JP2020145056A - セパレータの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両搭載後からのセパレータに起因する燃料電池の出力の低下を抑制したセパレータの製造方法を提供する。【解決手段】(i)金属製のセパレータ材の表面にカーボンブラックを塗布し、低酸素分圧下で熱処理する表面処理工程と、(ii)表面処理工程により得られた表面処理されたセパレータ材をプレス成形するプレス成形工程と、(iii)プレス成形工程により得られたプレス成形されたセパレータ材を洗浄する洗浄工程と、(iv)洗浄工程により洗浄されたセパレータ材の表面を乾燥する乾燥工程とを含むセパレータの製造方法であって、(i)の表面処理工程よりも後の工程に、(v)セパレータ材を、大気中、200℃〜250℃で熱処理する大気酸化処理工程を含む製造方法に関する。【選択図】図7
Description
本発明は、セパレータの製造方法、特に燃料電池セルに用いられるセパレータの製造方法に関する。
燃料電池は、燃料ガス(水素)と酸化剤ガス(酸素)との反応により起電力を生じる単セルを所定数だけ積層したスタック構造を有する。単セルは、電解質膜の両面にアノード及びカソードの電極層(触媒層及びガス拡散層)を備える膜電極接合体と、当該膜電極接合体の両面にそれぞれ配置されるセパレータを有する。
セパレータは、単セルを電気的に直列接続する機能並びに燃料ガス、酸化剤ガス及び冷却水を互いに遮断する隔壁としての機能を有する。
このようなセパレータについて、様々な研究が行われている。
例えば、特許文献1には、純チタン又はチタン合金からなるセパレータ材上に、酸化チタンとカーボンブラックが混合した混合層が形成されており、前記酸化チタンが結晶性のルチルを含み、前記混合層中のカーボンの結合状態をX線光電子分光分析により分析した際に検出されたカーボンのうちの70%以上がC−C結合を有するカーボンブラック単体として存在していることを特徴とする燃料電池用セパレータ、及びその製造方法が開示されている。
セパレータ材にカーボンブラックを塗布し、熱処理することにより得られるセパレータ(「NC処理されているセパレータ」ともいう)は、燃料電池セルで発生した電気を取り出す役割を担うため、例えばガス拡散層であるカーボンクロスとの接触抵抗が低いことが求められる。
しかしながら、NC処理されているセパレータの接触抵抗は、燃料電池を使用するにつれて上昇していき、10年使用後には、セパレータ製造時の約4倍になると推定される。これにより、燃料電池におけるユニット出力では、セパレータ要因のみで約2.6%の出力低下が予測される。
そのため、例えば車両を10年使用後においても決められた出力を確保できるように設計していたとしても、製造直後の車両と10年使用後の車両との間の出力の差が顧客の不満につながる可能性がある。
したがって、本発明は、車両搭載後からのセパレータに起因する燃料電池の出力の低下を抑制したセパレータの製造方法を提供することを課題とする。
表面処理されているセパレータには、NC処理されているセパレータ、セパレータ材にプラズマCVDにより炭素膜が形成されているセパレータ(「PAC(DLC)処理されているセパレータ」ともいう)、貴金属、例えば金(Au)、白金(Pt)などにより表面処理されているセパレータなどがある。
これらのセパレータの表面処理には、それぞれメリット、デメリットが存在する。各表面処理のメリット、デメリット及び各表面処理されているセパレータの劣化モードを以下の表1にまとめる。
表1より、NC処理されているセパレータでは、劣化モード、すなわち接触抵抗が上昇する主な要因が、表面処理層、例えば酸化チタン(TiOx)の酸化によるものであることがわかる。
また、接触抵抗の上昇は、比較的長い時間かけて起きる。したがって、NC処理されているセパレータは、通常の製造工程における慣らし運転では、接触抵抗の特性に関して安定した状態にならない。
そこで、本発明者らは、前記課題を解決するための手段を種々検討した結果、表面処理工程を有するセパレータの製造方法において、表面処理後に、NC処理されているセパレータを、特定の温度範囲で大気酸化処理し、NC処理されているセパレータの表面をあらかじめ酸化させることによって、NC処理されているセパレータを接触抵抗の特性に関して安定した状態にすることができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)(i)金属製のセパレータ材の表面にカーボンブラックを塗布し、低酸素分圧下で熱処理する表面処理工程と、(ii)表面処理工程により得られた表面処理されたセパレータ材をプレス成形するプレス成形工程と、(iii)プレス成形工程により得られたプレス成形されたセパレータ材を洗浄する洗浄工程と、(iv)洗浄工程により洗浄されたセパレータ材の表面を乾燥する乾燥工程とを含むセパレータの製造方法であって、
(i)の表面処理工程よりも後の工程に、
(v)セパレータ材を、大気中、200℃〜250℃で熱処理する大気酸化処理工程
を含む製造方法。
(1)(i)金属製のセパレータ材の表面にカーボンブラックを塗布し、低酸素分圧下で熱処理する表面処理工程と、(ii)表面処理工程により得られた表面処理されたセパレータ材をプレス成形するプレス成形工程と、(iii)プレス成形工程により得られたプレス成形されたセパレータ材を洗浄する洗浄工程と、(iv)洗浄工程により洗浄されたセパレータ材の表面を乾燥する乾燥工程とを含むセパレータの製造方法であって、
(i)の表面処理工程よりも後の工程に、
(v)セパレータ材を、大気中、200℃〜250℃で熱処理する大気酸化処理工程
を含む製造方法。
本発明により、車両搭載後からのセパレータに起因する燃料電池の出力の低下を抑制したセパレータの製造方法が提供される。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本明細書では、適宜図面を参照して本発明の特徴を説明する。図面では、明確化のために各部の寸法及び形状を誇張しており、実際の寸法及び形状を正確に描写してはいない。それ故、本発明の技術的範囲は、これら図面に表された各部の寸法及び形状に限定されるものではない。なお、本発明のセパレータの製造方法は、下記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者がおこない得る変更、改良などを施した種々の形態にて実施することができる。
本明細書では、適宜図面を参照して本発明の特徴を説明する。図面では、明確化のために各部の寸法及び形状を誇張しており、実際の寸法及び形状を正確に描写してはいない。それ故、本発明の技術的範囲は、これら図面に表された各部の寸法及び形状に限定されるものではない。なお、本発明のセパレータの製造方法は、下記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者がおこない得る変更、改良などを施した種々の形態にて実施することができる。
本発明は、(i)金属製のセパレータ材の表面にカーボンブラックを塗布し、低酸素分圧下で熱処理する表面処理工程と、(ii)表面処理工程により得られた表面処理されたセパレータ材をプレス成形するプレス成形工程と、(iii)プレス成形工程により得られたプレス成形されたセパレータ材を洗浄する洗浄工程と、(iv)洗浄工程により洗浄されたセパレータ材の表面を乾燥する乾燥工程とを含むセパレータの製造方法であって、(i)の表面処理工程よりも後の工程に、(v)セパレータ材を、大気中、特定の温度範囲で熱処理する大気酸化処理工程を含む製造方法に関する。
本発明におけるセパレータは、燃料電池セル(単セル)の構成要素であり、膜電極接合体(電解質膜、該電解質膜の両面に配置されるアノード及びカソードの電極層)の両面に配置される。
以下に(i)〜(v)の各工程について説明する。
(i)金属製のセパレータ材の表面にカーボンブラックを塗布し、低酸素分圧下で熱処理する表面処理工程
(i)の表面処理工程では、金属製のセパレータ材の表面にカーボンブラックを塗布し、低酸素分圧下で熱処理する。
(i)の表面処理工程では、金属製のセパレータ材の表面にカーボンブラックを塗布し、低酸素分圧下で熱処理する。
セパレータの材料としては、当該技術分野において公知のセパレータの材料を使用することができ、例えば、限定されないが、チタン、SUS(鉄、クロム、ニッケル)などの金属(合金含む)製の板を使用することができる。
カーボンブラックは、金属製のセパレータ材の表面に、例えばグラビアロール、ダイコーターによって、塗布される。余剰なカーボンブラックは後の工程において除去されるため、カーボンブラックを塗布する量は限定されない。
塗布するカーボンブラックは、酸化チタンとカーボンブラックの混合物でもよい。金属製のセパレータ材の表面に、酸化チタンとカーボンブラックの混合層が塗布された場合、セパレータの導電性と耐久性とを両立することができる。
続いて、カーボンブラックを塗布したセパレータ材を、低酸素分圧下で熱処理する。
ここで、熱処理における温度は、通常550℃〜700℃である。
熱処理における酸素分圧は、通常1Pa〜100Paである。
熱処理の時間は、通常5秒〜60秒間である。
なお、(i)の表面処理工程では、熱処理の後に、表面処理されたセパレータ材を、ロール状態で、ブラシ洗浄、超音波洗浄により洗浄、乾燥し、さらに、通常580℃〜650℃の温度、通常3Pa〜30Paの酸素分圧、通常10秒〜30秒で、安定化処理してもよい。また、(i)の表面処理工程は、NC処理とも称される。
(ii)表面処理工程により得られた表面処理されたセパレータ材をプレス成形するプレス成形工程
(ii)のプレス成形工程では、表面処理工程により得られた表面処理されたセパレータ材をプレス成形する。
(ii)のプレス成形工程では、表面処理工程により得られた表面処理されたセパレータ材をプレス成形する。
プレス成形は、表面処理工程により得られた表面処理されたセパレータ材を、当該技術分野において公知の所望の形状を形成する成形用金型(例えば、ガス流路及びガス導入口を形成する成形用金型)を取り付けたプレス成形装置によりプレスすることにより行うことができる。なお、成形時には、プレス油、潤滑剤などを適宜使用することができる。
(iii)プレス成形工程により得られたプレス成形されたセパレータ材を洗浄する洗浄工程
(iii)の洗浄工程では、プレス成形工程により得られたプレス成形されたセパレータ材を洗浄する。
(iii)の洗浄工程では、プレス成形工程により得られたプレス成形されたセパレータ材を洗浄する。
(iii)の洗浄工程では、プレス成形工程による異物及びセパレータ材表面上の過剰なカーボンブラックを除去する。
(iii)の洗浄工程では、プレス成形工程による異物、例えばプレス油、固形潤滑剤は、例えばアルカリ洗浄、炭化水素洗浄により除去することができる。
例えばアルカリ洗浄である場合、プレス成形工程による異物は、プレス成形工程により得られたプレス成形されたセパレータ材を、炭酸ナトリウム(Na2CO3)などにより弱アルカリ性、通常pH10〜11に調整された水で満たされた槽(弱アルカリ槽)に浸漬させ、通常20kHz〜78kHzの超音波をかけながら、通常40℃〜70℃で、通常3分〜5分間洗浄し、続いて、弱アルカリ槽においてプレス油を浮遊させたセパレータ材を、純水で満たされたリンス槽に浸漬させ、通常20kHz〜78kHzの超音波をかけながら、通常40℃〜70℃で、通常3分〜5分間洗浄することで、除去することができる。
なお、リンス槽を直列に2槽以上配置させ、各リンス槽で前記洗浄を実施してもよい。リンス槽を直列に2槽以上配置させることにより、セパレータ材から浮遊させたプレス油を効率よく除去することができる。
(iii)の洗浄工程では、セパレータ材表面上の過剰なカーボンブラックは、例えば、超音波洗浄することにより除去することができる。
例えば、セパレータ材表面上の過剰なカーボンブラックは、プレス成形工程による異物が除去されたセパレータ材を、純水で満たされた超音波槽に浸漬させ、通常20kHz〜78kHzの超音波をかけながら、通常40℃〜70℃で、通常3分〜5分間洗浄し、続いて、超音波洗浄されたセパレータ材を、純水シャワーを備えるリンス槽において、通常40℃〜70℃で、通常14分〜16分間洗浄することで除去することができる。
(iii)の洗浄工程によって、セパレータ材からプレス成形工程による異物及びセパレータ材表面上の過剰なカーボンブラックを除去することができる。
(iv)洗浄工程により洗浄されたセパレータ材の表面を乾燥する乾燥工程
(iv)の乾燥工程では、洗浄工程により洗浄されたセパレータ材の表面を乾燥する。
(iv)の乾燥工程では、洗浄工程により洗浄されたセパレータ材の表面を乾燥する。
(iv)の乾燥工程では、洗浄工程により洗浄されたセパレータ材を、大気中、通常80℃〜100℃で、通常0.1時間(単位:H)〜0.3時間乾燥させる。
(iv)の乾燥工程によって、洗浄工程により洗浄されたセパレータ材の表面から水を除去することができる。
(v)セパレータ材を、大気中、特定の温度範囲で熱処理する大気酸化処理工程
(v)の大気酸化処理工程では、セパレータ材を、大気中、特定の温度範囲で熱処理する。
(v)の大気酸化処理工程では、セパレータ材を、大気中、特定の温度範囲で熱処理する。
(v)の大気酸化処理工程は、(i)の表面処理工程の後に実施される。(v)の大気酸化処理工程は、例えば、(i)の表面処理工程と(ii)のプレス成形工程の間、(ii)のプレス成形工程と(iii)の洗浄工程の間、及び/又は(iv)の乾燥工程の後などに実施することができる。(v)の大気酸化処理工程は、(iv)の乾燥工程の後に実施することが好ましい。
(v)の大気酸化処理工程では、セパレータ材を、大気中、200℃〜250℃、好ましくは240℃〜250℃で、通常1時間〜4時間、好ましくは1時間〜2時間熱処理させる。
(v)の大気酸化処理工程によって、車両搭載前のNC処理されているセパレータが大気酸化処理され、これにより、NC処理されているセパレータの接触抵抗が上昇するので、車両搭載後からの燃料電池におけるNC処理されているセパレータのNC層(NC処理によりセパレータ材上に形成された膜)表面の酸化の進行速度を緩和することができ、したがって、車両搭載後からの燃料電池におけるNC処理されているセパレータに起因する燃料電池の出力の低下を抑制することができる。
また、(v)の大気酸化処理工程はNC層表面の酸化を促進するため、(v)の大気酸化処理工程を、例えば、製造後のセパレータにおける接触抵抗の加速試験として利用することもできる。
(v)の大気酸化処理工程を接触抵抗の加速試験として利用することによって、従来の試験方法と比較して、試験時間を短縮することができる。
さらに、本発明により得られるセパレータと、当該技術分野において公知の燃料電池セルの構成要素、例えば膜電極接合体、シール部材などとを、例えば接着剤により接着させ、燃料電池セルを製造することができる。
本発明により製造されたセパレータを含む燃料電池セルは、固体高分子形燃料電池などの各種電気化学デバイスにおいて使用することができる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例につき説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
1.大気酸化処理工程の温度決定
NC処理されているチタン製のセパレータ材を、大気中、所定の温度で熱処理した。
NC処理されているチタン製のセパレータ材を、大気中、所定の温度で熱処理した。
結果を図1に示す。
図1より、大気酸化処理温度が250℃よりも高くなると、接触抵抗が急激に上昇することがわかった。これは、250℃よりも高い温度では、NC層とセパレータの基材であるチタンとの間の界面(NC層−Ti界面)において酸化が起こるためと考えられる。車両搭載後の一般的な燃料電池の使用による劣化モードは、セパレートにおけるNC層表面から徐々に進行する酸化によるものであるため、セパレータにおけるNC層−Ti界面の酸化は、車両搭載後の一般的な燃料電池の使用ではおこらない劣化モードである。図2に、セパレータにおけるNC層−チタン基材を模式的に示す。
図1より、大気酸化処理温度が250℃よりも高くなると、接触抵抗が急激に上昇することがわかった。これは、250℃よりも高い温度では、NC層とセパレータの基材であるチタンとの間の界面(NC層−Ti界面)において酸化が起こるためと考えられる。車両搭載後の一般的な燃料電池の使用による劣化モードは、セパレートにおけるNC層表面から徐々に進行する酸化によるものであるため、セパレータにおけるNC層−Ti界面の酸化は、車両搭載後の一般的な燃料電池の使用ではおこらない劣化モードである。図2に、セパレータにおけるNC層−チタン基材を模式的に示す。
したがって、NC処理されているセパレータ材の大気酸化処理温度を250℃以下にすることによって、NC層−Ti界面の酸化を抑制しつつ、NC層表面の酸化の進行速度が緩和される状態までNC層表面を適度に酸化して、NC処理されているセパレータを接触抵抗の特性に関して安定した状態にすることができる。
2.FCC試験と本発明を応用した新規加速試験との比較
NC処理されているチタン製のセパレータ材の平板(30%引張材)(以下、「平板」という)を、大気中、250℃で熱処理し、平板における接触抵抗の経時変化結果を、FCC浸漬試験と比較した。
NC処理されているチタン製のセパレータ材の平板(30%引張材)(以下、「平板」という)を、大気中、250℃で熱処理し、平板における接触抵抗の経時変化結果を、FCC浸漬試験と比較した。
ここで、FCC浸漬試験は、積層したセル間の接触抵抗を確認するための試験であり、積層したセル間にFCC(燃料電池車における冷却液)を流し、冷却を行っている車両を模擬した試験である。FCC浸漬試験は、80℃のFCC中にセパレータを浸漬させ、各時点における接触抵抗を測定することで行った。
図3に、平板における、FCC浸漬試験と250℃での大気酸化処理試験の概要を示し、図4に平板における各試験での接触抵抗の経時変化結果を示す。図3における試験(劣化)後の×印は、初期では、カーボンブラック、TiOxそれぞれが導電性を有しているが、試験(劣化)後には、TiOxが酸化することにより絶縁化していくため、TiOxの導電パスがなくなることを表現している。図4より、250℃での大気酸化処理による平板の接触抵抗の上昇は、FCC浸漬試験による平板の接触抵抗の上昇と比較して約100倍速いことがわかった。
したがって、250℃での大気酸化時間を100倍した平板の接触抵抗の上昇挙動は、FCC浸漬試験の平板の接触抵抗の上昇挙動に一致することがわかった。言い換えれば、平板を、大気中、250℃で熱処理する加速試験によって、従来の平板のFCC浸漬試験にかかる時間を、約100分の1に短縮することができる。
続いて、NC処理されているチタン製のセパレータ材のプレス品(製品形状)(以下、「プレス品」という)を、大気中、200℃で熱処理し、プレス品における接触抵抗の経時変化結果を、FCC浸漬試験と比較した。
ここで、FCC浸漬試験は、80℃のFCC(燃料電池車における冷却液)中にセパレータを浸漬させ、各時点における接触抵抗を測定することで行った。
図5に、プレス品における、FCC浸漬試験と200℃での大気酸化処理の概要を示し、図6にプレス品における各試験での接触抵抗の経時変化結果を示す。図5における試験(劣化)後の×印は、初期では、カーボンブラック、TiOxそれぞれが導電性を有しているが、試験(劣化)後には、TiOxが酸化することにより絶縁化していくため、TiOxの導電パスがなくなることを表現している。図6より、200℃での大気酸化処理によるプレス品の接触抵抗の上昇は、FCC浸漬試験によるプレス品の接触抵抗の上昇と比較して約40倍速いことがわかった。
したがって、200℃での大気酸化時間を40倍したプレス品の接触抵抗の上昇挙動は、FCC浸漬試験のプレス品の接触抵抗の上昇挙動に一致することがわかった。言い換えれば、プレス品を、大気中、200℃で熱処理する加速試験によって、従来のプレス品のFCC浸漬試験にかかる時間を、約40分の1に短縮することができる。
平板及びプレス品のFCC浸漬試験に対する新規加速試験の加速倍率を表2にまとめる。なお、表2における「×」は、図1に示したような、NC層−Ti界面での酸化が起きた温度である。
3.大気酸化処理による接触抵抗の上昇挙動から推定される燃料電池製品中のセパレータの接触抵抗の上昇挙動及び燃料電池製品の出力低下量について
大気酸化処理によるセパレータの接触抵抗の上昇挙動から、燃料電池製品中のセパレータの接触抵抗の上昇挙動及び燃料電池製品の出力低下量を推定した。
大気酸化処理によるセパレータの接触抵抗の上昇挙動から、燃料電池製品中のセパレータの接触抵抗の上昇挙動及び燃料電池製品の出力低下量を推定した。
結果を図7に示す。図7では、破線は車両搭載後のセパレータの接触抵抗の上昇量の推定値を示し、実線はセパレータの接触抵抗上昇による燃料電池の出力の低下量の計算値を示す。
図7より、車両搭載前にセパレータを250℃で4時間大気酸化処理することにより、車両搭載後から10年後の燃料電池の出力低下量(セパレータの接触抵抗上昇要因のみによる出力低下分)を2.6%から1.0%に低減できると推定できる。
Claims (1)
- (i)金属製のセパレータ材の表面にカーボンブラックを塗布し、低酸素分圧下で熱処理する表面処理工程と、(ii)表面処理工程により得られた表面処理されたセパレータ材をプレス成形するプレス成形工程と、(iii)プレス成形工程により得られたプレス成形されたセパレータ材を洗浄する洗浄工程と、(iv)洗浄工程により洗浄されたセパレータ材の表面を乾燥する乾燥工程とを含むセパレータの製造方法であって、
(i)の表面処理工程よりも後の工程に、
(v)セパレータ材を、大気中、200℃〜250℃で熱処理する大気酸化処理工程
を含む製造方法。
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