JP6666055B2 - インク、インクジェット記録方法及び記録メディア - Google Patents
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Description
前記のようにハガキ用途の圧着用紙は、可変情報の記録面に対して白紙面を重ねて圧着するため、この2面を剥離したときに、記録面のインクが白紙面に転写しないことが必要である。
また、圧着用紙においては、感圧接着剤により前処理された紙面にインクジェット記録をするため、接着剤と接触しても滲み等を生じず、高画質で記録できることも要求される。高画質での記録の一例としては、例えばバーコードの記録が挙げられる。
初期吐出とは、インクジェットプリンタが止まっている状態から始動したときに、ピン欠けすることなく良好な吐出ができる性能をいう。初期吐出が不良なインクは記録ヘッドのクリーニング等が必要となる。
また、初期吐出は良好であるが、連続して吐出するとピン欠けが出始めるインクもある。ピン欠けが生じた記録物は不良品となるため、連続して吐出するときの吐出安定性が不良なインクは、初期吐出が不良なインク以上に深刻な問題を生じる。
さらに、インクに対して良好な保存安定性が求められることは言うまでもない。
水不溶性の着色剤、アルカリ可溶性樹脂、ポリマー、及び水を含有するインクであって、前記ポリマーが3種類のメタクリル酸誘導体と、1種類のアクリル酸誘導体から構成されるポリマーであり、前記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量が1500〜10000であり、且つ、前記インクの総質量に対するアルカリ可溶性樹脂の含有量(AW)とポリマーの含有量(BW)が、質量基準で下記式(1)及び式(2)の両方を満たすインク。
式(1):AW/BW=0.4より大きく1.5未満。
式(2):AW+BW=2.4質量%〜4.5質量%。
2)
前記アルカリ可溶性樹脂が、水不溶性の着色剤の分散剤である前記1)に記載のインク。
3)
前記インクの総質量に対するポリマーの含有量が、1〜2.5質量%である前記1)に記載のインク。
4)
前記アルカリ可溶性樹脂が、スチレン‐アクリル樹脂である前記1)に記載のインク。
5)
前記ポリマーが、メタクリル酸、2種類のアルキルメタクリレート、及びアルキルアクリレートから構成されるポリマーである前記1)に記載のインク。
6)
前記ポリマーが、メタクリル酸、2種類のC1‐C3アルキルメタクリレート、及びC6‐C10アルキルアクリレートから構成されるポリマーである、前記1)、3)及び5)のいずれか一項に記載のインク。
7)
さらに水溶性有機溶剤を含有する、前記1)〜6)のいずれか一項に記載のインク。
8)
前記1)〜7)のいずれか一項に記載のインクの液滴を、記録信号に応じて吐出させて記録メディアに付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
9)
前記の記録メディアが、圧着用紙である前記8)に記載のインクジェット記録方法。
10)
前記1)〜7)のいずれか一項に記載のインクが付着した記録メディア。
11)
前記1)〜7)のいずれか一項に記載のインクを含有する容器を備えるインクジェットプリンタ。
前記インクが含有する着色剤は、特に限定されず、水溶性の着色剤であれば使用できる。水不溶性の着色剤は、必要に応じて併用することができる。
本明細書中、「水不溶性」とは、25℃の水に対する着色剤の溶解性が通常3g/リットル以下、好ましくは2g/リットル以下、より好ましくは1g/リットル以下であることを意味する。下限は0g/リットルを含む。
水不溶性の着色剤としては、例えば、顔料、分散染料及び溶剤染料が挙げられる。代表的なこれらの着色剤としては、それぞれC.I.Pigment、C.I.Disperse及びC.I.Solventから選択される着色剤が挙げられる。
無機顔料としては、例えばカーボンブラック;金属酸化物、水酸化物、硫化物;フェロシアン化物;及び金属塩化物;等が挙げられる。
前記アルカリ可溶性樹脂は、水不溶性の着色剤の分散剤であるのが好ましく、スチレン‐アクリル樹脂であるのがより好ましい。
芳香族炭化水素基を含む化合物と(メタ)アクリル酸(エステル)の共重合体としては、親水性部分と疎水性部分とを分子中に有する共重合体が好ましく挙げられる。
なお、「(メタ)アクリル酸(エステル)」とは、本明細書においてアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、及びメタクリル酸エステルを含む意味として、また「(無水)マレイン酸」とは、無水マレイン酸とマレイン酸を含む意味として、それぞれ用いる。芳香族炭化水素基を含む化合物との共重合には、これらのうち単一の化合物を使用することも、これらの中から複数を併用することもできる。また、共重合を行うときに(無水)マレイン酸を加えて、芳香族炭化水素基を含む化合物、(メタ)アクリル酸(エステル)、及び(無水)マレイン酸の共重合体とすることもできる。
これらの共重合体の具体例としては、(α‐メチル)スチレン‐アクリル酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐アクリル酸‐アクリル酸エステル共重合体、(α‐メチル)スチレン‐メタクリル酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐メタクリル酸‐アクリル酸エステル共重合体、(α‐メチル)スチレン‐(無水)マレイン酸共重合体、アクリル酸エステル‐(無水)マレイン酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐アクリル酸エステル‐(無水)マレイン酸マレイン酸共重合体、アクリル酸エステル‐アリルスルホン酸エステル共重合体、アクリル酸エステル‐スチレンスルホン酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐メタクリルスルホン酸共重合体、ポリエステル‐アクリル酸共重合体、ポリエステル‐アクリル酸‐アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル‐メタクリル酸共重合体、ポリエステル‐メタクリル酸‐アクリル酸共重合体エステル;等が挙げられる。これらの中では芳香族炭化水素基を含む化合物がスチレンのものが好ましい。
なお(α‐メチル)スチレンとは本明細書においてα‐メチルスチレン、及びスチレンを含む意味として用いる。
分散剤は、公知の方法により合成することも、市販品として購入することもできる。市販品のうち、スチレン−アクリル共重合体の具体例としては、例えば、BASF社製の、ジョンクリル678、682、683等が挙げられる。これらの中では678(重量平均分子量=8,500、酸価=215)、682(重量平均分子量=1,700、酸価=238)、683(重量平均分子量=8,000、酸価=160)等が好ましい。
前記ポリマーは、3種類のメタクリル酸誘導体と、1種類のアクリル酸誘導体から構成されるポリマーである。メタクリル酸、2種類のアルキルメタクリレート、及びアルキルアクリレートから構成されるポリマーが好ましい。また、メタクリル酸、2種類のC1‐C3アルキルメタクリレート、及びC6‐C10アルキルアクリレートから構成されるポリマーがさらに好ましい。前記ポリマーとしては、ブロック共重合、ランダム共重合、及びグラフト共重合等により得られるポリマーが挙げられる。
メタクリル酸誘導体としては、アルキルメタクリレート、及びメタクリル酸が好ましい。
アルキルメタクリレートとしては、アルキル部分が通常C1−C18、好ましくはC1−C12、より好ましくはC1−C8であり、飽和又は不飽和のアルキルメタクリレートが挙げられる。
飽和アルキルメタクリレートの具体例としては、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、オクチルメタクリレート等の直鎖アルキルメタクリレート;イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、イソヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等の分岐鎖アルキルメタクリレート;シクロプロピルメタクリレート、シクロブチルメタクリレート、シクロペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等の環状アルキルメタクリレート;が挙げられる。
不飽和アルキルメタクリレートとしては、不飽和C1−C4アルキルメタクリレートがさらに好ましい。その具体例としては、ビニルメタクリレート、アリルメタクリレート、プロペニルメタクリレート、ブテニルメタクリレート、ブタジエニルメタクリレート等が挙げられる。
アクリル酸誘導体としては、前記[メタクリル酸誘導体]における「メタクリル酸」を「アクリル酸」と読み替え、また「メタクリレート」を「アクリレート」に読み替えた化合物が挙げられる。
直鎖アルキルメタクリレートは、前記のうち直鎖C1−C3アルキルメタクリレートがより好ましく、メチルメタクリレートがさらに好ましい。
不飽和アルキルメタクリレートは、前記のうち不飽和C1−C4アルキルメタクリレートがより好ましく、アリルメタクリレートがさらに好ましい。
ポリマーを構成するアルキルアクリレートは、分岐鎖アルキルアクリレートが好ましく、分岐鎖C1−C8アルキルアクリレートがより好ましく、2−エチルヘキシルアクリレートがさらに好ましい。
MA:メタクリル酸。
ScAM:直鎖アルキルメタクリレート。
BcAA:分岐鎖アルキルアクリレート。
UsAM:不飽和アルキルメタクリレート。
ポリマーのガラス転移点(TG)は通常−10℃〜20℃、好ましくは−5℃〜15℃である。
ポリマーの酸価は通常0〜25KOHmg/g、好ましくは5〜15KOHmg/gである。
ポリマーのテトラヒドロフランに対する不溶解度は通常80〜100%、好ましくは100%である。
アルカリ金属の水酸化物としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが挙げられる。アルカリ土類金属の水酸化物として、例えば水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム及び水酸化ストロンチウム等が挙げられる。
アミン化合物としては、アンモニア(アンモニア水を含む)、アルキルアミン化合物、置換基としてヒドロキシ基を有するアルキルアミン化合物が挙げられる。
アルキルアミン化合物としては、C1−C6アルキル基を1つ〜3つ有するアミン化合物が挙げられる。その具体例としては、例えばモノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジメチルアミン及びトリメチルアミンが挙げられる。
置換基としてヒドロキシ基を有するアミン化合物としては、前記アルキルアミン化合物のアルキル基の少なくとも1つが、置換基としてヒドロキシ基を有するアミン化合物が挙げられる。その具体例としては、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン及びN−メチルジエタノールアミンが挙げられる。
式(1)において、AW/BWの値は通常0.4より大きく1.5未満、好ましくは0.5より大きく1.5未満、より好ましくは0.6〜1.3である。
式(2)において、AW+BWの値は通常2.4%〜4.5%、好ましくは2.5%〜4.3%、より好ましくは2.8%〜4.1%である。
また、別の方法としては、着色剤と分散剤とを加えて分散液を調製した後、さらに分散剤と、インク調製剤とを加えてインクを調製する方法も挙げられる。
前記インクは、例えば、このような調製方法で調製することができる。
水溶性有機溶剤の使用により、例えば乾燥性等のインクの物性を制御できる。このため、前記のインクは水溶性有機溶剤を含有するのが好ましい。
消泡剤を使用するとき、その添加量は、添加する液の総質量に対して0.01〜5%が好ましく、0.03〜3%がより好ましく、0.05〜1%がさらに好ましい。0.01%以上とすることで消泡剤としての効果が得られ、5%以下とすることで分散安定性が良好になる。
無機不純物を除去する方法としては、例えば逆浸透膜を用いる方法;着色剤を水溶性有機溶剤と水との混合溶媒中で懸濁精製する方法;及び、イオン交換樹脂で無機不純物を吸着する方法;等が挙げられる。
インクジェットプリンタの吐出方式としては、例えば、電荷制御方式;ドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式ともいう。);音響インクジェット方式;サーマルインクジェット方式;等が挙げられる。
特に断りのない限り、合成反応等については攪拌下に行った。また、反応温度は、反応系内の温度を意味する。
実施例で使用したカーボンブラックは、ORION社製のNipex 160IQである。
また、ジョンクリル678は重量平均分子量が8500、ジョンクリル690は重量平均分子量が16700のアルカリ可溶性樹脂である。
前記の特許文献2の[調製例5]を追試することにより、酸価が13KOHmg/g、Tgが9℃、固形分が25%のポリマーエマルションを得た。これを「ポリマー1」とする。
ジョンクリル678(20部)、及びトリエタノールアミン8部をイオン交換水72部に加え、80℃に加熱して溶液とすることにより、アルカリ可溶性樹脂の濃度が20%の水溶液を得た。これを「樹脂1」とする。
ジョンクリル690(20部)、及びトリエタノールアミン8.9部をイオン交換水71.1部に加え、80℃に加熱して溶液とすることにより、比較用のアルカリ可溶性樹脂の濃度が20%の水溶液を得た。これを「比較樹脂1」とする。
ジョンクリル678(5.6部)、及びトリエタノールアミン3.2部をイオン交換水103.7部に溶解し、1時間攪拌した。得られた溶液にカーボンブラック37.5部を加え、1500rpmの条件下で20時間、サンドグラインダーで分散処理を行って液を得た。得られた液にイオン交換水150部を滴下した後、この液を濾過して分散用ビーズを取り除くことにより、顔料濃度12.5%の分散液を得た。これを「分散液1」とする。
ジョンクリル678(11.3部)、及びトリエタノールアミン6.4部をイオン交換水94.8部に溶解し、1時間攪拌した。得られた溶液にカーボンブラック37.5部を加え、1500rpmの条件下で20時間、サンドグラインダーで分散処理を行って液を得た。得られた液にイオン交換水150部を滴下した後、この液を濾過して分散用ビーズを取り除くことにより、顔料濃度12.5%の分散液を得た。これを「分散液2」とする。
ジョンクリル678(14.1部)、及びトリエタノールアミン8部をイオン交換水90.4部に溶解し、1時間攪拌した。得られた溶液にカーボンブラック37.5部を加え、1500rpmの条件下で20時間、サンドグラインダーで分散処理を行って液を得た。得られた液にイオン交換水150部を滴下した後、この液を濾過して分散用ビーズを取り除くことにより、顔料濃度12.5%の分散液を得た。これを「分散液3」とする。
ジョンクリル678(16.9部)、及びトリエタノールアミン9.6部をイオン交換水86部に溶解し、1時間攪拌した。得られた溶液にカーボンブラック37.5部を加え、1500rpmの条件下で20時間、サンドグラインダーで分散処理を行って液を得た。得られた液にイオン交換水150部を滴下した後、この液を濾過して分散用ビーズを取り除くことにより、顔料濃度12.5%の分散液を得た。これを「分散液4」とする。
ジョンクリル678(5.6部)、及びトリエタノールアミン3.2部をイオン交換水103.7部に溶解し、1時間攪拌した。得られた溶液にカーボンブラック37.5部を加え、1500rpmの条件下で20時間、サンドグラインダーで分散処理を行って液を得た。得られた液にイオン交換水150部を滴下した後、この液を濾過して分散用ビーズを取り除くことにより、顔料濃度12.5%の分散液を得た。これを「分散液5」とする。
ジョンクリル678(20.3部)、及びトリエタノールアミン11.6部をイオン交換水80.6部に溶解し、1時間攪拌した。得られた溶液にカーボンブラック37.5部を加え、1500rpmの条件下で20時間、サンドグラインダーで分散処理を行って液を得た。得られた分散体にイオン交換水150部を滴下した後、この液を濾過して分散用ビーズを取り除くことにより、顔料濃度12.5%の分散液を得た。これを「分散液6」とする。
ジョンクリル690(11.3部)、及びトリエタノールアミン7.2部をイオン交換水94部に溶解し、1時間攪拌した。得られた溶液にカーボンブラック37.5部を加え、1500rpmの条件下で20時間、サンドグラインダーで分散処理を行って液を得た。得られた分散体にイオン交換水150部を滴下した後、この液を濾過して分散用ビーズを取り除くことにより、顔料濃度12.5%の分散液を得た。これを「分散液7」とする。
下記表2に記載の各成分を混合させた後、ポアサイズ3μmのメンブランフィルターで濾過することにより、評価試験用の実施例1〜3、及び比較例1〜3の各インクを得た。
表2中、各成分の数値は「部」を意味する。残部とあるのは、水としてイオン交換水を加えてインクの総量を100部に調整したことを意味する。
表2中の略号は、以下の意味を有する。
PG:プロピレングリコール。
1,2−HD:1,2−ヘキサンジオール。
DF−110D:サーフィノールDF−110D。
GXL(S):プロキセル GXL(S)。
また、表2中、ポリマー1及び樹脂1は固形分換算値である。
上記表2の代わりに、下記表3に記載の各成分を混合させた以外は実施例1〜8と同様にして、比較例1〜8のインクを調製した。下記表3中の略号は、上記表2中と同じ意味である。
また、表3中、ポリマー1、樹脂1、及び比較樹脂1は、いずれも固形分換算値である。
各実施例、及び比較例のインクをそれぞれ含有する容器(インクタンク等ともいう。)を、セイコーエプソン社製インクジェットプリンタ、商品名PX205に装填した後、下記する初期吐出性、吐出安定性、転写性、及びバーコード読取の各試験を行った。
前記のインクジェットプリンタが有する機能である「ヘッドクリーニング」を行った後、初期吐出として「ノズルチェック」を行った。このノズルチェックで観察されたピン欠けの状態を、下記4段階の評価基準で評価した。評価結果を下記表3に示す。
[初期吐出性の評価基準]
A:1回のヘッドクリーニングで、ピン欠けは観察されない。
B:3回以内のヘッドクリーニングで、ピン欠けは観察されない。
C:5回以内のヘッドクリーニングで、ピン欠けは観察されない。
D:5回のヘッドクリーニングでも、ピン欠けが観察される。
前記[初期吐出性試験]にて、ピン欠けが観察されなくなるまでヘッドクリーニングを行った後、A4用紙に全面ベタ印刷を行った。この印刷の後に「ノズルチェック」を再び行い、観察されたピン欠けの状態を下記4段階の評価基準で評価した。評価結果を下記表3に示す。
[吐出安定性の評価基準]
A:ピン欠けは観察されない。
B:1〜3ノズルでピン欠けが観察される。
C:4〜6ノズルでピン欠けが観察される。
D:7ノズル以上のピン欠けが観察される。
前記インクジェットプリンタを使用し、圧着用紙(トッパン・フォームズ社製POSTEX107WH)に1cmx1cmの正方形をベタ印刷して70℃で1分乾燥した。得られた印刷後の圧着用紙を圧着した。この圧着された用紙を剥がして、圧着用紙の印刷面から白紙面へのインクの転写状態を目視により、下記4段階の評価基準で評価した。評価結果を下記表3に示す。
[転写性の評価基準]
A:転写が観察されない。
B:極めて微かな転写が観察される。
C:明らかに転写が観察される。
D:極めて多量の転写が観察される。
前記インクジェットプリンタを使用し、圧着用紙(トッパン・フォームズ社製POSTEX107WH)にEAN128規格のバーコードを印刷した。得られたバーコードがHoneywell社製のバーコード検証器、Quick Check PC600で読めるか否かを評価した。
その結果、各実施例のインクは、いずれもバーコード検証器で読めることが確認された。
実施例、及び比較例の各インクの保存安定性を、下記する「粒子径(D90)」及び「粘度」の変化で試験した。
[粒子径の変化試験]
各インクをサンプル瓶に100ml採取し、これを密閉した後、60℃で1週間保存した。この保存後の各サンプルを室温まで冷却した後、各インクの粒子径)を測定した。初期値に対する保存後の粒子径の変化率を下記4段階の評価基準で評価した。評価結果を下記表4及び表5に示す。なお、粒子径の測定には、Microtrac(マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いた。
[粒子径の評価基準]
A:変化率が±5%以内。
B:変化率が±10%以内。
C:変化率が±20%以内。
D:変化率が±20%より大きい。
前記[粒子径の変化試験]と同じサンプルの試験前後の粘度を測定し、初期値に対する保存後の粒子径の変化率を下記4段階の評価基準で評価した。評価結果を下記表4及び表5に示す。なお、粘度の測定には、回転型粘度計(R115型粘度計、東機産業株式会社製)を用いた。
[粘度の評価基準]
A:変化率が±3%以内。
B:変化率が±5%以内。
C:変化率が±10%以内。
D:変化率が±10%より大きい。
Claims (11)
- 水不溶性の着色剤、アルカリ可溶性樹脂、ポリマー、及び水を含有するインクであって、前記ポリマーが3種類のメタクリル酸誘導体と、1種類のアクリル酸誘導体から構成されるポリマーであり、前記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量が1500〜10000であり、且つ、前記インクの総質量に対するアルカリ可溶性樹脂の含有量(AW)とポリマーの含有量(BW)が、質量基準で下記式(1)及び式(2)の両方を満たすインク。
式(1):AW/BW=0.4より大きく1.5未満。
式(2):AW+BW=2.4質量%〜4.5質量%。 - 前記アルカリ可溶性樹脂が、水不溶性の着色剤の分散剤である請求項1に記載のインク。
- 前記インクの総質量に対するポリマーの含有量が、1〜2.5質量%である請求項1に記載のインク。
- 前記アルカリ可溶性樹脂が、スチレン‐アクリル樹脂である請求項1に記載のインク。
- 前記ポリマーが、メタクリル酸、2種類のアルキルメタクリレート、及びアルキルアクリレートから構成されるポリマーである請求項1に記載のインク。
- 前記ポリマーが、メタクリル酸、2種類のC1‐C3アルキルメタクリレート、及びC6‐C10アルキルアクリレートから構成されるポリマーである、請求項1、3及び5のいずれか一項に記載のインク。
- さらに水溶性有機溶剤を含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインク。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクの液滴を、記録信号に応じて吐出させて記録メディアに付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
- 前記の記録メディアが、圧着用紙である請求項8に記載のインクジェット記録方法。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクが付着した記録メディア。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクを含有する容器を備えるインクジェットプリンタ。
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