(実施形態)
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1および図2は、本実施形態に係る画像形成装置1の全体の外観を示しており、図3は画像形成装置1の内部構造を示している。この画像形成装置1は、給紙装置2、画像形成部3および画像読取部4を有する装置本体1Mと、装置本体1M上に開閉可能に支持されたADF(Auto Document Feeder:自動原稿搬送装置)5とを備えたデジタル複合機である。図1はADF5が閉じた状態を示し、図2はADF5が開いた状態を示している。画像読取部4およびADF5は画像読取装置6を構成し、該画像読取装置6は、本発明に係るシート材読取装置を構成する。
図1〜図3において矢印Tは後述する原稿読取ガイド91でガイドされる原稿シートSの搬送方向を示している。原稿シートSは、本発明のシート材であり、例えば、普通紙、グロスコート紙、マッコート紙、アートコート紙、OHPシート、エンボス加工を施した特殊紙、あるいはその他のシート材である。原稿シートSは、四隅が直角の縦方向および横方向を有する矩形状シートであり、縦方向または横方向を原稿シートSの搬送方向と平行な状態で原稿読取ガイド91によりガイドされ、搬送される。
また、図1および図2において矢印Qは原稿シートSの搬送方向に直交する装置前後方向における装置手前側を示し、矢印Rはその前後方向の装置奥側を示している。ここでいう装置手前側は本発明の前側に相当し、装置奥側は本発明の後側に相当する。当該画像形成装置1のユーザは画像形成装置1の手前側(Q側)に位置し、装置本体1Mの上部手前側に設けられた操作部108によって各種の入力や設定の操作を行うようになっている。原稿読取ガイド91による原稿シートSの搬送方向は、ユーザからみて左から右の方向となる。
ADF5は、装置本体1Mの上部に、図2に示す左右一対のヒンジ機構5hを介して開閉可能に連結されている。ヒンジ機構5hは奥側に配置され、ADF5は手前側が開くようになっている。図2に示すように、画像読取部4の上部の左側には、手前側から奥側に延びる細長い第1コンタクトガラス45が設けられている。また、画像読取部4の上部における第1コンタクトガラス45の右側には、平板状の第2コンタクトガラス46が設けられている。ADF5は、各コンタクトガラス45,46を露出させる開放位置と、各コンタクトガラス45,46を覆う閉止位置との間で回動操作されるようになっている。
次に、図3を参照して、給紙装置2、画像形成部3、画像読取部4およびADF5の構成を詳述する。
給紙装置2は、それぞれカットシート状の転写紙Pを積層状態で収納可能な複数段の給紙カセット21A,21B,21Cを有している。各給紙カセット21A,21B,21Cには、例えば複数のシートサイズから予め選択されたシートサイズの転写紙P(例えば白紙)が、縦または横の給紙方向に向けて収容されるようになっている。
給紙装置2は、各給紙カセット21A,21B,21Cに収納された転写紙Pをそれぞれの最上層側から順次ピックアップして分離給紙する給紙装置22A,22B,22Cを有している。給紙装置2には、さらに各種ローラ23等が設けられており、これらローラ23によって、各給紙装置22A,22B,22Cから給紙された転写紙Pを画像形成部3の所定の画像形成位置まで搬送する給紙経路24が形成されている。
画像形成部3は、露光装置31と、感光体ドラム32K,32Y,32M,32Cと、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)およびシアン(C)のトナーが充填された現像装置33K,33Y,33M,33Cとを備えている。また、画像形成部3は、一次転写部34と、二次転写部35と、定着部36とを備えている。
露光装置31は、例えば、画像読取装置6で読み取った画像に基づいて各色の露光用のレーザ光Lを生成するようになっている。また、露光装置31は、レーザ光Lにより各色の感光体ドラム32K,32Y,32M,32Cを露光して、各感光体ドラム32K,32Y,32M,32Cの表層部に読取画像に対応した各色の静電潜像を形成するようになっている。
各現像装置33K,33Y,33M,33Cは、それぞれ対応する感光体ドラム32K,32Y,32M,32Cに薄層状のトナーを近接させるように供給して、静電潜像をトナーにより顕像化する現像を行うようになっている。
画像形成部3は、各感光体ドラム32K,32Y,32M,32C上に現像されたトナー像を一次転写部34に一次転写し、一次転写部34に近接する二次転写部35でそのトナー像を転写紙Pに二次転写するようになっている。また、画像形成部3は、転写紙Pに二次転写したトナー像を定着部36により加熱・加圧して溶融させ、転写紙Pにカラー画像を定着させて記録するようになっている。
画像形成部3は、給紙装置2から給紙経路24を経て供給された転写紙Pを二次転写部35側に搬送する搬送経路39Aを有している。この搬送経路39Aにおいては、まず、レジストローラ対37において、転写紙Pの搬送タイミングおよび搬送速度が調整されるようになっている。そして、転写紙Pは、一次転写部34および二次転写部35でのベルト速度に同期した状態で二次転写部35および定着部36を通過した後、排紙トレイ38上に排紙されるようになっている。
画像形成部3は、図3において右側に設けられた手差トレイ25上に載置される転写紙Pを、レジストローラ対37よりも上流側で搬送経路39Aに給紙する手差給紙経路39Bを併有している。
二次転写部35および定着部36の下方には、それぞれ複数の搬送ローラおよび搬送ガイド等からなるスイッチバック搬送路39Cおよび反転搬送路39Dが設けられている。
スイッチバック搬送路39Cは、転写紙Pの両面に画像を形成する場合に、任意の一面に画像定着が済んだ転写紙Pを一端から進入させた後に、後退(進入時とは逆方向に移動)させるスイッチバック搬送を行うようになっている。
反転搬送路39Dは、スイッチバック搬送路39Cによりスイッチバック搬送された転写紙Pの表裏を反転させて、レジストローラ対37に再度給紙するようになっている。
これらスイッチバック搬送路39Cおよび反転搬送路39Dにより、一面に対する画像定着処理を終えた転写紙Pは、その進行方向を逆向きに切り替えられた後に表裏反転されて、再び二次転写ニップに進入する。そして、転写紙Pは、他面にも画像の二次転写処理と定着処理とが施された後、図3において左側に設けられた排紙トレイ38上に排紙されるようになっている。
画像読取部4は、発光部である光源およびミラー部材を搭載した第1キャリッジ41と、ミラー部材を搭載した第2キャリッジ42と、結像レンズ43と、受光部である撮像部44と、第1コンタクトガラス45とを備えている。画像読取部4は、装置本体1M側に設けられている。
画像読取部4は、第1コンタクトガラス45上を搬送される記録媒体としての原稿シートSの片側の画像面(例えば表側の画像面)の画像を読み取る光学走査ユニット40を構成している。光学走査ユニット40は、本発明に係る読取部を構成する。
画像読取部4には、原稿シートSが載置される第2コンタクトガラス46および原稿シートSの一辺が突き当てられて搬送開始位置を位置決めする突当部材47a等が併設されている。
第1キャリッジ41は、第1コンタクトガラス45および第2コンタクトガラス46の下方に、図3において左右方向に移動可能、かつ位置制御可能に設けられている。なお、第1キャリッジ41を第1コンタクトガラス45の下方に設け、別のキャリッジを新たに第2コンタクトガラス46の下方に移動可能に設けてもよい。
第1キャリッジ41は、光源からの照明光をミラー部材で反射させて第1コンタクトガラス45または第2コンタクトガラス46を透過させることで、第1コンタクトガラス45または第2コンタクトガラス46上の原稿シートSに光を照射することができるようになっている。
原稿シートSで反射した反射光は、第1キャリッジ41および第2キャリッジ42に搭載された各ミラー部材を経由して結像レンズ43により結像され、撮像部44にてその結像した画像が読み取られるようになっている。なお、各キャリッジ41,42、結像レンズ43および撮像部44を一体のキャリッジとして構成することも可能である。
第2コンタクトガラス46上に置かれた原稿シートSの画像を読み取る場合、画像読取部4は、光源点灯状態で第1キャリッジ41および第2キャリッジ42を例えば2:1の速度比で図3において右方向に移動させつつ、第2コンタクトガラス46上の原稿シートSの画像面を走査するようになっている。画像読取部4は、この走査時に、撮像部44により原稿画像を読み取ることで、固定原稿読取機能(いわゆるフラットベッドスキャナ機能)を発揮することができるようになっている。
また、第1コンタクトガラス45上の原稿シートSの画像を読み取る場合、画像読取部4は、第1キャリッジ41を第1コンタクトガラス45の直下の定位置に停止させるようになっている。そして、画像読取部4は、光源や反射ミラー等からなる光学系を移動させることなく、自動原稿搬送中の原稿シートSの第1面(原稿テーブル51上の原稿シートSの表面)の画像を読み取る移動原稿読取機能(いわゆるDFスキャナ機能)を発揮することができるようになっている。
ADF5は、シートスルー方式の自動原稿搬送装置として構成されている。ADF5は、原稿載置台である原稿テーブル51と、各種ローラおよびガイド部材等からなる原稿搬送部52と、画像読み取り後の原稿シートSを集積する原稿排紙トレイ53とを備えている。原稿テーブル51は、カットシート状の1枚の原稿シートS、あるいは複数枚の原稿シートSの原稿束を載置可能となっている。
原稿シートSは、幅の異なるものにかかわらず、その奥側の一辺が常に同一箇所に突き当てられることにより位置決めされて原稿テーブル51上に戴置されるようになっている。したがってADF5によって第1コンタクトガラス45上に送られた原稿シートSは、その搬送状態での左辺が常に奥側を通過するようになっている。
第1コンタクトガラス45上での画像読み取り後、原稿シートSは、原稿搬送部52により搬送下流方向へ搬送される。原稿搬送部52における第1コンタクトガラス45の搬送下流方向には、裏面読取部69が設けられている。裏面読取部69は、原稿シートSが光学走査ユニット40による後述する読取線20上の読取位置を通過する際に、原稿シートSの裏面の画像を読み取るようになっている。裏面読取部69を通過した原稿シートSは、排紙ローラ対67により原稿排紙トレイ53に排出される。
図4は、図3に示したADF5と置き換え可能なADF5aを示している。ADF5aはADF5と裏面読取の機構において異なる部分があるが、基本構成は同じである。したがってADF5と同一構成要素には同一の符号を付している。以下、ADF5aを一実施形態に係るADFとして詳述する。
図4に示すように、ADF5aは、複数の機能部として、原稿セット部A、分離給送部B、レジスト部C、ターン部D、読取搬送部E、排出部Fおよびスタック部Gを備えている。これら機能部のうち、分離給送部B、レジスト部C、ターン部D、読取搬送部Eおよび排出部Fの機能は、主に原稿搬送部52によって実現される。
原稿搬送部52は、少なくともその上方を開閉可能とした給紙カバー55を有する給紙カバー部12によって覆われている。給紙カバー55と原稿テーブル51との間には、図4で右側に開口する原稿シートSの給紙口55aが形成されている。給紙カバー55は、給紙口55aよりも内側(図4で左側)に原稿テーブル51の先端が位置するように、原稿テーブル51の先端の上方を覆っている。
また、給紙カバー部12は、給紙カバー55を開閉する開閉機構13と、給紙カバー55の開状態および閉状態を検知する開閉センサ18とを有している。
開閉機構13は、回動軸およびこの回動軸を支持する軸受などの機構により構成されており、回動軸を中心として給紙カバー55を原稿テーブル51および原稿搬送部52から離隔する方向に開閉できるようになっている。原稿搬送部52で、搬送途中の原稿シートSがローラなどの構成要素に押し込まれて詰まってしまった場合、ユーザが給紙カバー55を開いて、詰まった原稿シートSを取り出すジャム処理ができるようになっている。
開閉センサ18は、例えば給紙カバー部12の内部に設けられており、給紙カバー部12の給紙カバー55の開状態および閉状態を検知するようになっている。開閉センサ18は、給紙カバー55の開状態および閉状態を検知するものであればよく、例えば、給紙カバー55が開かれたときに遮蔽部材が退避し光を透過してオンとなる透過型フォトセンサからなる公知の素子で構成される。また、開閉センサ18は、スプリングやヒンジレバーを備えたアクチュエータの動作を感知するマイクロスイッチであってもよい。
原稿搬送部52は、給紙口55aから原稿排紙トレイ53の上方の排紙口55bに至る原稿シートSの搬送経路56を有している。搬送経路56は、給紙カバー55に形成されたリブ55cや他のガイド部材等によって形成されている。前述した当該画像形成装置1の前後方向は、搬送経路56に直交する方向と同じ方向である。
原稿搬送部52には、分離センサ11、突当センサ85、原稿幅センサ86、読取入口センサ87、レジストセンサ88および排紙センサ89が、原稿シートSの搬送方向上流側から下流側へとこの順で配置されている。これらセンサ11,85〜89は、搬送経路56における原稿シートSの位置や形状を検知するものである。特に、読取入口センサ87、レジストセンサ88および排紙センサ89は、原稿シートSの搬送距離や搬送速度等の制御、ならびにジャム検知等に用いられるようになっている。原稿幅センサ86は、本発明に係る幅検出手段を構成する。
原稿セット部Aは、原稿シートSの給送方向の先端が原稿突当爪28に突き当てられた状態で、原稿テーブル51上に原稿束がセットされるようになっている。原稿シートSが片面原稿の場合には、画像が形成されている表面を上向きにした状態で原稿テーブル51に原稿束をセットするようになっている。
分離給送部Bは、原稿セット部Aの原稿テーブル51に載置された原稿シートSの原稿束から最上位のものを一枚ずつ分離して、搬送経路56の入口に給送するようになっている。
レジスト部Cは、分離給送部Bから順次給送される原稿シートSを一次突当てにより所要の搬送姿勢に整合する機能と、その整合後の原稿シートSを下流側に引き出し搬送する機能を有している。
ターン部Dは、レジスト部Cにより引き出されて搬送される原稿シートSを表裏面が反転するよう折り返し搬送し、原稿シートSの表面を図4で下向きにする反転搬送機能を有している。
読取搬送部Eは、ターン部Dからの折り返し後の原稿シートSを第1コンタクトガラス45上の読取位置を通過させつつ、光学走査ユニット40の副走査方向に所定速度で搬送するようになっている。光学走査ユニット40の副走査方向は、第1コンタクトガラス45上で搬送される原稿シートSの搬送方向(図1〜図3の矢印T方向)と同じ方向であって、原稿シートSの原稿幅方向である光学走査ユニット40の主走査方向と直交する方向である。
排出部Fは、読取搬送部Eで搬送されて原稿画像読み取りが完了した原稿シートSをスタック部G側に排出するようになっている。また、排出部Fは、原稿シートSの裏面の読み取りが必要な場合に、原稿シートSをスタック部G側に排出させずに反転させ、再度搬送経路56を搬送させるようになっている。これにより、反転された原稿シートSは、読取搬送部Eを経て裏面側が読み取られ、原稿シートSの両面の読み取りがなされる。
スタック部Gは、排出部Fから順次排紙される原稿シートSをその表面を下向きにしつつ、原稿セット部Aの下方に配置された原稿排紙トレイ53に順次積載するようになっている。スタック部Gに積載される原稿シートSは、原稿セット部Aに載置したときと同じ頁順序であって、その束全体としては原稿面の向きが上下逆に積み重ねられるようになっている。
原稿セット部A、分離給送部B、レジスト部C、ターン部D、読取搬送部E、排出部Fおよびスタック部Gは、図5(ADF5aの制御構成を表すブロック図)に示す自動原稿搬送制御用のコントローラ部100によって制御されるようになっている。
ADF5aは、原稿テーブル51に載置された原稿シートSの原稿束から最上位の原稿シートSを1枚ずつ分離して、原稿搬送部52により、第1コンタクトガラス45上を通る所定の搬送経路で搬送するようになっている。さらに、ADF5aは、原稿シートSが第1コンタクトガラス45を通過する際に画像読取部4により原稿シートSの画像を読み取った後、原稿シートSを原稿排紙トレイ53に排紙するようになっている。
原稿シートSが上向きに載置される原稿テーブル51は、原稿搬送部52側を原稿シートSの先端側として、その先端側が下方、その後端側が上方となるように傾斜して配置されている。
また、ADF5aは、原稿テーブル51において原稿シートSの給送方向に沿って離隔して設けられた原稿長さセンサ81A〜81Cを有している。原稿長さセンサ81A〜81Cは、例えば、公知の反射型フォトセンサで構成されているが、これに限定されず、スプリングやヒンジレバーを備えたアクチュエータの動作を感知するマイクロスイッチやフォトセンサであってもよい。
原稿長さセンサ81A〜81Cは、図4に示すように、原稿シートSの原稿束の先端が原稿突当爪28に突き当たって原稿テーブル51上に原稿束がセットされた状態で、その原稿束の概略の長さを検知するようになっている。原稿突当爪28は、原稿テーブル51上にセットされる原稿束の姿勢を整えるようになっている。
また、ADF5aは、原稿シートSの原稿搬送方向を基準として給紙口55a側の上流端である原稿テーブル51の先端上部に、原稿テーブル51に載置された原稿シートSにより回動する原稿セットフィラー57を有している。
また、ADF5aは、原稿テーブル51の先端寄りの底面付近に、原稿セットフィラー57の先端部の移動軌跡上の最下部を検知することによって、原稿テーブル51に原稿シートSがセットされたか否かを検知する原稿セットセンサ82を有している。原稿セットセンサ82は、原稿セットフィラー57が回動して原稿セットセンサ82から外れたか否かを検知することにより、原稿テーブル51にセットされた原稿シートSの有無を検知するようになっている。
また、ADF5aは、第2コンタクトガラス46に対向して配置された図示せぬ平板状の圧板部を備えている。その圧板部は、読み取られる本や原稿を第2コンタクトガラス46に圧接するよう構成されている。
原稿搬送部52は、給紙口55aよりも原稿シートSの搬送方向下流に配置された呼び出しローラとしてのピックアップローラ58と、ピックアップローラ58より下流の搬送経路56近傍に配置された無端状の給紙ベルト59と、リバースローラ60とを有している。給紙ベルト59は、駆動ローラ71と従動ローラ72とに巻架されている。給紙ベルト59とリバースローラ60とは、搬送経路56を挟んで対向するように配置されている。給紙ベルト59、リバースローラ60、駆動ローラ71および従動ローラ72は、分離給送部Bを構成する。
ピックアップローラ58は、図示せぬカム機構を介して上下動し、下動すると、原稿テーブル51に積載された原稿シートSのうちの最上位の原稿シートSに接触する。ピックアップローラ58は、その接触位置において、最上位側から数枚(理想的には1枚)の原稿シートSを摩擦搬送してピックアップして順次分離給送部Bに搬送するようになっている。
給紙ベルト59は、給紙モータ102(図5参照)で駆動される駆動ローラ71により、原稿シートSを搬送するように回転駆動されるようになっている。
リバースローラ60は、給紙ベルト59の給送方向と逆方向に回転可能であり、最上位の原稿シートSとその下の原稿シートSとを分離して、最上位の原稿シートSのみを給紙するようになっている。また、リバースローラ60は、トルクリミッタを内蔵している。リバースローラ60は、給紙ベルト59に対し圧接しており、給紙ベルト59と直接に接しているか、または1枚の原稿シートSを給紙ベルト59との間に挟んでいる状態では、トルクリミッタが作動し、給紙ベルト59に連れ回りするようになっている。
リバースローラ60においては、リバースローラ60と給紙ベルト59との間に複数枚の原稿シートSが進入する重送が生じると、図4での反時計方向への連れ回り力がトルクリミッタの設定トルクに対応した力よりも低くなる。これにより、リバースローラ60は、駆動方向である図4での時計方向に回転し、重送された原稿シートSを戻して、原稿シートSが重送されることを防止するようになっている。
給紙ベルト59とリバースローラ60との作用により1枚に分離された原稿シートSは、給紙ベルト59によってさらに送られ、搬送方向下流の突当センサ85によって先端が検知されることで、非回転の搬送ローラ対61に突き当たり停止する。突当センサ85は、給紙ベルト59と搬送ローラ対61との間に配置されており、原稿シートSの先端および後端を検知するよう構成されている。
また、原稿搬送部52は、搬送経路56を挟んで対向するように原稿シートSをニップして搬送するプルアウトローラとしての搬送ローラ対61と、読取入口ローラとしての搬送ローラ対63と、読取出口ローラとしての搬送ローラ対65とを有している。各搬送ローラ対61、63、65は、原稿シートSを原稿排紙トレイ53まで搬送するようになっている。これらの搬送ローラ対の配置数や配置場所は、搬送経路56の経路設計や、ADF5aが許容する原稿シートSの最小サイズの原稿搬送方向の長さ等に応じて適宜設定される。
原稿シートSは、突当センサ85で検知されてから搬送ローラ対61に到達するまで充分に余裕のある距離をもって送られ、搬送ローラ対61に撓みを持って押し当てられる。ここでいう距離は、原稿シートSの紙質等に応じて変更してよい。この状態で給紙モータを停止させることにより、給紙ベルト59の駆動が停止する。
その際に、ピックアップ昇降モータ101(図5参照)の回転により、原稿シートSの上面と接触しているピックアップローラ58が上方に退避する。このようにして、原稿シートSを給紙ベルト59の搬送力で送ることにより、原稿シートSの先端が搬送ローラ対61のニップに進入し、先端の整合が行われる。
搬送ローラ対61は、プルアウトモータ113(図5参照)により駆動されるようになっている。プルアウトモータ113は、ピックアップローラ58によってピックアップされた原稿シートSに搬送ローラ対61の回転による搬送力を付与して原稿シートSを送り出す。
搬送ローラ対61は、突当センサ85によって先端が検知された原稿シートSの先端が突き当たることにより搬送を停止させ、これによりスキューを補正し、さらにスキュー補正後の原稿シートSを搬送するようになっている。
また、搬送ローラ対61の原稿シートSの搬送方向下流側には、原稿幅センサ86が配置されている。原稿幅センサ86は、搬送ローラ対61により搬送された原稿シートSの搬送方向に直交する幅方向のサイズを検知するようになっている。
原稿幅センサ86は、例えば、原稿シートSの幅方向に沿って並べられ、原稿シートSが通過すると回動するように構成された複数の検知材を含み、これら検知材の回動の状態を光学素子で検知して原稿シートSの幅を検知することができるようなセンサである。また、原稿幅センサ86としては、原稿シートSの幅方向に沿って複数並べた発光素子と、これら発光素子と搬送経路56を挟んで対になるように対向配置した受光素子とを含む構成のものであってもよい。また、原稿シートSの搬送方向の長さは、例えば、原稿シートSの先端および後端の突当センサ85の検知と、その間のモータのパルスカウントとから検出することができる。
ADF5aは、原稿シートSの先端が読取入口センサ87により検出されると、搬送ローラ対63のニップに原稿シートSの先端が進入する前に、原稿シートSの搬送速度を所定の速度にするために減速を開始する。同時に、ADF5aは、読取モータ103(図5参照)を正転駆動して搬送ローラ対63および搬送ローラ対65を駆動する。
搬送ローラ対63は、原稿読取ガイド91に向かって原稿シートSを搬送するようになっている。搬送ローラ対65は、原稿読取ガイド91と対向する画像読取部4の第1コンタクトガラス45との間を通過して読み取りが完了した原稿シートSを排出部F側に搬送するようになっている。原稿読取ガイド91は、画像読取部4の第1コンタクトガラス45を通過中の原稿シートSを搬送方向にガイドするようになっている。原稿シートSの上面をガイドする原稿読取ガイド91は、本発明に係るガイド部材でありる。第1コンタクトガラス45と対向する側には、画像読取部4の光学走査ユニット40で読み取る読取線20上に表面が白色の背景部材200aを構成する。背景部材200aは原稿読取ガイド91と同色でも、読取線20上が白色に塗装されていても、白色のシート材であってもよい。
さらに、原稿搬送部52は、排紙ローラ対67と、分岐爪90と、反転ローラ対68とを含んでいる。
排紙ローラ対67は、原稿シートSの表面の読み取りが終わり、裏面の読み取りを行わない場合に、搬送ローラ対65で搬送された原稿シートSを、原稿排紙トレイ53に排出するようになっている。
反転ローラ対68は、原稿シートSの表面の読み取りが終わり、さらに裏面の読み取りを行う場合に、分岐爪90によりガイドされて搬送され、原稿排紙トレイ53に排出されなかった原稿シートSを反転させるようになっている。排紙ローラ対67は、反転した原稿シートSを搬送ローラ対61に向かって搬送するようになっている。
図5は、ADF5aの制御構成を表すブロック図であり、同図に示すように、画像形成装置1は、自動原稿搬送制御用のコントローラ部100と、装置本体制御用の本体制御部111と、本体制御部111に付帯する操作部108とを備えている。
操作部108は図1および図2にも示しているが、この操作部108は、操作スタートやプリントのためのボタンおよびパネル等の入出力部を有している。コントローラ部100と本体制御部111とは、インターフェース107を介して接続されている。本体制御部111は、操作部108のスタートボタンが押下されて入力信号を得ると、インターフェース107を介してコントローラ部100に原稿給紙信号や読取開始信号を送信するようになっている。
コントローラ部100は、分離センサ11、開閉センサ18、原稿長さセンサ81A〜81C、原稿セットセンサ82、突当センサ85、原稿幅センサ86、読取入口センサ87、レジストセンサ88、排紙センサ89および撮像部44による検知信号を取り込むようになっている。撮像部44中で本発明に係るスキュー量検出部を構成する。なおスキュー量検出部はスキコントローラ部100または本体制御部111中にあってもよい。
コントローラ部100は、ピックアップローラ58を昇降するピックアップ昇降モータ101、給紙ベルト59を駆動する給紙モータ102、搬送ローラ対63,65を駆動する読取モータ103を作動させるようになっている。
また、コントローラ部100は、排紙ローラ対67を駆動する排紙モータ104、搬送ローラ対61を駆動するプルアウトモータ113、ピックアップローラ58を駆動するピックアップ搬送モータ115、反転ローラ68を駆動する反転モータ105を作動させるようになっている。
コントローラ部100は、撮像部44により検出されたスキュー量に基づいて、搬送ローラ対61に給紙した原稿シートSの先端を突当てて、光学走査ユニット40が読み取った画像の傾きであるスキューを補正する。撮像部44は、光学走査ユニット40が検知位置において検知した照射光の反射量により、後述する原稿読取ガイド91に投影された影を検知する。コントローラ部100中で本発明に係る補正部を構成する。なお補正部は本体制御部111中にあってもよい。画像形成部3は、読み取った画像を補正部の補正値を使用して補正画像を転写紙Pに形成するようになっている。なおコントローラ部100や本体制御部111、スキュー量検出部は集積回路である。
コントローラ部100は、原稿シートSの先端をレジストセンサ88にて検知すると、本体制御部111にインターフェース107を介して搬送停止信号を送信する。また、コントローラ部100は、原稿シートSの先端をレジストセンサ88にて検知すると、所定の搬送距離をかけて搬送速度を減速し、光学走査ユニット40による読取線20上の読取位置の手前で原稿シートSを一時停止させる。以下、この搬送停止信号が送信される時の原稿シートSの先端位置をレジスト位置ともいう。
続いてコントローラ部100は、本体制御部111より読取開始信号を受信すると、一時停止していた原稿シートSを、読取線20上の読取位置に原稿シートSの先端が到達するまでに所定の搬送速度に立ち上がるように増速して搬送する。
コントローラ部100は、原稿シートSの先端が光学走査ユニット40による読取位置に到達するタイミングで、本体制御部111に対して第1面の副走査方向有効画像領域および非有効画像領域を示すゲート信号の送信を開始する。ここで、非有効画像領域は、原稿シートSの先端から有効画像領域の初端、および有効画像領域の後端から原稿シートSの後端までの領域である。ゲート信号にはON/OFFがあり、有効画像領域はONに、非有効画像領域はOFFに対応する。ゲート信号の送信は、原稿シートSの後端が光学走査ユニット40による読取線20上の読取位置を通過するまで行われる。また、原稿シートSの先端が読取位置に到達するタイミングは、読取入口センサ87により原稿シートSの先端が検知されてからの読取モータ103のパルスカウントにより検出される。
読取搬送部Eを通過した原稿シートSは、排出部Fへ搬送される。この際、コントローラ部100は、排紙センサ89により原稿シートSの先端を検知すると、排紙モータ104を正転駆動して排紙ローラ対67を排紙方向に回転させる。また、コントローラ部100は、排紙センサ89による原稿シートSの先端検知からの排紙モータパルスカウントに基づいて原稿シートSの後端が排紙ローラ対67のニップを抜け出るタイミングを演算する。コントローラ部100は、この演算結果に基づいて、原稿シートSの後端が排紙ローラ対67のニップから抜け出る直前のタイミングで、排紙モータ104の駆動速度を減速させ、原稿排紙トレイ53上に排出される原稿シートSが飛び出さないように制御する。
以上が本実施形態に係る画像形成装置1の全体構成である。
まず、図6〜図8を参照して、原稿シートSの影について説明する。
図6において符号191は、本実施形態に係る上記原稿読取ガイド91に代えて設けられた原稿読取ガイドである。この原稿読取ガイド191は、第1コンタクトガラス45に近接して平行に対向するガイド面191Aを有する。
図6は、原稿シートSの搬送先端側の端部が第1コンタクトガラス45に近接して搬送されている状態を示している。同図において第1キャリッジ41から上方に向かう傾斜した矢印L1,L2は、光源である第1キャリッジ41から照射される光の向き(発光線)を示している。また、矢印L3は、原稿読取ガイド91で反射した光の向き(受光線)であり、この光は、受光部である撮像部44で受光され原稿シートSの表面を読み取る前述の読取線20である。
ADF5aで搬送される原稿シートSが第1コンタクトガラス45上に差し掛かると、第1キャリッジ41内の光源から所定の傾斜角度で照射された発光線L1により、原稿読取ガイド191のガイド面191Aに、原稿シートSの先端の影Wが投影される。影Wは、原稿シートSの先端が読取線20上の読取位置に到達する前に、図6において左斜め下側から原稿読取ガイド191に投影される。影Wは、原稿シートSの先端と原稿読取ガイド91とのy方向位置が異なる、すなわち原稿シートSの先端と原稿読取ガイド191との間に間隔があるために生じる。
図7は、原稿読取ガイド191の上方から搬送される原稿シートSを透視した状態において、原稿読取ガイド191に投影される原稿シートSの影Wを示している。同図でS1,S2,S3は、それぞれ原稿シートSの端縁である上辺、左辺および右辺を示している。また、W1,W2,W3は、それぞれ影Wにおける原稿シートSの上辺S1,左辺S2,右辺S3の投影像である上辺の横エッジ、左辺の縦エッジ、右辺の縦エッジを示している。
ここで、図7(b)に示すように、原稿シートSが搬送方向に対し傾きが生じていた場合には、影Wの横エッジW1の延在方向と光学走査ユニット40の矢印40Sで示す主走査方向とを対比し、主走査方向に対する横エッジW1の角度から、原稿シートSの搬送方向に対する傾き角度を検出することができる。
図6に示す原稿シートSは先端にカールが生じていないため、第1コンタクトガラス45に近接して搬送されている。このため、図7に示すように原稿シートSの影Wが原稿読取ガイド91に投影される。
一方、図8は、原稿シートSの先端縁が原稿読取ガイド191に接触しながら搬送されている状態を示している。この場合、原稿シートSの先端縁と原稿読取ガイド191との間の間隔(y方向の距離)が無いため、原稿シートSの影Wは投影されない。また、接触はせずとも原稿シートSの先端縁が原稿読取ガイド191に近接した状態では、図7で示す影Wの幅Hがきわめて小さくなり、影Wを検出することが困難となる。このように原稿シートSの先端縁が原稿読取ガイド191に接触あるいは近接する状態は、例えば原稿シートSが原稿読取ガイド191側にカールしていたときに起こり得る。また搬送ガイドが湾曲上である場合に厚紙のときにも起こり得る。
これに対し、本実施形態に係る画像形成装置1の画像読取装置6は、図9および図10に示すように、原稿読取ガイド91の第1コンタクトガラス45と対向する側の面と第1コンタクトガラス45の原稿読取ガイド91と対向する側の面との間に、原稿シートSと原稿読取ガイド91との間に間隔を設けるための透明部材200を備えている。そして透明部材200の原稿読取ガイド91側の面には、画像読取部4の光学走査ユニット40で読み取る読取線20上に表面が白色の背景部材200a(200a1および200a2)を有する。背景部材200aは原稿読取ガイド91と同色でも、読取線20上が白色に塗装されていても、白色のシート材であってもよい。この透明部材200の背景部材200aにより、原稿読取ガイド91に影Wを確実に投影させることができるようになっている。なお、本実施形態においては、白色シート材の背景部材200aが透明部材200に取り付けられているが、透明部材200の稿読取ガイド91側の面と背景部材200aとの間の距離が等しければ、透明部材200と背景部材200aとに隙間があってもよい。
以下、図9および図10により、本実施形態に係る原稿読取ガイド91および透明部材200について説明する。
原稿読取ガイド91は、前述した搬送経路56に沿って搬送上流側から搬送ローラ61および搬送ローラ63を経て搬送されてきた原稿シートSの内周をガイドする上方ガイド部材である。
図9に示すように、原稿読取ガイド91は、第1コンタクトガラス45と平行に対向するガイド面91A1,91A2と、ガイド面91A1から上流側(図9において左側)に向けて斜め上方に傾斜する傾斜部91B1と、ガイド面91A2から下流側(図9において右側)に向けて斜め上方に傾斜する傾斜部91B2とを有する。また、原稿読取ガイド91は、ガイド面91A1とガイド面91A2との間の領域が第1キャリッジ41に対向しており、この領域に凹部94が形成されている。
ガイド面91A1と傾斜部91B1との境界部分は、搬送経路56を搬送される原稿シートSの搬送位置を規制する規制部91Cを構成している。また、ガイド面91A2と傾斜部91B2との境界部分は、搬送経路56を搬送される原稿シートSの搬送位置を規制する規制部91Dを構成している。
図11に示すように、原稿シートSの搬送経路56が湾曲した搬送経路であってストレートな搬送経路でない場合に、読取線20上で読取画像を安定させるために原稿シートSの搬送位置を規制する必要がある。
本実施形態のように 透明部材200の第1コンタクトガラス45側の面がガイドとなる透明部材200を設けた場合においては、原稿シートSは、原稿読取ガイド91における規制部91Cおよび規制部91Dで規制されるようになっている。このような構成とするため、光学走査ユニット40に対向する原稿読取ガイド91のガイド面91A1およびガイド面91A2を第1コンタクトガラス45と略平行にするとともに、間は凹部94にし、そこに透明部材200を設けた。
本実施形態に係る透明部材200は、主走査方向に延在する読取線20上の読取位置において主走査方向に延在する第1の透明部材210と、第1の透明部材210の延在方向の一端部側に設けられ、第1の透明部材210よりも厚さが大きい第2の透明部材220とを有し、原稿読取ガイド91側に第1の背景部材200a1および第2の背景部材200a2を備えている。
図10に示すように、本実施形態では、第1の透明部材210の手前側端部は、搬送経路56を搬送される最大原稿シートSの右辺S3が通過する位置に配設されている。また、第2の透明部材220の奥側は、搬送経路56を搬送される原稿シートSの左辺S2が通過する位置に配設されている。なお、図10の符号40Aは、光学走査ユニット40による光の向き(発光線)を模式的に示している。主走査方向に直交する方向や直交方向に角度をもった発光線は原稿シートSの左辺S2、右辺S3を拡散照射し、原稿シートSの縁辺より外側の背景部材の表面に複数の発光線が異なる照射角度と距離で照射されエッジがわかる影を作り出す。また背景部材の影は、背景部材に対し直交方向の読取線で読み取られる。原稿シートSの右辺S3は手前側(前側)の縁であり、左辺S2は奥側(後側)の縁である。
各透明部材210,220は、例えばガラス、プラスチック等の材料で形成された搬送方向の幅が等しい直方体状の透明な板部材である。各透明部材210,220は、原稿読取ガイド91に形成された上記凹部94内に、その長手方向が光学走査ユニット40の主走査方向で第1コンタクトガラス45と平行な状態に設けられている。
図10に示すように、第2の透明部材220は第1の透明部材210よりも短く、原稿読取ガイド91にガイドされている状態での装置奥側の原稿シートSの左辺S2が、第2の透明部材220の長手方向中間部分を通過するようになっている。また、第1の透明部材210は、原稿読取ガイド91にガイドされている状態での装置手前側の原稿シートSの右辺S3が、第1の透明部材210の長手方向中間部分を通過するようになっている。
本実施形態では、第1の透明部材210と第2の透明部材220とは互いに当接して主走査方向に一直線状に配列されているが、ADF隙間があってもよい。第1の透明部材210と第2の透明部材220とを合わせた主走査方向長さは、ADF5aの最大通紙可能サイズの主走査方向長さよりも長く、主走査方向全域にわたり延在している。また、第1の透明部材210と第2の透明部材220とは、第1コンタクトガラス45に対向する下面が互いに同一面を形成するように揃えられており、第2の透明部材220の上部が原稿読取ガイド91側に突出している。さらに各透明部材210,220が凹部94内に設けられることにより、各透明部材210,220の各下面が原稿読取ガイド91の各ガイド面91A1,91A2と概ね同一の面となり、下方に突出しないようになっている。
各透明部材210,220は、接着剤による接着や、粘着テープによる固定など、適宜な固定手段で原稿読取ガイド91に固定されるようになっている。
本実施形態では、読取部4は、第1の透明部材210および第2の透明部材220のうちのいずれか透明部材220を通して、背景部材200a2に投影される原稿シートSの影Wを読み取る。影Wは、背景部材200a2の透明部材220側の平坦な面に投影される。
図9は、原稿シートSがカールしていることにより搬送側の先端縁が透明部材200に接触しながら搬送されている状態を示している。このような原稿シートSにあっては、図8に示した構成と異なり原稿シートSの先端縁が原稿読取ガイド191に接触することなく、影Wが明瞭に原稿読取ガイド191に投影される。
本実施形態では、図10のように第1の透明部材210の背景部材200a1および第2の透明部材220の背景部材200a2が原稿シートSと原稿読取ガイド91との間に
原稿シートSと異なる距離で存在する。すなわち原稿シートSと背景部材との間のy方向の距離が各透明部材210,220によって確保される。このため、背景部材200a2には原稿シートSの影Wが幅をもって投影される。本実施形態では、光学走査ユニット40が読み取った影Wのエッジの延在方向(影と白色の背景部材200a2との境目)と主走査方向とを対比することにより原稿シートSの搬送方向に対する傾き角度を検出し、画像のスキューを補正する。なお延在方向を原稿シートの端部(一般的に白色)と影との境目としてもよい。
図12は、第1の透明部材210および第2の透明部材220を通して背景部材に投影される影Wの様子を示している。このように本実施形態で投影される影Wは、第2の透明部材220を通して投影された部分(S2とW2の幅)の方が、第1の透明部材210を通して投影された部分(S3とW3の幅)よりも幅が大きくなる。この幅の違いは、第2の透明部材220が第1の透明部材210よりも厚いためである。
本実施形態の画像形成装置1では、図12に示したような原稿読取ガイド91に投影される影Wから原稿シートSの搬送方向に対する傾き角度を検出するにあたっては、例えば次のような手段を採用することができる。
(第1の検出方法:左辺側の縦エッジの検出)
第1の検出方法は、左辺側の縦エッジ(主走査方向で原稿シートSの端部のが投影されたエッジ)を読み取る。光学走査ユニット40は、第2の透明部材220を通して、投影された原稿シートSの影Wにおける左辺側の縦エッジW2の延在方向を読み取る。そして、光学走査ユニット40は、図12の矢印40Sで示す主走査方向に対する左辺側の縦エッジW2との角度θ5を検出し、その角度から原稿シートSの搬送方向に対する傾き角度θ6を検出する。そして、原稿シートSの搬送方向に対する傾き角度θ6だけ画像を回転させて画像のスキューを補正する。なお算出した角度θ5から原稿シートSの主走査方向に対する傾き角度を検出してもよい。
このように原稿シートSの搬送方向の先端部がカールや折れ等の外乱要因によって変形している場合、原稿シートSの先端縁の投影像である影Wの横エッジW1も変形している可能性が高く高精度にシート材の傾き角度を検出できないでいたが、第1の検出方法により高精度にシート材の傾き角度を検出できる。すなわち変形要素が含まれる上辺S1側の横エッジW1は検出せず、影Wにおける左辺側の縦エッジW2を読み取る。左辺側の縦エッジW2は主走査方向のカール等の変形を受けにくく、左辺S2が正確に投影された像となる。また、図12に示すように、縦長原稿シートSの場合、左辺側の縦エッジW2は、横エッジW1よりも長いため角度を検出しやすく、このため高精度で原稿シートSの傾き角度を検出することができる。
(第2の検出方法:左右の縦エッジの比較)
第2の検出方法は左辺側の縦エッジW2を読み取ることに加え右辺側の縦エッジW3を読み取る。原稿幅センサ86により検出した原稿シートSの幅に応じて影Wの右辺側の縦エッジW3を読み取る位置を切り替え、その右辺側の縦エッジW3を、第1の透明部材210を通して読み取る。すなわち、左右の縦エッジW2,W3の両方を読み取る。図13は、幅の異なる原稿シートSに対して右辺側(手前側)の縦エッジW3の読取位置を切り替える状態を示しており、図13(a)は、幅が大きい原稿シートSの場合、図13(b)は、幅が小さい原稿シートSの場合をそれぞれ示している。
そして、原稿読取ガイド91に投影される原稿シートSの影Wの左辺側(奥側)の縦エッジW2と右辺側の縦エッジW3とを比較し、傾き角度のデータとして信頼性の高い方の縦エッジ(W2かW3)をコントローラ部100が選択し、その縦エッジをスキュー補正のデータとして採用する。
傾き角度のデータの信頼性の指標としては、影Wの各縦エッジW2,W3と主走査方向40Sとの交差角度が挙げられる。すなわちこれらの交差角度が、原稿シートSの左辺S2,右辺S3と上辺S1との交差角度である直角に近ければ近いほど、信頼性が高いことになる。
したがってこの場合、コントローラ部100は、図12に示すように、左縁側の縦エッジW2と主走査方向40Sとの角度θ5と、右縁側の縦エッジW3と主走査方向40Sとの角度θ7とを比較し、直角に近い角度を示した方の縦エッジ(W2かW3)を、シート材Sの傾き角度のデータとして採用する。このように左右の縦エッジW2,W3を比較して信頼性の高い方の縦エッジを傾き角度のデータとして採用することにより、高精度で原稿シートSの傾き角度を検出することができる。
なお、本実施形態の第1の透明部材210および第2の透明部材220は、図14に示すように、その厚さが凹部94の深さ寸法よりも小さい構成とすることが好ましい。この構成により、各透明部材210,220の第1コンタクトガラス45への対向面である下面が、原稿読取ガイド91のガイド面91A1,91A2よりも上方に位置する。このように原稿読取ガイド91による湾曲した搬送経路よりも内側に各透明部材210,220を設けることで、原稿シートSが透明部材200に接触しにくくなる。その結果、透明部材200に傷や汚れが付きにくいという利点がある。
なお、本実施形態の透明部材200を構成する各透明部材210,220は、それぞれが別体とした構成であるが、各透明部材210,220を一体成形したものとし、透明部材200を厚さの異なる部分を有する1つ部材として構成してもよい。また本実施形態は、固定式の光学走査ユニット40を第1のコンタクトガラス45を通して行うが、可動定式の光学走査ユニット40を第2のコンタクトガラス46を通して行うこともできる。
次に、図15を参照して他の実施形態を説明する。同図に示すように他の実施形態の画像形成装置1は、図13のような手前側の一端部に第1の透明部材210を有しておらず、奥側の他端部に第2の透明部材220を構成している。特に可動定式の光学走査ユニット40の場合に奥側に、光学走査ユニット40の移動方向に沿った第2の透明部材220を設ける。以下の説明では第2の透明部材220によって原稿シートSの傾き角度を検出する点のみを説明する。なお、図15では上記実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付しており、それらの説明は省略する。
第2の透明部材220は、所定位置での光学走査ユニット40の読取線20上の位置の一部に部分的に設けられており、具体的には原稿シートSの左辺S2が常に通過する奥側(図15で右側)に配置されている。読取線20上を搬送される原稿シートSは、その奥側である左辺S2側の先端部が第2の透明部材220の下を通過する。そのため、原稿シートSの奥側の先端部と第2の透明部材220に装着される背景部材とのy方向位置(厚み方向)を設け縦エッジを確実に検知することができる。
このように、本実施形態に係るシート材読取装置の画像読取装置6を有する画像形成装置1は、コントローラ部100で補正された画像を形成する画像形成部3とを備えているため、上記のように転写紙Pに形成される画像のスキューを高精度で補正することができる。
以上のように本実施形態に係る画像読取装置6は、原稿シートSを搬送経路56に沿ってガイドするガイド部材91と、ガイド部材91でガイドされる原稿シートの影が投影される背景部材200aと、原稿シートの影を読み取る光学走査ユニット40と、背景部材と読取部との間でかつ原稿シートと背景部材との間の透明部材200とを備え、透明部材は主走査方向に延在する読取部の読取線上の読取位置に延在する第1の透明部材210と、第1の透明部材の延在方向の一端側に第2の透明部材220と、を有し、第1の透明部材の原稿シート側の面と背景部材との距離より、第2の透明部材の原稿シート側の面と背景部材との距離の方が長く、読取部は、第2の透明部材を通して背景部材に投影される原稿シートの主走査方向の端部の影のエッジを読み取り、傾き角度を検出するよう構成され、高精度にシート材の傾き角度を検出することができる。