＳ又はＣＣＤによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。以下では、第１撮像装置１１６ａ及び第２撮像装置１１６ｂを総じて撮像装置１１６と称する場合がある。

第２搬送ローラ１１５、第２撮像装置１１６ｂ及び第２排出ローラ１１８は、搬送される媒体の厚さに応じて上方に移動可能に、上側筐体１０２に支持されている。

載置台１０３に載置された媒体は、給送ローラ１１２が図２の矢印Ａ１１の方向、即ち媒体給送方向に回転することによって、下側ガイド１０７ａと上側ガイド１０７ｂの間を媒体搬送方向Ａ１に向かって搬送される。媒体搬送装置１００は、載置台１０３に複数の媒体が載置された場合に媒体を分離して給送する分離モードと、パスポート等の媒体を分離せずに給送する非分離モードの二つの動作モードを有している。分離モードで動作する場合、ブレーキローラ１１３は、媒体搬送時、矢印Ａ１２の方向、即ち媒体給送方向の逆方向に回転する。給送ローラ１１２及びブレーキローラ１１３の働きにより、載置台１０３に複数の媒体が載置されている場合、載置台１０３に載置されている媒体のうち給送ローラ１１２と接触している媒体のみが分離される。これにより、分離された媒体以外の媒体の搬送が制限される（重送の防止）。一方、非分離モードで動作する場合、ブレーキローラ１１３は、媒体給送時、矢印Ａ１２の反対方向、即ち媒体給送方向に回転する。

媒体は、下側ガイド１０７ａと上側ガイド１０７ｂによりガイドされながら、第１搬送ローラ１１４と第２搬送ローラ１１５の間に送り込まれる。媒体は、第１搬送ローラ１１４及び第２搬送ローラ１１５がそれぞれ矢印Ａ１３及び矢印Ａ１４の方向に回転することによって、第１撮像装置１１６ａと第２撮像装置１１６ｂの間に送り込まれる。撮像装置１１６により読み取られた媒体は、第１排出ローラ１１７及び第２排出ローラ１１８がそれぞれ矢印Ａ１５及び矢印Ａ１６の方向に回転することによって排出台１０４上に排出される。

図３及び図４は、給送ローラ１１２、ブレーキローラ１１３、第１搬送ローラ１１４、第２搬送ローラ１１５、第１排出ローラ１１７及び第２排出ローラ１１８の駆動機構について説明するための模式図である。図３は、上流側から各ローラの駆動機構を見た斜視図であり、図４は、上方且つ下流側から各ローラの駆動機構を見た斜視図である。

図３及び図４に示すように、ブレーキローラ１１３、第１搬送ローラ１１４、第２搬送ローラ１１５、第１排出ローラ１１７及び第２排出ローラ１１８の駆動機構は、第１モータ１５１、第１～第４プーリ１４１ａ～ｄ、第１～第２ベルト１４２ａ～ｂ、第１～第１３伝達ギア１４３ａ～ｍ、第１～第７シャフト１４４ａ～ｇ及びトルクリミッタ１４５等を有する。一方、給送ローラ１１２の駆動機構は、第２モータ１５２、第５～第６プーリ１４１ｅ～ｆ、第３ベルト１４２ｃ、第１４～第１６伝達ギア１４３ｎ～ｐ及び第８シャフト１４４ｈ等を有する。

第１モータ１５１は、モータの一例であり、後述する処理回路からの制御信号によって、ブレーキローラ１１３、第１搬送ローラ１１４、第２搬送ローラ１１５、第１排出ローラ１１７及び第２排出ローラ１１８を回転させるための駆動力を発生する。第１モータ１５１は、ブレーキローラ１１３を媒体給送方向の逆方向Ａ１２に回転させ且つ第１搬送ローラ１１４、第２搬送ローラ１１５、第１排出ローラ１１７及び第２排出ローラ１１８を媒体搬送方向Ａ１３～Ａ１６に回転させるための第１駆動力を発生する。なお、第１搬送ローラ１１４、第２搬送ローラ１１５、第１排出ローラ１１７及び第２排出ローラ１１８の内の一部又は全部は、第２モータ１５２又は他のモータが発生する駆動力により回転してもよい。

第１モータ１５１の回転軸には第１プーリ１４１ａが取り付けられ、第１プーリ１４１ａと第２プーリ１４１ｂの外径の大きい方のプーリ部分との間には第１ベルト１４２ａが張架されている。第２プーリ１４１ｂの外径の小さい方のプーリ部分と、第３プーリ１４１ｃのプーリ部分と、第４プーリ１４１ｄのプーリ部分との間には第２ベルト１４２ｂが張架されている。

第３プーリ１４１ｃは第１シャフト１４４ａに取り付けられ、第１シャフト１４４ａにはさらに第１排出ローラ１１７が取り付けられている。第３プーリ１４１ｃのギア部分は第１伝達ギア１４３ａと係合される。第１伝達ギア１４３ａはユニバーサルジョイントを介して第２シャフト１４４ｂに取り付けられ、第２シャフト１４４ｂにはさらに第２排出ローラ１１８が取り付けられている。また、第４プーリ１４１ｄは第３シャフト１４４ｃに取り付けられ、第３シャフト１４４ｃにはさらに第１搬送ローラ１１４が取り付けられている。第４プーリ１４１ｄのギア部分は第２伝達ギア１４３ｂと係合される。第２伝達ギア１４３ｂはユニバーサルジョイントを介して第４シャフト１４４ｄに取り付けられ、第４シャフト１４４ｄにはさらに第２搬送ローラ１１５が取り付けられている。

第２伝達ギア１４３ｂは第３伝達ギア１４３ｃと係合される。第３伝達ギア１４３ｃは第４伝達ギア１４３ｄと係合される。第４伝達ギア１４３ｄは第５伝達ギア１４３ｅと係合される。第５伝達ギア１４３ｅは第６伝達ギア１４３ｆと係合される。第６伝達ギア１４３ｆは第７伝達ギア１４３ｇと係合される。第７伝達ギア１４３ｇは第５シャフト１４４ｅに取り付けられ、第５シャフト１４４ｅにはさらに第８伝達ギア１４３ｈが取り付けられている。第８伝達ギア１４３ｈは第９伝達ギア１４３ｉと係合され、第９伝達ギア１４３ｉは第１０伝達ギア１４３ｊと係合される。第１０伝達ギア１４３ｊは第６シャフト１４４ｆに取り付けられ、第６シャフト１４４ｆにはさらに第１１伝達ギア１４３ｋが取り付けられている。第１１伝達ギア１４３ｋは第１２伝達ギア１４３ｌと係合され、第１２伝達ギア１４３ｌは第１３伝達ギア１４３ｍと係合される。第１３伝達ギア１４３ｍは第７シャフト１４４ｇに取り付けられ、第７シャフト１４４ｇにはさらにブレーキローラ１１３が取り付けられている。

ブレーキローラ１１３の回転軸である第７シャフト１４４ｇ上において、第１２伝達ギア１４３ｌとブレーキローラ１１３の間には、トルクリミッタ１４５が設けられる。即ち、トルクリミッタ１４５は、第１モータ１５１からブレーキローラ１１３への駆動力伝達経路上に配置され、ブレーキローラ１１３にかかる負荷を制御する。トルクリミッタ１４５とブレーキローラ１１３の間にはギア列が存在しないため、部品毎の製造誤差等によりブレーキローラ１１３に付与される分離力が変動することが抑制される。そのため、媒体搬送装置１００は、媒体を、部品毎の製造誤差によらず高精度に分離できる。

トルクリミッタ１４５のリミット値は、媒体が一つの場合はトルクリミッタ１４５を介した回転力が絶たれ、媒体が複数の場合はトルクリミッタ１４５を介した回転力が伝達されるような値に設定される。これにより、媒体が一つだけ搬送される場合、ブレーキローラ１１３は、第１駆動力に従って回転することなく、給送ローラ１１２に従って従動する。一方、媒体が複数搬送される場合、ブレーキローラ１１３は、媒体給送方向の逆方向Ａ１２に回転し、給送ローラ１１２と接触している媒体とそれ以外の媒体とを分離して、重送の発生を防止する。このとき、ブレーキローラ１１３の外周面は、媒体給送方向の逆方向Ａ１２に回転せずに停止した状態で、媒体給送方向の逆方向Ａ１２の力を媒体に印加してもよい。

第１～第４プーリ１４１ａ～ｄ、第１～第２ベルト１４２ａ～ｂ、第１～第１３伝達ギア１４３ａ～ｍ及び／又は第５～第７シャフト１４４ｅ～ｇは、第１モータ１５１が発生した駆動力をトルクリミッタ１４５に伝達するための伝達部材の一例である。なお、伝達部材は、ギアのみ又はプーリ及びベルトのみで構成されてもよい。

第２モータ１５２は、後述する処理回路からの制御信号によって、給送ローラ１１２を回転させる駆動力を発生する。第２モータ１５２は、給送ローラ１１２を媒体給送方向Ａ１１に回転させるための第２駆動力を発生する。

第２モータ１５２の回転軸には第５プーリ１４１ｅが取り付けられ、第５プーリ１４１ｅと第６プーリ１４１ｆのプーリ部分との間には第３ベルト１４２ｃが張架されている。第６プーリ１４１ｆのギア部分は第１４伝達ギア１４３ｎと係合され、第１４伝達ギア１４３ｎは第１５伝達ギア１４３ｏと係合され、第１５伝達ギア１４３ｏは第１６伝達ギア１４３ｐと係合される。第１６伝達ギア１４３ｐは第８シャフト１４４ｈに取り付けられ、第８シャフト１４４ｈにはさらに給送ローラ１１２が取り付けられている。

また、支持部材１０９の上面には、一端が上側筐体１０２に支持されたばね１０９ａの他端が取り付けられている。支持部材１０９及びブレーキローラ１１３は、ばね１０９ａにより高さ方向Ａ３の下方に向けて、即ち給送ローラ１１２側に向けて付勢されている。ばね１０９ａは、ブレーキローラ１１３を給送ローラ１１２側に押圧する押圧部材の一例である。押圧部材として、ばね１０９ａの代わりにゴム等が用いられてもよい。以下では、ブレーキローラ１１３、支持部材１０９、第１１～第１３伝達ギア１４３ｋ～ｍ、第７シャフト１４４ｇ及びトルクリミッタ１４５をまとめてブレーキローラユニットと称する場合がある。ブレーキローラユニットは、ユニットの一例である。

以下、各ローラ及び各ローラの駆動機構の動作について説明する。

第１モータ１５１が第１駆動力を発生させた場合、第１プーリ１４１ａが矢印Ｂ１の方向に回転し、それに伴い第２～第４プーリ１４１ｂ～ｄがそれぞれ矢印Ｂ１の方向に回転する。また、第１～第７伝達ギア１４３ａ～ｇがそれぞれ矢印Ｂ２～Ｂ８の方向に回転し、第８～第１０伝達ギア１４３ｈ～ｊがそれぞれ矢印Ｂ８～Ｂ１０の方向に回転し、第１１～第１３伝達ギア１４３ｋ～ｍがそれぞれ矢印Ｂ１０～Ｂ１２の方向に回転する。これにより、ブレーキローラ１１３は、回転軸である第７シャフト１４４ｇとともに、第１モータ１５１からの第１駆動力によって、媒体給送方向の逆方向Ａ１２に回転する。

第１１伝達ギア１４３ｋは、第１ギアの一例であり、第１モータ１５１が発生させた第１駆動力に応じて回転する。第１３伝達ギア１４３ｍは、第２ギアの一例であり、ブレーキローラ１１３の回転軸である第７シャフト１４４ｇに設けられる。第１２伝達ギア１４３ｌは、第３ギアの一例であり、第１１伝達ギア１４３ｋと第１３伝達ギア１４３ｍの間に設けられる。

また、第３プーリ１４１ｃが矢印Ｂ１の方向に回転することにより、第１排出ローラ１１７は、媒体搬送方向Ａ１５に回転する。第１伝達ギア１４３ａが矢印Ｂ２の方向に回転することにより、第２排出ローラ１１８は、媒体搬送方向Ａ１６に回転する。第４プーリ１４１ｄが矢印Ｂ１の方向に回転することにより、第１搬送ローラ１１４は、媒体搬送方向Ａ１３に回転する。第２伝達ギア１４３ｂが矢印Ｂ３の方向に回転することにより、第２搬送ローラ１１５は、媒体搬送方向Ａ１４に回転する。

一方、第２モータ１５２が第２駆動力を発生させた場合、第５プーリ１４１ｅが矢印Ｂ１３の方向に回転し、それに伴い第６プーリ１４１ｆが矢印Ｂ１３の方向に回転する。また、第１４～第１６伝達ギア１４３ｎ～ｐがそれぞれ矢印Ｂ１４～Ｂ１６の方向に回転することにより、給送ローラ１１２は媒体給送方向Ａ１１に回転する。

図５は、支持部材１０９について説明するための模式図である。図５は、上流側から支持部材１０９及びブレーキローラ１１３の駆動機構を見た斜視図である。図５において、支持部材１０９は点線で示されている。

支持部材１０９は、樹脂又は金属等により形成される。支持部材１０９は、上面１０９ｂ、第１側面１０９ｃ及び第２側面１０９ｄを有する。支持部材１０９は、第１１～第１３伝達ギア１４３ｋ～ｍ、トルクリミッタ１４５及びブレーキローラ１１３を支持する。上記したばね１０９ａは、上面１０９ｂに取り付けられる。第１１伝達ギア１４３ｋが取り付けられる第６シャフト１４４ｆと、第１２伝達ギア１４３ｌが取り付けられるシャフトとは、第１側面１０９ｃに取り付けられる。また、第１３伝達ギア１４３ｍ、トルクリミッタ１４５及びブレーキローラ１１３が取り付けられる第７シャフト１４４ｇの両端は、第１側面１０９ｃ及び第２側面１０９ｄに取り付けられる。第２側面１０９ｄには、第６シャフト１４４ｆと同一軸上に突起１０９ｅが設けられ、支持部材１０９は、突起１０９ｅ及び第６シャフト１４４ｆを回転（揺動）軸として回転（揺動）可能に上側筐体１０２に取り付けられている。

このように、支持部材１０９は、第１１伝達ギア１４３ｋの軸である第６シャフト１４４ｆを回転軸として揺動（回転）可能に上側筐体１０２に支持され、ブレーキローラ１１３を揺動可能に支持する。

図６は、第１１～第１３伝達ギア１４３ｋ～ｍ、支持部材１０９及びブレーキローラ１１３の動作について説明するための模式図である。

上記したように、第１モータ１５１が第１駆動力を発生させた場合、第１１～第１３伝達ギア１４３ｋ～ｍがそれぞれ矢印Ｂ１０～Ｂ１２の方向に回転し、ブレーキローラ１１３は媒体給送方向の逆方向Ａ１２に回転する。また、第１１～第１３伝達ギア１４３ｋ～ｍ及びブレーキローラ１１３は、第１１伝達ギア１４３ｋが取り付けられた第６シャフト１４４ｆを中心として回転（揺動）可能に設けられた支持部材１０９により支持される。そのため、第１１伝達ギア１４３ｋが矢印Ｂ１０の方向に回転することにより、第１２伝達ギア１４３ｌには矢印Ａ５の方向に向かう力が加えられる。これにより、第１２伝達ギア１４３ｌが取り付けられた第１側面１０９ｃには、第６シャフト１４４ｆを中心として矢印Ａ５の方向に回転する力が加えられる。その結果、支持部材１０９には、第６シャフト１４４ｆを中心として矢印Ａ５の方向に回転する力が加えられ、ブレーキローラ１１３には給送ローラ１１２から離間する方向（矢印Ａ５の方向）に力が加えられる。

即ち、ブレーキローラユニットは、第１１～第１３伝達ギア１４３ｋ～ｍから第１駆動力が伝達された場合に、ブレーキローラ１１３に対して給送ローラ１１２から離間する方向に所定の力が作用するように、第６シャフト１４４ｆに対して揺動可能に支持される。第１１伝達ギア１４３ｋは、第１モータ１５１の回転によって、ブレーキローラ１１３を給送ローラ１１２から離間させる力を発生する方向（矢印Ｂ１０の方向）に回転している。また、支持部材１０９及びブレーキローラ１１３は、ばね１０９ａにより給送ローラ１１２側に押圧されている。これにより、ブレーキローラ１１３は、給送ローラ１１２から離間することなく、媒体を給送させることができる。

以下、ブレーキローラ１１３に作用する力について説明する。

図６に示すように、第１２伝達ギア１４３ｌは、二段ギアであり、第１３伝達ギア１４３ｍ側のギアの歯数は、第１１伝達ギア１４３ｋ側のギアの歯数より多い。即ち、第１２伝達ギア１４３ｌは、第１１伝達ギア１４３ｋからの回転を第１３伝達ギア１４３ｍに対して減速して伝達する減速ギアとして動作する。第１２伝達ギア１４３ｌは、第１モータ１５１の第１駆動力を第１１伝達ギア１４３ｋから第１３伝達ギア１４３ｍへ減速して伝達する。第１２伝達ギア１４３ｌの各ギアは、一体の部材で形成される。なお、第１２伝達ギア１４３ｌの各ギアは、別個の部材で、一体的に形成されてもよい。

ブレーキローラ１１３には、第１～第３の力Ｆ１～Ｆ３が作用する。第１の力Ｆ１は、媒体給送方向の逆方向Ａ１２に回転しようとするブレーキローラ１１３に媒体搬送方向Ａ１にかかる負荷（分離トルク）により発生する、ブレーキローラ１１３を給送ローラ１１２に食い込ませる力である。即ち、第１の力Ｆ１は、トルクリミッタ１４５によって、ブレーキローラ１１３が給送ローラ１１２の回転方向と逆方向Ａ１２に回転しようとするトルクを制限することによって発生する。第１の力Ｆ１は、トルクリミッタ１４５によってブレーキローラ１１３を給送ローラ１１２側に押圧する力であり、第１の力Ｆ１により、ブレーキローラ１１３は給送ローラ１１２側に押圧される。

第２の力Ｆ２は、第１１～第１３伝達ギア１４３ｋ～ｍを含むギア群のギア伝達トルクにより発生する、ブレーキローラ１１３を上方に浮かせようとする力である。即ち、第２の力Ｆ２は、第１１伝達ギア１４３ｋによって、ブレーキローラ１１３を給送ローラ１１２から離間させる力である。

第３の力Ｆ３は、ばね１０９ａがブレーキローラ１１３を給送ローラ１１２側に向けて押圧する押圧力である。第３の力Ｆ３は、ばね１０９ａのばね定数等に応じて定まる静的な力である。即ち、第３の力Ｆ３は、ばね１０９ａによって、ブレーキローラ１１３を給送ローラ１１２側に押圧する力である。

ブレーキローラ１１３には、第１の力Ｆ１の大きさと第３の力Ｆ３の大きさの合計から第２の力Ｆ２の大きさを減算した大きさの力が、ブレーキローラ１１３が給送ローラ１１２を押圧する方向に作用する。二つの用紙が分離されるためには、二つの用紙の間の摩擦力より、二つの用紙にかかる分離力（ブレーキローラ１１３によるバック負荷）が大きくなる必要がある。二つの用紙にかかる分離力の大きさは、トルクリミッタ１４５によるリミット値をブレーキローラ１１３の半径で除算することにより算出される。一方、二つの用紙の間の摩擦力の大きさは、二つの用紙の間の摩擦係数に、上記したブレーキローラ１１３が給送ローラ１１２を押圧する方向に作用する力を乗算することにより算出される。即ち、ブレーキローラ１１３が給送ローラ１１２を押圧する方向に作用する力が大きくなる程、分離可能な用紙の摩擦係数が小さくなり、媒体の重送が発生しやすくなる。

例えば、ブレーキローラ１１３の揺動軸である第１１伝達ギア１４３ｋを十分に大きくする（歯数を多くする）ことにより、第２の力Ｆ２を増大させることができる。しかしながら、第１１伝達ギア１４３ｋを大きくしようとすると、第１１伝達ギア１４３ｋが媒体搬送路に突出しないように、第１１伝達ギア１４３ｋの回転支点を媒体搬送路から大きく離す必要がある。第１１伝達ギア１４３ｋの回転支点と媒体搬送路の間の距離が大きくなると第１の力Ｆ１が大きくなり、その結果、ブレーキローラ１１３が給送ローラ１１２を押圧する方向に作用する力を低減させることが困難になる。

また、ブレーキローラ１１３を支持する第７シャフト１４４ｇに取り付けられた第１３伝達ギア１４３ｍを十分に小さくする（歯数を少なくする）ことによっても、第２の力Ｆ２を増大させることができる。しかしながら、第１３伝達ギア１４３ｍを小さくしようとすると、第１３伝達ギア１４３ｍの歯面強度が低減して、第１３伝達ギア１４３ｍが摩耗しやすくなり、その結果、媒体搬送装置１００の装置寿命（又は部品寿命）が短くなる。

媒体搬送装置１００は、第１１伝達ギア１４３ｋと第１３伝達ギア１４３ｍの間に設けられたアイドラギアである第１２伝達ギア１４３ｌとして減速ギアを使用する。これにより、媒体搬送装置１００は、第１１伝達ギア１４３ｋを十分に大きくすること、又は、第１３伝達ギア１４３ｍを十分に小さくすることなく、第２の力Ｆ２を増大させることが可能となる。その結果、媒体搬送装置１００は、ブレーキローラ１１３が給送ローラ１１２を押圧する方向に作用する力を低減させること可能となり、媒体の重送の発生を抑制することが可能となる。

上記したように、第３の力Ｆ３は、ばね１０９ａのばね定数等に応じて定まる静的な力である。一方、第１の力Ｆ１及び第２の力Ｆ２は、媒体の給送及び分離に伴って発生する動的な力である。そのため、第１の力Ｆ１及び第２の力Ｆ２は、給送ローラ１１２及びブレーキローラ１１３の表面（ゴム）に形成された凹凸によるわずかな振動、又は、トルクリミッタ１４５内部の部材の係合タイミング等によって小刻みに変動する。第１の力Ｆ１及び第２の力Ｆ２の大きさが小さいほどブレーキローラ１１３にかかる付圧力が安定に保たれ、媒体は安定して分離される。しかしながら、第１の力Ｆ１及び第２の力Ｆ２の大きさは、ユニットの構造によって定まるため、第１の力Ｆ１及び第２の力Ｆ２の大きさ自体を小さくすることは困難である。

但し、第１の力Ｆ１の大きさと第２の力Ｆ２の大きさとの差が小さければ、第１の力Ｆ１と第２の力Ｆ２とが相殺され、ブレーキローラ１１３にかかる付圧力が安定に保たれ、媒体は安定して分離される。通常、分離トルクにより発生する第１の力Ｆ１の大きさは、ギア伝達トルクにより発生する第２の力Ｆ２の大きさより十分に大きくなる。上記したように、媒体搬送装置１００は、第１１伝達ギア１４３ｋと第１３伝達ギア１４３ｍの間に減速ギアを設けることにより、第２の力Ｆ２を十分に大きくし、第１の力Ｆ１と同程度の大きさにすることができる。

第１の力Ｆ１は、給送ローラ１１２とブレーキローラ１１３のニップ位置と、ブレーキローラ１１３の揺動支点との位置関係に応じて変化する。第１の力Ｆ１は、以下の式（１）により算出される。
Ｆ１＝｛（Ｔ／Ｒ）×Ｈ｝／Ａ （１）
ここで、Ｔは、トルクリミッタ１４５のリミット値である。Ｒは、ブレーキローラ１１３の半径である。Ｈは、給送ローラ１１２及びブレーキローラ１１３のニップ面と直交する方向における給送ローラ１１２及びブレーキローラ１１３のニップ位置と第１１伝達ギア１４３ｋの回転中心との間の距離である（図６を参照）。Ａは、給送ローラ１１２及びブレーキローラ１１３のニップ面と平行な方向における給送ローラ１１２及びブレーキローラ１１３のニップ位置と第１１伝達ギア１４３ｋの回転中心との間の距離である（図６を参照）。

一方、第２の力Ｆ２は、ブレーキローラ１１３の揺動支点とブレーキローラ１１３の回転支点との間に配置されたギア列に応じて変化する。第２の力Ｆ２は、以下の式（２）により算出される。
Ｆ２＝｛Ｔ×（Ｚ１／Ｚ２）×Ｇ｝／Ａ （２）
ここで、Ｚ１は、第１１伝達ギア１４３ｋの歯数である。Ｚ２は、第１３伝達ギア１４３ｍの歯数である。Ｇは、第１２伝達ギア１４３ｌにおける、第１１伝達ギア１４３ｋ側のギアの歯数に対する、第１３伝達ギア１４３ｍ側のギアの歯数の歯数比である。

第１２伝達ギア１４３ｌは、第１の力Ｆ１と第２の力Ｆ２の差が所定値以下となるように設けられる。また、ブレーキローラ１１３が給送ローラ１１２に対して浮き上がらないように、第１２伝達ギア１４３ｌは、第１の力Ｆ１が第２の力Ｆ２以上となるように設けられる。即ち、第１２伝達ギア１４３ｌの歯数比Ｇは、以下の式（３）を満たすように設定される。
０≦［｛（Ｔ／Ｒ）×Ｈ｝／Ａ］－［｛Ｔ×（Ｚ１／Ｚ２）×Ｇ｝／Ａ］≦Ｄ （３）
ここで、Ｄは、所定値であり、例えば１００［ｇｆ］（０．９８［Ｎ］）に設定される。

例えば、トルクリミッタ１４５のリミット値Ｔが５００［ｇｆｃｍ］であり、ブレーキローラ１１３の半径Ｒが１３．５［ｍｍ］であり、距離Ｈが２５．６［ｍｍ］であり、距離Ａが３１．１［ｍｍ］である場合、第１の力Ｆ１は３０４．８［ｇｆ］となる。さらに、第１１伝達ギア１４３ｋの歯数Ｚ１が２８であり、第１３伝達ギア１４３ｍの歯数Ｚ２が２４である場合、第２の力Ｆ２は１８７．６×Ｇ［ｇｆ］となる。この場合、式（３）を満たすように、第１２伝達ギア１４３ｌの歯数比Ｇは、１．０９以上であり且つ１．６２以下に設定される。媒体搬送装置１００の部品公差等を考慮したマージンを加えて、第１２伝達ギア１４３ｌの歯数比Ｇは、１．０５以上であり且つ１．８０以下に設定されることが好ましい。

図７は、パスポートのような厚み及び剛性を有する媒体が搬送された場合のブレーキローラ１１３及び支持部材１０９の状態について説明するための模式図である。

図７に示す例では、パスポートＭが給送されている。上記したように、支持部材１０９は上側筐体１０２に揺動可能に支持されている。図７に示すように、パスポートＭは厚み及び剛性を有するため、パスポートＭによりブレーキローラ１１３が押し上げられ、それに伴って、ブレーキローラ１１３の回転軸である第７シャフト１４４ｇが押し上げられる。第７シャフト１４４ｇは支持部材１０９の上流側端部に取り付けられており、支持部材１０９の下流側端部は第６シャフト１４４ｆ及び突起１０９ｅを揺動軸として上側筐体１０２に揺動可能に支持されているため、支持部材１０９は矢印Ａ５の方向に揺動する。

図８は、パスポートのような厚み及び剛性を有する媒体が搬送された場合の上側ガイド１０７ｂ、第２搬送ローラ１１５、第２撮像装置１１６ｂ及び第２排出ローラ１１８の状態について説明するための模式図である。

図８に示す例では、パスポートＭが給送されている。上記したように、第１ガイド１０８及び第２ガイド１１０は上側筐体１０２に揺動可能に支持されている。図８に示すように、パスポートＭは厚み及び剛性を有するため、第１ガイド１０８及び第２ガイド１１０は、パスポートＭにより押し上げられ、それぞれ矢印Ａ４及びＡ６の方向に揺動する。また、上記したように、第２搬送ローラ１１５、第２撮像装置１１６ｂ及び第２排出ローラ１１８は、高さ方向Ａ３の上方に移動可能に、上側筐体１０２に支持されているため、パスポートＭにより押し上げられ、上方に移動する。

このように、下側ガイド１０７ａ及び上側ガイド１０７ｂは、パスポートを搬送可能に設けられている。ブレーキローラ１１３、支持部材１０９、第１１～第１３伝達ギア１４３ｋ～ｍ及びトルクリミッタ１４５を含むブレーキローラユニットは、その下側ガイド１０７ａ及び上側ガイド１０７ｂを挟んで、給送ローラ１１２の反対側に配置されている。厚みを有するパスポートを確実に搬送させるために、ブレーキローラ１１３の揺動軸である第６シャフト１４４ｆは、下側ガイド１０７ａから十分に離れた位置に配置される。例えば、高さ方向Ａ３における第６シャフト１４４ｆの中心と下側ガイド１０７ａの間の距離は１８ｍｍ以上に設定される。

上記したように、第１１伝達ギア１４３ｋの回転支点と媒体搬送路の間の距離が大きくなると第１の力Ｆ１が大きくなる。媒体搬送装置１００は、第１１伝達ギア１４３ｋと第１３伝達ギア１４３ｍの間に設けられたアイドラギアである第１２伝達ギア１４３ｌとして減速ギアを使用することにより、第２の力Ｆ２を増大させている。これにより、媒体搬送装置１００は、パスポートのような厚みを有する媒体を良好に搬送しつつ、用紙のような複数まとめて搬送される媒体を良好に分離することが可能となる。即ち、媒体搬送装置１００は、厚みを有する媒体の搬送性と、まとめて搬送される媒体の分離性とを両立させることが可能となる。

図９は、媒体搬送装置１００の概略構成を示すブロック図である。

媒体搬送装置１００は、前述した構成に加えて、インタフェース装置１５３、記憶装置１６０及び処理回路１７０等をさらに有する。

インタフェース装置１５３は、例えばＵＳＢ等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置（例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等）と電気的に接続して入力画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置１５３の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース装置とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線ＬＡＮ（Local Area Network）である。

記憶装置１６０は、ＲＡＭ（Random Access Memory）、ＲＯＭ（Read Only Memory）等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置１６０には、媒体搬送装置１００の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置１６０にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばＣＤ－ＲＯＭ（compact disc read only memory）、ＤＶＤ－ＲＯＭ（digital versatile disc read only memory）等である。

処理回路１７０は、予め記憶装置１６０に記憶されているプログラムに基づいて動作する。処理回路は、例えばＣＰＵ（Central Processing Unit）である。処理回路１７０として、ＤＳＰ（digital signal processor）、ＬＳＩ（large scale integration）、ＡＳＩＣ（Application Specific Integrated Circuit）、ＦＰＧＡ（Field-Programmable Gate Array）等が用いられてもよい。

処理回路１７０は、操作装置１０５、表示装置１０６、媒体センサ１１１、撮像装置１１６、第１モータ１５１、第２モータ１５２、インタフェース装置１５３及び記憶装置１６０等と接続され、これらの各部を制御する。処理回路１７０は、第１モータ１５１及び第２モータ１５２の駆動制御、撮像装置１１６の撮像制御等を行い、媒体の搬送を制御して、入力画像を生成し、インタフェース装置１５３を介して情報処理装置に送信する。

図１０は、記憶装置１６０及び処理回路１７０の概略構成を示す図である。

図１０に示すように、記憶装置１６０には、制御プログラム１６１及び画像取得プログラム１６２等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。処理回路１７０は、記憶装置１６０に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、処理回路１７０は、制御部１７１及び画像取得部１７２として機能する。

図１１は、媒体搬送装置１００の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。

以下、図１１に示したフローチャートを参照しつつ、媒体搬送装置１００の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置１６０に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路１７０により媒体搬送装置１００の各要素と協働して実行される。図１１に示す動作のフローは、定期的に実行される。

最初に、制御部１７１は、利用者により操作装置１０５を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を操作装置１０５から受信するまで待機する（ステップＳ１０１）。

次に、制御部１７１は、媒体センサ１１１から媒体信号を取得し、取得した媒体信号に基づいて、載置台１０３に媒体が載置されているか否かを判定する（ステップＳ１０２）。

載置台１０３に媒体が載置されていない場合、制御部１７１は、ステップＳ１０１へ処理を戻し、操作装置１０５から新たに操作信号を受信するまで待機する。

一方、載置台１０３に媒体が載置されている場合、制御部１７１は、第１モータ１５１及び第２モータ１５２を駆動する（ステップＳ１０３）。制御部１７１は、第１モータ１５１に第１駆動力を発生させる。これにより、制御部１７１は、ブレーキローラ１１３を媒体給送方向の逆方向Ａ１２に回転させ、第１搬送ローラ１１４、第２搬送ローラ１１５、第１排出ローラ１１７及び第２排出ローラ１１８を媒体搬送方向Ａ１３～Ａ１６に回転させる。また、制御部１７１は、第２モータ１５２に第２駆動力を発生させて、給送ローラ１１２を媒体給送方向Ａ１１に回転させる。これにより、制御部１７１は、媒体の給送及び搬送を実行する。

次に、画像取得部１７２は、撮像装置１１６に媒体の撮像を開始させ、撮像装置１１６から入力画像を取得する（ステップＳ１０４）。

次に、画像取得部１７２は、入力画像を、インタフェース装置１５３を介して情報処理装置へ送信する（ステップＳ１０５）。

次に、制御部１７１は、媒体センサ１１１から取得する媒体信号に基づいて載置台１０３に媒体が残っているか否かを判定する（ステップＳ１０６）。載置台１０３に媒体が残っている場合、制御部１７１は、ステップＳ１０４へ処理を戻し、ステップＳ１０４～Ｓ１０６の処理を繰り返す。

一方、載置台１０３に媒体が残っていない場合、制御部１７１は、第１モータ１５１及び第２モータ１５２を停止させて（ステップＳ１０７）、一連のステップを終了する。

以上詳述したように、媒体搬送装置１００は、第１１伝達ギア１４３ｋと第１３伝達ギア１４３ｍとの間に減速ギアである第１２伝達ギア１４３ｌを設ける。これにより、媒体搬送装置１００は、トルクリミッタ１４５によって発生する押圧力に対して、第１１伝達ギア１４３ｋの回転によって発生する離間力を適切な値に設定する。したがって、媒体搬送装置１００は、媒体を分離して給送する際に、媒体に適切な力をかけることが可能となり、媒体をより適切に分離して給送することが可能となった。

図１２は、他の実施形態に係る媒体搬送装置のギア群について説明するための模式図である。

本実施形態では、支持部材１０９の代わりに支持部材２０９が使用され、第６～第７シャフト１４４ｆ～１４４ｇの代わりに第６～第７シャフト２４４ｆ～ｇが使用される。また、第１１～第１３伝達ギア１４３ｋ～ｍの代わりに第１１～第１３伝達ギア２４３ｋ～ｍが使用される。また、第１１伝達ギア２４３ｋと第１２伝達ギア２４３ｌの間に第１７伝達ギア２４３ｑが設けられ、第１２伝達ギア２４３ｌと第１３伝達ギア２４３ｍの間に第１８伝達ギア２４３ｒが設けられる。支持部材２０９、第６～第７シャフト２４４ｆ～ｇ及び第１１～第１３伝達ギア２４３ｋ～ｍは、それぞれ支持部材１０９、第６～第７シャフト１４４ｆ～ｇ及び第１１～第１３伝達ギア１４３ｋ～ｍと同様の構成を有する。

第１７伝達ギア２４３ｑは、第１１伝達ギア２４３ｋ及び第１２伝達ギア２４３ｌと係合するように、支持部材２０９に取り付けられる。第１８伝達ギア２４３ｒは、第１２伝達ギア２４３ｌ及び第１３伝達ギア２４３ｍと係合するように、支持部材２０９に取り付けられる。

なお、第１１伝達ギア２４３ｋの回転軸である第６シャフト２４４ｆとブレーキローラ１１３の回転軸である第７シャフト２４４ｇの間に配置されるギアの数は３又は５に限定されず、３以上の任意の奇数であればよい。これにより、ブレーキローラ１１３は、第１１伝達ギア２４３ｋの回転方向Ｂ１０と同じ方向Ａ１２に回転しつつ、ブレーキローラ１１３には、第１１伝達ギア２４３ｋの回転方向Ｂ１０と同じ方向Ａ５に向かう力が加えられる。

また、減速ギアである第１２伝達ギア２４３ｌは、第１１伝達ギア２４３ｋと係合する位置、又は、第１３伝達ギア２４３ｍと係合する位置等、任意の位置に配置されてもよい。これにより、媒体搬送装置は、第１１伝達ギア２４３ｋを十分に大きくすること、又は、第１３伝達ギア２４３ｍを十分に小さくすることなく、第２の力Ｆ２を増大させることが可能となる。

以上詳述したように、媒体搬送装置は、第１１伝達ギア２４３ｋの回転軸とブレーキローラ１１３の回転軸の間に配置されるギアの数を５以上の奇数にした場合も、媒体をより適切に分離して給送することが可能となった。

図１３は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置における処理回路２７０の概略構成を示す図である。処理回路２７０は、媒体搬送装置１００の処理回路１７０の代わりに使用され、ＣＰＵ１７０の代わりに、媒体読取処理及び設定処理を実行する。処理回路２７０は、制御回路２７１及び画像取得回路２７２等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。

制御回路２７１は、制御部の一例であり、制御部１７１と同様の機能を有する。制御回路２７１は、操作装置１０５から操作信号を、媒体センサ１１１から媒体信号を受信する。制御回路２７１は、受信した各信号に応じて第１モータ１５１及び第２モータ１５２を駆動する。

画像取得回路２７２は、画像取得部の一例であり、画像取得部１７２と同様の機能を有する。画像取得回路２７２は、撮像装置１１６から入力画像を受信し、記憶装置１６０に記憶するとともにインタフェース装置１５３を介して情報処理装置へ送信する。

以上詳述したように、媒体搬送装置は、処理回路２７０を用いる場合においても、媒体をより適切に分離して給送することが可能となった。

１００ 媒体搬送装置、１０７ａ 下側ガイド、１０７ｂ 上側ガイド、１０９ａ ばね、１１２ 給送ローラ、１１３ ブレーキローラ、１４３ｋ 第１１伝達ギア、１４３ｌ 第１２伝達ギア、１４３ｍ 第１３伝達ギア、１４５ トルクリミッタ、１５１ 第１モータ

Claims (5)

1. 媒体を給送する給送ローラと、
   前記給送ローラに対向して配置され、且つ、媒体を分離する分離ローラと、
   前記分離ローラの回転軸上に設けられたトルクリミッタと、
   前記分離ローラを媒体給送方向の逆方向に回転させるための駆動力を発生するモータと、
   前記モータが発生した駆動力に応じて回転する第１ギア、前記分離ローラの回転軸に設けられた第２ギア、及び、前記第１ギアと前記第２ギアの間に設けられた第３ギアを含み、前記第１ギアの軸を回転軸として揺動可能に支持されたユニットと、を有し、
   前記トルクリミッタによって、前記分離ローラが前記給送ローラの回転方向と逆方向に回転しようとするトルクを制限することによって発生する力により、前記分離ローラは前記給送ローラ側に押圧され、
   前記第１ギアは、前記モータの回転によって、前記分離ローラを前記給送ローラから離間させる力を発生する方向に回転し、
   前記第３ギアは、二段ギアであり、前記第２ギア側のギアの歯数は、前記第１ギア側のギアの歯数より多い、
   ことを特徴とする媒体搬送装置。
2. 前記第３ギアは、前記トルクリミッタによって前記分離ローラを前記給送ローラ側に押圧する力と、前記第１ギアによって前記分離ローラを前記給送ローラから離間させる力の差が所定値以下となるように設けられている、請求項１に記載の媒体搬送装置。
3. 前記第１ギアの回転軸と前記分離ローラの回転軸の間に配置されるギアの数は奇数である、請求項１または２に記載の媒体搬送装置。
4. 前記分離ローラを前記給送ローラ側に押圧する押圧部材をさらに有する、請求項１～３の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
5. パスポートを搬送可能な搬送ガイドをさらに有し、
   前記ユニットは、前記搬送ガイドを挟んで前記給送ローラの反対側に配置される、請求項１～４の何れか一項に記載の媒体搬送装置。

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