以下、本発明を複合機に具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合は図1に矢印で示す前後方向、左右方向、上下方向をそれぞれ示すものとする。
図1に示すように、複合機11は、プリンタユニット12と、該プリンタユニット12上に配置されたスキャナー装置13とを備えており、全体として略直方体状をなしている。スキャナー装置13は、スキャナーユニット14と、該スキャナーユニット14上に配置された搬送ユニット15とを備えている。
搬送ユニット15は、シート部材としての複数の用紙Pを積層状態でセット可能なセット部としての給紙トレイ16と、該給紙トレイ16よりも下側に位置する排紙トレイ17とを備えている。給紙トレイ16は、後方へ向かって下降するように傾斜しており、その上面は用紙Pをセットするためのセット面16aとされている。搬送ユニット15の後上端部には、給紙トレイ16の後部を覆う反転カバー18が開閉自在に設けられている。
そして、ユーザーによってスキャナーユニット14の右側面に設けられたスタートスイッチ19が操作されると、各用紙Pの搬送経路の上流側に位置する給紙トレイ16のセット面16a上にセットされた各用紙Pは、一枚ずつ該搬送経路の下流側に位置する排紙トレイ17に向かって搬送されるようになっている。
この場合、給紙トレイ16のセット面16a上にセットされた各用紙Pは、その上側の面に画像(本実施形態では「P」の文字)が記録されており、搬送される過程で反転されてスキャナーユニット14によって画像が読み取られた後、画像が記録された面が下側を向くように排紙トレイ17上に排紙される。そして、スキャナーユニット14によって読み取られた画像は、プリンタユニット12によって図示しない未使用の用紙に印刷される。
図2に示すように、給紙トレイ16における後部寄りの位置には、左右方向から見て前側の辺が斜辺となる直角三角形状の第1検知レバー20がセット面16a上に下方から出没自在となるように設けられている。第1検知レバー20は、給紙トレイ16内に設けられたばね(図示略)によって常にセット面16a上に突出するように付勢されており、セット面16a上に用紙Pがセットされた場合には該用紙Pの重みにより(該用紙Pから受圧することにより)該ばね(図示略)の付勢力に抗して給紙トレイ16内に没入し、用紙Pがセットされていることを検知するようになっている。
また、給紙トレイ16の後端部には、セット面16a上に用紙Pをセットした際に該用紙Pの先端(後端)が当接して該用紙Pの位置決めをする斜面23aを有する段差部23が形成されている。段差部23は給紙トレイ16の左右方向の幅全体に亘って延びており、斜面23aは後方に向かって上昇するように傾斜している。セット面16a上に用紙Pをセットした際に前後方向において該用紙Pの先端の位置決めがなされる位置はセット位置24とされ、段差部23は該セット位置24に位置している。
段差部23の後側には用紙Pの搬送経路を形成する搬送経路形成部材26が段差部23と一体となるように接続されている。搬送経路形成部材26は、段差部23から後方側に膨らむようにU字状に湾曲して搬送ユニット15の下端部に向かった後、スキャナーユニット14の上面に沿って前方に向かって延びる給紙案内部27と、スキャナーユニット14の上端に水平に配設されたガラス33の上面33aと対向するとともに前方へ向かって水平に延びる対向部28と、該対向部28から前斜め上方に向かってほぼ真っ直ぐに延びる排紙案内部29とを備えている。
すなわち、給紙案内部27の下端部及び排紙案内部29の下端部には該各下端部をそれぞれ真上に向かって屈曲してなる屈曲部27a,29aが形成されており、屈曲部27a,29aの上端同士は対向部28によって連結されている。したがって、対向部28及び屈曲部27a,29aにより、対向部28を底壁とする下側に開口した対向凹部30が形成される。対向凹部30内、すなわち対向部28の下面には、ばね31を介して用紙押圧部材32が左右方向に延びるように設けられている。用紙押圧部材32は、断面視で略U字状をなしており、その下端面32aが水平面になっている。そして、用紙押圧部材32は、ばね31の付勢力によって下端面32aが常にガラス33の上面33aに押し付けられている。
搬送ユニット15内における搬送経路形成部材26の給紙案内部27の後方側には、該給紙案内部27に沿って延びる給紙ガイド34が設けられており、給紙ガイド34と給紙案内部27との間に形成される隙間は用紙Pの搬送経路の一部を構成する給紙通路35とされている。給紙通路35における下流側寄りの途中位置には、該給紙通路35を通る用紙Pを挟圧しながら下流側に向かって送り出す一対の給紙ローラー38が左右方向に延びるそれぞれの回転軸39を中心に回転可能に設けられている。各回転軸39は搬送ユニット15内に設けられた給紙モーター(図示略)によって回転駆動されるようになっている。したがって、給紙モーターの駆動により、各回転軸39とともに各給紙ローラー38が回転駆動されるようになっている。
一方、搬送ユニット15内における搬送経路形成部材26の排紙案内部29の下側には、該排紙案内部29に沿って延びる排紙ガイド36が設けられており、排紙ガイド36と排紙案内部29との間に形成される隙間は用紙Pの搬送経路の一部を構成する排紙通路37とされている。排紙通路37における下流端部には、該排紙通路37を通る用紙Pを挟圧しながら排紙トレイ17に向かって送り出す一対の排紙ローラー41が左右方向に延びるそれぞれの回転軸42を中心に回転可能に設けられている。各回転軸42は搬送ユニット15内に設けられた排紙モーター(図示略)によって回転駆動されるようになっている。したがって、排紙モーターの駆動により、各回転軸42とともに各排紙ローラー41が回転駆動されるようになっている。
また、搬送経路形成部材26の給紙案内部27の下端部には、左右方向から見て後側(ここでは用紙Pの搬送方向の上流側)の辺が斜辺となる直角三角形状の第2検知レバー44が用紙Pの搬送経路上に上方から出没自在となるように設けられている。第2検知レバー44は、給紙案内部27に設けられたばね(図示略)によって常に用紙Pの搬送経路上に突出するように付勢されており、搬送経路上を搬送される用紙Pの先端によって前方側(ここでは用紙Pの搬送方向の下流側)に押圧された場合には該ばね(図示略)の付勢力に抗して給紙案内部27内に没入し、用紙Pの通過を検知するようになっている。
図2に示すように、段差部23上における左右方向の中央部には分離パッド45が設けられており、該分離パッド45はばね(図示略)によって上方に付勢されている。また、反転カバー18の内側の面における段差部23と対向する位置には、セット面16a上にセットされた用紙Pを下流側へ向かって送出可能な送出装置としての送出ローラーユニット50が揺動可能に支持されている。
図3に示すように、送出ローラーユニット50は、平面視略矩形状をなす枠体51を備えている。枠体51内には、被駆動部材及びローラー部材としての第1送出ローラー52と第2送出ローラー53とが互いに対をなすように平行に並んだ状態で左右方向に延びる軸線S1,S2を中心に回転可能に支持されている。すなわち、枠体51内においては、第1送出ローラー52が分離パッド45の上面と常に当接するように枠体51の揺動支点側となる後側に配置され、この第1送出ローラー52の前側に第2送出ローラー53が配置されている。
図3に示すように、枠体51内において、第1送出ローラー52の左側には、第1送出ローラー52と同じ軸線S1を中心に回転する駆動部材としての第1ギヤ54が設けられると共に、第2送出ローラー53の左側には、第2送出ローラー53と同じ軸線S2を中心に回転する駆動部材としての第2ギヤ55が設けられている。また、枠体51内において、第1ギヤ54と第2ギヤ55との間には伝達ギヤ56が回転可能に支持されており、伝達ギヤ56は第1ギヤ54及び第2ギヤ55の双方とそれぞれ噛合している。
第1ギヤ54の軸中心部分からは左右両方向に向けて軸線S1方向に沿う第1入力軸57が延設されると共に、第2ギヤ55の軸中心部分からは左右両方向に向けて軸線S2方向に沿う第2入力軸58が延設されている。また、第1送出ローラー52の軸中心部分からは左右両方向に向けて軸線S1方向に沿う第1出力軸59が延設されると共に、第2送出ローラー53の軸中心部分からは左右両方向に向けて軸線S2方向に沿う第2出力軸60が延設されている。
そして、第1ギヤ54の第1入力軸57及び第2ギヤ55の第2入力軸58の各右端部には、第1送出ローラー52の第1出力軸59及び第2送出ローラー53の第2出力軸60の各左端部が、それぞれ摺動可能に嵌合している(図7参照)。また、第1入力軸57及び第2入力軸58の各左端部は、枠体51の左壁を貫通して該左壁に回転可能に支持される一方、第1出力軸59及び第2出力軸60の各右端部は枠体51の右壁を貫通して該右壁に回転可能に支持されている。なお、第1ギヤ54における第1入力軸57の左端部は、その先端側(つまり、左端側)が基端側よりも径の小さい小径部(図示略)とされており、その小径部の外周面には軸線S1方向に沿う第1爪部62が径方向外方に向けて隆起形成されている。
また、反転カバー18の内側の面において枠体51の左側となる位置には、左右方向に延びる主軸61が第1ギヤ54の第1入力軸57及び第1送出ローラー52の第1出力軸59と同じ軸線S1を中心に回転可能に支持されている。主軸61の右端部には第1ギヤ54の第1入力軸57の左端部における小径部を挿嵌可能とする図示しない嵌合凹部が形成されており、この嵌合凹部の周壁部分には第1入力軸57の第1爪部62と対応した軸線S1方向に沿う切欠凹部63が形成されている。そして、この切欠凹部63に第1爪部62が凹凸嵌合するようにして第1ギヤ54の第1入力軸57の左端部は主軸61の右端部に対して挿嵌されている。
すなわち、主軸61は、その右端部の挿嵌凹部に対して枠体51の左壁を貫通した第1入力軸57の左端部を挿嵌させることにより、その回転を妨げないように枠体51の左壁を支持している。さらに、主軸61は、その右端部の切欠凹部63に第1入力軸57の第1爪部62が凹凸嵌合することにより、第1入力軸57に対して、第1ギヤ54と同じ軸線S1を中心にして一体回転するように連結されている。なお、主軸61は、搬送ユニット15内に設けられた駆動源としての図示しない送出モーターが正転駆動することによって正回転(本実施形態では右側から見て時計方向に回転)すると共に、送出モーターが逆転駆動することによって逆回転(本実施形態では右側から見て反時計方向に回転)するようになっている。
一方、枠体51の右壁から突出した第1出力軸59の右端部には、有蓋円筒状の支持筒64が右方から嵌合されている。支持筒64は、先端部の方が基端部よりも外径が小さくなるように段差が形成されており、反転カバー18の内側の面に設けられた軸受け部材(図示略)によって先端部が回転可能に支持されている。その結果、送出ローラーユニット50は、枠体51が軸線S1を中心にして揺動することにより、枠体51の前側に設けられた第2送出ローラー53を、セット面16a又はセット面16a上の用紙Pに当接する送出位置と、セット面16a又はセット面16a上の用紙Pから上方に離間した非送出位置(図2に示す状態)との間で変位させ得るようになっている。
また、第1送出ローラー52と第1ギヤ54との間には第1ワンウェイクラッチ(動力伝達装置)C1を構成する動力伝達部材としての第1クラッチ65が設けられている。この第1クラッチ65は、第1ギヤ54が正回転した場合には、第1ギヤ54と直結状態となる位置に移動して第1ギヤ54の回転力を第1送出ローラー52に伝達するようになっている。また、第1ギヤ54が逆回転した場合には、第1ギヤ54から離間した位置に移動して第1ギヤ54の回転力を第1送出ローラー52に伝達しないようになっている。すなわち、第1ワンウェイクラッチC1は、第1ギヤ54の回転力を第1送出ローラー52に切り替え可能に伝達する動力伝達経路を形成している。
同様に、第2送出ローラー53と第2ギヤ55との間には第2ワンウェイクラッチ(動力伝達装置)C2を構成する動力伝達部材としての第2クラッチ66が設けられている。そして、第2クラッチ66は、第2ギヤ55が正回転した場合には、第2ギヤ55と直結状態となる位置に移動して第2ギヤ55の回転力を第2送出ローラー53に伝達する一方、第2ギヤ55が逆回転した場合には、第2ギヤ55から離間した位置に移動して第2ギヤ55の回転力を第2送出ローラー53に伝達しないようになっている。すなわち、第2ワンウェイクラッチC2は、第2ギヤ55の回転力を第2送出ローラー53に切り替え可能に伝達する動力伝達経路を形成している。
そこで次に、第1ギヤ54及び第2ギヤ55の回転力を第1送出ローラー52及び第2送出ローラー53に切り替え可能に伝達する各ワンウェイクラッチC1,C2の動力伝達経路の構成について説明する。但し、第1ギヤ54と第2ギヤ55、第1クラッチ65と第2クラッチ66、第1送出ローラー52と第2送出ローラー53の構成はそれぞれ基本的に同じであるため、以下においては、第2ギヤ55と第2送出ローラー53との間に配置された第2クラッチ66により構成される第2ワンウェイクラッチC2を代表例にして、その動力伝達経路を説明することにする。
図4〜図7に示すように、第2ワンウェイクラッチC2を構成する第2クラッチ66は、嵌合部としての挿通孔67が形成されたリング状をなしており、第2入力軸58の右端側部分に摺動可能に外嵌されている。さらに、この状態において、第2入力軸58の右端部には第2出力軸60の左端部が摺動可能に連結されるため、第2クラッチ66は、第2ギヤ55における外周に歯が形成されたギヤ本体部68と第2送出ローラー53とに挟まれた領域において、軸線S2を中心にして回転自在に且つ軸線S2方向への移動自在となっている。
また、第2ギヤ55において、ギヤ本体部68の右側面には、少なくとも1つ(本実施形態では4つ)の係合部69が周方向に等間隔をおいて形成されている。各係合部69は、ギヤ本体部68の右側面から右方向に向けて径方向に沿った平面を形成するように延びる当接面70と、その当接面70における径方向の端縁とギヤ本体部68の右側面とを周方向に沿ってなだらかに結ぶ斜面からなる摺接面71とを有した凸状をなすように形成されている。
一方、第2ギヤ55におけるギヤ本体部68の右側面と軸線S2方向で対向する第2クラッチ66の左側面には、第2ギヤ55側の各係合部69と対応するように、少なくとも1つ(本実施形態では4つ)の被係合部72が周方向に等間隔をおいて形成されている。各被係合部72は、第2クラッチ66の左側面から左方向に向けて径方向に沿った平面を形成するように延びる当接面73と、第2ギヤ55側の係合部69の摺接面71と同じ傾きの斜面からなる摺接面74とを有した凸形状をなすように形成されている。
ここで、第2ギヤ55の右側面と第2クラッチ66の左側面においては、両者を互いに当接させて相対回転させた場合に各係合部69と各被係合部72の当接面70,73同士及び摺接面71,74同士が互いに係合し合うように、各係合部69と各被係合部72の形成位置及び凸形状がそれぞれ設計されている。
すなわち、第2ワンウェイクラッチC2は、各係合部69と各被係合部72の当接面70,73同士が当接(係合)した状態で第2ギヤ55が正回転した場合には、第2クラッチ66が第2ギヤ55に直結した状態となって正回転方向に従動回転するように構成されている。その一方、第2ワンウェイクラッチC2は、各係合部69と各被係合部72の摺接面71,74同士が面接触した状態において、第2クラッチ66が回転規制されつつ、第2ギヤ55が逆回転した場合には、両摺接面71,74同士が互いに摺接して第2ギヤ55から第2クラッチ66を右方へ離間移動させる力を生むように構成されている。
また、第2クラッチ66の右側面には、少なくとも1つ(本実施形態では2つ)の突片部75が周方向に等間隔をおいて形成されている。各突片部75は、第2クラッチ66の右側面から右方向に向けて径方向に沿った平面を形成するように延びる当接面76を第2クラッチ66が正回転した場合に回転方向で前側となる側面に有している。この当接面76は、突片部75の先端縁から該突片部75における第2クラッチ66の右側面からの突出高さ方向(右方向)での中途高さとなる位置までを形成領域としている。そして、この当接面76の基端(すなわち、突片部75の中途高さとなる位置)から第2クラッチ66の右側面にかけては、周方向に沿うなだらかな傾斜面77が突片部75毎に形成されている。
一方、第2クラッチ66の右側面と軸線S2方向で対向する第2送出ローラー53の左側面には、少なくとも1つ(本実施形態では2つ)の突片部78が周方向に等間隔をおいて形成されている。各突片部78は、第2送出ローラー53の左側面から左方向に向けて径方向に沿った平面を形成するように延びる当接面79を第2送出ローラー53が正回転した場合に回転方向で後側となる側面に有している。
なお、第2クラッチ66の突片部75は、その先端縁において当接面76が形成された側とは反対側の縁部が円弧状をなすように面取りされた面取り部80とされることにより、その先端面の面積が基端側の断面積よりも小さくなるように形成されている。同様に、第2送出ローラー53の突片部78は、その先端縁において当接面79が形成された側とは反対側の縁部が円弧状をなすように面取りされた面取り部81とされることにより、その先端面の面積が基端側の断面積よりも小さくなるように形成されている。
ここで、第2クラッチ66の右側面と第2送出ローラー53の左側面においては、両者を相対回転させた場合に各突片部75,78における当接面76,79同士(又は、当接面が形成された側とは反対側の側面同士)が当接可能となるように、各突片部75,78の形成位置が設計されている。また、第2クラッチ66が軸線S2方向において第2送出ローラー53に近接した位置にあって両者を相対回転させた場合には、第2送出ローラー53の突片部78の先端面が第2クラッチ66の傾斜面77と摺接可能となるように、各突片部75,78の凸形状が設計されている。
すなわち、第2ワンウェイクラッチC2は、各突片部75,78における当接面76,79とは反対側の側面同士が当接(係合)した状態で第2クラッチ66が正回転した場合、その回転途中に第2送出ローラー53側の突片部78の先端面が第2クラッチ66側の傾斜面77に摺接して第2送出ローラー53から第2クラッチ66を左方へ離間移動させる力を生むように構成されている。さらに、各突片部75,78の当接面76,79同士が当接(係合)した状態で第2クラッチ66が正回転した場合には、第2送出ローラー53が正回転方向に従動回転するように構成されている。その一方、第2ワンウェイクラッチC2は、各突片部75,78の当接面76,79同士が当接した状態において第2クラッチ66が逆回転した場合には、当接面76,79とは反対側の側面同士が当接して第2クラッチ66の回転を規制するように構成されている。
また、図8に示すように、第2クラッチ66の挿通孔67には、円弧状の板部材である弾性部材及び弾性片としてのばね部98が、少なくとも1つ(本実施形態では1つ)一体形成されている。このばね部98は、第2クラッチ66が正回転した場合の回転方向(図8において白抜き矢印で示す方向)における前側の端部が第2クラッチ66に対する固定端とされ、該回転方向に沿って後側へ延びるように片持ち梁状に形成されている。
また、ばね部98における回転方向の後側となる自由端の径方向内方側の面には、曲面である円弧面を有する半円柱状の押圧部98aが、左右方向(図8において紙面に直交する方向)に亘って挿通孔67内に突出するように一体形成されている。なお、ばね部98は、被係合部72と径方向に間隔を有して形成されている。すなわち、ばね部98と被係合部72との間は、ばね部98の弾性変形を許容する切欠溝状の許容部99となっている。
したがって、図9に示すように、第2クラッチ66を第2ギヤ55の第2入力軸58に挿嵌させた場合には、ばね部98の自由端から挿通孔67内に突出するように形成された押圧部98aが第2ギヤ55における第2入力軸58の外周面に当接する。すると、ばね部98は、図8において実線で示すように押圧部98aが挿通孔67内に突出した通常時の片持ち梁状態から二点鎖線で示す弾性変形状態へと、固定端を支点として自由端側が径方向外方へ向かって撓むように弾性変形する。このとき、ばね部98の自由端の径方向外方側への弾性変形は、許容部99によって許容される。そして、第2ギヤ55の第2入力軸58は、片持ち梁状のばね部98が弾性変形を伴って自由端側の押圧部98aを当接させるため、この押圧部98aにより押圧されることになる。
一方、ばね部98の基端を固定した第2クラッチ66には、ばね部98が弾性変形を伴って第2ギヤ55の第2入力軸58の外周面に付与する押圧力の反力が、ばね部98の固定端を介して及ぶことになる。すなわち、ばね部98は、その基端を第2クラッチ66に片持ち梁状をなすように固定された状態で、その自由端側の押圧部98aを第2入力軸58の外周面に弾性変形を伴って当接させることにより、第2クラッチ66の挿通孔67と第2ギヤ55の第2入力軸58との間に撓みを持った突っ張り状態で介在することになる。その結果、第2クラッチ66と一体回転するばね部98が弾性変形しつつ押圧部98aでもって第2入力軸58の外周面を押圧するため、第2ギヤ55と第2クラッチ66との間の摩擦力は増大することになる。
以上、第2ギヤ55と第2送出ローラー53との間に配置された第2クラッチ66により構成される第2ワンウェイクラッチC2について説明したが、第1ギヤ54と第1送出ローラー52との間に配置された第1クラッチ65により構成される第1ワンウェイクラッチC1も、第2ワンウェイクラッチC2と同様の動力伝達経路を形成している。
次に、送出ローラーユニット50を揺動させるための動力を伝達する動力伝達経路の構成について説明する。
図3に示すように、送出ローラーユニット50における枠体51の左壁から突出した第2入力軸58の左端側部分には、トルクリミッター82が設けられている。すなわち、反転カバー18の内側の面において枠体51の左側となる位置には、第2入力軸58の先端部を前後両側から挟む配置態様にて前側支持板83と後側支持板84が設けられており、これらの前側支持板83及び後側支持板84によって前後両側から挟持される配置態様にトルクリミッター82は設けられている。
図4〜図7に示すように、第2入力軸58の左端側部分は、その先端側(つまり、左端側)が基端側よりも径の小さい小径部58aとされている。小径部58aは、その先端が前側支持板83と後側支持板84との間を通過するように、軸線S2方向に沿って延設されている。また、小径部58aにおける基端側の外周面には軸線S2方向に沿う爪部85が径方向外方に向けて隆起形成されている。
そして、図3に示すように、この第2入力軸58の小径部58aには、爪部85に対応する凹部(図示略)を軸線S2方向の右端側から切欠形成された筒状をなす連結部材86が左方から外嵌され、連結部材86は、その凹部を爪部85に凹凸嵌合させることにより、第2入力軸58に対して一体回転可能に取り付けられている。この連結部材86は、コイルスプリング88の右端が一体回転可能に固定されている。そして、コイルスプリング88の左端には、耐摩耗性に優れたリング状のワッシャなどからなる第1摺動部材89が、一体回転可能に固着されている。
一方、第2入力軸58における小径部58aの先端部を前後両側から挟む配置態様とされた前側支持板83及び後側支持板84の両対向面のうち後側支持板84の対向面には、上下方向に沿ってラック91が形成されている。より具体的には、前側支持板83に対する後側支持板84の対向面は、送出ローラーユニット50の枠体51の揺動方向に沿った円弧状をなすように形成されており、この対向面上にラック91は形成されている。
そして、このラック91と噛合するピニオン92が第2入力軸58における小径部58aの先端部に対して回転自在に挿通されている。ピニオン92の右端面には、耐摩耗性に優れたリング状のワッシャなどからなる第2摺動部材93が、一体回転可能に固着されている。なお、第1摺動部材89及び第2摺動部材93は、軸線S2方向で互いに面接触可能となるように配置され、両者の対向面間には、潤滑材としてオイルが注油されている。
そして、小径部58aに挿通されたこれらの部材は、第2入力軸58に対してピニオン92を軸線S2方向で最も左端側とする直列配置態様に外嵌され、コイルスプリング88が左右方向に収縮した状態で第2入力軸58における小径部58aの先端部に形成された係止溝95に嵌められる係止部材96によって左右方向の移動が規制されている。
次に、上記のように構成された複合機11において、ユーザーによって給紙トレイ16に用紙Pがセットされて、スタートスイッチ19が操作された場合の作用について、特に、送出ローラーユニット50におけるワンウェイクラッチC1,C2とトルクリミッター82の作用に着目して説明する。なお、説明の前提として、スタートスイッチ19が操作される前段階において、送出ローラーユニット50は、第2送出ローラー53がセット面16a上から上方に離間した非送出位置にあるものとする。また、各ワンウェイクラッチC1,C2において、第1クラッチ65及び第2クラッチ66は、第1ギヤ54及び第2ギヤ55から軸線S2方向で離間して第1送出ローラー52及び第2送出ローラー53に近接した位置状態にあるものとする。
さて、スタートスイッチ19が操作されると、主軸61が正回転するため、送出ローラーユニット50では、第1ギヤ54が正回転すると共に、伝達ギヤ56が逆回転することにより、第2ギヤ55が正回転する。すると、ワンウェイクラッチC1,C2では、第1ギヤ54及び第2ギヤ55の正回転に伴い、ばね部98の押圧によって連れ回りを介助された第1クラッチ65及び第2クラッチ66が、第1ギヤ54及び第2ギヤ55の正回転に連れて正方向に従動回転する。
すると、第1送出ローラー52及び第2送出ローラー53の各突片部78の先端面が第1クラッチ65及び第2クラッチ66の各右端面に形成された傾斜面77に摺接し、第1クラッチ65及び第2クラッチ66が第1送出ローラー52及び第2送出ローラー53から離間して第1ギヤ54及び第2ギヤ55に近接するように左方へ移動する。
また、第1クラッチ65及び第2クラッチ66は、その左方への移動を伴った従動回転途中において、それらの右端面に形成された各突片部75の当接面76が第1送出ローラー52及び第2送出ローラー53の左端面に形成された各突片部78の当接面79に当接する。すると、各突片部75,78の当接面76,79同士が当接することにより、第1クラッチ65及び第2クラッチ66は、第1ギヤ54及び第2ギヤ55に対する従動回転(すなわち、連れ回り)が規制される。そのため、第1クラッチ65及び第2クラッチ66は、それらの左端面に形成された被係合部72の当接面73に対して、第1ギヤ54及び第2ギヤ55側の係合部69の当接面70が回転方向において面接触状態に係合するようになる。
その結果、第1ギヤ54及び第2ギヤ55に対して第1クラッチ65及び第2クラッチ66が直結した状態となり、第1クラッチ65及び第2クラッチ66は、第1ギヤ54及び第2ギヤ55と一体的に正回転する。そして、このように第1クラッチ65及び第2クラッチ66が正回転することにより、ワンウェイクラッチC1,C2では、第1ギヤ54及び第2ギヤ55の正方向への回転力が第1クラッチ65及び第2クラッチ66を介して第1送出ローラー52及び第2送出ローラー53に伝達され、第1送出ローラー52及び第2送出ローラー53も正回転するようになる。
一方、このときトルクリミッター82においては、第2ギヤ55の正回転に伴い、コイルスプリング88によって軸線S2方向で互いに圧接するように付勢された第1摺動部材89及び第2摺動部材93が摩擦係合した状態で供回りし、ピニオン92が後側支持板84のラック91に沿って回転しながら下降する。これにより、送出ローラーユニット50は、主軸61が通る軸線S1を中心として後部側よりも前部側が低くなるように揺動し、後部側よりも前部側が低くなるように傾斜した状態、すなわち第2送出ローラー53がセット面16a上の用紙Pに当接する送出位置に変位する。
そして、第2送出ローラー53がセット面16aにセットされた用紙Pに当接してその下降が阻害されると、ピニオン92には負荷が加わるため、第1摺動部材89と第2摺動部材93とが摺動して両部材89,93間での回転力の伝達が遮断される。したがって、この場合においても、第2ギヤ55及びこれに伝達ギヤ56を介して噛合する第1ギヤ54の回転は阻害されず、直結状態にあるワンウェイクラッチC1,C2を介して第1送出ローラー52及び第2送出ローラー53への動力伝達は維持される。その結果、セット面16a上に積層状態でセットされた最上位の用紙Pに第2送出ローラー53が正回転しながら当接するため、該用紙Pが給紙通路35へ向かって送出される。
このとき、最上位の用紙Pによって下位の用紙Pが連れられて移動した場合には、第1送出ローラー52と分離パッド45との間を通る際に最上位の用紙Pと下位の用紙Pとが分離されて最上位の用紙Pのみが給紙通路35へ向かって送出される。そして、その用紙Pの先端が第2検知レバー44を通過すると、主軸61を逆回転させるように図示しない送出モーターが逆転駆動する。
すると、第1ギヤ54が逆回転されるので、伝達ギヤ56が正回転するとともに第2ギヤ55が逆回転する。このとき、第2ギヤ55の逆回転に伴って第1摺動部材89及び第2摺動部材93は摩擦係合した状態で回転し、ピニオン92は後側支持板84のラック91に沿って回転しながら上昇する。これにより、送出ローラーユニット50は、主軸61が通る軸線S1を中心として後部側と前部側とが同じ高さとなるように揺動し、第1送出ローラー52と第2送出ローラー53とが水平に並んだ状態、すなわち第2送出ローラー53がセット面16a上の用紙Pから上方に離間した非送出位置に変位する。
一方、このときワンウェイクラッチC1,C2では、第1ギヤ54及び第2ギヤ55の逆回転に伴い、ばね部98の押圧によって連れ回りを介助された第1クラッチ65及び第2クラッチ66が、第1ギヤ54及び第2ギヤ55の逆回転に連れて逆方向に従動回転する。そして、その従動回転途中で、第1クラッチ65及び第2クラッチ66は、各突片部75の当接面76が第1送出ローラー52及び第2送出ローラー53の各突片部78の当接面79から離間し、その後、各突片部75の当接面76とは反対側の側面が第1送出ローラー52及び第2送出ローラー53の各突片部78の当接面79とは反対側の側面に当接するようになる。
すると、各突片部75,78の当接面76,79とは反対側の側面同士が当接することにより、第1クラッチ65及び第2クラッチ66は、第1ギヤ54及び第2ギヤ55に対する従動回転(すなわち、連れ回り)が規制される。そして、第1クラッチ65及び第2クラッチ66は、それらの左端面に形成された被係合部72の斜状をなす摺接面74が第1ギヤ54及び第2ギヤ55側の係合部69の斜状をなす摺接面71に摺動しつつ回転するようになる。
すると、これらの摺接面71,74同士が摺接することにより、第1クラッチ65及び第2クラッチ66は、第1ギヤ54及び第2ギヤ55から離間して第1送出ローラー52及び第2送出ローラー53に近接するように右方へ移動する。したがって、第1クラッチ65及び第2クラッチ66は、第1ギヤ54及び第2ギヤ55の逆回転に伴い、第1ギヤ54及び第2ギヤ55に対する直結状態が解除される。その結果、ワンウェイクラッチC1,C2においては、第1ギヤ54及び第2ギヤ55から第1送出ローラー52及び第2送出ローラー53への動力伝達が遮断されるように、動力伝達状態が切り替えられる。
このように第1ギヤ54及び第2ギヤ55が逆回転すると、第1クラッチ65及び第2クラッチ66による動力の伝達が遮断されるため、第1送出ローラー52及び第2送出ローラー53から用紙Pへ作用する送出力は失われる。しかし、用紙Pの搬送は既に給紙ローラー38に委ねられており、また第1クラッチ65及び第2クラッチ66との連結状態も解消されているため、回転力の伝達経路が遮断されて逆回転する第1ギヤ54に回転が阻害されることなく、搬送される用紙Pに合わせて第1送出ローラー52は従動回転する。
そして、給紙ローラー38により用紙Pは滞りなくガラス33の上面33a上に向かって搬送される。そして、この用紙Pは、ガラス33の上面33aと用紙押圧部材32との間を通る際に画像がスキャナーユニット14によって読み取られる。その後、用紙Pは排紙通路37を通り、排紙ローラー41によって排紙トレイ17上に排紙される。
なお、送出ローラーユニット50が第2送出ローラー53を非送出位置に変位させた状態において主軸61の回転が停止して第1ギヤ54及び第2ギヤ55の回転が停止した際に、給紙ローラー38によって給送される用紙Pが第1送出ローラー52と分離パッド45に挟持されている場合がある。この場合、給紙ローラー38によって給送される用紙Pに当接している第1送出ローラー52は正方向に従動回転することになる。すると、第1ワンウェイクラッチC1においては、第1クラッチ65の突片部75の当接面76とは反対側の側面に第1送出ローラー52の突片部78の当接面79とは反対側の側面が回転方向で係合するようになる。その結果、第1送出ローラー52が第1クラッチ65を正方向に回転させるため、第1クラッチ65は第1ギヤ54に対して相対回転する。すると、第1ギヤ54と第1クラッチ65の摺接面71,74同士が摺動して第1クラッチ65は右方へ移動する。したがって、第1ギヤ54と第1クラッチ65の連結状態が解除され、第1送出ローラー52の回転力は第1ギヤ54側へ伝達されず、その回転は阻害されない。なお、このときばね部98は、第1クラッチ65の回転方向における前側が固定端となっているため、自由端が固定端に追従して摺動するようになっている。
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)ギヤ54,55とクラッチ65,66との間に作用する連れ回りのための摩擦力をばね部98が突っ張り状態で介在することによって維持することができる。すなわち、ギヤ54,55とクラッチ65,66とが摺動して磨耗した場合でも、ばね部98がギヤ54,55を弾性変形しつつ押圧すると共に、その押圧力の反力をクラッチ65,66に及ぼすことで、摩擦力の減少方向への変動を抑制することができる。そのため、クラッチ65,66は所望どおりに従動回転してギヤ54,55及び送出ローラー52,53に直結状態となる位置へ円滑に移動し、ギヤ54,55の回転力を送出ローラー52,53に対して伝達することができるようになる。したがって、ギヤ54,55と送出ローラー52,53との間に配置されたクラッチ65,66におけるギヤ54,55の回転に伴った円滑な従動回転状態を確保して動力伝達の切り替えを所望どおりに行うことができる。
(2)片持ち梁状のばね部98とすることにより、ギヤ54,55もしくはクラッチ65,66に容易に固定することができる。さらに、ばね部98と該ばね部98が固定されたクラッチ65,66との相対的な移動が制限されると共に、ばね部98による押圧条件の変動を抑制するため、動力伝達の切替えにおける信頼性を向上させることができる。また、ギヤ54,55及びクラッチ65,66のうち、ばね部98を一方の部材にのみ摺動させることにより、ばね部98が応力を受けて弾性変形した場合に発揮する摩擦力の評価を容易に行うことができる。
(3)ばね部98は、ギヤ54,55とクラッチ65,66とが摺動する場合に、片持ち梁状のばね部98の固定端に追従するように自由端が移動する。そのため、ギヤ54,55とクラッチ65,66とが相対回転する際に、ばね部98の自由端が相手側の部材に引っ掛かってしまう虞を低減し、弾性片として機能するばね部98の破損を抑制することができる。
(4)弾性変形したばね部98は、許容部99によりその変形が許容される。したがって、ばね部98自体を伸縮させる必要がなく、ばね部98を構成する部材の選択肢を広げることができる。
(5)ギヤ54,55とクラッチ65,66のうち、ばね部98が変形して押圧する側の部材には、曲面を有する押圧部98aが当接する。そのため、ギヤ54,55とクラッチ65,66の摺動時にばね部98が引っ掛かってしまう虞を低減し、ばね部98の破損及び該ばね部98が押圧する部材の損傷を抑制することができる。
(6)軸線S1,S2方向への移動自在に設けられたクラッチ65,66の挿通孔67にばね部98を固定することにより、ギヤ54,55とクラッチ65,66との間となる位置からばね部98が外れてしまう虞を低減することができる。
(7)例えば、ワンウェイクラッチC1,C2における送出ローラー52,53が用紙Pに当接した状態での回転に伴って帯電し、その送出ローラー52,53に接触した状態にあるクラッチ65,66が帯電しても、クラッチ65,66については空回りを抑制しつつ静電気力に抗してギヤ54,55との直結位置まで移動させることができる。そのため、クラッチ65,66を介してギヤ54,55の回転力を送出ローラー52,53に伝達することが可能となり、送出ローラー52,53を所望どおりに送出動作させることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、押圧部98aを設けない構成としてもよい。また、押圧部98aは、ばね部98から突出させる必要はなく、該ばね部98において自由端側を面取り加工した曲面を押圧部としてもよい。
・上記実施形態において、ばね部98は、クラッチ65,66と摺接するギヤ54,55の外周面に設けてもよい。このとき、相対回転するクラッチ65,66の回転方向において、後側を固定端とすると共に、回転方向に沿うように該回転方向の前側に向かって延びる片持ち梁状とすることが望ましい。これにより、回転するクラッチ65,66に対してばね部は固定端に自由端が追従するように摺接し、自由端が引っ掛かりにくい構成とすることができる。
・上記実施形態において、ばね部98をクラッチ65,66と一体形成したが、個別に形成したばね部98をクラッチ65,66、もしくはギヤ54,55に固定してもよい。また、クラッチ65,66及びギヤ54,55の双方にばね部98を形成してもよい。
・上記実施形態において、弾性部材は片持ち梁状のばね部98に限らず、ギヤ54,55に対して弾性変形して押圧力を付与し、クラッチ65,66の連れ回りを介助可能な部材であればよい。例えば、自身が伸縮するコイルスプリングやスポンジ、ゴムなどの弾性部材にて構成するようにしてもよい。また、弾性部材自身が伸縮する場合には、該弾性部材の両端もしくは、一面を固定するようにしてもよい。そして、弾性部材自身を伸縮させることにより、許容部99を設けることなく弾性力を付与することができる。すなわち、許容部99を設ける必要がないため、クラッチ65,66自身の厚みを確保して該クラッチ65,66の耐圧性を向上させることができる。また、ばね部98をギヤ54,55及びクラッチ65,66と異なる材料で形成する場合には、ギヤ54,55とクラッチ65,66の一方の部材のみの磨耗を抑制するために、押圧される部材と同じ材質の摺接部材を弾性部材の摺接部分に設けることが望ましい。
・上記実施形態において、ばね部98はクラッチ65,66と一体に回転させたが、ばね部98をクラッチ65,66及びギヤ54,55に固定しない構成としてもよい。すなわち、例えばリング状の弾性部材をギヤ54,55に挿嵌した状態において、この弾性部材を変形させるようにクラッチ65,66をギヤ54,55に挿嵌させてもよい。
・上記実施形態において、用紙Pの代わりにプラスチックフィルムをシートとして用いてもよい。
・上記実施形態において、第1送出ローラー52及び第2送出ローラー53を設けたが、何れか一方のみを設けてもよい。例えば、上下方向に移動する第2送出ローラー53のみを設けて、第2送出ローラー53の回転によって給紙通路35へ用紙Pを送出するようにしてもよい。
・上記実施形態では、送出ローラーユニット50を、用紙Pの記録内容を読み取る読取装置としてのスキャナー装置13と、未使用の用紙に記録を施す記録装置としてのプリンタユニット12と、積層状態でセット可能なセット部にセットされた用紙Pをスキャナー装置13へ搬送可能な搬送ユニット15とを備えた画像形成装置としての複合機11に設けたが、各装置に送出ローラーユニット50を設けてもよい。すなわち、例えば記録装置へ未使用の用紙を送出する機構に送出ローラーユニット50を設けてもよい。また、搬送ユニット15を備えた記録装置、搬送ユニット15を備えた読取装置であってもよい。