[本願発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本発明の一側面に係る光送信器は、光入力信号から分岐した第1分岐光信号を第1駆動信号に応じて位相変調させることによって第1変調光信号を生成する第1変調部と、光入力信号から第1分岐光信号が分岐した残余の第2分岐光信号を第2駆動信号に応じて位相変調させることによって第2変調光信号を生成する第2変調部と、第1変調光信号及び第2変調光信号から光出力信号を生成する第3変調部と、を有する光変調器と、第1変調部に第1駆動信号の基準電圧となる第1バイアス電圧を供給し、第2変調部に第2駆動信号の基準電圧となる第2バイアス電圧を供給し、第3変調部に第3バイアス電圧を供給するバイアス供給部と、光出力信号のパワーを検出する検出部と、を備える。第1駆動信号及び第2駆動信号の最大振幅は、第1変調部及び第2変調部のいずれかにおいて光信号の位相を180°変化させる半波長電圧値に等しいか、または半波長電圧値よりも小さい。バイアス供給部は、第1変調部に第1駆動信号が供給されていると共に第2変調部に第2駆動信号が供給されている駆動状態において、第1バイアス電圧を変化させることによって、光出力信号の平均パワーが最大となる第1電圧値を求め、駆動状態において、第2バイアス電圧を変化させることによって、光出力信号の平均パワーが最大となる第2電圧値を求め、駆動状態において、第3バイアス電圧を変化させることによって、光出力信号の平均パワーが最大となる第3電圧値を求め、第1電圧値に基づき第1バイアス電圧の電圧値を決定し、第2電圧値に基づき第2バイアス電圧の電圧値を決定し、第3電圧値に基づき第3バイアス電圧の電圧値を決定する。
この光送信器では、第1変調部に供給する第1バイアス電圧を変化させることによって、光出力信号の平均パワーが最大となる第1電圧値が求められ、第2変調部に供給する第2バイアス電圧を変化させることによって、光出力信号の平均パワーが最大となる第2電圧値が求められ、第3変調部に供給する第3バイアス電圧を変化させることによって、光出力信号の平均パワーが最大となる第3電圧値が求められる。第1駆動信号及び第2駆動信号の最大振幅が半波長電圧値以下である場合、光出力信号の平均パワーが最小となるように第1バイアス電圧及び第2バイアス電圧の電圧値が調整される。光出力信号の平均パワーが最小となる第1バイアス電圧及び第2バイアス電圧の電圧値は、第3バイアス電圧の電圧値に応じて変化する。一方、光出力信号の平均パワーが最大となる第1バイアス電圧及び第2バイアス電圧の電圧値は、第3バイアス電圧の電圧値によらず、光出力信号の平均パワーが最小となる第1バイアス電圧及び第2バイアス電圧の電圧値と一定の関係を有する電圧値となる。また、光出力信号の平均パワーが最大となる第3バイアス電圧の電圧値は、第1変調光信号と第2変調光信号との位相差が所望の値となる第3バイアス電圧の電圧値と一定の関係を有する電圧値となる。したがって、求められた第1電圧値、第2電圧値及び第3電圧値それぞれから、光出力信号の平均パワーが最小となるように第1バイアス電圧及び第2バイアス電圧の電圧値が決定され、第1変調光信号と第2変調光信号との位相差が所望の値となるように第3バイアス電圧の電圧値が決定される。このため、光出力信号の平均パワーが最小となる第1バイアス電圧及び第2バイアス電圧の電圧値が第3バイアス電圧の電圧値に応じて変化したとしても、第1バイアス電圧、第2バイアス電圧及び第3バイアス電圧を適切に調整することができる。
バイアス供給部は、第1電圧値に対して、半波長電圧値を加算又は減算することで、第1バイアス電圧の電圧値を決定してもよく、第2電圧値に対して、半波長電圧値を加算又は減算することで、第2バイアス電圧の電圧値を決定してもよく、第3電圧値に対して、半波長電圧値の半分の値を加算又は減算することで、第3バイアス電圧の電圧値を決定してもよい。
第1駆動信号及び第2駆動信号の最大振幅が半波長電圧値以下である場合、第1バイアスの電圧及び第2バイアス電圧の最適な電圧値は、第1変調光信号と第2変調光信号との位相差が90°となる第3バイアス電圧の電圧値において、光出力信号の平均パワーが最小となる第1バイアス電圧及び第2バイアス電圧の電圧値である。第1バイアス電圧及び第2バイアス電圧の最適な電圧値は、第3バイアス電圧の電圧値によらず、光出力信号の平均パワーが最大となる第1バイアス電圧及び第2バイアス電圧の電圧値に対して半波長電圧値を加算又は減算した値になることが見出された。さらに、第1変調光信号と第2変調光信号との位相差が90°となる第3バイアス電圧の電圧値は、第1バイアス電圧及び第2バイアス電圧の電圧値によらず、光出力信号の平均パワーが最大となる第3バイアス電圧の電圧値に対して半波長電圧値の半分の値を加算又は減算した値となることが見出された。このため、光出力信号の平均パワーが最大となる第1電圧値及び第2電圧値それぞれに対して半波長電圧値を加算又は減算することで、第1バイアス電圧及び第2バイアス電圧の最適な電圧値を決定することができる。また、光出力信号の平均パワーが最大となる第3電圧値に対して半波長電圧値の半分の値を加算又は減算することで、第1変調光信号と第2変調光信号との位相差が90°となる第3バイアス電圧の電圧値を決定することができる。
バイアス供給部は、第1バイアス電圧を半波長電圧値の4倍の範囲を有する第1範囲内で変化させることによって、第1電圧値を求めてもよく、第2バイアス電圧を半波長電圧値の4倍の範囲を有する第2範囲内で変化させることによって、第2電圧値を求めてもよく、第3バイアス電圧を半波長電圧値の2倍の範囲を有する第3範囲内で変化させることによって、第3電圧値を求めてもよい。
第1バイアス電圧及び第2バイアス電圧それぞれの電圧値の変化に対する光出力信号の平均パワーの変化は、最大で半波長電圧値の4倍の周期にて周期性を有している。また、第3バイアス電圧の電圧値の変化に対する光出力信号の平均パワーの変化は、最大で半波長電圧値の2倍の周期にて周期性を有している。このため、第1バイアス電圧及び第2バイアス電圧を、半波長電圧値の4倍の範囲を有する第1範囲及び第2範囲内でそれぞれ変化させれば、その第1範囲及び第2範囲内に、光出力信号の平均パワーが最大となる第1電圧値及び第2電圧値がそれぞれ含まれる。また、第3バイアス電圧の電圧値を、半波長電圧値の2倍の範囲を有する第3範囲内で変化させれば、その第3範囲内に、光出力信号の平均パワーが最大となる第3電圧値が含まれる。このように変化させる範囲を一定範囲に制限することにより、第1電圧値、第2電圧値及び第3電圧値を求めるために要する時間を短縮することができる。
バイアス供給部は、第1電圧値が第1範囲の中央の値よりも小さい場合には、第1電圧値に半波長電圧値を加算することで第1バイアス電圧の電圧値を決定してもよく、第1電圧値が第1範囲の中央の値よりも大きい場合には、第1電圧値から半波長電圧値を減算することで第1バイアス電圧の電圧値を決定してもよい。
この場合、決定される第1バイアス電圧の電圧値は、中央の値から半波長電圧値を減算して得られる値から、中央の値に半波長電圧値を加算して得られる値までの範囲に含まれる。このため、決定される第1バイアス電圧の電圧値の絶対値を小さくすることができる。その結果、第1変調部に供給する第1バイアス電圧を容易に生成することができる。
バイアス供給部は、第2電圧値が第2範囲の中央の値よりも小さい場合には、第2電圧値に半波長電圧値を加算することで第2バイアス電圧の電圧値を決定してもよく、第2電圧値が第2範囲の中央の値よりも大きい場合には、第2電圧値から半波長電圧値を減算することで第2バイアス電圧の電圧値を決定してもよい。
この場合、決定される第2バイアス電圧の電圧値は、中央の値から半波長電圧値を減算して得られる値から、中央の値に半波長電圧値を加算して得られる値までの範囲に含まれる。このため、決定される第2バイアス電圧の電圧値の絶対値を小さくすることができる。その結果、第2変調部に供給する第2バイアス電圧を容易に生成することができる。
バイアス供給部は、第3電圧値が第3範囲の中央の値よりも小さい場合には、第3電圧値に半波長電圧値の半分の値を加算することで第3バイアス電圧の電圧値を決定してもよく、第3電圧値が第3範囲の中央の値よりも大きい場合には、第3電圧値から半波長電圧値の半分の値を減算することで第3バイアス電圧の電圧値を決定してもよい。
この場合、決定される第3バイアス電圧の電圧値は、中央の値から半波長電圧値の半分の値を減算して得られる値から、中央の値に半波長電圧値の半分の値を加算して得られる値までの範囲に含まれる。このため、決定される第3バイアス電圧の電圧値の絶対値を小さくすることができる。その結果、第3変調部に供給する第3バイアス電圧を容易に生成することができる。
検出部は、光出力信号の一部であるモニタ光のパワーを検出することによって、光出力信号のパワーを検出してもよい。
モニタ光は光出力信号の一部であるので、光出力信号のパワーは、モニタ光のパワーに略比例する。すなわち、モニタ光のパワーを検出することで、光出力信号のパワーを検出することができる。このため、上記構成では、光出力信号のパワーを容易に検出することができる。
本発明の別の側面に係る光送信器の制御方法は、光入力信号から分岐した第1分岐光信号を第1駆動信号に応じて位相変調させることによって第1変調光信号を生成する第1変調部と、光入力信号から第1分岐光信号が分岐した残余の第2分岐光信号を第2駆動信号に応じて位相変調させることによって第2変調光信号を生成する第2変調部と、第1変調光信号及び第2変調光信号から光出力信号を生成する第3変調部と、を有する光送信器の制御方法である。この制御方法は、第1変調部に第1駆動信号が供給されていると共に第2変調部に第2駆動信号が供給されている駆動状態において、第1変調部に供給する第1バイアス電圧を変化させることによって、光出力信号の平均パワーが最大となる第1電圧値を求めるステップと、駆動状態において、第2変調部に供給する第2バイアス電圧を変化させることによって、光出力信号の平均パワーが最大となる第2電圧値を求めるステップと、駆動状態において、第3変調部に供給する第3バイアス電圧を変化させることによって、光出力信号の平均パワーが最大となる第3電圧値を求めるステップと、第1電圧値に基づき第1バイアス電圧の電圧値を決定し、第2電圧値に基づき第2バイアス電圧の電圧値を決定し、第3電圧値に基づき第3バイアス電圧の電圧値を決定するステップと、を備える。第1駆動信号及び第2駆動信号の最大振幅は、第1変調部及び第2変調部のいずれかにおいて光信号の位相を180°変化させる半波長電圧値に等しいか、または半波長電圧値よりも小さい。
この光送信器の制御方法では、第1変調部に供給する第1バイアス電圧を変化させることによって、光出力信号の平均パワーが最大となる第1電圧値が求められ、第2変調部に供給する第2バイアス電圧を変化させることによって、光出力信号の平均パワーが最大となる第2電圧値が求められ、第3変調部に供給する第3バイアス電圧を変化させることによって、光出力信号の平均パワーが最大となる第3電圧値が求められる。第1駆動信号及び第2駆動信号の最大振幅が半波長電圧値以下である場合、光出力信号の平均パワーが最小となるように第1バイアス電圧及び第2バイアス電圧の電圧値が調整される。光出力信号の平均パワーが最小となる第1バイアス電圧及び第2バイアス電圧の電圧値は、第3バイアス電圧の電圧値に応じて変化する。一方、光出力信号の平均パワーが最大となる第1バイアス電圧及び第2バイアス電圧の電圧値は、第3バイアス電圧の電圧値によらず、光出力信号の平均パワーが最小となる第1バイアス電圧及び第2バイアス電圧の電圧値と一定の関係を有する電圧値となる。また、光出力信号の平均パワーが最大となる第3バイアス電圧の電圧値は、第1変調光信号と第2変調光信号との位相差が所望の値となる第3バイアス電圧の電圧値と一定の関係を有する電圧値となる。したがって、求められた第1電圧値、第2電圧値及び第3電圧値それぞれから、光出力信号の平均パワーが最小となるように第1バイアス電圧及び第2バイアス電圧の電圧値が決定され、第1変調光信号と第2変調光信号との位相差が所望の値となるように第3バイアス電圧の電圧値が決定される。このため、光出力信号の平均パワーが最小となる第1バイアス電圧及び第2バイアス電圧の電圧値が第3バイアス電圧の電圧値に応じて変化したとしても、第1バイアス電圧、第2バイアス電圧及び第3バイアス電圧を適切に調整することができる。
[本願発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る光送信器及び光送信器の制御方法の具体例を、図面を参照しつつ以下に説明する。図面の説明において同一又は相当する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
図1は、一実施形態に係る光送信器の構成概略図である。光送信器1は、CW(Continuous Wave)光L1を変調することで得られる偏波多重光信号L6を外部に出力する。具体的には、光送信器1は、レーザダイオード等の光源によって生成されたCW光L1を、DP−QPSK(Dual Polarization−Quadrature Phase Shift Keying;偏波多重四値位相)変調方式によって変調することで偏波多重光信号L6を生成し外部に出力する。光送信器1は、光変調器10,20と、検出部17,27と、駆動部19と、バイアス供給部30と、を備える。光変調器10,20は、電気光学効果を有する基板上に形成される。例えば、光変調器10,20は、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)結晶を用いて形成された基板上、インジウムリン系化合物半導体によって形成された半導体チップ上、あるいはSi半導体によって形成された半導体チップ上に形成される。検出部17,27は、光変調器10,20と同じ基板上にそれぞれ形成され、光変調器10,20にそれぞれ内蔵されていてもよい。
光送信器1では、所定の周波数のCW光L1が光導波路wg1に入力される。入力されたCW光L1は、互いに偏波面が異なる2つの光(X偏波光及びY偏波光)として光導波路wg2,wg3に分岐される。例えば、光変調器10には、X偏波光が光導波路wg2を介して光入力信号L2として入力される。光変調器20には、Y偏波光が光導波路wg3を介して光入力信号L3として入力される。X偏波光とY偏波光とのそれぞれの偏波面は互いに90°異なっている。例えば、X偏波光のパワー(強度)は、Y偏波光のパワーとほぼ等しい。
光変調器10は、光入力信号L2に対してQPSK変調を行うことで光出力信号L4を生成する。光変調器10は、光導波路wg4を介して光導波路wg6に光出力信号L4を出力する。光変調器20は、光入力信号L3に対してQPSK変調を行うことで光出力信号L5を生成する。光変調器20は、光導波路wg5を介して光導波路wg6に光出力信号L5を出力する。光入力信号L2と光入力信号L3とがそれぞれ光変調器10及び光変調器20を通過しても、互いの偏波面の関係は維持されるので、光出力信号L4と光出力信号L5とのそれぞれの偏波面は互いに90°異なっている。光出力信号L4と光出力信号L5とが、光導波路wg6において合成されて偏波多重光信号L6として光送信器1から外部に出力される。
光変調器10は、変調部11,12,15を備える。光入力信号L2は、2つの分岐光信号L21,L22として光導波路wg21,wg22に分岐される。分岐光信号L22は、光入力信号L2から分岐光信号L21が分岐した残余の光信号である。
変調部11(第1変調部)は、1対の光導波路11a,11bを有するマッハツエンダ型変調器である。変調部11は、分岐光信号L21(第1分岐光信号)を位相変調することで変調光信号L41(第1変調光信号)を生成する。変調部11は、光導波路15aに変調光信号L41を出力する。変調部12(第2変調部)は、1対の光導波路12a,12bを有するマッハツエンダ型変調器である。変調部12は、分岐光信号L22(第2分岐光信号)を位相変調することで変調光信号L42(第2変調光信号)を生成する。変調部12は、光導波路15bに変調光信号L42を出力する。なお、変調部11,12は、子変調器とも称される。変調部11,12のそれぞれは、例えば二位相偏移変調(BPSK:Binary Phase Shift Keying)を行う。変調部11,12は、光信号の位相変調に関して互いに略同一の光学的特性及び電気的特性を有していてもよい。
変調部15(第3変調部)は、1対の光導波路15a,15bを有する移相器である。変調部15は、変調光信号L41及び変調光信号L42から光出力信号L4を生成する。変調部15は、光導波路wg4に光出力信号L4を出力する。なお、変調部15は、親変調器とも称される。変調部15は、変調光信号L41の位相と変調光信号L42の位相との差(位相差)を印加されたバイアス電圧に応じて変化させる。
光変調器20は、変調部21,22,25を備える。光入力信号L3は、2つの分岐光信号L31,L32として光導波路wg31,wg32に分岐される。分岐光信号L32は、光入力信号L3から分岐光信号L31が分岐した残余の光信号である。
変調部21は、1対の光導波路21a,21bを有するマッハツエンダ型変調器である。変調部21は、分岐光信号L31を位相変調することで変調光信号L51を生成する。変調部21は、光導波路25aに変調光信号L51を出力する。変調部22は、1対の光導波路22a,22bを有するマッハツエンダ型変調器である。変調部22は、分岐光信号L32を位相変調することで変調光信号L52を生成する。変調部22は、光導波路25bに変調光信号L52を出力する。なお、変調部21,22は、子変調器とも称される。変調部21,22のそれぞれは、例えば二位相偏移変調(BPSK)を行う。変調部21,22は、光信号の位相変調に関して互いに略同一の光学的特性及び電気的特性を有していてもよい。
変調部25は、1対の光導波路25a,25bを有する移相器である。変調部25は、変調光信号L51及び変調光信号L52から光出力信号L5を生成する。変調部25は、光導波路wg5に光出力信号L5を出力する。なお、変調部25は、親変調器とも称される。変調部25は、変調光信号L51の位相と変調光信号L52の位相との差(位相差)を印加されたバイアス電圧に応じて変化させる。
検出部17は、光出力信号L4のパワー(強度)を検出する。検出部17は、光出力信号L4の一部であるモニタ光を検出することによって、光出力信号L4のパワーを検出してもよい。具体的には、検出部17は、光出力信号L4から分岐したモニタ光を検出し、当該モニタ光を電流信号(光電流)に変換する。検出部17は、光電流をバイアス供給部30に出力する。検出部17は、例えば、フォトダイオードである。フォトダイオードは、モニタ光のパワー(入射光量)に略比例した光電流を出力する。光出力信号L4のパワーは、例えば、モニタ光のパワーに対して一次式にて表すことができる(モニタ光のパワーに略比例する)。このため、モニタ光のパワーが検出されることで、光出力信号L4のパワーが高い精度にて推定(検出)される。このように、光出力信号L4のパワーの検出では、モニタ光の平均パワーが検出されるので、光−電気変換は例えばQPSKのシンボルレートよりも遅くてもよく、例えば、検出部17に含まれるフォトダイオードの帯域は数GHzであればよい。検出部27は、光出力信号L5から分岐したモニタ光を検出する点を除き、検出部17と同様の機能を有するので、詳細な説明を省略する。なお、検出部17,27はそれぞれ光変調器10,20に含まれてもよい。
駆動部19は、不図示のホスト装置(外部装置)等から出力される送信データ信号に基づいて差動電圧信号(駆動信号)を生成する。駆動信号は、正相信号と逆相信号とを有する。逆相信号は、正相信号の位相と180°異なる位相を有する。例えば、正相信号が増加するときに逆相信号は減少し、正相信号が減少するときに逆相信号は増加する。正相信号が最大値(ピーク値)に達するときに逆相信号は最小値(ボトム値)に達し、正相信号がボトム値に達するときに逆相信号はピーク値に達する。正相信号と逆相信号とは互いに略等しい振幅を有する。駆動部19は、変調部11,12及び変調部21,22に、ここでは4つの駆動信号を供給する。具体的には、駆動部19は、光導波路11a上に設けられた電極13a及び光導波路11b上に設けられた電極13bに駆動信号Vd1(第1駆動信号)を印加し、光導波路12a上に設けられた電極14a及び光導波路12b上に設けられた電極14bに駆動信号Vd2(第2駆動信号)を印加する。変調部11は、駆動信号Vd1に応じて分岐光信号L21を位相変調し、変調部12は、駆動信号Vd2に応じて分岐光信号L22を位相変調する。
駆動信号Vd1は、2値の状態として「ハイレベル」の状態と「ローレベル」の状態とを含む。駆動信号Vd1は、送信データ信号に基づいて生成され、互いに位相が反対の正相信号と逆相信号とを含む。例えば、駆動信号Vd1が「ハイレベル」のとき、その正相信号はピーク値であり、その逆相信号はボトム値となっている。すなわち、正相信号の電圧から逆相信号の電圧を引いた差は、正の値となり最大値となっている。また、駆動信号Vd1が「ローレベル」のとき、その正相信号はボトム値であり、その逆相信号はピーク値となっている。すなわち、正相信号の電圧から逆相信号の電圧を引いた差は、負の値となり、最小値となっている。駆動部19は、例えば、電極13aに駆動信号Vd1の正相信号を印加し、電極13bに駆動信号Vd1の逆相信号を印加する。変調光信号L41は、変調部11によりBPSKで変調された光信号である。
駆動信号Vd2は、2値の状態として「ハイレベル」の状態と「ローレベル」の状態とを含む。駆動信号Vd2は、送信データ信号に基づいて生成され、互いに位相が反対の正相信号と逆相信号とを含む。例えば、駆動信号Vd2が「ハイレベル」のとき、その正相信号はピーク値であり、その逆相信号はボトム値となっている。すなわち、正相信号の電圧から逆相信号の電圧を引いた差は、正の値となり最大値となっている。駆動信号Vd2が「ローレベル」のとき、その正相信号はボトム値であり、その逆相信号はピーク値となっている。すなわち、正相信号の電圧から逆相信号の電圧を引いた差は、負の値となり、最小値となっている。駆動部19は、電極14aに駆動信号Vd2の正相信号を印加し、電極14bに駆動信号Vd2の逆相信号を印加する。変調光信号L42は、変調部12によりBPSKで変調された光信号である。なお、駆動部19は、光導波路21a,21b上に設けられた電極23a,23b及び光導波路22a,22b上に設けられた電極24a,24bのそれぞれにも駆動信号を印加するが、図示は省略されている。
バイアス供給部30は、バイアス電圧を変調部11,12,15及び変調部21,22,25に供給する。具体的には、バイアス供給部30は、バイアス電圧Vc1(第1バイアス電圧)を電極13a及び電極13bに印加し、バイアス電圧Vc2(第2バイアス電圧)を電極14a及び電極14bに印加し、バイアス電圧Vp(第3バイアス電圧)を光導波路15a上に設けられた電極16a及び光導波路15b上に設けられた電極16bに印加する。
バイアス電圧Vc1は、電極13aに印加される電圧と電極13bに印加される電圧との電位差であり、駆動信号Vd1の基準電圧である。例えば、バイアス電圧Vc1が最適な電圧値に調整されている場合、駆動信号Vd1がローレベルであるときに、変調光信号L41の位相が分岐光信号L21の位相に対して0°ずれる(ここで「0°ずれる」というのは便宜的な表現であって、この状態では変調光信号L41は分岐光信号L21の位相と同じ位相を有している)。つまり、変調光信号L41の分岐光信号L21に対する位相差(以下、「変調光信号L41の位相差」という)が0°となる。また、駆動信号Vd1がハイレベルであるときに、変調光信号L41の位相が分岐光信号L21の位相に対して180°ずれる。つまり、変調光信号L41の位相差が180°となる。この例のように、変調光信号L41は、駆動信号Vd1に応じて位相差が0°である状態と位相差が180°である状態とのいずれかの状態となる。
バイアス電圧Vc2は、電極14aに印加される電圧と電極14bに印加される電圧との電位差であり、駆動信号Vd2の基準電圧である。例えば、バイアス電圧Vc2が最適な電圧値に調整されている場合、駆動信号Vd2がローレベルであるときに、変調光信号L42の位相が分岐光信号L22の位相に対して0°ずれる。つまり、変調光信号L42の分岐光信号L22に対する位相差(以下、「変調光信号L42の位相差」という)が0°となる。また、駆動信号Vd2がハイレベルであるときに、変調光信号L42の位相が分岐光信号L22の位相に対して180°ずれる。つまり、変調光信号L42の位相差が180°となる。この例のように、変調光信号L42は、駆動信号Vd2に応じて位相差が0°である状態と位相差が180°である状態とのいずれかの状態となる。
バイアス電圧Vpは、電極16aに印加される電圧と電極16bに印加される電圧との電位差である。バイアス電圧Vpが最適な電圧値に設定されているときに、バイアス電圧Vpによって、変調光信号L41の位相と変調光信号L42の位相とが互いに90°ずらされる。なお、バイアス供給部30は、電極23a,23b、電極24a,24b及び光導波路25a,25b上に設けられた電極26a,26bのそれぞれにも上述のバイアス電圧Vc1、バイアス電圧Vc2、及びバイアス電圧Vpと同様のバイアス電圧を供給するが、図示は省略されている。DP−QPSK変調方式の光送信器1では、バイアス供給部30は合計で6つのバイアス電圧を光変調器10,20に供給する。
図2は、図1のバイアス供給部の詳細構成を示す図である。バイアス供給部30は、例えば、抵抗器31と、増幅回路32と、ADC(Analog to Digital Converter;アナログ−ディジタル変換回路)33と、制御部34と、DAC(Digital to Analog Converter;ディジタル−アナログ変換回路)35と、増幅回路36と、を備える。
抵抗器31は、検出部17,27からバイアス供給部30に入力される光電流をモニタ電圧に変換する。入力された光電流が抵抗器31を流れることで発生する電圧降下に基づいて、モニタ電圧が生成される。すなわち、モニタ電圧は、光電流の大きさに略比例したアナログ値の電圧である。抵抗器31は、モニタ電圧を増幅回路32に出力する。なお、検出部17から入力される光電流と検出部27から入力される光電流は、それぞれ別々の抵抗器31を流れることによって別々のモニタ電圧に変換される。図2では、検出部17,27は光変調器10、20の外部に図示されているが、上述したように、それぞれ光変調器10、20に内蔵されていてもよい。その場合には、例えば、光変調器10、20に光電流を出力するための端子がそれぞれ設けられ、検出部17,27はそれぞれの端子を介してバイアス供給部30に接続されてもよい。
増幅回路32はモニタ電圧を増幅する。モニタ電圧が増幅されることによって、ADC33によって行われるアナログ−ディジタル変換の精度が向上する。増幅回路32には、ローパスフィルタが設けられる。モニタ電圧がローパスフィルタを通過することによって積分され、モニタ電圧の値が時間的に平均化される。このため、バイアス供給部30では、モニタ光の平均パワーが検出される。増幅回路32は、増幅及び平均化されたモニタ電圧をADC33に出力する。なお、検出部17及び検出部27から入力された光電流に対して生成される上述の別々のモニタ電圧は、別々の増幅回路32によってそれぞれ増幅される。
ADC33は、増幅回路32から出力されたモニタ電圧をディジタル値のモニタ値に変換する。ADC33は、変換したモニタ値を制御部34に出力する。これにより、制御部34には、モニタ光の平均パワーの大きさに応じたモニタ値が入力される。なお、検出部17,27に基づいた2つのモニタ値が制御部34に入力されるが、図2では1つのモニタ値が入力される経路のみが示されている。すなわち、検出部17からの光電流は、抵抗器31、増幅回路32、及びADC33を介してモニタ値(ディジタル値)に変換されて制御部34に入力され、検出部27からの光電流は、別の抵抗器31、別の増幅回路32、及び別のADC33を介してモニタ値(ディジタル値)に変換されて制御部34に入力される。
制御部34は、検出部17,27で検出したモニタ光の平均パワーに応じてバイアス電圧を決定するバイアス電圧調整処理を行う。バイアス電圧調整処理の詳細については後述する。制御部34がバイアス電圧調整処理を行うことで、バイアス供給部30は各変調部11,12,15及び各変調部21,22,25に供給するバイアス電圧の電圧値を決定する。制御部34は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等から構成されるIC(Integrated Circuit;集積回路)である。制御部34は、ROMに格納されている所定のプログラムをRAMに読み出し、CPUによってプログラムが実行されることによって、バイアス電圧調整処理を行うように動作する。制御部34は、例えば、CPLD(Complex Programmable Logic Device)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)などのロジックデバイスであってもよい。制御部34は、バイアス電圧の電圧値に対応するディジタル値の設定値をDAC35に出力する。
DAC35は、制御部34から出力された設定値に基づいて、アナログ値の電圧である設定電圧を生成する。DAC35は、設定電圧を増幅回路36に出力する。
増幅回路36は、DAC35から出力された設定電圧を増幅することで、バイアス電圧を生成する。増幅回路36は、生成したバイアス電圧を光変調器10,20に供給する。制御部34は、DAC35に出力する設定値を変化させることで、各変調部に供給されるバイアス電圧の電圧値を調整する。なお、DAC35及び増幅回路36を介して光変調器10,20には6つのバイアス電圧が供給されるが、図2では1つのバイアス電圧が供給される経路が示されている。従って、実際には、DAC35及び増幅回路36は、それぞれバイアス電圧の数だけ用意され、互いに並列に制御部34に接続されて使用される。より詳細には、上述したように、1つのバイアス電圧は、一対の光導波路のそれぞれに設けられた電極に印加される電圧の差として与えられるため、増幅回路36からは2つの電圧が出力される。あるいは、1つのDAC35と1つの増幅回路36とが光導波路上に設けられた1つの電極に1つの電圧を与えるように構成されてもよい。その場合には、12個のDAC35及び12個の増幅回路36が設けられる。バイアス供給部30は、12個の電圧を出力し、互いに異なる配線を介して電極13a,13b、電極14a,14b、電極16a,16b、電極23a,23b、電極24a,24b、及び電極26a,26bの各電極に電圧を印加する。
次に、図3〜図7を用いてバイアス電圧とモニタ光の平均パワーとの関係を理論上の計算値を用いて説明する。図3は、図1に示される光変調器におけるモニタ光の平均パワーの計算結果である。図4は、駆動信号の最大振幅が半波長電圧値よりも大きい場合のモニタ光の平均パワーの計算結果である。図5は、駆動信号の最大振幅が半波長電圧値以下である場合のモニタ光の平均パワーの計算結果である。図6は、1つの変調部のバイアス電圧に応じたモニタ光の平均パワーの計算結果の一例を示すグラフである。図7は、他の変調部のバイアス電圧に応じたモニタ光の平均パワーの計算結果の一例を示すグラフである。
図3には、駆動信号Vd1,Vd2の最大振幅が半波長電圧値Vpiよりも大きい場合及び駆動信号Vd1,Vd2の最大振幅が半波長電圧値Vpi以下である場合のそれぞれにおける、バイアス電圧Vc1の電圧値及びバイアス電圧Vc2の電圧値とモニタ光の平均パワーとの関係が示されている。各関係は、バイアス電圧Vpが最適な電圧値に設定されている場合の計算結果である。なお、半波長電圧値Vpiは、変調部11及び変調部12のいずれかにおいて光信号の位相を180°変化させる電圧値であり、計算で求められる既知の値(理論値)である。光変調器10に含まれる対となる光導波路上に設けられた1対の電極間に互いの電位差が半波長電圧値Vpiとなるようにそれぞれ電圧が印加された場合に、対となる光導波路から出力される光信号同士の位相差が180°となる。バイアス電圧Vpは、変調光信号L41と変調光信号L42との位相差が90°となる最適な電圧値に設定されている。
ここでは、平均パワーの計算値が0.2(mW)単位で示されている。図3では、縦軸はバイアス電圧Vc1の最適な電圧値からのずれ量を示し、縦軸の値が0のときにバイアス電圧Vc1は最適な電圧値に一致している。横軸はバイアス電圧Vc2の最適な電圧値からのずれ量を示し、横軸の値が0のときにバイアス電圧Vc2は最適な電圧値に一致している。バイアス電圧Vc1が最適な電圧値に設定されている場合、駆動信号Vd1がハイレベルであるときの変調光信号L41の位相差は180°となる。バイアス電圧Vc2が最適な電圧値に設定されている場合、駆動信号Vd2がハイレベルであるときの変調光信号L42の位相差は180°となる。図3の縦軸及び横軸において、各軸の値が+Vpiのときに、バイアス電圧Vc1,Vc2は、最適な電圧値から位相差180°に相当する半波長電圧値Vpiずれている。各軸の値が−Vpiのときに、バイアス電圧Vc1,Vc2は、最適な電圧値から位相差−180°に相当する電圧値−Vpiずれている。
図3に示されるように、駆動信号Vd1,Vd2の最大振幅が半波長電圧値Vpiよりも大きい場合、バイアス電圧Vc1,Vc2が最適な電圧値のときにモニタ光の平均パワーは最大となる。駆動信号Vd1,Vd2の最大振幅が半波長電圧値Vpi以下である場合(半波長電圧値Vpiに等しいか、または小さい場合)、バイアス電圧Vc1,Vc2が最適な電圧値のときにモニタ光の平均パワーは最小となる。図3では、平均パワーの計算値が0.2(mW)単位で示されているので、バイアス電圧Vc1及びバイアス電圧Vc2の電圧値の広い範囲に亘って平均パワーが最大又は最小となっているが、実際の計算値ではバイアス電圧Vc1及びバイアス電圧Vc2が最適な電圧値のときに、平均パワーは最大又は最小となる。なお、駆動信号Vd1,Vd2の最大振幅が半波長電圧値Vpi以下に設定されることで、例えば、駆動信号Vd1,Vd2による消費電力を削減することができ、あるいは変調部11,12にて線形な光応答を得る必要があるQAM変調(Quadrature Amplitude Modulation;直交振幅変調)に対応することができる。
上述のように、バイアス電圧Vpが最適な電圧値に設定されているという条件下では、駆動信号Vd1,Vd2の最大振幅が半波長電圧値Vpiよりも大きい場合、モニタ光の平均パワーが最大となるように、バイアス電圧Vc1,Vc2の電圧値を調整することで、バイアス電圧Vc1,Vc2の最適な電圧値が得られる。同様に、バイアス電圧Vpが最適な電圧値に設定されているという条件下では、駆動信号Vd1,Vd2の最大振幅が半波長電圧値Vpi以下である場合、モニタ光の平均パワーが最小となるように、バイアス電圧Vc1,Vc2の電圧値を調整することで、バイアス電圧Vc1,Vc2の最適な電圧値が得られる。しかしながら、バイアス電圧Vpが常に最適な電圧値に設定されているとは限らない。そこで、バイアス電圧Vpが変動した場合のバイアス電圧Vc1,Vc2の電圧値とモニタ光の平均パワーとの関係について以下に説明する。
図4には、駆動信号Vd1,Vd2の最大振幅が半波長電圧値Vpiよりも大きい場合での、バイアス電圧Vpの3つの電圧値それぞれにおける平均パワーの計算結果が示されている。図5には、駆動信号Vd1,Vd2の最大振幅が半波長電圧値Vpi以下である場合での、バイアス電圧Vpの3つの電圧値それぞれにおける平均パワーの計算結果が示されている。バイアス電圧Vpの3つの電圧値としては、バイアス電圧Vpの最適な電圧値、最適な電圧値よりもVpi/2小さい電圧値、最適な電圧値よりもVpi/2大きい電圧値が用いられる。
なお、説明を簡略化するために、駆動信号Vd1,Vd2の最大振幅が半波長電圧値Vpiよりも大きい場合では、最適な電圧値から半波長電圧値Vpiだけずれた値から、最適な電圧値から電圧値−Vpiだけずれた値までの範囲でバイアス電圧Vc1,Vc2を変化させた計算結果が示されている。一方、駆動信号Vd1,Vd2の最大振幅が半波長電圧値Vpi以下である場合では、最適な電圧値から電圧値Vpiの2倍(電圧値2Vpi)だけずれた値から、最適な電圧値から電圧値−Vpiの2倍(電圧値−2Vpi)だけずれた値までの範囲でバイアス電圧Vc1,Vc2を変化させた計算結果が示されている。
図4に示されるように、駆動信号Vd1,Vd2の最大振幅が半波長電圧値Vpiよりも大きい場合、バイアス電圧Vpの電圧値によらずに、バイアス電圧Vc1,Vc2が最適な電圧値であるときに平均パワーは最大となる。一方、図5に示されるように、駆動信号Vd1,Vd2の最大振幅が半波長電圧値Vpi以下である場合、バイアス電圧Vpの3つの電圧値それぞれにおいて、平均パワーが最小となるバイアス電圧Vc1,Vc2の電圧値が異なる。これらの計算結果から、駆動信号Vd1,Vd2の最大振幅が半波長電圧値Vpiよりも大きい場合には、バイアス電圧Vpの電圧値によらずに、平均パワーが最大となるようにバイアス電圧Vc1,Vc2を調整することでバイアス電圧Vc1,Vc2の最適な値を求めることができる。これに対して、駆動信号Vd1,Vd2の最大振幅が半波長電圧値Vpi以下である場合には、平均パワーが最小となるようにバイアス電圧Vc1,Vc2を調整しても、バイアス電圧Vc1,Vc2の最適な値を求めることができない。このため、駆動信号Vd1,Vd2の最大振幅が半波長電圧値Vpi以下である場合には、平均パワーが最小となるようにバイアス電圧Vc1,Vc2を調整する方法以外の方法にてバイアス電圧の最適な電圧値を求める必要がある。
図6には、バイアス電圧Vc2の電圧値を固定し、バイアス電圧Vc1を変化させた場合の平均パワーの計算結果が示されている。図6に示される平均パワーは、駆動信号Vd1,Vd2の最大振幅が半波長電圧値Vpi以下に設定され、バイアス電圧Vc2が最適な電圧値から電圧値Vpiずれた値に固定されているという条件で計算された。図6には、最適な電圧値から電圧値−2Vpiだけずれた値から、最適な電圧値から電圧値2Vpiだけずれた値までの範囲でバイアス電圧Vc1の電圧値を変化させた計算結果が示されている。換言すると、最適な電圧値を中心として、半波長電圧値Vpiの4倍の範囲でバイアス電圧Vc1の電圧値を変化させた計算結果が示されている。
グラフC1は、バイアス電圧Vpを最適な電圧値から電圧値(−Vpi/2)だけずらした値に固定させた場合の計算結果である。グラフC2は、バイアス電圧Vpを最適な電圧値から電圧値(−Vpi/3)だけずらした値に固定させた場合の計算結果である。グラフC3は、バイアス電圧Vpを最適な電圧値から電圧値(−Vpi/6)だけずらした値に固定させた場合の計算結果である。グラフC4は、バイアス電圧Vpを最適な電圧値に固定させた場合の計算結果である。
グラフC1〜C4に示されるように、モニタ光の平均パワーは、バイアス電圧Vc1の変化に対して半波長電圧値Vpiの4倍を周期として周期的に変化する(上述したように図6には半波長電圧値Vpiの4倍の範囲のみが示されている)。具体的には、グラフC1〜C3に示されるように、バイアス電圧Vpが最適な電圧値から電圧値(−Vpi/2),(−Vpi/3),(−Vpi/6)だけずれている場合には、バイアス電圧Vc1の電圧値が半波長電圧値Vpiの4倍の範囲で変化する間に、平均パワーの最大値と最小値とがそれぞれ1回ずつ出現する。また、バイアス電圧Vc1が最適な電圧値から電圧値−Vpiだけずれた値であるときに平均パワーが最大となっている。
グラフC4に示されるように、バイアス電圧Vpが最適な電圧値である場合には、バイアス電圧Vc1の電圧値が半波長電圧値Vpiの2倍の範囲で変化する間に、平均パワーの最大値と最小値とがそれぞれ1回ずつ出現する。また、バイアス電圧Vc1が最適な電圧値から−Vpiだけずれた値であるとき、及びVpiだけずれた値であるときに、平均パワーが最大となっている。つまり、グラフC1〜C4により示される計算結果では、半波長電圧値Vpiの4倍の範囲に平均パワーが最大となるバイアス電圧Vc1の電圧値が含まれている。なお、モニタ光の平均パワーは、バイアス電圧Vc2の変化に対しても周期的に変化する。例えば、変調部12が光信号の位相変調に関して変調部11と略同一の電気的特性および光学的特性を有する場合、バイアス電圧Vc1と同様に、平均パワーが最大となるバイアス電圧Vc2の電圧値は、半波長電圧値Vpiの4倍の範囲に含まれる。
図7には、バイアス電圧Vc1及びバイアス電圧Vc2の電圧値を固定し、バイアス電圧Vpを変化させた場合の平均パワーの計算結果が示されている。図7に示される平均パワーは、駆動信号Vd1,Vd2の最大振幅が半波長電圧値Vpi以下に設定されており、バイアス電圧Vc1が最適な電圧値から電圧値−Vpiずれた値に固定されており、バイアス電圧Vc2が最適な電圧値から電圧値Vpiずれた値に固定されているという条件で計算された。図7では、横軸はバイアス電圧Vpの最適な電圧値からのずれ量を示し、値が0のときにバイアス電圧Vpは最適な電圧値に設定されている。図7には、最適な電圧値から電圧値−Vpiだけずれた値から、最適な電圧値から電圧値Vpiだけずれた値までの範囲でバイアス電圧Vpの電圧値を変化させた計算結果が示されている。換言すると、最適な電圧値を中心として、半波長電圧値Vpiの2倍の範囲でバイアス電圧Vpの電圧値を変化させた計算結果が示されている。
図7に示されるように、モニタ光の平均パワーは、バイアス電圧Vpの変化に対して半波長電圧値Vpiの2倍を周期として周期的に変化する。具体的には、バイアス電圧Vpの電圧値が半波長電圧値Vpiの2倍の範囲で変化する間に、平均パワーの最大値と最小値とがそれぞれ1回ずつ出現する。図7に示される計算結果では、バイアス電圧Vpの電圧値が、最適な電圧値から電圧値−Vpi/2だけずれた値であるときに、平均パワーが最大となっている。つまり、図7に示される計算結果では、半波長電圧値Vpiの2倍の範囲に平均パワーが最大となるバイアス電圧Vpの電圧値が含まれている。
図5に示される平均パワーの計算結果において、バイアス電圧Vpが最適な電圧値から−Vpi/2ずれている場合、バイアス電圧Vc1,Vc2の電圧値が、最適な電圧値から(−Vpi,Vpi)又は(Vpi,−Vpi)ずれた値であるときに平均パワーは最大となっている。バイアス電圧Vpが最適な電圧値からVpi/2ずれている場合、バイアス電圧Vc1,Vc2の電圧値が、最適な電圧値から(−Vpi,−Vpi)又は(Vpi,Vpi)ずれた値であるときに平均パワーは最大となっている。バイアス電圧Vpが最適な電圧値である場合、バイアス電圧Vc1,Vc2が最適な電圧値から(−Vpi,−Vpi)、(−Vpi,Vpi)、(Vpi,−Vpi)、又は(Vpi,Vpi)ずれた値である場合に平均パワーが最大となっている。これらの平均パワーが最大となるバイアス電圧Vc1,Vc2の組合せは、いずれもバイアス電圧Vc1,Vc2の最適な電圧値から±Vpiだけずれた値である。
なお、バイアス電圧Vpが上記及び図6に示される計算結果以外の電圧値を有する場合であっても、同様に、平均パワーが最大となるバイアス電圧Vc1,Vc2の組合せは、いずれもバイアス電圧Vc1,Vc2の最適な電圧値から±Vpiだけずれた値であった。以上の結果から、バイアス電圧Vc1,Vc2の最適な電圧値は、バイアス電圧Vpの電圧値によらず、モニタ光の平均パワーが最大となるバイアス電圧Vc1,Vc2の電圧値に対して半波長電圧値Vpiを加算又は減算した値になることがわかる。
図7に示される平均パワーの計算結果において、バイアス電圧Vpの電圧値が、最適な電圧値から−Vpi/2だけずれた値であるときに平均パワーは最大となっている。図7には、バイアス電圧Vc1,Vc2の電圧値を1点に固定した場合での平均パワーの計算結果しか示されていないが、バイアス電圧Vc1,Vc2を他の電圧値に固定した場合において、バイアス電圧Vpの電圧値が、最適な電圧値から−Vpi/2又はVpi/2だけずれた値であるときに平均パワーは最大となっていた。この結果から、バイアス電圧Vpの最適な電圧値は、バイアス電圧Vc1,Vc2の電圧値によらず、モニタ光の平均パワーが最大となるバイアス電圧Vpの電圧値に対して半波長電圧値Vpiの半分の値Vpi/2を加算又は減算した値となることがわかる。
図6に示されるように、バイアス電圧Vc1の電圧値に対する平均パワーの変化は、最大で半波長電圧値Vpiの4倍の範囲にて周期性を有する。また、バイアス電圧Vc1と同様にバイアス電圧Vc2を変化させた場合の平均パワーの計算結果から、バイアス電圧Vc2の電圧値に対する平均パワーの変化は、最大で半波長電圧値Vpiの4倍の範囲にて周期性を有する。図7に示されるように、バイアス電圧Vpの電圧値に対する平均パワーの変化は、最大で半波長電圧値Vpiの2倍の範囲にて周期性を有する。以降では、上述の各種関係を利用したバイアス電圧の調整方法を説明する。
図3〜図7に示されたモニタ光の平均パワーの変化は計算結果であり、実際の光変調器10では、個体差、周囲温度及び経時劣化等により、光変調器10に対するバイアス電圧Vc1,Vc2,Vpの最適な電圧値は一意に定まらない。このため、光送信器1が製造時に初めて起動される際に、例えば、制御部34がバイアス電圧調整処理を行うことで、バイアス電圧Vc1,Vc2,Vpが最適な電圧値に設定される。
次に、図8〜図10を用いてバイアス電圧調整処理の一例を説明する。図8は、バイアス電圧調整処理の一例を示すフローチャートである。図9は、図8に示される第1電圧値取得処理を示すフローチャートである。図10は、図8に示される最適値決定処理を示すフローチャートである。なお、ここでは光変調器10に供給されるバイアス電圧Vc1,Vc2,Vpに対するバイアス電圧調整処理について説明する。
制御部34は、バイアス電圧Vc1,Vc2,Vpの各電圧値Vc1(0)〜Vc1(N),Vc2(0)〜Vc2(N),Vp(0)〜Vp(N)を予め記憶している。Nは2以上の整数である。各電圧値Vc1(k),Vc2(k),Vp(k)(変数kは、0〜Nまでのいずれかの整数である。)は配列データである。ここでは、制御部34は、変数kを0からNまで変えていくことによって、電圧値Vc1(k)を(−2×Vpi)から(2×Vpi)まで、電圧値Vc2(k)を(−2×Vpi)から(2×Vpi)まで、電圧値Vp(k)を0から(2×Vpi)まで変更する。例えば、Vc1(k),Vc2(k)の各値は初期設定により{(4×Vpi/N)×k−2×Vpi}に設定され、Vp(k)の各値は{(2×Vpi/N)×k}に設定されている。このように設定することで、異なる変数kの値に対して互いに重複することなく、各電圧値Vc1(k),Vc2(k),Vp(k)を容易に設定することができる。バイアス電圧調整処理では、制御部34は、変数kに応じたモニタ光の平均パワーを示すモニタ値を配列データであるモニタ値p(0)〜p(N)のうちp(k)として記憶する。制御部34は、例えば、光送信器1が起動されることで、バイアス電圧調整処理を開始する。
最初に、制御部34は第1電圧値V1を取得する第1電圧値取得処理を行う(ステップS01)。ここで、第1電圧値V1とは、バイアス電圧Vc2,Vpの電圧値を一定に保ったままバイアス電圧Vc1を変更した場合に、モニタ光の平均パワーが最大となるバイアス電圧Vc1の電圧値である。制御部34は、変調部11に駆動信号Vd1が供給されていると共に変調部12に駆動信号Vd2が供給されている状態(駆動状態)で、第1電圧値取得処理を行う。図9に示されるように、第1電圧値取得処理では、まず制御部34は初期設定を行う(ステップS11)。具体的には、ステップS11では、制御部34は変数kを0に設定する。そして、制御部34は、バイアス電圧Vc1を電圧値Vc1(0)に設定し、バイアス電圧Vc2を電圧値Vc2(0)に設定し、バイアス電圧Vpを電圧値Vp(0)に設定する。つまり、制御部34は、電圧値Vc1(0),Vc2(0),Vp(0)をそれぞれバイアス電圧Vc1,Vc2,Vpの初期値に設定する。制御部34が電圧値Vc1(0),Vc2(0),Vp(0)に対応する設定値をDAC35に出力することで、変調部11に電圧値Vc1(0)のバイアス電圧Vc1が供給され、変調部12に電圧値Vc2(0)のバイアス電圧Vc2が供給され、変調部15に電圧値Vp(0)のバイアス電圧Vpが供給される。さらに、制御部34は、バイアス電圧Vc1,Vc2,Vpが初期値のときのモニタ値p(0)を取得し、ピーク値pmaxの初期値(仮の候補値)を取得したモニタ値p(0)に設定するとともに、第1電圧値V1の初期値(仮の候補値)を電圧値Vc1(0)に設定する。
続いて、制御部34は変数kをインクリメントする(ステップS12)。つまり、制御部34は変数kに1を加算する。そして、制御部34はバイアス電圧Vc1を電圧値Vc1(k)に設定する(ステップS13)。具体的には、制御部34は、電圧値Vc1(k)に対応する設定値をDAC35に出力する。このとき、制御部34は、電圧値Vc2(0),Vp(0)をそのまま維持する。このため、変調部11に電圧値Vc1(k)のバイアス電圧Vc1が供給され、変調部12に電圧値Vc2(0)のバイアス電圧Vc2が供給され、変調部15に電圧値Vp(0)のバイアス電圧Vpが供給される。
続いて、制御部34はモニタ値p(k)を取得する(ステップS14)。そして、制御部34はステップS14で取得したモニタ値p(k)が、ピーク値pmaxよりも大きいかどうかを判断する(ステップS15)。モニタ値p(k)がピーク値pmaxよりも大きいと判断された場合(ステップS15;Yes)、制御部34は、ピーク値pmaxをモニタ値p(k)に更新する(ステップS16)。そして、制御部34は、第1電圧値V1を電圧値Vc1(k)に更新する(ステップS17)。これにより、モニタ値p(k)がピーク値pmaxよりも大きくなったときの電圧値Vc1(k)が記録される。一方、ステップS15において、モニタ値p(k)がピーク値pmax以下であると判断された場合(ステップS15;No)、制御部34は、ピーク値pmax及び第1電圧値V1の更新を行わない。
続いて、制御部34は、変数kがNよりも小さいかどうかを判断する(ステップS18)。変数kがNよりも小さいと判断された場合(ステップS18:Yes)、制御部34はステップS12からステップS18までの処理を再び行う。一方、ステップS18において、変数kがN以上であると判断された場合(ステップS18:No)、制御部34は第1電圧値取得処理を終了する。制御部34は、第1電圧値取得処理において、バイアス電圧Vc2及びバイアス電圧Vpの電圧値を一定に保ったままバイアス電圧Vc1を(−2×Vpi)から(2×Vpi)までの範囲(第1範囲)で変化させることによって、モニタ光の平均パワーが最大となる第1電圧値V1を取得する。
続いて、制御部34は、第2電圧値V2を取得する第2電圧値取得処理を行う(ステップS02)。ここで、第2電圧値V2とは、バイアス電圧Vc1,Vpの電圧値を一定に保ったままバイアス電圧Vc2を変更した場合に、モニタ光の平均パワーが最大となるバイアス電圧Vc2の電圧値である。制御部34は、変調部11に駆動信号Vd1が供給されていると共に変調部12に駆動信号Vd2が供給されている状態(駆動状態)で、第2電圧値取得処理を行う。なお、第2電圧値取得処理は、電圧値を変更する対象がバイアス電圧Vc2である点を除き第1電圧値取得処理と同様に行われるので、第2電圧値取得処理を示すフローチャートは省略されている。
第2電圧値取得処理では、まず制御部34は初期設定を行う。具体的には、制御部34は、変数kを0に設定し、バイアス電圧Vc1を第1電圧値V1に設定し、バイアス電圧Vc2を電圧値Vc2(0)に設定し、バイアス電圧Vpを電圧値Vp(0)に設定する。このとき、変調部11に第1電圧値V1のバイアス電圧Vc1が供給され、変調部12に電圧値Vc2(0)のバイアス電圧Vc2が供給され、変調部15に電圧値Vp(0)のバイアス電圧Vpが供給される。そして、制御部34は、モニタ値p(0)を取得し、ピーク値pmaxの初期値(仮の候補値)を取得したモニタ値p(0)に設定するとともに、第2電圧値V2の初期値(仮の候補値)を電圧値Vc2(0)に設定する。
続いて、制御部34は変数kをインクリメントする(変数kに1を加算する)。そして、制御部34はバイアス電圧Vc2を電圧値Vc2(k)に設定する。具体的には、制御部34は、電圧値Vc2(k)に対応する設定値をDAC35に出力する。このとき、変調部11に第1電圧値V1のバイアス電圧Vc1が供給され、変調部12に電圧値Vc2(k)のバイアス電圧Vc2が供給され、変調部15に電圧値Vp(0)のバイアス電圧Vpが供給される。
続いて、制御部34はモニタ値p(k)を取得する。そして、制御部34は、取得したモニタ値p(k)がピーク値pmaxよりも大きいかどうかを判断する。モニタ値p(k)がピーク値pmaxよりも大きいと判断された場合、制御部34はピーク値pmaxをモニタ値p(k)に更新し、第2電圧値V2を電圧値Vc2(k)に更新する。一方、モニタ値p(k)がピーク値pmax以下であると判断された場合、制御部34はピーク値pmax及び第2電圧値V2の更新を行わない。
続いて、制御部34は変数kがNよりも小さいかどうかを判断する。変数kがNよりも小さいと判断された場合、制御部34は、初期設定を除く上述の処理を再び行う。一方、変数kがN以上であると判断された場合、制御部34は第2電圧値取得処理を終了する。制御部34は第2電圧値取得処理において、バイアス電圧Vc1及びバイアス電圧Vpの電圧値を一定に保ったままバイアス電圧Vc2を(−2×Vpi)から(2×Vpi)までの範囲(第2範囲)で変化させることによって、モニタ光の平均パワーが最大となる第2電圧値V2を取得する。
続いて、制御部34は、第3電圧値V3を取得する第3電圧値取得処理を行う(ステップS03)。ここで、第3電圧値V3とは、バイアス電圧Vc1,Vc2の電圧値を一定に保ったままバイアス電圧Vpを変更した場合に、モニタ光の平均パワーが最大となるバイアス電圧Vpの電圧値である。制御部34は、変調部11に駆動信号Vd1が供給されていると共に変調部12に駆動信号Vd2が供給されている状態(駆動状態)で、第3電圧値取得処理を行う。なお、第3電圧値取得処理は、電圧値を変更する対象がバイアス電圧Vpである点を除き第1電圧値取得処理と同様に行われるので、第3電圧値取得処理を示すフローチャートは省略されている。
第3電圧値取得処理では、まず制御部34は初期設定を行う。具体的には、制御部34は、変数kを0に設定し、バイアス電圧Vc1を第1電圧値V1に設定し、バイアス電圧Vc2を第2電圧値V2に設定し、バイアス電圧Vpを電圧値Vp(0)に設定する。このとき、変調部11に第1電圧値V1のバイアス電圧Vc1が供給され、変調部12に第2電圧値V2のバイアス電圧Vc2が供給され、変調部15に電圧値Vp(0)のバイアス電圧Vpが供給される。そして、制御部34は、モニタ値p(0)を取得し、ピーク値pmaxの初期値(仮の候補値)を取得したモニタ値p(0)に設定するとともに、第3電圧値V3の初期値(仮の候補値)を電圧値Vp(0)に設定する。
続いて、制御部34は変数kをインクリメントする(変数kに1を加算する)。そして、制御部34はバイアス電圧Vpを電圧値Vp(k)に設定する。具体的には、制御部34は、電圧値Vp(k)に対応する設定値をDAC35に出力する。このとき、変調部11に第1電圧値V1のバイアス電圧Vc1が供給され、変調部12に第2電圧値V2のバイアス電圧Vc2が供給され、変調部15に電圧値Vp(k)のバイアス電圧Vpが供給される。
続いて、制御部34はモニタ値p(k)を取得する。そして、制御部34は、取得したモニタ値p(k)がピーク値pmaxよりも大きいかどうかを判断する。モニタ値p(k)がピーク値pmaxよりも大きいと判断された場合、制御部34はピーク値pmaxをモニタ値p(k)に更新し、第3電圧値V3を電圧値Vp(k)に更新する。一方、モニタ値p(k)がピーク値pmax以下であると判断された場合、制御部34はピーク値pmax及び第3電圧値V3の更新を行わない。
続いて、制御部34は変数kがNよりも小さいかどうかを判断する。変数kがNよりも小さいと判断された場合、制御部34は、初期設定を除く上述の処理を再び行う。一方、変数kがN以上であると判断された場合、制御部34は第3電圧値取得処理を終了する。制御部34は、第3電圧値取得処理において、バイアス電圧Vc1及びバイアス電圧Vc2の電圧値を一定に保ったままバイアス電圧Vpを0から(2×Vpi)までの範囲(第3範囲)で変化させることによって、モニタ光の平均パワーが最大となる第3電圧値V3を取得する。
続いて、制御部34は最適値決定処理を行う(ステップS04)。ステップS04では、まず制御部34は、第1電圧値V1に基づきバイアス電圧Vc1の最適な電圧値Vc1oを決定する。具体的には、制御部34は、第1電圧値V1に対して半波長電圧値Vpiを加算又は減算することで、電圧値Vc1oを決定する。制御部34は、第1電圧値V1の値に応じて、半波長電圧値Vpiの加算及び減算のどちらを行うかを選択する。
電圧値Vc1oの決定方法をより具体的に説明すると、図10に示されるように、制御部34は、第1電圧値V1が0よりも小さい(負数)かどうかを判断する(ステップS41)。第1電圧値V1が0よりも小さいと判断された場合(ステップS41;Yes)、制御部34は、式(1)によりバイアス電圧Vc1の最適な電圧値Vc1oを決定する(ステップS42)。ステップS42では、制御部34は、第1電圧値V1に半波長電圧値Vpiを加算することで電圧値Vc1oを決定する。一方、ステップS41において、第1電圧値V1が0以上(0又は正数)であると判断された場合(ステップS41;No)、制御部34は、式(2)により電圧値Vc1oを決定する(ステップS43)。ステップS43では、制御部34は、第1電圧値V1から半波長電圧値Vpiを減算することで電圧値Vc1oを決定する。
Vc1o=V1+Vpi…(1)
Vc1o=V1-Vpi…(2)
続いて、制御部34は、第2電圧値V2に基づきバイアス電圧Vc2の最適な電圧値Vc2oを決定する。具体的には、制御部34は、第2電圧値V2に対して半波長電圧値Vpiを加算又は減算することで、電圧値Vc2oを決定する。制御部34は、第2電圧値V2の値に応じて、半波長電圧値Vpiの加算及び減算のどちらを行うかを選択する。
電圧値Vc2oの決定方法をより具体的に説明すると、制御部34は、第2電圧値V2が0よりも小さい(負数)かどうかを判断する(ステップS44)。第2電圧値V2が0よりも小さいと判断された場合(ステップS44;Yes)、制御部34は、式(3)によりバイアス電圧Vc2の最適な電圧値Vc2oを決定する(ステップS45)。ステップS45では、制御部34は、第2電圧値V2に半波長電圧値Vpiを加算することで電圧値Vc2oを決定する。一方、ステップS44において、第2電圧値V2が0以上(0又は正数)であると判断された場合(ステップS44;No)、制御部34は、式(4)により電圧値Vc2oを決定する(ステップS46)。ステップS46では、制御部34は、第2電圧値V2から半波長電圧値Vpiを減算することで電圧値Vc2oを決定する。
Vc2o=V2+Vpi…(3)
Vc2o=V2-Vpi…(4)
続いて、制御部34は、第3電圧値V3に基づきバイアス電圧Vpの最適な電圧値Vpoを決定する。具体的には、制御部34は、第3電圧値V3に対して半波長電圧値Vpiの半分の値を加算又は減算することで、電圧値Vpoを決定する。制御部34は、第3電圧値V3の値に応じて、半波長電圧値Vpiの半分の値の加算及び減算のどちらを行うかを選択する。
電圧値Vpoの決定方法をより具体的に説明すると、制御部34は、第3電圧値V3がVpiよりも小さいかどうかを判断する(ステップS47)。第3電圧値V3がVpiよりも小さいと判断された場合(ステップS47;Yes)、制御部34は、式(5)によりバイアス電圧Vpの最適な電圧値Vpoを決定する(ステップS48)。ステップS48では、制御部34は、第3電圧値V3に半波長電圧値Vpiの半分の値Vpi/2を加算することで電圧値Vpoを決定する。一方、ステップS47において、第3電圧値V3がVpi以上であると判断された場合(ステップS47;No)、制御部34は、式(6)により電圧値Vpoを決定する(ステップS49)。ステップS49では、制御部34は、第3電圧値V3から半波長電圧値Vpiの半分の値Vpi/2を減算することで電圧値Vpoを決定する。
Vpo=V3+Vpi/2…(5)
Vpo=V3-Vpi/2…(6)
続いて、制御部34は、バイアス電圧Vc1を電圧値Vc1oに設定し、バイアス電圧Vc2を電圧値Vc2oに設定し、バイアス電圧Vpを電圧値Vpoに設定する(ステップS05)。具体的には、制御部34は、電圧値Vc1o,Vc2o,Vpoに対応する設定値をDAC35に出力する。これにより、変調部11に電圧値Vc1oのバイアス電圧Vc1が供給され、変調部12に電圧値Vc2oのバイアス電圧Vc2が供給され、変調部15に電圧値Vpoのバイアス電圧Vpが供給される。その結果、各バイアス電圧Vc1,Vc2,Vpが最適な電圧値に調整される。そして、制御部34はバイアス電圧調整処理を終了する。
以上のバイアス電圧調整処理が制御部34によって行われることで、バイアス供給部30は、バイアス電圧Vc2の電圧値を電圧値Vc2(0)に維持するとともにバイアス電圧Vpを電圧値Vp(0)に維持したまま、バイアス電圧Vc1の電圧値を(−2×Vpi)から(2×Vpi)までの範囲で変化させることによって、モニタ光の平均パワーが最大となる第1電圧値V1を求める。バイアス供給部30は、バイアス電圧Vc1の電圧値を第1電圧値V1に維持するとともにバイアス電圧Vpを電圧値Vp(0)に維持したまま、バイアス電圧Vc2の電圧値を(−2×Vpi)から(2×Vpi)までの範囲で変化させることによって、モニタ光の平均パワーが最大となる第2電圧値V2を求める。バイアス供給部30は、バイアス電圧Vc1の電圧値を第1電圧値V1に維持するとともにバイアス電圧Vc2の電圧値を第2電圧値V2に維持したまま、バイアス電圧Vpの電圧値を0から(2×Vpi)までの範囲で変化させることによって、モニタ光の平均パワーが最大となる第3電圧値V3を求める。
そして、バイアス供給部30は、第1電圧値V1に基づいて電圧値Vc1oを決定し、第2電圧値V2に基づいて電圧値Vc2oを決定し、第3電圧値V3に基づいて電圧値Vpoを決定する。なお、光変調器20に供給されるバイアス電圧についても、同様のバイアス電圧調整処理が行われることによって最適な電圧値に調整される。なお、光出力信号L4,L5の平均パワーはモニタ光の平均パワーに略比例するので、モニタ光の平均パワーが最大であるとき、光出力信号L4の平均パワーも最大であり、モニタ光の平均パワーが最小であるとき、光出力信号L4の平均パワーも最小である。そして、第1電圧値V1、第2電圧値V2、及び第3電圧値V3のそれぞれは、対応するバイアス電圧を上述の範囲で変化させた場合に、光出力信号L4の平均パワーが最大となる電圧値である。
本実施形態の光送信器1では、バイアス電圧Vc1を変化させることによって、モニタ光の平均パワーが最大となる第1電圧値V1が求められ、バイアス電圧Vc2を変化させることによって、モニタ光の平均パワーが最大となる第2電圧値V2が求められ、バイアス電圧Vpを変化させることによって、モニタ光の平均パワーが最大となる第3電圧値V3が求められる。バイアス電圧Vc1の最適な電圧値は、バイアス電圧Vpの電圧値によらず第1電圧値V1に対して半波長電圧値Vpiを加算又は減算した値であること、及びバイアス電圧Vc2の最適な電圧値は、バイアス電圧Vpの電圧値によらず第2電圧値V2に対して半波長電圧値Vpiを加算又は減算した値であることが計算結果によって見出された。さらに、変調光信号L41と変調光信号L42との位相差が90°となるバイアス電圧Vpの最適な電圧値は、バイアス電圧Vc1及びバイアス電圧Vc2の電圧値によらず、第3電圧値V3に対して半波長電圧値Vpiの半分の値Vpi/2を加算又は減算した値であることが計算結果によって見出された。
バイアス電圧調整処理では、第1電圧値V1に対して半波長電圧値Vpiを加算又は減算することで電圧値Vc1oが決定され、第2電圧値V2に対して半波長電圧値Vpiを加算又は減算することで電圧値Vc2oが決定され、第3電圧値V3に対して値Vpi/2を加算又は減算することで電圧値Vpoが決定される。このため、電圧値Vc1oはバイアス電圧Vc1の最適な電圧値となり、電圧値Vc2oはバイアス電圧Vc2の最適な電圧値となり、電圧値Vpoはバイアス電圧Vpの最適な電圧値となる。その結果、モニタ光の平均パワーが最小となるバイアス電圧Vc1及びバイアス電圧Vc2の電圧値がバイアス電圧Vpの電圧値に応じて変化したとしても、バイアス電圧Vc1,Vc2,Vpを適切に調整することができる。
上述のバイアス電圧調整処理を用いずに、例えば、光送信器1の起動時に各バイアス電圧Vc1,Vc2,Vpの電圧値の全ての組合せにおいてモニタ値を取得し、全ての組合せにおけるモニタ値に基づいてバイアス電圧Vc1,Vc2,Vpの最適な電圧値を求める方法がある。この方法では、例えば各バイアス電圧Vc1,Vc2,Vpの電圧値の変更回数を10回とすると(Nが10であるとすると)、合計で約1300通りの電圧値の組合せでのモニタ値を取得する必要がある。仮に1つの電圧値の組合せにおいてモニタ値の取得が10ミリ秒以内に実行されるとしても、この方法は、光送信器1のバイアス電圧Vc1,Vc2,Vpの調整に約13秒を要することになる。光送信器1に許容される起動時間には制限があるので、この方法を採用する場合には高い処理速度を持つ制御ICを採用する必要がある。
これに対して、上記実施形態の光送信器1は、バイアス電圧Vc1,Vc2,Vpのいずれか1つのバイアス電圧を、残りのバイアス電圧の電圧値を一定に保った上で変更した電圧値の一部の組合せにおいてモニタ値を取得して、平均パワーが最大となる電圧値を取得する。この処理が各バイアス電圧Vc1,Vc2,Vpについて行われることで、各バイアス電圧Vc1,Vc2,Vpが最適な電圧値に調整される。このため、例えば各バイアス電圧Vc1,Vc2,Vpの変更回数を10回としても、合計で33通りの電圧値の組合せでモニタ値を取得すればよく、約0.33秒でバイアス電圧Vc1,Vc2,Vpの調整が終了することになる。その結果、バイアス電圧Vc1,Vc2,Vpを最適な電圧値に調整するのに要する時間を短縮することができる。
他に、上述のバイアス電圧調整処理を用いずに、光送信器1の起動時に一時的に駆動信号Vd1,Vd2の最大振幅を変更して、バイアス電圧Vc1,Vc2,Vpの最適な電圧値を求める方法がある。具体的には、この方法は、光送信器1の起動時に駆動信号Vd1,Vd2の最大振幅を半波長電圧値Vpiよりも大きくし、モニタ値が最大となるバイアス電圧Vc1,Vc2の電圧値を求める。これにより、バイアス電圧Vpの電圧値の影響がなくなる。そして、バイアス電圧Vc1,Vc2が求められた電圧値に維持されたまま、駆動信号Vd1,Vd2の最大振幅が半波長電圧値Vpiよりも小さくされ、モニタ値が最小となるバイアス電圧Vpの電圧値が求められる。しかしながら、この方法では、光送信器1が偏波多重光信号L6を外部に送信する使用状態では駆動信号Vd1,Vd2の最大振幅が半波長電圧値Vpi以下であれば十分なところ、最大振幅が半波長電圧値Vpiより大きい駆動信号Vd1,Vd2を生成できる駆動部19が必要となる。このため、光送信器1での最大消費電力が大きくなり、さらに駆動部19における制御回路の規模が大きくなる。これに対して、上記実施形態の光送信器1は、駆動信号Vd1,Vd2の最大振幅を変更することなく、バイアス電圧Vc1,Vc2,Vpを最適な電圧値に調整することができる。
バイアス供給部30は、バイアス電圧Vc1を半波長電圧値Vpiの4倍の範囲を有する(−2×Vpi)から(2×Vpi)までの範囲内で変化させることによって、第1電圧値V1を求め、バイアス電圧Vc2を(−2×Vpi)から(2×Vpi)までの範囲内で変化させることによって、第2電圧値V2を求め、バイアス電圧Vpを半波長電圧値Vpiの2倍の範囲を有する0から(2×Vpi)までの範囲内で変化させることによって、第3電圧値V3を求める。
バイアス電圧Vc1及びバイアス電圧Vc2それぞれの電圧値の変化に対するモニタ光の平均パワーの変化は、最大で半波長電圧値Vpiの4倍の周期にて周期性を有している。また、バイアス電圧Vpの電圧値の変化に対するモニタ光の平均パワーの変化は、最大で半波長電圧値Vpiの2倍の周期にて周期性を有している。このため、バイアス電圧Vc1及びバイアス電圧Vc2それぞれを、半波長電圧値Vpiの4倍の範囲である(−2×Vpi)から(2×Vpi)までの範囲内で変化させれば、その範囲内に、モニタ光の平均パワーが最大となる第1電圧値V1及び第2電圧値V2が含まれる。また、バイアス電圧Vpを、半波長電圧値Vpiの2倍の範囲である0から(2×Vpi)までの範囲内で変化させれば、その範囲内に、モニタ光の平均パワーが最大となる第3電圧値V3が含まれる。このように変化させる範囲を一定範囲に制限することにより、第1電圧値V1、第2電圧値V2及び第3電圧値V3を求めるために要する時間を短縮することができる。
バイアス供給部30は、第1電圧値V1が(−2×Vpi)から(2×Vpi)までの範囲の中央の値である0よりも小さい場合には、第1電圧値V1に半波長電圧値Vpiを加算することで電圧値Vc1oを決定し、第1電圧値V1が0以上である場合には、第1電圧値V1から半波長電圧値Vpiを減算することで電圧値Vc1oを決定する。この場合、電圧値Vc1oは、−VpiからVpiまでの範囲内に含まれる。その結果、電圧値Vc1oの絶対値を小さくすることができるので、バイアス電圧Vc1を容易に生成することができる。
バイアス供給部30は、第2電圧値V2が(−2×Vpi)から(2×Vpi)までの範囲の中央の値である0よりも小さい場合には、第2電圧値V2に半波長電圧値Vpiを加算することで電圧値Vc2oを決定し、第2電圧値V2が0以上である場合には、第2電圧値V2から半波長電圧値Vpiを減算することで電圧値Vc2oを決定する。これにより、電圧値Vc2oは、−VpiからVpiまでの範囲内に含まれる。その結果、電圧値Vc2oの絶対値を小さくすることができるので、バイアス電圧Vc2を容易に生成することができる。
バイアス供給部30は、第3電圧値V3が0から(2×Vpi)までの範囲の中央の値である半波長電圧値Vpiよりも小さい場合には、第3電圧値V3に半波長電圧値Vpiの半分の値Vpi/2を加算することで電圧値Vpoを決定し、第3電圧値V3が半波長電圧値Vpi以上である場合には、第3電圧値V3から半波長電圧値Vpiの半分の値Vpi/2を減算することで電圧値Vpoを決定する。これにより、電圧値Vpoは、Vpi/2から(3×Vpi/2)までの範囲内に含まれる。その結果、電圧値が0から(2×Vpi)までの範囲に含まれる場合に比べて電圧値Vpoの絶対値を小さくすることができるので、バイアス電圧Vpを容易に生成することができる。
検出部17,27は、光出力信号L4,L5の一部であるモニタ光のパワーを検出することによって、光出力信号L4,L5のパワーを検出する。モニタ光は光出力信号L4,L5の一部であるので、光出力信号L4,L5のパワーは、モニタ光のパワーに略比例する。すなわち、モニタ光のパワーを検出することで、光出力信号L4,L5のパワーを検出することができる。このため、上記構成では、光出力信号L4,L5のパワーを容易に検出することができる。
なお、本発明に係る光送信器及び光送信器の制御方法は上記実施形態に限定されない。
上記実施形態では、制御部34は、第1電圧値V1、第2電圧値V2及び第3電圧値V3を、この順で取得したが、いずれの順で取得してもよい。また、最適値決定処理において、上述の例では、第1電圧値V1及び第2電圧値V2のそれぞれについて、負数であるか、あるいは、0又は正数であるか、の判断条件の判断結果に応じて電圧値Vc1o及び電圧値Vc2oが決定される。この判断条件に代えて、第1電圧値V1及び第2電圧値V2のそれぞれについて、負数又は0であるか、あるいは、正数であるか、の判断条件が用いられ、その判断結果に応じて電圧値Vc1o及び電圧値Vc2oが決定されてもよい。そのように0を負数の場合と正数の場合のどちらに含めるかによって、電圧値Vc1o(電圧値Vc2o)の値は、例えば第1電圧値V1(第2電圧値V2)を0とした場合に、−Vpi又は+Vpiに決定される。例えば、電圧値Vc1oの値を−Vpiに設定したときに光信号の位相が−180°ずれた状態になるとした場合、電圧値Vc1oの値を+Vpiに設定したときには光信号の位相が+180°ずれた状態となる。光信号の位相が−180°ずれた状態も光信号の位相が+180°ずれた状態も位相の状態としては互いに同じであり、いずれの場合においてもバイアス電圧Vc1を最適値に設定することができる。
制御部34は、第1電圧値V1及び第2電圧値V2を取得するために、バイアス電圧Vc1,Vc2を(−2×Vpi)から(2×Vpi)までの範囲で変化させているが、電圧値の変化範囲はこれに限られない。バイアス電圧Vc1の電圧値の変化範囲は、半波長電圧値Vpiの4倍の範囲であればよく、バイアス電圧Vc2の電圧値の変化範囲は、半波長電圧値Vpiの4倍の範囲であればよい。例えば、制御部34は、バイアス電圧Vc1,Vc2を0から(4×Vpi)までの範囲で変化させてもよい。バイアス電圧Vc1,Vc2を変化させる範囲は、互いに異なっていてもよい。例えば、制御部34は、バイアス電圧Vc1,Vc2のいずれか一方を(−2×Vpi)から(2×Vpi)までの範囲で変化させ、他方を0から(4×Vpi)までの範囲で変化させてもよい。なお、バイアス電圧Vc1,Vc2の電圧値の変化範囲は、半波長電圧値Vpiの4倍の範囲よりも大きい範囲であってもよい。
制御部34は、第3電圧値V3を取得するために、バイアス電圧Vpの値を0から(2×Vpi)までの範囲で変化させているが、電圧値の変化範囲はこれに限られない。バイアス電圧Vpの電圧値の変化範囲は、半波長電圧値Vpiの2倍の範囲であればよい。例えば、制御部34は、バイアス電圧Vpを−VpiからVpiの範囲で変化させてもよい。なお、バイアス電圧Vpの電圧値の変化範囲は、半波長電圧値Vpiの2倍の範囲よりも大きい範囲であってもよい。
制御部34は、半波長電圧値Vpiの加算を行うことで、電圧値Vc1oが(−2×Vpi)から(2×Vpi)までの範囲に含まれるように電圧値Vc1oを算出してもよい。制御部34は、半波長電圧値Vpiの減算を行うことで、電圧値Vc1oが(−2×Vpi)から(2×Vpi)までの範囲に含まれるように電圧値Vc1oを算出してもよい。例えば、制御部34は、第1電圧値V1が−2Vpiから−Vpiまでの範囲に含まれる場合に、第1電圧値V1に半波長電圧値Vpiを加算し、第1電圧値V1がVpiから2Vpiまでの範囲に含まれる場合に、第1電圧値V1から半波長電圧値Vpiを減算してもよい。この際、制御部34は、第1電圧値V1が−Vpiよりも大きく、Vpiよりも小さい範囲に含まれる場合には、第1電圧値V1に対して、半波長電圧値Vpiの加算及び減算のいずれを行ってもよい。同様に、制御部34は、半波長電圧値Vpiの加算又は減算のいずれか一方を行うことで、電圧値Vc2oが(−2×Vpi)から(2×Vpi)までの範囲に含まれるように電圧値Vc2oを算出してもよい。また、制御部34は、半波長電圧値Vpiの半分の値の加算又は減算のいずれか一方を行うことで、電圧値Vc3oが0から(2×Vpi)までの範囲に含まれるように電圧値Vc3oを算出してもよい。
制御部34は、第1電圧値V1の値によらず、第1電圧値V1に半波長電圧値Vpiを加算することで電圧値Vc1oを算出してもよく、第1電圧値V1から半波長電圧値Vpiを減算することで電圧値Vc1oを算出してもよい。バイアス電圧Vc1の電圧値と、駆動信号がハイレベルであるときの変調光信号L41の位相差との関係は、半波長電圧値Vpiで周期的に変化するので、半波長電圧値Vpiの加算及び減算のいずれが行われても当該位相差が180°である変調光信号L41が得られる。同様に、制御部34は、第2電圧値V2の値によらず、第2電圧値V2に半波長電圧値Vpiを加算することで電圧値Vc2oを算出してもよく、第2電圧値V2から半波長電圧値Vpiを減算することで電圧値Vc2oを算出してもよい。
制御部34は、第3電圧値V3の値によらず、第3電圧値V3に値Vpi/2を加算することで電圧値Vc3oを算出してもよく、第1電圧値V1から値Vpi/2を減算することで電圧値Vc3oを算出してもよい。バイアス電圧Vpに対して半波長電圧値Vpiの半分の値Vpi/2が加算されることで、変調光信号L41及び変調光信号L42のいずれか一方の位相が他方の位相に対して90°進み、減算されることで変調光信号L41及び変調光信号L42のいずれか一方の位相が他方の位相に対して90°遅れる。また、変調光信号L41は、位相差が0である場合と180°である場合との2つの位相状態を有する。変調光信号L42は、位相差が0°である場合と180°である場合との2つの位相状態を有する。このため、いずれの場合でも、90°間隔で割り当てられた4つの位相状態を有するQPSK変調された光出力信号L4が得られる。
制御部34は、光送信器1の起動時にバイアス電圧調整処理を行ったが、光送信器1の製造時においてバイアス電圧調整処理を行ってもよく、光送信器1が偏波多重光信号L6を外部に出力し続ける間の使用状態においてバイアス電圧Vc1,Vc2,Vpの電圧値の自動調整としてバイアス電圧調整処理を行ってもよい。なお、光送信器1の起動時にバイアス電圧調整処理が行われ、光送信器1の使用状態においては、バイアス電圧Vpの電圧値が維持されたまま、モニタ光の平均パワーが最小となるようにバイアス電圧Vc1,Vc2の電圧値が自動的に調整されてもよい。
また、上記実施形態では、モニタ光のパワーを検出してモニタ光のパワーと光出力信号L4のパワーとの関係に基づいて光出力信号L4のパワーが検出される。光出力信号L4のパワーの検出方法はこれに限られず、例えば、光変調器20から光出力信号L5が出力されない状態(あるいは、パワーがほぼゼロとみなせる状態)に設定され、光送信器1の外部において例えばパワーメータ等を用いて偏波多重光信号L6のパワーが検出されてもよい。このときに、偏波多重光信号L6は光出力信号L5を含んでいないので、偏波多重光信号L6のパワーは光出力信号L4のパワーに略等しいとして扱うことができる。このように、光出力信号L5が出力されない状態での偏波多重光信号L6のパワーを検出することで、光出力信号L4のパワーが検出されてもよい。そのようにして求めた光出力信号L4のパワーを用いて上述の方法によって各バイアスの調整を行ってもよい。例えば、光変調器20への駆動信号の供給を停止させて変調部21,22,25の各バイアス電圧をそれぞれ半波長電圧値に設定することで光出力信号L5が実質的に出力されない状態とすることができる。