JP2018172620A - インク組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
水不溶性の着色剤を含有する水性インクは、着色剤が固体として、インク中に分散している。このため、水溶性染料を含有するインクと比較して、水不溶性の着色剤を含有するインクを、インクジェットプリンタから良好に吐出することは難しいとされている。
また、商業印刷に用いられる基材は、インク受容層を有さないことも多い。このため、基材への着色剤の定着性を向上させる等の目的で、商業印刷に用いられるインクは、樹脂を含有することが多い。さらに、水不溶性の着色剤を含有するインクは、着色剤を樹脂により分散することも行われる。このため、一般にそのようなインクは、インク中の固形分の含有量が多く、これが吐出性を悪化させる1つの大きな要因となっている。
これに加えて、商業印刷に用いられるインクジェットプリンタは、高速で印刷を行う必要から、オフィス及び家庭用のプリンタと比較して、高い粘度のインクを必要とする。インクの粘度が高いことも、良好な吐出性の確保を困難にする1つの要因である。
吐出性の1つの評価方法として、吐出した液滴の状態を撮影し、液滴の状態を目視で確認する方法が挙げられる。この方法では、液滴が球形にまとまっている状態のとき、吐出性が良好と評価される。一方、液滴にテールが発生しているとき、及び/又は、液滴が複数に分離してサテライトが発生しているとき、吐出性が不良と評価される。この方法を用いると、インクジェットプリンタから吐出された液滴の状態を、直接評価できる。
また、商業印刷は、休憩時間、及び休日等を理由とし、間欠記録(連続記録−数十分〜数時間の一時的な記録の停止−連続記録の再開、を繰り返す記録。)が行われることも多い。一時的に記録を停止した後に、連続記録を再開すると、吐出性が不良となるインクも多い。このため、間欠記録において、連続記録を再開したときでも吐出性が良好なインクが強く要望されている。
水と、水不溶性の着色剤と、プロピレングリコールと、グリセリンと、ジグリセリンの酸化アルキレン付加物と、を含有するインクであって、インクの総質量に対して、
プロピレングリコールの含有量が、5質量%<プロピレングリコール<15質量%であり、
グリセリンの含有量が、25質量%<グリセリン<35質量%であり、
ジグリセリンの酸化アルキレン付加物の含有量が、0質量%<ジグリセリンの酸化アルキレン付加物<4質量%である、インク。
2)
ジグリセリンの酸化アルキレン付加物が、下記式(1)で表される化合物である前記1)に記載のインク。
3)
さらに分散剤を含有する前記1)に記載のインク。
4)
分散剤がA−Bブロックポリマーであり、
Aブロックを構成するモノマーがベンジルメタクリレート及びベンジルアクリレートから選択されるモノマーであり、
Bブロックを構成するモノマーが下記式(2)で表される2種類以上のモノマーである、前記3)に記載のインク。
5)
Aブロックを構成するモノマーがベンジルメタクリレートであり、
Bブロックを構成するモノマーが、式(2)で表されるモノマーのうち、
R1が水素原子、R2がメチル基で表されるモノマーと、
R1がC4アルキル基、R2がメチル基で表されるモノマーと、の2種類である前記4)に記載のインク。
6)
水不溶性の着色剤が顔料である、前記1)に記載のインク。
7)
顔料が、C.I.ピグメント及びカーボンブラックから選択される顔料である、前記6)に記載のインク。
8)
C.I.ピグメントから選択される顔料が、C.I.ピグメントイエロー、C.I.ピグメントレッド、C.I.ピグメントブルー、C.I.ピグメントバイオレット、C.I.ピグメントオレンジ、及び、C.I.ピグメントグリーンから選択される顔料である、前記7)に記載のインク。
9)
前記1)〜8)のいずれか一項に記載のインクの液滴を、記録信号に応じて吐出させ、基材に付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
10)
前記1)〜8)のいずれか一項に記載のインクが付着した基材。
11)
前記9)のインクジェット記録方法により、インクの液滴が付着した基材。
また、前記インクは、水を含有する水性インクである。
本明細書において水不溶性の着色剤とは、25℃の水に対する溶解度が通常3g/リットル以下、好ましくは1g/リットル以下、より好ましくは500mg/リットル以下、さらに好ましくは100mg/リットル以下の着色剤が挙げられる。
そのような着色剤としてはC.I.ディスパース、C.I.ソルベント、及び顔料から選択される着色剤が挙げられる。これらの中では、顔料が好ましい。顔料としては、無機顔料、有機顔料、体質顔料等が挙げられる。
カーボンブラックとしては、例えば、サーマルブラック、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、ガスファーネスブラック、ランプブラック、ガスブラック、及びチャンネルブラック等が挙げられる。これらの中ではアセチレンブラック、オイルファーネスブラック、ガスファーネスブラック、ランプブラック、及びチャンネルブラックが好ましい。
カーボンブラックの具体例としては、例えば、コロンビア・カーボン社製のRaven シリーズ;キャボット社製のMonarch シリーズ、Regal シリーズ、Mogul シリーズ;デグサ社製のColor Black シリーズ、Printex シリーズ、 Special Black シリーズ;三菱化学株式会社製のMA シリーズ、MCF シリーズ等が挙げられる。
酸化チタンの具体例としては、例えば、堺化学工業株式会社製のDUAWHITE シリーズ、TITONE シリーズ;石原産業株式会社製のタイペーク シリーズ;テイカ株式会社製のTITANIX シリーズ;チタン工業株式会社製のST シリーズ等が挙げられる。
有機顔料の具体例としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、12、13、14、16、17、24、55、73、74、75、83、93、94、95、97、98、108、114、128、129、138、139、150、151、154、155、180、185、193、199、202;C.I.ピグメントレッド 5、7、12、48、48:1、57、88、112、122、123、146、149、150、166、168、177、178、179、184、185、202、206、207、254、255、257、260、264、272;C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、25、60、66、80;C.I.ピグメントバイオレット 19、23、29、37、38、50;C.I.ピグメントオレンジ 13、16、34、36、43、68、69、71、73;C.I.ピグメントグリーン 7、36、54;及び、C.I.ピグメントブラック 1、7等が挙げられる。
インクの総質量に対する、着色剤の含有量は通常1%〜30%、好ましくは1%〜15%、より好ましくは2%〜10%である。
前記インクは、プロピレングリコールを含有する。その含有量は、インクの総質量に対して通常5%<プロピレングリコール<15%、好ましくは6%≦プロピレングリコール≦14%、より好ましくは7%≦プロピレングリコール≦13%である。
前記インクは、グリセリンを含有する。その含有量は、インクの総質量に対して通常25%<グリセリン<35%、好ましくは26%≦グリセリン≦34%、より好ましくは27%≦グリセリン≦33%である。
前記インクは、ジグリセリンの酸化アルキレン付加物を含有する。その含有量は、インクの総質量に対して通常0%<ジグリセリンの酸化アルキレン付加物<4%、好ましくは0.1%≦ジグリセリンの酸化アルキレン付加物≦3%、より好ましくは0.3%≦ジグリセリンの酸化アルキレン付加物≦3%、さらに好ましくは0.5%≦ジグリセリンの酸化アルキレン付加物≦2.5%である。
ジグリセリンの酸化アルキレン付加物としては、前記式(1)で表される化合物が好ましい。なお、式(1)で表される化合物は、実質的に式(1)で表される化合物の混合物である。
式(1)中、ALにおけるC2−C4アルキレンとしては、直鎖、分岐鎖、及び環状アルキレンが挙げられる。これらの中では直鎖、又は分岐鎖アルキレンが好ましい。好ましい炭素数の範囲はC2−C3、より好ましくはC3である。
式(1)中、j、k、m及びnの総和は通常4〜100、好ましくは4〜90である。また、これらの化合物の重量平均分子量は通常300〜5000、好ましくは400〜4500、より好ましくは450〜3000、さらに好ましくは700〜2000、場合により好ましくは750〜1600、特に好ましくは750〜1200である。重量平均分子量はGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)で測定することができる。
その具体例としては、例えば、阪本薬品工業株式会社製のSC−P400(4/400)、SC−P750(9/750)、SC−P1000(14/1000)、SC−P1200(18/1200)、SC−P1600(24/1600);SC−E450(6/450)、SC−E750(13/750)、SC−E1000(20/1000)、SC−E1500(30/1500)、SC−E2000(40/2000)、SC−E3000(60/3000)、SC−E4500(90/4500);日油株式会社製のユニルーブ DGP−700(9/700)、DGP−700F等が挙げられる。
前記のうち「SC−P」及び「DGP」のシリーズは、式(1)におけるALが分岐鎖C3アルキレン、また、「SC−E」のシリーズは、ALが直鎖C2アルキレンの化合物である。また、各具体例の括弧書きは、(k+j+m+nの総和の平均値/重量平均分子量)を意味する。
前記インクは、さらに分散剤を含有するのが好ましい。分散剤としては、公知の分散剤が挙げられる。その一例としては、スチレン及びその誘導体;ビニルナフタレン及びその誘導体;α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル;(メタ)アクリル酸及びその誘導体;マイレン酸及びその誘導体;イタコン酸及びその誘導体;ファール酸及びその誘導体;酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、(メタ)アクリルアミド、及びそれらの誘導体等よりなる群の単量体から選択される、少なくとも2つの単量体(好ましくは、このうち少なくとも1つが親水性の単量体)から構成される共重合体が挙げられる。
本明細書中、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸とメタアクリル酸の両方」を含む意味として用いる。「(メタ)アクリルアミド」等についても同様の意味として用いる。
共重合体の種類としては、例えば、ブロック共重合体、ランダム共重合体、及びグラフト共重合体、及び/又はそれらの塩等が挙げられる。
分散剤は合成することも、市販品として入手することもできる。市販品の具体例としては、例えば、いずれもジョンソンポリマー社製のジョンクリル 62、67、68、678、及び687等のスチレン−アクリル系樹脂;モビニール S−100A(ヘキスト合成社製の変性酢酸ビニル樹脂);ジュリマー AT−210(日本純薬株式会社製のポリアクリル酸エステル共重合体)等が挙げられる。
これらの中では、Aブロックを構成するモノマーがベンジルメタクリレート及びベンジルアクリレートから選択されるモノマーであり、Bブロックを構成するモノマーが前記式(2)で表される2種類以上のモノマーである、A−Bブロックポリマーが好ましい。
また、Aブロックを構成するモノマーがベンジルメタクリレートであり、Bブロックを構成するモノマーが、式(2)で表されるモノマーのうち、R1が水素原子、R2がメチル基で表されるモノマーと、R1がC4アルキル基、R2がメチル基で表されるモノマーと、の2種類である、A−Bブロックポリマーがより好ましい。
そのようなA−Bブロックポリマーとしては、例えば、国際公開第2013/115071号ガゼットに開示された分散剤が挙げられる。
分散剤を使用するとき、着色剤の総質量に対する分散剤の使用量の比は通常0.1〜1.0、好ましくは0.1〜0.6、より好ましくは0.2〜0.4である。分散剤の使用量の比がこの範囲にあるとき、安定性に優れる顔料分散液が得られる。
その一例としては、2−ブタノン等の有機溶剤に分散剤を溶解し、アニオン分散剤のときは中和剤の水溶液を加えて乳化液を調製する。得られた乳化液に着色剤を加えて分散処理を行い、液を得る。このようにして得られた液から有機溶剤と、一部の水を減圧留去することにより、着色剤を含有する分散液を得ることができる。
分散処理は、例えば、前記の分散剤の溶液若しくは乳化液と、着色剤とをサンドミル(ビーズミル)、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、超音波分散機、マイクロフルイダイザー等に入れて分散を行う。サンドミルを用いるときは、粒子径が0.01mm〜1mm程度のビーズを使用することができる。ビーズの充填率、分散時間、及び着色剤の含有量等を調整することにより、分散処理の効率を調整することができる。
前記のようにして得られた分散液は、ろ過及び/又は遠心分離をすることにより、含有する粒子の粒子径の大きさを、一定の範囲に揃えることができる。
前記インクが、これらの水溶性有機溶剤をさらに含有するとき、水溶性有機溶剤の総質量に対する、これらの水溶性有機溶剤の総含有量は通常0%〜55%、好ましくは0%〜40%、より好ましくは0%〜30%、さらに好ましくは0%〜20%、特に好ましくは0%〜10%程度である。このような総含有量の範囲のとき、インクの吐出性が良好な状態を維持することができる。
インクの総質量に対する、インク調製剤の総含有量は通常0%〜5%、好ましくは0.1%〜3%程度である。
有機ハロゲン系化合物としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられる。ピリジンオキシド系化合物としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられる。イソチアゾリン系化合物としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。
その他の防腐防黴剤としては、無水酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、アーチケミカル社製の商品名プロクセル GXL(S)、XL−2(S)等のプロクセル シリーズが挙げられる。
これらの中では有機塩基が好ましく、アルカノールアミン化合物がより好ましい。
アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
また、アルカリ土類金属の水酸化物としては、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム等が挙げられる。
無機塩基の中ではアルカリ金属の水酸化物、及び、アンモニアが好ましい。これらの中では水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、及びアンモニアが好ましい。
脂肪族アミン化合物としては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン等のモノ、ジ、又はトリC1−C3アミン化合物が挙げられる。これらの中ではトリエチルアミンが好ましい。
アルカノールアミン化合物としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等のモノ、ジ、又はトリC1−C3アルカノールアミン化合物が挙げられる。これらの中では3級アミン類が好ましく、中でもトリエタノールアミンが好ましい。
他の例としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;ケイ酸ナトリウム、酢酸カリウム等の有機酸のアルカリ金属塩;リン酸二ナトリウム等のリン酸塩;等が挙げられる。
アニオン界面活性剤としてはアルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、N−アシルアミノ酸又はその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型リン酸エステル、アルキル型リン酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
インクの25℃における表面張力は通常10mN/m〜50mN/m、好ましくは20mN/m〜40mN/mである。
インクの28℃における粘度は通常4mPa・s〜20mPa・s、好ましくは6mPa・s〜15mPa・sである。商業印刷用のインクジェットインクとして使用するときは、8〜13mPa・sがさらに好ましく、10mPa・s〜12mPa・sが特に好ましい。
これらの物性値は、例えば、pH調整剤、水溶性有機溶剤、及び界面活性剤等で調整することができる。
ポリエステル繊維としては、ポリエチレンテレフタレート繊維が挙げられる。
セルロース繊維としては、綿、レーヨン、トリアセテート、ジアセテート等の繊維が挙げられる。
ポリアミド繊維としては、ナイロン繊維等が挙げられる。
天然繊維としては、絹、羊毛等が挙げられる。
前記インクは、インクジェットヘッドへのインク充填が良好である。また、インクジェット記録のときに吐出曲がり、及び、かすれが無く、安定した吐出ができる。
前記インクは、長時間の連続記録、及び、間欠記録のいずれにおいても、プリントヘッドのノズルを詰まらせることが無い。
前記インクは、貯蔵時の保存安定性が良好であり、仮にインク中の水分等を失って、インクが乾燥して固形物を生じたときでも、インクの補充により、固形物の再分散性が極めて良好である。
前記インクにより、滲みがなく、高発色な記録画像が得られる。
前記インクにより、各種の堅牢性、例えば耐光性、耐水性等が優れる記録画像が得られる。
実施例中で使用した「水」は、イオン交換水である。
実施例において、分散液中の着色剤の含有量の測定が必要なときは、株式会社エイ・アンド・デイ社製、MS−70を用いて乾燥重量法により求めた。着色剤の含有量は、分散液が含有する固形分の総含有量からの換算値である。
国際公開2013/115071号の「[合成例3]ブロック共重合体Aの合成」に従い、Mwが24,300、PDIが1.49の分散剤138gを得た。得られた分散剤は、Aブロックを構成するモノマーがベンジルメタクリレートであり、Bブロックを構成するモノマーが、式(2)で表されるモノマーのうち、R1が水素原子、R2がメチル基で表されるモノマーと、R1がC4アルキル基としてn−ブチル基、R2がメチル基で表されるモノマーと、の2種類である。
調製例1で得た分散剤(6.3部)を、2−ブタノン(20部)に溶解して溶液を得た。この溶液に、0.47部の水酸化ナトリウムを水(51.45部)に溶解させた液を加え、1時間撹拌することにより乳化液を得た。得られた液にC.I.ピグメントイエロー 155(21部)を加え、水冷下、サンドグラインダーで1500rpmの条件で15時間分散処理をして液を得た。得られた液をイオン交換水で希釈し、分散用ビーズを濾別(アドバンテック社製ガラス濾紙(GA100が上、GC50が下となるように2枚重ねとした。)して濾液を得た。得られた濾液中の2−ブタノン、及び水の一部を、エバポレータで減圧留去することにより、着色剤の含有量が12%の分散液を得た。これを「分散液1」とする。
前記の調製例2で使用した各成分を、下記表1に記載の成分と使用量に代える以外は調製例2と同様にして、調製例3〜9の分散液2〜8を、それぞれ得た。なお、各成分の数値は「部」であり、各分散液中の着色剤の総含有量が12%となるように、加える水の量を調整した。
PY155=C.I.ピグメントイエロー 155。
PR122=C.I.ピグメントレッド 122(クラリアント社製、INKJET MAGENTA E−02)。
PR150=C.I.ピグメントレッド 150。
PB15:4=C.I.ピグメントブルー 15:4。
CB=カーボンブラック。
PB15:6=C.I.ピグメントブルー 15:6。
PO43=C.I.ピグメントオレンジ 43。
PG36=C.I.ピグメントグリーン 36。
Dp=前記の調製例1で調製した、分散剤。
MEK=2−ブタノン。
NaOH=水酸化ナトリウム。
DP No.=前記の調製例2〜9で調製した、分散液の番号。
DP1〜DP8=前記の調製例2〜9で調製した、分散液1〜分散液8。
下記表2〜4に記載の各成分を混合し、十分に攪拌した後、5μmのメンブランフィルタで濾過することにより、評価試験に用いる実施例1〜21のインクを得た。なお、各成分の数値は「部」であり、その合計が100部となるように、加える水の量を調整した。
下記表5に記載の各成分を用いる以外は実施例1〜21と同様にして、比較例1〜6の比較用インクを得た。
DP1〜DP8=前記の調製例2〜9で調製した、分散液1〜分散液8。
UX−320=ユーコート UX−320。
PG=プロピレングリコール。
GL=グリセリン。
DGA=ジグリセリンの酸化アルキレン付加物。SC−P1000を使用した。
TEA=90%トリエタノールアミン(残分は水)。
SF420=サーフィノール 420。
GXL=プロキセル GXL(S)。
産業用インクジェットヘッド評価装置(拡張型塗布装置EV2500、リコー株式会社製)を用い、実施例及び比較例のインクの液滴を吐出した後、4マイクロ秒毎に液滴の写真を撮影した。液滴の吐出は、ヘッド内臓のヒーターを28℃に設定、ヘッド駆動電圧14.0V、周波数2kHzにて実施した。インクの液滴が1mm飛翔したときの液滴の状態を、撮影した写真で確認し、下記A〜Dの4段階の評価基準で評価した。試験結果を下記表6〜8に示す。
[評価基準]
A:インク液滴にテール、及びサテライトが認められない。
B:インク液滴にテール、又は、サテライトのいずれかが認められる。
C:インク液滴にテール、及び、サテライトの両方が認められる。
D:インク液滴が飛散した状態で、吐出されている。
前記の産業用インクジェットヘッド評価装置を用い、下記する基材にノズルチェックパターンをインクジェット記録した。記録は、ヘッド内臓ヒーターを28℃に設定、ヘッド駆動電圧14.0V、10kHzにて実施した。印刷物の記録画像を確認し、下記A〜Dの4段階の評価基準で評価した。
[基材]
Canon Photo Paper Pro Platinum PT−101、又は、EPSON 写真用紙<光沢>、型番:KA4100PSKRを任意に使用した。これらの基材に記録したノズルチェックパターンの状態に、差はなかった。
[評価基準]
A:記録画像に「かすれ」が全く認められない。
B:記録画像を詳細に観察すると、わずかに「かすれ」が認められる。
C:記録画像に「かすれ」が認められる。
D:記録画像が明らかに「かすれ」ている。
前記の[初期吐出試験]と同様にして、基材にノズルチェックパターンをインクジェット記録した後、記録を停止した。そのままの状態で産業用インクジェットヘッド評価装置を30分放置した後、基材に再びノズルチェックパターンをインクジェット記録し、その記録画像の状態を目視にて確認し、下記A〜Dの4段階の評価基準で評価した。
[評価基準]
A:記録画像に「かすれ」が全く認められない。
B:記録画像を詳細に観察すると、わずかに「かすれ」が認められる。
C:記録画像に「かすれ」が認められる。
D:記録画像が明らかに「かすれ」ている。
色=インクの色。
Y=イエローインク。
M=マゼンタインク。
C=シアンインク。
K=ブラックインク。
B=ブルーインク。
O=オレンジインク。
G=グリーンインク。
液滴=前記の[液滴の状態試験]。
PG=インクの総質量に対する、プロピレングリコールの含有量。
GL=インクの総質量に対する、グリセリンの含有量。
DGA=インクの総質量に対する、ジグリセリンの酸化アルキレン付加物の含有量。
なお、比較例1及び3の初期吐出、及び、間欠記録は、前記の評価基準においては「A」であった。しかし、それらの記録画像は、インクが飛散することにより、白地となるべき部分にも着色が生じていた。すなわち、比較例1及び3のインクは、初期吐出、及び、間欠記録の両方において、正常なノズルチェックパターンをインクジェット記録できなかった。
Claims (11)
- 水と、水不溶性の着色剤と、プロピレングリコールと、グリセリンと、ジグリセリンの酸化アルキレン付加物と、を含有するインクであって、インクの総質量に対して、
プロピレングリコールの含有量が、5質量%<プロピレングリコール<15質量%であり、
グリセリンの含有量が、25質量%<グリセリン<35質量%であり、
ジグリセリンの酸化アルキレン付加物の含有量が、0質量%<ジグリセリンの酸化アルキレン付加物<4質量%である、インク。 - さらに分散剤を含有する請求項1に記載のインク。
- Aブロックを構成するモノマーがベンジルメタクリレートであり、
Bブロックを構成するモノマーが、式(2)で表されるモノマーのうち、
R1が水素原子、R2がメチル基で表されるモノマーと、
R1がC4アルキル基、R2がメチル基で表されるモノマーと、の2種類である請求項4に記載のインク。 - 水不溶性の着色剤が顔料である、請求項1に記載のインク。
- 顔料が、C.I.ピグメント及びカーボンブラックから選択される顔料である、請求項6に記載のインク。
- C.I.ピグメントから選択される顔料が、C.I.ピグメントイエロー、C.I.ピグメントレッド、C.I.ピグメントブルー、C.I.ピグメントバイオレット、C.I.ピグメントオレンジ、及び、C.I.ピグメントグリーンから選択される顔料である、請求項7に記載のインク。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載のインクの液滴を、記録信号に応じて吐出させ、基材に付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載のインクが付着した基材。
- 請求項9のインクジェット記録方法により、インクの液滴が付着した基材。
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