JP2020105792A - 斜ケーブルの定着構造 - Google Patents
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また、斜ケーブル5,6の引張力の鉛直方向成分は定着部から主塔4に伝達され、橋脚2によって支持される。
特許文献1に記載されている斜ケーブルの定着構造は、図9(a)に示すエクストラドーズド形式の斜張橋に適用されたものであり、図9(b)に平断面図を示すように、閉じた形状の鋼殻101を備えている。そして、この鋼殻内で該鋼殻の内周面と密接するように2つのコンクリートブロック102,103が形成され、これらのコンクリートブロックに斜ケーブル5,6を定着するものとなっている。
斜ケーブル5,6に作用する引張力の鉛直方向成分は、湾曲部鋼板101aとこれに圧接されるコンクリートブロック102,103との摩擦によって鋼殻101に伝えられ、さらに鋼殻101から外側コンクリート部104に伝達される。このとき湾曲部鋼板101aとコンクリートブロック102,103との間にずれが生じるおそれがある。
つまり、コンクリートブロック102,103と鋼板101との間に相対的な変位が生じ、コンクリートブロック102,103から鋼殻101に鉛直方向の力が十分に伝達されないことが考えられる。このように鋼殻101及び外側コンクリート部104に斜ケーブル5,6の引張力の鉛直方向成分が適切に伝達されないと、コンクリートブロック102,103に過度の鉛直方向の圧縮応力度が生じることになる。
さらに、外側コンクリート部と鋼殻の内側のコンクリートブロックとがスリットを介して連続するものとなり、一体性が良好になるとともに、スリットに鉄筋等を挿通してさらに一体性を高めることも可能となる。
図1は、本発明の第1の実施形態である斜ケーブルの定着構造を示す立断面図であり、図2は平断面図である。
この斜ケーブルの定着構造は、図9(a)に示すようなエクストラドーズド形式の斜張橋の主塔に適用されたものである。
図9(a)に示すエクストラドーズド形式の斜張橋は、橋台1及び橋脚2の上に架け渡された橋桁3と、橋脚2上に立ち上げられた主塔4と、この主塔4の上部から橋桁3の軸線方向における双方の斜め下方に張架され、橋桁3を斜め方向に吊り支持する複数の斜ケーブル5,6とを有するものである。
エクストラドーズド形式の斜張橋は橋桁3の曲げ剛性を比較的大きくするとともに、主塔4の高さを小さく抑えたものであり、斜ケーブル5,6の傾斜角は小さくなっている。
なお、上記橋桁3はプレストレストコンクリートからなる箱型断面となっているが、橋桁3の構造はこのような構造に限定されるものではなく、コンクリートと鋼との合成構造となっているもの、ウエブにプレキャスト板を用いたもの、トラス構造となったもの等、他の形態の橋桁であってもよい。また、鋼によって形成された箱桁等であってもよい。
上記脚部7は、鉄筋コンクリート構造となっており、斜ケーブル5,6から作用する鉛直方向の力を、橋桁3を介して橋脚2に伝達するものである。
上記鋼殻を形成する湾曲部鋼板13a及び連結部鋼板13bは、図3に示すように閉じた形状の内側に、水平方向に連続した等断面の凸部13cを複数有するものである。これらの凸部13cは、図4に拡大図を示すようにそれぞれが台形状の断面を有し、上下に所定の間隔をおいて、上下方向のほぼ全域に設けられている。このような鋼殻13を形成する鋼板は圧延時に凸部13cが形成されたものであり、一般にたてじま鋼板と称されるものを用いることができる。圧延によって形成された筋状の凸部の軸線が水平方向となるように用いるものである。
なお、鋼殻に設けられる凸部は他の手段によって形成されたもの、例えば溶接によって帯状又は棒状の部材を接合したもの等であってもよい。
鋼殻13のコンクリートブロック11,12が接触する範囲には、摩擦を低減する滑り層(図示しない)を設けておくことができる。この滑り層は、コンクリートブロック11,12を形成するコンクリートの打設前に鋼殻の内面に設けるものであり、例えば合成樹脂を塗布又は吹き付け等の手段によって薄い層状にしたものであってもよいし、油脂等の液状又はペースト状の材料を塗布するものであってもよい。
なお、コンクリートブロック11,12内には鉄筋を配置し、斜ケーブル5,6から作用する支圧力等に対してひび割れが生じないようにするのが望ましい。
なお、分割部分のそれぞれを所定の位置に配置した後、上段の分割部分の下端縁と下段の分割部分の上端縁とを溶接等によって接合してもよい。
また、鋼殻13の外周面に設ける上記ずれ止め部材22は、例えば、棒状の鋼部材を溶接等によって取り付けたスタッドジベルとすることができる。また、鋼プレートを溶接によって接合するものであってもよい。この鋼プレートには鉄筋挿通孔を設けておき、鋼殻13の外側に配置した鉄筋を、上記鋼プレートに設けられた鉄筋挿通孔に挿通して配置することもできる。
一方、斜ケーブル5,6から伝達される引張力の鉛直方向の成分は、上下方向に連続するコンクリートブロック11,12から鋼殻13に作用し、さらに外側コンクリート部14に作用して下方に伝達され、主塔の脚部7から橋桁3を介して橋脚2に支持される。このとき、コンクリートブロック11,12に作用した鉛直方向の成分は、鋼殻13に設けられた水平方向に連続する凸部13cがコンクリートブロック11,12と噛み合っていることにより確実に鋼殻13に伝達される。したがって、コンクリートブロック11,12と鋼殻13の間に相対的な変位が生じてコンクリートブロック11,12に鉛直方向の過大な圧縮応力度が生じるのが回避され、主塔4は安定して鉛直方向の成分を支持することが可能となる。
ただし、外側コンクリート部を設けないので、鋼殻13の外側にはずれ止め部材は設けることなく、防錆等の処理を行う必要がある。
さらに、鋼殻に設けられる凸部又は凹部は内面のみではなく、図6に示すように、両面に凸部52a,52bが形成された鋼板52を用いて、外面にも水平方向に連続した凸部を設けることができる。このときには外面に形成した凸部52bによって斜ケーブルの引張力の鉛直方向成分を鋼殻から外側コンクリート部に有効に伝達することができる。したがって、このときには鋼殻の外面にずれ止め部材を設けるのを省略することができる。
なお、鋼板の両面に形成された凸部に代えて、両面に凹部が形成された鋼板を用いることもできる。
この斜ケーブルの定着構造は、図1及び図2に示す定着構造と同様に、斜張橋の主塔4の上部に設けられたものであり、平断面が閉じた形状の鋼殻33を備えている。この鋼殻33は、橋軸方向の両端部で円筒曲面を形成する湾曲部鋼板33aと、2つの湾曲部鋼板33aを連結する連結部鋼板33bとで、平断面が長円形となっている。そして、この鋼殻33の内側の橋軸方向における両端部に2つのコンクリートブロック31,32が設けられ、鋼殻33の外側には、該鋼殻33と密接するように外側コンクリート部34が形成されている。
なお、この鋼殻33の外面にずれ止め部材は設けられていない。
例えば、本実施の形態では、エクストラドーズド形式の斜張橋に適用したが、エクストラドーズド形式の斜張橋に限定されるものではなく、高い主塔と剛性の小さい橋桁を有する斜張橋に適用することもできる。また、斜ケーブルの本数、配置する角度等は適宜に決定することができ、これに対応して主塔の形状及び寸法は適宜に設計することができる。さらに、以上に説明した実施の形態では主塔から両側に張架されるケーブルの本数が同数となっているが、必ずしも同数でなくてもよく、双方へ作用する引張力の差に対して主塔が抵抗することができる範囲であれば異なる本数であってもよい。
11:第1のコンクリートブロック、 12:第2のコンクリートブロック、 13:鋼殻、 13a:鋼殻の湾曲部鋼板、 13b:鋼殻の連結部鋼板、 13c:鋼殻に設けられた凸部、 14:外側コンクリート部、 15:アンカーボルト、 16:2つのコンクリートブロックと鋼殻とで囲まれた空間、 19:管部材、 20:斜ケーブルの定着具、 21:鋼殻の分割線、 22:ずれ止め部材、
31:第1のコンクリートブロック、 32:第2のコンクリートブロック、 33:鋼殻、 33a:鋼殻の湾曲部鋼板、 33b:鋼殻の連結部鋼板、 34:外側コンクリート部、 35a:幅の広い、斜ケーブルが通すことができるスリット、 35b:幅の狭いスリット、
45,46:斜ケーブル、
51:凹部を有する鋼板、 51a:鋼板に設けられた凹部、 52:両面に凸部を有する鋼板、 52a,52b:鋼板に設けられた凸部
Claims (6)
- 斜張橋の主塔上部から橋桁の軸線方向(以下、橋軸方向)における一方側及び他方側の斜め下方に張架されて前記橋桁を吊り支持する複数の斜ケーブルを、前記主塔上部に定着する斜ケーブルの定着構造であって、
板面が橋軸方向となるように配置され、前記橋桁の軸線と直角方向(以下、橋軸直角方向)に間隔を開けて互いに対向するように配置された2つの連結部鋼板と、これらの連結部鋼板の橋軸方向における端縁を連結するように設けられ、なめらかに湾曲した曲面を形成する湾曲部鋼板とを備え、平断面が閉じた形状となった鋼殻と、
該鋼殻の内側の橋軸方向における一方側の端部付近及び他方側の端部付近でそれぞれが該鋼殻の湾曲部鋼板と密着するように形成された第1のコンクリートブロック及び第2のコンクリートブロックと、を有し、
前記斜ケーブルの上端部は、前記湾曲部鋼板に設けられた挿通孔を貫通し、
前記主塔上部から橋軸方向における一方側に張架された斜ケーブルの上端部が前記第1のコンクリートブロックに定着され、
前記主塔上部から橋軸方向における他方側に張架された斜ケーブルの上端部が前記第2のコンクリートブロックに定着されており、
前記鋼殻の前記第1のコンクリートブロック又は第2のコンクリートブロックと密接する部分には、水平方向に連続する凸部又は凹部が形成されていることを特徴とする斜ケーブルの定着構造。 - 前記鋼殻の湾曲部鋼板は、圧延時に筋状の凸部が所定の間隔で形成されたたてじま鋼板であり、前記凸部の方向が水平となるように用いられていることを特徴とする請求項1に記載の斜ケーブルの定着構造。
- 前記鋼殻の湾曲部鋼板は、内面に水平方向の切削溝が所定の間隔で形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の斜ケーブルの定着構造。
- 前記鋼殻の外側に密着する外側コンクリート部を有し、
前記鋼殻の湾曲部鋼板は、外面に水平方向に連続する凸部又は凹部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の斜ケーブルの定着構造。 - 斜張橋の主塔上部から橋桁の軸線方向(以下、橋軸方向)における一方側及び他方側の斜め下方に張架されて前記橋桁を吊り支持する複数の斜ケーブルを、前記主塔上部に定着する斜ケーブルの定着構造であって、
板面が橋軸方向となるように配置され、前記橋桁の軸線と直角方向(以下、橋軸直角方向)に間隔を開けて互いに対向するように配置された2つの連結部鋼板と、これらの連結部鋼板の橋軸方向における端縁を連結するように設けられ、なめらかに湾曲した曲面を形成する湾曲部鋼板とを備え、平断面が閉じた形状となった鋼殻と、
該鋼殻の内側の橋軸方向における一方側の端部付近及び他方側の端部付近でそれぞれが該鋼殻の湾曲部鋼板と密着するように形成された第1のコンクリートブロック及び第2のコンクリートブロックと、を有し、
前記主塔上部から橋軸方向における一方側に張架された斜ケーブルの上端部が前記第1のコンクリートブロックに定着され、
前記主塔上部から橋軸方向における他方側に張架された斜ケーブルの上端部が前記第2のコンクリートブロックに定着されており、
前記鋼殻の前記第1のコンクリートブロック又は第2のコンクリートブロックと密接する部分には、水平方向に連続して該鋼殻を貫通するスリットが形成されていることを特徴とする斜ケーブルの定着構造。 - 前記湾曲部鋼板と前記第1のコンクリートブロック又は前記第2のコンクリートブロックとの間に摩擦を低減する滑り層を有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の斜ケーブルの定着構造。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113512946A (zh) * | 2021-04-21 | 2021-10-19 | 招商局重庆交通科研设计院有限公司 | 一种悬索桥主塔偏位误差控制方法 |
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JPH0913321A (ja) * | 1995-06-30 | 1997-01-14 | Ohbayashi Corp | 橋脚柱の補強構造 |
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JP2005330675A (ja) * | 2004-05-19 | 2005-12-02 | Sumitomo Mitsui Construction Co Ltd | 塔状構造物 |
JP2016204996A (ja) * | 2015-04-23 | 2016-12-08 | 三井住友建設株式会社 | 斜ケーブルの定着構造 |
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