JP4651509B2 - 柱状構造物 - Google Patents
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Description
この構造物は、複数の鋼管を近接した位置に立設し、これらの鋼管を一体に結合するための拘束部材を周囲に配置する。そして、その外側にプレキャストコンクリートからなる外型枠を複数の鋼管を囲むように配置し、この外型枠と鋼管との間にコンクリートを打設して、外型枠、鋼管及び拘束部材を一体に結合した構造物とするものである。この構造物では、鋼管が内型枠として機能するとともに、プレキャストコンクリートからなる外型枠は、そのまま構造物の一部となるので型枠を取りはずす必要がなく、施工を効率化することができる。また、鉛直方向に連続する鋼管を含んでいるので、断面を小さくして十分な耐荷力を有するとともに、靱性の高い構造物とすることができる。
外型枠として用いるプレキャストコンクリートは、施工の効率化を図るために、軽量で一つのパネルの面積が大きいものとする必要がある。しかし、薄くて大きいコンクリート部材は、工場等で製作するとしても製作は難しく、輸送等の取り扱いも慎重に行う必要がある。また、これらのプレキャストコンクリートからなるパネルを施工現場で所定の位置に支持し、打設するコンクリートの圧力に耐えられるように支持しなければならない。
このため、施工を十分に効率化することができない。
一方、鋼筒状体を形成する鋼枠部材に密着するように形成されているプレキャストコンクリートによってこの柱状構造物の外周面が形成されるので、型枠工事を現場で行うことなく、又は最小限にとどめて、鋼とコンクリートとの複合構造を効率よく形成することができる。
図1は、山間部に架設された橋梁を示す概略側面図であり、桁を支持する橋脚が本願発明の一実施形態である柱状構造物となっている。
この橋梁は、山間部の深い谷に架設され、橋脚1が高くなっている。この橋脚は支持地盤上に形成されたコンクリートのフーチング2上に立設され、上部はコンクリートからなる箱形断面の桁3と一体に結合されており、ラーメン構造としてこの桁を支持するものとなっている。
この橋脚1は、鉛直方向に軸線を有する複数の鋼筒状体を含むものとなっており、複数の鋼筒状体11のそれぞれは周囲をコンクリートによって被覆され、このコンクリート部12によって上記複数の鋼筒状体11が一体に結合された柱状構造物を構成している。そして、鋼筒状体11の内側はそれぞれ中空部となっており、この空間内に鉛直方向の緊張材13が配置されている。
一方、上記プレキャストコンクリート12aが配列された部分の内側で、鋼枠部材の間は、上記セグメントが配列された後に現場でコンクリート12bが打設されている。
なお、上記スタッドジベルに代えて、フープ状の棒鋼、鋼プレート等、鋼枠部材21から突出して、この鋼枠部材21とコンクリートとを一体に結合することができるものであれば、他の様々な形態のものを用いることができる。
また、一部の緊張材は、下端部がフーチング2に埋め込んで定着されており、上端は一段目より上部のセグメントに定着され、引張力を導入することによって最下段のセグメントS1とフーチング2との間にも所定の圧縮力が導入されている。
フーチング2が形成された上に、工場等で形成された図4に示す複数のセグメントSを配列し、プレキャストコンクリート12aを橋脚の周面に沿って水平方向に連結する。このとき、セグメントSは、高さが所定の寸法に分割され、水平方向にも複数に分割されているので、それぞれのセグメントSの重量を小さく抑えることができ、大型の揚重設備を設けなくても容易にセグメントSを配置することができる。そして、図8に示すように、同様に複数段のセグメントSを積み上げ、それぞれのプレキャストコンクリート12aを水平方向に連結する。また、これとともに上下に接するセグメント間は連結ボルト22によって結合し、プレキャストコンクリート12aの接合面には膨張性グラウト材17を充填する。
その後、鋼枠部材21の間に、これらの外側面と密接し、植設されたスタッドジベル21aを埋め込むようにコンクリートを打設する。これにより、鉛直方向に鋼枠部材21が連続して形成された複数の鋼筒状体21が、プレキャストコンクリート12aともに一体に結合される。このとき、現場でコンクリートを打設する範囲は、プレキャストコンクリート12a及び鋼枠部材21によって囲まれた範囲であり、型枠は不要となっている。したがって、型枠の組み立て、脱型を行う作業がなく、効率の良い作業が可能となる。
また、終局的な破壊が抑制された構造物は、変形がセグメントSの接合部、つまり連結ボルト22の塑性変形によって生じており、連結ボルト22の交換によって、容易に初期の状態に復帰させることができる。
11:鋼筒状体、 12:コンクリート部、 12a:プレキャストコンクリート、 12b:現場打ちのコンクリート、 13:緊張材、 14:鉄筋、 15:鉛直方向の鉄筋、 16:シール部材、 17:膨張性グラウト材、
21:鋼枠部材、 21a:スタッドジベル、 21b:鋼ブラケット、 21c:緊張材用の鋼ブラケット、 22:連結ボルト、
31:連結部材(鋼プレート)、 32:小ボルト、
41:中空部、 42:型枠、 51:橋脚
Claims (6)
- 近接して鉛直に立ち上げられた複数の鋼筒状体と、
これらの鋼筒状体の外側面に密着するように形成されたコンクリート部と、を有する柱状構造物であって、
高さ方向が所定の寸法となるように形成された鋼枠部材と、該鋼枠部材の側面の周方向における一部に密着して形成されたプレキャストコンクリートと、からなるセグメントを上方に積み重ねるとともに水平方向に複数を配列して形成され、
前記鋼筒状体は、前記鋼枠部材を積み重ねて形成されたものであり、
複数の前記セグメントを水平方向に配列することによって、複数の前記プレキャストコンクリートは前記柱状構造物の外周面を形成するように、隣り合う該プレキャストコンクリートが接触又は近接して平面形状がほぼ閉じた形状に配列され、複数の前記鋼枠部材を閉じた形状の内側に囲むものであり、
ほぼ閉じた形状に配列された前記プレキャストコンクリートで囲まれた内側であって、各セグメントが備える前記鋼枠部材の外側に、各セグメントのプレキャストコンクリートと鋼枠部材との双方に密着するように現場でコンクリートが打設されて、各セグメントが一体に結合されていることを特徴とする柱状構造物。 - 前記プレキャストコンクリートに埋め込まれ、一部が該プレキャストコンクリートから突出している鉄筋を互いに重ね合わせ、これらの鉄筋を現場で打設するコンクリートに埋め込むことによって、前記プレキャストコンクリートが互いに結合されていることを特徴とする請求項1に記載の柱状構造物。
- 前記鋼枠部材の外側面には突出部材が固着されており、
該突出部材は、前記現場で打設されたコンクリートに埋め込まれ、一体となっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の柱状構造物。 - 前記鋼筒状体の内側には、鉛直方向に緊張材が配置され、引張力が導入された状態で異なるセグメントに両端部が定着されており、
該引張力によって、上下に積み上げられたセグメント間の水平な接合面に圧縮応力が導入されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の柱状構造物。 - 上下に接触するセグメントは、鋼枠部材の内側に着脱が可能に取り付けられた連結部材によって互いに連結され、
該連結部材は、セグメント間の接触面が荷重の作用によって離隔した後に、塑性変形を生じるものであることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の柱状構造物。 - 前記連結部材は、軟鋼、低降伏点鋼、銅、アルミニウム、鉛及びこれらを含む合金の少なくとも一つの材料で形成された部分を、少なくとも一部に含むことを特徴とする請求項5に記載の柱状構造物。
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