JPWO2017082349A1 - 光送信器及びバイアス電圧の制御方法 - Google Patents

光送信器及びバイアス電圧の制御方法 Download PDF

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Abstract

光送信器は、MZ型干渉計と駆動信号入力電極と位相差調整用バイアス電極とを有する光変調器と、駆動アンプと、位相差調整用バイアス電圧発生器と、駆動信号の振幅又は前記MZ型干渉計の半波長電圧に対して、予め定められる周波数のディザリングを加えるディザリング部と、前記光変調器から出力される変調光に重畳される前記周波数の変調成分に基づいて位相差調整用バイアス電圧を変更させ、前記MZ型干渉計をヌル点にバイアスするコントローラ部と、前記変調光に重畳される前記周波数の変調成分を同期検波する同期検波回路と、を備える。前記コントローラ部は、前記同期検波回路の同期検波の結果が、最大又は最小になるように前記位相差調整用バイアス電圧を変更する。前記コントローラ部が前記同期検波の結果を最大とするか最小とするかは、参照するクロック信号の位相とディザリングの位相との差によって決定され、前記駆動信号の振幅に依存しない。

Description

本発明は、光送信器及びバイアス電圧の制御方法に関する。
本願は、2015年11月12日に日本国に出願された特願2015−222016号および2016年8月17日に日本国に出願された特願2016−160092号に基づいて優先権を主張し、その内容をここに援用する。
光送信器に用いる光信号を生成する手段として、CW(Continuous Wave)光(以下、連続光ともいう)の強度や光位相を変調する光変調器が広く用いられている。光変調器は、幾つかのタイプが存在する。高速な光信号の変調には、MZ(Mach-Zehnder)型干渉計によって構成されるMZ型光変調器を用いるのが一般的である。以下、特に断りのない場合、本明細書では、光変調器とはMZ型光変調器を指す。基本的な構成の光変調器は、CW光源を入力する光入力端子、変調された信号を出力する光出力端子、及び電気のデータ信号を入力する駆動信号入力端子を有する。理想的な状態にある光変調器では、駆動信号入力端子が入力するRF(Radio Frequency)の駆動信号に対応する光強度変調信号や光位相変調信号が、光出力端子から出力される。
現実の光変調器では、温度変動その他の理由により、光出力端子から出力される光信号の品質が時間と共に劣化することがある。例えば、光変調器を駆動する際には、通常、光変調器が有するMZ型干渉計の光位相差を適正値に調整するためにDC(Direct Current)のバイアス電圧を印加する。このバイアス電圧の最適値は時間と共に変動する。この現象をバイアスドリフトという。LiNbOを用いた光変調器ではバイアスドリフトを放置すれば数時間のうちに光信号が復調不可能なほどに劣化する。このため、インサービスでのABC(Auto Bias Control : 自動バイアス制御)が必須となる。半導体の屈折率変化を用いた半導体型光変調器では、LiNbOを用いた光変調器に比べバイアスドリフトは非常に小さい。しかし、バイアスの最適値は波長や温度に強く依存する。そのため、光送信器の立ち上げの際や、エンドオブライフの運用、すなわち保障期間中の継続的な運用ではバイアスの自動制御がやはり必要となる。
ここで、半導体光変調器に対して駆動電圧、及びバイアス電圧を印加する構成例について説明する。図14は、従来の光送信器の構成を示すブロック図である。図14に示す光送信器600は、CS−RZ(Carrier-Suppressed Return-to-Zero)変調光を半導体光変調器1で生成する。半導体光変調器1が入力するCW光は、MZ型干渉計2に供給される。差動出力型の駆動アンプ3は、2値データ信号を受けて、増幅して駆動信号のVdat と−Vdataとを生成する。駆動信号±Vdataは、DC成分を含まずGND(Ground)レベルに対して対称に正負の電圧にまたがる信号である。駆動信号用バイアス電圧発生器4が生成する駆動信号用バイアス電圧Vが、バイアス加算器5a、及びバイアス加算器5bにより駆動信号±Vdataに印加される。変調器駆動信号±Vdata+Vが、常に正、又は常に負であれば、変調器駆動信号は常に正電圧、又は常に負電圧となり、半導体光変調器1は正常に駆動する。正の電圧と負の電圧のどちらを選択するかは、半導体光変調器1の内部構造により一意に定まる。変調器駆動信号は、駆動信号入力電極6a及び駆動信号入力電極6bを介して、MZ型干渉計2の2つの光導波路(以下、ブランチともいう)に各々印加される。その結果、2つのブランチを伝播する2つの光の位相はφ(Vdata+V)及びφ(−Vdata+V)となる。ここで、φ(v)は、変調器駆動信号の電圧を引数とする関数である。
次に、Vdata及び−Vdataが、共にGNDレベルになった瞬間について考える。CS−RZ光を生成するためには、この瞬間においてMZ型干渉計2の出力光は消光しなければならない。言い換えれば、MZ型干渉計2をヌル点にバイアスしなければならない。この条件を達成するために、位相差調整用バイアス電圧発生器70によって位相差調整用バイアス電圧V70±Vの2種類の電圧を生成し、その生成された電圧を位相差調整用バイアス電極7a,7bを介してMZ型干渉計2の2つのブランチに各々印加する。ここで、V70±Vは常に正又は負となるよう設定する。位相差調整用バイアス電圧V 70±Vによって生じる、2つのブランチを伝播する2つの光の位相変化を、位相差調整用電位バイアス電圧を示す関数θ(v)で表せば、θ(V70+V)及びθ(V70−V)となる。Vdata及び−Vdataが、共にGNDレベルになった瞬間においては「Vdata=0」であるから、2つのブランチを伝播する2つの光の位相差は、次式(1)として表される。
{φ(V)+θ(V70+V)}−{φ(V)+θ(V70−V)}
=θ(V70+V)−θ(V70−V)・・・(1)
式(1)において、本質的でない項は省き、また駆動信号入力電極6a及び駆動信号入力電極6bの特性が同一であるものとした。nを整数として、次式(2)を満たすようにVを微調整する。
θ(V70+V)−θ(V70−V)=π×(2n+1)・・・(2)
これにより、MZ型干渉計2をヌル点にバイアスすることができ、正常なCS−RZ光を生成することができる。なお、上記の説明では、半導体型の光変調器について説明を行った。LiNbOを用いた光変調器では正負どちらの電界でも印加でき、駆動信号用バイアス電圧V及び位相差調整用バイアス電圧V70±VにおけるV70は、必ずしも必要がないため、「V=V70=0」としてもよい。
位相差調整用バイアス電圧V70±Vを最適値に調整する手法として、MZ型干渉計2が出力する変調光の光パワーをモニタして、最適値からのずれを検出する手法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。一般に、MZ型干渉計2が出力する変調光の光パワーは、位相差調整用バイアス電圧V70±Vに依存する。CS−RZ変調では、位相差調整用バイアス電圧が、最適であるときに光パワーは最大値又は最小値の極値となる。どちらの極値になるかは、駆動振幅やナイキストフィルタの有無などに依存する。
図15は、従来の光送信器における位相差調整用バイアス電圧を最適値から変化させた場合の変調光の光パワーの関係を示すグラフである。より具体的には、図15は、従来の光送信器において、バイアスの最適値からのずれと変調光の光パワーとの関係について、シミュレーションした結果を示すグラフである。縦軸は、光パワーを任意単位(arb: arbitrary unit)で示している。横軸Vdriftは、バイアス電圧のずれをVπ@DCの単位、すなわちVπ@DCで規格化した値を示している。ここで、Vπ@DCは、図14における位相差調整用バイアス電極7a及び位相差調整用バイアス電極7bの半波長電圧に相当する。丸のシンボルは、駆動信号の差動電圧2×VdataのRMS(Root Mean Square:二乗平均平方根)値が、Vπ@RFの0.8倍の場合を示している。四角のシンボルは、2×VdataのRMS値がVπ@RFの0.45倍の場合を示している。ここで、Vπ@RFは、駆動信号入力電極6a及び駆動信号入力電極6bの半波長電圧に相当する。
図15において、同一のシンボルでも光パワーに多少のばらつきが生じているが、これは異なる条件での計算結果を重ね書きしているためである。いずれの場合でも、横軸が0、すなわち位相差調整用バイアスが最適である場合に、変調光の光パワーは最大値又は最小値の極値をとる。この性質を利用して、バイアス電圧の最適値のドリフトをモニタし、常に最適のバイアス電圧を維持することが可能となる。
Hiroto Kawakami, Takayuki Kobayashi, Eiji Yoshida and Yutaka Miyamoto,"Auto bias control technique for optical 16-QAM transmitter with asymmetric bias dithering", Optics Express, 2011, Vol. 19, No. 26, p.B308-B312.
適応変復調を用いた光伝送システムでは、光送信器は、伝送路の状況により異なる信号フォーマットを使い分ける必要がある。このため、信号フォーマットの変更及び駆動振幅の変更に伴い、光パワーが最大となるよう制御するか(図15に示す丸のシンボルの状態)又は光パワーが最小となるよう制御するか(図15の四角のシンボル)を切り替える必要がある。
しかしながら、このような切り替えを行おうとすると、バイアス電圧を制御する制御回路が煩雑になる問題がある。また、さらに、図15の三角のシンボルで示すように、駆動信号の電圧の差動電圧2×VdataのRMS値がVπ@RFの0.5倍程度となると、バイアスのドリフトが生じても光パワーは殆ど変化しなくなる。そのため、光パワーの最大値又は最小値の極値によって最適な状態を判定する上記のバイアス電圧の制御手法を用いることができないという問題がある。
上記事情に鑑み、本発明は、立ち上げの際又はバイアスドリフトが発生した際に、駆動振幅や変調フォーマットによらずバイアスを速やかに適した値に制御することを可能とする光送信器及びバイアス電圧の制御方法を提供することを目的としている。
本発明の一態様に係る光送信器は、2つの光導波路を有するMZ型干渉計と、前記2つの光導波路をそれぞれ伝播する2つ光信号の光位相を変化させる駆動信号を印加する駆動信号入力電極と、前記2つの光信号の光位相を変化させて、前記2つの光信号の光位相差を調整する位相差調整用バイアス電圧を印加する位相差調整用バイアス電極と、を有する光変調器と、前記駆動信号を生成して前記駆動信号入力電極に印加する駆動アンプと、前記位相差調整用バイアス電圧を生成して前記位相差調整用バイアス電極に印加する位相差調整用バイアス電圧発生器と、前記駆動信号の振幅又は前記MZ型干渉計の半波長電圧に対して、予め定められる周波数のディザリングを加えるディザリング部と、前記光変調器から出力される変調光に重畳される前記周波数の変調成分に基づいて、前記位相差調整用バイアス電圧発生器が生成する前記位相差調整用バイアス電圧を変更させ、前記MZ型干渉計をヌル点にバイアスするコントローラ部と、前記光変調器から出力される前記変調光に重畳される前記周波数の変調成分を同期検波する同期検波回路と、を備える。前記コントローラ部は、前記同期検波回路の同期検波の結果が、最大又は最小になるように前記位相差調整用バイアス電圧発生器が生成する前記位相差調整用バイアス電圧を変更させて前記MZ型干渉計をヌル点にバイアスする。前記コントローラ部が前記同期検波の結果を最大とするか最小とするかは参照するクロック信号の位相とディザリングの位相と差によって決定され前記駆動信号の振幅に依存しない。
上記の光送信器において、前記光変調器は、IQ変調器であってもよい。前記MZ型干渉計は、In-Phase用のMZ型干渉計と、Quadrature-Phase用のMZ型干渉計とを含んでもよい。前記駆動信号入力電極は、前記In-Phase用のMZ型干渉計に対応付けられる駆動信号入力電極と、前記Quadrature-Phase用のMZ型干渉計に対応付けられる駆動信号入力電極とを含んでもよい。前記位相差調整用バイアス電極は、前記In-Phase用のMZ型干渉計に対応付けられる位相差調整用バイアス電極と、前記Quadrature-Phase用のMZ型干渉計に対応付けられる位相差調整用バイアス電極を含んでもよい。前記駆動アンプは、前記In-Phase用のMZ型干渉計に対して設けられる駆動アンプと、前記Quadrature-Phase用のMZ型干渉計に対して設けられる駆動アンプとを含んでもよい。前記位相差調整用バイアス電圧発生器は、前記In-Phase用のMZ型干渉計に対して設けられる位相差調整用バイアス電圧発生器と、前記Quadrature-Phase用のMZ型干渉計に対して設けられる位相差調整用バイアス電圧発生器とを含んでもよい。前記コントローラ部は、前記IQ変調器から出力される変調光に重畳される前記周波数の変調成分に基づいて、前記In-Phase用のMZ型干渉計に対して設けられる位相差調整用バイアス電圧発生器が印加する位相差調整用バイアス電圧および前記Quadrature-Phase用のMZ型干渉計に対して設けられる位相差調整用バイアス電圧発生器が印加する位相差調整用バイアス電圧を変更させて前記In-Phase用のMZ型干渉計および前記Quadrature-Phase用のMZ型干渉計の各々をヌル点にバイアスしてもよい。
上記の光送信器において、前記ディザリング部は、前記駆動信号の振幅に前記周波数のディザリングを加える際に、前記駆動アンプの利得を変更することにより前記ディザリングを加えてもよい。
上記の光送信器は、前記駆動信号をバイアスする駆動信号用バイアス電圧を生成して出力する駆動信号用バイアス電圧発生器をさらに備えていてもよい。前記ディザリング部は、前記MZ型干渉計の半波長電圧にディザリングを加える際に、前記駆動信号用バイアス電圧を変更することにより前記ディザリングを加えてもよい。
上記の光送信器において、前記コントローラ部は、立ち上げの際に前記駆動信号の振幅を通常運用の状態の振幅よりも小さくしてもよい。
上記の光送信器において、前記コントローラ部は、立ち上げの際に前記MZ型干渉計の半波長電圧を通常運用の状態の振幅よりも大きくしてもよい。
上記の光送信器において、前記ディザリング部は、前記IQ変調器の持つ前記In-Phase用のMZ型干渉計と前記Quadrature-Phase用のMZ型干渉計との駆動信号の振幅または半波長電圧に対して、前記In-Phase用のMZ型干渉計と前記Quadrature-Phase用のMZ型干渉計とのいずれか一方にディザリングを加えている際には、前記In-Phase用のMZ型干渉計と前記Quadrature-Phase用のMZ型干渉計との他方にはディザリングを加えないように制御してもよい。
上記の光送信器において、前記ディザリング部は、前記IQ変調器の持つ前記In-Phase用のMZ型干渉計と前記Quadrature-Phase用のMZ型干渉計との駆動信号の振幅または半波長電圧に対して、異なる周波数または異なる位相のディザリングを加えてもよい。
上記の光送信器において、前記コントローラ部は、前記IQ変調器の立ち上げシーケンスにおいて、前記In-Phase用のMZ型干渉計の出力光と前記Quadrature-Phase用のMZ型干渉計の出力光との2つの光の位相差をn(nは自然数)回変更する機能を有していてもよい。前記コントローラ部は、前記n回の変更毎に、前記同期検波回路の同期検波の結果が最大又は最小になる前記位相差調整用バイアス電圧を候補値として記録し、得られたn種類の候補値の平均値を前記位相差調整用バイアス電圧として採用してもよい。
上記の光送信器において、前記コントローラ部は、前記同期検波回路によって得られた同期検波結果が極値または0となる位相差調整用バイアス電圧Vpeakに対して、予め定められた微調整用オフセット値Voffsetを加えた電圧Vpeak+Voffsetとなるように、位相差調整用バイアス電圧を設定してもよい。
本発明の一態様に係るバイアス電圧の制御方法は、2つの光導波路を有するMZ型干渉計を有する光変調器を備える光送信器におけるバイアス電圧の制御方法であって、前記2つの光導波路をそれぞれ伝播する2つの光信号の光位相を変化させる駆動信号を印加するステップと、前記2つの光信号の光位相を変化させて、前記2つの光信号の光位相差を調整する位相差調整用バイアス電圧を印加するステップと、前記駆動信号の振幅又は前記MZ型干渉計の半波長電圧に対して、予め定められる周波数のディザリングを加えるステップと、前記光変調器から出力される変調光に重畳される前記周波数の変調成分に基づいて、前記位相差調整用バイアス電圧を変更させ、前記MZ型干渉計をヌル点にバイアスするステップと、前記光変調器から出力される前記変調光に重畳される前記周波数の変調成分を同期検波するステップと、を有する。前記バイアスするステップは、前記同期検波の結果が、最大又は最小になるように前記位相差調整用バイアス電圧を変更させて前記MZ型干渉計をヌル点にバイアスするステップを有する。前記同期検波の結果を最大とするか最小とするかは参照するクロック信号の位相とディザリングの位相と差によって決定され前記駆動信号の振幅に依存しない。
本発明の実施形態により、立ち上げの際又はバイアスドリフトが発生した際に、駆動振幅や変調フォーマットによらずバイアスを速やかに適した値に制御することが可能となる。
第1実施形態による光送信器を示すブロック図である。 第1実施形態によるバイアス電圧を制御する処理を示すフローチャートである。 第2実施形態による光送信器の構成を示すブロック図である。 第3実施形態の光送信器の構成を示すブロック図である。 第3実施形態によるバイアス電圧を制御する処理を示すフローチャートである。 第3実施形態において位相差調整用バイアス電圧を最適値から変化させた場合の変調光の光パワーの実測値の変化を示すグラフである。 第3実施形態において駆動信号用バイアス電圧に対してディザリングを加えて同期検波を行ったときの測定結果を示すグラフである。 第4実施形態の光送信器の構成を示すブロック図である。 第4実施形態によるバイアス電圧を制御する処理を示すフローチャートである。 第5実施形態における実測値の例を示す図である。 第5実施形態によるバイアス電圧を制御する処理を示すフローチャートである。 第5実施形態によるバイアス電圧を制御する処理を示すフローチャートである。 実施形態によるIQ変調器の具体例を示す図である。 従来の光送信器の構成を示すブロック図である。 従来の光送信器における位相差調整用バイアス電圧を最適値から変化させた場合の変調光の光パワーの関係を示すグラフである。
(第1実施形態)
以下、実施形態について図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態による光送信器500を示すブロック図である。光送信器500は、半導体光変調器1、駆動アンプ3、バイアス加算器5a,5b、駆動信号用バイアス電圧発生器4、位相差調整用バイアス電圧発生器70、光導波路300,301,302、ディザリング部100、ディザリング加算器101、タップ部104、フォトディテクタ105、同期検波回路106、コントローラ部107を備える。
光送信器500において、半導体光変調器1は、MZ型干渉計2、駆動信号入力電極6a,6b、位相差調整用バイアス電極7a,7bを備える。半導体光変調器1において、MZ型干渉計2は、光カプラ8a,8b、光導波路310,311を備える。
MZ型干渉計2において、光カプラ8aは、光導波路300を伝播するCW光を光導波路310,311に分岐する。光導波路310,311の各々を伝播するCW光は、駆動信号入力電極6a,6bと位相差調整用バイアス電極7a,7bとから電圧が印加されることにより位相差が加えられる。光カプラ8bは、光導波路310,311を伝播する位相差が生じたCW光を合波して変調光を生成して光導波路301に出力する。
駆動アンプ3は、差動出力型の増幅器である。駆動アンプ3は、送信する2値データ信号を受けて、その2値データ信号を増幅して駆動信号となるVdataと−Vdataの電圧を生成して出力する。また、駆動アンプ3は、コントローラ部107からの制御信号を受けてオン、オフの状態を切り替える。駆動信号用バイアス電圧発生器4は、コントローラ部107からの指示信号を受けて、駆動信号用バイアス電圧Vを生成して出力する。
ディザリング部100は、コントローラ部107からの指示信号を受けて予め定められる周波数fのディザリングを加える信号を出力する。また、ディザリング部100は、周波数fのクロック信号を同期検波回路106に出力する。ディザリング加算器101は、駆動信号用バイアス電圧発生器4が出力するVに対して周波数fのディザリングを加える信号を加算する。バイアス加算器5a,5bは、それぞれ駆動アンプ3が出力するV ataと−Vdataに、周波数fのディザリングが加えられた駆動信号用バイアス電圧Vを加えて駆動信号入力電極6a,6bに出力する。
タップ部104は、半導体光変調器1が出力して光導波路301を伝播する変調光をタップ、すなわち分岐して一部を光導波路302に出力する。フォトディテクタ105は、光導波路302を伝播する変調光を受光して電気信号に変換して出力する。同期検波回路106は、フォトディテクタ105が出力する電気信号と、ディザリング部100が出力する周波数fのクロック信号とを受ける。また、同期検波回路106は、そのクロック信号の周波数に基づいて電気信号に対する同期検波を行い、同期検波の結果を示す情報をコントローラ部107に出力する。
位相差調整用バイアス電圧発生器70は、位相差調整用バイアス電極7a,7bを介して、光導波路310,311を伝播するCW光に位相差を加える位相差調整用バイアス電圧V70+VとV70−Vを生成して出力する。また、位相差調整用バイアス電圧発生器70は、コントローラ部107からの指示信号を受けて、電圧Vの電圧を掃引する。コントローラ部107は、例えば、自動バイアス制御回路(ABC回路)を有しており、同期検波回路106が出力する同期検波の結果を受けて、位相差調整用バイアス電圧発生器70が出力する位相差調整用バイアス電圧V70±Vを変更して調整する。また、コントローラ部107は、駆動アンプ3に制御信号を出力し、駆動信号用バイアス電圧発生器4、ディザリング部100、及び位相差調整用バイアス電圧発生器70に対して指示信号を出力する。
次に、上記の光送信器500のコントローラ部107におけるバイアス電圧の制御手法について説明する。上述した図15において、横軸が±1の部分に着目すると、その部分の光パワーは、2×VdataのRMS値に依存せず、すなわちRMS値がどの値であっても、概ね一致していることが分かる。ここで、横軸が0の部分に着目すると、その部分では、光パワーの2×VdataのRMS値に対する依存性が最大になっていることが分かる。すなわち、位相差調整用バイアス電圧V70±Vが最適であれば、駆動振幅の微小変化に対する光パワーの変化が最大となることが分かる。
したがって、駆動信号の振幅に周波数fのディザリングを加え、変調光の光パワーを周波数fで同期検波し、同期検波結果の絶対値が最大値となれば、位相差調整用バイアス電圧が最適であり、それ以外の値であれば位相差調整用バイアス電圧が最適値からずれていると判定することができる。この判定結果を、位相差調整用バイアス電圧V70±Vにフィードバックすることにより、常に位相差調整用バイアス電圧V70±Vを最適にすることが可能となる。なお、駆動信号の振幅ではなく、MZ型干渉計2のVπ@RFに周波数fのディザリングを加えても、同様に、位相差調整用バイアス電圧V70±Vを最適にすることができることになる。
(第1実施形態によるバイアス電圧の制御処理)
図2は、第1実施形態によるバイアス電圧を制御する処理を示すフローチャートである。図2を参照しつつ、光送信器500の立ち上げ処理の際におけるコントローラ部107による位相差調整用のバイアス電圧を制御する処理について説明する。
立ち上げ処理が開始されると、コントローラ部107は、最初に、駆動アンプ3に対してオフにする制御信号を出力する。駆動アンプ3は、その制御信号を受けてオフ状態となり、駆動信号のVdataと−Vdataの振幅が0となる(ステップSa1)。これは、例えば、駆動アンプ3への供給電力を0にする構成などを適用して実現することができる。
次に、コントローラ部107は、駆動信号用バイアス電圧発生器4に指示信号を出力する。その指示信号を受けて、駆動信号用バイアス電圧発生器4は、駆動信号用バイアス電圧Vを生成して出力する。バイアス加算器5a,5bは、それぞれ駆動信号Vdataと−Vdataに駆動信号用バイアス電圧Vを加えて、Vdata+V及び−Vda ta+Vを駆動信号入力電極6a,6bに印加する(ステップSa2)。ここで、駆動信号用バイアス電圧Vは、駆動信号入力電極6a,6bにそれぞれ印加されるVdat +V及び−Vdata+Vが、常に正又は常に負となるように設定される。正の電圧と負の電圧とのどちらを選択するかは、半導体光変調器1の内部構造により一意に定まる。半導体光変調器1では、Vπ@RFが、駆動信号用バイアス電圧Vによって変化する。このため、所望の光電界の変化量が得られるように、駆動アンプの駆動信号±Vda taと駆動信号用バイアス電圧Vを設定しておく必要がある。
次に、コントローラ部107は、駆動アンプ3をオンにする制御信号を出力する。これは、例えば、駆動アンプ3への供給電力を再開することによって実現できる。その制御信号を受けて、駆動アンプ3は駆動信号±Vdataを生成して出力する(ステップSa3)。コントローラ部107は、ディザリング部100に対して指示信号を出力する。その指示信号を受けて、ディザリング部100は、周波数fのディザリングを加える信号を生成して出力する。ディザリング加算器101は、ディザリング部100が出力する出力信号と駆動信号用バイアス電圧Vとを加算して周波数fのディザリングを加えた駆動信号用バイアス電圧Vを出力する(ステップSa4)。半導体光変調器1では、駆動信号用バイアス電圧Vの電圧値に応じてVπ@RFが変化する。このため、Vπ@RFが周波数fでディザリングされることになる。
半導体光変調器1のMZ型干渉計2によってCW光が変調される。半導体光変調器1が出力する変調光は、タップ部104によりタップされ、光導波路302を通じてフォトディテクタ105が受光する。フォトディテクタ105は、受光した変調光を電気信号に変換して同期検波回路106に出力する。同期検波回路106は、ディザリング部100が出力する周波数fのクロック信号に基づいて、フォトディテクタ105が出力する電気信号に対して周波数fの強度変調成分の同期検波を行い、同期検波の結果をコントローラ部107に出力する。
変調光をCS−RZ光とするためには、半導体光変調器1の位相差調整用バイアス電圧によりヌル点にバイアスする必要がある。そこで、コントローラ部107は、位相差調整用バイアス電圧発生器70に出力電圧を調整する指示信号を出力して、位相差調整用バイアス電圧発生器70に位相差調整用バイアス電圧V70±Vを生成して出力させ、さらに、電圧Vを掃引させる(ステップSa5)。コントローラ部107は、電圧Vの掃引による同期検波回路106から同期検波の結果の出力の変化に基づいて、変調光の光パワーに重畳した周波数f成分が最大となっているか否かを判定する(ステップSa6)。ここで、周波数f成分が最大となっていることは、同期検波結果が最大又は最小となっていることにより判定できる。同期検波結果が最大か最小のいずれになるかは、参照するクロック信号とディザリングの位相差によって定められることになる。
周波数f成分が最大でないと判定した場合、コントローラ部107は、ステップSa5の処理、すなわち位相差調整用バイアス電圧発生器70に電圧Vの掃引を継続させる。一方、周波数成分fが最大と判定した場合、コントローラ部107は、位相差調整用バイアス電圧発生器70に対して指示信号を出力して、電圧Vの掃引を停止させ、立ち上げ処理を終了させて、通常運用を開始する。通常運用の状態に移行した後も、経時変化により、位相差調整用バイアス電圧V70±Vの最適値が変動するおそれがある。このため、コントローラ部107は、周期的に、変調光の光パワーの周波数f成分が最大であるか否かを判定し(ステップSa7)、最大値から外れた場合、位相差調整用バイアス電圧発生器70にフィードバックをかけて電圧Vを微小変化させて修正する処理を行う(ステップSa8)。
上記の第1実施形態の構成により、ディザリング部100によって周波数fのディザリングが加えられた駆動信号用バイアス電圧Vを駆動信号±Vdataに加えて半導体光変調器1に印加する。半導体光変調器1のMZ型干渉計2は、周波数fのディザリングを含む駆動信号用バイアス電圧Vでバイアスされた駆動信号±Vdataに基づいて光導波路310,311を伝播するCW光に対して変調を行う。同期検波回路106は、フォトディテクタ105によって電気信号に変換された変調光を、ディザリング部100が出力する周波数fのクロック信号に基づいて同期検波する。コントローラ部107は、位相差調整用バイアス電圧発生器70に対して位相差調整用バイアス電圧の印加と掃引を開始させ、掃引により変化する同期検波の結果に基づいて変調光の光パワーの周波数f成分が最大であるか否かを判定し、最大となった場合に、掃引を停止させる。
これにより、立ち上げの際、MZ型干渉計2をヌル点にバイアス、すなわち駆動信号±VdataがGNDレベルになった場合に、MZ型干渉計2の出力光を消光させることができ、半導体光変調器1が出力する変調光をCS−RZ光とすることができる。また、通常運用状態へ移行した後も、周期的に変調光の光パワーの周波数f成分が最大であるか否かを判定することで、バイアスドリフトが発生した際にも、位相差調整用バイアス電圧V 70±Vを適切な値(例えば最適値)に戻すことができる。したがって、立ち上げの際又はバイアスドリフトが発生した際に、駆動振幅や変調フォーマットによらず、簡便かつ安定した手法でバイアスを速やかに適切な値に制御することが可能となる。
本実施形態では、半導体光変調器を考え、駆動信号用バイアス電圧Vを変更することによりVπ@RFにディザリングを加えた。一般に光変調器のVπ@RFは、半導体変調器であれそれ以外の光変調器であれ、変調器筐体内の電界分布や温度に依存する。これらの変調器内部の状態に周期fの変調を加えることにより、Vπ@RFを周波数fでディザリングすることも、可能ではある。
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態による光送信器500−1の構成を示すブロック図である。第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、以下、異なる構成について説明する。光送信器500−1は、第1実施形態の半導体光変調器1に変えて、LiNbO光変調器1−1を備える。駆動アンプ3−1は、コントローラ部107−1からの制御信号により、オンとオフを切り替えることに加えて、利得の制御を行う。LiNbO光変調器1−1では、通常、駆動信号用バイアス電圧を用いない。このため、光送信器500−1は、第1実施形態における駆動信号用バイアス電圧発生器4、ディザリング加算器101,バイアス加算器5a,5bを備えない。その代わりに、光送信器500−1は、コントローラ部107−1から駆動アンプ3−1への制御線上にディザリング加算器101−1を備える。ディザリング加算器101−1は、ディザリング部100の出力に接続される。
コントローラ部107−1は、第1実施形態のコントローラ部107の機能に加えて、駆動アンプ3−1の利得の制御を行う制御信号を駆動アンプ3−1に対して出力する。ディザリング加算器101−1は、ディザリング部100が出力するディザリングを加える信号と、コントローラ部107−1が出力する利得の制御信号とを加算して駆動アンプ3に出力する。この構成により、駆動アンプ3の利得が、ディザリングされ、その結果、駆動信号±Vdataの振幅がディザリングされることになる。
ここで、「駆動信号の振幅/(2×Vπ@RF)」をスイング率と定義すると、第1実施形態では、分母のVπ@RFをディザリングしているのに対して、第2実施形態では、分子の駆動信号の振幅をディザリングしていることになる。第1及び第2実施形態のいずれにおいてもスイング率をディザリングしていることには変わりはなく、第2実施形態においても、第1実施形態の構成により得られる効果を奏することになる。
(第3実施形態)
次に、本発明による第3実施形態について説明する。上述した第1及び第2実施形態では、CS−RZ光生成用の光送信器を想定して、1台のMZ型干渉計2を含む半導体光変調器1による位相差調整用バイアス電圧V70±Vを制御する構成について説明した。これに対して、第3実施形態では、QAM(Quadrature Amplitude Modulation、以下、直角位相振幅変調ともいう)信号光生成用のIQ(In-Phase Quadrature-Phase)変調器における複数の位相差調整用バイアス電圧の制御を行う。
図4は、第3実施形態の光送信器510の構成を示すブロック図である。第1及び第2実施形態と同一の構成については同一の符号を付与し、以下、異なる構成について説明する。光送信器510は、IQ変調器1a、光導波路300,301、In-Phase用の駆動アンプ3aと位相差調整用バイアス電圧発生器70a、及びQuadrature-Phase用の駆動アンプ3bと位相差調整用バイアス電圧発生器70b、変調光位相差調整用バイアス電圧発生器108,タップ部104、光導波路302、フォトディテクタ105、同期検波回路106、コントローラ部107a,ディザリング部100a、駆動信号用バイアス電圧発生器4、ディザリング加算器101a,102a,102b,103a,103b、バイアス加算器5aa,5ba,5bb,5abを備える。
IQ変調器1aは、例えば半導体光変調器である。IQ変調器1aは、1台のMZ型干渉計(以下、ペアレントMZIともいう)の2つのブランチの各々に、In-Phase用のMZ型干渉計2aとQuadrature-Phase用のMZ型干渉計2b(以下、MZ型干渉計2a,2bのそれぞれをチャイルドMZIともいう)とを備える。MZ型干渉計2a,2bの内部構成は、第1実施形態によるMZ型干渉計2の内部構成と同一である。以下、MZ型干渉計2a,2bの各々の内部の構成を詳細に説明する場合、符号にa,bなどの添え字をつけて説明する(例えば、MZ型干渉計2の光カプラ8aに相当するMZ型干渉計2aの光カプラについては、光カプラ8a−aのように示す)。
また、IQ変調器1aは、光カプラ200,201、光導波路320,321,330,331、4つの駆動信号入力電極6aa,6ba,6bb,6ab、4つの位相差調整用バイアス電極7aa,7ba,7bb,7abを備える。また、IQ変調器1aは、MZ型干渉計2a,2bから出力される変調光の各々に位相差を加えるペアレントMZI用の変調光位相差調整用バイアス電極401を備える。光カプラ200は、光導波路300を伝播するCW光を分岐して光導波路320,321に出力する。光導波路320,321は、それぞれチャイルドMZIであるMZ型干渉計2a,2bの入力側に接続する。光導波路330,331は、それぞれチャイルドMZIのMZ型干渉計2a,2bの出力側に接続する。光カプラ201は、光導波路330を伝播する変調光と、変調光位相差調整用バイアス電極401に印加されたバイアス電圧により±π/2の光位相差が加えられる光導波路331を伝播する変調光とを合波して光導波路301に出力する。
駆動信号入力電極6aa,6baは、それぞれバイアス加算器5aa,5baを介して駆動アンプ3aに接続され、MZ型干渉計2aに駆動信号を印加する。駆動信号入力電極6bb,6abは、それぞれバイアス加算器5bb,5abを介して駆動アンプ3bに接続され、MZ型干渉計2bに駆動信号を印加する。位相差調整用バイアス電極7aa,7baは、ディザリング加算器102a,103aを介して位相差調整用バイアス電圧発生器70aに接続され、MZ型干渉計2aに位相差調整用バイアス電圧を印加する。位相差調整用バイアス電極7bb,7abは、ディザリング加算器102b,103bを介して位相差調整用バイアス電圧発生器70bに接続され、MZ型干渉計2bに位相差調整用バイアス電圧を印加する。ペアレントMZI用の変調光位相差調整用バイアス電極401は、変調光位相差調整用バイアス電圧発生器108に接続され、変調光位相差調整用バイアス電圧を光導波路331に印加する。
駆動アンプ3a,3bは、例えば、4値データを受けて、それぞれ駆動信号±Vdat a_a、±Vdata_bを生成して出力する。また、駆動アンプ3a,3bは、コントローラ部107aからの制御信号を受けてオンとオフを切り替える。位相差調整用バイアス電圧発生器70a,70bは、それぞれIn-Phase用のMZ型干渉計2aとQuadrature-Phase用のMZ型干渉計2bをヌル点にバイアスする位相差調整用バイアス電圧V70±V 7a,V70±V7bとを生成して出力する。また、位相差調整用バイアス電圧発生器70a,70bは、コントローラ部107aからの指示信号を受けて、各々が生成する位相差調整用バイアス電圧V70±V7a,V70±V7bを変化させる。変調光位相差調整用バイアス電圧発生器108は、コントローラ部107aからの指示信号を受けて、ペアレントMZIにおいて、各チャイルドMZI、すなわちMZ型干渉計2aとMZ型干渉計2bの出力光の位相差を±π/2にする変調光位相差調整用バイアス電圧V108を生成して出力する。また、変調光位相差調整用バイアス電圧発生器108は、コントローラ部107aからの指示信号を受けて、生成する変調光位相差調整用バイアス電圧V108を変化させる。
ディザリング部100aは、コントローラ部107aからの指示信号を受けて予め定められる周波数fのディザリングを加える信号を生成して、ディザリング加算器101a,102a,102b,103a,103bに出力する。また、ディザリング部100aは、周波数fのクロック信号を同期検波回路106に出力する。ディザリング加算器102a,103aは、位相差調整用バイアス電圧V70±V7aにディザリングを加え、位相差調整用バイアス電極7aa,7baに出力する。ディザリング加算器102b,103bは、位相差調整用バイアス電圧V70±V7bにディザリングを加え、位相差調整用バイアス電極7bb、7abに出力する。
ディザリング加算器101aは、駆動信号用バイアス電圧発生器4が出力する駆動信号用バイアス電圧Vにディザリングを加えてバイアス加算器5aa,5ba,5bb,5abに出力する。バイアス加算器5aa,5baは、それぞれ駆動アンプ3aが出力する駆動信号±Vdata_aにディザリングが加えられた駆動信号用バイアス電圧Vを加えて、駆動信号入力電極6aa,6baに出力する。バイアス加算器5bb,5abは、それぞれ駆動アンプ3bが出力する駆動信号±Vdata_bにディザリングが加えられた駆動信号用バイアス電圧Vを加えて、駆動信号入力電極6bb,6abに出力する。
コントローラ部107aは、同期検波回路106の同期検波の結果に基づいて、位相差調整用バイアス電圧発生器70a,70bの位相差調整用バイアス電圧V70±V7a,V70±V7b、及び変調光位相差調整用バイアス電圧発生器108の変調光位相差調整用バイアス電圧V108を変化させる。これにより、2つのMZ型干渉計2a,2bをヌル点にバイアスしつつ、各々の出力変調光の位相差を±π/2にする。また、コントローラ部107aは、駆動アンプ3a,3bに制御信号を出力する。また、コントローラ部107aは、駆動信号用バイアス電圧発生器4、ディザリング部100a、位相差調整用バイアス電圧発生器70a,70b、変調光位相差調整用バイアス電圧発生器108に指示信号を出力する。
(第3実施形態によるバイアス電圧の制御処理)
図5は、第3実施形態によるバイアス電圧を制御する処理を示すフローチャートである。次に、図5を参照しつつ、第3実施形態における光送信器510の立ち上げの際におけるコントローラ部107aによる位相差調整用のバイアス電圧を制御する処理について説明する。
立ち上げ処理が開始されると、コントローラ部107aは、最初に、In-Phase用の駆動アンプ3aと、Quadrature-Phase用の駆動アンプ3bに対してオフにする制御信号を出力する。駆動アンプ3a,3bは、その制御信号を受けてオフ状態となり、駆動信号の±V data_aと±Vdata_bの振幅が0となる(ステップSb1)。これは、例えば、駆動アンプ3a,3bへの供給電力を0にする構成などを適用して実現することができる。
次に、コントローラ部107aは、駆動信号用バイアス電圧発生器4に指示信号を出力する。その指示信号を受けて、駆動信号用バイアス電圧発生器4は、駆動信号用バイアス電圧Vを生成して出力する。バイアス加算器5aa,5baは、それぞれ駆動信号V ata_aと−Vdata_aに駆動信号用バイアス電圧Vを加えて、駆動信号入力電極6aa,6baに印加する。また、バイアス加算器5bb,5abは、それぞれ駆動信号Vdata_bと−Vdata_bに駆動信号用バイアス電圧Vを加えて、駆動信号入力電極6bb,6abに印加する(ステップSb2)。ここで、駆動信号用バイアス電圧Vは、駆動信号入力電極6aa,6ba,6bb,6abにそれぞれ印加される±V data_a+V及び±Vdata_b+Vが、常に正又は常に負となるように設定される。正の電圧と負の電圧とのどちらを選択するかは、IQ変調器1aの内部構造により一意に定まる。IQ変調器1aでは、Vπ@RFが駆動信号用バイアス電圧Vによって変化する。このため、所望の光電界の変化量が得られるように、駆動アンプ3a,3bの駆動信号±Vdata_a,±Vdata_bと、駆動信号用バイアス電圧Vとを設定しておく必要がある。
次に、コントローラ部107aは、駆動アンプ3a,3bをオンにする制御信号を出力する。これは、例えば、駆動アンプ3a,3bへの供給電力を再開することによって実現できる。その制御信号を受けて、駆動アンプ3aは、駆動信号±Vdata_aを生成して出力し、駆動アンプ3bは、駆動信号±Vdata_bを生成して出力する(ステップSb3)。コントローラ部107aは、ディザリング部100aに対して指示信号を出力する。その指示信号を受けて、ディザリング部100aは、周波数fのディザリングを加える信号を生成して出力する。ディザリング加算器101aは、ディザリング部100aが出力する信号と駆動信号用バイアス電圧Vとを加算して周波数fのディザリングを加えた駆動信号用バイアス電圧Vを出力する(ステップSb4)。
IQ変調器1aが出力する変調光は、タップ部104によりタップされ、光導波路302を通じてフォトディテクタ105が受光する。フォトディテクタ105は、受光した変調光を電気信号に変換して同期検波回路106に出力する。同期検波回路106は、ディザリング部100が出力する周波数fのクロック信号に基づいて、フォトディテクタ105が出力する電気信号に対して周波数fの強度変調成分の同期検波を行い、同期検波の結果をコントローラ部107aに出力する。
コントローラ部107aは、In-Phase用の位相差調整用バイアス電圧発生器70aとQuadrature-Phase用の位相差調整用バイアス電圧発生器70bに対して出力電圧を調整する指示信号を出力する。その指示信号を受けて、位相差調整用バイアス電圧発生器70aは、In-Phase用の位相差調整用バイアス電圧V70+V7aとV70−V7a生成し、それぞれを、In-Phase用の位相差調整用バイアス電極7aa,7baを介してIn-Phase用のMZ型干渉計2aに印加し、かつ、V7aを掃引する。また、その指示信号を受けて、位相差調整用バイアス電圧発生器70bは、Quadrature-Phase用の位相差調整用バイアス電圧V70+V7bとV70−V7b生成し、それぞれを、Quadrature-Phase用の位相差調整用バイアス電極7bb,7abを介してQuadrature-Phase用のMZ型干渉計2bに印加し、かつ、V7bを掃引する(ステップSb5)。
コントローラ部107aは、電圧V7aと電圧V7bの掃引による同期検波回路106から同期検波の結果の出力の変化に基づいて、変調光の光パワーに重畳した周波数f成分が最大となっているか否かを判定する(ステップSb6)。ここで、周波数f成分が最大となっていることは、同期検波結果が最大又は最小となっていることにより判定できる。最大か最小のいずれになるかは、参照するクロック信号の位相とディザリングの位相との差によって定められることになる。
周波数成分fが最大でないと判定した場合、コントローラ部107aは、ステップSb5の処理、すなわち位相差調整用バイアス電圧発生器70aに電圧V7aの掃引を継続させ、位相差調整用バイアス電圧発生器70bに電圧V7bの掃引を継続させる。一方、周波数成分fが最大と判定した場合、コントローラ部107aは、位相差調整用バイアス電圧発生器70a,70bのそれぞれに対して、電圧V7a,V7bの掃引を停止させ、ディザリング部100aに対して指示信号を出力する。ディザリング部100aは、その指示信号を受けて、駆動信号用バイアス電圧発生器4の出力Vに対してディザリング加算器101aを介して加えていたディザリングを停止する(ステップSb7)。
次に、コントローラ部107aは、非特許文献1に記載の非対称バイアスディザリングを用いてペアレントMZI用の位相差調整用バイアス電圧を適切な値(例えば最適値)に調整する(ステップSb8)。具体的には、まず、コントローラ部107aは、In-Phase用の位相差調整用バイアス電圧発生器70aの出力であるV70±V7a、及びQuadrature-Phase用の位相差調整用バイアス電圧発生器70bの出力であるV70±V7bの合計4種類の位相差調整用バイアス電圧に対して、周波数fのディザリングを加えるため、ディザリング部100aに指示信号を出力する。
その指示信号を受けて、ディザリング部100aは、ディザリングを加える信号を生成して、ディザリング加算器102a,103aを介して位相差調整用バイアス電圧V70±V7aにディザリングを加え、ディザリング加算器102b,103bを介して位相差調整用バイアス電圧V70±V7bに周波数fのディザリングを加える。ここで、In-Phase用のディザリング加算器102aによって加えられるディザリングと、In-Phase用のディザリング加算器103aによって加えられるディザリングとは、周波数が同一であって正負が逆であるように設定される。また、同様に、Quadrature-Phase用のディザリング加算器102bによって加えられるディザリングと、Quadrature-Phase用のディザリング加算器103bによって加えられるディザリングとは、周波数が同一であって正負が逆であるように設定される。また、In-Phase側のディザリングと、Quadrature-Phase用のディザリングは、位相が直交するように、例えば、cos(2πfd×t)とsin(2πfd×t)のように設定される。
同期検波回路は、ディザリング部100aが出力する周波数fのクロック信号に基づいて、フォトディテクタ105が出力する電気信号に対して周波数fの偶数倍の成分を同期検波し、同期検波の結果をコントローラ部107aに出力する。コントローラ部107aは、ペアレントMZI用の変調光位相差調整用バイアス電圧発生器108に、同期検波結果が0に近づくように変調光位相差調整用バイアス電圧V108を変更させる指示信号を送信する。変調光位相差調整用バイアス電圧発生器108は、その指示信号を受けて、変調光位相差調整用バイアス電圧V108を変更する。ペアレントMZI用の変調光位相差調整用バイアス電圧V108は、ペアレントMZI用の変調光位相差調整用バイアス電極401を介してIn-Phase側のMZ型干渉計2aの出力の光導波路331に印加され、In-Phase用のMZ型干渉計2aとQuadrature-Phase用のMZ型干渉計2bとの間の光位相差を変化させる。同期検波回路106による同期検波の結果が0となった場合、その光位相差が、最適値の±π/2となる(非特許文献1参照)。
これにより、立ち上げ処理が終了し、通常運用の状態に移行する。通常運用の状態においてコントローラ部107aは、ステップSb5〜Sb8を周期的に繰り返す(ステップSb9)。
図6は、信号フォーマットをQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)とし、立ち上げ処理の終了時点で、意図的にIn-Phase用の位相差調整用バイアス電圧に含まれる電圧V 7aの値を最適値から変更した場合の変調光の光パワーの実測値の変化を示すグラフである。図6において、横軸は、電圧V7aの最適値からの乖離量である。横軸が0の点は、電圧V7aが最適値であることを示す。縦軸は、変調光の光パワーを任意単位(arb: arbitrary unit)で示している。なお、図6に示す実測の際、電圧V7b及びV108は最適に保たれている。ここで、駆動信号の差動振幅(2×Vdata_a、又は2×Vdat a_b)を2×Vπ@RFで割った値をスイング率と定義する。図6における各シンボルは、スイング率の違いを示している。丸のシンボルは、スイング率が100%の場合を示している。三角のシンボルは、スイング率がおよそ50%の場合を示している。四角のシンボルは、スイング率がおよそ40%の場合を示している。QPSKにおいて、スイング率が50%であるとき、駆動電圧のRMS値は、Vπのおよそ0.5倍となる(ただし、ナイキストフィルタその他のフィルタリングはしていないものとする)。図6に示す実測値は、上述した図15に示すシミュレーション結果と概ね一致しているが、横軸の正負に対して非対称性が目立つ。これは、印加電圧に対する、IQ変調器1a出力の光電界の非線形性による。
図7は、駆動信号用バイアス電圧Vに対してディザリングを加えて同期検波を行ったときの測定結果を示すグラフである。横軸は、最適値からの乖離量である。横軸が0の点は、電圧V7aを含め全てのバイアスが最適値になっていることを示す。縦軸は、同期検波結果を任意単位(arb: arbitrary unit)で示している。図6と同じく、図7においても、各シンボルは、スイング率の違いを示しており、丸のシンボルは、スイング率が100%の場合を示している。三角のシンボルは、スイング率がおよそ50%の場合を示している。四角のシンボルは、スイング率がおよそ40%の場合を示している。横軸が、0の点で、同期検波結果は、概ね最小の極値となっている。横軸方向に僅かな誤差が存在するが、これは、IQ変調器1aの内蔵のパワーディテクタの誤差に由来する。参照するクロック信号の位相を反転させた場合、横軸が0の点で同期検波結果は、概ね最大の極値となる。ここで、留意すべき点は、同期検波結果の絶対値が最大となるのではなく、同期検波結果そのものが最小(又は最大)の極値の場合にバイアスが最適になる点である。スイング率が100%(丸のシンボル)では、バイアスが最適なときに同期検波結果が0となっている。これは最小の極値であるが、絶対値としては最大値ではない。
上記の第3実施形態の構成により、ディザリング部100aによって周波数fのディザリングが加えられた駆動信号用バイアス電圧Vを駆動信号±Vdata_a及び駆動信号±Vdata_bに加えてIQ変調器1aに印加する。これにより、IQ変調器1aのMZ型干渉計2a及びMZ型干渉計2bは、周波数fのディザリングを含むバイアス電圧でバイアスされた駆動信号±Vdata_a及び駆動信号±Vdata_bによりCW光に対して変調を行う。同期検波回路106は、フォトディテクタ105によって電気信号に変換された変調光を、ディザリング部100aが出力する周波数fのクロック信号に基づいて同期検波する。コントローラ部107aは、位相差調整用バイアス電圧発生器70a,70bに対して位相差調整用バイアス電圧の印加と掃引を開始させ、掃引により変化する同期検波の結果に基づいて変調光の光パワーの周波数f成分が最大であるか否かを判定し、最大となった場合に、掃引を停止させる。
また、コントローラ部107aは、非対称バイアスディザリングを用いてペアレントMZI用の変調光位相差調整用バイアス電圧V108を最適値に調整する。
これにより、立ち上げの際、MZ型干渉計2a,2bをヌル点にバイアスすることができる。また、通常運用状態へ移行した後も、周期的に変調光の光パワーの周波数f成分が最大であるか否かを判定することで、バイアスドリフトが発生した際にも、位相差調整用バイアス電圧V70±V7a及び位相差調整用バイアス電圧V70±V7bを最適値に戻すことができる。したがって、立ち上げの際又はバイアスドリフトが発生した際に、駆動振幅や変調フォーマットによらず、簡便かつ安定した手法でバイアスを速やかに最適値に制御することが可能となる。
なお、上記の第3実施形態において、駆動アンプ3a,3bは、一例として、4値データを受けて、駆動信号±Vdata_a、±Vdata_bを生成して出力するとしている。駆動信号±Vdata_a、±Vdata_bが、n値を有するRFの強度変調信号である場合、IQ変調器1aが出力する変調光は、n値のQAM信号となる。
また、上記の第3実施形態において、第2実施形態と同様に、IQ変調器1aとして、半導体型の光変調器ではなく、LiNbOの光変調器を用いる場合について説明する。この場合、駆動信号用バイアス電圧発生器4は必要でなくなる。コントローラ部107aが、駆動アンプ3a,3bの利得の制御を行う制御信号を送信し、その制御信号にディザリング部100aがディザリングを加えることで、駆動アンプ3a,3bの利得が、ディザリングされる。その結果、駆動信号±Vdata_a、±Vdata_bの振幅がディザリングされることになる。
(第3実施形態における他の実施形態)
第3実施形態による光送信器510では、上述したように、スイング率の大小に関わらず位相差調整用バイアス電圧V70±V7a,V70±V7b、及び変調光位相差調整用バイアス電圧V108を見出すことができる。ところで、IQ変調器1aの立ち上げの際のように位相差調整用バイアス電圧V70±V7a,V70±V7b、及び変調光位相差調整用バイアス電圧V108がランダムな初期値を有している場合、立ち上げ処理を迅速かつ確実に行うために、立ち上げシーケンス時においてのみ、スイング率を限定することが望ましい。例えば、どのような波長においても、スイング率が50%以下となるように駆動信号用バイアス電圧の初期値V40とIn-Phase用の駆動アンプ3aとQuadrature-Phase用の駆動アンプ3bの利得を設定したとする。上述したように、スイング率とは、「駆動信号の差動振幅(2×Vdata_a又は2×Vdata_b)/2×Vπ@RF」で表される。そのため、コントローラ部107aは、例えば、駆動信号の差動振幅の値を通常運用の状態よりも小さくするか、又は、Vπ@RFの半波長電圧を通常運用の状態よりも大きくすることで、スイング率を50%以下となるようにする。
この場合、ほとんど全ての多値QAM信号において、In-Phase用の位相差調整用バイアス電圧V70±V7a、及びQuadrature-Phase用の位相差調整用バイアス電圧V70±V 7bが最適であるときに、変調光の光パワーが最小となる(上述した図15における四角のシンボルに相当)。したがって、位相差調整用バイアス電圧の最適値を、変調フォーマットによらず、速やかに見つけることが容易となる。立ち上げ処理が終了した際に、コントローラ部107aは、通常運用状態におけるスイング率を達成できるように、駆動信号用バイアス電圧Vを設定し直し、第3実施形態と同様に通常運用を行う。
なお、上記のスイング率を立ち上げの際に限定する手法は、第1及び第2実施形態に対して適用してもよい。
なお、上記の第1、第2、及び第3実施形態では、同期検波回路106による同期検波により、変調光の光パワーの変動が最大となる位相差調整用バイアス電圧のV、V7a、V7bを検出している。しかしながら、本発明の実施形態は、上記の実施の形態に限られない。例えば、何らかの理由で同期検波が困難である場合、データの記録手段を設けて、駆動信号用バイアス電圧発生器4が出力するVを微小増加させた場合の光パワーとV を微小減少させた場合の光パワーの両者を記録手段に記録させ、両者の記録の差が最大となるようなV、V7a、V7bを検出する構成としてもよい。
(第4実施形態)
次に、本発明による第4実施形態について説明する。上述した第3実施形態による光送信器510では、ディザリング部100aによって周波数fのディザリングが加えられた駆動信号用バイアス電圧V4を、駆動信号±Vdata_a及び駆動信号±Vdata_ の両者に同様に加えた。この構成では、フォトディテクタ105の出力に重畳される周波数f成分は、In-Phase用の位相差調整用バイアス電圧およびQuadrature-Phase用の位相差調整用バイアス電圧の両者を反映する値となる。そのため、両者の影響の切り分けが困難となる。その結果、これらのバイアスに加えるべき最適なV7a、V7bを速やかに求めることが困難となる。この問題を避けるためには、In-Phase側の駆動信号用バイアス電圧VとQuadrature-Phase側の駆動信号用バイアス電圧Vとに、タイムシェアリングでディザリングを加えればよい。いいかえると、In-Phase側の駆動信号用バイアス電圧VとQuadrature-Phase側の駆動信号用バイアス電圧Vのいずれか一方にディザリングを加えている際には、他方にはディザリングを加えないように制御すればよい。
図8は、第4実施形態の光送信器510の構成を示すブロック図である。図8において、第1実施形態又は第2実施形態と同一の構成については同一の符号を付与し説明を省略する。以下、第1実施形態又は第2実施形態と異なる構成について説明する。
ディザリング部100aは、コントローラ部107aからの指示信号を受けて、予め定められる周波数fのディザリングを加える信号を生成する。ディザリング部100aは、生成された信号を、ディザリング加算器101a,101b,102a,102b,103a及び103bに出力する。ここで、ディザリング部100aは、ディザリング加算器101a、101b及び他のディザリング加算器にはタイムシェアリングでディザリングを加える。例えば、ディザリング加算器101aにディザリングが加えられている期間には、他のディザリング加算器にはディザリングが加わらない。例えば、ディザリング加算器101bにディザリングが加えられている期間には、他のディザリング加算器にはディザリングが加わらない。
ディザリング加算器101aは、駆動信号用バイアス電圧発生器4が出力する駆動信号用バイアス電圧Vにディザリングを加えてバイアス加算器5aa,5baに出力し、±Vdata_aをディザリングする。ディザリング加算器101bは、駆動信号用バイアス電圧発生器4が出力する駆動信号用バイアス電圧Vにディザリングを加えてバイアス加算器5ab,5bbに出力し、±Vdata_bをディザリングする。
コントローラ部107aは、同期検波回路106の同期検波の結果に基づいて、位相差調整用バイアス電圧発生器70a,70bが出力する位相差調整用バイアス電圧V70±V7a及びV70±V7bと、変調光位相差調整用バイアス電圧発生器108が出力する変調光位相差調整用バイアス電圧V108とを変化させる。ディザリング部100aがディザリング加算器101aを介してディザリングを行っている期間においては、コントローラ部107aは、位相差調整用バイアス電圧発生器70aのみを制御する。ディザリング部100aがディザリング加算器101bを介してディザリングを行っている期間においては、コントローラ部107aは、位相差調整用バイアス電圧発生器70bのみを制御する。
(第4実施形態によるバイアス電圧の制御処理)
図9は、第4実施形態によるバイアス電圧を制御する処理を示すフローチャートである。次に、図9を参照しつつ、第4実施形態における光送信器510の立ち上げの際におけるコントローラ部107aによる位相差調整用のバイアス電圧を制御する処理について説明する。ステップSb1〜Sb3およびSb7〜Sb9は、図5に示した処理と同様であるから説明を略する。図5におけるステップSb4〜Sb6は、本制御処理ではステップSb4a〜Sb6aとSb4b〜Sb6bに置き換えられる。実行される処理は図5と類似であるが、ステップSb4a〜Sb6aにおいては周波数fのディザリングはディザリング加算器101aを介して行われる。また、位相差調整用バイアス電圧発生器70aは電圧V7aのみを制御する。ステップSb4b〜Sb6bにおいては周波数fのディザリングはディザリング加算器101bを介して行われる。また、位相差調整用バイアス電圧発生器70bは電圧V7bのみを制御する。
(第4実施形態における他の実施形態)
第4実施形態では、上述したように、±Vdata_aと±Vdata_bとをタイムシェアリングでディザリングした。これに代えて、駆動アンプ3aと駆動アンプ3bの利得をタイムシェアでディザリングする構成としても良い。LiNbOを用いた光変調器は、半導体光変調器とは異なり、一般に駆動信号用バイアス電圧Vを用いない。また、Vπ@RFを変更することは困難である。そこで、第2実施形態と同様に、駆動アンプの利得をタイムシェアリングでディザリングすることにより、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
あるいは、これらのタイムシェアリングのディザリングに代えて、±Vdata_aと±Vdata_bとを同時に異なる周波数でディザリングする構成や、駆動アンプ3aと駆動アンプ3bの利得とを同時に異なる周波数f1およびf2でディザリングする構成としても良い。この場合、ディザリング部100aは同期検波回路106に周波数f1およびf2の2種類のクロック信号を出力し、同期検波回路106はこれらのクロック信号に基づいて2種類の同期検波を行い、これら2種の同期検波結果を用いて、In-Phase用の位相差調整用バイアス電圧およびQuadrature-Phase用の位相差調整用バイアス電圧の制御を行う。この構成では、In-Phase用の位相差調整用バイアス電圧およびQuadrature-Phase用の位相差調整用バイアス電圧の制御を同時に行うことが出来るという効果を有する。
あるいは、±Vdata_aと±Vdata_bとに同一の周波数ではあるが位相が90度異なるディザリングを加える構成や、駆動アンプ3aと駆動アンプ3bの利得とに同一の周波数ではあるが位相が90度異なるディザリングを加える構成としてもよい。この場合、ディザリング部100aは同期検波回路106に周波数fの、位相が90度異なる2つのクロック信号を出力し、同期検波回路106はこれらのクロック信号に基づいて2種類の同期検波を行い、これら2種の同期検波結果を用いて、In-Phase用の位相差調整用バイアス電圧およびQuadrature-Phase用の位相差調整用バイアス電圧の制御を行う。この構成では、In-Phase用の位相差調整用バイアス電圧およびQuadrature-Phase用の位相差調整用バイアス電圧の制御を同時に行うことが出来るだけでなく、発振器の発振周波数や同期検波回路内のバンドパスフィルタの中心周波数を1種類に統一出来るという効果をも有する。
(第5実施形態)
図9に示すフローチャートでは、まずIn-Phase用の前記MZ型干渉計の位相差調整用バイアス電圧を調整する(ステップSb4a〜Sb6a)。次にQuadrature-Phase用の前記MZ型干渉計の位相差調整用バイアス電圧を調整する(ステップSb4b〜Sb6a)。最後にペアレントMZ干渉計用の位相差調整用バイアス電圧を制御する(ステップSb7〜Sb8)。しかし、IQ変調器の構成によっては、ペアレントMZ干渉計用の位相差調整用バイアス電圧が最適でない状態においてステップSb4a〜Sb6aまたはステップSb4b〜Sb6aの制御を行うと、In-Phase用またはQuadrature-Phase用のバイアス電圧が最適ではない値にロックされることがある。
図10は、第5実施形態における実測値の例を示す図である。図10は図7と同様に、駆動信号用バイアス電圧Vに対してディザリングを加えて同期検波を行ったときの測定結果を示すグラフである。横軸も図7と同様に、電圧V7aの最適値からの乖離量である。横軸が0の点は、電圧V7aが最適値になっていることを示す。ただし、図7に記載の条件とは異なり、図10に示した測定において、電圧V7b及びV108は最適値とは異なる値に設定している。すなわち、Quadrature-Phase用のMZ型干渉計2bはヌル点にはバイアスされていない。また、ペアレントMZIにおいて、MZ型干渉計2aとMZ型干渉計2bの出力光の位相差は+π/2でもなく、−π/2でもない状態である。
図10には黒塗りの三角および白抜きの三角のシンボルを示しているが、これらのデータを測定した際のスイング率は図6及び図7における三角のシンボルのそれと等しい。どちらのシンボルでも電圧V7bの値は0Vであり、最適値ではない。黒塗りの三角のシンボルでは、V108は0Vであり、白抜きの三角のシンボルではV108はVπ@DCである。先述のとおり、黒塗りの三角のシンボルではMZ型干渉計2aとMZ型干渉計2bの出力光の位相差は+π/2ではなく、−π/2でもない。このため、白抜の三角のシンボルにおいても、MZ型干渉計2aとMZ型干渉計2bの出力光の位相差は+π/2ではなく、−π/2でもない。
まず図10における黒塗りの三角のシンボルに注目する。黒塗りの三角のシンボルが極小値をとるのは電圧V7aが−1.8Vのときである。次に、図10における白抜きの三角のシンボルに注目する。白抜きの三角のシンボルが極小値をとるのは電圧V7aが+1.8Vのときである。どちらの場合も極小値は電圧V7aが0とは異なる場合に得られる。つまり、どちらの場合も極小値は電圧V7aの最適値と一致しない。しかし、黒塗りの三角のシンボルの極小値と、白抜きの三角のシンボルの極小値とを比較すると、「電圧V 7a=0V」を挟んで対称的な位置に移動していることが分かる。これは、ペアレントMZIでの光位相差をπだけ増減させることにより、コンスタレーションの歪の向きが、最適な形状を基準として対称的に変化することに由来する。詳細な説明は参考文献(日本国特許公報5671130号)の段落0051〜0054および図1〜2に記載している。
この性質を利用して、ペアレントMZ干渉計用の位相差調整用バイアス電圧が最適でない状態から立ち上げ処理をスタートしても、In-Phase用またはQuadrature−Phase用のバイアス電圧を迅速に最適値にロックさせることが可能となる。図11に、その具体的な手順を示す。
図11及び図12は、第5実施形態によるバイアス電圧を制御する処理を示すフローチャートである。立上げ処理の最初に行うステップSc1〜Sc3は、図5および図9におけるステップSb1〜Sb3と同様である。次に行うステップSc4〜Sc6も、図9におけるステップSb4a〜Sb6aと同様である。第5実施形態では、周波数f成分が最大となるV7aの値をIn-Phase用の位相差調整用バイアス電圧として直ちに採用するのではなく、仮の候補として記録する(ステップSc7)。次に、ペアレントMZ干渉計用の位相差調整用バイアス電圧V108を、Vπ@DCだけ増加させる。次に、ステップSc9〜Sc11にて、ステップSc5〜Sc7と同一の処理を行う。ステップSc7とステップSc11において記録されたV7aの2つの候補値の平均値を求め、V7aをこの値に設定する(ステップSc12)。
Quadrature-Phase用の位相差調整用バイアス電圧に関しても同様の処理を行い、V7bの電圧値を設定する(ステップSc13〜Sc21)。ただし、ペアレントMZ干渉計用の位相差調整用バイアス電圧V108の変更範囲を低減させるために、ステップSc17においてはV108のをVπ@DC増加させるのではなくVπ@DC減少させることがより望ましい。
最後に、ステップSc22において、ペアレントMZ干渉計用の位相差調整用バイアス電圧V108を図9におけるステップSb8と同様にして最適化し、立ち上げ処理を終了させる。
本実施例では、ステップSc8およびSc17におけるペアレントMZ干渉計用の位相差調整用バイアス電圧V108の変更量をVπ@DCとし、V7aおよびV7bのそれぞれについて2種類の候補値の平均値をとった。だが、電圧V108の変更量を「Vπ@DC÷n」とし、V7aおよびV7bのそれぞれについてn+1種類の候補値の平均値をとる構成としてもよい。ここで「n」は自然数である。
(実施例のバリエーション)
今まで述べてきた実施例では、MZ型干渉計の2つのアームの光位相差を、プッシュプルで制御した。すなわち、片方のアームの位相差調整用バイアス電極にV70+V7aという電圧を印加すると同時に、他方のアームの位相差調整用バイアス電極にV70‐V7aという電圧を印加し、片方の遅延が増加するならば他方の遅延が減少するという形での制御を行った。しかし、プッシュプルではなく単相での制御を行う構成としても良い。たとえば、片方のアームの位相差調整用バイアス電極にV70+V7aという電圧で印加するが、他方のアームの位相差調整用バイアス電極はグランドレベルに落としても良い。この構成は、光位相の変動が複雑になるというデメリットを有するが、その一方で装置構成が単純化されるというメリットをも有する。
また、図4に示したIQ変調器の構成は、市販品として標準的な構成である。しかしながら、In-Phase用のMZ型干渉計2aとQuadrature-Phase用のMZ型干渉計2bの各々の出力を個別にモニタする光パワモニタを配置することができるならば、より安定したバイアス制御が可能となる。図13は、このようなIQ変調器の具体例を示す図である。なお、図13では、変調器駆動系の図示を省略した。
In-Phase用のMZ型干渉計2aとQuadrature-Phase用のMZ型干渉計2bの各々の出力をIn-Phase用のタップ部500a、Quadrature-Phase用のタップ部500bにてタップする。これらのタップされた光をIn-Phase用のフォトディテクタ501aおよびQuadrature用のフォトディテクタ501bでモニタする。モニタされた光パワーは、In-Phase用のABC回路502aおよびQuadrature-Phase用のABC回路502bに入力される。これらのABC回路は、図1に示した同期検波回路106、ディザリング部100、コントローラ部107と同等の回路を各々有している。ここで、IQ変調器が有するIn-Phase用のMZ型干渉計2aとQuadrature-Phase用のMZ型干渉計2bは、ヌル点にバイアスされ、かつプッシュプルな駆動信号で駆動されるという意味において、第1実施形態および第2実施形態で示したCS−RZ光生成用変調器と同一である。従って、In-Phase用のABC回路502aおよびQuadrature-Phase用のABC回路502bは、第1実施形態および第2実施形態に記載した方法と同一の方法でIn-Phase用のMZ型干渉計2aとQuadrature-Phase用のMZ型干渉計2bのバイアスを制御することが出来る。ペアレントMZ干渉計用の位相差調整用バイアス電圧V108は、ペアレントMZ干渉計用のABC回路502cによって制御される。その具体的な方法は、例えば(第3実施形態によるバイアス電圧の制御処理)において説明した技術や非特許文献1に記載の公知の技術で実現可能である。
この構成においては、ペアレントMZ干渉計用の位相差調整用バイアス電圧が最適でない状態であっても、なんら影響を受けることなくIn-Phase用のMZ型干渉計2aとQuadrature-Phase用のMZ型干渉計2bのバイアスを最適値に設定できるというメリットを有する。一方、3台のパワモニタが必要となるほか、独立した3台のバイアス制御回路が必要となるというデメリットを有する。
今まで述べてきた実施例では、MZ型干渉計のバイアスを制御するにあたり、同期検波結果を極値(チャイルドMZI制御時)、または0(ペアレントMZI制御時)としてきた。しかし変調器内蔵のパワモニタの強度変化は、変調器の構造上の不完全性により、変調器出力の強度変化を正確に反映しないことがある。このような場合、同期検波結果が極値または0となる位相差調整用バイアス電圧Vpeakに、予め定められた微調整用オフセット値Voffsetを加えた値Vpeak+Voffsetを位相差調整用バイアス電圧として採用してもよい。これは、同期検波結果に予め定められた数値を加える、あるいは位相差調整用バイアス電圧対同期検波結果の傾斜が予め定められた勾配となるようにフィードバックループを設定することで実現可能である。
上述した実施形態におけるコントローラ部107,107−1,107aをコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
本発明は、光送信器及びバイアス電圧の制御方法に適用してもよい。
1…半導体光変調器
2…MZ型干渉計
3…駆動アンプ
4…駆動信号用バイアス電圧発生器
5a,5b…バイアス加算器
6a,6b…駆動信号入力電極
70…位相差調整用バイアス電圧発生器
7a,7b…位相差調整用バイアス電極
100…ディザリング部
101…ディザリング加算器
104…タップ部
105…フォトディテクタ
106…同期検波回路
107…コントローラ部
300,301,302,310,311…光導波路

Claims (11)

  1. 2つの光導波路を有するMZ型干渉計と、
    前記2つの光導波路をそれぞれ伝播する2つ光信号の光位相を変化させる駆動信号を印加する駆動信号入力電極と、
    前記2つの光信号の光位相を変化させて、前記2つの光信号の光位相差を調整する位相差調整用バイアス電圧を印加する位相差調整用バイアス電極と、
    を有する光変調器と、
    前記駆動信号を生成して前記駆動信号入力電極に印加する駆動アンプと、
    前記位相差調整用バイアス電圧を生成して前記位相差調整用バイアス電極に印加する位相差調整用バイアス電圧発生器と、
    前記駆動信号の振幅又は前記MZ型干渉計の半波長電圧に対して、予め定められる周波数のディザリングを加えるディザリング部と、
    前記光変調器から出力される変調光に重畳される前記周波数の変調成分に基づいて、前記位相差調整用バイアス電圧発生器が生成する前記位相差調整用バイアス電圧を変更させ、前記MZ型干渉計をヌル点にバイアスするコントローラ部と、
    前記光変調器から出力される前記変調光に重畳される前記周波数の変調成分を同期検波する同期検波回路と、
    を備え、
    前記コントローラ部は、前記同期検波回路の同期検波の結果が、最大又は最小になるように前記位相差調整用バイアス電圧発生器が生成する前記位相差調整用バイアス電圧を変更させて前記MZ型干渉計をヌル点にバイアスし、
    前記コントローラ部が前記同期検波の結果を最大とするか最小とするかは参照するクロック信号の位相とディザリングの位相と差によって決定され前記駆動信号の振幅に依存しない光送信器。
  2. 前記光変調器は、IQ変調器であり、
    前記MZ型干渉計は、In-Phase用のMZ型干渉計と、Quadrature-Phase用のMZ型干渉計とを含み、
    前記駆動信号入力電極は、前記In-Phase用のMZ型干渉計に対応付けられる駆動信号入力電極と、前記Quadrature-Phase用のMZ型干渉計に対応付けられる駆動信号入力電極とを含み、
    前記位相差調整用バイアス電極は、前記In-Phase用のMZ型干渉計に対応付けられる位相差調整用バイアス電極と、前記Quadrature-Phase用のMZ型干渉計に対応付けられる位相差調整用バイアス電極を含み、
    前記駆動アンプは、前記In-Phase用のMZ型干渉計に対して設けられる駆動アンプと、前記Quadrature-Phase用のMZ型干渉計に対して設けられる駆動アンプとを含み、
    前記位相差調整用バイアス電圧発生器は、前記In-Phase用のMZ型干渉計に対して設けられる位相差調整用バイアス電圧発生器と、前記Quadrature-Phase用のMZ型干渉計に対して設けられる位相差調整用バイアス電圧発生器とを含み、

    前記コントローラ部は、
    前記IQ変調器から出力される変調光に重畳される前記周波数の変調成分に基づいて、前記In-Phase用のMZ型干渉計に対して設けられる位相差調整用バイアス電圧発生器が印加する位相差調整用バイアス電圧および前記Quadrature-Phase用のMZ型干渉計に対して設けられる位相差調整用バイアス電圧発生器が印加する位相差調整用バイアス電圧を変更させて前記In-Phase用のMZ型干渉計および前記Quadrature-Phase用のMZ型干渉計の各々をヌル点にバイアスする請求項1に記載の光送信器。
  3. 前記ディザリング部は、
    前記駆動信号の振幅に前記周波数のディザリングを加える際に、前記駆動アンプの利得を変更することにより前記ディザリングを加える請求項1又は請求項2に記載の光送信器。
  4. 前記駆動信号をバイアスする駆動信号用バイアス電圧を生成して出力する駆動信号用バイアス電圧発生器をさらに備え、
    前記ディザリング部は、
    前記MZ型干渉計の半波長電圧にディザリングを加える際に、前記駆動信号用バイアス電圧を変更することにより前記ディザリングを加える請求項1又は請求項2に記載の光送信器。
  5. 前記コントローラ部は、
    立ち上げの際に前記駆動信号の振幅を通常運用の状態の振幅よりも小さくする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光送信器。
  6. 前記コントローラ部は、
    立ち上げの際に前記MZ型干渉計の半波長電圧を通常運用の状態の振幅よりも大きくする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光送信器。
  7. 前記ディザリング部は、前記IQ変調器の持つ前記In-Phase用のMZ型干渉計と前記Quadrature-Phase用のMZ型干渉計との駆動信号の振幅または半波長電圧に対して、前記In-Phase用のMZ型干渉計と前記Quadrature-Phase用のMZ型干渉計とのいずれか一方にディザリングを加えている際には、前記In-Phase用のMZ型干渉計と前記Quadrature-Phase用のMZ型干渉計との他方にはディザリングを加えないように制御する、請求項2に記載の光送信器。
  8. 前記ディザリング部は、前記IQ変調器の持つ前記In-Phase用のMZ型干渉計と前記Quadrature-Phase用のMZ型干渉計との駆動信号の振幅または半波長電圧に対して、異なる周波数または異なる位相のディザリングを加える請求項2に記載の光送信器。
  9. 前記コントローラ部は、前記IQ変調器の立ち上げシーケンスにおいて、前記In-Phase用のMZ型干渉計の出力光と前記Quadrature-Phase用のMZ型干渉計の出力光との2つの光の位相差をn(nは自然数)回変更する機能を有し、
    前記コントローラ部は、前記n回の変更毎に、前記同期検波回路の同期検波の結果が最大又は最小になる前記位相差調整用バイアス電圧を候補値として記録し、得られたn種類の候補値の平均値を前記位相差調整用バイアス電圧として採用する、請求項2に記載の光送信器。
  10. 前記コントローラ部は、前記同期検波回路によって得られた同期検波結果が極値または0となる位相差調整用バイアス電圧Vpeakに対して、予め定められた微調整用オフセット値Voffsetを加えた電圧Vpeak+Voffsetとなるように、位相差調整用バイアス電圧を設定する、請求項2または請求項9に記載の光送信器。
  11. 2つの光導波路を有するMZ型干渉計を有する光変調器を備える光送信器におけるバイアス電圧の制御方法であって、
    前記2つの光導波路をそれぞれ伝播する2つの光信号の光位相を変化させる駆動信号を印加するステップと、
    前記2つの光信号の光位相を変化させて、前記2つの光信号の光位相差を調整する位相差調整用バイアス電圧を印加するステップと、
    前記駆動信号の振幅又は前記MZ型干渉計の半波長電圧に対して、予め定められる周波数のディザリングを加えるステップと、
    前記光変調器から出力される変調光に重畳される前記周波数の変調成分に基づいて、前記位相差調整用バイアス電圧を変更させ、前記MZ型干渉計をヌル点にバイアスするステップと、
    前記光変調器から出力される前記変調光に重畳される前記周波数の変調成分を同期検波するステップと、
    を有し、
    前記バイアスするステップは、前記同期検波の結果が、最大又は最小になるように前記位相差調整用バイアス電圧を変更させて前記MZ型干渉計をヌル点にバイアスするステップを有し、
    前記同期検波の結果を最大とするか最小とするかは参照するクロック信号の位相とディザリングの位相と差によって決定され前記駆動信号の振幅に依存しないバイアス電圧の制御方法。
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