JP2020115849A - 魚介風味増強剤 - Google Patents

魚介風味増強剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2020115849A
JP2020115849A JP2019223154A JP2019223154A JP2020115849A JP 2020115849 A JP2020115849 A JP 2020115849A JP 2019223154 A JP2019223154 A JP 2019223154A JP 2019223154 A JP2019223154 A JP 2019223154A JP 2020115849 A JP2020115849 A JP 2020115849A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seafood
flavor
shrimp
sulfoxide
allyl cysteine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019223154A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7459494B2 (ja
Inventor
黒田 素央
Motohisa Kuroda
素央 黒田
高穂 田島
Takao Tajima
高穂 田島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ajinomoto Co Inc filed Critical Ajinomoto Co Inc
Publication of JP2020115849A publication Critical patent/JP2020115849A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7459494B2 publication Critical patent/JP7459494B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Seeds, Soups, And Other Foods (AREA)
  • Seasonings (AREA)

Abstract

【課題】様々な種類の魚介の風味を効果的に増強し得る新規手段を提供すること。【解決手段】S−アリルシステインスルフォキシドを含む、魚介風味増強剤。【選択図】なし

Description

本発明は、飲食品の魚介風味増強に関し、詳細には、S−アリルシステインスルフォキシドを含む、魚介風味増強剤等に関する。
近年、消費者の嗜好の多様化や高度化を背景に、より濃厚な魚介風味を有する飲食品の需要が拡大している。また、近年、世界人口の増加などの影響により、魚介原料が高騰し、入手が困難となりつつある。そこで、これらを解決するために、魚介風味を増強するための方法や組成物の開発が試みられており、例えば、グルタミン酸を含有した酵母エキス等を用いた魚介風味の増強方法が報告されている(特許文献1)。
S−アリルシステインスルフォキシド(S−allyl−L−cysteine sulfoxide;一般名「アリイン」。本明細書において「ALCSO」と称することがある)は、ニンニク中に約1%程度含有されるシステイン誘導体である。アリインは、ニンニクの細胞質中のアリイナーゼと接触することで酵素的に分解される。酵素的に分解されたアリインは、アリシンを経て、スルフィド類やチオフェン類などに代表される含硫化合物へ変換され、これらがニンニクに特徴的な香気成分となる(非特許文献1)。従って、S−アリルシステインスルフォキシドは、ニンニクの香気の前駆体物質として、一般的に認知されている。
特開2011−155967号公報
Rose, P. et al. Nat. Prod. Rep., 2005, 22, 351-368
上述の特許文献1には、魚介風味の増強に係る一手段が開示されてはいるものの、その効果はカツオの風味に限定されており、様々な魚介の風味を増強できるものではなく、汎用的に使用できないという観点において課題の残る手法であるといえる。そこで、本発明は、様々な種類の魚介の風味を効果的に増強し得る新規手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討した結果、ニンニクの香気成分の前駆体であるALCSOが幅広い魚介の風味を極めて効果的に増強することを見出し、かかる知見に基づいてさらに研究を進めることによって本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]S−アリルシステインスルフォキシドを含む、魚介風味増強剤。
[2]S−アリルシステインスルフォキシドの純度が20重量%以上である、[1]記載の剤。
[3]魚介が、貝類、甲殻類、頭足類、および魚類からなる群から選択される1以上である、[1]または[2]記載の剤。
[4]魚介風味を有する飲食品に、S−アリルシステインスルフォキシドを配合することを含む、飲食品の魚介風味を増強する方法。
[5]S−アリルシステインスルフォキシドの純度が20重量%以上である、[4]記載の方法。
[6]S−アリルシステインスルフォキシドが、前記飲食品の喫食時に、魚介成分:S−アリルシステインスルフォキシド=1:0.00001〜1の重量比で配合される、[4]または[5]記載の方法。
[7]魚介が、貝類、甲殻類、頭足類、および魚類からなる群から選択される1以上である、[4]〜[6]のいずれか記載の方法。
[8]魚介風味を有する飲食品に、S−アリルシステインスルフォキシドを配合することを含む、魚介風味が増強された飲食品の製造方法。
[9]S−アリルシステインスルフォキシドの純度が20重量%以上である、[8]記載の方法。
[10]S−アリルシステインスルフォキシドが、前記飲食品の喫食時に、魚介成分:S−アリルシステインスルフォキシド=1:0.00001〜1の重量比で配合される、[8]または[9]記載の方法。
[11]魚介が、貝類、甲殻類、頭足類、および魚類からなる群から選択される1以上である、[8]〜[10]のいずれか記載の方法。
[12]魚介成分とS−アリルシステインスルフォキシドが、魚介成分:S−アリルシステインスルフォキシド=1:0.00001〜1の重量比で配合される、飲食品。
本発明によれば、魚介風味を有する飲食品の該風味を増強することができる。また、本発明の魚介風味の増強効果は、単一の魚介種のみに限定されるものではなく、広範な魚介種の風味を向上させることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において「魚介風味」とは、魚介類を原料の一部(または全部)として加工、調理した飲食品を喫食した際に感じられる、該魚介類の成分に由来する独特の風味を意味する。なお、「魚介」としては以下が例示されるが、これらに限定されるものではない:
(1)貝類
(アイスランドガイ、アカガイ、アカニシ貝、赤マテ貝、アケガイ、アゲマキガイ、アコヤガイ、アサリ、アメフラシ、アメリカナミガイ、アワビ、イガイ、イシマテ、イソハマグリ、イタボガキ、イボウミニナ、イボニシ、ウチムラサキ、ウバガイ、ウミタケ、ウミニナ、エゾイシカゲガイ、エゾキンチャク、オオヘビガイ、オオミゾガイ、カガミガイ、カキ、干貝、クイチガイサルボウ、クマノコガイ、クロタイラギ、コタマガイ、サキグロタマツメタ、サザエ、サラガイ、シオフキガイ、シジミ、シャコガイ、スイジガイ、スガイ、スクミリンゴガイ、タイラギ、タニシ、ダンベイキサゴ、チョウセンハマグリ、ツキヒガイ、ツブ貝、テングガイ、トコブシ、トリガイ、ノアノハコブネガイ、ハイガイ、パウア貝、バカガイ、バテイラ、ハマグリ、ヒオウギガイ、ベッコウガサ、ホソウミニナ、ホタテガイ、ホンビノスガイ、マガキ、マガキガイ、マツバガイ、マテガイ、ミゾコブシボラ、ムール貝、ムラサキイガイ、ヤエヤマヒルギシジミ、ヤコウガイ、ヨーロッパヒラガキ、ヨメガカサ、リュウキュウアサリ、ロコガイ等が例示されるがこれらに限定されない);
(2)甲殻類
(エビ類(アカエビ、アカザエビ、アキアミ、アナジャコ、アメリカザリガニ、イセエビ、イソスジエビ、イバラモエビ、ウシエビ、ウチダザリガニ、ウチワエビ、ウチワエビモドキ、オオコシオリエビ、クマエビ、サルエビ、シラエビ、シロエビ、スジエビ、セミエビ、ゾウリエビ、テナガエビ、トヤマエビ、ナンキョクオキアミ、ニシキエビ、ハコエビ、ヒゲナガエビ、フトミゾエビ、ボタンエビ、ホッカイエビ、ホッコクアカエビ、モエビ、ヨシエビ、ロブスター等が例示されるがこれらに限定されない)、カニ類(アサヒガニ、アブラガニ、イシガニ、イソガニ、イチョウガニ、シオマネキ、シマイシガニ、ショウジンガニ、ズワイガニ、ソフトシェルクラブ、タカアシガニ、タスマニアオオガニ、チチュウカイミドリガニ、チュウゴクモクズガニ、ノコギリガザミ、ハナサキガニ、ヒラツメガニ、マツバガニ、モクズガニ、ヤシガニ等が例示されるがこれらに限定されない)等);
(3)頭足類
(タコ類(イイダコ、テナガタコ、マダコ、ミズダコ、ワモンダコ等が例示されるがこれらに限定されない)、イカ類(アオリイカ、アカイカ、カミナリイカ、ケンサキイカ、コウイカ、コブシメ、シリヤケイカ、ジンドウイカ、スルメイカ、ソデイカ、タコイカ、テナガコウイカ、ドスイカ、トビイカ、ベイカ、ボウズイカ、ホタルイカ、ミミイカ、ヤリイカ等が例示されるがこれらに限定されない)等)
(4)魚類
(アイゴ、アイナメ、アンコウ、アンチョビ(カタクチイワシ)、ウツボ、ウナギ、オコゼ、カサゴ、カワハギ、ギンダラ、ギンメダイ、スケソウダラ、トラフグ、ナマズ、ニシン、ハコフグ、ハゼ、ヒラメ、ホッケ、マアナゴ、マコガレイ、マゴチ、マダイ、マダラ、メバル等が例示されるがこれらに限定されない)。
本発明により増強される魚介風味は、好ましくは(1)貝類、(2)甲殻類、および(3)頭足類であり、特に好ましくは(1)貝類、および(2)甲殻類である。また、本発明の一態様において、魚介風味は、上記(1)〜(4)の2種以上が同時に増強されてもよい(例えば、エビ風味およびホタテ風味等)。
また、本明細書において、「魚介成分」とは、魚介風味の基となる魚介由来の成分を意味する。換言すれば、魚介風味を有する飲食品は、魚介成分を含有する飲食品である。本明細書の一態様において、魚介成分は「魚介エキス」であってもよい。ここで、「魚介エキス」とは、魚介の煮汁を加熱濃縮する等して、魚介から抽出されたエキスが含まれ、具体的には、エビエキス、ホタテエキス、アサリエキス等が例示される。魚介エキスは水溶液の状態のものであってもよく、または、乾燥粉末の状態のものでもよい。輸送、保存、計量等の観点から、魚介エキスは乾燥粉末の状態のものが好ましい。魚介エキスは自体公知の方法により調製できる他、市販品であってもよい。
1.魚介風味増強剤
本発明は、S−アリルシステインスルフォキシドを含む、魚介風味増強剤(以下、単に「本発明の剤」と称することがある)を提供する。
本発明の剤に配合されるS−アリルシステインスルフォキシド(S-allyl-L-cysteine sulfoxide;ALCSO)はCAS番号: 556-27-4で示される化合物であり、ニンニクやタマネギ等に含有されている。S−アリルシステインスルフォキシドは、例えばタマネギの残渣から酵素変換により調製する等の自体公知の方法により調製することができる他、市販品を用いてもよい。一般的に、自体公知の方法により調製されるS−アリルシステインスルフォキシドや食品添加物として市販されるS−アリルシステインスルフォキシド含有食品素材は、低純度(例えば、単純にニンニクから抽出された素材では1〜3重量%程度であり、ろ過等の一般的に食品に用いる処理法を用いて比較的高濃度に調製された食品素材であっても10重量%程度)であるが、本発明の一態様において、純度が20重量%以上のS−アリルシステインスルフォキシド(又はS−アリルシステインスルフォキシド組成物)を用いることが好ましく、より好ましくは25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、45重量%以上、50重量%以上、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上であり、より好ましくは純度85重量%以上、さらに好ましくは純度90重量%以上、最も好ましくは純度95重量%以上のS−アリルシステインスルフォキシド(又はS−アリルシステインスルフォキシド組成物)が用いられる。
本発明の剤に配合されるS−アリルシステインスルフォキシドの量は、本発明の所望の効果が得られる限り特に限定はなく、通常0.01〜100重量%、好ましくは1〜100重量%、より好ましくは10〜100重量%、さらに好ましくは30〜100重量%、よりさらに好ましくは50〜100重量%、なおさらに好ましくは70〜100重量%、最も好ましくは90〜100重量%である。
一態様において、本発明の剤はS−アリルシステインスルフォキシド以外の、飲食品に添加可能なその他の成分をさらに含んでいてもよい。かかるその他の成分としては、例えば、pH調整剤、酸化防止剤、保存料、甘味料、香料、調味料、栄養強化剤、着色料、増粘剤、安定剤、乳化剤、及び酸味料等が挙げられるが、これらに限定されない。なお、一態様において、本発明の剤はこれらのその他の成分と組み合わせて、「風味調味料」「調味料製剤」等の形態において製剤化されていてもよい。
本発明の剤の形態は、粉末または顆粒状などの固形状、液体状、ゲル状、スラリー状等の任意の形態として調製することができるが、輸送や保存の観点からは、固形状が好ましい。
本発明の剤は、魚介風味を有する飲食品へ配合することで、該飲食品の魚介風味を容易且つ効果的に増強することができる。本発明の剤を飲食品へ配合するタイミングは、所望の効果が得られる限り特に限定されず、飲食品の調理前、調理中、調理後、または、喫食直前のいずれであってもよい。
本発明の剤の魚介風味を有する飲食品への配合量としては、所望の効果が得られる限り特に限定されないが、喫食時の該飲食品中の魚介成分(例、魚介エキス)の重量(魚介成分が複数種類存在する場合は各魚介成分の重量の総和とする)と、S−アリルシステインスルフォキシドの重量との割合が、魚介成分(例、魚介エキス)の重量を「1」とした際に、S−アリルシステインスルフォキシドの重量が、通常0.00001以上であり、好ましくは、0.0001以上、より好ましくは0.0003以上、さらに好ましくは0.0005以上、特に好ましくは0.001以上である。また、その上限としては、特に限定されないが、通常1以下であり、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.25以下、さらに好ましくは0.1以下、特に好ましくは0.05以下である。本発明の一態様において、魚介風味を有する飲食品中の、喫食時における魚介成分とS−アリルシステインスルフォキシドの重量比は、例えば以下の範囲とすることができるが、これらに限定されない:
(1)通常0.00001〜1、好ましくは、0.0001〜1、より好ましくは0.0003〜1、さらに好ましくは0.0005〜1、特に好ましくは0.001〜1;
(2)通常0.00001〜0.5、好ましくは、0.0001〜0.5、より好ましくは0.0003〜0.5、さらに好ましくは0.0005〜0.5、特に好ましくは0.001〜0.5;
(3)通常0.00001〜0.25、好ましくは、0.0001〜0.25、より好ましくは0.0003〜0.25、さらに好ましくは0.0005〜0.25、特に好ましくは0.001〜0.25;
(4)通常0.00001〜0.1、好ましくは、0.0001〜0.1、より好ましくは0.0003〜0.1、さらに好ましくは0.0005〜0.1、特に好ましくは0.001〜0.1;
;または
(5)通常0.00001〜0.05、好ましくは、0.0001〜0.05、より好ましくは0.0003〜0.05、さらに好ましくは0.0005〜0.05、特に好ましくは0.001〜0.05。
2.魚介風味増強方法
本発明はまた、魚介風味を有する飲食品に、S−アリルシステインスルフォキシドを配合することを含む、飲食品の魚介風味を増強する方法(以下、単に「本発明の方法」と称することがある)を提供する。
本発明の方法において用いられるS−アリルシステインスルフォキシド、及びその純度は「1.魚介風味増強剤」に記載したものと同様である。
本発明の方法において、S−アリルシステインスルフォキシドを魚介風味を有する飲食品へ配合するタイミングは、所望の効果が得られる限り特に限定されず、該飲食品の調理前、調理中、調理後、または、喫食直前のいずれであってもよい。
本発明の方法における、魚介風味を有する飲食品へのS−アリルシステインスルフォキシドの配合量は、所望の効果が得られる限り特に限定されないが、喫食時の該飲食品中の魚介成分(例、魚介エキス)の重量(魚介成分が複数種類存在する場合は各魚介成分の重量の総和とする)と、S−アリルシステインスルフォキシドの重量との割合が、魚介成分(例、魚介エキス)の重量を「1」とした際に、S−アリルシステインスルフォキシドの重量が、通常0.00001以上であり、好ましくは、0.0001以上、より好ましくは0.0003以上、さらに好ましくは0.0005以上、特に好ましくは0.001以上である。また、その上限としては、特に限定されないが、通常1以下であり、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.25以下、さらに好ましくは0.1以下、特に好ましくは0.05以下である。本発明の一態様において、魚介風味を有する飲食品中の、喫食時における魚介成分とS−アリルシステインスルフォキシドの重量比は、例えば以下の範囲とすることができるが、これらに限定されない:
(1)通常0.00001〜1、好ましくは、0.0001〜1、より好ましくは0.0003〜1、さらに好ましくは0.0005〜1、特に好ましくは0.001〜1;
(2)通常0.00001〜0.5、好ましくは、0.0001〜0.5、より好ましくは0.0003〜0.5、さらに好ましくは0.0005〜0.5、特に好ましくは0.001〜0.5;
(3)通常0.00001〜0.25、好ましくは、0.0001〜0.25、より好ましくは0.0003〜0.25、さらに好ましくは0.0005〜0.25、特に好ましくは0.001〜0.25;
(4)通常0.00001〜0.1、好ましくは、0.0001〜0.1、より好ましくは0.0003〜0.1、さらに好ましくは0.0005〜0.1、特に好ましくは0.001〜0.1;
;または
(5)通常0.00001〜0.05、好ましくは、0.0001〜0.05、より好ましくは0.0003〜0.05、さらに好ましくは0.0005〜0.05、特に好ましくは0.001〜0.05。
3.魚介風味が増強された飲食品の製造方法
本発明はまた、魚介風味を有する飲食品に、S−アリルシステインスルフォキシドを配合することを含む、魚介風味が増強された飲食品の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」と称することがある)を提供する。
本発明の製造方法におけるS−アリルシステインスルフォキシドおよびその純度、配合時期、魚介風味を有する飲食品への配合量等は、「2.魚介風味増強方法」に記載したものと同様である。
4.魚介風味が増強された飲食品
本発明はまた、魚介風味が増強された飲食品(以下、単に「本発明の飲食品」と称することがある)を提供する。
本発明の飲食品は、魚介成分(例、魚介エキス)とS−アリルシステインスルフォキシドが特定の割合で含まれていることにより、非常に好ましい魚介風味を呈する。
本発明の剤の魚介風味を有する飲食品への配合量としては、所望の効果が得られる限り特に限定されないが、喫食時の該飲食品中の魚介成分(例、魚介エキス)の重量(魚介成分が複数種類存在する場合は各魚介成分の重量の総和とする)と、S−アリルシステインスルフォキシドの重量との割合が、魚介成分(例、魚介エキス)の重量を「1」とした際に、S−アリルシステインスルフォキシドの重量が、通常0.00001以上であり、好ましくは、0.0001以上、より好ましくは0.0003以上、さらに好ましくは0.0005以上、特に好ましくは0.001以上である。また、その上限としては、特に限定されないが、通常1以下であり、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.25以下、さらに好ましくは0.1以下、特に好ましくは0.05以下である。本発明の一態様において、魚介風味を有する飲食品中の、喫食時における魚介成分とS−アリルシステインスルフォキシドの重量比は、例えば以下の範囲とすることができるが、これらに限定されない:
(1)通常0.00001〜1、好ましくは、0.0001〜1、より好ましくは0.0003〜1、さらに好ましくは0.0005〜1、特に好ましくは0.001〜1;
(2)通常0.00001〜0.5、好ましくは、0.0001〜0.5、より好ましくは0.0003〜0.5、さらに好ましくは0.0005〜0.5、特に好ましくは0.001〜0.5;
(3)通常0.00001〜0.25、好ましくは、0.0001〜0.25、より好ましくは0.0003〜0.25、さらに好ましくは0.0005〜0.25、特に好ましくは0.001〜0.25;
(4)通常0.00001〜0.1、好ましくは、0.0001〜0.1、より好ましくは0.0003〜0.1、さらに好ましくは0.0005〜0.1、特に好ましくは0.001〜0.1;
;または
(5)通常0.00001〜0.05、好ましくは、0.0001〜0.05、より好ましくは0.0003〜0.05、さらに好ましくは0.0005〜0.05、特に好ましくは0.001〜0.05。
本発明の飲食品の形態は、本発明の所望の効果を奏するものであれば特に限定されないが、一態様において、乾燥粉末形態の飲食品であり得る。乾燥粉末形態であれば、配合するS−アリルシステインスルフォキシドと魚介成分(例、魚介エキス)の配合割合を簡易且つ明確に決定できるため、所望の効果を発揮させる上で好ましい。
以下の実施例において本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、以下の実施例において「%」は、特に断らない限り、「重量%」を意味するものとする。
[実施例1]モデルホタテスープに対するS−アリルシステインスルフォキシドの添加効果
市販ホタテエキス(焼津水産化学社製、エキス分13.8%、塩分22%、デキストリン64.2%)を用いて下表1に示す配合比にて、ホタテエキス含量の異なる3種のモデルホタテスープ調製した。得られたモデルホタテスープに対して、S−アリルシステインスルフォキシドを下表2の濃度になるように添加し、専門パネル2名による官能評価を実施した。なお、無添加のホタテスープを対照品として比較評価を行い、魚介風味(ホタテガイの風味)について、−(強くならない)、±(ごくわずかに強まる)、+(わずかに強まる)、++(やや強まる)、+++(強まる)、++++(非常に強まる)の6点評点法にて官能評価を実施した。結果を後掲表2に示す。
[実施例2]モデルカニスープに対するS−アリルシステインスルフォキシドの添加効果
市販カニエキス(「カニエキスパウダーA」、アリアケジャパン社製、エキス分37.75%、デキストリン40.2%、塩分13%、ショ糖6.5%、グルタミン酸ナトリウム4.55%)を用いて下表3に示す配合比にて、カニエキス含量の異なる2種のモデルカニスープを調製した。得られたモデルカニスープに対して、S−アリルシステインスルフォキシドを下表4の濃度になるように添加し、専門パネル2名による官能評価を実施した。なお、無添加のカニスープを対照品として比較評価を行い、魚介風味(カニの風味)について、−(強くならない)、±(ごくわずかに強まる)、+(わずかに強まる)、++(やや強まる)、+++(強まる)、++++(非常に強まる)の6点評点法にて官能評価を実施した。結果を後掲表4に示す。
[実施例3]海老のビスクに対するS−アリルシステインスルフォキシドの添加効果
市販の粉末スープの素「海老のビスク」(味の素社製)を製品処方に従い、150mLの熱湯に溶解することにより、海老のビスクを得た。得られた海老のビスクに対して、0.005〜500ppmになるようにS−アリルシステインスルフォキシド(純度>95%、以下の実験においても同じロット品を用いた)を添加し、攪拌した。このようにして得られた、S−アリルシステインスルフォキシド添加海老のビスクについて、専門パネル2名による官能評価を実施した。なお、無添加の海老のビスクを対照品として比較評価を行い、魚介風味(エビなどの甲殻類特有の風味)について、−(強くならない)、±(ごくわずかに強まる)、+(わずかに強まる)、++(やや強まる)、+++(強まる)、++++(非常に強まる)の6点評点法にて官能評価を実施した。結果を後掲表5に示す。表5に示すように、S−アリルシステインスルフォキシドを0.1ppm以上の濃度で添加した際に魚介風味が増強されることが確認された。なお、評価に用いた海老のビスクの原料を下掲表6に示す。
[実施例4]クラムチャウダーに対するS−アリルシステインスルフォキシドの添加効果
市販の粉末スープの素「クラムチャウダー」(味の素社製)を、150mLの熱湯に溶解し、1分間攪拌したのちにメッシュろ過にて具材とクルトンを除去して評価用のクラムチャウダーを得た。得られたクラムチャウダーに対して、0.02〜500ppmになるようにS−アリルシステインスルフォキシドを添加し、攪拌した。このようにして得られた、S−アリルシステインスルフォキシド添加クラムチャウダーについて、専門パネル2名による官能評価を実施した。なお、無添加のクラムチャウダーを対照品として比較評価を行い、魚介風味(アサリなどの貝類特有の風味)について、−(強くならない)、±(ごくわずかに強まる)、+(わずかに強まる)、++(やや強まる)、+++(強まる)、++++(非常に強まる)の6点評点法にて官能評価を実施した。結果を後掲表7に示す。表7に示すように、S−アリルシステインスルフォキシドを0.25ppm以上の濃度で添加した際に魚介風味が増強されることが確認された。なお、評価に用いたクラムチャウダーの原料を下掲表8に示す。以上の結果から、S−アリルシステインスルフォキシドをクラムチャウダーに添加することにより、魚介風味が増強されることが示された。
[実施例5]ブイヤベーススープに対するS−アリルシステインスルフォキシドの添加効果
市販の粉末スープの素「ブイヤベーススープ」(味の素社製)を製品処方に従い、150mLの熱湯に溶解し、1分間攪拌したのちにメッシュろ過にて具材とクルトンを除去して評価用のブイヤベーススープを得た。得られたブイヤベーススープに対して、0.02〜500ppmになるようにS−アリルシステインスルフォキシドを添加し、攪拌した。このようにして得られた、S−アリルシステインスルフォキシド添加ブイヤベーススープについて、専門パネル2名による官能評価を実施した。なお、無添加のブイヤベーススープを対照品として比較評価を行い、魚介風味(エビやアサリなどの魚介類特有の風味)について、−(強くならない)、±(ごくわずかに強まる)、+(わずかに強まる)、++(やや強まる)、+++(強まる)、++++(非常に強まる)の6点評点法にて官能評価を実施した。結果を後掲表9に示す。表9に示すように、S−アリルシステインスルフォキシドを0.5ppm以上の濃度で添加した際に魚介風味が増強されることが確認された。以上の結果から、S−アリルシステインスルフォキシドをブイヤベーススープに添加することにより、魚介風味が増強されることが示された。なお、評価に用いたブイヤベーススープの原料を下掲表10に示す。
[実施例6]カニとトマトのパスタソースに対するS−アリルシステインスルフォキシドの添加効果
市販のパスタソース「青の洞窟 カニのトマトクリーム」(日清フーズ社製:原料にガーリックを含む)を湯煎にて80℃前後に加温し評価用のカニのトマトクリームパスタソースを得た。得られたパスタソースに対して、20ppm、50ppmになるようにS−アリルシステインスルフォキシドを添加し、攪拌した。このようにして得られた、S−アリルシステインスルフォキシド添加パスタソースについて、専門パネル2名による官能評価を実施した。なお、無添加のパスタソースを対照品として比較評価を行い、魚介風味(カニなどの甲殻類特有の風味)について、−(強くならない)、±(ごくわずかに強まる)、+(わずかに強まる)、++(やや強まる)、+++(強まる)、++++(非常に強まる)の6点評点法にて官能評価を実施した。結果を後掲表11に示す。表11に示すように、S−アリルシステインスルフォキシド20ppm〜50ppm添加することにより、魚介風味が増強されることが確認された。以上の結果から、S−アリルシステインスルフォキシドをカニのトマトクリームパスタソースに添加することにより、魚介風味が増強されることが示された。
[実施例7]エビのアメリケーヌパスタソースに対するS−アリルシステインスルフォキシドの添加効果
市販のパスタソース「エビのアメリケーヌソース」(S&Bフーズ社製:原料にガーリックを含む)を湯煎にて80℃前後に加温し評価用のエビのアメリケーヌパスタソースを得た。得られたパスタソースに対して、20ppm、50ppmになるようにS−アリルシステインスルフォキシドを添加し、攪拌した。このようにして得られた、S−アリルシステインスルフォキシド添加パスタソースについて、専門パネル2名による官能評価を実施した。なお、無添加のパスタソースを対照品として比較評価を行い、魚介風味(エビなどの甲殻類特有の風味)について、−(強くならない)、±(ごくわずかに強まる)、+(わずかに強まる)、++(やや強まる)、+++(強まる)、++++(非常に強まる)の6点評点法にて官能評価を実施した。結果を後掲表12に示す。表12に示すように、S−アリルシステインスルフォキシド20ppm〜50ppm添加することにより、魚介風味が増強されることが確認された。以上の結果から、S−アリルシステインスルフォキシドをエビのアメリケーヌパスタソースに添加することにより、魚介風味が増強されることが示された。
[実施例7]海老のビスクに対するS−アリルシステインスルフォキシド、S−アリルシステイン、グルタチオンの添加効果(比較評価)
市販の粉末スープの素「海老のビスク」(味の素社製)を製品処方に従い、150mLの熱湯に溶解することにより、海老のビスクを得た。得られた海老のビスクに対してS−アリルシステインスルフォキシド、S−アリルシステイン、またはグルタチオンを20ppmになるように添加および攪拌し、S−アリルシステインスルフォキシド、S−アリルシステイン、またはグルタチオンが20ppm濃度で添加された海老のビスクについて、専門パネル2名による官能評価を実施した。なお、無添加の海老のビスクを対照品として比較評価を行い、魚介風味(エビなどの甲殻類特有の風味)について、−(強くならない)、±(ごくわずかに強まる)、+(わずかに強まる)、++(やや強まる)、+++(強まる)、++++(非常に強まる)の6点評点法にて官能評価を実施した。結果を後掲表13に示す。表13に示すように、S−アリルシステインスルフォキシドを20ppm添加した場合には魚介風味の非常に向上することが認められたが、S−アリルシステインを20ppm濃度で添加した際には魚介風味の増強は認められたものの非常に弱く、また生ニンニクの風味が付与されることが示された。また、グルタチオンを20ppm濃度で添加した際にはクリーム風味の増強は認められたものの魚介風味の増強効果は弱いことが示された。以上の結果から、S−アリルシステインスルフォキシドは他の含硫化合物と比較して、強い魚介風味増強効果を有することが示された。
[実施例9]海老のビスクに対するS−アリルシステインスルフォキシドまたはガーリックペーストの添加効果(比較評価)
市販の粉末スープの素「海老のビスク」(味の素社製)を製品処方に従い、150mLの熱湯に溶解することにより、海老のビスクを得た。得られた海老のビスクに対してS−アリルシステインスルフォキシド(純度>95%)を20ppmになるように添加および攪拌し、S−アリルシステインスルフォキシド添加海老のビスクを得た。また、市販ニンニク(青森県産、福地ホワイト、S−アリルシステインスルフォキシド含有率1.09%)をおろし金ですりおろすことによりガーリックペーストを得た。このガーリックペーストを上記の海老のビスクに0.18%添加してガーリックペーストが添加された海老のビスクを得た。なお、このエビのビスクに含まれるS−アリルシステインスルフォキシド含量は20ppmであった。これらの2種類の海老のビスクについて、専門パネル2名による官能評価を実施した。なお、無添加の海老のビスクを対照品として比較評価を行い、魚介風味(エビなどの甲殻類特有の風味)について、−(強くならない)、±(ごくわずかに強まる)、+(わずかに強まる)、++(やや強まる)、+++(強まる)、++++(非常に強まる)の6点評点法にて官能評価を実施した。結果を後掲表14に示す。表14に示すように、S−アリルシステインスルフォキシドを20ppm添加した場合には魚介風味が非常に向上することが認められたが、S−アリルシステインスルフォキシドが20ppmになるようにガーリックペーストを添加した際には魚介風味の増強はわずかに認められたものの、生ニンニクの風味が強く付与されることが示された。以上の結果から、高純度のS−アリルシステインスルフォキシドを添加することにより、強い魚介風味増強効果を効率よく添加することができることが示された。
[実施例10]海老のビスクに対するS−アリルシステインスルフォキシドまたはガーリックパウダーの添加効果(比較評価)
市販の粉末スープの素「海老のビスク」(味の素社製)を製品処方に従い、150mLの熱湯に溶解することにより、海老のビスクを得た。得られた海老のビスクに対してS−アリルシステインスルフォキシド(純度>95%)を20ppmになるように添加および攪拌し、S−アリルシステインスルフォキシド添加海老のビスクを得た。また、市販ガーリックパウダー(ベルフーズ社製、S−アリルシステインスルフォキシド含有率1.0%)を上記の海老のビスクに0.20%添加してガーリックパウダーが添加された海老のビスクを得た。なお、このエビのビスクに含まれるS−アリルシステインスルフォキシド含量は20ppmであった。これらの2種類の海老のビスクについて、専門パネル2名による官能評価を実施した。なお、無添加の海老のビスクを対照品として比較評価を行い、魚介風味(エビなどの甲殻類特有の風味)について、−(強くならない)、±(ごくわずかに強まる)、+(わずかに強まる)、++(やや強まる)、+++(強まる)、++++(非常に強まる)の6点評点法にて官能評価を実施した。結果を後掲表15に示す。表15に示すように、S−アリルシステインスルフォキシドを20ppm添加した場合には魚介風味が非常に向上することが認められたが、S−アリルシステインスルフォキシドが20ppmになるようにガーリックパウダーを添加した際には魚介風味の増強はわずかに認められたものの、ニンニクの風味が強く付与されることが示された。以上の結果から、高純度のS−アリルシステインスルフォキシドを添加することにより、強い魚介風味増強効果を効率よく添加することができることが示された。
[実施例11]ホタテスープに対するS−アリルシステインスルフォキシドの添加効果
市販の調味料粉末「貝柱のスープ」(味の素社製)を重量2%になるように熱水に溶解して、ホタテスープを得た。得られたスープに対して、10ppmから500ppmになるようにS−アリルシステインスルフォキシドを添加し、攪拌した。このようにして得られた、S−アリルシステインスルフォキシド添加ホタテスープについて、専門パネル2名による官能評価を実施した。なお、無添加のホタテスープを対照品として比較評価を行い、魚介風味(ホタテガイの風味)について、−(強くならない)、±(ごくわずかに強まる)、+(わずかに強まる)、++(やや強まる)、+++(強まる)、++++(非常に強まる)の6点評点法にて官能評価を実施した。結果を後掲表16に示す。表16に示すように、S−アリルシステインスルフォキシド10ppm〜500ppm添加することにより、魚介風味が増強されることが確認された。以上の結果から、S−アリルシステインスルフォキシドをホタテスープに添加することにより、魚介風味が増強されることが示された。
[実施例12]海老のビスクに対するS−アリルシステインスルフォキシドの添加効果(ブラインド評価:評点法評価)
市販の粉末スープの素「海老のビスク」(味の素社製)を製品処方に従い、150mLの熱湯に溶解し、メッシュにより浮き身を除去することにより、評価用の海老のビスクを得た。得られた海老のビスクに対してS−アリルシステインスルフォキシドを40ppmになるように添加および攪拌し、S−アリルシステインスルフォキシドが40ppm濃度で添加された海老のビスクについて、専門パネルによるブラインド法の官能評価を実施した(n=5)。なお、無添加の海老のビスクについても同様に評価を行った。魚介風味(エビなどの甲殻類特有の風味)について、0点(感じない)、1点(わずかに感じる)、2点(やや弱い)、3点(やや強い)、4点(強い)、5点(非常に強い)の6点評点法にて官能評価を実施した。結果を後掲表に示す。表に示すように、S−アリルシステインスルフォキシドを40ppm添加した場合には無添加の海老ビスクと比較して魚介風味が有意に(p<0.001)高得点を示すことが示された。以上の結果から、S−アリルシステインスルフォキシドを添加することにより、海老のビスクの魚介風味が有意に増強することが示された。
[実施例13]海老のビスクに対するS−アリルシステインスルフォキシドの添加効果(ブラインド2点識別評価)
市販の粉末スープの素「海老のビスク」(味の素社製)を製品処方に従い、150mLの熱湯に溶解し、メッシュにより浮き身を除去することにより、評価用の海老のビスクを得た。得られた海老のビスクに対してS−アリルシステインスルフォキシドを40ppmになるように添加および攪拌し、S−アリルシステインスルフォキシドが40ppm濃度で添加された海老のビスクについて、専門パネルによるブラインド法の官能評価を実施した(n=5)。官能評価は2−AFC(Two Alternative Forced Choice Test)法にて実施した。すなわち、S−アリルシステインスルフォキシドを40ppm添加海老のビスクと無添加の海老のビスクを一対で提示し、魚介風味の強い試料を選択させた。結果を後掲表に示す。表に示すように、S−アリルシステインスルフォキシドを40ppm添加したサンプルは5回の試行中、5回選択された(p<0.05)。以上の結果から、S−アリルシステインスルフォキシドを添加することにより、海老のビスクの魚介風味が有意に増強することが示された。
[実施例14]ブロッコリーのバーニャカウダ風味に対するS−アリルシステインスルフォキシドの添加効果
市販ブロッコリーに対して市販調味料「かけてチン温野菜−バーニャカウダ味」(味の素社製:原料にガーリックを含む)を用いて、左記調味料製品のディレクションに従って調理を行い、ブロッコリーのバーニャカウダ風味を得た。得られたブロッコリーのバーニャカウダ風味に対して、70ppmになるようにS−アリルシステインスルフォキシドを添加した。このようにして得られた、S−アリルシステインスルフォキシド添加ブロッコリーのバーニャカウダ風味について、専門パネル2名による官能評価を実施した。なお、無添加品を対照品として比較評価を行った。結果、S−アリルシステインスルフォキシドを70ppm添加することにより、魚介風味(アンチョビ風味)が増強され、風味全体が好ましくなることが確認された。
[実施例15]ほたて貝のクリームパスタソースに対するS−アリルシステインスルフォキシドの添加効果
市販のパスタソース「ほたて貝のクリームソース」(エムシーシー食品社製)を湯煎にて80℃前後に加温し評価用のほたて貝のクリームパスタソースを得た。得られたパスタソースに対して、80ppmになるようにS−アリルシステインスルフォキシドを添加し、攪拌した。このようにして得られた、S−アリルシステインスルフォキシド添加パスタソースについて、専門パネル2名による官能評価を実施した。結果、S−アリルシステインスルフォキシドをほたて貝のクリームソースに80ppm添加することにより、魚介風味(ほたて貝の風味)が増強され、風味全体が好ましくなることが確認された。
[実施例16]しじみの味噌汁に対するS−アリルシステインスルフォキシドの添加効果
市販の即席みそ汁(生みそタイプ)「しじみ」(ハナマルキ社製)1袋に対して150mLの熱湯を加えて攪拌し、メッシュにて具材を除去することにより、評価用のしじみの味噌汁を得た。得られたしじみの味噌汁に対して、40ppmになるようにS−アリルシステインスルフォキシドを添加し、攪拌した。このようにして得られた、S−アリルシステインスルフォキシド添加しじみの味噌汁について、専門パネル2名による官能評価を実施した。結果、S−アリルシステインスルフォキシドをしじみの味噌汁に40ppm添加することにより、魚介風味(しじみの風味)が増強され、風味全体が好ましくなることが確認された。
本発明によれば、濃厚な魚介風味を備えた飲食品の製造が可能となるため、食品製造業の分野において極めて有用である。

Claims (12)

  1. S−アリルシステインスルフォキシドを含む、魚介風味増強剤。
  2. S−アリルシステインスルフォキシドの純度が20重量%以上である、請求項1記載の剤。
  3. 魚介が、貝類、甲殻類、頭足類、および魚類からなる群から選択される1以上である、請求項1または2記載の剤。
  4. 魚介風味を有する飲食品に、S−アリルシステインスルフォキシドを配合することを含む、飲食品の魚介風味を増強する方法。
  5. S−アリルシステインスルフォキシドの純度が20重量%以上である、請求項4記載の方法。
  6. S−アリルシステインスルフォキシドが、前記飲食品の喫食時に、魚介成分:S−アリルシステインスルフォキシド=1:0.00001〜1の重量比で配合される、請求項4または5記載の方法。
  7. 魚介が、貝類、甲殻類、頭足類、および魚類からなる群から選択される1以上である、請求項4〜6のいずれか一項記載の方法。
  8. 魚介風味を有する飲食品に、S−アリルシステインスルフォキシドを配合することを含む、魚介風味が増強された飲食品の製造方法。
  9. S−アリルシステインスルフォキシドの純度が20重量%以上である、請求項8記載の方法。
  10. S−アリルシステインスルフォキシドが、前記飲食品の喫食時に、魚介成分:S−アリルシステインスルフォキシド=1:0.00001〜1の重量比で配合される、請求項8または9記載の方法。
  11. 魚介が、貝類、甲殻類、頭足類、および魚類からなる群から選択される1以上である、請求項8〜10のいずれか一項記載の方法。
  12. 魚介成分とS−アリルシステインスルフォキシドが、魚介成分:S−アリルシステインスルフォキシド=1:0.00001〜1の重量比で配合される、飲食品。
JP2019223154A 2019-01-18 2019-12-10 魚介風味増強剤 Active JP7459494B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019006929 2019-01-18
JP2019006929 2019-01-18

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020115849A true JP2020115849A (ja) 2020-08-06
JP7459494B2 JP7459494B2 (ja) 2024-04-02

Family

ID=71889125

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019223154A Active JP7459494B2 (ja) 2019-01-18 2019-12-10 魚介風味増強剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7459494B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59210864A (ja) * 1983-05-11 1984-11-29 Ajinomoto Co Inc こく味調味料の製造法
JPS6091958A (ja) * 1983-10-26 1985-05-23 Ajinomoto Co Inc こく味調味料又はこく味の増強された食品の製造法
JPS62100259A (ja) * 1985-10-25 1987-05-09 Ajinomoto Co Inc こく味調味料の製法
JP2012070647A (ja) * 2010-09-28 2012-04-12 Takeshi Saito 食品の不快臭マスキング剤、及びマスキング方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59210864A (ja) * 1983-05-11 1984-11-29 Ajinomoto Co Inc こく味調味料の製造法
JPS6091958A (ja) * 1983-10-26 1985-05-23 Ajinomoto Co Inc こく味調味料又はこく味の増強された食品の製造法
JPS62100259A (ja) * 1985-10-25 1987-05-09 Ajinomoto Co Inc こく味調味料の製法
JP2012070647A (ja) * 2010-09-28 2012-04-12 Takeshi Saito 食品の不快臭マスキング剤、及びマスキング方法

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
AGRIC. BIOL. CHEM., vol. 54, no. 1, JPN6023045104, 1990, pages 163 - 169, ISSN: 0005190181 *
化学と生物, vol. 54, no. 2, JPN6023045105, 2016, pages 102 - 108, ISSN: 0005190182 *

Also Published As

Publication number Publication date
JP7459494B2 (ja) 2024-04-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5012024B2 (ja) 調味料組成物、調味料素材、およびそれらを用いた食品の製造方法
JP5593641B2 (ja) 減塩飲食品用組成物
JP7306374B2 (ja) 塩味及び/又はスパイス感増強剤
JPWO2008120726A1 (ja) 塩味増強剤、飲食品および飲食品の製造方法
JP2008278882A (ja) 焼酎の蒸留粕を用いた漬け床及び加工食品の製造方法
JP5181669B2 (ja) 呈味改善剤
JPWO2008126678A1 (ja) 飲食品の塩味様呈味増強方法及び塩味様呈味増強剤
CN110089719A (zh) 一种复合鲜味剂及其制备方法
JP2020115849A (ja) 魚介風味増強剤
JPS623758A (ja) 風味調味料
JP6946674B2 (ja) 畜肉又は魚介風味増強剤
JP2003225069A (ja) 白タレ錦海
JP2008259440A (ja) 固体状調味料組成物、固体状調味料素材、およびそれらを用いた食品の製造方法
KR101819800B1 (ko) 생선 삶은 물 농축액을 이용한 감칠맛이 향상된 생선 액젓 및 이의 제조방법
JP4789098B2 (ja) 風味増強組成物
WO2011132802A1 (ja) 肉質様の呈味付与組成物
JP6044159B2 (ja) 塩味が増強された飲食品及びその製造方法
WO2022085750A1 (ja) 食品の塩味を増強する方法
JP6992805B2 (ja) オイスターソースの製造方法
KR100798420B1 (ko) 육수용 티백 조성물
WO2006062181A1 (ja) 飲食品のこく味付与方法及び新規調味料組成物
EP3677124A2 (en) Fish sauce having increased tryptophan and method for producing fish sauce
WO2023190557A1 (ja) 塩味増強剤
JPH0511947B2 (ja)
JP4338907B2 (ja) 海洋深層水を利用した魚醤とその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20221006

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230925

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231107

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231222

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240220

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240304

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7459494

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150