JP2002227130A - コンクリート部材の連結構造 - Google Patents
コンクリート部材の連結構造Info
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Abstract
れるコンクリート部材を連結する上で、重ね継手等によ
る継手と同等程度の強度を確保しながら、コンクリート
部材の製作誤差や施工誤差、あるいは設置位置回りの空
間に影響を受けずにコンクリート部材を設置することを
可能にする。 【解決手段】 各コンクリート部材1の対向する面から
上端筋1a位置と下端筋1b位置を結ぶ定着筋3を突出さ
せ、双方のコンクリート部材1,1の定着筋3,3間に
跨って環状のループ筋4を配筋する。
Description
に橋軸直角方向に並列して配置されるコンクリート床
版、または建物の場合の梁間に架設されるコンクリート
床版等のように互いに幅方向に距離を隔て、対向して配
置されるコンクリート部材を連結するコンクリート部材
の連結構造に関するものである。
橋桁や建物の床版をプレキャストのコンクリート床版か
ら構成する場合のように、完成状態で軸方向に一定長さ
を持ち、幅方向に並列して配置されるコンクリート部材
を幅方向に連結する場合、隣接するコンクリート部材の
連続性を確保する必要から、コンクリート部材は互いに
幅方向に距離を隔てて配置され、隣接するコンクリート
部材間の空間に配筋される継手用の鉄筋と充填されるコ
ンクリートによって接合される。
軸方向に複数個のユニット(セグメント)に分割された
形で製作され、床版の架設(構築)位置において軸方向
に互いに連結されながら、幅方向に連結される場合もあ
る。
図13に示すように各コンクリート部材の側面から突出し
ている主筋や定着筋間に継手筋13を跨設し、重ね継手で
連結することにより、もしくは図14に示すように双方の
主筋や定着筋を直接重ねて連結することにより、または
図15に示すように各コンクリート部材の端面から円弧状
に湾曲して突出した定着筋を互いに重ね合わせることに
よりコンクリート部材間で引張力の伝達が行われるよう
に接合される。
による継手長さで引張力の伝達能力が決まるが、図14,
図15のように双方の主筋や定着筋をコンクリート部材の
軸方向に直接重ねる方法では双方の主筋等がコンクリー
ト部材の軸方向に係合する状態にあることと、コンクリ
ート部材の側面に多数の主筋等が軸方向に配列している
ことから、コンクリート部材製作時の主筋等の配筋に誤
差があれば、双方の全主筋等を完全に重ね合わせること
が難しくなる。
クリート部材を軸方向に移動させることができないた
め、先行するコンクリート部材の主筋等と重ねるため
の、後から設置したコンクリート部材の位置調整をする
ことも難しい。
先行するコンクリート部材から距離をおいた位置に落と
し込まれた後、先行するコンクリート部材に接近する向
きに移動させられるか、架設位置に上方から落とし込ま
れることにより設置せざるを得ないため、最終的に先行
するコンクリート部材の脇や上方にコンクリート部材を
設置するための空間が確保されない場合には最後のコン
クリート部材を設置することができなくなる。
る場合と同等程度の強度を確保しながら、コンクリート
部材の製作誤差や施工誤差、あるいは設置位置回りの空
間に影響を受けずにコンクリート部材を設置することが
可能なコンクリート部材の連結構造を提案するものであ
る。
ト部材の対向する面から上端筋位置と下端筋位置を結ぶ
定着筋を突出させ、双方のコンクリート部材の定着筋間
に跨って環状のループ筋を配筋することにより、重ね継
手による場合と同等程度の強度を確保しながら、コンク
リート部材の製作誤差や施工誤差、あるいは設置位置周
辺の空間の大きさに関係なく、最後のコンクリート部材
まで設置することを可能にする。
配筋とコンクリート部材間へのコンクリート、モルタル
等の充填材の充填によって接合される。ループ筋は連結
されるべき双方のコンクリート部材の定着筋間に跨り、
コンクリート部材の軸に直交する断面上、定着筋に交わ
るように配筋され、コンクリート部材間に充填される充
填材との付着力によって定着筋との間でコンクリート部
材の幅方向の引張力を伝達する。
ープ筋は必ずしも定着筋に重なって配置される必要はな
く、コンクリート部材への定着筋の配筋上の製作誤差や
コンクリート部材設置時の施工誤差が許容され、製作誤
差や施工誤差に関係なく、双方のコンクリート部材の定
着筋をループ筋によって連結することが可能になる。ル
ープ筋は定着筋に直接重なって配筋されることもある。
ート部材の定着筋間で引張力の伝達が行われることで、
双方の定着筋が互いに重なる必要もなく、またループ筋
が定着筋に直接重なる必要がないため、ループ筋の配筋
の前後を問わずにコンクリート部材を高さ方向と幅方
向、及び軸方向のいずれの方向にも自由に移動させるこ
とができる。
調整や施工誤差が生じたときの位置調整の他、先行する
コンクリート部材の脇や上方にコンクリート部材を設置
するための空間が確保されない場合にも軸方向への移動
によって最後のコンクリート部材を設置することが可能
になる。
に包囲された領域に、コンクリート部材の軸方向等、双
方に交差する方向に補強筋を配筋した場合には、ループ
筋が負担する引張力を、ループ筋と補強筋を介して定着
筋とループ筋に包囲された領域の充填材に圧縮力として
作用させることができるため、定着筋とループ筋に包囲
された領域におけるひび割れ発生防止効果が向上する。
またループ筋が負担する引張力に対してループ筋に係合
する補強筋が抵抗するため、ループ筋自身の抵抗力が向
上する。
を用いてコンクリート部材1,1を連結した接合部2に
おける接合部2中央の変位と荷重の関係を、図3に示す
継手筋13を用いた重ね継手で連結した場合と対比して示
す。
ット(セグメント)10から構成されるコンクリート部材
1を用いた実際の橋桁での連結床版の曲げ挙動を把握す
る目的から、2本のコンクリート部材1,1を幅方向に
連結した形の試験体に、実寸に近い形状として2500mmの
曲げスパン長、 250mmの厚さの寸法を与え、版としての
挙動が卓越しないよう、幅(奥行き)をスパン長の1/
3以下として 500mmに設定している。
重が加わるよう、接合部の全面を覆う載荷板の上から引
張破壊が生ずるまで集中荷重を加えることにより行っ
た。図5には重ね継手で連結した試験体11に用いる継手
筋13と、本発明の試験体12で用いるループ筋4としてそ
れぞれ普通鉄筋を用いた場合と、表面にエポキシ樹脂を
塗装した鉄筋を用いた場合の各2種類の試験体(11N,
11E、12N,12E)の結果を示している。
鉄筋を用いた試験体とエポキシ樹脂を塗装した鉄筋を用
いた試験体の結果を、12Nと12Eはそれぞれループ筋4
として普通鉄筋を用いた試験体とエポキシ樹脂を塗装し
た鉄筋を用いた試験体の結果を示す。
12N,12E)の初期弾性域での挙動に違いはないが、初
期弾性限界点以降の挙動からは重ね継手による場合(11
N,11E)よりループ筋4による場合(12N,12E)の
方が高い変形能力を発揮することが窺える。これはルー
プ筋4による場合、各コンクリート部材1に埋設される
定着筋3,3が直接重ねられることなく、ループ筋4を
介して連結されることで、引張力を負担する定着筋3,
3の連続性が低下するためと考えられる。
(σt =3.36N/mm2 )からひび割れ発生限界応力度の発
生荷重Pを計算するとP=30.5kNとなるが、この値は表
1に示すように図5に示す各試験体の曲線から得られた
各試験体のひび割れ発生限界応力発生荷重とほとんど一
致する。
材1,1を連結したコンクリート床版のひび割れ発生限
界応力度として、設計上のひび割れ発生限界応力度の制
限値σt を用いてよいことが確認される。
に示す。この表2によれば、終局曲げ耐力に関しては重
ね継手による場合(11N,11E)よりループ筋4を用い
た場合(12N,12E)の方が相対的に耐力が低下する傾
向を示しているが、ループ筋4はコンクリート部材1に
埋設された定着筋3と重ね合わせられていないことで、
ループ筋4を用いて定着筋3,3を連結する場合の方が
変形し易く、コンクリートの圧縮歪みが早期に卓越する
ためであると考えられる。但し、ループ筋4を用いた場
合でも設計上の耐力は十分に超えていることが分かる。
歪みの計測結果を示す。重ね継手の場合は継手筋13の歪
みを、ループ筋4を用いた場合はループ筋4の歪みを示
す。図6からは、ループ筋4を用いた場合にはひび割れ
発生後の終局状態ではループ筋4が定着筋3と共に両者
に囲まれた充填材5であるコンクリートを拘束すること
で、同時に引張力に対する抵抗力を発揮し、接合部2の
靱性を向上させることが分かる。
ート部材1,1の対向する面から突出する定着筋3,3
とループ筋4の関係を示す。
示すように完成状態で軸方向に一定長さを持ち、幅方向
に間隔を隔て、並列して配置される。図7は橋桁の床版
の例を示すが、コンクリート部材1はこの他、建物の床
版等、軸方向両端部分において橋脚や橋台、梁その他の
支点に支持され、幅方向に互いに連結されることにより
構成されるコンクリート床版全般に使用され、コンクリ
ート部材1の断面形状は一切問われない。
ンクリートで製作されるが、コンクリート部材1,1間
の接合部2に打設、もしくは充填されるコンクリート等
の充填材5の打設や充填前に先行してコンクリート部材
1のコンクリートが打設、もしくは充填され、接合部2
と分離打設されるような場合には現場打ちコンクリート
で製作されることもある。またコンクリート部材1には
その架設区間長や用途等に応じ、軸方向、または軸方向
と幅方向にプレストレスが導入される場合もある。
離)が大きい場合等には図10−(a)に示すように軸方向
に複数個のユニット(セグメント)10に分割された形で
製作され、床版の架設(構築)位置において軸方向に互
いに連結されながら、幅方向にも連結される場合があ
る。この場合、複数個のユニット10の軸方向の一体性は
コンクリート部材1の軸方向に架設され、支点上に位置
するユニット10に定着されるPC鋼材9等によって確保
される。図10−(a) 中、△が支点を示す。
等が定着されるユニット10を示すが、支点上のユニット
10の上下の床版10a,10b間にはPC鋼材9等を偏向さ
せて配置し、その端部を定着させるための横桁10cが形
成される。図10−(b) は(a)のx−x線の断面を示す。
図11は各ユニット10における配筋状態と、幅方向に隣接
するユニット10,10間の接合部2を示す。
る面から、上端筋1a位置と下端筋1b位置を結ぶように突
出し、ループ筋4は双方のコンクリート部材1,1の定
着筋3,3間に跨って配筋される。
側面は接合部2のせん断破壊に対する安全性を確保する
ために、下端から上端へかけて対向するコンクリート部
材1の側面との距離が拡大する傾斜が付けられる。
リート部材1内に配筋される上端筋1a及び下端筋1bとは
別に配筋され、コンクリート部材1中に定着されてその
側面から突出する他、上端筋1aと下端筋1bが連続して配
筋される場合の一部としてコンクリート部材1の側面か
ら突出する。
は湾曲した形で、継ぎ目のない状態で、または上下に分
離している場合は引張力に対して湾曲した形を維持でき
る程度に部分的に重複した状態で突出する。突出する部
分の形状は円弧状、トラック形状、楕円形状等となる。
3,3が互いに重複しない程度に、定着筋3,3の先端
間に距離が保たれるように配置され、図2−(b) に示す
ように平面上は必ずしも両定着筋3,3が同一線上に位
置している必要はないが、ループ筋4を両定着筋3,3
に重ねて配筋する場合は両定着筋3,3が同一線上に配
置される。
には図2−(a) に示すように縦断面上、双方の定着筋
3,3の突出する部分と交わる程度の長さを持ち、定着
筋3に重なる両側の湾曲部分とその湾曲部分をつなぐ部
分から円弧状、トラック形状、楕円形状等、実質的に環
状に閉じた形をする。
面間の接合部2に充填されるコンクリート等の充填材5
を通じて定着筋3から伝達される引張力に対して形状を
維持できればよいため、1本の鉄筋を環状に折り曲げ、
突合せ部分を溶接して完全に閉じた形に形成される他、
1本の鉄筋を折り曲げ、両端部分を重複させる等により
実質的に閉じた形と同等の機能を発揮する形に形成され
る場合もある。
されることで、充填材5との付着力によって定着筋3と
の間で引張力を伝達することから、必ずしも定着筋3に
重なって配置される必要はないため、図2−(b) に示す
ようにコンクリート部材1の軸方向にクリアランスを確
保した状態で、例えば軸方向に配列する定着筋3,3の
間に配筋される他、双方の定着筋3,3に重なるように
配筋される。
に包囲された領域に、双方に交差する方向としてコンク
リート部材1の軸方向に補強筋6を配筋し、接合部2の
耐力と靱性を高めた場合を示す。接合部2にはまた、軸
方向に上端筋7と下端筋8が配筋され、更に必要により
図9に示すようにPC鋼材9が配置される。
端筋位置と下端筋位置を結ぶ定着筋を突出させ、双方の
コンクリート部材の定着筋間に跨って環状のループ筋を
配筋することで、コンクリート部材間に充填される充填
材との付着力によって定着筋との間でコンクリート部材
の幅方向の引張力を伝達させるため、ループ筋を定着筋
に重ねて配置する必要がなく、製作誤差や施工誤差に関
係なく、双方のコンクリート部材の定着筋をループ筋に
よって連結することが可能になる。
で引張力の伝達が行われることで、双方の定着筋が互い
に重なる必要もなく、ループ筋が定着筋に重なる必要も
ないため、ループ筋の配筋の前後を問わずにコンクリー
ト部材を高さ方向と幅方向、及び軸方向のいずれの方向
にも自由に移動させることができ、製作誤差を吸収する
ための位置調整や施工誤差が生じたときの位置調整の
他、先行するコンクリート部材の脇や上方にコンクリー
ト部材を設置するための空間が確保されない場合にも最
後のコンクリート部材を設置することが可能になる。
点以降には重ね継手による場合よりループ筋による場合
の方が高い変形能力を発揮する上、ループ筋による場合
は重ね継手で連結した場合と同等程度のひび割れ発生限
界応力度の発生荷重と終局曲げ耐力を発揮すると言え
る。
た領域に、双方に交差する方向に補強筋を配筋すること
で、ループ筋が負担する引張力を、ループ筋と補強筋を
介して定着筋とループ筋に包囲された領域の充填材に圧
縮力として作用させることができるため、定着筋とルー
プ筋に包囲された領域におけるひび割れ発生防止効果が
向上する。またループ筋が負担する引張力に対して補強
筋が抵抗するため、ループ筋自身の抵抗力が向上する。
とループ筋の関係を示した斜視図である。
態を示した立面図、(b) は(a)の平面図である。
態を示した立面図である。
(b) は(a) の平面図である。
と荷重の関係を示したグラフである。
の歪みと荷重の関係を示したグラフである。
の例を示した斜視図である。
である。
ト部材の軸方向にPC鋼材を配置した様子を示した立面
図である。
から構成される場合の架設状態を示した立面図、(b) は
(a) のx−x線断面図である。
る。
従来構造を示した立面図、(b) は(a) の平面図である。
他の従来構造を示した立面図、(b) は(a) の平面図であ
る。
示した立面図、(b) は(a) の平面図である。
接互いに連結した従来構造を示した立面図、(b) は(a)
の平面図である。
筋、2……接合部、3……定着筋、4……ループ筋、5
……充填材、6……補強筋、7……上端筋、8……下端
筋、9……PC鋼材、10……ユニット、10a……上床
版、10b……下床版、10c……横桁、13……継手筋。
Claims (3)
- 【請求項1】 互いに距離を隔てて対向するコンクリー
ト部材の連結構造であり、各コンクリート部材の対向す
る面からは上端筋位置と下端筋位置を結ぶ定着筋が突出
し、双方のコンクリート部材の定着筋間に跨って環状の
ループ筋が配筋され、コンクリート部材間に充填材が充
填されているコンクリート部材の連結構造。 - 【請求項2】 定着筋とループ筋に包囲される領域に、
双方に交差する方向に補強筋が配筋されている請求項1
記載のコンクリート部材の連結構造。 - 【請求項3】 コンクリート部材は軸方向に複数個のユ
ニットに分割された形で製作され、ユニットはコンクリ
ート部材の設置位置において軸方向に互いに連結される
請求項1、もしくは請求項2記載のコンクリート部材の
連結構造。
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