JP2020125382A - インク及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】非吸収性メディアに対する濡れ性、乾燥性に優れ、かつ高光沢な印刷物を提供するインク、該インクを用いるインクジェット記録方法、及び該インクにより着色された記録メディアの提供。【解決手段】少なくとも、水不溶性の着色剤、分散剤、3種類以上の有機溶剤、及び水を含有するインクであって、3種類以上の有機溶剤のうちの1つである、有機溶剤1の水−オクタノール分配係数が−1.50〜1.00であり、3種類以上の有機溶剤のうちの1つである、有機溶剤2の水−オクタノール分配係数が1.10〜3.50であり、上記の有機溶剤1から選択される2種類以上の有機溶剤と、上記の有機溶剤2から選択される1種類以上の有機溶剤と、を含有するインクにより、前記の課題を解決できた。【選択図】なし

Description

本発明は、非吸収性メディアに対する濡れ性や乾燥性に優れ、かつ高光沢な印刷物を提供するインク、該インクを用いるインクジェット記録方法、及び該インクにより着色された記録メディアに関する。
各種のカラー記録方法の中でも代表的方法の1つであるインクジェットプリンタによる記録方法は、インクの小滴を発生させ、これを紙等の記録メディアに付着させ記録を行うものである。近年では産業用途としての需要が高まり、様々な記録メディアへの対応が求められている。
特にPET(ポリエチレンテレフタレート)やPP(ポリプロピレン)のようなフィルムに代表される非吸収性メディアに対しては、有機溶剤を主成分とした溶剤インクや、重合性モノマーを含有させたUVインク等の開発が進められてきた。しかしながら、これらのインクはVOCや皮膚感作性のような安全上の問題が多く、用途に限りがあった。
そこで現在、特許文献1、2にあるように、前処理液などと併用させることにより、水を主成分としながらも非吸収性メディアに対して濡れ性が良好な水系インクの開発が盛んになってきている。
しかしながら、前処理液を使用するとコストがかかることや、前処理液の塗工ムラなどの問題があり、濡れ性を担保しながら乾燥性が良く、かつムラのない高光沢な印刷物を提供する水系インクの開発が求められている。
特開2018−108651 特開2018−138353
本発明は、非吸収性メディアに対する濡れ性、乾燥性に優れ、かつ高光沢な印刷物を提供するインク、該インクを用いるインクジェット記録方法、及び該インクにより着色された記録メディアの提供を課題とする。
本発明者らは、上記したような課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記[1]に記載のインクによって上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の[1]に関する。
[1]
水不溶性の着色剤、分散剤、3種類以上の有機溶剤、及び水を含有するインクであって、
3種類以上の有機溶剤のうちの1つである、有機溶剤1の水−オクタノール分配係数が−1.50〜1.00であり、
3種類以上の有機溶剤のうちの1つである、有機溶剤2の水−オクタノール分配係数が1.10〜3.50であり、
上記の有機溶剤1から選択される2種類以上の有機溶剤と、
上記の有機溶剤2から選択される1種類以上の有機溶剤と、を含有するインク。。
本発明により、非吸収性メディアに対する濡れ性、乾燥性に優れ、かつ高光沢な印刷物を提供するインク、該インクを用いるインクジェット記録方法、及び該インクにより着色された記録メディアを提供できた。
[水不溶性の着色剤]
上記の着色剤は、水不溶性の着色剤であれば特に限定されない。例えば、公知の顔料、分散染料、及び溶剤染料等が使用できる。本明細書において水不溶性の着色剤とは、25℃の水1リットルに対する溶解度が通常5g以下、好ましくは3g以下、より好ましくは1g以下、さらに好ましくは0.5g以下の着色剤を意味する。溶解度の下限は0gを含む。
なお、特に断りのない限り「水不溶性の着色剤」を、以下「着色剤」という。
着色剤は併用することができる。前記インクが含有する着色剤の種類は通常3種類以上、黒インクのときは3〜5種類が好ましく、黒インク以外のカラーインクのときは通常3種類、好ましくは2種類、又は1種類である。但し、黒インクが着色剤としてカーボンブラックを含有するときは、着色剤の種類は2種類、又は1種類が好ましい。本明細書において、カラーインクとは黒インク以外の有色インク(例えばイエロー、マゼンタ、シアン、レッド、オレンジ、ブラウン、バイオレット、ブルー、グリーン等の各色のインク)を意味する。
また、顔料、分散染料、及び溶剤染料の中では顔料が好ましい。顔料としては、無機顔料、有機顔料、及び体質顔料等が挙げられる。
無機顔料としては、例えばカーボンブラック、酸化チタン、金属酸化物、水酸化物、硫化物、フェロシアン化物、及び金属塩化物等が挙げられる。
黒インクが含有する着色剤としてはサーマルブラック、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、ガスファーネスブラック、ランプブラック、ガスブラック、及びチャンネルブラック等のカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックの具体例としては、例えば、コロンビア・カーボン社製のRavenシリーズ;キャボット社製のMonarchシリーズ、Regalシリーズ、及びMogulシリーズ;オリオンエンジニアドカーボンズ社製のColorBlackシリーズ、Printexシリーズ、SpecIalBlackシリーズ、及びNeroxシリーズ;三菱化学社製のMAシリーズ、MCFシリーズ、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、及びNo.2300等が挙げられる。
有機顔料として、例えばアゾ、ジアゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、ジオキサジン、ペリレン、ペリノン、チオインジゴ、アンソラキノン、及びキノフタロン等の各種の顔料が挙げられる。
有機顔料の具体例としては、例えばC.I.Pigment Yellow 1、2、3、12、13、14、16、17、24、55、73、74、75、83、93、94、95、97、98、108、114、128、129、138、139、150、151、154、180、185、193、199、202、213等のイエロー;C.I.Pigment Red 5、7、12、48、48:1、57、88、112、122、123、146、149、150、166、168、177、178、179、184、185、202、206、207、254、255、257、260、264、272等のレッド;C.I.Pigment Blue 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、25、60、66、80等のブルー;C.I.Pigment Violet 19、23、29、37、38、50等のバイオレット;C.I.Pigment Orange 13、16、68、69、71、73等のオレンジ;C.I.Pigment Green7、36、54等のグリーン;C.I.Pigment Black 1等のブラックの各色の顔料が挙げられる。
体質顔料としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、クレー、硫酸バリウム、及びホワイトカーボン等が挙げられる。体質顔料は、他の着色剤と併用されることが多い。
分散染料としては、公知の分散染料が挙げられる。それらの中ではC.I.Dispersから選択される染料が好ましい。その具体例としては、例えば、C.I.Dispers Yellow9、23、33、42、49、54、58、60、64、66、71、76、79、83、86、90、93、99、114、116、119、122、126、149、160、163、165、180、183、186、198、200、211、224、226、227、231、237等のイエロー;C.I.Dispers Red 60、73、88、91、92,111、127、131、143、145、146、152、153、154、167、179、191、192、206、221、258、283等のレッド;C.I.Dispers Orange 9、25、29、30、31、32、37、38、42、44、45、53、54、55、56、61、71、73、76、80、96、97等のオレンジ;C.I.Dispers Violet 25、27、28、54、57、60、73、77、79、79:1等のバイオレット;C.I.Dispers Blue 27、56、60、79:1、87、143、165、165:1、165:2、181、185、197、202、225、257、266、267、281、341、353、354、358、364、365、368等のブルーの各色の分散染料が挙げられる。
前記インクの総質量に対する着色剤の含有量は、通常1〜30%、好ましくは1〜10%、より好ましくは2〜7%である。
また、着色剤の平均粒径は通常50nm〜250nm、好ましくは60nm〜200nmである。本明細書において平均粒径とは、レーザ光散乱法を用いて測定した粒子の平均粒径を言う。
[分散剤]
上記の分散剤としては特に制限されず、公知の分散剤が使用できる。分散剤は、水不溶性の着色剤をインク中に分散する目的で使用する。分散剤としては、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基等の、遊離の形で酸性を示す官能基を有する分散剤が好ましい。それらの中ではスチレン、(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリル酸から選択されるモノマー(好ましくは、2種類以上のモノマー、より好ましくは2〜6種類のモノマー、より好ましくは2〜4種類のモノマー、さらに好ましくは2〜3種類のモノマー)から構成される重合体が好ましい。
なお、本明細書において(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの両方を含む意味で使用し、(メタ)アクリル酸等も同様である。
(メタ)アクリレートとしてはアルキル(メタ)アクリレート、及びアリールアルキル(メタ)アクリレートから選択されるモノマーが好ましく、アルキルメタクリレート、及びアリールアルキルメタクリレートから選択されるモノマーが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートとしてはC1−C4アルキル(メタ)アクリレートが好ましく、C1−C4アルキルメタクリレートがより好ましく、メチルメタクリレート及びブチルメタクリレートから選択されるアルキル(メタ)アクリレートがさらに好ましく、n−ブチルメタクリレートが特に好ましい。
アリールアルキル(メタ)アクリレートとしてはC6−C10アリールC1−C4アルキル(メタ)アクリレートが好ましく、C6−C10アリールC1−C4アルキルメタクリレートがより好ましく、フェニルC1−C4アルキルメタクリレートがさらに好ましく、ベンジルメタクリレートが特に好ましい。
上記の重合体としては、アルキル(メタ)アクリレート、アリールアルキル(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリル酸から少なくとも1種類ずつ選択されるモノマーからなる重合体;及び、スチレン−(メタ)アクリル系の重合体から選択される重合体が好ましい。
上記アルキル(メタ)アクリレート、アリールアルキル(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリル酸から少なくとも1種類ずつ選択されるモノマーからなる重合体としては、Aブロック及びBブロックの2つのブロックから構成されるA−Bブロックポリマーが好ましい。
Aブロックはアリールアルキル(メタ)アクリレートで構成されるのが好ましく、(メタ)アクリル酸を含むことができる。このときの(メタ)アクリル酸の含有量は、アリールアルキル(メタ)アクリレートに対して通常0〜5モル%、好ましくは0〜3モル%、より好ましくは0〜1モル%、さらに好ましくは0〜0.1モル%である。
Bブロックはアルキル(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリル酸から構成される共重合体が好ましい。
上記A−Bブロックポリマーとしては、水不溶性ポリマーが好ましい。本明細書において水不溶性ポリマーとは、25℃の水1リットルに対する溶解度が通常5g以下、好ましくは3g以下、より好ましくは1g以下、さらに好ましくは0.5g以下を意味する。溶解度の下限は0gを含む。そのようなA−Bブロックポリマーとしては、例えば、国際公開2013/115071号ガゼットが開示するリビングラジカル重合法により得られるA−Bブロックポリマーが挙げられる。
上記の分散剤は、国際公開2013/115071号ガゼットが開示するA−Bブロックポリマーと、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。また、A−Bブロックポリマーの製造方法等についても同様である。
スチレン−(メタ)アクリル系の重合体としては、BASF社製のJoncrylシリース゛が好ましい。
分散剤の酸価は通常80〜140mgKOH/g、好ましくは90〜130mgKOH/g、より好ましくは100〜120mgKOH/gである。酸価をこれらの範囲にすることにより、分散性、及び保存安定性を良好にできる。
中和剤としては、例えば、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、脂肪族アミン化合物及びアルカノールアミン化合物等が挙げられる。アンモニア及びアルカリ金属の水酸化物が好ましく、アンモニアが特に好ましい。
中和剤の使用量は特に制限されない。その目安としては、分散剤の酸価の理論等量で中和したときを100%中和度として、通常30〜300%中和度、より好ましくは50〜200%中和度である。
上記の分散剤は、水不溶性の着色剤と混合した状態で使用することができる。また、水不溶性の着色剤の表面に分散剤を被覆させた状態として使用することもできる。また、これらの両方を併用することもできる。本明細書において「被覆」とは、水不溶性の着色剤の表面の全てを分散剤で覆った状態、及び、水不溶性の着色剤の表面の一部を分散剤で覆った状態の両方を意味する。
分散剤を使用するとき、水不溶性の着色剤の総質量に対する分散剤の総質量の比は通常0.1〜1.0、好ましくは0.1〜0.6、より好ましくは0.2〜0.5である。
[有機溶剤]
上記インクは3種類以上の有機溶剤を含有する。そのうちの1つである有機溶剤1は、水−オクタノール分配係数が通常−1.50〜1.00、好ましくは−1.30〜1.00、より好ましくは−1.00〜0.85である。
また、そのうちの1つである有機溶剤2は、水−オクタノール分配係数が通常1.10〜3.50、好ましくは1.20〜3.00、より好ましくは1.20〜2.50である。
上記インクは、有機溶剤1から選択される2種以上の有機溶剤と、有機溶剤2から選択される1種類以上の有機溶剤とを含有する。
本明細書において「水−オクタノール分配係数」とは、計算により求めた値である。具体的には、Perkin Elmer社製のChemDraw Professional ver.16.0を用いて計算した「Clog P」の数値を意味する。このようにして計算した数値は、小数点以下の桁数が一定ではない。このため、本明細書においては小数点以下3桁目を四捨五入して、小数点以下2桁目までを記載する。また、計算値が小数点以下2桁までとなるときは、その数値をそのまま記載する。また、計算値が、小数点以下2桁を有さないときは、小数点以下2桁目となるまでの各桁の数値を「ゼロ」と見なして、いずれも小数点以下2桁目までを記載する。また、本明細書においては「水−オクタノール分配係数」を「Clog P」と記載することがある。
上記のClog Pを有する有機溶剤1としては、例えば、トリエチレングリコール(−1.48)エチレングリコール(−1.37)2−ピロリドン(−0.97)、ジプロピレングリコール(−0.69)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(−0.39)、1,6−ヘキサンジオール(−0.11)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(−0.03)、2−メチル−2,4−ペンタンジオール(−0.02)、1,2−ペンタンジオール(−0.00)、エチレングリコールモノアリルエーテル(0.03)、イソプロピルアルコール(0.07)、イソプロピルグリコール(0.09)、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(0.13)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(0.36)、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(0.42)、ブチルトリグリコール(0.49)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(0.52)、1,2−ヘキサンジオール(0.53)、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル(0.54)、プロピルプロピレングリコール(0.62)、ブチルジグリコール(0.67)、ジプロピレングリコール n−プロピルエーテル(0.75)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(0.82)等が挙げられる。
上記のClog Pを有する有機溶剤2としては、例えば、プロピレングリコール n−ブチルエーテル(1.15)、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(1.26)、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル(1.28)、1,2−オクタンジオール(1.58)、ヘキシルジグリコール(1.72)、2−ブチル−4−エチル−1,6−ヘキサンジオール(2.55)、ジブチルジグリコール(2.63)、テキサノール(2.74)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアジペート(3.49)等が挙げられる。なお、括弧内の数値はClog Pの数値である。
上記の有機溶剤の、インクの総質量中における総含有量は通常1〜40%、好ましくは3〜30%、より好ましくは5〜20%である。さらに、総溶剤中、有機溶剤1と有機溶剤2の比率(有機溶剤1/有機溶剤2)は、通常1〜50、好ましくは3〜40、より好ましくは5〜35である。
[界面活性剤]
上記インクは、界面活性剤をさらに含有することができる。産業用インクジェットプリンタの印刷速度は、通常可変である。このため、印刷速度に基づき、インクの表面張力を適正に調整することが好ましい。インクの表面張力は、界面活性剤をインクに加えることにより、調整することができる。
界面活性剤としてはアニオン、カチオン、ノニオン、両性、シリコーン系、及びフッ素系の各界面活性剤が挙げられ、これらの中から1種類以上を選択して使用することができる。これらの中ではノニオン、及びシリコーン系から選択される界面活性剤が好ましく;ノニオン、及びシリコーン系の中から、少なくとも1種類以上のシリコーン系界面活性剤を選択するのよりが好ましく;シリコーン系の中から選択される、1種類以上の界面活性剤がさらに好ましい。
アニオン界面活性剤としてはアルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸およびその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール(アルコール)系;日信化学株式会社製のサーフィノール 104、105PG50、82、420、440、465、485、オルフィン STG;ポリグリコールエーテル系(例えばSIGMA−ALDRICH社製のTergItol 15−S−7等);等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、ポリエーテル変性シロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。その一例としては、BYK−345、BYK−348(ビックケミー社製、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)、BYK−347(同、ポリエーテル変性シロキサン)、BYK−349、BYK−3455、BYK−LP−X23288、BYK−LP−X23289、BYK−LP−X23347等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸系化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物等が挙げられる。その一例としては、DuPont社製のZonyl TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、Capstone FS−30、FS−31;オムノバ社製のPF−151N、PF−154N;DIC社製のF−114、F−410、F−444、EXP.TF−2066、EXP.TF−2148、EXP.TF−2149、F−430、F−477、F−552、F−553、F−554、F−555、F−556、F−557、F−558、F−559、F−561、F−562、R−40、R−41、RS−72−K、RS−75、RS−76−E、RS−76−NS、RS−77、EXP.TF−1540、EXP.TF−1760;ビックケミー社製のBYK−3440、BYK−3441等が挙げられる。
さらに、上記インクは、例えば、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、酸化防止剤、樹脂エマルション、ワックス剤等のインク調製剤を、必要に応じて含有することができる。
防腐剤の例としては、例えば有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリールスルホン系、ヨードプロパギル系、ハロアルキルチオ系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系又は無機塩系等の化合物が挙げられる。
防腐剤の市販品の具体例としては、アーチケミカル社製、商品名プロクセルGXL(S)やプロクセルXL−2(S)等が挙げられる。
防黴剤の具体例としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。
pH調整剤としては、調製されるインクに悪影響を及ぼさずに、そのpHを上記の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。その具体例としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化アンモニウム(アンモニア水);あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;ケイ酸ナトリウム、酢酸カリウム等の有機酸のアルカリ金属塩;リン酸二ナトリウム等の無機塩基;等が挙げられる。
キレート試薬の具体例としては、例えばエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム又はウラシル二酢酸ナトリウム等があげられる。
防錆剤の具体例としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール又はジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等があげられる。
水溶性紫外線吸収剤の例としては、例えばスルホ化されたベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾ−ル系化合物、サリチル酸系化合物、桂皮酸系化合物又はトリアジン系化合物が挙げられる。
酸化防止剤の例としては、例えば、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。上記有機系の褪色防止剤の例としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類又は複素環類等が挙げられる。
樹脂エマルションを構成するモノマーとしては、スチレン誘導体、メタクリル酸誘導体及びアクリル酸誘導体から選択されるモノマーが挙げられる。
樹脂エマルションの添加量としては、インク総量中0.5%以上15%以下であることが好ましく、1%以上10%以下がより好ましい。
ワックスの形態として、ワックスエマルジョンが好ましく、水系ワックスエマルジョンであることが特に好ましい。ワックスエマルジョンとしては、天然ワックス及び化学合成ワックスを用いることができる。天然ワックスとしては、石油系ワックスであるパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等、褐炭系ワックスであるモンタンワックス等、あるいは植物系ワックスであるカルナバワックス、キャンデリアワックス等、動植物系ワックスである蜜蝋、ラノリン等を水性媒体中に分散させたエマルジョン;化学合成ワックスとしてはホモポリマーワックスであるポリエチレン、ポリプロピレン、フィッシャートロップ等、コポリマーワックスであるエチレン酢酸ビニル、エチレンアクリル酸等を水性媒体中に分散させたエマルジョン等が挙げられる。これらのワックスは単独で用いても良いし、組み合わせて用いてもよい。
ワックス剤の添加量としては、インク総量中0.5%以上15%以下であることが好ましく、1%以上10%以下がより好ましい。
前記インクに対して、必要に応じて精密濾過をすることができる。精密濾過をするときは、メンブランフィルター及び/又はガラス濾紙等を用いることができる。前記インクをインクジェット記録に用いるときは、精密濾過を行うことが好ましい。精密濾過を行うときのフィルター等の孔径は通常0.5μm〜20μm、好ましくは0.5μm〜10μmである。
上記インクのpHとしては、保存安定性を向上させる目的で、pH5〜11が好ましく、pH6〜10がより好ましい。また、インクの表面張力としては、10〜50mN/mが好ましく、20〜40mN/mがより好ましい。さらに、インクの粘度としては、30mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以下がより好ましい。
上記インクをインクジェット記録用のインクとして使用するとき、該インクが含有する金属陽イオンの塩化物(例えば塩化ナトリウム)、硫酸塩(例えば硫酸ナトリウム)等の無機不純物の含有量は、少ないものを用いるのが好ましい。無機不純物は、一般に、市販品として入手する着色剤が含有していることが多い。その無機不純物含有量の目安は、おおよそ着色剤の総質量に対して1質量%以下程度であり、下限は分析機器の検出限界以下、すなわち0%でよい。無機不純物の少ない着色剤を得る方法としては、例えば逆浸透膜を用いる方法;着色剤の固体をメタノール等のC1−C4アルコール及び水の混合溶媒中で懸濁撹拌し、着色体を濾過分離して、乾燥する方法;又は、イオン交換樹脂で無機不純物を交換吸着する方法;等の脱塩処理が挙げられる。
上記インクは、各種の記録・印刷分野において使用することができる。例えば、筆記用水性インク、水性印刷インク、情報記録インク、捺染等に好適である。特に、インクジェット記録に用いることが好ましく、後述するインクジェット記録方法において好適に使用される。
上記インクジェット記録方法は、上記インクの液滴を、記録信号に応じて吐出させて記録メディアに付着させることにより記録を行う方法である。記録の際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
上記インクジェット記録方法は、公知のいずれの方式であってもよい。例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式;ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式ともいう。);電気信号を音響ビームに変えインクに照射し、その放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式;インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット、すなわちバブルジェット(登録商標)方式;等が挙げられる。
なお、上記インクジェット記録方法には、フォトインクと称する、インク中の着色剤の含有量の低いインクを、小さい体積で多数射出する方式;実質的に同じ色相で、インク中の着色剤の含有量が異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式;及び、無色透明のインクと、着色剤を含有するインクとを併用することにより、記録メディアに対する着色剤の定着性を向上させる方式等も含まれる。
上記の記録メディアとしては特に制限はないが、インク難吸収性の記録メディアが好ましく、インク非吸収性の記録メディアが特に好ましい。インク難吸収性の記録メディアの例としては、インク受容層を有しない普通紙、グラビア印刷やオフセット印刷等に用いられるメディア、アート紙、コート紙、マット紙、キャスト紙等が挙げられる。また、インク非吸収性の記録メディアとしてはPET(ポリエチレンテレフタレート)やPP(ポリプロピレン)、塩化ビニルシート、ガラス、ゴム等が挙げられる。
上記インクジェット記録方法で記録メディアに記録するときは、例えば上記のインクを含有する容器をインクジェットプリンタの所定の位置にセットし、上記の記録方法で記録メディアに記録することができる。
上記インクジェット記録方法は、本発明のインクと、必要に応じて、グリーン、ブルー(又はバイオレット)及びレッド(又はオレンジ)等の各色のインクとを併用することもできる。
各色のインクは、それぞれの容器に注入され、その各容器を、上記インクを含有する容器と同様にインクジェットプリンタの所定の位置に装填してインクジェット記録に使用することができる。
産業用インクジェットプリンタは、印刷速度を高速にする目的で、ラインヘッド型のインクジェットプリンタの構成で、シングルパスでの印刷も好ましく行われる。上記インクにより、そのような印刷条件においても塗工ムラがなく、耐擦過性に優れた印刷画像を得ることができる。
上記した全ての成分は、そのうちの1種類を単独で含有することができるし、2種類以上を併用することもできる。
また、上記した全ての事項等について、好ましいもの同士の組み合わせはより好ましく、より好ましいもの同士の組み合わせはさらに好ましい。好ましいものとより好ましいものとの組み合わせ、及び、より好ましいものとさらに好ましいものとの組み合わせ等についても同様である。
本発明のインクを用いることで、インクジェット専用紙や汎用普通紙、難吸収性の記録メディアに限らず、非吸収性の記録メディアを使用しても、耐擦過性に優れ、はじきのない高画質な記録画像を得ることができる。また、メディア上でのインクドットの真円度が高く、平滑性があり、光沢感を損なわない画像が得られる。さらに、耐水性、耐光性、耐熱性、耐酸化ガス(例えば耐オゾンガス)性等の各種堅牢性に優れた記録画像を得ることができる。さらに、インクの保存安定性も良好で、長期にわたって安定な吐出性を担保することができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。なお本文中「部」及び「%」とあるのは、特別の記載のない限り質量基準である。また、各合成反応及び晶析等の操作は、特に断りのない限り、いずれも攪拌下に行った。
[調製例1]:分散液1の調製。
国際公開第2013/115071号の合成例3に記載のブロック共重合体を調製し、得られた高分子分散剤6部を、2−ブタノン30部に溶解させ、均一な溶液とした。この液に、0.68部の28%アンモニア水溶液を53部のイオン交換水に溶解させた液を加え、1時間攪拌することで高分子分散剤が溶解した乳化溶液を調製した。これにC.I.Pigment Blue 15:3(大日精化工業社製シアニンブルー A220J)20部を加え、1500rpmの条件下で15時間、サンドグラインダー中で分散処理を行った。得られた液にイオン交換水100部を滴下し、ろ過して分散用ビーズを取り除いた後、エバポレータで2−ブタノン及び水を減圧留去することにより、顔料固形分11.6%のシアン分散液を得た。水溶液中の固形分測定には株式会社エイ・アンド・デイ社製、MS−70を用いて、乾燥重量法により求めた。得られた着色分散液を、「分散液1」とする。
[実施例1〜6、及び比較例1〜3]インクの調製。
上記で得た分散液1を用い、下記表1及び2に記載の各成分を混合することにより本発明のインクを得た後、3μmのメンブランフィルターで夾雑物を濾別し、各実施例、及び各比較例のインクを得たいずれのインクも、インクの総質量中における顔料の含有量が5%になるように調整した。
Figure 2020125382
Figure 2020125382
[(C)接触角測定]
基材に対する濡れ性の評価基準として、接触角の測定を行った。上記実施例及び比較例のインクを用い、PETシート(東洋紡社製、E5100)に対して、接触角計(協和界面化学株式会社製、Drop Masterシリーズ DM―501)にて、液滴量3.0マイクロリットル、測定までの待ち時間200ミリ秒として3回測定を行い、その平均値を接触角の数値とし、以下3段階の基準で評価した。接触角が小さい程、記録メディアに対するインクの濡れ性が大きいことを意味し、好ましい。
[評価基準]
C:接触角が20°以上。
B:接触角が18°以上20°未満。
A:接触角が18°未満。
[(D)乾燥性試験]
上記実施例及び比較例のインクを、自動塗工機(テスター産業社製、PI−1210)にてバーコーターNo.3を使用し、PETシート(東洋紡社製、E5100)に全面塗工を行った。その後、70℃の恒温槽で所定の時間乾燥させることにより試験用印刷物を得た。
得られた試験用印刷物に対し、インク塗工前のPETシートを張り合わせ、塗工前のシートへのインクの移りを目視で確認することにより乾燥性の評価を行った。評価基準は以下の3段階とした。
[評価基準]
C:乾燥時間5分でもインクが移る。
B:乾燥時間5分でインクが移らない。
A:乾燥時間3分でインクが移らない。
[(E)光沢性試験]
上記(D)乾燥性試験で得られた試験用印刷物を用い、光沢度計(日本電色工業社製、PG−IIM)にて、60°の光沢度を測定した。測定は3回行い、その平均を光沢度の数値とし、以下の基準で評価した。結果を下記表3及び4に示す。
C:光沢度が60%未満。
B:光沢度が60%以上80%未満。
A:光沢度が80%以上。
Figure 2020125382
Figure 2020125382
上記の結果から明らかなように、実施例のインクは比較例のインクと比較して、良好な印刷物を得ることができる。
本発明のインクは、非吸収性メディアに対する濡れ性、乾燥性に優れ、かつ高光沢な印刷物を提供できるため、各種の記録用、特にインクジェット記録用インクとして極めて有用である。

Claims (1)

  1. 水不溶性の着色剤、分散剤、3種類以上の有機溶剤、及び水を含有するインクであって、
    3種類以上の有機溶剤のうちの1つである、有機溶剤1の水−オクタノール分配係数が−1.50〜1.00であり、
    3種類以上の有機溶剤のうちの1つである、有機溶剤2の水−オクタノール分配係数が1.10〜3.50であり、
    上記の有機溶剤1から選択される2種類以上の有機溶剤と、
    上記の有機溶剤2から選択される1種類以上の有機溶剤と、を含有するインク。
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