JP2020105575A - 黒色亜鉛末及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 防食性能と黒色度とをともに充分に発揮することができる黒色亜鉛末を提供する。【解決手段】 分光色差計で測定したCIELAB表色系でのL*値が40以下であり、金属亜鉛の含有割合が黒色亜鉛末の総量100質量%に対して70質量%以下であることを特徴とする黒色亜鉛末。【選択図】なし

Description

本発明は、黒色亜鉛末及びその製造方法に関する。より詳しくは、工業用鋼製部品や、建築物の部材の防食塗料等に有用な黒色亜鉛末及びその製造方法に関する。
亜鉛末は、自動車部品や電気部品等の工業用鋼製部品や、建築物等の部材を腐食から守るための防食下塗り塗料等に好適に用いられている。亜鉛末が配合された樹脂層は、電気化学的特性により亜鉛が犠牲になることによって、鋼材を錆から守る防食層の働きをする。
上記工業用鋼製部品や建築物の部材は、ギラギラしたメッキ色ではなく自然融和色の暗い色として黒い色調を求められる場合がある。このような部材等の塗装では、通常、下塗塗料として亜鉛末塗料を塗装し、乾燥させた後に黒色塗料等の着色上塗塗料を塗装し、乾燥させる方法が用いられているが、防食塗料の黒色度を高めて、一度の塗装で防食性と黒色度を発揮する塗料が求められていた。このような課題に対して、従来、防食塗料の黒色度を高める技術が種々検討されている。例えば、特許文献1には、樹脂を含む塗膜形成成分100重量部に対して、亜鉛末50〜86重量部及び導電性カーボンブラック1〜10重量部を配合してなる黒色亜鉛末塗料組成物が開示されている。特許文献2には、亜鉛蒸気の急冷により得た酸素含有量1.0wt%以下の亜鉛粉体を、温度80〜400℃、圧力1〜20気圧の酸素含有雰囲気内に一定時間置いて亜鉛粉末表面を酸化させることによって酸素含有量2.5〜18.0wt%の黒色顔料用酸化亜鉛粉末を得る方法が開示されている。
特開平6−49393号公報 特開平2−22125号公報
上述のとおり亜鉛末塗料の黒色度を高める方法が種々開発されている。しかしながら、例えば、亜鉛末にカーボンブラック等の顔料を混合する方法は、塗膜中の亜鉛の含有量が低下し、防食性能が低下するという問題があった。また、亜鉛末自体の色調を黒くする従来の方法では、黒色度の点で充分ではなかった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、防食性能と黒色度とをともに充分に発揮することができる黒色亜鉛末を提供することを目的とする。
本発明者らは、黒色亜鉛末について種々検討したところ、分岐鎖を有する脂肪酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種と亜鉛末とを含むスラリーを得る工程と、該スラリー中の亜鉛末をメディア処理により微細化及び黒色化する工程とを行うことにより、分光色差計で測定したCIELAB表色系でのL*値が40以下であり、金属亜鉛の含有割合が黒色亜鉛末の総量100質量%に対して70質量%以下である黒色亜鉛末が得られ、このような亜鉛末が、防食性能と黒色度とをともに充分に発揮することを見出し、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、分光色差計で測定したCIELAB表色系でのL*値が40以下であり、金属亜鉛の含有割合が黒色亜鉛末の総量100質量%に対して70質量%以下である黒色亜鉛末である。
本発明はまた、金属亜鉛の一部が酸化された黒色亜鉛末であって、金属亜鉛の含有割合が黒色亜鉛末の総量100質量%に対して70質量%以下であり、分光色差計で測定したCIELAB表色系でのL*値が40以下である黒色亜鉛末でもある。
上記黒色亜鉛末は、メジアン径(D50)が6.0μm以下であることが好ましい。
本発明はまた、分岐鎖を有する脂肪酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種と亜鉛末とを含むスラリーを得る工程Aと、該スラリー中の亜鉛末をメディア処理により微細化及び黒色化する工程Bとを含む黒色亜鉛末の製造方法でもある。
上記脂肪酸及びその塩は、炭素原子数が8〜24であることが好ましい。
上記脂肪酸及びその塩の使用量は、亜鉛末100質量%に対して0.01 〜5.0質量%であることが好ましい。
上記工程Bは、得られる亜鉛末のメジアン径(D50)が最大となるメディア処理時間を100%としたときの、200%を超える時間でメディア処理を行うことが好ましい。
本発明は更に、上記黒色亜鉛末とバインダーとを含む塗料でもある。
上記黒色亜鉛末の含有量は、塗料中の固形分100質量%に対して5〜95質量%であることが好ましい。
上記塗料は、防食用途に用いられることが好ましい。
本発明の黒色亜鉛末は、上述の構成よりなり、防食性能と黒色度とをともに充分に発揮することができるため、工業用鋼製部品や車用部品、建築物の部材の防食塗料等に好適に用いることができる。
実施例1の黒色亜鉛末についてのSEM写真(倍率:2000倍)である。 実施例2の黒色亜鉛末についてのSEM写真(倍率:2000倍)である。 実施例3の黒色亜鉛末についてのSEM写真(倍率:2000倍)である。 実施例4の黒色亜鉛末についてのSEM写真(倍率:2000倍)である。 実施例5の黒色亜鉛末についてのSEM写真(倍率:2000倍)である。 実施例6の黒色亜鉛末についてのSEM写真(倍率:2000倍)である。 比較例1の亜鉛末についてのSEM写真(倍率:2000倍)である。 比較例2のカーボンブラックについてのSEM写真(倍率:2000倍)である。 比較例3の亜鉛末についてのSEM写真(倍率:2000倍)である。
以下に本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下に記載される本発明の個々の好ましい形態を2又は3以上組み合わせた形態も、本発明の好ましい形態に該当する。
<黒色亜鉛末>
本発明の黒色亜鉛末は、金属亜鉛の含有割合が黒色亜鉛末の総量100質量%に対して70質量%以下である。これにより亜鉛末の黒色度を向上させることができる。また、金属亜鉛の含有割合は、5質量%以上であることが好ましい。これにより、黒色亜鉛末が防食性能により優れたものとなる。金属亜鉛の含有割合として好ましくは10〜65質量%であり、より好ましくは15〜60質量%であり、更に好ましくは55質量%以下である。
本発明の黒色亜鉛末は、分光色差計で測定したCIELAB表色系でのL*値が40以下である。CIELAB表色系でのL*値が大きいほど試料の色が白く、CIELAB表色系でのL*値が小さいほど試料の色が黒いことを意味する。CIELAB表色系でのL*値として好ましくは35以下であり、より好ましくは32以下であり、更に好ましくは30以下である。CIELAB表色系でのL*値が32以下であれば、カーボンブラックと同等以上の黒色度を発揮することになる。
本発明は、金属亜鉛の一部が酸化された黒色亜鉛末でもあり、上記黒色亜鉛末は、酸化亜鉛を含むものである。黒色亜鉛末中の酸化亜鉛の含有割合としては、特に制限されないが、黒色亜鉛末の総量100質量%に対して30〜95質量%であることが好ましい。これにより黒色亜鉛末のCIELAB表色系でのL*値がより好ましい範囲となる。酸化亜鉛の含有割合としてより好ましくは40〜85質量%である。
本発明の黒色亜鉛末の粒子径は特に制限されないが、メジアン径(D50)が6.0μm以下であることが好ましい。これにより亜鉛末の黒色度や塗膜作成時における塗膜の下地に対する隠蔽力をより向上させることができる。メジアン径(D50)としてより好ましくは5.0μm以下であり、更に好ましくは4.0μm以下である。黒色亜鉛末のメジアン径(D50)は、通常0.1μm以上であることが好ましい。
黒色亜鉛末のメジアン径(D50)は、実施例に記載の方法により測定することができる。
また、本発明の黒色亜鉛末は、後述の分岐鎖を有する脂肪酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種(以下、分岐鎖を有する脂肪酸(塩)ともいう。)を含んでいてもよい。本発明の黒色亜鉛末の製造方法は特に制限されないが、後述する製造方法により製造する場合には、得られた黒色亜鉛末は、分岐鎖を有する脂肪酸(塩)を含むものとなる。
上記黒色亜鉛末が分岐鎖を有する脂肪酸(塩)を含む場合、その含有量としては、特に制限されないが、亜鉛末100質量%に対して0.01〜5.0質量%であることが好ましい。より好ましくは0.05〜3.5質量%であり、更に好ましくは0.1〜2.8質量%であり、特に好ましくは0.2〜2.3質量%である。
本発明の黒色亜鉛末は、金属亜鉛及び酸化亜鉛等の亜鉛化合物を含むものであるが、金属亜鉛及び亜鉛化合物並びに上記分岐鎖を有する脂肪酸(塩)以外のその他の成分を含んでいてもよい。上記その他の成分としては、特に制限されないが、例えば、カーボンブラック等の顔料;後述の分岐鎖を有する脂肪酸(塩)以外のその他の滑剤等が挙げられる。
その他の成分の合計の含有量としては、全亜鉛量(黒色亜鉛末中の金属亜鉛と亜鉛化合物由来の亜鉛の合計)100質量%に対して、0〜5質量%であることが好ましい。より好ましくは0〜1質量%であり、更に好ましくは0〜0.5質量%であり、最も好ましくは0質量%である。
上記その他の成分の中でも、カーボンブラック等の顔料の含有量は、全亜鉛量100質量%に対して、0〜5質量%であることが好ましい。より好ましくは0〜1質量%であり、更に好ましくは0〜0.5質量%であり、最も好ましくは0質量%である。
<黒色亜鉛末の製造方法>
本発明は、分岐鎖を有する脂肪酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種と亜鉛末とを含むスラリーを得る工程Aと、該スラリー中の亜鉛末をメディア処理により微細化及び黒色化する工程Bとを含む黒色亜鉛末の製造方法でもある。
1.工程A
工程Aは、分岐鎖を有する脂肪酸(塩)と亜鉛末とを含むスラリーを得る工程であり、分岐鎖を有する脂肪酸(塩)を滑剤として用いることにより、該脂肪酸(塩)の分岐鎖が立体障害となって亜鉛末同士が固着することを充分に抑制でき、これにより、工程Bにおいて充分に微細化及び黒色化を行うことができ、その結果、防食性能と黒色度とをともに充分に発揮する黒色亜鉛末が得られると考えられる。
上記分岐鎖を有する脂肪酸は、分岐構造を有する炭化水素基とカルボキシル基とを有するものであればよい。また、その塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;亜鉛、アルミニウム等の塩;等が挙げられる。これらの中でも分岐鎖を有する脂肪酸が好ましい。
分岐鎖を有する脂肪酸(塩)の炭素原子数としては好ましくは8〜24である。これにより、滑剤としての滑り性がより高まり、より効率的に微細化及び黒色化を行うことができる。炭素原子数としてより好ましくは10〜22であり、更に好ましくは12〜20である。
分岐構造を有する炭化水素基としては、分岐構造を有するアルキル基が好ましい。
分岐構造を有するアルキル基の炭素数として好ましくは7〜23であり、より好ましくは9〜21であり、更に好ましくは11〜19である。
上記分岐構造を有するアルキル基として具体的には、イソプロピル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、2−メチルブチル基、イソアミル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、tert−アミル基、1,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、2−エチル−2−メチルプロピル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基、t−オクチル基、イソオクチル基、sec−ノニル基、tert−ノニル基、ネオノニル基、イソデシル基、sec−デシル基、tert−デシル基、ネオデシル基、イソウンデシル基、sec−ウンデシル基、tert−ウンデシル基、ネオウンデシル基、イソドデシル基、sec−ドデシル基、tert−ドデシル基、ネオドデシル基、イソトリデシル基、sec−トリデシル基、tert−トリデシル基、ネオトリデシル基、イソテトラデシル基、sec−テトラデシル基、tert−テトラデシル基、ネオテトラデシル基、イソペンタデシル基、sec−ペンタデシル基、tert−ペンタデシル基、ネオペンタデシル基、イソヘキサデシル基、sec−ヘキサデシル基、tert−ヘキサデシル基、ネオヘキサデシル基、イソヘプタデシル基、sec−ヘプタデシル基、tert−ヘプタデシル基、ネオヘプタデシル基、イソオクタデシル(イソステアリル)基、sec−オクタデシル基、tert−オクタデシル基、ネオオクタデシル基、イソノナデシル基、sec−ノナデシル基、tert−ノナデシル基、ネオノナデシル基、イソイコシル基、sec−イコシル基、tert−イコシル基、ネオイコシル基、イソヘンイコシル基、sec−ヘンイコシル基、tert−ヘンイコシル基、ネオヘンイコシル基、イソドコシル基、sec−ドコシル基、tert−ドコシル基、ネオドコシル基、イソトリコシル基、sec−トリコシル基、tert−トリコシル基、ネオトリコシル基、イソテトラコシル基、sec−テトラコシル基、tert−テトラコシル基、ネオテトラコシル基、イソペンタコシル基、sec−ペンタコシル基、tert−ペンタコシル基、ネオペンタコシル基、イソヘキサコシル基、sec−ヘキサコシル基、tert−ヘキサコシル基、ネオヘキサコシル基、イソヘプタコシル基、sec−ヘプタコシル基、tert−ヘプタコシル基、ネオヘプタコシル基、イソオクタコシル基、sec−オクタコシル基、tert−オクタコシル基、ネオオクタコシル基、n−ノナコシル基、イソノナコシル基、sec−ノナコシル基、tert−ノナコシル基、ネオノナコシル基、n−トリアコンチル基、イソトリアコンチル基、sec−トリアコンチル基、tert−トリアコンチル基等が挙げられる。
分岐鎖を有する脂肪酸(塩)が有する好ましい分岐構造としては、下記式(1);
(式中、R、R、Rは、水素原子、又は、炭素数1〜22のアルキル基を表す。ただし、R、R、Rのうち少なくとも2つは炭素数1〜22のアルキル基である。)で表される構造である。
上記R、R、Rにおけるアルキル基は、直鎖構造であっても分岐構造を有するものであってもよい。
分岐構造を有するアルキル基の具体例としては、上述のアルキル基が挙げられる。
直鎖アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基(アミル基)、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基、n−ヘンイコシル基、n−ドコシル基等が挙げられる。
上記式(1)で表される化合物において、好ましくはR、R、Rのうち少なくとも2つのアルキル基の炭素数として好ましくは1〜18である。より好ましくは2〜16であり、更に好ましくは4〜14であり、一層好ましくは5〜12であり、特に好ましくは6〜10である。
分岐鎖を有する脂肪酸として具体的には、イソ酪酸、イソ吉草酸(イソペンタン酸)、2−エチル酪酸、エチルメチル酢酸、イソカプロン酸(イソヘキサン酸)、イソエナント酸(イソヘプタン酸)、イソカプリル酸(イソオクタン酸)、イソペラルゴン酸(イソノナン酸)、イソカプリン酸(イソデカン酸)、イソウンデカン酸、イソラウリン酸(イソドデカン酸)、イソトリデシル酸(イソトリデカン酸)、イソミリスチン酸(イソテトラデカン酸)、イソペンタデシル酸(イソペンタデカン酸)、イソパルミチン酸(イソヘキサデカン酸)、イソマルガリン酸(イソヘプタデカン酸)、イソステアリン酸(イソオクタデカン酸、2−へプチルウンデカン酸)、イソノナデシル酸(イソノナデカン酸)、イソアラキン酸(イソイコサン酸)、イソドコサン酸、イソヘキサコサン酸、2−エチルヘキサン酸、2−プロピルヘキサン酸、2−ブチルヘキサン酸、2−エチルヘプタン酸、2−プロピルヘプタン酸、2−ブチルヘプタン酸、2−エチルオクタン酸、2−プロピルオクタン酸、2−ブチルオクタン酸、2−ペンチルデカン酸、2−へプチルオクタン酸、2−ヘキシルノナン酸、2−へプチルノナン酸、2−ヘキシルデカン酸、2−ヘキシルドデカン酸、2−オクチルデカン酸、2−ヘキシルトリデカン酸、2−へプチルドデカン酸、2−オクチルウンデカン酸、13−メチルテトラデカン酸、12−メチルテトラデカン酸、15−メチルヘキサデカン酸、14−メチルヘキサデカン酸、10−メチルヘキサデカン酸、18−メチルエイコサン酸、フィタン酸、及びこれらの塩等が挙げられる。
中でも好ましくは、イソエナント酸、イソカプリル酸、イソペラルゴン酸、イソカプリン酸、イソウンデカン酸、イソラウリン酸、イソトリデシル酸、イソミリスチン酸、イソペンタデシル酸、イソパルミチン酸、イソマルガリン酸、イソステアリン酸、イソノナデシル酸、イソアラキン酸、及びこれらの塩であり、より好ましくは、イソラウリン酸、イソトリデシル酸、イソミリスチン酸、イソペンタデシル酸、イソパルミチン酸、イソマルガリン酸、イソステアリン酸、イソノナデシル酸、イソアラキン酸であり、特に好ましくはイソステアリン酸である。
上記分岐鎖を有する脂肪酸(塩)の使用量は特に制限されないが、亜鉛末100質量%に対して0.01〜5.0質量%であることが好ましい。分岐鎖を有する脂肪酸(塩)を用いることにより、直鎖の脂肪酸を用いる場合よりも少ない使用量で滑剤としての効果を発揮させることができる。より好ましくは0.05〜3.5質量%であり、更に好ましくは0.1〜2.8質量%であり、特に好ましくは0.2〜2.3質量%である。
上記亜鉛末は、特に制限されないが、平均粒子径が0.1〜80μmであることが好ましい。より好ましくは0.5〜60μmであり、更に好ましくは1〜50μmである。
上記平均粒子径は、実施例に記載の粒度分布測定装置により測定することができる。
上記工程Aでは、溶媒を用いてスラリーを調製することが好ましい。
溶媒としては通常使用される溶媒を用いることができ、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、ミネラルターペン、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ等の炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、2−メチル−2−プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、メトキシブタノール、メトキシメチルブタノール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール等のアルコール類、およびこれらのアルコール類の酢酸エステル、プロピオン酸エステル等のエステル類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類、グリセリン等の3価アルコール類、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールヘキシルエーテル等のグリコールエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類等が挙げられる。好ましくは炭化水素類であり、より好ましくはキシレンである。
上記溶媒の使用量としては、亜鉛末100質量%に対して10〜600質量%であることが好ましい。より好ましくは50〜400質量%であり、更に好ましくは100〜250質量%である。
スラリー中で亜鉛末同士が互いに固着することを防止する観点から、上記工程Aにおける水の使用量は、亜鉛末100質量%に対して5質量%以下であることが好ましい。より好ましくは1質量%以下であり、最も好ましくは0質量%である。
上記工程Aで得られるスラリーは、分岐鎖を有する脂肪酸(塩)、亜鉛末及び溶媒以外のその他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、例えば、分岐鎖を有する脂肪酸(塩)以外のその他の滑剤(粉砕助剤)、分散剤等が挙げられる。
その他の成分の含有量としては、亜鉛末100質量%に対して0〜1.0質量%であることが好ましい。より好ましくは0.05〜0.5質量%であり、更に好ましくは0.1〜0.3質量%である。
上記その他の滑剤としては、例えば、固形パラフィン、ポリエチレンワックス、脂肪族アミン、脂肪族アミド、脂肪族エステル、脂肪族アルコール、グラファイト、シリカ粉、タルク、リン酸亜鉛、タルク、マイカ等が挙げられる。
その他の滑剤の含有量としては、亜鉛末100質量%に対して0〜1.0質量%であることが好ましい。より好ましくは0〜0.5質量%であり、更に好ましくは0〜0.3質量%であり、最も好ましくは0質量%である。
2.工程B
工程Bは、工程Aで得られたスラリー中の亜鉛末をメディア処理により微細化及び黒色化する工程である。スラリー中の亜鉛末をメディア処理することにより、亜鉛末が微細化されるとともに、亜鉛末が酸化され、これにより黒色化されることになる。
上記スラリー中の亜鉛末の割合は、スラリー100質量%に対して15〜60質量%であることが好ましい。これにより亜鉛末の微細化及び黒色化をより充分に行うことができる。スラリー中の亜鉛末の割合としてより好ましくは20〜55質量%であり、更に好ましくは30〜50質量%である。
メディア処理方法としては、特に制限されず通常用いられる方法により行うことができる。
例えば、遊星ミル、ビーズミル、振動ミル等を用いることができる。この中でも、ビーズミルを用いる方法が好ましい。
ビーズミルに使用するビーズとしては、ガラスビーズ、アルミナビーズ、ジルコニアビーズ、チタニアビーズ、窒化珪素ビーズ等のいずれのものを用いてもよい。好ましくはジルコニアビーズ、アルミナビーズである。
ビーズミルを用いる場合、使用するビーズの大きさは、直径0.03〜0.5mmのものを用いることが好ましい。
ビーズミルを用いる場合のビーズの使用量は特に制限されないが、亜鉛末の使用量100質量%に対して、10〜1000質量%である。これにより、亜鉛末とビーズとが充分に衝突し、得られる亜鉛末のメジアン径(D50)をより好適な範囲とすることができる。ビーズの使用量としてより好ましくは20〜950質量%であり、更に好ましくは30〜900質量%である。
ビーズミルを用いる場合、回転ディスクを用いることが好ましく、回転ディスクの回転数としては、100〜10000rpmであることが好ましい。より好ましくは200〜6000rpmであり、更に好ましくは250〜4000rpmであり、特に好ましくは300〜3500rpmである。
上記回転ディスクの周速としては、3〜50m/sであることが好ましい。より好ましくは5〜40m/sであり、更に好ましくは7〜30m/sであり、特に好ましくは8〜20m/sである。
上記工程Bにおいて、亜鉛末のメディア処理が進むにつれて、亜鉛末のメジアン径(粒度分布のD50の値)が上昇し、ピークに達し、その後亜鉛末は更に粉砕され、メジアン径(D50)は減少する。
本発明者らは、亜鉛末のメジアン径(D50)が最大となるメディア処理時間を基準として、メディア処理時間を設定することにより、メジアン径(D50)が好適な範囲の黒色亜鉛末を効率的に得られることを見出した。すなわち、上記工程Bにおいて、亜鉛末のメジアン径(D50)が最大となるメディア処理時間を100%としたときの、200%を超える時間でメディア処理を行うことが好ましい。また、2000%以下の時間でメディア処理を行うことが好ましい。より好ましくは210〜1000%の時間であり、更に好ましくは225〜800%の時間であり、一層好ましくは250〜600%の時間であり、より一層好ましくは275〜500%の時間であり、特に好ましくは300〜400%の時間である。
上記黒色亜鉛末のメジアン径(D50)は、実施例に記載の方法により求めることができる。
工程Bを行う温度は、特に制限されないが、10〜150℃の温度で行うことができる。
本発明の黒色亜鉛末の製造方法は、工程A及びB以外のその他の工程を含んでいてもよい。その他の工程としては、工程A及び/又はBにより得られたスラリーに含まれる溶媒等を除去する工程、洗浄・乾燥する工程等が挙げられる。
<黒色亜鉛末の用途>
本発明の黒色亜鉛末は、工業用鋼製部品や車用部品、建築物の部材の防食塗料や、着色顔料等に好適に用いることができる。
本発明の黒色亜鉛末は、上記着色顔料の中でも、カーボンブラック等の黒色顔料の代替として好適に使用することができる。
<塗料>
本発明は更に、本発明の黒色亜鉛末とバインダー(以下、樹脂ともいう。)とを含む塗料でもある。
上記塗料は下塗り用途、防食用途、着色用途等に用いられることが好ましい。
上記塗料は、黒色亜鉛末の含有量が、塗料中の固形分100質量%に対して5〜95質量%であることが好ましい。より好ましくは10〜95質量%であり、更に好ましくは20〜95質量%であり、特に好ましくは30〜95質量%である。
なお、本明細書中における「固形分」とは、溶剤や水などの揮発する成分を除いた常温で固体状又は液体状の残存物、いわゆる不揮発分を意味し、150℃で1時間乾燥させて得られた蒸発残分を測定することにより、固形分を算出することができる。
また、バインダーの含有量は、黒色亜鉛末100質量%に対して固形分として1〜99質量%であることが好ましい。より好ましくは3〜90質量%であり、更に好ましくは5〜80質量%である。
上記バインダー(樹脂)としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム等の珪酸塩;アルカリシリコーン、シリコーン、シリコーンエマルジョン、水溶性シリコーン、アクリル樹脂、アクリル樹脂エマルジョン、エポキシ樹脂エマルジョン、フェノール樹脂エマルジョン、シリコーン樹脂、アルキルシリケート、シランカップリング剤、ポリスチレン樹脂、塩化ゴム、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール変性アルキド樹脂、メラミン樹脂、メラミン・アルキド樹脂、アルキド樹脂、フッ素系樹脂、水性ウレタン樹脂、水性アクリル樹脂、水性アクリル樹脂エマルション、水性メラミン樹脂、水性変性エポキシ樹脂、水性変性エポキシエステル樹脂等が挙げられる。
中でも好ましくはメラミン・アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、水性ウレタン樹脂、水性アクリル樹脂、水性アクリル樹脂エマルション、水性メラミン樹脂、水性変性エポキシ樹脂、水性変性エポキシエステル樹脂が好ましい。より好ましくはメラミン・アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、水性ウレタン樹脂、水性変性エポキシ樹脂であり、更に好ましくはエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、水性ウレタン樹脂、水性変性エポキシ樹脂、メラミン・アルキド樹脂である。
上記塗料は、黒色亜鉛末及びバインダー以外のその他の成分を含んでいてもよい。
塗料中のその他の成分の合計の含有量としては、黒色亜鉛末及び樹脂の合計100質量%に対して、0〜5質量%であることが好ましい。より好ましくは0〜1質量%であり、更に好ましくは0〜0.5質量%である。
上記その他の成分としては、溶媒、顔料、分散剤、湿潤剤、レベリング剤、チキソトロピー性付与剤、増粘剤、タレ防止剤、防かび剤、成膜助剤、安定剤等が挙げられる。
溶媒としては上述の溶媒が挙げられる。
顔料としては、例えばアルミニウム粉末、マグネシウム粉末、ニッケル粉末、コバルト粉末、酸化珪素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、クレー、カオリン、ベントナイト、カーボンブラック、アニリンブラック、グンジョウ、ウオッチングレッド、シアニンブルー、フタロシアニングリーン等が挙げられる。
分散剤としては、例えばオクタデシルアミン酢酸塩、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
上述のとおり、本発明の塗料は、その他の成分として上記顔料を含んでいてもよいが、本発明の黒色亜鉛末は黒色度が高いため、亜鉛末以外に顔料を用いなくても充分な黒色度を発揮する。
上記塗料中の亜鉛末以外の顔料の割合は、塗料100質量%に対して5質量%以下であることが好ましい。より好ましくは1質量%以下であり、更に好ましくは0.5質量%以下であり、最も好ましくは0質量%である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
各種測定は以下のようにして行った。
<粒度分布のメジアン径(D50)>
粒度分布のメジアン径(D50)は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置マイクロトラックMT−3300 EXII(日機装社製)によって測定した。測定時の溶媒としてキシレンを用い、黒色亜鉛末の屈折率としては2.4、溶媒の屈折率としては1.5を用いた。
<金属亜鉛の測定>
試料0.4gを0.1mgの桁まで正確に量り取り、三角フラスコ300mLに移し入れ、塩化鉄(III)・酢酸ナトリウム混液60mLと回転子を加え、蒸留水50mLで三角フラスコのふちを洗い流し、三角フラスコを密閉する。続いて、マグネチックスターラーで攪拌して溶解し、ラインハルト氏液50mLと蒸留水200mLを加える。指示薬オルトフェナントロリン溶液を2滴加え、0.1mol/L過マンガン酸カリウム溶液(容量分析用試薬)で滴定し、液の色がオレンジ色から薄い黄色に変わった点を終点とする。金属亜鉛は、次の式によって算出する。
0.1mol/L過マンガン酸カリウム溶液の滴定量(mL)×ファクター/試料質量(g)× 0.016345 × 100
上記式における0.016345は、0.1mol/L過マンガン酸カリウム溶液1mLに相当する金属亜鉛の質量(g)、を意味する。
なお、測定に使用する各種試薬は、以下の通り調製して使用する。
(塩化鉄(III)・酢酸ナトリウム混液)
酢酸ナトリウム三水和物332gに蒸留水を加えて1Lとする。この酢酸ナトリウム溶液20mLに塩化鉄(III)六水和物16gを加え蒸留水で60mLとする。
(ラインハルト氏液)
硫酸マンガン(II)四水和物(試薬特級)80g、または、硫酸マンガン(II)五水和物(試薬特級)、と蒸留水500mLをビーカーに加える。ビーカーを氷水で冷却しながら、りん酸(濃度:約85%、密度:約1.69g/mL、試薬特級)150mLと硫酸(濃度:約95%、密度:約1.84g/mL、試薬特級)150mLを静かに注ぎ、蒸留水で1Lとする。
(指示薬オルトフェナントロリン溶液)
1,10−フェナントロリン一水和物(o−フェナントロリン一水和物)150mgと硫酸鉄(II)七水和物75mgを蒸留水10mLに溶解する。
<全亜鉛の含有割合(黒色亜鉛末中の金属亜鉛と亜鉛化合物由来の亜鉛の合計の含有割合)の測定>
試料約1gを0.1mgの桁まで正確に量り取りビーカーに移し入れ、蒸留水50mL、塩酸5mL、硝酸1mLを加えて加熱して溶解し、冷却後、蒸留水で全量メスフラスコ250mLに洗い移し、標線まで蒸留水を加える。この溶液から25mLをコニカルビーカーに分取し、緩衝液10mLを加え、アンモニア水(1+1)でpH値を5.5〜5.7に調整し、蒸留水を加えて250mLとし、指示薬としてキシレノールオレンジ溶液(1g/L)約0.5mLを加え、0.05mol/L EDTA溶液で滴定し、液の色が紫から赤を経て黄に変わった点を終点とする。全亜鉛は、下記式(2)によって算出する。
全亜鉛(%)=0.003269×EDTAの滴定量(mL)×ファクター/(試料質量(g)×25mL/250mL)×100 (2)
ここで、上記式(2)における0.003269は、0.05mol/L EDTA溶液1mLに相当する全亜鉛の質量(g)を意味する。
また、上記式(2)におけるファクターは、下記式(3)によって算出する。
ファクター=標定に用いた亜鉛(g)/(0.003269×EDTAの滴定量(mL)) (3)
ここで、上記式(3)における0.003269は、0.05mol/L EDTA溶液1mLに相当する亜鉛の質量(g)を意味する。
更に、上記式(3)における標定とは、下記の操作を意味する。
容量分析用標準物質の亜鉛又はJIS最純亜鉛地金約0.12gを0.1mgの桁まで正確に量り取り、ビーカーに移し入れ、蒸留水約20mL及び塩酸10mLを加えて加熱して溶解する。冷却後、緩衝液10mLを加え、アンモニア水(1+1)でpH値を5.5〜5.7に調整した後、蒸留水を加えて約250mLとする。指示薬としてキシレノールオレンジ溶液(1g/L)約0.5mLを加え、0.05mol/L EDTA溶液で滴定し、液の色が紫から赤を経て黄に変わった点を終点とする。
なお、測定に使用する各種試薬は、以下の通り調製して使用する。
(塩酸)
濃度:約35%、密度:約1.18g/mLの試薬特級。
(硝酸)
濃度:約60%、密度:約1.38g/mLの試薬特級。
(アンモニア水(1+1))
濃度:約25%、密度:約0.91g/mLの試薬特級と蒸留水を1:1の体積比で混合して調製する。
(緩衝液)
酢酸アンモニウム(試薬特級)250gを蒸留水1Lに溶解し、酢酸(試薬特級)を加えてpH値を5に調整する。
(キシレノールオレンジ溶液(1g/L))
キシレノールオレンジ0.1gを蒸留水に溶かして100mLとする。
(0.05mol/L EDTA溶液)
エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬特級)約19gを蒸留水約1Lに溶かして調製する。
<防食(防錆)性能評価>
実施例で得られた黒色亜鉛末、又は、比較例の試料10g、熱硬化性アルキド樹脂J−524−A(固形分濃度50%、DIC社製)1.18g、ブチル化メラミン樹脂J−820(固形分濃度75%、DIC社製)0.40g及びキシレン21.72gをペイントシェイカーで振とうして塗料中の固形分としての亜鉛濃度が92%となる塗料を調製した。続いて、調製した塗料を、ホビー用エアブラシMX2370(アネスト岩田社製)を用いてSPCC−SB鋼板(0.8t×35×150mm)の片面に塗布し、室温で30分間静置乾燥した後、140℃で20分間焼付けして鋼板の上に塗膜を形成させ、カッター刃で塗膜表面から鋼板まで達するクロスカットを入れ、168時間に渡って屋外曝露試験を行った。試験は雨天の日に開始し、試験開始後、時間経過によりクロスカット部から発生する赤錆を目視で観察し、○、△、×の定性評価を行った。○は168時間以内において赤錆の発生なし、△は72時間以内において赤錆の発生はないが、168時間までの間に赤錆が発生、×は72時間以内において赤錆が発生、を意味する。
<SEM観察>
走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製、JSM−6510A)を用いて、加速電圧15kVでSEM観察を行った。
<実施例1>
イソステアリン酸(日産化学工業社製、ファインオキソコール)1.37g(2wt% to Zn)をキシレン136.5gに添加、溶解し、続いて、亜鉛末#3(堺化学工業製)68.4gをリパルプして調製スラリー中の亜鉛濃度が33%となるようなスラリーとし、該スラリーについて、回転ディスクとφ0.3mmジルコニアビーズ567gとを用いて3000rpm(周速8.6m/s)で360分間メディア処理を行なった後、ろ過、乾燥し、黒色亜鉛末を調製した。
なお、上記調製スラリー中の亜鉛濃度は、下記式(4)で算出することができる。
亜鉛濃度(%)=亜鉛(g)/(亜鉛(g)+イソステアリン酸(g)+キシレン(g))×100 (4)
<実施例2〜6>
表1の条件に変更した以外は、実施例1と同じ手順で黒色亜鉛末を調製した。
<比較例1>
イソステアリン酸をステアリン酸に変更し、メディア処理時間を1440分間(24時間)に変更した以外は実施例1と同様にして亜鉛末の調製を行った。
実施例1〜6で調製した黒色亜鉛末及び比較例1で調製した亜鉛末、並びに、比較例2として三菱カーボンブラック(三菱ケミカル社製、MA100、24nm、110m/g)、比較例3として亜鉛末#3BL(堺化学工業社製)について、上記物性評価及び防食性能評価、並びに、SEM観察を行った。上記物性評価及び防食性能評価結果を表1に示した。SEM観察結果を図1〜9に示した。
実施例が示す通り、分岐鎖を有する脂肪酸(塩)と亜鉛末とを含むスラリーをメディア処理することにより、亜鉛末である金属亜鉛の一部が酸化され、分光色差計で測定したCIELAB表色系でのL*値が40以下であり、金属亜鉛の含有割合が黒色亜鉛末の総量100質量%に対して70質量%以下であり、メジアン径(D50)が6.0μm以下である黒色亜鉛末が得られ、このような亜鉛末が、防食性能と黒色度とをともに充分に発揮することができることが明らかとなった。また、実施例2、3、5の比較により、同じビーズミル処理時間の場合、調製スラリー中の亜鉛濃度(%)が低い程、より微細かつ黒色度の高い黒色亜鉛末が得られることが明らかである。また、実施例1、2、あるいは実施例3、4、あるいは実施例5、6の比較により、調製スラリー中の亜鉛濃度(%)が同じ場合、ビーズミル処理時間が長い程、より微細かつ黒色度の高い黒色亜鉛末が得られることが明らかである。一方、分岐鎖を有さない脂肪酸であるステアリン酸を使用した比較例1では、調製スラリー中の亜鉛濃度(%)を実施例1と同じとし、かつ、ビーズミル処理時間を1200%まで延長したにも関わらず、微細化及び黒色化することができなかった。更に、従来より知られる空気酸化により黒色化を図った比較例3の亜鉛末では、CIELAB表色系でのL*値が40以下となるような黒色の亜鉛末を得ることはできなかった。また、比較例2のカーボンブラックは黒色度には優れるが、防食性能が不十分であることが明らかとなった。

Claims (10)

  1. 分光色差計で測定したCIELAB表色系でのL*値が40以下であり、金属亜鉛の含有割合が黒色亜鉛末の総量100質量%に対して70質量%以下であることを特徴とする黒色亜鉛末。
  2. 金属亜鉛の一部が酸化された黒色亜鉛末であって、
    金属亜鉛の含有割合が黒色亜鉛末の総量100質量%に対して70質量%以下であり、分光色差計で測定したCIELAB表色系でのL*値が40以下であることを特徴とする請求項1に記載の黒色亜鉛末。
  3. 前記黒色亜鉛末は、メジアン径(D50)が6.0μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の黒色亜鉛末。
  4. 分岐鎖を有する脂肪酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種と亜鉛末とを含むスラリーを得る工程Aと、該スラリー中の亜鉛末をメディア処理により微細化及び黒色化する工程Bとを含むことを特徴とする黒色亜鉛末の製造方法。
  5. 前記脂肪酸及びその塩は、炭素原子数が8〜24であることを特徴とする請求項4に記載の黒色亜鉛末の製造方法。
  6. 前記脂肪酸及びその塩の使用量が亜鉛末100質量%に対して0.01〜5.0質量%であることを特徴とする請求項4又は5に記載の黒色亜鉛末の製造方法。
  7. 前記工程Bは、得られる亜鉛末のメジアン径(D50)が最大となるメディア処理時間を100%としたときの、200%を超える時間でメディア処理を行うことを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の黒色亜鉛末の製造方法。
  8. 請求項1〜3のいずれかに記載の黒色亜鉛末とバインダーとを含むことを特徴とする塗料。
  9. 前記黒色亜鉛末の含有量が、塗料中の固形分100質量%に対して5〜95質量%であることを特徴とする請求項8に記載の塗料。
  10. 前記塗料は、防食用途に用いられることを特徴とする請求項8又は9に記載の塗料。
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