JP2020111815A - 方向性電磁鋼板及び方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】処理コストの増加及び生産性の低下を招くことなく無機質系被膜の付着量を低減させ、かつ、張力付与絶縁被膜の密着性を安定的に向上させること。【解決手段】本発明に係る方向性電磁鋼板は、母材鋼板と、無機質系被膜と、張力付与絶縁被膜と、を有しており、前記無機質系被膜は、フォルステライトを主成分とし、前記母材鋼板の表面上に島状に分布しており、前記張力付与絶縁被膜は、前記方向性電磁鋼板の表面に、前記母材鋼板及び前記無機質系被膜を被覆するように存在し、島状に分布する前記無機質系被膜のそれぞれの島部の平均直径は、前記母材鋼板の表面側から見て、0.5〜10μmであり、島状に分布する前記無機質系被膜の片面当たりの付着量が、0.1〜0.5g/m2である。【選択図】図1A

Description

本発明は、方向性電磁鋼板及び方向性電磁鋼板の製造方法に関する。
一般に、方向性電磁鋼板は、トランスなどの鉄芯として用いられており、方向性電磁鋼板の磁気特性がトランスの性能に多大な影響を与えることから、磁気特性を改善するよう様々な研究開発がなされてきた。方向性電磁鋼板の鉄損を低減する手段として、例えば以下の特許文献1には、仕上げ焼鈍後の鋼板表面にコロイド状シリカとリン酸塩とを主成分とする溶液を塗布した後焼き付けることで、張力付与コーティングを形成して鉄損を低減する技術が開示されている。更に、以下の特許文献2には、仕上げ焼鈍後の材料表面に対し、レーザービームを照射して局部歪みを鋼板に付与することにより磁区を細分化して、鉄損を低減する技術が開示されている。これらの技術により、方向性電磁鋼板の鉄損は、極めて良好なものとなってきている。
ところで、近年では、トランスの小型化及び高性能化の要求が高まっており、トランスの小型化のために、磁束密度の高い場合であっても鉄損が良好であるような、高磁場鉄損に優れることが方向性電磁鋼板に求められている。この高磁場鉄損を改善する手段として、通常の方向性電磁鋼板に存在する無機質系被膜を無くし、更に張力を付与することが研究されている。後に張力付与コーティングが形成されることから、無機質系被膜を1次被膜と称し、張力付与コーティングを2次被膜と称することもある。
方向性電磁鋼板の表面には、脱炭焼鈍工程で生じるシリカ(SiO)を主成分とする酸化層と、焼き付き防止のために表面に塗布された酸化マグネシウムとが、仕上げ焼鈍中に反応することで、フォルステライト(MgSiO)を主成分とする無機質系被膜が生成する。無機質系被膜には若干の張力効果があり、方向性電磁鋼板の鉄損を改善する効果がある。しかしながら、これまでの研究の結果、無機質系被膜は非磁性層であることから、磁気特性(特に、高磁場鉄損特性)に悪影響を及ぼすことが明らかとなってきている。従って、例えば以下の特許文献3に開示されているように、無機質系被膜を研磨などの機械的手段、又は、酸洗などの化学的手段を用いて除去したり、高温仕上げ焼鈍における無機質系被膜の生成を防止したりすることにより、無機質系被膜を有しない方向性電磁鋼板を製造する技術や、鋼板表面を鏡面状態とする技術(換言すれば、鋼板表面を磁気的に平滑化する技術)が研究されている。
上記の無機質系被膜の生成防止又は鋼板表面の平滑化技術として、例えば以下の特許文献4には、水酸化アルミニウムを用いることで0.5μm以下の薄い無機質系被膜(グラス被膜)を形成する技術が開示されている。また、近年では、例えば以下の特許文献5に開示されるような、仕上げ焼鈍時に使用される焼鈍分離剤に対し、ビスマス(Bi)又はビスマス化合物を含有させることにより、無機質系被膜の生成を防止する技術や、以下の特許文献6に開示されているような、焼鈍分離剤として、MgOを主成分とし、特定金属元素の塩化物、硝酸塩、粒化物、硫酸塩を含有させたものを用い、更に、酸を用いてフォルステライトを0.02g/m以上除去する技術等が提案されている。
以下の特許文献4〜特許文献6に開示されているような技術により得られた、無機質系被膜をほぼ有しない磁気的平滑性に優れた方向性電磁鋼板の表面に対し、更に、張力付与コーティングを形成することによって、更に優れた鉄損改善効果が得られることが判明している。
しかしながら、無機質系被膜には、絶縁性を発現する効果と共に、張力付与絶縁被膜を塗布する際に密着性を確保する中間層としての効果があり、無機質系被膜を有しない方向性電磁鋼板に対し張力付与型の2次被膜を形成する場合には、無機質系被膜の中間層としての役割を代替する必要がある。
すなわち、方向性電磁鋼板を通常の製造工程により製造する場合、仕上げ焼鈍後の鋼板表面に無機系被膜が生成されるが、かかる無機質層は、鋼板中に深く入り込んだ状態で形成されることから、金属である鋼板との密着性に優れている。そのため、コロイド状シリカやリン酸塩などを主成分とする張力付与型被膜を、無機質系被膜の表面に形成することが可能である。ところが、一般に、金属と酸化物との結合は困難であり、また、張力付与型絶縁被膜と電磁鋼板表面の間に応力歪が集中していることから、無機質系被膜が存在しない場合には、密着性が低いと張力付与型絶縁被膜が剥離するという問題点があった。
上記のような電磁鋼板と張力絶縁被膜との間の密着性を改善する方法として、例えば以下の特許文献7には、無機質系被膜を有しない方向性電磁鋼板を弱還元性雰囲気中で焼鈍し、ケイ素鋼板中に必然的に含有されているシリコンを選択的に熱酸化させることにより鋼板表面にSiO層を形成した後、張力付与型絶縁被膜を形成する技術が開示されている。
また、以下の特許文献8には、シリカ層と鋼板表面との密着性に及ぼす要因として鉄系水酸化物を見出し、鉄系水酸化物及び鉄系酸化物量を規定することで密着性を向上させる技術が開示されている。更に、以下の特許文献9には、フォルステライト被膜を除去した鋼板表面にシリカ被膜を形成する前に、Ti、Cr、Yから選ばれる1種以上の酸化物を鋼板表面に層状又は島状に存在させ、更に、張力被膜を付与する技術が開示されている。
また、以下の特許文献10には、鋼板の地鉄表面の平均粗さが0.4μm以下であり、線状又は点状の溝を圧延方向に対して45〜90°の方向に2〜15mm間隔に形成して耐SRA磁区制御を施した一方向性電磁鋼板に対し、750℃超950℃以下の温度範囲で張力付与コーティングを形成する超低鉄損一方向性電磁鋼板の製造において、コーティング処理前に鋼板を硫酸又は硫酸塩を硫酸濃度として2〜30%含有する水溶液に浸漬洗浄することを特徴とする技術が開示されている。
更に、以下の特許文献11には、表面に無機質系被膜を有しない方向性電磁鋼板に張力絶縁被膜を施す際に、硫酸又は硝酸の1種又は2種からなる酸化性酸を用いて鋼板表面を前処理した後、張力絶縁被膜を形成することを特徴とする技術が開示されている。
特開昭48−39338号公報 特公昭58−26405号公報 特開平5−43938号公報 特開昭56−65983号公報 特開平7−54155号公報 特開平7−312308号公報 特開平6−184762号公報 特開平8−269573号公報 特開2004−315880号公報 特許2671076号公報 特許4018878号公報
しかしながら、上記特許文献7に開示されている技術は、弱還元性雰囲気中で焼鈍を実施するために、雰囲気制御が可能な焼鈍設備を準備する必要があり、処理コストに問題がある。
また、上記特許文献8及び特許文献9に開示されている技術では、張力被膜と密着性の良好なシリカ層と鋼板表面の密着性を向上させるために、鉄系水酸化物を除去したり、特定元素の酸化物を層状又は島状に分布させたりしているが、大きな張力を持つ張力付与絶縁被膜を密着性良く保持することができないという問題がある。
更に、上記特許文献10に開示されている技術では、張力付与被膜と鋼板との密着性が安定して得られず、密着性にバラツキが多いという問題がある。
また、上記特許文献11に開示されている技術では、酸化性酸を用いて鋼板表面を酸化させるが、方向性電磁鋼板を製造し続けると酸化性酸が中和されていき、酸化性酸の機能が低下していく。そのため、新たな酸化性酸を定期的に供給することが必要であり、生産効率が悪いという問題がある。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、処理コストの増加及び生産性の低下を招くことなく無機質系被膜の付着量を低減させ、かつ、張力付与絶縁被膜の密着性を安定的に向上させることが可能な、方向性電磁鋼板及び方向性電磁鋼板の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討を行った結果、特定の焼鈍分離剤を用いた仕上げ焼鈍処理を実施することで、処理コストの増加及び生産性の低下を招くことなく無機質系被膜の付着量を低減させ、かつ、張力付与絶縁被膜の密着性を安定的に向上させることが可能であるとの知見を得ることができた。
上記知見に基づき完成された本発明の要旨は、以下の通りである。
[1]母材鋼板と、無機質系被膜と、張力付与絶縁被膜と、を有する方向性電磁鋼板において、前記無機質系被膜は、フォルステライトを主成分とし、前記母材鋼板の表面上に島状に分布しており、前記張力付与絶縁被膜は、前記方向性電磁鋼板の表面に、前記母材鋼板及び前記無機質系被膜を被覆するように存在し、島状に分布する前記無機質系被膜のそれぞれの島部の平均直径は、前記母材鋼板の表面側から見て、0.5〜10μmであり、島状に分布する前記無機質系被膜の片面当たりの付着量が、0.1〜0.5g/mである、方向性電磁鋼板。
[2]前記母材鋼板又は前記無機質系被膜と、前記張力付与絶縁被膜との間に、更に鉄系酸化物層を有する、[1]に記載の方向性電磁鋼板。
[3]前記鉄系酸化物層の厚みは、100〜500nmである、[2]に記載の方向性電磁鋼板。
[4]前記鉄系酸化物層は、マグネタイト、ヘマタイト及びファイアライトを主成分とする層である、[2]又は[3]に記載の方向性電磁鋼板。
[5]前記張力付与絶縁被膜は、リン酸塩及びコロイダルシリカを主たる素材とする被膜である、[1]〜[4]の何れか1つに記載の方向性電磁鋼板。
[6]前記母材鋼板の厚みが、0.27mm以下である、[1]〜[5]の何れか1つに記載の方向性電磁鋼板。
[7]2〜7質量%のSiを含有する鋼片を熱間圧延し、必要に応じて焼鈍を施し、1回の冷間圧延又は中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延を施して冷延鋼板とし、当該冷延鋼板に対して脱炭焼鈍を施した後に、焼鈍分離剤として、MgOと水酸化アルミニウムの混合物100質量部に対し、金属塩素酸化合物又は金属塩化物を0.5〜15質量部混合したものを塗布して乾燥させた後、塗布後の前記冷延鋼板に対して仕上げ焼鈍を施し、処理後の前記冷延鋼板の表面に張力付与絶縁被膜を形成し、前記水酸化アルミニウムの平均粒径は、0.5〜8.0μmであり、前記金属塩素酸化合物又は前記金属塩化物の金属元素として、バリウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、アンチモン、及び、ビスマスからなる群より選択される少なくとも何れかの元素を用いる、方向性電磁鋼板の製造方法。
[8]前記MgOと水酸化アルミニウムの混合物における前記水酸化アルミニウムの含有量は、30〜70質量%である、[7]に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
[9]前記水酸化アルミニウムとして、ギブサイト、ベーマイト、及び、ダイアスポアの少なくとも何れかを用いる、[7]又は[8]に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
[10]仕上げ焼鈍後に、硫酸、硝酸、及び、リン酸の1種又は2種以上を含有する、合計の酸濃度が2〜30%であり、かつ、液温が70℃以上の混合溶液を前記冷延鋼板の表面に塗布して30秒以下の処理時間で表面処理した後、酸素濃度が1〜21体積%であり、かつ、露点が−20〜30℃である雰囲気中において、鋼板温度700〜900℃で5〜60秒間加熱処理した上で、前記張力付与絶縁被膜を形成する、[7]〜[9]の何れか1つに記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
以上説明したように本発明によれば、処理コストの増加及び生産性の低下を招くことなく無機質系被膜の付着量を低減させ、かつ、張力付与絶縁被膜の密着性を安定的に向上させることが可能となる。
本発明の実施形態に係る方向性電磁鋼板の断面構造の一例を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る方向性電磁鋼板の断面構造の一例を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る方向性電磁鋼板の断面構造について説明するための説明図である。 同実施形態に係る無機質系被膜について説明するための説明図である。 同実施形態に係る方向性電磁鋼板の製造方法の流れの一例を示した流れ図である。 同実施形態に係る方向性電磁鋼板の表面の電子顕微鏡写真である。 一般的な方向性電磁鋼板の表面の電子顕微鏡写真である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(方向性電磁鋼板について)
まず、図1A〜図3を参照しながら、本発明の実施形態に係る方向性電磁鋼板について、詳細に説明する。
図1A及び図1Bは、本実施形態に係る方向性電磁鋼板の断面構造の一例を模式的に示した説明図であり、図2は、本実施形態に係る方向性電磁鋼板の断面構造について説明するための説明図であり、図3は、本実施形態に係る無機質系被膜について説明するための説明図である。
先だって言及したように、方向性電磁鋼板の表面には、脱炭焼鈍工程で生じるシリカを主成分とする酸化層と、焼き付き防止のために表面に塗布された酸化マグネシウムとが、仕上げ焼鈍中に反応することで、フォルステライトを主成分とする無機質系被膜が生成する。無機質系被膜が存在しない方向性電磁鋼板は、磁気特性は向上するものの、張力付与絶縁被膜の密着性(より詳細には、張力付与絶縁被膜と鋼板との密着性)が悪い。無機質系被膜を極薄く形成することができれば、磁気特性の向上と密着性の劣化抑制とを両立させることが可能となるが、極薄い無機質系被膜を形成することは、困難を伴う。以下で詳述する本発明の実施形態では、焼鈍分離剤を工夫することで、方向性電磁鋼板の表面に、島状に極薄い無機質系被膜を形成させることで、磁気特性の向上と密着性の劣化抑制とを両立させることを着想した。
本実施形態に係る方向性電磁鋼板1は、図1Aに模式的に示したように、母材鋼板11と、無機質系被膜13と、張力付与絶縁被膜15と、を少なくとも備え、無機質系被膜13は、フォルステライトを主成分とするものであり、母材鋼板11の表面上に島状に分布しており、張力付与絶縁被膜15は、方向性電磁鋼板1の表面に、母材鋼板11及び無機質系被膜13を被覆するように存在している。また、本実施形態に係る方向性電磁鋼板1は、図1Bに模式的に示したように、母材鋼板11又は無機質系被膜13と、張力付与絶縁被膜15との間に、更に、鉄系酸化物層17を有することが好ましい。
ここで、無機質系被膜13、張力付与絶縁被膜15及び鉄系酸化物層17は、図1A及び図1Bに模式的に示したように、母材鋼板11の両面上に設けられる。なお、図1A及び図1Bでは、無機質系被膜13、張力付与絶縁被膜15及び鉄系酸化物層17が母材鋼板11の両面上に設けられる場合について図示しているが、無機質系被膜13、張力付与絶縁被膜15及び鉄系酸化物層17は、母材鋼板11の一方の面上にのみ設けられる場合もある。
以下、本実施形態に係る方向性電磁鋼板1が有する母材鋼板11、無機質系被膜13、張力付与絶縁被膜15、及び、鉄系酸化物層17について、詳細に説明する。
<母材鋼板11について>
本実施形態に係る方向性電磁鋼板1において、母材鋼板11として用いられる方向性電磁鋼板は、特に限定されるものではなく、公知の鋼成分からなる方向性電磁鋼板を利用することが可能である。このような方向性電磁鋼板として、例えば、質量%で2〜7%のSiを少なくとも含有する方向性電磁鋼板を挙げることができる。鋼成分中のSi濃度を2%以上とすることで、所望の磁気特性を実現することが可能となる。一方、鋼成分中のSi濃度が7%超となる場合には、鋼板の脆性が低く、製造が困難となるため、鋼成分中のSi濃度は7%以下であることが好ましい。
<無機質系被膜13について>
本実施形態に係る方向性電磁鋼板1では、母材鋼板11の表面に、フォルステライトを主成分とする極めて薄い無機質系被膜13が形成されている。かかる無機質系被膜13は、母材鋼板11の表面全体を被覆するように形成されているのではなく、図1A及び図1Bに模式的に示したように、母材鋼板11の表面に島状に分布している。
ここで、本実施形態における「島状」の分布構造とは、母材鋼板11の表面に、フォルステライト等の単結晶がいくつか集合した多結晶体の塊が散らばった、いわゆる海島状分布を形成している構造をいう。フォルステライト等の単結晶は、図2に模式的に示したように、その一部が母材鋼板11内に食い込んだように晶出してくるため、フォルステライト等の単結晶が集合した多結晶体の塊と母材鋼板11との間の密着性は、良好である。また、かかる多結晶体の塊が島状に分布した状態の無機質系被膜13が、いわゆる中間層の役割を果たし、母材鋼板11と、張力付与絶縁被膜15と、の間の密着性を担保する。
ここで、図2及び図3では、フォルステライトの単結晶が六方晶系の結晶であることを鑑み、多結晶体の塊を六角形状に図示しているが、多結晶体の塊の形状は図2及び図3に示したものに限定されるものではなく、任意の形状を有している。図2では、無機質系被膜13を有していない母材鋼板11の表面及び無機質系被膜13と、張力付与絶縁被膜15と、の間に、更に、鉄系酸化物層17が存在している場合について、模式的に図示している。また、図3では、母材鋼板11の表面及び無機質系被膜13を、母材鋼板11の表面側から見た場合について、模式的に図示している。
本実施形態に係る無機質系被膜13において、一つの島部の大きさ(より詳細には、無機質系被膜13を母材鋼板11の表面側から見たときの一つの島部の平均直径、図2及び図3における幅W)は、0.5〜10μmの範囲内である。一つの島部の平均直径Wが0.5μm未満である場合には、形成される張力付与絶縁被膜15の密着性を担保することができない。一方、一つの島部の平均直径Wが10μmを超える場合には、磁気特性(特に、高磁場鉄損特性)を向上させることができない。一つの島部の平均直径Wは、好ましくは0.5〜5μmの範囲内であり、より好ましくは0.5〜2μmの範囲内である。また、本実施形態に係る無機質系被膜13において、一つの島部の高さ(図2における高さh)は、0.1〜0.3μm程度である。
なお、図2及び図3に示したような無機質系被膜13における一つの島部の平均直径Wや高さhは、例えば以下のようにして測定することが可能である。すなわち、図2及び図3に示した一つの島部の平均直径Wは、張力付与絶縁被膜が存在していない方向性電磁鋼板1の表面を、表面走査型電子顕微鏡で観察することにより測定可能である。また、図2に示した一つの島部の高さhについても、表面走査型電子顕微鏡で観察する際に、斜め上方に視野を取ることで測定可能である。また、一つの島部の平均直径W及び高さhは、表面プロフィール計を用いて測定することも可能である。
本実施形態において、上記のような無機質系被膜13の片面当たりの付着量は、0.1〜0.5g/mの範囲内である。片面当たりの付着量が0.1g/m未満である場合には、中間層として機能する島状構造の数が少なくなりすぎて、形成される張力付与絶縁被膜15の密着性を担保することができない。一方、片面当たりの付着量が0.5g/mを超える場合には、磁気特性(特に、高磁場鉄損特性)を向上させることができない。上記のような無機質系被膜13の片面当たりの付着量は、好ましくは0.1〜0.3g/mの範囲内である。
ここで、無機質系被膜13の片面当たりの付着量は、例えば以下のようにして測定することが可能である。すなわち、無機質系被膜13は、構成元素としてMgを含有するフォルステライトを主成分とするものであるため、蛍光X線測定装置を用いて、無機質系被膜の付着量が既知のサンプルを用いて、Mgに関する蛍光の検出量と、無機質系被膜の付着量と、の関係を示した検量線を予め作成しておく。その上で、蛍光X線測定装置を用いて、付着量を特定したい無機質系被膜のMgの蛍光検出量を測定し、得られたMgの蛍光検出量と作成した検量線とを用いて、その付着量を特定することができる。
なお、上記のような島状の無機質系被膜13の形成方法については、以下で改めて詳細に説明する。
<張力付与絶縁被膜15について>
本実施形態に係る方向性電磁鋼板1では、上記のような母材鋼板11及び無機質系被膜13を被覆するように、張力付与絶縁被膜15が設けられている。ここで、母材鋼板11及び無機質系被膜13と、張力付与絶縁被膜15との間には、鉄系酸化物層17が存在することがより好ましい。かかる張力付与絶縁被膜15は、方向性電磁鋼板に電気絶縁性を付与することで渦電流損を低減して、方向性電磁鋼板の鉄損を向上させる。また、張力付与絶縁被膜15は、上記のような電気絶縁性以外にも、耐蝕性、耐熱性、すべり性といった種々の特性を実現する。
更に、張力付与絶縁被膜15は、方向性電磁鋼板に張力を付与するという機能を有する。方向性電磁鋼板に張力を付与して方向性電磁鋼板における磁壁移動を容易にすることで、方向性電磁鋼板の鉄損を向上させることができる。
かかる張力付与絶縁被膜15は、特に限定されるものではなく、従来、方向性電磁鋼板の張力付与絶縁被膜として用いられてきたものを、適宜適用することが可能である。このような張力付与絶縁被膜として、例えば、リン酸塩及びコロイダルシリカを主たる素材とする被膜等を挙げることができる。
かかる張力付与絶縁被膜の付着量については、特に限定されるものではないが、1.0kg/mm以上の高張力を実現可能な付着量とすることが好ましい。本実施形態に係る張力付与被膜の付着量は、例えば、2.0〜7.0g/m程度である。
<鉄系酸化物層17について>
鉄系酸化物層17は、本実施形態に係る方向性電磁鋼板1において、母材鋼板11及び無機質系被膜13と張力付与絶縁被膜15との間の中間層として機能する層であり、鉄系酸化物を主体とする。かかる鉄系酸化物層17は、例えば、マグネタイト(Fe)、ヘマタイト(Fe)、ファイアライト(FeSiO)等の鉄系酸化物を主成分とする層である。
鉄系酸化物は、母材鋼板11の表面と、酸素と、が反応することで形成されることから、鉄系酸化物層17と母材鋼板11との間の密着性は、良好なものとなる。また、一般に、金属とセラミックスとの間の密着性を向上させることは、困難を伴うことが多いが、本実施形態に係る方向性電磁鋼板1では、母材鋼板11及び無機質系被膜13と、セラミックスの一種である張力付与絶縁被膜15と、の間に更に鉄系酸化物層17が位置することで、張力付与絶縁被膜15の密着性をより一層向上させることができる。
本実施形態に係る方向性電磁鋼板1において、上記のような鉄系酸化物層17の厚み(図2における厚みd)は、100〜500nmの範囲内であることが好ましい。鉄系酸化物層17の厚みdが100nm以上となることで、張力付与絶縁被膜15の密着性をより一層向上させることができる。一方、鉄系酸化物層17の厚みdが500nmを超える場合には、鉄系酸化物層17が厚くなりすぎて部分的に剥離する可能性が高くなる。本実施形態に係る方向性電磁鋼板1において、鉄系酸化物層17の厚みdは、140〜400nmの範囲内とすることがより好ましく、170〜250nmの範囲内とすることが更に好ましい。
なお、上記のような鉄系酸化物層17の厚みdは、例えば、X線光電子分光法(X−ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)を用い、本実施形態に係る方向性電磁鋼板1の断面について鉄−酸素間結合の分布を観測することで、特定することができる。すなわち、XPSにて、712eV近傍に出現するFe−Oピークの強度と、708eV近傍に出現する金属Feピークの強度に着目しながら、張力付与絶縁被膜15を除去した方向性電磁鋼板1の表面側から母材鋼板11側に向かってスパッタリングを行っていき、測定を開始した最表層から、712eV近傍に出現するFe−Oピークの強度と、708eV近傍に出現する金属Feピークの強度とが入れ替わる深さ方向位置までを、鉄系酸化物層17の厚みとすることができる。
また、鉄系酸化物層17の主成分がどのような物質であるかは、X線結晶構造解析法やXPSにより分析を行うことで、特定することが可能である。本発明者らによるこれまでの測定結果から、鉄系酸化物層17は、主に酸化鉄を主成分とし、若干のシリカを含有していることが判明している。
<母材鋼板11の厚みについて>
本実施形態に係る方向性電磁鋼板1において、母材鋼板11の厚み(図1A及び図1Bにおける厚みd)は、特に限定されるものではなく、例えば、0.27mm以下とすることができる。一般に、方向性電磁鋼板において、鋼板の厚みが薄くなるほど機械的強度が低下する結果、張力付与絶縁被膜により付与される張力に起因して、張力付与絶縁被膜の密着性が低下することが多い。しかしながら、本実施形態に係る方向性電磁鋼板1では、上記のような無機質系被膜13や鉄系酸化物層17が設けられることで、厚みdが0.27mm以下となる場合であっても張力付与絶縁被膜15の優れた密着性を保持することができる。
また、本実施形態においては、厚みdが0.23mm以下と薄くなる場合であっても、上記のような張力付与絶縁被膜15の優れた密着性を保持することができる。本実施形態に係る方向性電磁鋼板1において、母材鋼板11の厚みdは、0.17〜0.23mmの範囲内であることがより好ましい。なお、本実施形態に係る方向性電磁鋼板1における、母材鋼板11の厚みdは、上述した範囲に制限されるものではない。
以上説明したような本実施形態に係る方向性電磁鋼板は、母材鋼板11の表面に、島状に分布する極薄い無機質系被膜13が存在することで、張力付与絶縁被膜15の密着性をより一層向上させることが可能となり、また、例えば1.7T〜1.9Tといった高磁場鉄損の極めて低い方向性電磁鋼板を実現することが可能となる。
なお、本実施形態に係る方向性電磁鋼板の示す磁束密度や鉄損等といった各種の磁気特性は、JIS C2550に規定されたエプスタイン法や、JIS C2556に規定された単板磁気特性測定法(Single Sheet Tester:SST)に則して、測定することが可能である。
以上、本実施形態に係る方向性電磁鋼板について、詳細に説明した。
(方向性電磁鋼板の製造方法について)
続いて、図4を参照しながら、本実施形態に係る方向性電磁鋼板の製造方法について、詳細に説明する。図4は、本実施形態に係る方向性電磁鋼板の製造方法の流れの一例を示した流れ図である。
本実施形態に係る方向性電磁鋼板の製造方法では、極めて薄い島状の無機質系被膜を有する方向性電磁鋼板の表面を得るために、鋼板表面に塗布する焼鈍分離剤として、特定の焼鈍分離剤を用いる。本発明者らは、極めて薄い島状の無機質系被膜を形成するために鋭意検討を行った結果、MgO(マグネシア)と、水酸化アルミニウムと、特定の金属塩素酸化合物又は金属塩化物を混合した混合物を焼鈍分離剤として用いることで、母材鋼板11上に形成される無機質系被膜を部分的に抑制し、残存した無機質系被膜を島状に分布させることが可能であることに想到した。
以下に、かかる知見に基づき完成された、本実施形態に係る方向性電磁鋼板の製造方法について、詳細に説明する。
本実施形態に係る方向性電磁鋼板の製造方法では、まず、2〜7質量%のSiを含有する鋼片(ケイ素鋼スラブ)を熱間圧延し、必要に応じて焼鈍を施し、1回の冷間圧延又は中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延を施して冷延鋼板とする。その上で、得られた冷延鋼板に対して、脱炭焼鈍を施す(ステップS101)。
ここで、鋼片(ケイ素鋼スラブ)のSi含有量が2質量%未満である場合には、所望の磁気特性を実現することができない。一方、鋼片(ケイ素鋼スラブ)のSi含有量が7質量%を超える場合には、得られる鋼板の脆性が低く、製造が困難となる。また、鋼片(ケイ素鋼スラブ)に対する熱間圧延処理、及び、冷間圧延処理については、その実施条件については特に限定するものではなく、一般的な方向性電磁鋼板の製造工程で実施されている通常の条件で実施すればよい。また、得られた冷延鋼板に対する脱炭焼鈍の諸条件についても、特に限定されるものではなく、一般的な方向性電磁鋼板の製造工程で実施されている通常の条件で、脱炭焼鈍を実施すればよい。
上記のような脱炭焼鈍後の冷延鋼板に対して、水酸化アルミニウムを含む特定の焼鈍分離剤を用いて、仕上げ焼鈍が施される(ステップS103)。より詳細には、水酸化アルミニウムを含む焼鈍分離剤として、MgOと水酸化アルミニウムの混合物100質量部に対し、金属塩素酸化合物又は金属塩化物を0.5〜15質量部混合したものを用いる。
ここで、本実施形態に係る「水酸化アルミニウム」とは、一般的に想起される、化学式Al(OH)で表される物質(ギブサイト)だけでなく、水和した酸化アルミニウムとして、化学式Al・nHOで表される物質を含む。化学式Al・nHOで表される水和した酸化アルミニウムには、アルミナ・1水和物(Al・HO)に対応するベーマイト及びダイアスポア(それぞれ、AlO(OH)と表記される。)がある。これらの物質は、所定の温度域となると、保持している水分(HO)を放出する物質であり、また、一般的な水酸化アルミニウムである水酸化アルミニウムゲルと比較して、放出される水分量を容易に制御可能な物質である。
上記のような、ギブサイト、ベーマイト、ダイアスポアからなる水酸化アルミニウムが仕上げ焼鈍時の所定の温度域(300℃から600℃程度)において水分(HO)を放出することで、仕上げ焼鈍時に、塗布された焼鈍分離剤のうち水酸化アルミニウムが存在した部分が部分的に酸化され、無機質系被膜が鋼板の表面全面に形成されることを防止する。その結果、先だって説明したような、特徴的な島状構造を有する無機質系被膜が形成される。このような島状構造を有する無機質系被膜は、水酸化アルミニウムゲルを用いた場合には、実現することができず、水酸化アルミニウムとして、上記のようなギブサイト、ベーマイト、又は、ダイアスポアを用いることで、より確実に実現することができる。
上記のような水酸化アルミニウムの平均粒径は、例えば、0.5〜8.0μmの範囲内とする。ここで、「平均粒径」とは、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。水酸化アルミニウムの平均粒径を0.5〜8.0μmの範囲内とすることで、焼鈍分離剤をスラリー化して塗布・乾燥させる際に、取り扱いが簡便となり、生産性を向上させることができる。なお、水酸化アルミニウムと混合されるMgOの平均粒径は、特に限定するものではないが、例えば、2〜4μm程度とすることができる。
本実施形態において、上記のような水酸化アルミニウムとMgOとの混合物における、水酸化アルミニウムの含有量は、30〜70質量%の範囲内であることが好ましい。水酸化アルミニウムの含有量を30〜70質量%の範囲内とすることで、上記のような島状の無機質系被膜を、より確実に形成することが可能となる。
また、本実施形態において、MgOと水酸化アルミニウムの混合物中には、金属塩素酸化合物又は金属塩化物が特定量含有される。ここで、金属塩素酸化合物又は金属塩化物の金属元素としては、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、リチウム(Li)、アンチモン(Sb)、及び、ビスマス(Bi)からなる群より選択される少なくとも何れかの元素が用いられる。上記のような金属元素を用いることで、仕上げ焼鈍後に鋼板に金属元素が残留したり、鋼板同士が融着したりすることなく、無機質系被膜の生成を抑制することができ、先だって説明したような、極薄い島状構造の無機質系被膜を実現することができる。
上記のような金属塩素酸化合物として、具体的には、オキシ塩化ビスマス、オキシ塩化アンチモン、オキシ塩化ジルコニウム等を挙げることができる。また、上記のような金属塩化物として、例えば、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化バリウム等を挙げることができる。
MgOと水酸化アルミニウムの混合物100質量部に対する金属塩素酸化合物又は金属塩化物の混合量は、0.5〜15質量部の範囲内とする。混合量が0.5質量部未満である場合には、無機質系被膜の形成抑制効果が十分ではなく、先だって説明したような島状構造の無機質系被膜を実現することができない。一方、混合量が15質量部を超える場合には、無機質系被膜の形成抑制効果が過剰となり、無機質系被膜を残存させることができない。金属塩素酸化合物又は金属塩化物の混合量は、好ましくは1〜7質量部の範囲内であり、より好ましくは1〜5質量部の範囲内である。
上記のような特定の焼鈍分離剤を、脱炭焼鈍後の冷延鋼板の表面に塗布して乾燥させる。ここで、焼鈍分離剤の塗布方法及び乾燥方法については、特に限定されるものではなく、公知の方法を適用することができる。
焼鈍分離剤が塗布された冷延鋼板に対して、仕上げ焼鈍が施される。ここで、仕上げ焼鈍における均熱温度及び均熱時間は、水酸化アルミニウムの水分放出温度域を考慮しながら設定することが好ましい。このような均熱温度及び均熱時間は、特に限定されるものではないが、例えば、均熱温度は、1150〜1200℃の範囲内とすることが好ましく、均熱時間は、10〜30時間の範囲内とすることが好ましい。また、仕上げ焼鈍時の雰囲気については、例えば、100%水素雰囲気とすることが好ましい。
以上のようにして形成される島状の無機質系被膜上に、鉄系酸化物層を形成しない場合には、仕上げ焼鈍後の鋼板に対して、通常の方向性電磁鋼板の製造方法と同様に、余剰の焼鈍分離剤の除去処理が施された後に、張力付与絶縁被膜が形成される。一方、先だって説明したような鉄系酸化物層を形成する場合には、以下で詳述するような酸性混合溶液の塗布処理(ステップS105)及び酸化性雰囲気中での加熱処理(ステップS107)が実施される。
酸性混合溶液の塗布処理(ステップS105)では、余分に付着した焼鈍分離剤を水洗等により除去した後に、特定濃度の酸(酸性混合溶液)を鋼板表面に塗布することで、鋼板を表面処理する。
ここで、表面処理に際して用いられる酸性混合溶液は、硫酸、硝酸、及び、リン酸の1種又は2種以上を含有し、合計の酸濃度が2〜30質量%である、液温が70℃以上の混合溶液であることが好ましい。このような酸性混合溶液を用いて鋼板表面を軽くエッチングすることで、通常では得られない活性な表面状態を生成することが可能となる。
混合溶液の液温が70℃未満である場合には、酸性混合溶液の溶解度が低下して、沈殿物が生成する可能性が高まるだけでなく、鉄に対する活性表面を得ることができない可能性が高まる。混合溶液の液温は、より好ましくは70〜85℃の範囲内であり、更に好ましくは75〜85℃の範囲内である。
また、酸性混合溶液の合計の酸濃度が2質量%未満である場合には、処理時間が長時間になって工業的に不利となることがある。一方、酸性混合溶液の合計の酸濃度が30質量%を超える場合には、酸洗減量が過大となる可能性が高くなる。酸性混合溶液の合計の酸濃度は、より好ましくは5〜15質量%の範囲内であり、更に好ましくは5〜10質量%の範囲内である。
なお、上記のような酸性混合溶液による処理時間は、30秒以下とすることが好ましい。処理時間が30秒を超える場合には、上記の仕上げ焼鈍工程で生成された島状の無機質系被膜が部分的に溶解してしまい、張力付与絶縁被膜の密着性が低下する可能性がある。また、上記のような酸性混合溶液を用いた処理は、かかる酸性混合溶液が保持された処理浴中に、鋼板を連続的に浸漬させることで実施するのが簡便である。一般的な通板速度により鋼板を処理浴中に浸漬させることで、処理時間を30秒以下とすることができ、上記のような活性な表面状態を実現することができる。
酸化性雰囲気中での加熱処理(ステップS107)では、酸素濃度が1〜21体積%であり、かつ、露点が−20〜30℃である雰囲気中において、鋼板温度700〜900℃で5〜60秒間、表面処理後の方向性電磁鋼板を加熱処理することを、加熱処理の条件とすることが好ましい。
酸素濃度が1体積%未満である場合には、鉄系酸化物層が形成されるのに時間が掛かり過ぎて、生産性が低下することがある。一方、酸素濃度が21体積%を超える場合には、生成する鉄系酸化物層が不均一になりやすくなる。雰囲気中の酸素濃度は、より好ましくは10〜21体積%の範囲内であり、更に好ましくは15〜21体積%の範囲内である。
雰囲気の露点が−20℃未満である場合には、鉄系酸化物層が形成されるのに時間が掛かり過ぎて、生産性が低下することがある。一方、雰囲気の露点が30℃を超える場合には、生成する鉄系酸化物層が不均一になりやすくなる。雰囲気中の露点は、より好ましくは−10〜25℃の範囲内であり、更に好ましくは−5〜20℃の範囲内である。
加熱処理における鋼板温度が700℃未満である場合には、加熱時間を60秒としたとしても、十分な厚みの鉄系酸化物層を形成させることが困難となることがある。一方、鋼板温度が900℃を超える場合には、加熱時間を5秒としたとしても、鉄系酸化物層が不均一になる可能性が高くなる。加熱処理における鋼板温度は、より好ましくは750〜800℃の範囲内である。
また、加熱時間が5秒未満である場合には、生成する鉄系酸化物層が不均一になりやすい。一方、加熱時間が60秒を超える場合には、工業的にコスト高となることがある。加熱時間は、より好ましくは20〜30秒の範囲内である。
上記のような特定の酸性溶液を用いた表面処理の後に、上記のような加熱条件で加熱処理を施すことで、方向性電磁鋼板の活性化された表面が酸化されていき、熱膨張率が金属と絶縁被膜の間に位置する鉄系酸化物層が形成される。好ましい熱膨張率を有する鉄系酸化物層が形成されて歪みが更に緩和されることで、張力付与絶縁被膜のより一層の密着性向上が実現され、高磁場鉄損の改善効果を発現させることができる。
本実施形態に係る方向性電磁鋼板の製造方法では、続いて、鋼板表面に張力付与絶縁被膜が形成される(ステップS109)。張力付与絶縁被膜の形成工程については、特に限定されるものではなく、下記のような公知の絶縁被膜処理液を用いて、公知の方法により処理液の塗布及び乾燥を行えばよい。鋼板表面に張力付与絶縁被膜を形成することで、方向性電磁鋼板の磁気特性を更に向上させることが可能となる。
なお、絶縁被膜が形成される鋼板の表面は、処理液を塗布する前に、アルカリなどによる脱脂処理や、塩酸、硫酸、リン酸などによる酸洗処理など、任意の前処理を施してもよいし、これら前処理を施さずに仕上焼鈍後のままの表面であってもよい。
ここで、鋼板の表面に形成される張力付与絶縁被膜は、方向性電磁鋼板の張力付与絶縁被膜として用いられるものであれば、特に限定されるものではなく、公知の張力付与絶縁被膜を用いることが可能である。このような張力付与絶縁被膜として、例えば、リン酸塩及びコロイダルシリカを主たる素材とする被膜を挙げることができ、更には、無機物を主体とし、更に有機物を含んだ複合絶縁被膜を挙げることができる。ここで、複合絶縁被膜とは、例えば、クロム酸金属塩、リン酸金属塩又はコロイダルシリカ、Zr化合物、Ti化合物等の無機物の少なくとも何れかを主体とし、微細な有機樹脂の粒子が分散している絶縁被膜である。特に、近年ニーズの高まっている製造時の環境負荷低減の観点からは、リン酸金属塩やZrあるいはTiのカップリング剤、又は、これらの炭酸塩やアンモニウム塩を出発物質として用いた絶縁被膜が好ましく用いられる。
また、上記のような絶縁被膜形成工程に続いて、形状矯正のための平坦化焼鈍を施しても良い。鋼板に対して平坦化焼鈍を行うことで、更に鉄損を低減させることが可能となる。
以上、本実施形態に係る方向性電磁鋼板の製造方法について、詳細に説明した。
(島状の無機質系被膜の具体例)
図5Aに、本実施形態に係る方向性電磁鋼板の製造方法に則して製造した、仕上げ焼鈍後の鋼板表面の走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)写真を示した。かかる電子顕微鏡写真は、MgOとベーマイトの混合物100質量部に対して、オキシ塩化ビスマスを5質量部混合した焼鈍分離剤を用いて製造した仕上げ焼鈍後の鋼板表面を観察することで得られたものである。また、図5Bに、比較のために、一般的に用いられるMgOとAlの混合物を焼鈍分離剤として使用した際の、仕上げ焼鈍後の鋼板表面の走査型電子顕微鏡写真を示した。
図5Aにおいて、白く見える粒状の物質がフォルステライトの結晶であることを、X線結晶構造解析法により別途確認している。また、図5Aにおいて、白く見える粒状の物質以外の領域は、鋼板表面である。図5Aから明らかなように、フォルステライトの結晶は、鋼板表面に島状に分布しており、先だって説明したような島状の無機質系被膜が形成されていることがわかる。
一方、図5Bにおいても、白く見える粒状の物質は、フォルステライトの結晶であるが、その他の領域において鱗片状に見えるものは、フォルステライトであることが分かった。すなわち、図5Bでは、鋼板表面の全面にわたってフォルステライトを主成分とする無機質系被膜が形成されており、本実施形態で着目しているような特定の島状構造を有する無機質系被膜は実現されていないことを示している。
以下では、実施例及び比較例を示しながら、本発明に係る方向性電磁鋼板及び方向性電磁鋼板の製造方法について、具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明に係る方向性電磁鋼板及び方向性電磁鋼板の製造方法のあくまでも一例にすぎず、本発明に係る方向性電磁鋼板及び方向性電磁鋼板の製造方法が、下記の例に限定されるものではない。
(実験例1)
質量%で、C:0.08%、Si:3.23%、Al:0.028%、N:0.008%を含み、残部がFe及び不純物である鋼片(ケイ素鋼スラブ)を鋳造し、得られた鋼片を加熱後に熱間圧延して、板厚2.2mmの熱延鋼板とした。鋼板温度1100℃で5分間焼鈍後、板厚0.22mmまで冷間圧延し、鋼板温度830℃で脱炭焼鈍を行った。その後、以下の表1に示したような、MgOと水酸化アルミニウムとを主成分とし、金属塩素酸化合物又は金属塩化物を含有する焼鈍分離剤を、脱炭焼鈍後の冷延鋼板の表面に塗布した後に乾燥させて、鋼板温度1200℃で20時間の仕上げ焼鈍を行った。
仕上げ焼鈍後に水洗して、余剰の焼鈍分離剤を取り除いた後に、倍率1000倍の走査型電子顕微鏡で表面を観察した結果、鋼板の表面構造は、以下の表2に示すような状態であった。また、無機質系被膜の付着量、及び、島状構造を有している無機質系被膜の平均直径を、先だって説明した方法により測定して、以下の表2にあわせて示した。なお、以下の表2において、「島状構造」、「部分形成」、「被膜形成」、「被膜無し」と判断した判断基準は、以下の通りである。
島状構造:個々の無機系被膜形成物が独立して点在している状態
部分形成:直径数百μm以上の無機質系被膜が生成して表面を覆っている状態
被膜形成:全体の90%以上に無機質系被膜が生成して表面を覆っている状態
被膜無し:表面に無機質系被膜形成物の生成頻度が極端に少ない状態
仕上げ焼鈍後の鋼板を、以下の表2に示すような酸性混合溶液中に浸漬させて、仕上げ焼鈍後の鋼板を表面処理し、続いて、以下の表2に示した条件下で、加熱処理を行った。その後、リン酸アルミニウムとコロイダルシリカを主成分とする水溶液を塗布し、850℃の炉中で1分間焼付け、リン酸塩及びコロイダルシリカを主たる素材とする張力付与絶縁被膜を、目付量4.5g/mで形成した。
このようにして製造された方向性電磁鋼板のそれぞれについて、XPSを用いて、上記の方法に則して鉄系酸化物層の厚みdを測定するとともに、X線結晶構造解析法により、鉄系酸化物層の主成分を特定した。また、JIS C2550に規定されたエプスタイン法により、レーザービームを照射し磁区細分化処理した後の高磁場鉄損(最大磁束密度が1.7T、又は、1.9Tの場合における、周波数50Hzのもとでの鉄損)を測定した。更に、以下の評価方向に従って、張力付与絶縁被膜の密着性を評価した。得られた結果を、以下の表2にまとめて示した。
<張力付与絶縁被膜の密着性評価>
張力付与絶縁被膜の密着性は、以下のようにして評価した。まず、各方向性電磁鋼板から、幅30mm×長さ300mmのサンプルを採取し、800℃で2時間、窒素気流中で歪取り焼鈍後、10mmφの円柱を用いた曲げ密着試験を行い、張力付与絶縁被膜の剥離度合いに応じて評価を行った。評価基準は、以下の通りであり、評点A及び評点Bを合格とした。
評点A:剥離無し
B:殆ど剥離していない
C:数mmの剥離が見られる
D:1/3〜1/2の剥離が見られる
E:全面剥離
上記のようなX線結晶構造解析法による解析の結果、鉄系酸化物層が形成された本発明の実施例に該当するサンプルのうち、鉄系酸化物層を形成するための加熱処理条件が本発明の好ましい範囲内であったものでは、鉄系酸化物層は、マグネタイト、ヘマタイト、及び、ファイアライトを主成分とするものであった。一方、本発明の実施例に該当するサンプルのうち、鉄系酸化物層を形成するための加熱処理条件が、本発明の好ましい範囲外となったサンプルでは、鉄系酸化物層は、マグネタイト、ヘマタイト、及び、ファイアライトを主成分とするものではなかった。
また、上記表2から明らかなように、各実験例において、本発明の実施例に該当するサンプルでは、張力付与絶縁被膜の密着性が極めて優れており、高磁場鉄損が改善されていることがわかる。一方、各実験例において、本発明の比較例に該当するサンプルでは、張力付与絶縁被膜の密着性が劣っており、また、高磁場鉄損も改善されていないことがわかる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 方向性電磁鋼板
11 母材鋼板
13 無機質系被膜
15 張力付与絶縁被膜
17 鉄系酸化物層

Claims (10)

  1. 母材鋼板と、無機質系被膜と、張力付与絶縁被膜と、を有する方向性電磁鋼板において、
    前記無機質系被膜は、フォルステライトを主成分とし、前記母材鋼板の表面上に島状に分布しており、
    前記張力付与絶縁被膜は、前記方向性電磁鋼板の表面に、前記母材鋼板及び前記無機質系被膜を被覆するように存在し、
    島状に分布する前記無機質系被膜のそれぞれの島部の平均直径は、前記母材鋼板の表面側から見て、0.5〜10μmであり、
    島状に分布する前記無機質系被膜の片面当たりの付着量が、0.1〜0.5g/mである、方向性電磁鋼板。
  2. 前記母材鋼板又は前記無機質系被膜と、前記張力付与絶縁被膜との間に、更に鉄系酸化物層を有する、請求項1に記載の方向性電磁鋼板。
  3. 前記鉄系酸化物層の厚みは、100〜500nmである、請求項2に記載の方向性電磁鋼板。
  4. 前記鉄系酸化物層は、マグネタイト、ヘマタイト及びファイアライトを主成分とする層である、請求項2又は3に記載の方向性電磁鋼板。
  5. 前記張力付与絶縁被膜は、リン酸塩及びコロイダルシリカを主たる素材とする被膜である、請求項1〜4の何れか1項に記載の方向性電磁鋼板。
  6. 前記母材鋼板の厚みが、0.27mm以下である、請求項1〜5の何れか1項に記載の方向性電磁鋼板。
  7. 2〜7質量%のSiを含有する鋼片を熱間圧延し、必要に応じて焼鈍を施し、1回の冷間圧延又は中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延を施して冷延鋼板とし、当該冷延鋼板に対して脱炭焼鈍を施した後に、焼鈍分離剤として、MgOと水酸化アルミニウムの混合物100質量部に対し、金属塩素酸化合物又は金属塩化物を0.5〜15質量部混合したものを塗布して乾燥させた後、塗布後の前記冷延鋼板に対して仕上げ焼鈍を施し、
    処理後の前記冷延鋼板の表面に張力付与絶縁被膜を形成し、
    前記水酸化アルミニウムの平均粒径は、0.5〜8.0μmであり、
    前記金属塩素酸化合物又は前記金属塩化物の金属元素として、バリウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、アンチモン、及び、ビスマスからなる群より選択される少なくとも何れかの元素を用いる、方向性電磁鋼板の製造方法。
  8. 前記MgOと水酸化アルミニウムの混合物における前記水酸化アルミニウムの含有量は、30〜70質量%である、請求項7に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  9. 前記水酸化アルミニウムとして、ギブサイト、ベーマイト、及び、ダイアスポアの少なくとも何れかを用いる、請求項7又は8に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  10. 仕上げ焼鈍後に、硫酸、硝酸、及び、リン酸の1種又は2種以上を含有する、合計の酸濃度が2〜30%であり、かつ、液温が70℃以上の混合溶液を前記冷延鋼板の表面に塗布して30秒以下の処理時間で表面処理した後、酸素濃度が1〜21体積%であり、かつ、露点が−20〜30℃である雰囲気中において、鋼板温度700〜900℃で5〜60秒間加熱処理した上で、前記張力付与絶縁被膜を形成する、請求項7〜9の何れか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
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