JP2020095795A - セパレータの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造工程において付着したセパレータ材表面上のカーボンを効率よく除去し、セパレータ材の表面清浄度を向上させるセパレータの製造方法の提供。【解決手段】金属製のセパレータ材の表面にカーボンブラックを塗布し、低酸素分圧下で熱処理する表面処理工程と、該表面処理されたセパレータ材をプレス成形するプレス成形工程と、該プレス成形されたセパレータ材を洗浄し、乾燥するセパレータの製造方法であって、前記洗浄工程が、(a)プレス成形工程により得られたプレス成形されたセパレータ材を洗浄してプレス成形工程による異物を除去する第一の洗浄工程と、(b)該セパレータ材の表面を超音波により洗浄する第二の洗浄工程と、(c)該セパレータ材を純水に浸漬させ水流により洗浄する第三の洗浄工程とを含む。【選択図】図9
Description
本発明は、セパレータの製造方法、特に燃料電池セルに用いられるセパレータの製造方法に関する。
燃料電池は、燃料ガス(水素)と酸化剤ガス(酸素)との反応により起電力を生じる単セルを所定数だけ積層したスタック構造を有する。単セルは、電解質膜の両面にアノード及びカソードの電極層(触媒層及びガス拡散層)を備える膜電極接合体と、当該膜電極接合体の両面にそれぞれ配置されるセパレータを有する。
セパレータは、単セルを電気的に直列接続する機能並びに燃料ガス、酸化剤ガス及び冷却水を互いに遮断する隔壁としての機能を有する。
このようなセパレータについて、様々な研究が行われている。
例えば、特許文献1には、セパレータの洗浄方法として、平板状ワークを超音波洗浄機で洗浄する超音波洗浄方法であって、ワーク上部をフックで吊り下げた状態での洗浄と、ワーク下部をクランプで固定した状態での洗浄との2工程を有する超音波洗浄方法が開示されている。また、特許文献1には、セパレータは表面処理を実施する前に洗浄されることが開示されている。
特許文献2には、金属セパレータを形成する形成工程と、前記金属セパレータを互いに溶接する溶接工程と、前記金属セパレータの表面に処理を施す表面処理工程と、前記金属セパレータを含む部材を積層してモジュールを組み立てるモジュール組立工程と、前記モジュールを積層してスタックを組み立てるスタック組立工程と、前記溶接工程と前記表面処理工程との間のみに設け、前記金属セパレータを洗浄する洗浄工程と、を有する燃料電池の製造方法が開示されている。
さらに、特許文献3には、最表面から深さ10nmの位置での炭素濃度が10原子%以下であるチタン基材に、カーボンブラック分散塗料を塗布する塗布工程と、前記塗布工程後、酸素分圧が0.2〜25Paである低酸素分圧下で500〜800℃にて熱処理する低酸素分圧下熱処理工程とを含む燃料電池用カーボンコートセパレータ材の製造方法であって、前記低酸素分圧下熱処理工程の前に、前記カーボンブラック分散塗料を塗布した基材を、非酸化性雰囲気下で400〜700℃にて熱処理を行う非酸化性熱処理工程を含むことを特徴とする燃料電池用カーボンコートセパレータ材の製造方法が開示されており、このようにして得られた燃料電池用カーボンコートセパレータ材について、特性評価のために、表面に残った余剰のカーボンブラックを、エタノールを浸したベンコントで拭き取り、その後水洗、乾燥することが開示されている。
セパレータには、表面処理に使用されるカーボンに由来する染みが発生することがある。特許文献1及び2では、セパレータ材を表面処理前に洗浄しているために、セパレータの染みの発生は少ない。しかしながら、セパレータ材を表面処理前に洗浄する場合、表面処理及び/又はプレスに由来する不純物がセパレータに残存するままになるため、セパレータとして求められる特性、例えば導電性、接着剤や他物品との接着性などに影響を与える可能性がある。
一方で、特許文献3では、表面処理後のセパレータ材に残存する余剰のカーボンブラックを、エタノールを浸したベンコントで拭き取り、その後水洗、乾燥している。しかしながら、特許文献3でのエタノールによるカーボンブラックの除去は、特性評価のために実施されたものであり、工業的に確立されたものではない。さらに、セパレータ材表面の不純物、特にカーボンを効率よく除去しているわけではないため、ベンコントでカーボンを完全に拭き取ることができなかった場合、洗浄工程において水に浮遊したカーボンが、その後の乾燥工程で濃縮し、セパレータの染みになる可能性がある。
したがって、本発明は、製造工程において付着したセパレータ材表面上のカーボンを効率よく除去し、セパレータ材の表面清浄度を向上することができる、セパレータの製造方法を提供することを課題とする。
図1に、表面処理工程を有するセパレータの製造方法における、表面処理後の工程の一例を示す。
図1に記載の工程では、セパレータ材を表面処理した後、まずプレス油(固形潤滑剤を含む)を除去するために、セパレータ材を、例えば炭酸ナトリウム(Na2CO3)により弱アルカリ性に調整された水で満たされた槽(弱アルカリ槽)に浸漬させ洗浄し、その後弱アルカリ槽により浮遊させたプレス油を洗浄するための純水で満たされたリンス槽に浸漬させ洗浄する。なお、図1では、弱アルカリ槽の後に2つのリンス槽を設置している。続いて、表面のカーボンを除去するために、セパレータ材を、超音波槽に浸漬させ超音波洗浄し、その後、図2に示すような純水シャワーを備えるリンス槽に設置し洗浄して、最後に乾燥させる。
しかしながら、図1に記載の表面処理後のセパレータ材の洗浄工程では、セパレータ材表面上にカーボンが残存し、乾燥後得られるセパレータに染みが発生してしまう場合がある。これは、次のようなメカニズムによると考えられる。
セパレータ材を表面処理した後、セパレータ材表面には、プレス油及びカーボンが付着している。プレス油は、弱アルカリ槽及びリンス槽での洗浄工程後に除去される。一方、カーボンは、リンス槽に続く超音波槽において、図3に示すようにセパレータ材表面に存在する水の中に浮遊させられ、カーボンを含む水は、純水シャワーを備えるリンス槽により、純水に置換され得る。しかしながら、純水シャワーを備えるリンス槽では、カーボンを含む水の純水への置換が十分ではなく、一部のカーボンは、乾燥工程までセパレータ材表面に残存する場合がある。その結果、セパレータ材表面に残存した一部のカーボンは、セパレータ材の乾燥中に表面上において濃縮され、最終的に図4に示すような染みとなる。
そこで、本発明者らは、前記課題を解決するための手段を種々検討した結果、表面処理工程を有するセパレータの製造方法において、セパレータ材の表面処理工程の後に、セパレータ材に対して、プレス成形工程による異物を除去するための第一の洗浄工程と、セパレータ材表面を超音波により洗浄する第二の洗浄工程と、純水に浸漬させ水流により洗浄する第三の洗浄工程と、セパレータ材表面を乾燥する乾燥工程とを実施することによって、セパレータ表面上の染みの発生率を低減させることができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)(i)金属製のセパレータ材の表面にカーボンブラックを塗布し、低酸素分圧下で熱処理する表面処理工程と、(ii)表面処理工程により得られた表面処理されたセパレータ材をプレス成形するプレス成形工程と、(iii)プレス成形工程により得られたプレス成形されたセパレータ材を洗浄する洗浄工程と、(iv)洗浄工程により洗浄されたセパレータ材の表面を乾燥する乾燥工程とを含むセパレータの製造方法であって、
(iii)の洗浄工程が、
(a)プレス成形工程により得られたプレス成形されたセパレータ材を洗浄してプレス成形工程による異物を除去する第一の洗浄工程と、
(b)第一の洗浄工程によりプレス成形工程による異物が除去されたセパレータ材の表面を超音波により洗浄する第二の洗浄工程と、
(c)第二の洗浄工程により超音波洗浄されたセパレータ材を純水に浸漬させ水流により洗浄する第三の洗浄工程と
を含むセパレータの製造方法。
(iii)の洗浄工程が、
(a)プレス成形工程により得られたプレス成形されたセパレータ材を洗浄してプレス成形工程による異物を除去する第一の洗浄工程と、
(b)第一の洗浄工程によりプレス成形工程による異物が除去されたセパレータ材の表面を超音波により洗浄する第二の洗浄工程と、
(c)第二の洗浄工程により超音波洗浄されたセパレータ材を純水に浸漬させ水流により洗浄する第三の洗浄工程と
を含むセパレータの製造方法。
本発明により、製造工程において付着したセパレータ材表面上のカーボンを効率よく除去し、セパレータ材の表面清浄度を向上することができるセパレータの製造方法が提供される。本発明により得られるセパレータでは、表面上の染みの発生率が低減される。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本明細書では、適宜図面を参照して本発明の特徴を説明する。図面では、明確化のために各部の寸法及び形状を誇張しており、実際の寸法及び形状を正確に描写してはいない。それ故、本発明の技術的範囲は、これら図面に表された各部の寸法及び形状に限定されるものではない。なお、本発明のセパレータの製造方法は、下記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者がおこない得る変更、改良などを施した種々の形態にて実施することができる。
本発明は、(i)金属製のセパレータ材の表面にカーボンブラックを塗布し、低酸素分圧下で熱処理する表面処理工程と、(ii)表面処理工程により得られた表面処理されたセパレータ材をプレス成形するプレス成形工程と、(iii)プレス成形工程により得られたプレス成形されたセパレータ材を洗浄する洗浄工程と、(iv)洗浄工程により洗浄されたセパレータ材の表面を乾燥する乾燥工程とを含むセパレータの製造方法に関する。
本発明におけるセパレータは、燃料電池セル(単セル)の構成要素であり、膜電極接合体(電解質膜、該電解質膜の両面に配置されるアノード及びカソードの電極層)の両面に配置される。
以下に(i)〜(iv)の各工程について説明する。
(i)金属製のセパレータ材の表面にカーボンブラックを塗布し、低酸素分圧下で熱処理する表面処理工程
(i)の表面処理工程では、金属製のセパレータ材の表面にカーボンブラックを塗布し、低酸素分圧下で熱処理する。
(i)金属製のセパレータ材の表面にカーボンブラックを塗布し、低酸素分圧下で熱処理する表面処理工程
(i)の表面処理工程では、金属製のセパレータ材の表面にカーボンブラックを塗布し、低酸素分圧下で熱処理する。
セパレータの材料としては、当該技術分野において公知のセパレータの材料を使用することができ、例えば、限定されないが、チタン、SUS(鉄、クロム、ニッケル)などの金属(合金含む)製の板を使用することができる。
カーボンブラックは、金属製のセパレータ材の表面に、例えばグラビアロール、ダイコーターによって、塗布される。余剰なカーボンブラックは後の工程において除去されるため、カーボンブラックを塗布する量は限定されない。
塗布するカーボンブラックは、酸化チタンとカーボンブラックの混合物でもよい。金属製のセパレータ材の表面に、酸化チタンとカーボンブラックの混合層が塗布された場合、セパレータの導電性と耐久性とを両立することができる。
続いて、カーボンブラックを塗布したセパレータ材を、低酸素分圧下で熱処理する。
ここで、熱処理における温度は、通常550℃〜700℃である。
熱処理における酸素分圧は、通常1Pa〜100Paである。
熱処理の時間は、通常5秒〜60秒間である。
なお、(i)の表面処理工程では、熱処理の後に、表面処理されたセパレータ材を、ロール状態で、ブラシ洗浄、超音波洗浄により洗浄、乾燥し、さらに、通常580℃〜650℃の温度、通常3Pa〜30Paの酸素分圧、通常10秒〜30秒で、安定化処理してもよい。また、(i)の表面処理工程は、NC処理とも称される。
(ii)表面処理工程により得られた表面処理されたセパレータ材をプレス成形するプレス成形工程
(ii)のプレス成形工程では、表面処理工程により得られた表面処理されたセパレータ材をプレス成形する。
(ii)のプレス成形工程では、表面処理工程により得られた表面処理されたセパレータ材をプレス成形する。
プレス成形は、表面処理工程により得られた表面処理されたセパレータ材を、当該技術分野において公知の所望の形状を形成する成形用金型(例えば、ガス流路及びガス導入口を形成する成形用金型)を取り付けたプレス成形装置によりプレスすることにより行うことができる。なお、成形時には、プレス油、潤滑剤などを適宜使用することができる。
(iii)プレス成形工程により得られたプレス成形されたセパレータ材を洗浄する洗浄工程
(iii)の洗浄工程では、プレス成形工程により得られたプレス成形されたセパレータ材を洗浄する。
(iii)の洗浄工程では、プレス成形工程により得られたプレス成形されたセパレータ材を洗浄する。
(iii)の洗浄工程は、(a)プレス成形工程により得られたプレス成形されたセパレータ材を洗浄してプレス成形工程による異物を除去する第一の洗浄工程と、(b)第一の洗浄工程によりプレス成形工程による異物が除去されたセパレータ材の表面を超音波により洗浄する第二の洗浄工程と、(c)第二の洗浄工程により超音波洗浄されたセパレータ材を純水に浸漬させ水流により洗浄する第三の洗浄工程とを含む。
(a)プレス成形工程により得られたプレス成形されたセパレータ材を洗浄してプレス成形工程による異物を除去する第一の洗浄工程
(a)の第一の洗浄工程では、プレス成形工程により得られたプレス成形されたセパレータ材を洗浄してプレス成形工程による異物を除去する。
(a)の第一の洗浄工程では、プレス成形工程により得られたプレス成形されたセパレータ材を洗浄してプレス成形工程による異物を除去する。
(a)の第一の洗浄工程では、プレス成形工程による異物、例えばプレス油、固形潤滑剤は、例えばアルカリ洗浄、炭化水素による洗浄により除去することができる。
例えばアルカリ洗浄である場合、(a)の第一の洗浄工程では、プレス成形工程により得られたプレス成形されたセパレータ材を、炭酸ナトリウム(Na2CO3)などにより弱アルカリ性、通常pH10〜14、好ましくはpH10〜11に調整された水で満たされた槽(弱アルカリ槽)に浸漬させ、通常20kHz〜78kHz、好ましくは26kHz〜38kHzの超音波をかけながら、通常40℃〜70℃、好ましくは50℃〜60℃で、通常3分〜15分、好ましくは4分〜12分間洗浄する。
続いて、弱アルカリ槽においてプレス油を浮遊させたセパレータ材を、純水で満たされたリンス槽に浸漬させ、通常20kHz〜78kHz、好ましくは26kHz〜38kHzの超音波をかけながら、通常40℃〜70℃、好ましくは50℃〜60℃で、通常3分〜15分、好ましくは4分〜12分間洗浄する。
なお、リンス槽を直列に2槽以上配置させ、各リンス槽で前記洗浄を実施してもよい。リンス槽を直列に2槽以上配置させることにより、セパレータ材から浮遊させたプレス油を効率よく除去することができる。
(a)の第一の洗浄工程によって、プレス成形工程により得られたプレス成形されたセパレータ材に存在するプレス成形工程による異物を除去することができる。
(b)第一の洗浄工程によりプレス成形工程による異物が除去されたセパレータ材の表面を超音波により洗浄する第二の洗浄工程
(b)の第二の洗浄工程では、第一の洗浄工程によりプレス成形工程による異物が除去されたセパレータ材の表面を超音波により洗浄する。
(b)の第二の洗浄工程では、第一の洗浄工程によりプレス成形工程による異物が除去されたセパレータ材の表面を超音波により洗浄する。
例えば、(b)の第二の洗浄工程では、第一の洗浄工程によりプレス成形工程による異物が除去されたセパレータ材を、純水で満たされた超音波槽に浸漬させ、通常20kHz〜78kHz、好ましくは26kHz〜38kHzの超音波をかけながら、通常40℃〜70℃、好ましくは50℃〜60℃で、通常3分〜15分、好ましくは4分〜12分間洗浄する。
(b)の第二の洗浄工程によって、セパレータ材表面に残存するカーボンをセパレータ材表面に存在する水中に浮遊させて、カーボンを、カーボン被覆率が通常5%以下、好ましくは3%以下になるまで除去することができる。
ここで、カーボン被覆率、すなわち、セパレータ(材)表面を覆うカーボンブラックの面積比率は、電子顕微鏡により測定することができる。例えば、セパレータ(材)表面を覆うカーボンブラックの面積比率は、電子顕微鏡における100μm×100μmの複数の異なる視野、例えば10視野〜100視野において、
(1)それぞれの視野において、二値化処理を行い、
(2)それぞれの視野中の黒色部分をカーボンブラックと判定し、
(3)それぞれの視野において、黒色部分の面積を視野の面積で割り、100を掛けることにより、それぞれの視野におけるセパレータ(材)表面を覆うカーボンブラックの面積比率を算出し、
(4)それぞれの視野におけるセパレータ(材)表面を覆うカーボンブラックの面積比率を平均化する
ことにより求めることができる。
(1)それぞれの視野において、二値化処理を行い、
(2)それぞれの視野中の黒色部分をカーボンブラックと判定し、
(3)それぞれの視野において、黒色部分の面積を視野の面積で割り、100を掛けることにより、それぞれの視野におけるセパレータ(材)表面を覆うカーボンブラックの面積比率を算出し、
(4)それぞれの視野におけるセパレータ(材)表面を覆うカーボンブラックの面積比率を平均化する
ことにより求めることができる。
(c)第二の洗浄工程により超音波洗浄されたセパレータ材を純水に浸漬させ水流により洗浄する第三の洗浄工程
(c)の第三の洗浄工程では、第二の洗浄工程により超音波洗浄されたセパレータ材を純水に浸漬させ水流により洗浄する。
(c)の第三の洗浄工程では、第二の洗浄工程により超音波洗浄されたセパレータ材を純水に浸漬させ水流により洗浄する。
例えば、(c)の第三の洗浄工程では、第二の洗浄工程により超音波洗浄されたセパレータ材を、図5に示すような純水で満たされた水流機構を備えるリンス槽に浸漬させ、通常10℃〜80℃、好ましくは30℃〜50℃で、通常3分〜30分、好ましくは10分〜20分間水流により洗浄する。
ここで、水流は、例えば、純水で満たされたリンス槽(好ましくはリンス槽の底部)において新たな純水をリンス槽中に送り込む、すなわち、リンス槽の純水を新たな純水に置換することで作ってもよいし、あるいは、純水で満たされたリンス槽(好ましくはリンス槽の底部)においてリンス槽の純水をポンプなどにより循環させることで作ってもよいし、あるいは、純水で満たされたリンス槽(好ましくはリンス槽の底部)を撹拌機などにより撹拌することで作ってもよい。
水流の速度は、限定されないが、通常20L/分〜40L/分である。
(c)の第三の洗浄工程によって、セパレータ材表面に浮遊させた残存カーボンを効率よく純水に置換し、セパレータ材表面からカーボンを十分に除去することができる。
(iv)洗浄工程により洗浄されたセパレータ材の表面を乾燥する乾燥工程
(iv)の乾燥工程では、洗浄工程により洗浄されたセパレータ材の表面を乾燥する。
(iv)の乾燥工程では、洗浄工程により洗浄されたセパレータ材の表面を乾燥する。
(iv)の乾燥工程では、洗浄工程により洗浄されたセパレータ材を、大気中、通常80℃〜100℃で、通常0.1時間〜0.3時間乾燥させる。
(iv)の乾燥工程によって、洗浄工程により洗浄されたセパレータ材の表面から水を除去することができる。
図6に本発明の一実施形態を示す。図6に記載の工程では、セパレータ材を表面処理した後、まずプレス油(固形潤滑剤を含む)を除去するために、セパレータ材を、例えば炭酸ナトリウム(Na2CO3)により弱アルカリ性に調整された水で満たされた槽(弱アルカリ槽)に浸漬させ洗浄し、その後弱アルカリ槽により浮遊させたプレス油を洗浄するための純水で満たされたリンス槽に浸漬させ洗浄する。なお、図6では、弱アルカリ槽の後に2つのリンス槽を設置している。続いて、表面のカーボンを除去するために、セパレータ材を、超音波槽に浸漬させ超音波洗浄し、その後、図5に示すような水流機構を備えるリンス槽に浸漬させ洗浄して、最後に乾燥させる。
本発明により得られるセパレータでは、染みの発生率を10%まで低減することができる。
また、本発明により得られるセパレータでは、表面の清浄度が向上するため、他部品との接着力も向上する。
さらに、本発明により得られるセパレータと、当該技術分野において公知の燃料電池セルの構成要素、例えば膜電極接合体、シール部材などとを、例えば接着剤により接着させ、燃料電池セルを製造することができる。
本発明により製造されたセパレータを含む燃料電池セルは、固体高分子形燃料電池などの各種電気化学デバイスにおいて使用することができる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例につき説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
1.セパレータの製造
比較例として、図7に示すように、セパレータを製造した。なお、セパレータの製造には、表面にカーボンブラックが塗布されているチタン製のセパレータ材を使用した。
比較例として、図7に示すように、セパレータを製造した。なお、セパレータの製造には、表面にカーボンブラックが塗布されているチタン製のセパレータ材を使用した。
まず、第一の洗浄工程として、セパレータ材を、炭酸ナトリウム(Na2CO3)によりpHを10〜11に調整させた水で満たされた弱アルカリ槽に浸漬させ、超音波(26kHz)により3分〜5分間洗浄した。続いて、セパレータ材を、純水で満たした第一のリンス槽に浸漬させ、超音波(26kHz)により3分〜5分間洗浄し、さらに、純水で満たした第二のリンス槽に浸漬させ、超音波(26kHz)により3分〜5分間洗浄した。
次に、第二の洗浄工程として、セパレータ材を、純水で満たした超音波槽に浸漬させ、超音波(26kHz)により3分〜5分間洗浄した。
さらに、第三の洗浄工程として、セパレータ材を、純水シャワーを備えるリンス槽に設置し、純水シャワーで14分〜16分間洗浄した。
最後に、乾燥工程として、セパレータ材を、100℃で、15分間乾燥させ、セパレータ材の表面の水を除去し、セパレータを製造した。
実施例として、図8に示すように、セパレータを製造した。なお、セパレータの製造には、表面にカーボンブラックが塗布されているチタン製のセパレータ材を使用した。
まず、第一の洗浄工程として、セパレータ材を、炭酸ナトリウム(Na2CO3)によりpHを10〜11に調整させた水で満たされた弱アルカリ槽に浸漬させ、超音波(26kHz)により3分〜5分間洗浄した。続いて、セパレータ材を、純水で満たした第一のリンス槽に浸漬させ、超音波(26kHz)により3分〜5分間洗浄し、さらに、純水で満たした第二のリンス槽に浸漬させ、超音波(26kHz)により3分〜5分間洗浄した。
次に、第二の洗浄工程として、セパレータ材を、純水で満たした超音波槽に浸漬させ、超音波(26kHz)により3分〜5分間洗浄した。
さらに、第三の洗浄工程として、セパレータ材を、純水で満たされ、水流機構を備えるリンス槽中に浸漬させ、水流速度が20L/分〜40L/分の水流で、14分〜16分間水流洗浄した。
最後に、乾燥工程として、セパレータ材を、100℃で、15分間乾燥させ、セパレータ材の表面の水を除去し、セパレータを製造した。
2.セパレータの評価
2−1.染み発生率の測定
1.セパレータの製造における比較例の製造方法により得られたセパレータ及び実施例の製造方法により得られたセパレータについて、染み発生率を測定した。
2−1.染み発生率の測定
1.セパレータの製造における比較例の製造方法により得られたセパレータ及び実施例の製造方法により得られたセパレータについて、染み発生率を測定した。
比較例の染み発生率は、比較例の製造方法により製造した400個のセパレータに対する目視により確認された染みが発生したセパレータの数から計算した。実施例の染み発生率は、実施例の製造方法により製造した400個のセパレータに対する目視により確認された染みが発生したセパレータの数から計算した。
結果を図9に示す。
図9より、実施例の製造方法により得られたセパレータの染み発生率は10%であり、比較例の製造方法において得られたセパレータの染み発生率である50%と比較して低減した。
図9より、実施例の製造方法により得られたセパレータの染み発生率は10%であり、比較例の製造方法において得られたセパレータの染み発生率である50%と比較して低減した。
2−2.セパレータの温水剥離強度(接着性)の測定
図10に記載されている温水剥離強度の試験方法の概要にしたがって、各セパレータの温水剥離強度を測定した。
図10に記載されている温水剥離強度の試験方法の概要にしたがって、各セパレータの温水剥離強度を測定した。
図10では、まず、マレイン酸変性PP製の接着性シートを2枚の比較例の製造方法により得られたL字構成のセパレータ又は2枚の実施例の製造方法により得られたL字構成のセパレータにより挟んで、加熱プレス接着を180℃、4秒することでT字剥離試験片を調製する。続いて、得られた剥離試験片を、95℃の温水中に設置し、図10に示すように、一方のセパレータにおもりをつけて、接着性シートとセパレータとが剥離するおもりの重さを測定することで、温水剥離強度を決定する。
図11に、比較例の製造方法により得られたセパレータ及び実施例の製造方法により得られたセパレータの温水剥離強度を示す。
図11より、実施例の製造方法により得られたセパレータの温水剥離強度は、比較例の製造方法により得られたセパレータのものよりも大きくなることがわかった。
Claims (1)
- (i)金属製のセパレータ材の表面にカーボンブラックを塗布し、低酸素分圧下で熱処理する表面処理工程と、(ii)表面処理工程により得られた表面処理されたセパレータ材をプレス成形するプレス成形工程と、(iii)プレス成形工程により得られたプレス成形されたセパレータ材を洗浄する洗浄工程と、(iv)洗浄工程により洗浄されたセパレータ材の表面を乾燥する乾燥工程とを含むセパレータの製造方法であって、
(iii)の洗浄工程が、
(a)プレス成形工程により得られたプレス成形されたセパレータ材を洗浄してプレス成形工程による異物を除去する第一の洗浄工程と、
(b)第一の洗浄工程によりプレス成形工程による異物が除去されたセパレータ材の表面を超音波により洗浄する第二の洗浄工程と、
(c)第二の洗浄工程により超音波洗浄されたセパレータ材を純水に浸漬させ水流により洗浄する第三の洗浄工程と
を含むセパレータの製造方法。
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