JPWO2015147192A1 - インク組成物、インクジェット記録方法及び着色体 - Google Patents
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Abstract
Description
1)
着色剤、樹脂、及び水を含有するインク組成物であって、
前記着色剤が、実質的に水に不溶性の色素を含有し、
前記樹脂が、少なくとも1種類の下記式(1)で表されるモノマーを重合することにより得られる重合体であるインク組成物。
R1は、水素原子又はメチル基を表す。
R2は、水素原子、メチル基、又はC8アルキル基を表す。]
2)
前記少なくとも1種類の式(1)で表されるモノマーが、R2が2−エチルヘキシル基であるモノマーを含む、前記1)に記載のインク組成物。
3)
前記少なくとも1種類の式(1)で表されるモノマーが、
R1が水素原子であり、R2が2−エチルヘキシル基であるモノマーA;及び、
R1及びR2がメチル基であるモノマーB;の両者を含み、且つ、
前記重合体のガラス転移点が、−10℃〜20℃である前記1)又は2)に記載のインク組成物。
4)
前記少なくとも1種類の式(1)で表されるモノマーが、
R1が水素原子であり、R2が2−エチルヘキシル基であるモノマーAを40〜60質量部、及び、
R1及びR2がメチル基であるモノマーBを60〜40質量部含有する前記1)乃至3)のいずれか一項に記載のインク組成物。
5)
前記樹脂が、前記少なくとも1種類の式(1)で表されるモノマーと、さらにメタクリル酸アリルとを重合することにより得られる重合体である、前記1)乃至4)のいずれか一項に記載のインク組成物。
6)
さらに、重量平均分子量が10000〜60000の分散剤を含有する前記1)乃至5)のいずれか一項に記載のインク組成物。
7)
インク組成物の総質量中における、着色剤の総含有量が、質量基準で3%〜15%である前記1)乃至6)のいずれか一項に記載のインク組成物。
8)
さらに水溶性有機溶剤を含有する前記1)乃至7)のいずれか一項に記載のインク組成物。
9)
インクジェット記録に用いる前記1)乃至8)のいずれか一項に記載のインク組成物。
10)
前記1)乃至8)のいずれか一項に記載のインク組成物のインクジェット記録のための使用。
11)
前記1)乃至8)のいずれか一項に記載のインク組成物の液滴を、記録信号に応じて吐出させて被記録材に付着させ、記録を行うインクジェット記録方法。
12)
被記録材が情報伝達用シートである前記11)に記載のインクジェット記録方法。
13)
情報伝達用シートが普通紙、又は、多孔性白色無機物を含むインク受容層を有するシ−トである前記12)に記載のインクジェット記録方法。
14)
前記11)乃至13)のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法により着色された着色体。
15)
前記1)乃至8)のいずれか一項に記載のインク組成物を含む容器が装填されたインクジェットプリンタ。
前記のインク組成物が含有する着色剤としては、2種類以内の併用が好ましく、1種類のみを使用するのがより好ましい。
無機顔料としては、例えばカーボンブラック、金属酸化物、水酸化物、硫化物、フェロシアン化物、及び金属塩化物等が挙げられる。
カーボンブラックとしては、例えば、サーマルブラック、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、ガスファーネスブラック、ランプブラック、ガスブラック、及びチャンネルブラック等が挙げられる。
前記のうち、カーボンブラックとしてはファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が好ましい。
カーボンブラックの具体例としては、例えばRaven760ULTRA、Raven780ULTRA、Raven790ULTRA、Raven1060ULTRA、Raven1080ULTRA、Raven1170、Raven1190ULTRA II、Raven1200、Raven1250、Raven1255、Raven1500、Raven2000、Raven2500ULTRA、Raven3500、Raven5000ULTRA II、Raven5250、Raven5750、Raven7000(コロンビア・カーボン社製);Monarch700、Monarch800、Monarch880、Monarch900、Monarch1000、Monarch1100、Monarch1300、Monarch1400、Regal1330R、Regal1400R、Regal1660R、Mogul L(キャボット社製);Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW200、Color Black S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、 Printex 140U、 Printex 140V、 SpecIal Black 4、SpecIal Black 4A、SpecIal Black 5、Special Black 6(デグサ社製);MA7、MA8、MA100、MA600、MCF−88、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300(三菱化学社製);等が挙げられる。
前記インク組成物の総質量中における、着色剤の総含有量は、質量基準で通常3%〜15%、好ましくは3%〜10%、より好ましくは3%〜7.5%である。
樹脂エマルションの調製方法は特に制限されない。その一例としては、樹脂を機械的に水性媒体中で微細化し、分散する方法;乳化重合、分散重合、懸濁重合等により樹脂エマルションを調製する方法;等が挙げられる。乳化重合は、乳化剤を用いることも、ソープフリーで行うこともできる。前記の樹脂エマルションの調製方法としては、例えば、特許文献2の製造例1に開示された方法が挙げられる。
前記の樹脂としては、親水性の部分と疎水性の部分とを合わせ持つ重合体であることが好ましい。また、その粒子形状は、特に限定されない。一例としては、球形が挙げられるが、球形以外の任意の形状とすることもできる。
その具体例としてはn−オクチル、2,2−ジメチルヘキシル、2−エチルヘキシル、1−メチルへプチル、5−メチルへプチル、1−エチル−1−メチルペンチル、シクロオクチル等の各基が挙げられる。これらの中では2−エチルヘキシル基が好ましい。
メタクリル酸アリルを加えるとき、前記の樹脂は、式(1)で表されるメタクリル酸(MAA)、メタクリル酸メチル(MMA)及びアクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)の3種類のモノマーと、メタクリル酸アリル(AMA)とを重合することにより得るのが好ましい。これらの使用量は特に制限されないが、表1にこれらの使用量の範囲の一例を示す。これらの合計が100部となるように、表1の範囲で使用量を調整することができる。表1中の数値は「部」を意味する。
メタクリル酸アリル(AMA)に代えてアクリル酸を用いる場合、表1に記載されたメタクリル酸アリル(AMA)の使用量の範囲と同様の範囲の使用量でアクリル酸を用いることができる。
前記の樹脂は、式(1)で表されるモノマーがメタクリル酸メチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸及びアクリル酸の4種類のモノマーから構成され、他のモノマーを重合しないで得られる重合体、及び、式(1)で表されるモノマーがメタクリル酸、メタクリル酸メチル、及びアクリル酸2−エチルヘキシルから構成され、さらにメタクリル酸アリルとの計4種類のモノマーを、他のモノマーを含まないで重合することにより得られる重合体が好ましく、後者のメタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸2−エチルヘキシル及びメタクリル酸アリルから構成される4種類のモノマーのみを重合することにより得られる重合体が特に好ましい。
前記少なくとも1種類の式(1)で表されるモノマーを重合することにより得られる重合体(樹脂)は、好ましくは樹脂エマルションとして得られ、該樹脂エマルションの固形分は、下限値として、通常10%、好ましくは15%、より好ましくは18%、さらに好ましくは24%であり、上限値として、通常45%、好ましくは40%、より好ましくは35%である。該固形分は、通常、前記少なくとも1種類の式(1)で表されるモノマーを重合することにより得られる重合体(樹脂)の総質量に相当する。
前記インク組成物の総質量中、樹脂エマルションの総質量は、下限値として、通常0.6%、好ましくは1.3%、より好ましくは1.4%であり、上限値として、通常29%、好ましくは18%、より好ましくは11%、さらに好ましくは7%である。
前記インク組成物の総質量中、前記少なくとも1種類の式(1)で表されるモノマーを重合することにより得られる樹脂(重合体)の総質量は、下限値として、通常0.1%、好ましくは0.2%、より好ましくは0.3%であり、上限値として、通常10%、好ましくは7%、より好ましくは5%、さらに好ましくは3%である。
重量平均分子量が8000以上であるときは、耐擦過性に優れ、重量平均分子量が60000以下であるときは、インク組成物の粘度が上昇せず、正常に吐出することができる。
また、着色分散液の調製後に、濾過及び/又は遠心分離等により、ビーズ等を除去するのとともに、目的とする平均粒径からのかい離が大きい粒子成分を除去することも好ましく行われる。
また、着色分散液の調製時に泡立ち等が生じるときは、これを抑える目的で、公知のシリコーン系、アセチレングリコール系等の消泡剤を極微量添加しても良い。消泡剤は、着色剤の分散や微粒子化及び分散後の安定性に影響を及ぼさないものを適宜使用するのが好ましい。
前記インク組成物の総質量中における、分散剤の総含有量は、質量基準で通常0.1%〜4.0%、好ましくは0.5%〜3.0%である。
その具体例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等の直鎖又は分岐鎖C1−C3アルコール;1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、p−ジオキサン等のエーテル化合物;アセトン等のケトン類;多価アルコール;及び酢酸;等が挙げられる。水溶性有機溶剤は1種類を使用することも、複数を併用することもできる。
これらの中ではグリセリン類(好ましくはグリセリン)、C2−C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴ又はポリアルキレングリコール(好ましくはジエチレングリコール、トリエチレングリコール及び1,2−プロピレングリコール)が好ましい。
また、静的表面張力は通常10〜36mN/mで、好ましくは20〜36mN/mである。
また、粘度は通常3〜20mPa・s、好ましくは3〜10mPa・sである。
これらはいずれも25℃における測定値であり、インク組成物のpH及び表面張力は、後記するpH調整剤、界面活性剤等により適宜調整できる。
無機不純物の少ないインク組成物を製造する方法としては、例えば、着色剤又はインク組成物に対してイオン交換樹脂を使用し、無機不純物を交換吸着する方法等が挙げられる。
有機ハロゲン系化合物の具体例としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられる。
ピリジンオキシド系化合物の具体例としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられる。
イソチアゾリン系化合物としては、例えば1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。
その他の防腐防黴剤の具体例として、無水酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム又は安息香酸ナトリウム、アーチケミカル社製、商品名プロクセルGXL(S)やプロクセルXL−2(S)等が挙げられる。
前記インク組成物が含有する着色剤を、必要に応じて分散剤等を用いて水溶液中に分散し、着色分散液を得る。得られた着色分散液に、必要に応じて前記水溶性有機溶剤、及びインク調整剤を加えて混合することにより、前記インク組成物を調製することができる。
該記録方法は、公知のいずれの方式も使用することができる。例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式;ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式);電気信号を音響ビームに変えインクに照射し、その放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式;インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット、すなわちバブルジェット(登録商標)方式;等が挙げられる。
なお、前記インクジェット記録方法には、フォトインクと称する、インク中の着色剤の含有量の少ないインクを、小さい体積で多数射出する方式;実質的に同じ色相で、インク中の着色剤の含有量が異なる複数のインクを併用して画質を改良する方式;及び無色透明のインクを用いることにより、着色剤の定着性を向上させる方式;等も含まれる。
情報伝達用シートは、インク受容層を有するものと、有しないものとに大別することができる。
インク受容層を有するものとしては、例えば、紙、合成紙、フィルム等を基材とし、これらにインク受容層を設けたものが挙げられる。インク受容層は、例えば前記基材にカチオン系ポリマーを含浸あるいは塗工する方法;又は、多孔質シリカ、アルミナゾルや特殊セラミックス等のインク中の色素を吸収し得る無機微粒子をポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーとともに前記基材表面に塗工する方法;等により設けられる。
インク受容層を有する情報伝達用シートは、通常インクジェット専用紙、インクジェット専用フィルム、光沢紙等と呼ばれる。その代表的な市販品の例としては、キヤノン株式会社製の商品名:プロフェッショナルフォトペーパー、スーパーフォトペーパー、光沢ゴールド及びマットフォトペーパー;セイコーエプソン株式会社製の商品名:写真用紙クリスピア(高光沢)、写真用紙(光沢)、フォトマット紙;日本ヒューレット・パッカード株式会社製の商品名:アドバンスフォト用紙(光沢);富士フイルム株式会社製の商品名:画彩写真仕上げPro;等が挙げられる。
前記の表面改質処理は、所望の効果が得られるように処理の回数;処理の時間;及び、印加する電圧;等を適宜調整して行うことも可能である。
情報伝達用シートとしては、普通紙、又は、多孔性白色無機物を含むインク受容層を有するシ−トが好ましい。
前記インクジェット記録方法は、前記インク組成物と、例えば公知のマゼンタ、シアン、イエロー、ブラック、及び必要に応じて、グリーン、ブルー(又はバイオレット)及びオレンジ等の各色のインク組成物とを併用することもできる。
各色のインク組成物は、それぞれの容器に注入され、その各容器をインクジェットプリンタのそれぞれの所定の位置に装填してインクジェット記録に使用される。
さらに、耐擦過性、耐水性、耐光性、耐熱性、耐酸化ガス(例えばオゾンガス)性等の各種堅牢性に優れた画像を得ることができる。
前記インク組成物は長期間保存後の固体の析出、物性変化、色相変化等もなく、保存(貯蔵)安定性が極めて良好である。
前記インク組成物はインクジェット記録用、筆記具用として用いられ、特にインクジェットインクとして使用すると、ノズル付近におけるインク組成物の乾燥による固体の析出は非常に起こりにくく、噴射器(記録ヘッド)を閉塞することもなく、吐出性が良好である。
前記インク組成物は、連続式インクジェットプリンタを用い、比較的長い時間間隔においてインクを再循環させて使用するとき;又は、オンデマンド式インクジェットプリンタにより断続的に使用するとき;のいずれにおいても、物理的性質の変化を起こさず、再分散性も良い。
前記インク組成物により、インク受容層を有する情報伝達用シートに記録された画像は、耐擦過性、耐水性、耐湿性、耐オゾンガス性、耐擦性、耐光性等の各種堅牢性が良好である。
各調製例中で使用したポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、花王ケミカル株式会社製のエマルゲン1150S−60を使用した。
ジョンクリル68(MW:13000)11.3部、及びトリエタノールアミン6部をイオン交換水95.2部に溶解し、1時間撹拌した。得られた溶液にC.I.Pigment Red 122(クラリアント社製、Inkjet Magenta E02)37.5部を加え、1500rpmの条件下で20時間、サンドグラインダーで分散処理を行った。得られた分散液にイオン交換水150部を滴下した後、この液をろ過して分散用ビーズを取り除くことにより、固形分の含有量が15.8%のマゼンタ分散液を得た。得られた分散液を「分散液1」とする。
[調製例2]ポリマーエマルション1の調製。
撹拌機付きガラス製反応容器(容量3リットル)にコンデンサー、温度計、滴下ロートを取り付け、イオン交換水60重量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル0.3重量部、過硫酸アンモニウム0.3重量部を仕込んだ。内部の空気を窒素で置換した後、撹拌しつつ内部温度を70℃に調整し、あらかじめ別容器でイオン交換水70重量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル10重量部とメタクリル酸メチル50重量部、アクリル酸2−エチルヘキシル47重量部、メタクリル酸2部、及びアクリル酸1部それぞれを混合撹拌して乳化物とし、それを3時間連続滴下した。滴下中は、窒素を導入しながら70℃で反応を行なった。滴下終了後、さらに70℃で2時間撹拌した後、40℃に冷却した。冷却後、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを150重量部添加し、共重合体を得た。
得られたポリマーエマルションは白色懸濁液で、固形分は33.5%であった。
[調製例3]ポリマーエマルション2の調製。
前記の調製例2において、乳化剤をポリオキシエチレンドデシルエーテルとし、40℃に冷却後に乳化剤を添加しない以外は、前記調製例2と同様にして共重合体を調製した。得られたポリマーエマルションは白色懸濁液で、酸価は13KOHmg/g、Tgは1.2℃、固形分は24.9%であった。
[調製例4]ポリマーエマルション3の調製。
前記の調製例2において、メタクリル酸メチルを51部、メタクリル酸を1部にそれぞれ変更し、アクリル酸1部の代わりにメタクリル酸アリル1部を使用した以外は、前記調製例2と同様にして共重合体を得た。得られたポリマーエマルションは白色懸濁液で、酸価は6KOHmg/g、Tgは0℃、固形分は25%であった。
[調製例5]ポリマーエマルション4の調製。
前記の調製例2において、メタクリル酸メチルを52部、アクリル酸2−エチルヘキシルを44部にそれぞれ変更し、アクリル酸1部の代わりにメタクリル酸アリル1部を使用した以外は、前記調製例2と同様にして共重合体を得た。得られたポリマーエマルションは白色懸濁液で、酸価は13KOHmg/g、Tgは15℃、固形分は25%であった。
[調製例6]ポリマーエマルション5の調製。
前記の調製例2において、アクリル酸1部の代わりにメタクリル酸アリル1部を使用した以外は、前記調製例2と同様にして共重合体を得た。得られたポリマーエマルションは白色懸濁液で、酸価は13KOHmg/g、Tgは1.2℃、固形分は33.5%であった。
下記表2に記載の各成分を混合し、おおよそ1時間撹拌した後、1.20μmのメンブランフィルター(商品名、酢酸セルロース系濾紙、ザルトリウス・ジャパン社製)で濾過することにより、評価試験用の実施例1乃至4、及び比較例1乃至7のインク組成物を調製した。この時、いずれのインク組成物も、フィルターを用いたろ過で残渣を生じなかった。
PG:プロピレングリコール。
1,2−HD:1,2−ヘキサンジオール。
DEG:ジエチレングリコール。
TEA:トリエタノールアミン。
DF100D:エアープロダクツジャパン製サーフィノールDF−100D(界面活性剤)。
GXL(s):アーチケミカル社製プロクセルGXL(S)(防黴剤)。
PEM1:ポリマーエマルション1。
PEM2:ポリマーエマルション2。
WLS−201:DIC株式会社製ハイドランWLS−201(ポリウレタン変性樹脂エマルション、固形分35%)。
AP−20:DIC株式会社製ハイドランAP−20(ポリウレタン変性樹脂エマルション、固形分30%)。
UA−310:三洋化成工業株式会社製パーマリンUA−310(ポリウレタン変性樹脂エマルション、固形分39%)。
SF150:第一工業製薬株式会社製スーパーフレックス420(ポリウレタン変性樹脂エマルション、固形分、30%)。
PDX7687:BASFジャパン製PDX7687(スチレン−アクリル変性樹脂エマルション、固形分42%)。
AE104:イーテック製AE−104(アクリル変性樹脂エマルション、固形分35%)。
また、表2中の「水」はイオン交換水を使用した。
なお、下記表2中、各エマルションについては固形分に換算せず、使用したエマルションの部数をそのまま記載した。
前記の各実施例、及び各比較例のインク組成物をインクジェットプリンタ(EPSON株式会社製、商品名PX−205)に充填し、吐出性試験を実施した。評価としては、プログラムとして導入されている「ノズルチェック」機能及び「パージ」機能を用い、以下A〜Dの4段階の基準で評価した。結果を下記表3に示す。
A:パージ機能3回以内で、ノズルチェックでピン欠けなし。
B:パージ機能4回で、ノズルチェックでピン欠けなし。
C:パージ機能4回で、ノズルチェックで5ノズル未満のピン欠けあり。
D:パージ機能4回で、ノズルチェックで5ノズル以上のピン欠けあり。
前記の各実施例、及び比較例のインク組成物を使用し、インクジェットプリンタ(EPSON株式会社製、商品名PX−205)により、下記の被記録材にインクジェット記録を行った。
コート紙:Sword i−Jet(三菱製紙株式会社)。
インクジェット記録は、100%濃度の画像パターンが得られるように行った。得られた各記録物を24時間自然乾燥し、これらを試験片とし、以下の評価試験を実施した。
各試験片の擦過性を、安田精機製作所製No.428学振形染色摩擦堅ろう度試験機を用いて評価した。評価基準は、300gの荷重を掛けた状態で、インクジェット記録した部分を20回擦り合わせ、画像の劣化具合をA〜Cの3段階で評価した。結果を下記表3に示す。
A:ほとんど画像の擦れが確認できない
B:着色剤が擦り取られ、被記録材の白地が3割程度確認できる
C:着色剤が擦り取られ、被記録材の白地が7割程度確認できる
前記の各実施例、及び各比較例のインク組成物を、それぞれ50mlのビーカーに40μl滴下し、そのまま18時間、室温で乾燥させた。18時間後、イオン交換水30gを加えて、乾燥した液滴が、水中に再分散するか否かを以下A〜Dの4段階で評価した。結果を下記表3に示す。
A:静置した状態で、完全に水に再分散した状態。
B:軽くゆすると完全に水に再分散した状態。
C:軽くゆすっても多少、水に再分散しない粒子がある状態。
D:まったく水中に再分散しない状態。
前記の表2の実施例1において、PEM1の代わりに、調製例4で得たポリマーエマルション3を使用する以外は実施例1と同様にして、評価試験用の実施例5のインク組成物を得た。
同様に、実施例3において、PEM1の代わりに、調製例5で得たポリマーエマルション4を使用する以外は実施例3と同様にして、評価試験用の実施例6のインク組成物を得た。
得られたインク組成物を用い、前記と同様にして「[吐出性評価試験]」、「[インクジェット記録]」、「[耐擦過性評価試験]」、「[再分散性評価試験]」をそれぞれ実施した。試験結果を下記表4に示す。
Claims (15)
- 前記少なくとも1種類の式(1)で表されるモノマーが、R2が2−エチルヘキシル基であるモノマーを含む、請求項1に記載のインク組成物。
- 前記少なくとも1種類の式(1)で表されるモノマーが、
R1が水素原子であり、R2が2−エチルヘキシル基であるモノマーA;及び、
R1及びR2がメチル基であるモノマーB;の両者を含み、且つ、
前記重合体のガラス転移点が、−10℃〜20℃である請求項1又は2に記載のインク組成物。 - 前記少なくとも1種類の式(1)で表されるモノマーが、
R1が水素原子であり、R2が2−エチルヘキシル基であるモノマーAを40〜60質量部、及び、
R1及びR2がメチル基であるモノマーBを60〜40質量部含有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のインク組成物。 - 前記樹脂が、前記少なくとも1種類の式(1)で表されるモノマーと、さらにメタクリル酸アリルとを重合することにより得られる重合体である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のインク組成物。
- さらに、重量平均分子量が10000〜60000の分散剤を含有する請求項1乃至5のいずれか一項に記載のインク組成物。
- インク組成物の総質量中における、着色剤の総含有量が、質量基準で3%〜15%である請求項1乃至6のいずれか一項に記載のインク組成物。
- さらに水溶性有機溶剤を含有する請求項1乃至7のいずれか一項に記載のインク組成物。
- インクジェット記録に用いる請求項1乃至8のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 請求項1乃至8のいずれか一項に記載のインク組成物のインクジェット記録のための使用。
- 請求項1乃至8のいずれか一項に記載のインク組成物の液滴を、記録信号に応じて吐出させて被記録材に付着させ、記録を行うインクジェット記録方法。
- 被記録材が情報伝達用シートである請求項11に記載のインクジェット記録方法。
- 情報伝達用シートが普通紙、又は、多孔性白色無機物を含むインク受容層を有するシ−トである請求項12に記載のインクジェット記録方法。
- 請求項11乃至13のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法により着色された着色体。
- 請求項1乃至8のいずれか一項に記載のインク組成物を含む容器が装填されたインクジェットプリンタ。
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