JP2004301965A - 光変調器のバイアス制御装置および該バイアス制御装置を用いた光変調装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】フォトダイオードが低周波正弦波に応答する低速の素子で良く、パワー変化の影響を受けないという従来技術の特長を保ちつつ、変調光の品質劣化や最適点からずれるといったことのないLN変調器のバイアス制御装置、そして、そのバイアス制御装置を用いた光変調装置を提供する。
【解決手段】低周波信号発生器10は、入力信号34に比べて周波数の低い正弦波30を出力する。tr,tf 可変手段13は、入力信号34の立ち上がりtrおよび立ち下がりtfを正弦波30に従って変化させた変調信号35を出力する。LN変調器2は入力された光を変調信号35で変調する。光/電気変換器4は光分岐手段3で分岐されたLN変調器2からの光23を電気信号に変換し、該電気信号を受けて同期検波回路11は低周波成分を抽出する。制御手段12は同期検波回路11の出力が零となるようにLN変調器2のバイアス電圧を制御する。
【選択図】 図1
【解決手段】低周波信号発生器10は、入力信号34に比べて周波数の低い正弦波30を出力する。tr,tf 可変手段13は、入力信号34の立ち上がりtrおよび立ち下がりtfを正弦波30に従って変化させた変調信号35を出力する。LN変調器2は入力された光を変調信号35で変調する。光/電気変換器4は光分岐手段3で分岐されたLN変調器2からの光23を電気信号に変換し、該電気信号を受けて同期検波回路11は低周波成分を抽出する。制御手段12は同期検波回路11の出力が零となるようにLN変調器2のバイアス電圧を制御する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ニオブ酸リチウム( LiNbO3 )を用いた干渉型光変調器( 以下、LN変調器という。) の動作点が温度変化や経年変化で変動した場合においても規定の動作点に自動制御する光変調器のバイアス制御装置に関するものであり、長時間安定した変調が要求される光送信器等に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
図9にLN変調器の構成の一例を示す。入力光20はLiNbO3基板上の2 つの導波路に分岐され、一方の導波路に光の位相を変化させる電極が設けられている。 2つの光は再び合波されて出力されるが、この時2 つの光の位相差によって干渉光の強度が変化する。つまり、電極に加える変調信号35に応じて出力光21の強度が変化するので、光強度変調器として使用される。
【0003】
LN 変調器の変調特性は、図10の実線に示すように入力電圧に対して正弦波状の特性を持つ。光の位相がπだけ変化する印加電圧は半波長電圧Vπ(πは添字)と呼ばれており、図10の横軸はVπで正規化した値を示す。例えば0.5 を中心として0 から1 までの範囲の変調信号を加えると、 1/2パワーを中心として最小から最大パワーまで変化する最適な変調光が得られる。
【0004】
しかし、一般的にLN変調器は温度変化や経年変化などにより、変調特性が変動することが知られている。例えば図10の破線のように変調特性が変化する。この場合、バイアス電圧を変化させて0.7 を中心として0.2 から1.2 までの範囲の変調信号とすると最適な変調光が得られる。このように、変調器の変動に応じてバイアス電圧を制御する必要がある。
【0005】
LN 変調器の動作点として、図11(a) のように1/2 パワーの点を中心にする方法と図11(b) のように最小パワーの点を中心にする方法がある。前者は入力信号と類似の変調光が得られ、 NRZ(Nonreturn to zero) 変調等に用いられている。後者は入力信号の2 倍の周波数の光パルスが得られ、CS−RZ(Carrier suppressed return to zero)変調等に用いられている。
【0006】
図12に従来技術のブロック図を示す。入力信号34は変調すべきディジタル信号である。低周波信号発生器10は、入力信号34に比べて周波数の低い低周波正弦波30を出力する。波形変化手段の一つである振幅変調手段としての可変利得増幅器15は、入力信号34の振幅を低周波正弦波30で変調して変調信号35を出力する。変調信号35は図13に示すように正弦波がディジタル信号の”1” レベルと”0” レベルにそれぞれ逆位相となるように重畳される。 (図13はディジタル信号のアイパターンが時間的に変化する様子を示したものである。 )
【0007】
半導体レーザ1 は、ある波長の連続光20を出力する。 LN 変調器2 は、連続光20を変調して変調光21を出力する。図13の変調信号を1/2 パワーを中心としたバイアスでLN変調器2 に加えると、変調光21は図14のようになり低周波正弦波の周波数成分が零になる。光カプラ3 は、変調光21をある割合で2 つに分岐し、一方はフォトダイオード4 に入力され、他方は外部に出力する。フォトダイオード4 は光23を電気信号31に変換する。
【0008】
検出手段としての同期検波回路11は、電気信号31に含まれる低周波30の成分を抽出する。例えば、図に示すように乗算器と低域通過フィルタで構成される。この低域通過フィルタは、低周波正弦波の周波数以上を遮断し直流成分を通過するフィルタである。
【0009】
制御手段12は、同期検波回路11の出力が零になるようにLN変調器2 のバイアス電圧33を調整する。例えば、図に示すように演算増幅器を用いた積分回路で構成される。バイアスがずれた場合、変調光21は図15のように低周波正弦波の成分が生じ、同期検波回路11によりバイアスずれの方向に応じた符号の直流電圧が得られ、積分回路によりバイアスずれを補正する方向にバイアス電圧が変化させる。
【0010】
以上の構成により、LN変調器2 のドリフトによって動作点がずれても1/2 パワーを中心とした変調光が得られるようにバイアス電圧が自動的に調整され、長時間安定した変調が可能となる。
【0011】
この方式では変調光の低周波成分を検出すれば良いので、フォトダイオード4 およびそれ以降の回路は入力信号34に応答する高速な素子である必要が無く低周波正弦波30に応答する低速の素子で良い。このため、入力信号34のビットレートが高い場合でも安価なバイアス制御装置を実現できる特長を持つ。また、光源の光パワーやLN変調器2 の損失が変化すると、フォトダイオード4 に入力される光パワーが変化するので同期検波回路11の出力も変化する。しかし、同期検波回路11の出力が零になる点は変わらないので、同期検波回路11の出力が零になるように制御した結果はパワー変化の影響を受けないという特長を持つ。
【0012】
【特許文献1】
特開平3−251815号
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術では低周波信号で振幅変調を行なうため、信号波形全体に低周波信号が重畳され、図14に示すように変調光波形の”1” レベルおよび”0” レベルに低周波信号の2 倍の周波数成分が残留する。特に、入力信号の振幅VaがLN変調器の半波長電圧Vπと一致しない場合、例えばVa = 0.9 Vπの場合は図16のようになり、低周波信号成分も残留して”1” レベルおよび”0” レベルの変動が大きくなる。ディジタル信号による本来の変調にとってはこの残留成分は雑音となるため、変調光の品質が劣化する。変調光の品質の指標として次式のQ ファクタがよく用いられる。
【0014】
【数1】
【0015】
ここで、μ1 ,μ0 はそれぞれ”1” レベルおよび”0” レベルの平均値、σ1 ,σ0 はそれぞれ”1” レベルおよび”0” レベルの偏差である。残留成分によって、μ1 は小さくμ0 は大きくなり、かつσ1 ,σ0 は共に大きくなるので、 Qファクタは低下する。
また、入力信号のデューティ比またはマーク率が1/2 ではなく、入力信号の振幅がLN変調器2 の半波長電圧と一致しない場合は、最適なバイアス電圧からずれる( 詳細は後述) という問題点があった。
【0016】
この発明の目的は、フォトダイオード4 が低周波正弦波30に応答する低速の素子で良く、パワー変化の影響を受けないという従来技術の特長を保ちつつ、変調光の品質劣化や最適点からずれるといったことのない、LN変調器のバイアス制御装置、そして、そのバイアス制御装置を用いた光変調装置を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前述の問題点を解決するために、本発明では入力信号の過渡部の位置や波形を低周波信号に従って変化させ、出力光に含まれる低周波信号成分または低周波信号の2 倍の周波数成分を検出し、この検出結果に基づいて該バイアス電圧を制御する。
【0018】
すなわち、本発明のバイアス制御装置は、干渉型光変調器に印加するバイアス電圧を制御するバイアス制御装置にして、前記干渉型光変調器の入力パルス信号に比べて低い周波数の低周波信号を発生する低周波信号発生器と、前記入力パルス信号を前記低周波信号に基づいて波形変化させる波形変化手段と、前記バイアス電圧と前記波形変化手段の出力信号とが与えられた前記干渉型光変調器の出力光に含まれる前記低周波信号成分または前記低周波信号の2倍の周波数成分を検出する検出手段と、前記検出手段の出力信号に基づいて前記バイアス電圧を制御する制御手段とを含む、前記バイアス制御装置において、前記波形変化手段は、前記入力パルス信号の立ち上がり部および立ち下がり部のうちの少なくとも一方の傾斜もしくは位置、またはその双方を変化させるようになっている。
【0019】
また、本発明の光変調装置は、干渉型光変調器と、該干渉型光変調器から出力された変調光を分岐する光分岐手段と、該光分岐手段で分岐された変調光を受けて電気信号に変換する光/電気変換器と、該光/電気変換器から出力された電気信号を受けて該電気信号から得られた結果に基づいて前記干渉型光変調器に印加するバイアス電圧を制御するバイアス制御装置とを備えた光変調装置において、前記バイアス制御装置が請求項1に記載のバイアス制御装置である。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1(a) に本発明の第1の実施の形態(立ち上がり・立ち下がり時間可変方式)のブロック図を示す。図において、低周波信号発生器10、波形変化手段としての tr,tf可変手段13、検出手段としての同期検波回路11および制御手段12はバイアス制御装置を構成し、これにLN変調器2 、光分岐手段3 、光/電気変換器4 を加えたものが光変調装置を構成する。図1(b) はこの分野で一般に用いられている記号を用いて少しく具体的に表したものである。
【0021】
入力信号34は変調すべきディジタル信号である。低周波発振器10は、入力信号34に比べて周波数の低い低周波正弦波30を出力する。 tr,tf可変手段13は、入力信号34の立ち上がり時間trおよび立ち下がり時間tf を低周波正弦波30に従って変化させた変調信号35を出力する。ここではtrとtfの両方を同様に変化させているが、変化量がtrとtf で異なっていても良く、 tr とtf のどちらか片方のみを変化させても良い。 tr,tf可変手段13は、例えば可変帯域増幅器を用いて増幅器の帯域を変化させることにより tr,tfを変化させることが出来る。正弦波で tr,tfを変化させると図2のようになる。( 図2はディジタル信号のアイパターンが時間的に変化する様子を示したものである。 )図2では低周波正弦波の周波数が入力信号のビットレートの1/16になっているが、これに限られたものではなく例えばビットレートの1/106 のように非常に低い周波数にすることも可能である。
【0022】
なお、低周波信号30は必ずしも正弦波である必要は無く、入力信号34と無相関の信号であれば良い。例えば、低周波信号として2 値の疑似ランダム信号を用い、 tr,tf可変手段として帯域を切替え可能な増幅器を用いて2 種類の tr,tfを疑似ランダムパターンに従って変化させることも可能である。
【0023】
半導体レーザ1 は、ある波長の連続光20を出力する。 LN 変調器2 は、連続光20を変調して変調光21を出力する。 LN 変調器2 に変調信号35とバイアス電圧33を加える方法としては、図3(a) に示すように変調器の前にバイアスT を用いて変調信号にバイアス電圧を加える方法、図3(b) に示すように変調器の後にバイアスT を用いて変調信号にバイアス電圧を加える方法、図3(c) に示すように変調信号とは別にバイアス用の電極を有する変調器を使用する方法、図3(d) に示すように変調信号にバイアス電圧を直流的に加算する方法等がある。
光カプラ3 は、変調光21をある割合で2 つに分岐し、一方はフォトダイオード4 に入力され、他方は外部に出力する。フォトダイオード4 は光23を電気信号31に変換する。
【0024】
検出手段としての同期検波回路11は、電気信号31に含まれる低周波30の成分を抽出する。例えば、図に示すように乗算器と低域通過フィルタで構成される。この低域通過フィルタは、低周波正弦波の周波数以上を遮断し直流成分を通過するフィルタである。 tr,tfを変化させる低周波信号と同期検波回路に入力される低周波信号は同じ波形であることが望ましいが、 tr,tfの変化による光パワーの変化を同期検波回路で検出できれば良いので、必ずしも同じ波形である必要は無く相関のある信号であれば良い。例えば、一方が正弦波で他方が正弦波と同じ周波数の矩形波であっても良い。変調光の光パワーの低周波信号成分すなわち同期検波回路11の出力は、 1/2パワーを中心としたバイアスの場合は零になる( 詳細は後述) 。
【0025】
制御手段12は、同期検波回路11の出力が零になるようにLN変調器2 のバイアス電圧33を調整する。例えば、図に示すように演算増幅器を用いた積分回路で構成される。バイアスがずれた場合、変調光21に低周波正弦波の成分が生じ、同期検波回路11によりバイアスずれの方向に応じた符号の直流電圧が得られ、積分回路によりバイアスずれを補正する方向にバイアス電圧が変化させる。
以上の構成により、 LN 変調器2 のドリフトによって動作点がずれても1/2 パワーを中心とした変調光が得られるようにバイアス電圧が自動的に調整され、長時間安定した変調が可能となる。
【0026】
本実施の形態ではハード的な低周波信号発生器、同期検波回路、制御手段を示したが、これらはマイクロプロセッサ等のソフトウェアによって実現することも可能である。例えば、低周波信号発生器はテーブルや三角関数の演算によって正弦波を発生することができ、同期検波回路は乗算と平均化やディジタルフィルタによる低域通過フィルタで実現することができ、制御手段は積算によって積分機能を実現することが出来る。
【0027】
図1では同期検波回路11の出力が零になるようにバイアス電圧を制御しているが、同期検波回路11の出力が最大または最小になるようにバイアス電圧を制御すると最大または最小パワーが中心となるように制御される。
【0028】
従来技術( 振幅変調方式) と同様に、変調光の低周波成分を検出すれば良いので、フォトダイオード4 およびそれ以降の回路は入力信号34に応答する高速な素子である必要が無く低周波正弦波30に応答する低速の素子で良い。このため、入力パルス信号34のビットレートが高い場合でも安価なバイアス制御装置を実現できる特長を持つ。また、光源の光パワーや変調器の損失が変化すると、フォトダイオード4 に入力される光パワーが変化するので同期検波回路11の出力も変化する。しかし、同期検波回路11の出力が零になる点は変わらないので、同期検波回路11の出力が零になるように制御した結果はパワー変化の影響を受けないという特長を持つ。同期検波回路11の出力が最大または最小になるように制御する場合も同様である。
【0029】
本手法では入力パルス信号の立ち上がり・立ち下がり時間を変化させており、図2に示すように”1” レベルおよび”0” レベルは一定である。すなわち、入力パルス信号の振幅を一定に保持しつつ立ち上がり部、立ち下がり部の傾斜を変化させている。実際に信号を受信してデータを判定する”1” レベルおよび”0” レベルの部分は変化しないので、 (1)式のμ1 ,μ0 ,σ1 ,σ0 は変化せず、基本的に変調光の品質は劣化しないという特長を持つ。
【0030】
図4に本発明の第2の実施の形態(デューティ比可変方式)のブロック図を示す。第1の実施の形態(図1)と同じ部分は同じ番号で表している。
デューティ比可変手段14は、入力信号34のデューティ比を低周波正弦波30に従って変化させた変調信号35を出力する。デューティ比可変手段14は、例えば閾値可変増幅器を用いて入力閾値を変化させることによりデューティ比を変化させることが出来る。正弦波でデューティ比を変化させると図5のようになり、立ち上がりと立ち下がりが交差するクロスポイントが上下に変化する波形となる。 (図5はディジタル信号のアイパターンが時間的に変化する様子を示したものである。 )変調光の光パワーの低周波信号成分すなわち同期検波回路11の出力は、最小パワーまたは最大パワーを中心としたバイアスの場合は零になる( 詳細は後述) 。
【0031】
その他の構成要素および動作は第1の実施の形態と同じである。以上の構成により、 LN 変調器のドリフトによって動作点がずれても最小パワーまたは最大パワーを中心とした変調光が得られるようにバイアス電圧が自動的に調整され、長時間安定した変調が可能となる。
第2の実施の形態(図4)では同期検波回路の出力が零になるようにバイアス電圧を制御しているが、同期検波回路の出力が最大または最小になるようにバイアス電圧を制御すると1/2 パワーが中心となるように制御される。
【0032】
第2の実施の形態は第1の実施の形態(立ち上がり・立ち下がり時間可変方式)と同様に、フォトダイオード4 およびそれ以降の回路は低周波正弦波30に応答する低速の素子で良く、光源の光パワーや変調器の損失が変化しても動作点は影響を受けないという特長を持つ。
【0033】
本実施の形態では入力信号のデューティ比を変化させており、図5に示すように”1” レベルおよび”0” レベルは一定である。すなわち、入力パルス信号の振幅を一定に保持しつつ立ち上がり部、立ち下がり部の位置を変化させている。実際に信号を受信してデータを判定する”1” レベルおよび”0” レベルの部分は変化しないので、 (1)式のμ1 ,μ0 ,σ1 ,σ0 は変化せず、基本的に変調光の品質は劣化しないという特長を持つ。
【0034】
本実施の形態(デューティ比可変方式)で同期検波回路の出力が零になるようにバイアス電圧を制御すると最小パワーまたは最大パワーが中心となるように制御されるが、図6に示すようにデューティ比可変手段の出力をAC結合し、低周波正弦波30の2 倍の周波数の正弦波36を同期検波回路11に入力して変調光の光パワーの2 倍周波数成分を検出し、同期検波回路の出力が零になるように制御すると、 1/2パワーを中心としたバイアスに制御することも可能である。
【0035】
図7に本発明の第3の実施の形態(立ち上がり・立ち下がり時間+デューティ比可変方式)のブロック図を示す。本方式は立ち上がり・立ち下がり時間可変方式とデューティ比可変方式を組み合わせたものである。図1、図4と同じ部分は同じ番号で表している。
【0036】
tr,tf可変手段13とデューティ比可変手段14により立ち上がり, 立ち下がり時間とデューティ比の両方を可変できるようになっている。 tr,tf可変手段13とデューティ比可変手段14の順序は逆にしても良く、また1 つのアンプで立ち上がり, 立ち下がり時間とデューティ比の両方を可変できるようにしても良い。
可変量調整手段15は、立ち上がり, 立ち下がり時間の可変量とデューティ比の可変量を調整する。調整は、調整範囲に応じて一方を固定し他方を調整しても良く、また両方を調整可能としても良い。
【0037】
立ち上がり, 立ち下がり時間を可変すると1/2 パワーの点を中心としたバイアスに制御され、デューティ比を可変すると最大または最小パワーの点を中心としたバイアスに制御されるので、両方の可変量を符号も含めて調整することにより、 LN 変調器の変調特性の任意の点を中心としたバイアスに制御することが出来る。
【0038】
立ち上がり・立ち下がり時間可変方式やデューティ比可変方式においても、同期検波回路の出力が零ではなくある一定値になるように制御すれば任意の位置にバイアスを制御することができるが、光源の光パワーや変調器の損失が変動した場合は、それに応じて同期検波回路の出力が変動するため動作点も変動してしまう。
【0039】
立ち上がり・立ち下がり時間+デューティ比可変方式では、同期検波回路の出力が零になるように制御するので光源の光パワーや変調器の損失が変動しても動作点が変動することは無い。
本実施の形態においても同期検波回路の出力が最大または最小になるようにバイアス電圧を制御することにより動作点を変更することが可能であるが、本実施の形態では可変量調整手段15によって任意の位置に制御可能であるため同期検波回路の出力が零になるようにバイアス電圧を制御する方が容易である。
【0040】
ここで、従来技術を含む各バイアス制御方式の詳細特性について、数式により説明する。
図8に示すように入力信号の立ち上がり, 立ち下がり部分を直線で近似すると、変調器に加える電圧v(t)は次式で表される。
【0041】
【数2】
【0042】
ここで、 Vo : オフセット電圧( バイアス電圧を含む), Va : 電圧振幅, tr : 立ち上がり時間, tf : 立ち下がり時間, t1 : 立ち上がり時刻, t2 : 立ち下がり時刻, T : ビット周期である。電圧v(t)を加えた時の変調器の出力光のパワーp(t)は、変調器の半波長電圧をVπとすると次式で表される。
【0043】
【数3】
【0044】
自動バイアス制御装置では低周波成分のみを検出するため、光パワーの平均値を検出することになる。平均光パワーP は
【0045】
【数4】
【0046】
デューティ比をrd = (t2−T −t1)/(2T), 過渡応答時間比をrt =(tr+tf)/(2T)とすると、
【0047】
【数5】
【0048】
と表される。
上記 (5)式を用いて、以下、各方式について検討する。
まず、本発明のデューティ比可変方式ではデューティ比rdの変化に対する平均光パワーP の変化を検出するので、検出感度はP をrdで偏微分し、
【0049】
【数6】
【0050】
となる。これより、Vo = nVπ(n: 整数) の時に検出信号が零になるので、検出信号が零になるように制御すると、波形の中心を変調器の最大または最小パワーの点に制御することが出来る。検出信号の大きさ( 係数) は0 < Va <2Vπの間で正の一定極性である。制御ループの極性が正の場合はVo =(2n + 1)Vπで安定するので波形の中心が最大パワー点となり、制御ループの極性が負の場合はVo =2nVπで安定するので波形の中心が最小パワー点となる。
【0051】
また、検出信号が最大になるように制御するとVo = (2n + 1/2) Vπで安定するので波形の中心がスロープ正の1/2 パワー点となり、検出信号が最小になるように制御するとVo = (2n + 3/2) Vπで安定するので波形の中心がスロープ負の1/2 パワー点となる。この場合、スロープの符号によってチャープの符号が異なる。
【0052】
検出信号が零になる点や最大, 最小になる点はデューティ比rdや振幅電圧Vaに依存せずに一定であり、これらのパラメータの変動に影響されない制御が可能である特長を持つ。入力信号のマーク率が変化した場合においても影響を受けないため、マーク率を検出してバイアスを補償したりする必要も無い。
【0053】
次に、本発明の立ち上がり・立ち下がり時間可変方式では過渡応答時間比rtの変化に対する平均光パワーP の変化を検出するので、検出感度はP をrtで偏微分し、
【0054】
【数7】
【0055】
となる。これより、 Vo = (n + 1/2) Vπ (n: 整数) の時に検出信号が零になるので、検出信号が零になるように制御すると、波形の中心を変調器の1/2 パワーの点に制御することが出来る。検出信号の大きさ( 係数) は0 < Va < 2 Vπの間で負の一定極性である。制御ループの極性が正の場合はVo = (2n + 3/2) Vπで安定するので波形の中心がスロープ負の1/2 パワー点となり、制御ループの極性が負の場合はVo = (2n + 1/2) Vπで安定するので波形の中心がスロープ正の1/2 パワー点となる。この場合、スロープの符号によってチャープの符号が異なる。
【0056】
また、検出信号が最大になるように制御するとVo = (2n + 1) Vπで安定するので波形の中心が最大パワー点となり、検出信号が最小になるように制御するとVo = 2nVπで安定するので波形の中心が最小パワー点となる。
検出信号が零になる点や最大, 最小になる点はデューティ比rdや振幅電圧Vaに依存せずに一定であり、これらのパラメータの変動に影響されない制御が可能である特長を持つ。入力信号のマーク率が変化した場合においても影響を受けないため、マーク率を検出してバイアスを補償したりする必要も無い。
【0057】
上述の本発明の2つの方式に対して、従来技術である振幅変調方式では電圧振幅Vaの変化に対する平均光パワーP の変化を検出するので、検出感度はP をVaで偏微分し、
【0058】
【数8】
【0059】
となる。デューティ比rdが1/2 に等しいかまたは電圧振幅Va が半波長電圧Vπに等しい場合は(9) 式第1 項は零になり、 Vo = (n + 1/2) Vπ (n: 整数) の時に検出信号が零になるので、検出信号が零になるように制御すると、波形の中心を変調器の1/2 パワーの点に制御することが出来る。検出信号の大きさ( 係数) は0 < Va < 2 Vπの間で正の一定極性である。制御ループの極性が正の場合はVo = (2n + 1/2) Vπで安定するので波形の中心がスロープ正の1/2 パワー点となり、制御ループの極性が負の場合はVo = (2n + 3/2) Vπで安定するので波形の中心がスロープ負の1/2 パワー点となる。この場合、スロープの符号によってチャープの符号が異なる。
【0060】
また、検出信号が最大になるように制御するとVo = 2nVπで安定するので波形の中心が最小パワー点となり、検出信号が最小になるように制御するとVo = (2n + 1) Vπで安定するので波形の中心が最大パワー点となる。但し、デューティ比rdが1/2 でなく電圧振幅Vaが半波長電圧Vπに等しくない場合は、 (9)式第1 項の影響により検出信号が零になる点や最大, 最小になる点がずれるため、正しいバイアス点に制御できなくなる問題がある。
【0061】
次に、もう一つの従来技術であるバイアス電圧変調方式ではオフセット電圧Voの変化に対する平均光パワーP の変化を検出するので、検出感度はP をVoで偏微分し、
【0062】
【数9】
【0063】
デューティ比rdが1/2 に等しい場合は(10)式第1 項は零になり、 Vo = n Vπ (n: 整数) の時に検出信号が零になるので、検出信号が零になるように制御すると、波形の中心を変調器の最大または最小パワーの点に制御することが出来る。しかし、検出信号の大きさ( 係数) はrtが小さい時Va = Vπ付近で零になりその前後で符号が反転するので、この付近では安定した制御が出来なくなる問題がある。 Va <Vπの時、制御ループの極性が正の場合はVo = (2n + 1) Vπで安定するので波形の中心が最大パワー点となり、制御ループの極性が負の場合はVo = 2nVπで安定するので波形の中心が最小パワー点となる。
【0064】
また、検出信号が最大になるように制御するとVo = (2n + 1/2) Vπで安定するので波形の中心がスロープ正の1/2 パワー点となり、検出信号が最小になるように制御するとVo = (2n + 3/2)Vπで安定するので波形の中心がスロープ負の1/2 パワー点となる。この場合、スロープの符号によってチャープの符号が異なる。但し、デューティ比rdが1/2 でない場合は、(10)式第1 項の影響により検出信号が零になる点や最大, 最小になる点がずれるため、正しいバイアス点に制御できなくなる問題がある。
【0065】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のバイアス制御装置は、波形変化手段を入力パルス信号の立ち上がり部および立ち下がり部のうちの少なくとも一方の傾斜もしくは位置、またはその双方を変化させるようになっている波形変化手段としたから、検出手段に用いるフォトダイオードが低速の素子で良く、フォトダイオードへ入力される光のパワー変化の影響を受けないという従来技術の特長を保ちつつ、従来のように変調光の品質劣化や最適点からずれるといったことのない、LN変調器のバイアス制御装置、そして光変調装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のバイアス制御装置と該バイアス制御装置を含む光変調装置の構成を示す図であり、(a)はブロック図、(b)はこの分野で一般的に用いられている記号を用いて少しく具体的に表した図である。
【図2】tr ,tf が変化した変調信号を示す図である。
【図3】LN 変調器にバイアスを加える方法を示す図であり、(a)は変調器の前にバイアスT を用いて変調信号にバイアス電圧を加える方法を示す図、(b)は変調器の後にバイアスT を用いて変調信号にバイアス電圧を加える方法を示す図、(c)は変調信号とは別にバイアス用の電極を有する変調器を使用する方法を示す図、(d)は変調信号にバイアス電圧を直流的に加算する方法を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態のバイアス制御装置と該バイアス制御装置を含む光変調装置の構成を示す図であり、(a)はブロック図、(b)はこの分野で一般的に用いられている記号を用いて少しく具体的に表した図である。
【図5】デューティ比が変化した変調信号を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態の変形例を示す図であり、(a)はブロック図、(b)はこの分野で一般的に用いられている記号を用いて少しく具体的に表した図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態のバイアス制御装置と該バイアス制御装置を含む光変調装置の構成を示す図であり、(a)はブロック図、(b)はこの分野で一般的に用いられている記号を用いて少しく具体的に表した図である。
【図8】立ち上がり部、立ち下がり部を直線で近似した入力パルス信号の電圧波形を示す図である。
【図9】LN変調器の構成の一例を示す図である。
【図10】LN変調器の変調特性を示す図である。
【図11】LN変調器の動作点の取り方を示す図であり、(a)は1/2パワーの点を中心とした図、(b)は最小パワーの点を中心とした図である。
【図12】従来のバイアス制御装置と該バイアス制御装置を含む光変調装置の構成を示す図であり、(a)はブロック図、(b)はこの分野で一般的に用いられている記号を用いて少しく具体的に表した図である。
【図13】振幅変調された変調信号を示す図である。
【図14】最適バイアス時の変調光波形を示す図である。
【図15】バイアスがずれた時の変調光波形を示す図である。
【図16】Va = 0.9 Vπ時の変調光波形を示す図である。
【符号の説明】
1 光源(半導体レーザ)
2 LN変調器
3 光分岐手段(光カプラ)
4 光/電気変換器(フォトダイオード)
10 低周波信号発生器
11 検出手段(同期検波回路)
12 制御手段
13 波形変化手段( tr,tf可変手段)
14 デューティ比可変手段
15 可変量調整手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、ニオブ酸リチウム( LiNbO3 )を用いた干渉型光変調器( 以下、LN変調器という。) の動作点が温度変化や経年変化で変動した場合においても規定の動作点に自動制御する光変調器のバイアス制御装置に関するものであり、長時間安定した変調が要求される光送信器等に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
図9にLN変調器の構成の一例を示す。入力光20はLiNbO3基板上の2 つの導波路に分岐され、一方の導波路に光の位相を変化させる電極が設けられている。 2つの光は再び合波されて出力されるが、この時2 つの光の位相差によって干渉光の強度が変化する。つまり、電極に加える変調信号35に応じて出力光21の強度が変化するので、光強度変調器として使用される。
【0003】
LN 変調器の変調特性は、図10の実線に示すように入力電圧に対して正弦波状の特性を持つ。光の位相がπだけ変化する印加電圧は半波長電圧Vπ(πは添字)と呼ばれており、図10の横軸はVπで正規化した値を示す。例えば0.5 を中心として0 から1 までの範囲の変調信号を加えると、 1/2パワーを中心として最小から最大パワーまで変化する最適な変調光が得られる。
【0004】
しかし、一般的にLN変調器は温度変化や経年変化などにより、変調特性が変動することが知られている。例えば図10の破線のように変調特性が変化する。この場合、バイアス電圧を変化させて0.7 を中心として0.2 から1.2 までの範囲の変調信号とすると最適な変調光が得られる。このように、変調器の変動に応じてバイアス電圧を制御する必要がある。
【0005】
LN 変調器の動作点として、図11(a) のように1/2 パワーの点を中心にする方法と図11(b) のように最小パワーの点を中心にする方法がある。前者は入力信号と類似の変調光が得られ、 NRZ(Nonreturn to zero) 変調等に用いられている。後者は入力信号の2 倍の周波数の光パルスが得られ、CS−RZ(Carrier suppressed return to zero)変調等に用いられている。
【0006】
図12に従来技術のブロック図を示す。入力信号34は変調すべきディジタル信号である。低周波信号発生器10は、入力信号34に比べて周波数の低い低周波正弦波30を出力する。波形変化手段の一つである振幅変調手段としての可変利得増幅器15は、入力信号34の振幅を低周波正弦波30で変調して変調信号35を出力する。変調信号35は図13に示すように正弦波がディジタル信号の”1” レベルと”0” レベルにそれぞれ逆位相となるように重畳される。 (図13はディジタル信号のアイパターンが時間的に変化する様子を示したものである。 )
【0007】
半導体レーザ1 は、ある波長の連続光20を出力する。 LN 変調器2 は、連続光20を変調して変調光21を出力する。図13の変調信号を1/2 パワーを中心としたバイアスでLN変調器2 に加えると、変調光21は図14のようになり低周波正弦波の周波数成分が零になる。光カプラ3 は、変調光21をある割合で2 つに分岐し、一方はフォトダイオード4 に入力され、他方は外部に出力する。フォトダイオード4 は光23を電気信号31に変換する。
【0008】
検出手段としての同期検波回路11は、電気信号31に含まれる低周波30の成分を抽出する。例えば、図に示すように乗算器と低域通過フィルタで構成される。この低域通過フィルタは、低周波正弦波の周波数以上を遮断し直流成分を通過するフィルタである。
【0009】
制御手段12は、同期検波回路11の出力が零になるようにLN変調器2 のバイアス電圧33を調整する。例えば、図に示すように演算増幅器を用いた積分回路で構成される。バイアスがずれた場合、変調光21は図15のように低周波正弦波の成分が生じ、同期検波回路11によりバイアスずれの方向に応じた符号の直流電圧が得られ、積分回路によりバイアスずれを補正する方向にバイアス電圧が変化させる。
【0010】
以上の構成により、LN変調器2 のドリフトによって動作点がずれても1/2 パワーを中心とした変調光が得られるようにバイアス電圧が自動的に調整され、長時間安定した変調が可能となる。
【0011】
この方式では変調光の低周波成分を検出すれば良いので、フォトダイオード4 およびそれ以降の回路は入力信号34に応答する高速な素子である必要が無く低周波正弦波30に応答する低速の素子で良い。このため、入力信号34のビットレートが高い場合でも安価なバイアス制御装置を実現できる特長を持つ。また、光源の光パワーやLN変調器2 の損失が変化すると、フォトダイオード4 に入力される光パワーが変化するので同期検波回路11の出力も変化する。しかし、同期検波回路11の出力が零になる点は変わらないので、同期検波回路11の出力が零になるように制御した結果はパワー変化の影響を受けないという特長を持つ。
【0012】
【特許文献1】
特開平3−251815号
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術では低周波信号で振幅変調を行なうため、信号波形全体に低周波信号が重畳され、図14に示すように変調光波形の”1” レベルおよび”0” レベルに低周波信号の2 倍の周波数成分が残留する。特に、入力信号の振幅VaがLN変調器の半波長電圧Vπと一致しない場合、例えばVa = 0.9 Vπの場合は図16のようになり、低周波信号成分も残留して”1” レベルおよび”0” レベルの変動が大きくなる。ディジタル信号による本来の変調にとってはこの残留成分は雑音となるため、変調光の品質が劣化する。変調光の品質の指標として次式のQ ファクタがよく用いられる。
【0014】
【数1】
【0015】
ここで、μ1 ,μ0 はそれぞれ”1” レベルおよび”0” レベルの平均値、σ1 ,σ0 はそれぞれ”1” レベルおよび”0” レベルの偏差である。残留成分によって、μ1 は小さくμ0 は大きくなり、かつσ1 ,σ0 は共に大きくなるので、 Qファクタは低下する。
また、入力信号のデューティ比またはマーク率が1/2 ではなく、入力信号の振幅がLN変調器2 の半波長電圧と一致しない場合は、最適なバイアス電圧からずれる( 詳細は後述) という問題点があった。
【0016】
この発明の目的は、フォトダイオード4 が低周波正弦波30に応答する低速の素子で良く、パワー変化の影響を受けないという従来技術の特長を保ちつつ、変調光の品質劣化や最適点からずれるといったことのない、LN変調器のバイアス制御装置、そして、そのバイアス制御装置を用いた光変調装置を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前述の問題点を解決するために、本発明では入力信号の過渡部の位置や波形を低周波信号に従って変化させ、出力光に含まれる低周波信号成分または低周波信号の2 倍の周波数成分を検出し、この検出結果に基づいて該バイアス電圧を制御する。
【0018】
すなわち、本発明のバイアス制御装置は、干渉型光変調器に印加するバイアス電圧を制御するバイアス制御装置にして、前記干渉型光変調器の入力パルス信号に比べて低い周波数の低周波信号を発生する低周波信号発生器と、前記入力パルス信号を前記低周波信号に基づいて波形変化させる波形変化手段と、前記バイアス電圧と前記波形変化手段の出力信号とが与えられた前記干渉型光変調器の出力光に含まれる前記低周波信号成分または前記低周波信号の2倍の周波数成分を検出する検出手段と、前記検出手段の出力信号に基づいて前記バイアス電圧を制御する制御手段とを含む、前記バイアス制御装置において、前記波形変化手段は、前記入力パルス信号の立ち上がり部および立ち下がり部のうちの少なくとも一方の傾斜もしくは位置、またはその双方を変化させるようになっている。
【0019】
また、本発明の光変調装置は、干渉型光変調器と、該干渉型光変調器から出力された変調光を分岐する光分岐手段と、該光分岐手段で分岐された変調光を受けて電気信号に変換する光/電気変換器と、該光/電気変換器から出力された電気信号を受けて該電気信号から得られた結果に基づいて前記干渉型光変調器に印加するバイアス電圧を制御するバイアス制御装置とを備えた光変調装置において、前記バイアス制御装置が請求項1に記載のバイアス制御装置である。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1(a) に本発明の第1の実施の形態(立ち上がり・立ち下がり時間可変方式)のブロック図を示す。図において、低周波信号発生器10、波形変化手段としての tr,tf可変手段13、検出手段としての同期検波回路11および制御手段12はバイアス制御装置を構成し、これにLN変調器2 、光分岐手段3 、光/電気変換器4 を加えたものが光変調装置を構成する。図1(b) はこの分野で一般に用いられている記号を用いて少しく具体的に表したものである。
【0021】
入力信号34は変調すべきディジタル信号である。低周波発振器10は、入力信号34に比べて周波数の低い低周波正弦波30を出力する。 tr,tf可変手段13は、入力信号34の立ち上がり時間trおよび立ち下がり時間tf を低周波正弦波30に従って変化させた変調信号35を出力する。ここではtrとtfの両方を同様に変化させているが、変化量がtrとtf で異なっていても良く、 tr とtf のどちらか片方のみを変化させても良い。 tr,tf可変手段13は、例えば可変帯域増幅器を用いて増幅器の帯域を変化させることにより tr,tfを変化させることが出来る。正弦波で tr,tfを変化させると図2のようになる。( 図2はディジタル信号のアイパターンが時間的に変化する様子を示したものである。 )図2では低周波正弦波の周波数が入力信号のビットレートの1/16になっているが、これに限られたものではなく例えばビットレートの1/106 のように非常に低い周波数にすることも可能である。
【0022】
なお、低周波信号30は必ずしも正弦波である必要は無く、入力信号34と無相関の信号であれば良い。例えば、低周波信号として2 値の疑似ランダム信号を用い、 tr,tf可変手段として帯域を切替え可能な増幅器を用いて2 種類の tr,tfを疑似ランダムパターンに従って変化させることも可能である。
【0023】
半導体レーザ1 は、ある波長の連続光20を出力する。 LN 変調器2 は、連続光20を変調して変調光21を出力する。 LN 変調器2 に変調信号35とバイアス電圧33を加える方法としては、図3(a) に示すように変調器の前にバイアスT を用いて変調信号にバイアス電圧を加える方法、図3(b) に示すように変調器の後にバイアスT を用いて変調信号にバイアス電圧を加える方法、図3(c) に示すように変調信号とは別にバイアス用の電極を有する変調器を使用する方法、図3(d) に示すように変調信号にバイアス電圧を直流的に加算する方法等がある。
光カプラ3 は、変調光21をある割合で2 つに分岐し、一方はフォトダイオード4 に入力され、他方は外部に出力する。フォトダイオード4 は光23を電気信号31に変換する。
【0024】
検出手段としての同期検波回路11は、電気信号31に含まれる低周波30の成分を抽出する。例えば、図に示すように乗算器と低域通過フィルタで構成される。この低域通過フィルタは、低周波正弦波の周波数以上を遮断し直流成分を通過するフィルタである。 tr,tfを変化させる低周波信号と同期検波回路に入力される低周波信号は同じ波形であることが望ましいが、 tr,tfの変化による光パワーの変化を同期検波回路で検出できれば良いので、必ずしも同じ波形である必要は無く相関のある信号であれば良い。例えば、一方が正弦波で他方が正弦波と同じ周波数の矩形波であっても良い。変調光の光パワーの低周波信号成分すなわち同期検波回路11の出力は、 1/2パワーを中心としたバイアスの場合は零になる( 詳細は後述) 。
【0025】
制御手段12は、同期検波回路11の出力が零になるようにLN変調器2 のバイアス電圧33を調整する。例えば、図に示すように演算増幅器を用いた積分回路で構成される。バイアスがずれた場合、変調光21に低周波正弦波の成分が生じ、同期検波回路11によりバイアスずれの方向に応じた符号の直流電圧が得られ、積分回路によりバイアスずれを補正する方向にバイアス電圧が変化させる。
以上の構成により、 LN 変調器2 のドリフトによって動作点がずれても1/2 パワーを中心とした変調光が得られるようにバイアス電圧が自動的に調整され、長時間安定した変調が可能となる。
【0026】
本実施の形態ではハード的な低周波信号発生器、同期検波回路、制御手段を示したが、これらはマイクロプロセッサ等のソフトウェアによって実現することも可能である。例えば、低周波信号発生器はテーブルや三角関数の演算によって正弦波を発生することができ、同期検波回路は乗算と平均化やディジタルフィルタによる低域通過フィルタで実現することができ、制御手段は積算によって積分機能を実現することが出来る。
【0027】
図1では同期検波回路11の出力が零になるようにバイアス電圧を制御しているが、同期検波回路11の出力が最大または最小になるようにバイアス電圧を制御すると最大または最小パワーが中心となるように制御される。
【0028】
従来技術( 振幅変調方式) と同様に、変調光の低周波成分を検出すれば良いので、フォトダイオード4 およびそれ以降の回路は入力信号34に応答する高速な素子である必要が無く低周波正弦波30に応答する低速の素子で良い。このため、入力パルス信号34のビットレートが高い場合でも安価なバイアス制御装置を実現できる特長を持つ。また、光源の光パワーや変調器の損失が変化すると、フォトダイオード4 に入力される光パワーが変化するので同期検波回路11の出力も変化する。しかし、同期検波回路11の出力が零になる点は変わらないので、同期検波回路11の出力が零になるように制御した結果はパワー変化の影響を受けないという特長を持つ。同期検波回路11の出力が最大または最小になるように制御する場合も同様である。
【0029】
本手法では入力パルス信号の立ち上がり・立ち下がり時間を変化させており、図2に示すように”1” レベルおよび”0” レベルは一定である。すなわち、入力パルス信号の振幅を一定に保持しつつ立ち上がり部、立ち下がり部の傾斜を変化させている。実際に信号を受信してデータを判定する”1” レベルおよび”0” レベルの部分は変化しないので、 (1)式のμ1 ,μ0 ,σ1 ,σ0 は変化せず、基本的に変調光の品質は劣化しないという特長を持つ。
【0030】
図4に本発明の第2の実施の形態(デューティ比可変方式)のブロック図を示す。第1の実施の形態(図1)と同じ部分は同じ番号で表している。
デューティ比可変手段14は、入力信号34のデューティ比を低周波正弦波30に従って変化させた変調信号35を出力する。デューティ比可変手段14は、例えば閾値可変増幅器を用いて入力閾値を変化させることによりデューティ比を変化させることが出来る。正弦波でデューティ比を変化させると図5のようになり、立ち上がりと立ち下がりが交差するクロスポイントが上下に変化する波形となる。 (図5はディジタル信号のアイパターンが時間的に変化する様子を示したものである。 )変調光の光パワーの低周波信号成分すなわち同期検波回路11の出力は、最小パワーまたは最大パワーを中心としたバイアスの場合は零になる( 詳細は後述) 。
【0031】
その他の構成要素および動作は第1の実施の形態と同じである。以上の構成により、 LN 変調器のドリフトによって動作点がずれても最小パワーまたは最大パワーを中心とした変調光が得られるようにバイアス電圧が自動的に調整され、長時間安定した変調が可能となる。
第2の実施の形態(図4)では同期検波回路の出力が零になるようにバイアス電圧を制御しているが、同期検波回路の出力が最大または最小になるようにバイアス電圧を制御すると1/2 パワーが中心となるように制御される。
【0032】
第2の実施の形態は第1の実施の形態(立ち上がり・立ち下がり時間可変方式)と同様に、フォトダイオード4 およびそれ以降の回路は低周波正弦波30に応答する低速の素子で良く、光源の光パワーや変調器の損失が変化しても動作点は影響を受けないという特長を持つ。
【0033】
本実施の形態では入力信号のデューティ比を変化させており、図5に示すように”1” レベルおよび”0” レベルは一定である。すなわち、入力パルス信号の振幅を一定に保持しつつ立ち上がり部、立ち下がり部の位置を変化させている。実際に信号を受信してデータを判定する”1” レベルおよび”0” レベルの部分は変化しないので、 (1)式のμ1 ,μ0 ,σ1 ,σ0 は変化せず、基本的に変調光の品質は劣化しないという特長を持つ。
【0034】
本実施の形態(デューティ比可変方式)で同期検波回路の出力が零になるようにバイアス電圧を制御すると最小パワーまたは最大パワーが中心となるように制御されるが、図6に示すようにデューティ比可変手段の出力をAC結合し、低周波正弦波30の2 倍の周波数の正弦波36を同期検波回路11に入力して変調光の光パワーの2 倍周波数成分を検出し、同期検波回路の出力が零になるように制御すると、 1/2パワーを中心としたバイアスに制御することも可能である。
【0035】
図7に本発明の第3の実施の形態(立ち上がり・立ち下がり時間+デューティ比可変方式)のブロック図を示す。本方式は立ち上がり・立ち下がり時間可変方式とデューティ比可変方式を組み合わせたものである。図1、図4と同じ部分は同じ番号で表している。
【0036】
tr,tf可変手段13とデューティ比可変手段14により立ち上がり, 立ち下がり時間とデューティ比の両方を可変できるようになっている。 tr,tf可変手段13とデューティ比可変手段14の順序は逆にしても良く、また1 つのアンプで立ち上がり, 立ち下がり時間とデューティ比の両方を可変できるようにしても良い。
可変量調整手段15は、立ち上がり, 立ち下がり時間の可変量とデューティ比の可変量を調整する。調整は、調整範囲に応じて一方を固定し他方を調整しても良く、また両方を調整可能としても良い。
【0037】
立ち上がり, 立ち下がり時間を可変すると1/2 パワーの点を中心としたバイアスに制御され、デューティ比を可変すると最大または最小パワーの点を中心としたバイアスに制御されるので、両方の可変量を符号も含めて調整することにより、 LN 変調器の変調特性の任意の点を中心としたバイアスに制御することが出来る。
【0038】
立ち上がり・立ち下がり時間可変方式やデューティ比可変方式においても、同期検波回路の出力が零ではなくある一定値になるように制御すれば任意の位置にバイアスを制御することができるが、光源の光パワーや変調器の損失が変動した場合は、それに応じて同期検波回路の出力が変動するため動作点も変動してしまう。
【0039】
立ち上がり・立ち下がり時間+デューティ比可変方式では、同期検波回路の出力が零になるように制御するので光源の光パワーや変調器の損失が変動しても動作点が変動することは無い。
本実施の形態においても同期検波回路の出力が最大または最小になるようにバイアス電圧を制御することにより動作点を変更することが可能であるが、本実施の形態では可変量調整手段15によって任意の位置に制御可能であるため同期検波回路の出力が零になるようにバイアス電圧を制御する方が容易である。
【0040】
ここで、従来技術を含む各バイアス制御方式の詳細特性について、数式により説明する。
図8に示すように入力信号の立ち上がり, 立ち下がり部分を直線で近似すると、変調器に加える電圧v(t)は次式で表される。
【0041】
【数2】
【0042】
ここで、 Vo : オフセット電圧( バイアス電圧を含む), Va : 電圧振幅, tr : 立ち上がり時間, tf : 立ち下がり時間, t1 : 立ち上がり時刻, t2 : 立ち下がり時刻, T : ビット周期である。電圧v(t)を加えた時の変調器の出力光のパワーp(t)は、変調器の半波長電圧をVπとすると次式で表される。
【0043】
【数3】
【0044】
自動バイアス制御装置では低周波成分のみを検出するため、光パワーの平均値を検出することになる。平均光パワーP は
【0045】
【数4】
【0046】
デューティ比をrd = (t2−T −t1)/(2T), 過渡応答時間比をrt =(tr+tf)/(2T)とすると、
【0047】
【数5】
【0048】
と表される。
上記 (5)式を用いて、以下、各方式について検討する。
まず、本発明のデューティ比可変方式ではデューティ比rdの変化に対する平均光パワーP の変化を検出するので、検出感度はP をrdで偏微分し、
【0049】
【数6】
【0050】
となる。これより、Vo = nVπ(n: 整数) の時に検出信号が零になるので、検出信号が零になるように制御すると、波形の中心を変調器の最大または最小パワーの点に制御することが出来る。検出信号の大きさ( 係数) は0 < Va <2Vπの間で正の一定極性である。制御ループの極性が正の場合はVo =(2n + 1)Vπで安定するので波形の中心が最大パワー点となり、制御ループの極性が負の場合はVo =2nVπで安定するので波形の中心が最小パワー点となる。
【0051】
また、検出信号が最大になるように制御するとVo = (2n + 1/2) Vπで安定するので波形の中心がスロープ正の1/2 パワー点となり、検出信号が最小になるように制御するとVo = (2n + 3/2) Vπで安定するので波形の中心がスロープ負の1/2 パワー点となる。この場合、スロープの符号によってチャープの符号が異なる。
【0052】
検出信号が零になる点や最大, 最小になる点はデューティ比rdや振幅電圧Vaに依存せずに一定であり、これらのパラメータの変動に影響されない制御が可能である特長を持つ。入力信号のマーク率が変化した場合においても影響を受けないため、マーク率を検出してバイアスを補償したりする必要も無い。
【0053】
次に、本発明の立ち上がり・立ち下がり時間可変方式では過渡応答時間比rtの変化に対する平均光パワーP の変化を検出するので、検出感度はP をrtで偏微分し、
【0054】
【数7】
【0055】
となる。これより、 Vo = (n + 1/2) Vπ (n: 整数) の時に検出信号が零になるので、検出信号が零になるように制御すると、波形の中心を変調器の1/2 パワーの点に制御することが出来る。検出信号の大きさ( 係数) は0 < Va < 2 Vπの間で負の一定極性である。制御ループの極性が正の場合はVo = (2n + 3/2) Vπで安定するので波形の中心がスロープ負の1/2 パワー点となり、制御ループの極性が負の場合はVo = (2n + 1/2) Vπで安定するので波形の中心がスロープ正の1/2 パワー点となる。この場合、スロープの符号によってチャープの符号が異なる。
【0056】
また、検出信号が最大になるように制御するとVo = (2n + 1) Vπで安定するので波形の中心が最大パワー点となり、検出信号が最小になるように制御するとVo = 2nVπで安定するので波形の中心が最小パワー点となる。
検出信号が零になる点や最大, 最小になる点はデューティ比rdや振幅電圧Vaに依存せずに一定であり、これらのパラメータの変動に影響されない制御が可能である特長を持つ。入力信号のマーク率が変化した場合においても影響を受けないため、マーク率を検出してバイアスを補償したりする必要も無い。
【0057】
上述の本発明の2つの方式に対して、従来技術である振幅変調方式では電圧振幅Vaの変化に対する平均光パワーP の変化を検出するので、検出感度はP をVaで偏微分し、
【0058】
【数8】
【0059】
となる。デューティ比rdが1/2 に等しいかまたは電圧振幅Va が半波長電圧Vπに等しい場合は(9) 式第1 項は零になり、 Vo = (n + 1/2) Vπ (n: 整数) の時に検出信号が零になるので、検出信号が零になるように制御すると、波形の中心を変調器の1/2 パワーの点に制御することが出来る。検出信号の大きさ( 係数) は0 < Va < 2 Vπの間で正の一定極性である。制御ループの極性が正の場合はVo = (2n + 1/2) Vπで安定するので波形の中心がスロープ正の1/2 パワー点となり、制御ループの極性が負の場合はVo = (2n + 3/2) Vπで安定するので波形の中心がスロープ負の1/2 パワー点となる。この場合、スロープの符号によってチャープの符号が異なる。
【0060】
また、検出信号が最大になるように制御するとVo = 2nVπで安定するので波形の中心が最小パワー点となり、検出信号が最小になるように制御するとVo = (2n + 1) Vπで安定するので波形の中心が最大パワー点となる。但し、デューティ比rdが1/2 でなく電圧振幅Vaが半波長電圧Vπに等しくない場合は、 (9)式第1 項の影響により検出信号が零になる点や最大, 最小になる点がずれるため、正しいバイアス点に制御できなくなる問題がある。
【0061】
次に、もう一つの従来技術であるバイアス電圧変調方式ではオフセット電圧Voの変化に対する平均光パワーP の変化を検出するので、検出感度はP をVoで偏微分し、
【0062】
【数9】
【0063】
デューティ比rdが1/2 に等しい場合は(10)式第1 項は零になり、 Vo = n Vπ (n: 整数) の時に検出信号が零になるので、検出信号が零になるように制御すると、波形の中心を変調器の最大または最小パワーの点に制御することが出来る。しかし、検出信号の大きさ( 係数) はrtが小さい時Va = Vπ付近で零になりその前後で符号が反転するので、この付近では安定した制御が出来なくなる問題がある。 Va <Vπの時、制御ループの極性が正の場合はVo = (2n + 1) Vπで安定するので波形の中心が最大パワー点となり、制御ループの極性が負の場合はVo = 2nVπで安定するので波形の中心が最小パワー点となる。
【0064】
また、検出信号が最大になるように制御するとVo = (2n + 1/2) Vπで安定するので波形の中心がスロープ正の1/2 パワー点となり、検出信号が最小になるように制御するとVo = (2n + 3/2)Vπで安定するので波形の中心がスロープ負の1/2 パワー点となる。この場合、スロープの符号によってチャープの符号が異なる。但し、デューティ比rdが1/2 でない場合は、(10)式第1 項の影響により検出信号が零になる点や最大, 最小になる点がずれるため、正しいバイアス点に制御できなくなる問題がある。
【0065】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のバイアス制御装置は、波形変化手段を入力パルス信号の立ち上がり部および立ち下がり部のうちの少なくとも一方の傾斜もしくは位置、またはその双方を変化させるようになっている波形変化手段としたから、検出手段に用いるフォトダイオードが低速の素子で良く、フォトダイオードへ入力される光のパワー変化の影響を受けないという従来技術の特長を保ちつつ、従来のように変調光の品質劣化や最適点からずれるといったことのない、LN変調器のバイアス制御装置、そして光変調装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のバイアス制御装置と該バイアス制御装置を含む光変調装置の構成を示す図であり、(a)はブロック図、(b)はこの分野で一般的に用いられている記号を用いて少しく具体的に表した図である。
【図2】tr ,tf が変化した変調信号を示す図である。
【図3】LN 変調器にバイアスを加える方法を示す図であり、(a)は変調器の前にバイアスT を用いて変調信号にバイアス電圧を加える方法を示す図、(b)は変調器の後にバイアスT を用いて変調信号にバイアス電圧を加える方法を示す図、(c)は変調信号とは別にバイアス用の電極を有する変調器を使用する方法を示す図、(d)は変調信号にバイアス電圧を直流的に加算する方法を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態のバイアス制御装置と該バイアス制御装置を含む光変調装置の構成を示す図であり、(a)はブロック図、(b)はこの分野で一般的に用いられている記号を用いて少しく具体的に表した図である。
【図5】デューティ比が変化した変調信号を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態の変形例を示す図であり、(a)はブロック図、(b)はこの分野で一般的に用いられている記号を用いて少しく具体的に表した図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態のバイアス制御装置と該バイアス制御装置を含む光変調装置の構成を示す図であり、(a)はブロック図、(b)はこの分野で一般的に用いられている記号を用いて少しく具体的に表した図である。
【図8】立ち上がり部、立ち下がり部を直線で近似した入力パルス信号の電圧波形を示す図である。
【図9】LN変調器の構成の一例を示す図である。
【図10】LN変調器の変調特性を示す図である。
【図11】LN変調器の動作点の取り方を示す図であり、(a)は1/2パワーの点を中心とした図、(b)は最小パワーの点を中心とした図である。
【図12】従来のバイアス制御装置と該バイアス制御装置を含む光変調装置の構成を示す図であり、(a)はブロック図、(b)はこの分野で一般的に用いられている記号を用いて少しく具体的に表した図である。
【図13】振幅変調された変調信号を示す図である。
【図14】最適バイアス時の変調光波形を示す図である。
【図15】バイアスがずれた時の変調光波形を示す図である。
【図16】Va = 0.9 Vπ時の変調光波形を示す図である。
【符号の説明】
1 光源(半導体レーザ)
2 LN変調器
3 光分岐手段(光カプラ)
4 光/電気変換器(フォトダイオード)
10 低周波信号発生器
11 検出手段(同期検波回路)
12 制御手段
13 波形変化手段( tr,tf可変手段)
14 デューティ比可変手段
15 可変量調整手段
Claims (2)
- 干渉型光変調器に印加するバイアス電圧を制御するバイアス制御装置にして、
前記干渉型光変調器の入力パルス信号に比べて低い周波数の低周波信号を発生する低周波信号発生器(10)と、
前記入力パルス信号を前記低周波信号に基づいて波形変化させる波形変化手段(13)と、
前記バイアス電圧と前記波形変化手段の出力信号とが与えられた前記干渉型光変調器の出力光に含まれる前記低周波信号成分または前記低周波信号の2倍の周波数成分を検出する検出手段(11)と、
前記検出手段の出力信号に基づいて前記バイアス電圧を制御する制御手段(12)とを含む、前記バイアス制御装置において、
前記波形変化手段は、前記入力パルス信号の立ち上がり部および立ち下がり部のうちの少なくとも一方の傾斜もしくは位置、またはその双方を変化させるようになっていることを特徴とするバイアス制御装置。 - 干渉型光変調器(2)と、該干渉型光変調器から出力された変調光を分岐する光分岐手段(3)と、該光分岐手段で分岐された変調光を受けて電気信号に変換する光/電気変換器(4)と、該光/電気変換器から出力された電気信号を受けて該電気信号から得られた結果に基づいて前記干渉型光変調器に印加するバイアス電圧を制御するバイアス制御装置とを備えた光変調装置において、
前記バイアス制御装置が請求項1に記載のバイアス制御装置であることを特徴とする光変調装置。
Priority Applications (1)
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JP2003092945A JP2004301965A (ja) | 2003-03-28 | 2003-03-28 | 光変調器のバイアス制御装置および該バイアス制御装置を用いた光変調装置 |
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JP2003092945A Pending JP2004301965A (ja) | 2003-03-28 | 2003-03-28 | 光変調器のバイアス制御装置および該バイアス制御装置を用いた光変調装置 |
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-
2003
- 2003-03-28 JP JP2003092945A patent/JP2004301965A/ja active Pending
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